(第一実施形態)
以下、本発明に係る試験装置の第一実施形態として、自動車等に搭載される二次電池(負荷)の充放電特性の試験を行う試験装置について説明する。図1は、試験装置1の概略構成図である。
図1に示すように、試験装置1は、操作表示部20、インターフェイス部30、記憶部40、電源部90、検出部50、及び制御部10を備えている。また、試験装置1は、電線PLを介して試験対象の二次電池L(負荷)と着脱可能に接続されている。
操作表示部20は、液晶ディスプレイ等の表示部21と、試験者に試験装置1の操作を行わせるための操作部22と、を備えている。操作部22は、表示部21に表示されたソフトキーのタッチ操作を行わせるための不図示のタッチパネル装置等を備えている。
インターフェイス部30は、制御部10がLAN(Local Area Network)やインターネット等のネットワークを介してパソコン等の外部装置と通信するための不図示の通信インターフェイス回路を備えている。
また、インターフェイス部30は、USB(Universal Serial Bus)メモリー等の外部記憶装置が着脱可能な不図示のコネクター及び制御部10が当該コネクターに装着された外部記憶装置と通信するための不図示の外部インターフェイス回路を備えている。
記憶部40は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の記憶装置によって構成されている。
電源部90は、所定の最大電流値以下の電流を出力可能なZ(≧1)個の電源装置91〜9Zと、切替部901(第一合流部)と、を備えている。第一実施形態では、Z個の電源装置91〜9Zは全て同じ構成であるものとする。以下、Z個の電源装置91〜9Zを代表して、電源装置91の構成について説明する。
電源装置91は、所定の第一最大電流値M11以下の電流を出力可能な第一電源回路911と、第一最大電流値M11以上の所定の第二最大電流値M12以下の電流を出力可能な第二電源回路912と、を備えている。第一実施形態では、第一最大電流値M11が「5A」であるとし、第二最大電流値M12が「45A」であるとする。
第一及び第二電源回路911、912は、公知の定電流回路によって構成され、制御部10によって設定された電流値の電流を出力する。また、第一及び第二電源回路911、912は、各自の最大電流値「5A」、「45A」に近い電流値の電流を出力する場合に、最も応答速度が速く且つ精度が良くなるように最適化されている。
電源装置91は、第一電源回路911の出力電流と、第二電源回路912の出力電流と、を合流部91x(第二合流部)で合流させ、当該合流させた電流を電源装置91の出力電流として出力する構成となっている。つまり、電源装置91の最大電流値Mは、第一最大電流値M11「5A」と第二最大電流値M12「45A」との和が示す「50A」となっている。
切替部901は、各電源装置91〜9Zの出力電流を合流させる不図示の合流部と、当該合流部で合流させた電流を二次電池Lに向かう方向又はその逆方向に出力するための不図示の二つの電流経路を備えている。また、切替部901は、制御部10による制御の下、各電源装置91〜9Zの出力電流を合流させた電流の出力先を、上記二つの電流経路の何れか一方に切り替える不図示の切替スイッチを備えている。
つまり、切替部901は、各電源装置91〜9Zの出力電流を合流させた電流を試験電流とし、制御部10による制御の下、切替スイッチによって当該試験電流の出力先を上記二つの電流経路の何れか一方に切り替える。
これにより、切替部901は、二次電池Lに向かう方向(以下、+方向)に試験電流を出力することで試験電流を二次電池Lに入力し、又は、二次電池Lに向かう方向とは逆方向(以下、−方向)に試験電流を出力することで試験電流を二次電池Lに出力させる。以下、試験電流を二次電池Lに入力する、又は、試験電流を二次電池Lに出力させることを、試験電流を二次電池Lに入出力させると記載する。
