JP6915391B2 - ステータ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
そして、カップ状のヨークの開口側はブラケットにより閉塞されている。なお、このブラケットには、回転軸を突出させるための孔が形成されており、この構成により、回転軸の出力側端部は、出力側へと突出できるように構成されている。また、ヨークの底部とブラケットの孔部付近には、軸受が配設されており、これらの軸受によって回転軸は回転可能に支持されることとなる。また、ブラケットには、ブラシが配置されており、このブラシの径方向内側端部が整流子に摺接するように構成されている。これにより、外部電源に接続されたブラシから、整流子へと電流が供給される。そして、整流子による整流により電流方向が切り替えられる電機子と、界磁用のマグネットとの相互作用によって、この電機子は回転し、ロータとして機能する。
このため、磁気回路を構築するために、ヨークの肉厚を所定以上確保する必要がある。
しかしながら、従来のヨークは、磁気回路として必要な肉厚を素材板厚として絞ることにより製造されるため、磁気回路として必要の無い部分の肉厚もまた、磁気回路として必要な部分と同様の肉厚に形成される。つまり、磁気回路として必要の無い部分の肉厚が大きくなることとなる。
このため、素材費用が大きくなるとともに、ヨークの質量が大きくなるという問題があった。
よって、このような問題を解決するための技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
本技術においては、回転子鉄心は、カップ状のフレーム(ヨークに相当)に囲繞されており、このフレーム(ヨークに相当)の円筒部外側面には、リング状の補助フレームが配置されている。
このように構成されていることで、全体としては、肉厚の小さいフレームを作成し、磁気回路として肉厚を大きくする必要がある部分は、補助フレーム(補助ヨーク)を巻装することにより、磁気回路として必要な肉厚を確保することができる。
このような従来技術において、補助フレーム(以下、「補助ヨーク」と記す)は、カップ状のフレーム(以下、「メインヨーク」と記す)に圧入や接着によって嵌合固定されている。
しかしながら、圧入により補助ヨークをメインヨークに取付ける方法では、圧入による力によって、メインヨークが変形し、メインヨークの内径が変化してしまうという問題があった。
また、圧入時の力により、メインヨークや補助ヨークのメッキが剥がれるという問題があった。
更に、補助ヨークを圧入するためには、メインヨークの内外径を高精度に仕上げる必要があり、製造コストが高くなる。また、同様に、補助ヨークの内外径精度も要求され、製造コストが高くなる。
また、接着により補助ヨークをメインヨークに取付ける方法では、密着力の低さから、補助ヨークが脱落してしまう問題があった。更に、接着剤のはみ出しにより、外観不良が発生する問題があった。
この他には、溶接や絞りによる取付けがあるが、前者では、熱影響によるメインヨーク内径の変化やスポット部の腐食といった問題があり、後者では、材料の異方性によるメインヨーク内径の精度の悪化やブランク位置決め精度の高難度化といった問題があった。また、後者では、補助ヨークとメインヨークとの間に加工油溜りが発生するという問題もあった。
このような状況下、メインヨークの内径を変化させることなく、高すぎる内外径精度が要求されることのない技術の開発が求められていた。
また、本発明の他の目的は、メインヨークや補助ヨークの内外径の精度要求を低減し、製造コスト的に有利なステータ及びその製造方法を提供することにある。
これにより、補助ヨークの配置において、圧入等による物理的に大きな力がかからず、メインヨークに影響が及ぶこと(内径が変化する、メッキ剥がれ等)を有効に防止することができる。
また、溶接よる化学的な力による影響(熱変性、腐食、異方性変化)もまた有効に防止でき、絞りによる油溜りの慮もなくなる。同様に接着の際に懸念される脱落や外観不良の慮もなくなる。
また、係合する構成であるため、メインヨークや補助ヨークの内外径の精度要求を低減でき、製造コスト的に有利である。
更に、具体的な適用構成としては、前記凹部の開口部の軸方向距離は、内部の軸方向距離よりも小さくなるように形成されており、前記凸部の先端部側は、前記凹部の内部に配置されるとともに、前記凸部の先端は、前記凹部の内部を規定する周縁部の一部に圧接しており、前記凸部の基端部側は、前記凸部の先端部側よりも軸方向距離が小さくなるように構成されるとともに、前記凹部の開口部に配置されていると好適である。
このように構成されていると、係合した後に、凹部から凸部が離脱することを有効に防止することができ、確実かつ効率的に係合させることが可能となる。
