JP5904253B2 - 化粧シート及びその製造方法 - Google Patents
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Description
化粧シートの艶を決定する要因としては、化粧シート表面のトップコートに用いるインキ自体の艶、エンボス加工する際の加工温度、エンボスロール表面の艶などが挙げられる。
本発明は、
1.基材上に、少なくとも印刷層を有する化粧シートであって、該化粧シートは最表面の少なくとも一部にレンズ状凹凸模様を形成してなり、前記レンズ状凹凸模様の各レンズ形状は、底部が互いに線で接している化粧シート、
2.基材上に、少なくとも、印刷層と、透明樹脂層とを順に有する化粧シートであって、該化粧シートの該透明樹脂層側の最表面の少なくとも一部に前記レンズ状凹凸模様を形成してなる上記1に記載の化粧シート、
3.前記透明樹脂層側の最表面にエンボス模様を有し、該エンボス模様の凹部、凸部及び斜面部分の少なくともいずれかに前記レンズ状凹凸模様を形成してなる上記2に記載の化粧シート、
4.前記透明樹脂層上に、さらに表面保護層を有し、かつ、前記レンズ状凹凸模様を、最表層である該表面保護層の表面の少なくとも一部に形成してなる上記2又は3に記載の化粧シート、
5.前記レンズ形状が最表面全体の面積の70〜97%を覆ってなる上記1〜4のいずれかに記載の化粧シート、
6.前記レンズ状凹凸模様の各レンズ形状の直径が150μm以下である上記1〜5のいずれかに記載の化粧シート、
7.前記レンズ状凹凸模様の各レンズ形状の高さが5〜100μmである上記1〜6のいずれかに記載の化粧シート、
8.前記レンズ状凹凸模様の各レンズ形状を円充填状に配列してなる上記1〜7のいずれかに記載の化粧シート、及び
9.基材上に、少なくとも印刷層を有する化粧シートの最表面の少なくとも一部に、凹部がレンズ形状である凹凸模様を有するエンボス版を用いて、凸部がレンズ形状である凹凸模様を転写することにより、各レンズ形状の底部が互いに線で接するように凹凸模様を形成する化粧シートの製造方法、
を提供する。
2:基材
3:印刷層
3a:着色層
3b:絵柄層
4:接着層
5:透明樹脂層
6:表面保護層
7:プライマー層
8:裏面プライマー層
9:エンボス模様
10:レンズ状凹凸模様
本発明の化粧シート1は、基材2上に、少なくとも、印刷層3と、透明樹脂層5とを順に有し、該透明樹脂層側の最表面の少なくとも一部にレンズ状凹凸模様10を形成してなることを特徴とする。
本発明の化粧シートの典型的な構造を、図1〜3を用いて説明する。図1及び2は本発明の化粧シート1の断面を示す模式図であり、図3はその拡大断面を示す模式図である。図1に示す例は、基材2上に印刷層3、接着層4及び透明樹脂層5がこの順に積層されたものであり、最表層である透明樹脂層5の表面にレンズ状凹凸模様10が形成されている。図2に示す例は、基材2上に印刷層3、接着層4、透明樹脂層5、プライマー層7及び表面保護層6がこの順に積層されたものであり、最表層である表面保護層6の表面にレンズ状凹凸模様10が形成されている。また、図1及び2においては、基材2の裏面に裏面プライマー層8が設けられている。図3は、化粧シート1の最表面を示し、エンボス模様9の内部及び外部に亘ってレンズ状凹凸模様10が形成されている。
基材2には、例えば、紙、不織布、熱可塑性樹脂シート又はこれらの複合材料などが使用される。
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン(高密度、中密度、あるいは低密度)、ポリプロピレン(アイソタクチック型、あるいはシンジオタクチック型)、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマーなどのポリオレフィン系樹脂が挙げられる。オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、上記したような結晶質ポリオレフィン樹脂からなるハードセグメントとエチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、アタクチックポリプロピレン、スチレン−ブタジエンゴム、水素添加スチレン−ブタジエンゴムなどのエラストマーからなるソフトセグメントを混合して得られるものが挙げられる。ハードセグメントとソフトセグメントとの混合比は、〔ソフトセグメント/ハードセグメント〕=5/95〜40/60(質量比)程度である。必要に応じて、エラストマー成分は、硫黄、過酸化水素などの公知の架橋剤によって架橋する。また、熱可塑性樹脂シートは、意匠性の向上を目的として、着色されたものを用いてもよい。
なお、基材2が紙等の場合に、インキや塗液の浸透性を有することがある。その場合には該浸透性がその後の印刷や塗工に支障を生じさせることがあるため、基材2上に、予め公知のシーラー層を形成しておいてもよい。また、後述するように、印刷層3としてベタ印刷を行い、シーラー層を兼用させることもできる。
印刷層3は、本発明の化粧シートに装飾性を付与するために好ましく設けられるものである。