検出部50は、不図示の電圧センサー及び電流センサーを備えている。当該電圧センサーは、電線PLに印加されている二次電池Lの出力電圧の電圧値を検出し、検出した電圧値を制御部10へ出力する。当該電流センサーは、電線PLに流れる二次電池Lの出力電流の電流値を検出し、検出した電流値を制御部10へ出力する。
制御部10は、試験装置1の各部の動作を制御する。具体的には、制御部10は、所定の演算処理を実行する不図示のCPU(Central Processing Unit)、所定の制御プログラムが記憶されたEEPROM等の不図示の不揮発性メモリー、データを一時的に記憶するための不図示のRAM(Random Access Memory)、現在日時を計時する不図示のタイマー回路、及びこれらの周辺回路等を備えている。
制御部10は、不揮発性メモリー等に記憶された制御プログラムをCPUに実行させることにより、受付部11、装置設定部12、回路設定部13及び実行部14として動作する。
受付部11は、試験の実行指示を受け付ける。
具体的には、試験者は、試験を実行する場合、操作表示部20を用いて、試験パターンファイルが記憶されているパソコンやUSBメモリー等の記憶装置の記憶領域を示すアドレス情報を入力後、試験の実行指示を入力する。試験パターンファイルとは、一以上の試験を実行順に定義した試験パターンが記載された電子ファイルである。
受付部11は、上記実行指示が入力されると、インターフェイス部30を用い、上記アドレス情報が示す記憶領域から試験パターンファイルを取得し、当該取得した試験パターンファイルをRAMに記憶する。これにより、受付部11は、当該試験パターンファイルに記載された試験パターンで定義されている各試験の実行指示を受け付ける。
以下、試験パターンについて説明する。図2(A)は、試験電流を二次電池Lに入力する試験パターンの一例を示す図である。試験電流を二次電池Lに入力する試験パターンは、図2(A)に示すように、試験パターンを識別するための識別情報(第一列欄)と、当該試験パターンに含まれる各試験の実行順(第二列欄)と、各試験のモード(第三列欄)と、各試験の実行時間(第四列欄)と、各試験で用いる試験電流の電流値(以下、試験電流値)(第五列欄)と、試験電流の出力方向(第六列欄)と、を対応付けた表で定義される。
例えば、実行順「1」が示す一番目に行う試験では、モード「定電流」の試験を実行時間「H11」の間実行し、当該試験では試験電流値「I11」の試験電流を「+」方向に出力することが定義されている。尚、モード「定電流」は、定電流モードの試験を示している。定電流モードの試験とは、試験者によって指定された試験電流値の試験電流を二次電池Lに入出力させる試験である。即ち、当該試験では、試験電流値「I11」の試験電流を二次電池Lに向かう「+」方向に実行時間「H11」の間出力することで、当該試験電流を二次電池Lに入力する試験を実施することが定義されている。
図2(B)は、試験電流を二次電池Lに出力させる試験パターンの一例を示す図である。試験電流を二次電池Lに出力させる試験パターンは、図2(B)に示すように、図2(A)と同様の表で定義され、試験電流の出力方向(第六列欄)が「−」方向を示している点が異なっている。例えば、実行順「1」が示す一番目に行う試験では、電流値「I21」の試験電流を二次電池Lに向かう「+」方向とは逆の「−」方向に実行時間「H21」の間出力することで、当該試験電流を二次電池Lに出力させる試験を実施することが定義されている。
このように、受付部11は、試験電流を二次電池Lに入出力させる試験パターンが記載された試験パターンファイルをRAMに記憶することで、当該試験パターンに含まれる各試験で用いる試験電流値の指定を受け付ける。
また、受付部11は、指定された電力値(以下、試験電力値)の電力(以下、試験電力)を二次電池Lに給電する又は放電させる試験の実行指示を受け付け可能となっている。