そして、このとき、具体的な構成としては、前記回動かしめ部は、平板状の作用部と、該作用部の一方点と前記補助ヨーク本体部の一端部とを連結する一方側連結部と、前記作用部の他方点と前記補助ヨーク本体部の他端部とを連結する他方側連結部と、を備え、前記他方点は、前記作用部の中心に対して、前記一方点と点対称の位置に形成されると好適である。
このように構成されていると、回動かしめ部を回動させるのみで、補助ヨークをメインヨークに装着することができる。
よって、上記凸部と凹部の係合と同様の各種作用効果を奏することができる。
界磁用マグネットにおいて、当該箇所は、磁路として活用しない場所であり、当該箇所に、凸部と凹部の係合部分、若しくは回動かしめ部を配置することで、磁気損失の影響を受けないため好適である。
このとき、前記挿入工程及び前記圧接工程は、2つの分割金型の間に形成される収容空間内に、前記メインヨーク及び前記メインヨークの外周壁面に巻き付けられた前記補助ヨークを収容した状態で行われ、前記収容空間内の前記メインヨーク及び前記補助ヨークを、前記2つの分割金型によって挟み込んで前記メインヨークの径方向に加圧することで、前記凹部に対して前記凸部を挿入して前記凹部に前記凸部を係合させると、好適である。
このように、分割された2つの金型の間にメインヨーク及び補助ヨークを挟み込んでメインヨークの径方向に加圧することにより、簡単に補助ヨークをメインヨークの外周壁面に巻き付けることができるとともに、凸部を凹部に容易に係合させることが可能となる。
また、上記の方法において、前記凸部には、吸収孔が形成されており、前記圧接工程では、前記吸収孔を変形させることにより、前記凹部内で前記凸部の先端部分を変形させて前記凹部に前記凸部を係合すると好適である。
このように、帯状の補助ヨークを巻き付け、凸部と凹部とを周方向に突き合わせるとともに、両者を係合させることで補助ヨークを装着する構成とした。
このため、上記同様の作用効果を奏することができる。
また、圧接工程では、凸部の先端を凹部に圧接させて、凹部を変形させながら(潰しながら)凹部に係合させる。このため、周方向に力を加えるのみで係合させることができる。また、圧接工程後は凸部は凹部内部で変形しているため(潰れているため)、凹部から凸部が離脱することを有効に防止することができる。
このように、簡易かつ確実に凸部を凹部に係合させることができる。
また、凸部の先端部に吸収孔が形成されているため、圧接工程にて凸部を変形させる(潰す)際に、この吸収孔がクッションとなり、凸部が割れることを防止することができるとともに、この吸収孔が形成されていることで、凸部を変形させる(潰す)ための力を小さくすることができる。
このように構成されていることで、回動かしめ部を回動させるのみで、メインヨークに補助ヨークを簡易に装着することができ、上記と同様の各作用効果を奏することができる。
そして、この際、圧入、溶接、絞り、接着等が不要である。つまり、物理的に大きな力の影響や化学的な影響を受けることを防止することができる。
このため、メインヨークの内径変化、メッキ剥がれ、熱変性、腐食、異方性変化、油溜り、補助ヨークの脱落、外観不良等を有効に防止することができる。
また、係合する構成、若しくは回動かしめ部を回動させて補助ヨークの径を調整する構成であるため、メインヨークや補助ヨークの内外径の精度要求が低減され、製造コスト的にも有利である。
なお、以下に説明する構成は本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
本実施形態は、補助ヨークを装着するにあたり、メインヨークに対する物理的影響を軽減するとともに、簡易に補助ヨークの装着を実施することができるステータとその製造方法について説明するものである。
図2乃至図7は、第1実施形態を示すものであり、図2は第1ステータの縦断面相当図、図3は第1ステータの斜視図、図4は図1のA−A線断面図及び平面図、図5は第1補助ヨークの取付部分を示す説明図、図6は第1補助ヨークの取付部分のサイズ構成を示す説明図、図7は第1補助ヨークの取付部分の変形例を示す図、図8は第1ステータの製造工程を示す説明図、図9は第1ステータの製造工程に関するバリエーションを示す図である。
なお、図2は、第1ステータの説明のため、ステータとマグネットのみを示し、その他の図示は省略している。
図10乃至図12は、第2実施形態を示すものであり、図10は第2ステータを示す斜視図、図11は第2補助ヨークの回動かしめ部を示す説明図である。また、図12には、この回動かしめ部の機能を詳細に説明する説明図を示した。
<モータの概略構成について>