印刷層3は、通常、着色層3a及び絵柄層3bからなり、いずれか一方又は両方の層を有していてもよい。図1及び2に示す例では、着色層3a及び絵柄層3bの両者を含むものである。
この着色層3aの厚さは、通常1〜20μm程度の、いわゆるベタ印刷層が好適に用いられる。
絵柄層3bが、2種類以上の異なる印刷線数を組み合わせて印刷されたものである場合、これを最表層に形成されているレンズ状凹凸模様10を通して見ることで、印刷層3の立体的表現が可能になる。具体的には、木目柄であれば、晩材部分を175線/inで印刷し、早材部分を200線/inで印刷して絵柄層3bを形成して本発明の化粧シート1を製造する。このようにすることで、早材より晩材が浮き出たうづくり感を表現することができる。
透明樹脂層5は、透明性のものであれば限定されず、無色透明、着色透明、半透明などの透明性を有する樹脂からなる層である。
透明樹脂層5としては、例えば、熱可塑性樹脂により形成されたものを好適に使用することができる。具体的には、軟質、半硬質又は硬質ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルなどを挙げることができる。これらのなかでも、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂が好ましい。
また、透明樹脂層5における光安定剤の含有量は、通常0.05〜0.8質量%の範囲であり、好ましくは0.1〜0.5質量%の範囲である。0.05質量%以上であると本発明の化粧シートに十分な耐候性を付与することができ、0.8質量%以下であると、ブリードアウトすることがない。
難燃剤は、耐燃性を付与するために添加される。例えば、塩化パラフィン、トリクレジルホスフェート、塩素化油、テトラクロロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、テトラブロモビスフェノールA、ジブロモプロピルホスフェート、トリ(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、酸化アンチモン、含水アルミナ、ホウ酸バリウム等を好適に用いることができる。
酸化防止剤は、酸化分解を抑制ないしは防止するために添加される。例えば、アルキルフェノール類、アミン類、キノン類等が好適である。
透明樹脂層5の厚みは、最終製品の用途、使用方法などにより適宜設定できるが、一般的には50〜250μm、特に20〜200μm程度とすることが好ましい。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法などが挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から好ましく用いられる。
本発明の化粧シートは、前記透明樹脂層5上に、さらに表面保護層6を有していてもよい。
表面保護層6は、印刷層3などの基材2と表面保護層6との間に設けられる層を保護するために設けられる層であり、電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化して得られる層である。電離放射線硬化性樹脂組成物は、紫外線や電子線などの電離放射線で硬化する電離放射線硬化性樹脂とその他必要に応じて添加される成分とからなる組成物である。
表面保護層6に用いられる電離放射線硬化性樹脂としては、従来公知の化合物を適宜使用すればよい。具体的には、従来電離放射線硬化性樹脂組成物として慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。
これらのなかでも、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーが、接着性の観点から好ましい。より具体的には、1分子中に2個のラジカル重合性不飽和基を有する重量平均分子量1000〜4000のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)30〜80質量%、及び1分子中に3個〜15個のラジカル重合性不飽和基を有する脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(B)20〜70質量%からなる混合物を電離放射線硬化性樹脂として用いることが好ましい。
上記ジイソシアネートは、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する脂肪族、脂環式又は芳香族のイソシアネートであり、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。