図2(C)は、試験電力を二次電池Lに放電させる試験パターンの一例を示す図である。試験電力を二次電池Lに放電させる試験パターンは、図2(C)に示す表で定義される。つまり、図2(A)及び図2(B)とは、第三列欄の各試験のモードの内容が異なっている。また、第五列欄において、各試験で用いる試験電流値に代えて、各試験で用いる試験電力値を定義する点が異なっている。また、第六列欄において、試験電力の供給方向を定義し、第七列欄において、試験電力を二次電池Lに給電する又は放電させるときの二次電池Lの電圧値を示す負荷電圧値を定義する点が異なっている。
例えば、実行順「1」が示す一番目に行う試験では、モード「定電力」の試験を実行時間「H31」の間実行し、当該試験では試験電力値「P31」の試験電力を「−」方向に供給することが定義されている。尚、モード「定電力」は、定電力モードの試験を示している。定電力モードの試験とは、試験者によって指定された試験電力値の試験電力を二次電池Lに給電する又は二次電池Lに放電させる試験である。即ち、当該試験では、実行時間「H31」の間、電力値「P31」の試験電力を二次電池Lに向かう方向とは逆の「−」方向に供給することで、当該試験電力を二次電池Lに放電させる試験を実施することが定義されている。
一方、試験電力を二次電池Lに給電する試験パターンは、図2(C)と同様の表で定義され、試験電力の供給方向(図2(C)の第六列欄)が「+」である点だけが異なる。
このように、受付部11は、試験電力を二次電池Lに給電する又は放電させる試験パターンが記載された試験パターンファイルをRAMに記憶することで、試験電流値に代えて、当該試験パターンに含まれる各試験で用いる試験電力値の指定を受け付ける。
図1に参照を戻す。装置設定部12は、受付部11が受け付けた試験電流値又は試験電力値と各電源装置91〜9Zの最大電流値M1〜MZとに基づき、電流を出力させる対象の一以上の電源装置である対象電源装置と、各対象電源装置に出力させる電流の電流値である個別電流値と、を設定する。尚、第一実施形態では、各電源装置91〜9Zの最大電流値M1〜MZは全て同じであるので、以下では、各電源装置91〜9Zの最大電流値M1〜MZを最大電流値Mと記載する。
具体的には、装置設定部12は、所定の第二電流値I2によって試験電流値Isを除算した結果を示す商(=Is/I2)を小数点以下で切り上げ、当該切り上げ後の商を対象電源装置の台数Nとする。これにより、装置設定部12は、台数Nの電源装置91〜9Nを対象電源装置として設定する。尚、電源装置91〜9Zは同構成であるので、装置設定部12は、電源装置91〜9Nとは他の台数Nの電源装置を対象電源装置として決定してもよい。
また、第一実施形態では、第二電流値I2は、最大電流値Mの半分「25A」以上且つ最大電流値M「50A」以下に予め定められ、不揮発性メモリー等に記憶されているものとする。ただし、これに限らず、第二電流値I2は、最大電流値Mの半分「25A」未満であってもよい。
そして、装置設定部12は、台数Nによって試験電流値Isを除算した結果を示す商(=Is/N)を、各対象電源装置9n(n=1〜N)の個別電流値Irn(n=1〜N)として設定する。
例えば、受付部11が受け付けた試験電流値Isが「80A」であり、第二電流値I2が「45A」であるとする。この場合、装置設定部12は、第二電流値I2「45A」によって試験電流値Is「80A」を除算した結果を示す商(=1.7・・・)を小数点以下で切り上げた後の商である「2」を対象電源装置の台数Nとする。これにより、装置設定部12は、台数N「2」の電源装置91、92を対象電源装置とする。そして、装置設定部12は、台数N「2」によって試験電流値Is「80A」を除算した結果を示す商(=40A)を、各対象電源装置91、92の個別電流値Ir1、Ir2とする。
回路設定部13は、各対象電源装置9nの個別電流値Irnが、所定の第一電流値I1以下である場合、当該個別電流値Irnを、当該対象電源装置9nの第一電源回路9n1に出力させる電流の電流値Irn_1として設定する。この場合、回路設定部13は、当該対象電源装置9nの第二電源回路9n2に出力させる電流の電流値Irn_2を「0A」に設定し、当該第二電源回路9n2に電流を出力させない。