当該例示したモータMは、直流モータである。以下、モータMの構成について簡単に説明する。
本実施形態に係るモータMは、ロータ1と、第1ステータ2と、エンドプレート3と、ブラシ4と、を組み合わせることにより構成されている。
なお、モータMの出力側とは、モータMの動力が伝達されていく側であり、図1においては、向かって左側を指す。また、基端部側とは、回転軸11の軸方向に沿って、出力側と反対側を指すものとする。
電機子12は、回転軸11と一体回転可能に組付けられるものであり、ロータコア12Aと、このロータコア12Aに巻装されるコイル12Bと、を有して構成されている。
円筒形状の整流子13は、回転軸11に固定されるが、この固定位置は、電機子12によりも出力側であり、回転軸11と一体的に回転可能である。
そして、電機子12を構成するコイル12Bは、整流子13(正確には、外周に貼設された整流子片)と電気的に接続されている。
メインヨーク21のカップ形状底面部分の中央部には、基端部方向に突出するカップ形状の軸受配設部21Aが形成されている。なお、この軸受配設部21A以外の部分を「メインヨーク本体部21B」と記す。
この軸受配設部21Aの内部には、円環状のボール軸受K1が配置されており、このボール軸受K1により、回転軸11の基端部側端部が回転可能に軸支されている。
また、界磁用のマグネット23は、瓦型の永久磁石であり、メインヨーク本体部21Bの内側壁に複数個(極数に対応する個数)貼設されている。なお、本例においては、4極を例示しているため、4個のマグネット23が使用されている。
第1補助ヨーク22は、円環形状の磁性体であり、メインヨーク本体部21Bの外側面(外周壁面に相当)に巻き付くように配置され、メインヨーク21の磁気回路としての役割を補強するものである。
なお、このメインヨーク21への第1補助ヨーク22の取付構造等に関しては、本発明の主要構成であるため、後に詳述する。
このエンドプレート3の中央部には、回転軸11の出力側を貫通させるための貫通孔(図示せず)が形成されており、この貫通孔の内壁面には、円環状のボール軸受K2が配置されている。このボール軸受K2により、回転軸11の出力側が回転可能に軸支されている。
更に、エンドプレート3の基端部側の面には、ブラシ4が配置されている。
このブラシ4は、角柱状の部材であり、径方向中央側の端部が整流子13の外側面(正確には、外周に貼設された整流子片)に当接するように構成されている。
そして、この状態において、回転軸11の基端部側端部及び出力側端部は、ボール軸受K1,K2により回転可能に軸支されるとともに、エンドプレート3の出力側面に配置されたブラシ4は、整流子13の外側面に当接している。
なお、第1ステータ2を構成するメインヨーク本体部21Bの内側面には、界磁用のマグネット23が貼設されており、このマグネット23は、電機子12の外側面と対面するように構成されている。
そして、この第1ステータ2は、メインヨーク21と第1補助ヨーク22とを組合わせて1個のヨークとしたものであり、本例においては、メインヨーク21の外側面に円環状の第1補助ヨーク22が配設された構成となっている。
なお、本実施形態においては、第1補助ヨーク22が、メインヨーク21の外側面に配置された構成を説明するが、もちろん、これに限られることはなく、メインヨーク21の内側面(内周壁面に相当)に円環状の第1補助ヨーク22が配置された構成とし、この第1補助ヨーク22の内側面にマグネット23が配設される構成としてもよい。
しかしながら、製造における作業性等を鑑みると、第1補助ヨーク22は、メインヨーク21の外側面に配置される構成がより好適な構成である。
図3乃至図7により、本実施形態に係る第1補助ヨーク22の構造について説明する。
本実施形態に係る第1補助ヨーク22は、長方形帯状の板状体を環状に丸めることにより構成された円筒状の部材である。
本実施形態に係る第1補助ヨーク22は、図3に示すように、第1補助ヨーク本体部22Aと、第1補助ヨーク凸部22Bと、第1補助ヨーク凹部22Cと、を有して構成されている。
第1補助ヨーク本体部22Aは、長方形状(帯状)の板体であり、環状に丸めることにより円筒形状となる部分である。
なお、以下、説明のため、長方形状の第1補助ヨーク本体部22Aの長辺を「長辺221」と記し、短辺を「短辺222」と記す。
長辺221は、メインヨーク本体部21Bの外側面の胴回りの長さと略同じ長さとなるように構成されている。
第1補助ヨーク凸部22Bは、一方の短辺222から、長辺221が延びる方向へと突出した突起である。なお、本実施形態において、第1補助ヨーク凸部22Bの先端部分は、当初、円弧状に形成されている。