また、上記の水酸基とラジカル重合性不飽和基を有する(メタ)アクリレートは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシルプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシシクロオクチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピルアクリレートなどの重合性不飽和基を1個有する(メタ)アクリル酸エステル化合物が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂組成物には、得られる表面保護層の所望物性に応じて、各種添加剤を配合することができる。この添加剤としては、例えばアルミナ、シリカなどの無機粒子やアクリルなどの樹脂粒子などの耐摩耗性向上剤、例えばポリプロピレンやポリエチレンなどの樹脂類がエステル系などの有機溶剤に溶解又は分散して得られるワックスのほか、耐候性改善剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤などが挙げられる。なお、これらの各種添加剤の電離放射線硬化性樹脂組成物における含有量は、各種添加剤の添加効果を十分に得つつ、本発明の効果を害しない範囲内であり、適宜設定するものである。
表面保護層6の形成方法は、好ましくは以下のように行う。電離放射線硬化成分である重合性モノマーや重合性オリゴマー及び各種添加剤を、それぞれ所定の割合で均質に混合し、電離放射線硬化性樹脂組成物からなる塗工液を調製する。この塗工液の粘度は、後述の塗工方式により、基材の表面に未硬化樹脂層を形成し得る粘度であればよく、特に制限はない。
このようにして調製された塗工液を、透明樹脂層5やプライマー層7の表面に、硬化後の厚さが所定の範囲内になるように、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコートなどの公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗工し、未硬化樹脂層を形成させる。硬化後の厚さが1μm以上であると所望の機能を有する硬化樹脂層が得られる。硬化後の表面保護層6の厚さは、通常1〜20μmであり、好ましくは2〜20μm、より好ましくは3〜10μmである。
なお、電子線の照射においては、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、基材として電子線により劣化する基材を使用する場合には、電子線の透過深さと樹脂層の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、基材への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による基材の劣化を最小限にとどめることができる。
また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜5Mrad)の範囲で選定される。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈などが用いられる。
接着層4は、印刷層3と透明樹脂層5との間などに所望により設けられる層である。
接着層4で使用する接着剤は、公知又は市販の接着剤の中から、印刷層3や透明樹脂層5を構成する成分などに応じて適宜選択することができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂のほか、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、エマルションの状態で使用してもよい。なかでも、耐熱性の観点からウレタン系樹脂接着剤が好ましい。ウレタン系樹脂接着剤は、ポリオールを主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とする2液硬化型ウレタン樹脂が好ましく挙げられる。
接着層4の厚さは、使用する接着剤の種類などに応じて異なるが、通常は0.1〜30μm程度とすればよい。
基材2と印刷層3との間、並びに透明樹脂層5の表面及び/又は裏面には、プライマー層7を形成することもできる。プライマー層7を形成するための材料としては、例えばポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ニトロセルロース樹脂(硝化綿)などの樹脂類ほか、アルキルチタネート、エチレンイミンなどの化合物も使用することができる。なかでも、アクリルウレタン系樹脂、ウレタン硝化綿や、2液硬化型のウレタン系樹脂などをバインダー樹脂とすることが好ましい。イソシアネートとしてヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)などの脂肪酸イソシアネート(脂肪族イソシアネート)、ポリオールとしてアクリルポリオールをそれぞれ使用する場合には、より優れた耐候性、密着性などが得られるので好ましい。
本発明の化粧シート1においては、被着体との接着性を高める目的で、上記プライマー層7と同様の裏面プライマー層8を基材2の裏面(印刷層3などが設けられるのとは反対の面)に設けることができる。
本発明で用いられる化粧シート1には、意匠性を高める目的でエンボス加工によるエンボス模様9を施すことが好ましい。
エンボス模様9は、化粧シート1が製造過程において何らかの手段によってエンボス可能な温度となっているときに、基材2の印刷層3を設けた側の上面からエンボス版で加熱加圧することにより形成することができる。ここで、エンボス加工は、表面保護層6を設ける前に行っても、後に行ってもよい。エンボス模様9の形成には、周知の枚葉、もしくは輪転式のエンボス機が用いられ、エンボス模様9の形状としては、木目版導管溝、石板表面凹凸、布表面テクスチュア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝などがある。
本発明の化粧シート1は、図3に示すように、透明樹脂層5側の最表面の少なくとも一部に微細なレンズ形状からなるレンズ状凹凸模様10が設けられていることを特徴とする。化粧シート1の最表面がエンボス模様9を有する場合には、エンボス模様9の各凹部、凸部及び斜面部分の少なくともいずれかにレンズ状凹凸模様10を形成することができ、好ましくは、エンボス模様9の各凹部、凸部及び斜面部分の全てに形成することができる。
ここで、透明樹脂層5側の最表面とは、例えば、図1に示すように、透明樹脂層5が最表層である場合には透明樹脂層5の表面を示し、図2に示すように、透明樹脂層5上に設けられた表面保護層6が最表層である場合には表面保護層6の表面を示す。
尚、レンズ状凹凸模様10の凹部の深さは、プライマー層7や透明樹脂層5に達していてもよい。
各レンズ形状の高さは、本発明の効果及び製造上の観点から、5〜100μmであると好ましく、10〜50μmであるとより好ましい。
例えば、最表面全体を覆うようにレンズ状凹凸模様10を形成する場合には、最表面全体の面積の、好ましくは50%以上、より好ましくは70〜97%、さらに好ましくは85〜95%をレンズ形状が覆うように形成する。その際、レンズ形状同士の間隔(レンズ形状の中心から隣接するレンズ形状の中心までの距離)は、各レンズ形状の直径の80〜150%であると好ましく、90〜130%であるとより好ましく、95〜110%であるとさらに好ましい。尚、各レンズ形状は、その底部が互いに接触しないように設けられていてもよく、点で接するように設けられていてもよく、また、線で接するように設けられていてもよい。
レンズ状凹凸模様10を構成するレンズ形状の配置は特に限定されないが、互いに隣接するように配列することで、より光沢を抑制することができる。具体的には、レンズ形状を、好ましくは実質的に格子状又は円充填状に、より好ましくは円充填状に配列することで、より密にレンズ形状を形成可能となる。
エンボス加工は、例えば、加熱ドラム上で透明樹脂層5を構成する透明樹脂を加熱軟化させた後、さらに赤外線輻射ヒーターで加熱し、所望の形のレンズ状凹凸模様を設けたエンボス版で加圧、賦形し、冷却固定して形成する。これは、上述のように、公知の枚葉又は輪転式のエンボス機を使用すればよい。
または、印刷層3上に透明樹脂層5を積層する工程で同時にエンボス加工を行う方法を用いてもよい。
エンボス版としては、エンボス板又はエンボスロールを用いることができる。
例えば、エンボスロールの製造方法としては、金属製ロールの表面に、公知の方法を用いて凹凸模様を形成した後、エッチングによりレンズ形状を設ける方法が好ましく用いられる。
金属製ロールとしては、鉄芯の表面の全面に金属基材を設けたものが好ましく用いられる。金属基材としては、通常エンボスロールに用いられるものであれば特に制限はなく、例えば、亜鉛、銅、真鍮、アルミニウム、鉄、ステンレス、クロム等の金属が挙げられる。中でも、銅がエッチングにおける凹凸模様の形成安定性が優れるなどの理由で好ましい。
金属基材の厚さとしては、エンボス版の凹凸模様最大高低差をカバーできる厚みが必要であり、通常、1000〜1500μmの厚さが必要である。
金属製ロールの表面にエンボス模様を形成する方法としては、上述のように、公知の腐食法等、従来の方法を用いることができる。より具体的には、例えば、先ず、所定のエンボス模様(織物柄、木目導管模様等)のパターンをコンピュータ画面上で作成後、前記パターンの画像をエンボス版のシリンダーの円周長でエンドレスになるようエンドレスファイルを作成する。
かかるエンドレスファイルのエンボス模様データを、レジスト感光液を塗布した銅などの金属基材(エンボスシリンダー)上に、市販のレーザー刷版装置を用いて直接出力して焼き付ける。
次いで、シリンダーの現像、腐食、レジスト剥離を行うことにより、金属基材に所望のエンボス模様を付与することができる。なお、金属基材に付与するエンボス模様の表面粗さは限定されず、従来、金属基材(エンボスシリンダー)にエンボス模様を付与する場合と同じでよい。なお、金属基材として、銅基材を用いる場合には、そのモース硬度は3程度(2〜4程度)であることが好ましい。
本発明の化粧シートの製造に用いられるエンボスロールの製造においては、上述のようにしてシリンダー上にエンボス模様を形成した後、さらにレンズ状凹凸模様を形成する。具体的には、シリンダー上に再度レジスト感光液を塗布し、好ましくは直径10〜180μm、より好ましくは直径15〜80μmの微細円形パターンを、レーザー刷版装置を用いて焼き付ける以外は、上述のエンボス模様の形成方法と同様にして、レンズ状凹凸模様を有するエンボス版を製造することができる。微細円形パターンの直径が上記範囲内であると、エッチングによりレンズ形状の曲面が形成しやすい。
本発明はまた、基材上に、少なくとも、印刷層と、透明樹脂層とを順に有する積層シートの透明樹脂層側の最表面の少なくとも一部に、凹部がレンズ形状である凹凸模様を有するエンボス版を用いて、凸部がレンズ形状である凹凸模様を転写する化粧シートの製造方法をも提供する。