尚、第一実施形態では、第一電流値I1は、第一最大電流値M11の半分「2.5A」以上且つ第一最大電流値M11「5A」以下に予め定められ、不揮発性メモリー等に記憶されているものとする。ただし、これに限らず、第一電流値I1は、第一最大電流値M11の半分「2.5A」未満であってもよい。
例えば、対象電源装置91の個別電流値Ir1が「3A」であり、第一電流値I1が「5A」であったとする。この場合、回路設定部13は、対象電源装置91の個別電流値Ir1「3A」が第一電流値I1「5A」以下であるので、当該個別電流値Ir1「3A」を対象電源装置91の第一電源回路911に出力させる電流の電流値Ir1_1として設定する。
一方、各対象電源装置9nの個別電流値Irnが第一電流値I1よりも大きいとする。この場合、回路設定部13は、各対象電源装置9nが備える第一電源回路9n1の第一最大電流値Mn1「5A」及び各対象電源装置9nが備える第二電源回路9n2の第二最大電流値Mn2「45A」によって、当該個別電流値Irnをそれぞれ比例配分する。そして、回路設定部13は、当該比例配分によって得られた各電流値「Irn×5A/(5A+45A)」、「Irn×45A/(5A+45A)」を、第一電源回路9n1及び第二電源回路9n2のそれぞれに出力させる電流の電流値Irn_1、Irn_2として設定する。
例えば、対象電源装置91の個別電流値Ir1が「30A」であり、第一電流値I1が「5A」であったとする。この場合、回路設定部13は、対象電源装置91の個別電流値Ir1「30A」が第一電流値I1「5A」よりも大きいので、第一最大電流値M11「5A」及び第二最大電流値M12「45A」によって当該個別電流値Ir1「30A」をそれぞれ比例配分して得られる各電流値「3A(=30A×5A/(5A+45A))」、「27A(=30A×45A/(5A+45A))」を、対象電源装置91の第一電源回路911及び第二電源回路912のそれぞれに出力させる電流の電流値Ir1_1、Ir1_2として設定する。
実行部14は、RAMに記憶されている試験パターンファイルに記載の試験パターンを参照し、当該試験パターンで定義されている各試験を実行順に実行する。また、実行部14は、各試験の実行中に検出部50により検出された二次電池Lの出力電圧の電圧値及び出力電流の電流値を順次記憶部40に記憶する。
以下では、試験装置1の動作について説明する。図3は、第一実施形態における試験装置1の動作を示すフローチャートである。
図3に示すように、受付部11によって試験の実行指示が受け付けられると(S1)、装置設定部12は、RAMに記憶されている試験パターンファイルに記載の試験パターンを参照し、実行対象の試験が定電流モードの試験であるか否かを判定する(S2)。
例えば、図2(A)に示す試験パターンが記載された試験パターンファイルがRAMに記憶されていたとする。また、当該試験パターンで定義されている何れの試験も実行されておらず、実行対象の試験が実行順「1」の試験であるとする。この場合、装置設定部12は、実行順「1」の試験で行う試験の種類を示すモードが「定電流」であるので、当該試験が定電流モードの試験であると判定する(S2;YES)。
一方、図2(C)に示す試験パターンが記載された試験パターンファイルがRAMに記憶されており、また、実行対象の試験が実行順「1」の試験であるとする。この場合、装置設定部12は、実行順「1」の試験で行う試験の種類を示すモードが「定電力」であるので、当該試験が定電力モードの試験であると判定する(S2;NO)。
装置設定部12は、実行対象の試験が定電力モードの試験であると判定した場合(S2;NO)、ステップS2で参照した試験パターンで定義されている負荷電圧値VLによって、当該試験パターンで定義されている、当該試験の試験電力値Psを除算した結果を示す商(=Ps/VL)を当該試験で用いる試験電流値Isとする(S3)。