そして、第1補助ヨーク凸部22Bには、図5に示すように、吸収孔H1が形成(厳密には、中抜き形成)されている。
後述するが、この吸収孔H1は、第1補助ヨーク凸部22Bを第1補助ヨーク凹部22C内で変形するときに逃げ孔となる部分である。
なお、本実施形態において、図3に示すように、第1補助ヨーク凸部22Bは、軸方向に並列するように3個形成されている。
本実施形態において、第1補助ヨーク凹部22Cは、図5に示すように、挿入部223と変形部224とを有して構成されている。
挿入部223は、第1補助ヨーク凹部22Cの開口により近い第1孔部に相当し、他方の短辺222から切り込まれた矩形の孔部である。変形部224は、第2孔部に相当し、挿入部223よりも第1補助ヨーク凹部22Cの開口から離れており、挿入部223と連通する矩形孔部である。
そして、挿入部223の軸方向距離(開口幅)は、第1補助ヨーク凸部22B基端部の軸方向距離(軸方向長さ)とほぼ同等となるように構成されるとともに、変形部224の軸方向距離よりも小さくなるように構成されている。
つまり、第1補助ヨーク凹部22Cは、入口側(一方の短辺222端部側)が狭い孔部(挿入部223)であって、奥側が広い孔部(変形部224)となるように、長辺221が延びる方向に沿って穿たれた(一方の短辺222から他方の短辺222に向かって穿たれた)スリット状の孔部である。より詳しく説明すると、図5に示すように、挿入部223と変形部224との間には、L字状の段差225が形成されている。
なお、本実施形態においては、図3に示すように、第1補助ヨーク凹部22Cが軸方向に並列するように3個形成されており、第1補助ヨーク本体部22Aを環状に丸めて両短辺222,222を合わせた際に、3個の第1補助ヨーク凸部22Bが、3個の第1補助ヨーク凹部22Cの位置に整合するように位置が決定されている。
好適には、図4の(b)に示すように、上記の突き合せ部分が、周方向においてマグネット23が配設された範囲内に位置しているのが望ましい。
また、第1補助ヨーク凸部22Bと第1補助ヨーク凹部22Cとの係合位置は、マグネット23の重心位置と径方向に整合する位置であると更に望ましい。
本実施形態においては、3個の第1補助ヨーク凸部22Bと3個第1補助ヨーク凹部22Cとが係合しているため、軸方向中央に位置する第1補助ヨーク凸部22Bと第1補助ヨーク凹部22Cとが係合する位置が、マグネット23の重心位置と径方向に整合する位置に配置されている。
また、第1補助ヨーク凸部22Bと第1補助ヨーク凹部22Cとが係合する位置が1個の場合には、この1個の係合位置が、マグネット23の重心位置と径方向に整合する位置に配置されることが望ましい。
これは、マグネット23において、当該箇所は、磁路として活用しない場所であり、磁気損失の影響を受けないため、当該位置を第1補助ヨーク凸部22Bと第1補助ヨーク凹部22Cとの係合位置のひとつとしたものである。
図5(a)に示すように、第1補助ヨーク凸部22Bを第1補助ヨーク凹部22Cへと挿入する。
なお、図6に示すように、第1補助ヨーク凸部22Bの長さt2(長辺221が延びる方向の距離)は、第1補助ヨーク凹部22Cの同方向の長さt1よりも若干大きくなるように構成されている。
このため、第1補助ヨーク凸部22Bの先端部分が、第1補助ヨーク凹部22Cの底辺部に当接した状態では、図5(b)に示すように、一方の短辺222と他方の短辺222との間には、若干の間隙Kが形成されることとなる。
この間隙Kの幅Δtは、Δt2−Δt1となっている。
そして、図6に示すように、挿入部223の軸方向距離t3と、第1補助ヨーク凸部22Bの軸方向距離t4とほぼ同等となるように構成されている(長さt3≒長さt4)。
このように構成されているため、この図5(b)に示す状態では、挿入部223に第1補助ヨーク凸部22Bに基端部側が保持されることとなるが、本実施形態では、第1補助ヨーク凸部22Bを第1補助ヨーク凹部22Cに対し、より強く係合するために、図5(b)の状態から更に矢印方向に力を加える。
もちろん、第1補助ヨーク凸部22Bを挿入部223に挿入し易くする観点から、挿入部223の軸方向距離t3を第1補助ヨーク凸部22bの軸方向距離t4よりも若干大きくしてもよい。
そして、同時に、第1補助ヨーク凸部22Bの先端部分が、第1補助ヨーク凹部22Cに圧接し、図5(c)に示すように第1補助ヨーク凸部22Bの先端部が第1補助ヨーク凹部22Cの変形部224内部で変形する。
このとき、変形部224の軸方向距離t5は、第1補助ヨーク凸部22Bの軸方向距離t4よりも大きくなるように構成されているため、この差分が変形代となって、第1補助ヨーク凸部22Bの先端が第1補助ヨーク凹部22C内で変形する。換言すれば、第1補助ヨーク凸部22Bの先端が押し潰される。