本発明に係る化粧シートの製造方法における凹部がレンズ形状である凹凸模様を有するエンボス版の製造方法や凸部がレンズ形状である凹凸模様の転写方法は、上述と同様である。
シリンダー面長1400mm、円周930mm、表面材質「炭素鋼S25C」の金属製ロールの表面に公知の腐食法により、レーザー刷版装置を用いて木目模様(最大版深200μm)のエンボス模様を付した。該エンボス模様上に、再度レジスト材料を全面に塗布し、上述と同様にして直径40μmの円形が円充填状に形成されている非レジスト部を形成し、版深20μmの腐食を行い、凹レンズ形状を形成した。その後、エンボスロール表面に、艶有り仕様の硬質クロムメッキ(硬栄鍍金工業株式会社製)を施し、厚さ30μmのクロム層を積層し、エンボスロールAを得た。
エンボスロールAの表面を、マイクロスコープ(キーエンス製)を用いて観察し、最表面全体の面積に対する、レンズ形状の底部の円が占める面積の比率を測定したところ、全面積の95%に亘って凹レンズ形状が形成されていた。
製造例1と同様にして、金属ロールの表面にエンボス模様を付した。該エンボス模様上に投射材料として、粒径300〜355μmのホワイトアルミナ粒子(#46、株式会社不二製作所社製)を用い、40×10−2MPa(3〜5kgf/cm2)の範囲に制御された圧力で、2秒/cm2にて均一にブラスト処理を行った。その後、エンボスロール表面に、艶有り仕様の硬質クロムメッキを施し、厚さ30μmのクロム層を積層し、エンボスロールBを得た。
製造例1と同様にして、金属ロールの表面にエンボス模様を付した。その後、エンボスロール表面に、艶有り仕様の硬質クロムメッキを施し、厚さ30μmのクロム層を積層し、エンボスロールCを得た。
基材として、着色ポリプロピレン系樹脂フィルム(厚み80μm)を用意した。この表面及び裏面にコロナ放電処理を施した後、表面にウレタン系プライマー層を設け、さらに木目柄絵柄層をグラビア印刷により形成した。次いで、前記絵柄層の上に2液硬化型ウレタン樹脂からなる塗液を塗工して接着層(厚み3μm)を形成した。さらに、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体からなるポリプロピレン系熱可塑性エラストマーをTダイで溶融押し出し塗工することによって、透明樹脂層(厚み60μm)を形成した。透明樹脂層の上に、アクリル−ウレタンブロック重合体(主剤)と、ヘキサメチレンジイソシアネート(硬化剤)とからなる2液硬化型ウレタン系樹脂を塗工し、プライマー層(厚さ2μm)を形成した。
この化粧シートについて、グロスメーターを使用し、JIS K 7105に準拠して60°グロス値を測定したところ、1.3〜1.6グロスであり、良好なグロスマット効果が確認された。
実施例1において、エンボスロールAに代えてエンボスロールBを用いた以外は同様にして化粧シートBを得た。この化粧シートBについて、60°グロス値を測定したところ、5.0〜5.5グロスであった。
実施例1において、エンボスロールAに代えてエンボスロールCを用いた以外は同様にして化粧シートBを得た。この化粧シートCについて、60°グロス値を測定したところ、9.0〜11.0グロスであった。
Claims (9)
- 基材上に、少なくとも印刷層を有する化粧シートであって、該化粧シートは最表面の少なくとも一部にレンズ状凹凸模様を形成してなり、前記レンズ状凹凸模様の各レンズ形状は、底部が互いに線で接している化粧シート。
- 基材上に、少なくとも、印刷層と、透明樹脂層とを順に有する化粧シートであって、該化粧シートの該透明樹脂層側の最表面の少なくとも一部に前記レンズ状凹凸模様を形成してなる請求項1に記載の化粧シート。
- 前記透明樹脂層側の最表面にエンボス模様を有し、該エンボス模様の凹部、凸部及び斜面部分の少なくともいずれかに前記レンズ状凹凸模様を形成してなる請求項2に記載の化粧シート。
- 基材上に、少なくとも、印刷層と、透明樹脂層とを順に有し、該透明樹脂層上に、さらに表面保護層を有する化粧シートであって、該化粧シートの該表面保護層側の最表面の少なくとも一部に前記レンズ状凹凸模様を形成してなる請求項1に記載の化粧シート。
- 前記レンズ形状が最表面全体の面積の70〜97%を覆ってなる請求項1〜4のいずれかに記載の化粧シート。
- 前記レンズ状凹凸模様の各レンズ形状の直径が150μm以下である請求項1〜5のいずれかに記載の化粧シート。
- 前記レンズ状凹凸模様の各レンズ形状の高さが5〜100μmである請求項1〜6のいずれかに記載の化粧シート。
- 前記レンズ状凹凸模様の各レンズ形状を円充填状に配列してなる請求項1〜7のいずれかに記載の化粧シート。
- 基材上に、少なくとも印刷層を有する化粧シートの最表面の少なくとも一部に、凹部がレンズ形状である凹凸模様を有するエンボス版を用いて、凸部がレンズ形状である凹凸模様を転写することにより、各レンズ形状の底部が互いに線で接するように凹凸模様を形成する化粧シートの製造方法。
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