例えば、図2(C)に示す試験パターンが記載された試験パターンファイルがRAMに記憶されており、また、実行対象の試験が実行順「1」の試験であるとする。この場合、装置設定部12は、当該試験パターンで定義されている負荷電圧値VL「V3」によって、実行順「1」の試験の試験電力値Ps「P31」を除算する。そして、装置設定部12は、当該除算結果を示す商(=P31/V3)を当該試験で用いる試験電流値Isとする。
装置設定部12は、ステップS2で実行対象の試験が定電流モードの試験であると判定した後(S2;YES)、及び、ステップS3の実行後、上述のように、第二電流値I2によって実行対象の試験の試験電流値Isを除算した結果を示す商(=Is/I2)を小数点以下で切り上げ、当該切り上げ後の商を対象電源装置の台数Nとする。これにより、装置設定部12は、台数Nの電源装置91〜9Nを対象電源装置として設定する(S4)。
そして、装置設定部12は、ステップS4で算出した台数Nによって、試験電流値Isを除算した結果を示す商(=Is/N)を、各対象電源装置9nの個別電流値Irnとして設定する(S5)。
次に、回路設定部13は、各対象電源装置9nの個別電流値Irnが第一電流値I1以下であるか否かを判定する(S6)。回路設定部13は、各対象電源装置9nの個別電流値Irnが第一電流値I1以下であると判定した場合(S6;YES)、当該個別電流値Irnを、各対象電源装置9nの第一電源回路9n1に出力させる電流の電流値Irn_1として設定する。また、回路設定部13は、各対象電源装置9nの第二電源回路9n2に出力させる電流の電流値Irn_2を「0A」に設定する(S7)。
一方、回路設定部13は、各対象電源装置9nの個別電流値Irnが第一電流値I1よりも大きいと判定した場合(S6;NO)、第一最大電流値Mn1及び第二最大電流値Mn2によって当該個別電流値Irnをそれぞれ比例配分して得られる各電流値「Irn×Mn1/(Mn1+Mn2)」、「Irn×Mn2/(Mn1+Mn2)」を、対象電源装置9nの第一電源回路9n1及び第二電源回路9n2のそれぞれに出力させる電流の電流値Irn_1、Irn_2として設定する(S8)。
そして、実行部14は、装置設定部12により設定された各対象電源装置9nの第一電源回路9n1及び第二電源回路9n2のそれぞれに、回路設定部13により設定された電流値Irn_1、Irn_2の電流の出力を開始させる。また、実行部14は、検出部50により検出された二次電池Lの出力電圧の電圧値及び出力電流の電流値を順次記憶部40に記憶する処理を開始する。これにより、実行部14は、実行対象の試験を開始する(S9)。
そして、実行部14は、RAMに記憶されている試験パターンファイルに記載の試験パターンを参照し、ステップS9で試験を開始した後、当該試験パターンで定義されている当該試験の実行時間が経過していない間は(S10;NO)、当該試験をそのまま継続する。
その後、実行部14は、当該試験の実行時間が経過すると(S10;YES)、ステップS9で開始した各対象電源装置9nの第一電源回路9n1及び第二電源回路9n2の出力を停止させ、参照中の試験パターンにおいて、当該試験の次の実行順の試験が存在するか否かを判定する(S11)。
実行部14は、次の実行順の試験が存在すると判定した場合(S11;YES)、当該次の実行順の試験を実行対象の試験とし、処理をステップS2に移行する。一方、実行部14は、次の実行順の試験が存在しないと判定した場合(S11;NO)、所定の終了処理を終了後、処理を終了する。尚、終了処理には、検出部50により検出された二次電池Lの出力電圧の電圧値及び出力電流の電流値を記憶する処理を終了する処理、RAMに記憶されている試験パターンファイルを削除する処理等が含まれる。
以下、第一実施形態の構成における各試験の実行例について図4を用いて説明する。図4は、第一実施形態における各試験の試験電流値Isと各電源回路の出力電流の電流値との関係の一例を示す図である。