このとき、第1補助ヨーク凸部22Bの先端部に形成された吸収孔H1が変形することにより、第1補助ヨーク凸部22Bが、加えられる力で破損することを有効に防止することができる。
以上のように、本実施形態においては、変形部224内で第1補助ヨーク凸部22Bの先端部分が軸方向に押し拡げられるように潰れ、これにより、第1補助ヨーク凸部22Bの先端部分の軸方向距離が挿入部223の軸方向距離t3よりも大きくなる。換言すると、第1補助ヨーク凸部22Bの先端部には、当該先端部分が潰れることで軸方向距離が長くなるように拡がった拡がり部226が設けられるようになる。この拡がり部226の軸方向両端が、図5(c)に示すように、変形部224の軸方向両端に位置する縁面に圧接することで第1補助ヨーク凸部22Bが第1補助ヨーク凹部22Cに係合する。これにより、第1補助ヨーク凸部22Bを第1補助ヨーク凹部22Cに確実かつ高い強度で係合することが可能となる。
以上のように、第1補助ヨーク凸部22Bの先端が変形部224内に圧接することにより、第1補助ヨーク凸部22Bが挿入部223から抜けるのを有効に防止することができる。
なお、上記の係合構造は、メインヨーク21の内側面に沿って第1補助ヨーク22を配置する構成においても同様であり、かかる構成では、メインヨーク21の内側面よりも径方向中心側で第1補助ヨーク凸部22Bを第1補助ヨーク凹部22Cに係合させることになる。
次いで、図8により、本実施形態に係る第1ステータ2の製造方法について説明する。
上記説明及び図8(a)に示すように、第1補助ヨーク22は、当初、長方形の帯状板体で構成されており、一方の短辺には、3個の第1補助ヨーク凸部22Bが形成されるとともに、他方の短辺には、3個の第1補助ヨーク凹部22Cが形成されている。
そして、図8(b)に示す配置工程では、この帯状の第1補助ヨーク22の第1補助ヨーク本体部22Aをメインヨーク本体部21Bの外側面に巻き付ける。
このとき、第1補助ヨーク凸部22Bと第1補助ヨーク凹部22Cとが周方向に突き合うように巻き付ける。
次いで、図8(b)の矢印で示すように、挿入工程において、第1補助ヨーク凸部22Bを第1補助ヨーク凹部22Cに挿入する(図5(a)も参照)。
次いで、図8(c)に示す圧接工程では、周方向への力Fを更に加え、第1補助ヨーク凸部22Bの先端を、第1補助ヨーク凹部22Cの変形部224の内縁に押し当てて、当該第1補助ヨーク凸部22Bの先端部を変形させる。
そして、最終的には、第1補助ヨーク凸部22Bの先端部分が、第1補助ヨーク凹部22Cの変形部224内部で変形して(換言すると、拡がり部226を形成して)、変形部224の軸方向両端の縁面に圧接するようになる。これにより、第1補助ヨーク凸部22Bが第1補助ヨーク凹部22Cに確実かつ高い強度で係合される(図5(b)→図5(c)も参照)。
このようにして、メインヨーク21に第1補助ヨーク22が組付けられる。
このとき、拡がり部226において第1補助ヨーク凸部22Bの基端部側に位置する表面が、挿入部223と変形部224との間の段差225に密接(密着)していれば、第1補助ヨーク凸部22Bと第1補助ヨーク凹部22Cとの係合状態を更に強固に保持することが可能となる。
また、本実施形態においては、第1補助ヨーク22をメインヨーク本体部21Bの外側面に巻設する構成としたため、マグネット23は、メインヨーク本体部21Bの内側面に配設されるが、この配設方法としては、接着剤での接着、溶接等、どのような方法で実行されてもよい。
次いで、図9により、本実施形態に係る第1ステータ2の製造方法に関するバリエーションについて説明する。
なお、図9の(c)〜(e)に図示の工程は、後述する2つの分割金型S1,S2を用いて行われるが、図9の(c)〜(e)では説明の都合上、分割金型S1,S2の図示を省略している。また、図9の(c)〜(e)には、第1補助ヨーク22の取付部分の拡大図を併せて図示している。
バリエーションに係る第1ステータ2の製造方法では、図9(a)に示すように、上下に二分割された成形用金型(分割金型S1,S2)の間にメインヨーク21及び第1補助ヨーク22を挟み込みながら両ヨークを径方向に加圧することでメインヨーク21の外側面に第1補助ヨーク22を配置する。
より詳しく説明すると、配置工程において、帯状の第1補助ヨーク22の第1補助ヨーク本体部22Aをメインヨーク本体部21Bの外側面に巻き付ける。その後、図9(b)に示すように、第1補助ヨーク22が巻き付けられたメインヨーク21を、2つの分割金型S1,S2の間に形成される略円柱状の収容空間内に収容する。そして、メインヨーク21及び第1補助ヨーク22を収容空間内に収容したままの状態で、2つの分割金型S1,S2によって両ヨークを挟み込みながら径方向に加圧して挿入工程及び圧接工程を行う。