以下の説明では、第一電流値I1は「5A」、第二電流値I2は「45A」であるとする。また、図4に示すように、ステップS4(図3)の実行直前において、実行順「1」〜「3」の各試験で用いる試験電流値Isは、「3A」、「30A」、「80A」であるとする。
(1)実行順「1」の試験を実行するときは、試験電流値Is「3A」を第二電流値I2「45A」で除算した結果を小数点以下で切り上げた後の商「1」が、対象電源装置の台数Nとされる。そして、台数N「1」の電源装置91が対象電源装置として設定される(S4)。また、試験電流値Is「3A」を台数N「1」で除算した結果「3A」が、対象電源装置91の個別電流値Ir1として設定される(S5)。
個別電流値Ir1「3A」は、第一電流値I1「5A」以下であるので(S6;YES)、図4に示すように、対象電源装置91の第一電源回路911の出力電流の電流値Ir1_1は、個別電流値Ir1「3A」に設定され、第二電源回路912の出力電流の電流値Ir1_2は、「0A」に設定される(S7)。
(2)実行順「2」の試験を実行するときは、試験電流値Is「30A」を第二電流値I2「45A」で除算した結果を小数点以下で切り上げた後の商「1」が対象電源装置の台数Nとされる。そして、台数N「1」の電源装置91が対象電源装置として設定される(S4)。また、試験電流値Is「30A」を台数N「1」で除算した結果「30A」が、対象電源装置91の個別電流値Ir1として設定される(S5)。
個別電流値Ir1「30A」は、第一電流値I1「5A」よりも大きい(S6;NO)。このため、図4に示すように、対象電源装置91の第一及び第二電源回路911、912のそれぞれの出力電流の電流値Ir1_1、Ir1_2は、第一最大電流値M11「5A」及び第二最大電流値M12「45A」によって個別電流値Ir1「30A」を比例配分して得られる「3A」、「27A」に設定される(S8)。
(3)実行順「3」の試験を実行するときは、試験電流値Is「80A」を第二電流値I2「45A」で除算した結果を小数点以下で切り上げた後の商「2」が対象電源装置の台数Nとされる。そして、台数N「2」の電源装置91、92が対象電源装置として設定される(S4)。また、試験電流値Is「80A」を台数N「2」で除算した結果「40A」が、対象電源装置91、92の個別電流値Ir1、Ir2として設定される(S5)。
個別電流値Ir1、Ir2「40A」は、第一電流値I1「5A」よりも大きい(S6;NO)。このため、図4に示すように、対象電源装置91の第一及び第二電源回路911、912のそれぞれの出力電流の電流値Ir1_1、Ir1_2は、第一最大電流値M11「5A」及び第二最大電流値M12「45A」によって個別電流値Ir1「40A」を比例配分して得られる「4A」、「36A」に設定される。同様に、対象電源装置92の第一及び第二電源回路921、922のそれぞれの出力電流の電流値Ir2_1、Ir2_2も、「4A」、「36A」に設定される(S8)。
第一実施形態の構成によれば、以下に示す効果が得られる。
(1)第一実施形態の構成によれば、試験電流値Is及び各電源装置9nの最大電流値Mnとに基づき、対象電源装置と各対象電源装置9nに出力させる電流の電流値である個別電流値Irnとが設定される。このため、試験者は、従来のような対象電源装置及び当該対象電源装置9nの個別電流値Irnを指定する手間をかけずに、試験電流を二次電池Lに入出力させる試験を迅速に実施することができる。
また、第一及び第二電源回路9n1、9n2を備える電源装置9nが対象電源装置として設定され、当該対象電源装置9nの個別電流値Irnが第一最大電流値Mn1以下の所定の第一電流値I1以下である場合は、第一電源回路9n1のみによって個別電流値Irnの電流が出力される。