これにより、図9(c)に示すように、第1補助ヨーク凸部22Bの先端部が挿入部223を通じて第1補助ヨーク凹部22C内に挿入され、変形部224に圧接して変形し、拡がり部226を形成する。
その後、さらにメインヨーク21及び第1補助ヨーク22を径方向に加圧すると、図9(d)に示すように、両ヨークが縮径すると共に、第1補助ヨーク凸部22Bの先端部が更に押し潰れて変形部224の軸方向距離に相当する長さまで拡がり部226が拡がる。
以上の工程を経ると、メインヨーク21が元の径まで復元しようとする一方で、第1補助ヨーク22は、メインヨーク21からの押圧に抗して縮径状態を維持しようとする。このため、第1補助ヨーク凸部22Bには第1補助ヨーク凹部22Cから抜けようとする力が作用する。このとき、図9(e)に示すように、拡がり部226が挿入部223及び変形部224の間の段差225によって係止される。これにより、第1補助ヨーク凸部22Bと第1補助ヨーク凹部22Cとの係合状態が強固に保持されるようになる。
次いで、図10乃至図12により、第2実施形態について説明する。
本例に係る第2ステータ102は、上記第1実施形態に比して、第1補助ヨーク22の形状が、第2補助ヨーク6に変更されたもので、他は同様である。
第2補助ヨーク6は、図10に示したように、第2補助ヨーク本体部6Aと、回動かしめ部6Bと、を備えて構成されている。
第2補助ヨーク本体部6Aは、長方形状(帯状)の板体であり、環状に丸めることにより円筒形状となる部分である。
なお、以下、説明のため、長方形状の第2補助ヨーク本体部6Aの長辺を「長辺106」と記し、短辺を「短辺206」と記す。
この長辺106は、メインヨーク本体部21Bの外面の胴回りの長さよりも若干短くなるように構成されている。
作用部61は、矩形平板状に形成されており、この外周の一点である一方点P1から一方の短辺206へと亘るように一方連結部62が延びており、この外周の一点である他方点P2から他方の短辺206へと亘るように他方連結部63が延びている。
なお、この一方点P1と他方点P2は、作用部61の中心に対して点対称の位置に形成される。
このように構成されているため、作用部61に黒矢印方向の回転力を加えると、第2補助ヨーク本体部6Aの短辺206,206の周方向距離が縮まることとなる。
よって、初期状態において、第2補助ヨーク6の内周を、(t6−t7)分、メインヨーク本体部21Bの外周よりも大きく形成しておき、初期状態の第2補助ヨーク6に、メインヨーク本体部21Bを挿入し、作用部61に黒矢印方向の回転力を加えることで、メインヨーク本体部21Bの外周に第2補助ヨーク6を取付けることができる。
なお、図12に、模式的に回動かしめ部6Bの機能を示した。
図12の(a)→(b)→(c)のルートでは、上記のように、第2補助ヨーク本体部6Aの短辺206,206の周方向距離が、t6からt7に縮まるが、作用部61に対して反対方向の回転力を加えることにより、第2補助ヨーク本体部6Aの短辺206,206の周方向距離を、t6からt8に広げることもできる。
このように、本例では、第2補助ヨーク6が着脱可能となるとともに、微調整もまた容易に行うことができる。
つまり、初期状態において、第2補助ヨーク6の内周を、(t8−t6)分、メインヨーク本体部21Bの内周よりも小さく形成しておき、初期状態の第2補助ヨーク6を、メインヨーク本体部21Bに挿入し、作用部61に図12(d)の黒矢印方向の回転力を加えることで、メインヨーク本体部21Bの内周に第2補助ヨーク6を取付けることができる。
更に、第2ステータ102の製造方法としては、以下のようになる。
まず、初期状態の第2補助ヨーク6(短辺206,206が回動かしめ部6Bで連結されて円筒形状となっている状態である)に、メインヨーク本体部21Bを挿入する(若しくは、メインヨーク本体部21Bに第2補助ヨーク6を挿入する)配置工程を行う。
次いで、作用部61を回動させて、第2補助ヨーク本体部6Aの短辺206,206の周方向距離を縮める(若しくは引き離す)ことにより、第2補助ヨーク6をメインヨーク本体部21Bの外周壁面(若しくは内周壁面)に圧接させる圧接工程を行う。
なお、第2ステータ102を形成するにあたり、マグネット23を配置する工程等は、上記第1実施形態と同様であるため、説明は省略する。
次に、上述したステータ製造方法の応用例として、分割コア型ステータ7の製造方法について図13乃至図17を参照しながら説明する。図13は、分割コア型ステータ7の模式平面図、図14は、巻きヨーク72の斜視図、図15は、分割コア型ステータ7の製造工程を示す説明図、図16及び図17は、巻きヨーク72のバリエーションを示す図である。
なお、図14には、分割コア71の外側面に巻き付けられた状態の巻きヨーク72を図示しているが、図示の都合上、同図では分割コア71の図示を省略している。
従来、分割コア型ステータ7は、コア片71Aを周方向に沿って環状に並べて分割コア71を仮組みした後、予め円筒状に成形された巻きヨーク72を仮組みした分割コア71に対して圧入することで構成されていた。しかしながら、このような手順では、仮組みした分割コア71に対して巻きヨーク72を圧入する際に分割コア71が崩れてしまう(厳密には、コア片71Aの連結状態が解けてしまう)虞がある。
これに対して、上述した第1補助ヨーク22や第2補助ヨーク6と同様の構造を巻きヨーク72に採用すれば、仮組みした分割コア71の外側面に巻きヨーク72を無理なく組み付けることができ、分割コア型ステータ7を容易に組み立てることが可能となる。
また、凸部72Bは、上述の第1補助ヨーク凸部22Bと同様の構造であり、凹部72Cは、上述の第1補助ヨーク凹部22Cと同様の構造である。
より詳しく説明すると、先ず、図15(a)に示すように、コア片71Aを周方向に沿って環状に並べて分割コア71を仮組みする。このとき、コア中心(コア片71Aの内側面に接する位置)に円柱状の治具Tを配置し、この治具Tの外周面周りにコア片71Aを配置すれば、コア片71Aを円環状に容易に配置することが可能となる。
その後、図15(b)に示すように、巻きヨーク72の巻きヨーク本体部72Aを仮組みされた分割コア71の外側面に巻き付ける。このとき、コア中心に上述の治具Tを配置し続けることで、分割コア71の真円度を良好に保ちながら巻きヨーク72を巻き付けることができる。
その後、圧接工程を行い、図5(b)に図示の手順と同じ手順にて、凸部72Bの先端を凹部72Cの変形部224の内縁に押し当てて、当該凸部72Bの先端部を押し潰す。これにより、図5(c)に図示した状況と同様、凸部72Bの先端部が凹部72Cの変形部224内で変形して拡がり部226を形成し、変形部224の軸方向両端の縁面に圧接するようになる。これにより、凸部72Bが凹部72Cに確実かつ高い強度で係合される。このようにして巻きヨーク72が分割コア71に組み付けられる。
なお、圧縮工程では、巻きヨーク本体部72Aが径方向中心側に引っ張られるため、巻きヨーク本体部72Aの内側に位置するコア片71Aが径方向中心側に押圧される。これにより、各コア片71Aが円柱状の治具Tの外周面に押し付けられ、結果として分割コア71の真円度を更に向上させることが可能になる。
図17に図示の方法では、予め円筒状に丸められた巻きヨーク本体部72A内に分割コア71を挿入(厳密には、緩挿)してから、巻きヨーク本体部72Aの内径を分割コア71の外側面の径まで縮径させて巻きヨーク72を分割コア71に組み付ける。
第1延出部72Dは、途切れ部72Gの周方向一端から他端に向かって延出した矩形状の部分である。第2延出部72Eは、途切れ部72Gの周方向他端から一端に向かって延出した矩形状の部分である。第1延出部72D及び第2延出部72Eは、対称的に配置されており、軸方向においては互いに離れており、周方向において一部分が重なる位置にある。
また、第1延出部72Dの先端と途切れ部72Gの周方向他端との間、及び、第2延出部72Eの先端と途切れ部72Gの周方向一端には、それぞれ隙間Qが形成されている。これら2つの隙間Qの幅(周方向における長さ)は、互いに同じ長さとなっている。
そして、巻きヨーク72を分割コア71に取り付ける際には、図17の(b)に示すように、巻きヨーク本体部72Aの内径を上記の隙間Qに応じた分だけ縮ませることになる。つまり、隙間Qが消滅することで途切れ部72Gの周方向長さが短くなり、その分、巻きヨーク本体部72Aの内径が縮むようになる。
以上のような構造の巻きヨーク72によれば、仮組み状態の分割コア71に対して無理なく(分割コア71を崩すことなく)組み付けることが可能となる。
4・・ブラシ、
11・・回転軸、12・・電機子、12A・・ロータコア、12B・・コイル、
13・・整流子、
21・・メインヨーク、21A・・軸受配設部、21B・・メインヨーク本体部、
22・・第1補助ヨーク、
22A・・第1補助ヨーク本体部、
221,106・・長辺、222,206・・短辺(一端部、他端部)、
22B・・第1補助ヨーク凸部、H1・・吸収孔、H2・・緩衝孔、
22C・・第1補助ヨーク凹部、
223・・挿入部(第1孔部)、224・・変形部(第2孔部)、
225・・段差、226・・拡がり部、
23・・マグネット、