このため、第一電源回路9n1のみによって出力可能な個別電流値Irnの電流を当該対象電源装置9nに出力させるために、第一及び第二電源回路9n1、9n2が各自の最大電流値Mn1、Mn2からかけ離れた小さい電流値の電流を出力する虞を軽減することができる。これにより、第一及び第二電源回路9n1、9n2が最適化された状態ではない、応答速度及び出力精度の低下した状態で、電流を出力する虞を軽減することができる。その結果、精度の良い試験が実施できなくなる虞を軽減することができる。
一方、当該対象電源装置9nの個別電流値Irnが第一電流値I1よりも大きい場合、第一及び第二電源回路9n1、9n2の最大電流値Mn1、Mn2によって個別電流値Irnを比例配分して得られる各電流値Irn_1、Irn_2の電流が第一及び第二電源回路9n1、9n2によってそれぞれ出力される。
このため、第一及び第二電源回路9n1、9n2が電流を出力するときの動作負荷が均一となり、各電源回路9n1、9n2の応答速度及び出力精度が均一となる。これにより、第一及び第二電源回路9n1、9n2の出力電流を合流させた試験電流の電流値が試験電流値Isになるまでの応答時間を短縮し、且つ、滑らかに変化する精度の良い試験電流を二次電池Lに入出力させることができる。その結果、精度の良い試験を実施することができる。
(2)第一実施形態の構成によれば、第一及び第二電源回路9n1、9n2を備える電源装置9nが対象電源装置として設定された場合に、当該電源装置9nの個別電流値Irnが第一電流値I1の下限値である第一最大電流値Mn1の半分以下であるときは、第二電源回路9n2に電流を出力させず、第一電源回路9n1のみに電流を出力させることができる。
これにより、第一電流値I1の下限値である第一最大電流値Mn1の半分以下の個別電流値Irnを当該電源装置9nに出力させるために、第一及び第二電源回路9n1、9n2が各自の最大電流値Mn1、Mn2からかけ離れた小さい電流値の電流を出力する虞を軽減することができる。その結果、第一及び第二電源回路9n1、9n2が応答速度及び出力精度の低下した状態で電流を出力する虞を軽減することができる。
(3)第一実施形態の構成によれば、試験電流値Isを第二電流値I2で除算した結果を示す商を小数点以下で切り上げるだけで、迅速に対象電源装置の台数Nを算出することができる。これにより、当該台数Nの対象電源装置を迅速に設定することができる。また、当該台数Nによって試験電流値Isを除算するだけで、当該設定された各対象電源装置9nの個別電流値Irnを迅速に算出することができる。
また、各対象電源装置9nの個別電流値Irnは、試験電流値Isを第二電流値I2で除算した結果以上の値によって試験電流値Isを除算した結果を示す商であるため、必ず第二電流値I2以下となる。つまり、本構成によれば、各対象電源装置9nの個別電流値Irnが、第二電流値I2の上限値である当該各対象電源装置9nの最大電流値よりも大きい値にならないよう、各対象電源装置9nの個別電流値Irnを適切に設定することができる。
(4)上述のように、対象電源装置の台数Nは、試験電流値Isを第二電流値I2で除算した結果を小数点以下で切り上げた値となる。つまり、第二電流値I2が大きい程、対象電源装置の台数Nは少なくなる。また、対象電源装置の個別電流値Irnは、対象電源装置の台数Nによって試験電流値Isを除算した結果として算出されるので、対象電源装置の台数Nが少ない程、当該個別電流値Irnは大きくなる。
第一実施形態の構成によれば、第二電流値I2が各電源装置9nの最大電流値Mnの半分以上且つ当該最大電流値Mn以下であるので、第二電流値I2が当該最大電流値Mnの半分未満である場合に比して、対象電源装置の台数Nを少なくすることができる。これにより、第二電流値I2が上記最大電流値Mnの半分未満である場合に比して、対象電源装置の個別電流値を大きくすることができる。その結果、第二電流値I2が上記最大電流値Mnの半分未満である場合に比して最適な状態に近い状態で、各対象電源装置9nに個別電流値Irnの電流を出力させることができる。