102・・第2ステータ、
6・・第2補助ヨーク、
6A・・第2補助ヨーク本体部、6B・・回動かしめ部、
61・・作用部、62・・一方連結部、63・・他方連結部、
7・・分割コア型ステータ、
71・・分割コア、71A・・コア片、72・・巻きヨーク、
72A・・巻きヨーク本体部、72B・・凸部、72C・・凹部、
72D・・第1延出部、72E・・第2延出部、72F・・中央連結部、
72G・・途切れ部、
P1・・一方点、P2・・他方点、
Q・・隙間、
K1,K2・・ボール軸受、
S1,S2・・分割金型、T・・冶具
Claims (6)
- 回転電機を構成し、回転軸に固定された電機子を格納する有底筒状のステータであって、
該ステータは、
有底筒状のメインヨークと、
該メインヨークの外周壁面若しくは内周壁面に配置された帯状の補助ヨークと、
前記メインヨークの内部において、前記電機子の外側面と径方向に対向するように配置された界磁用マグネットと、を備えて構成され、
前記補助ヨークは、前記メインヨークの外周壁面若しくは内周壁面の周方向に沿って配置されており、
前記補助ヨークの一端部には、少なくとも1個の凸部が形成され、
前記補助ヨークの他端部には、前記補助ヨークが前記周方向に沿って前記メインヨークの外周壁面若しくは内周壁面に配置された状態で前記周方向において前記凸部と対向して係合している少なくとも1個の凹部が形成されており、
前記凹部の一部には、前記凸部が圧接した状態で係合しており、
前記凹部は、該凹部の開口により近い第1孔部と、該第1孔部よりも前記開口から離れており前記第1孔部と連通した第2孔部と、を有し、
前記第1孔部の軸方向距離は、前記第2孔部の軸方向距離よりも小さく、
前記凸部の先端部には、前記凸部の先端部が押し潰れて軸方向距離が長くなるように拡がった拡がり部が設けられており、
前記凸部は、前記拡がり部において前記凸部の基端部側に位置する表面が前記第1孔部と前記第2孔部との間に形成された段差に密接した状態で前記凹部に係合していることを特徴とするステータ。 - 前記凹部の開口部の軸方向距離は、内部の軸方向距離よりも小さくなるように形成されており、
前記凸部の先端部側は、前記凹部の内部に配置されるとともに、前記凸部の先端は、前記凹部の内部を規定する周縁部の一部に圧接しており、
前記凸部の基端部側は、前記凸部の先端部側よりも軸方向距離が小さくなるように構成されるとともに、前記凹部の開口部に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のステータ。 - 前記凸部の近傍及び前記凹部の近傍のうち少なくとも一方側には、緩衝孔が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のステータ。
- 前記凸部及び前記凹部は、前記界磁用マグネットの重心位置と径方向に整合する位置近傍に少なくとも備えられていることを特徴とする請求項1に記載のステータ。
- 有底筒状のメインヨークと、該メインヨークの外周壁面若しくは内周壁面に配置された帯状の補助ヨークと、前記メインヨークの内部において、電機子の外側面と径方向に対向するように配置された界磁用マグネットと、を備えて構成され、回転軸に固定された前記電機子を格納するステータを製造する方法であって、
一端部に少なくとも1個の凸部が形成されるとともに、他端部に前記凸部と係合する少なくとも1個の凹部が形成された帯状の補助ヨークを、前記メインヨークの外周壁面若しくは内周壁面に沿わせながら、前記メインヨークの外周壁面及び内周壁面の周方向に沿って前記凸部と前記凹部とが突き合うように丸める配置工程と、
前記凹部に対し、前記凸部を挿入する挿入工程と、
前記凹部の一部である周端部に前記凸部の先端部を圧接させて前記凸部を変形させることにより、前記凹部に前記凸部を係合させる圧接工程と、を行い、
前記挿入工程及び前記圧接工程は、2つの分割金型の間に形成される収容空間内に、前記メインヨーク及び前記メインヨークの外周壁面に巻き付けられた前記補助ヨークを収容した状態で行われ、
前記収容空間内の前記メインヨーク及び前記補助ヨークを、前記2つの分割金型によって挟み込んで前記メインヨークの径方向に加圧することで、前記凹部に対して前記凸部を挿入して前記凹部に前記凸部を係合させることを特徴とするステータの製造方法。 - 前記凸部には、吸収孔が形成されており、
前記圧接工程では、前記吸収孔を変形させることにより、前記凹部内で前記凸部の先端部分を変形させて前記凹部に前記凸部を係合することを特徴とする請求項5に記載のステータの製造方法。
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