(5)第一実施形態の構成によれば、試験電流値Isに代えて試験電力値Psが指定された場合でも、当該指定された試験電力値Psを所定の負荷電圧値VLで除算した結果を試験電流値Isとし、当該試験電流値Isの試験電流を二次電池Lに入出力させる試験を実施することができる。つまり、当該試験電流値Isの試験電流を、負荷電圧値VLの電圧で動作すると考えられる二次電池Lに入出力させることで、当該試験電流値Isと負荷電圧値VLとの積が示す試験電力値Psの電力を当該二次電池Lに給電する又は放電させる試験を実施することができる。
以上の通り、第一実施形態の構成によれば、試験電流を二次電池Lに入出力(充放電)させる試験を迅速且つ精度良く実施することができる。
(第二実施形態)
第一実施形態では、電源部90が、同構成の複数の電源装置91〜9Zを備え、各電源装置9nが第一電源回路9n1及び第二電源回路9n2を備える構成であった。しかし、これに代えて、電源部90が、互いに最大電流値の異なる複数の電源装置を備え、また、各電源装置がそれぞれ異なる数の電源回路を備えていてもよい。
第二実施形態では、上記構成を代表して、電源部90が、最大電流値がそれぞれ「50A」、「100A」、「150A」の三台の電源装置91、92、93を備える構成について説明する。また、当該電源装置91は、最大電流値がそれぞれ「0.5A」、「4.5A」、「45A」の三台の電源回路911、912、913を備えているものとする。当該電源装置92は、最大電流値が「100A」の電源回路921のみ備え、当該電源装置93は、最大電流値が「150A」の電源回路931のみ備えているものとする。
第二実施形態では、第一実施形態で説明したステップS4〜S8(図3)に代えて、図5に示すステップS21〜S28が行われる。図5は、第二実施形態における試験装置1の動作を示すフローチャートである。
先ず、装置設定部12は、ステップS21〜S23によって、試験電流値Isと各電源装置91〜93の最大電流値に基づき、対象電源装置を一台ずつ順次設定する。
具体的には、装置設定部12は、対象電源装置として既に設定した電源装置(以下、設定済電源装置)の最大電流値の総和Z2と、所定の第二比率R2と、の積(=Z2×R2)を算出し、当該算出した積を第二電流値I2として設定する(S21)。尚、第二比率R2は、1以下の値に定められ、予め不揮発性メモリー等に記憶されている。そして、装置設定部12は、試験電流値Isが第二電流値I2以下であるか否かを判定する(S22)。
装置設定部12は、試験電流値Isが第二電流値I2よりも大きいと判定した場合は(S22;NO)、設定済電源装置を除いた電源装置91〜93の中で最大電流値が最小の電源装置(以下、最小電源装置)を対象電源装置として設定した後(S23)、ステップS21を繰り返す。その後、装置設定部12は、試験電流値Isが第二電流値I2以下であると判定すると(S22;YES)、対象電源装置9nの設定を終了する。
次に、装置設定部12は、ステップS24によって、各対象電源装置9nの個別電流値Irnを設定する。具体的には、ステップS24において、装置設定部12は、各対象電源装置9nの最大電流値Mnによって、試験電流値Isを比例配分する。そして、装置設定部12は、当該比例配分によって得られた各電流値(=Is×Mn/Z2)を、各対象電源装置9nの個別電流値Irnとして設定する(S24)。
次に、回路設定部13は、各対象電源装置9nについて、ステップS25〜S27を行うことにより、各対象電源装置9nの個別電流値Irnと、各対象電源装置9nが備える各電源回路9nk(k≧1)の最大電流値Mnkと、に基づき、各対象電源装置9nにおいて電流を出力させる対象の一以上の電源回路(以下、対象電源回路)を一台ずつ順次設定する。
具体的には、ステップS25において、回路設定部13は、ある一台の対象電源装置9nについて、当該対象電源装置9nの対象電源回路として既に設定した電源回路(以下、設定済電源回路)の最大電流値の総和Z1と、所定の第一比率R1と、の積(=Z1×R1)を算出する。そして、回路設定部13は、当該算出した積を第一電流値I1として設定する(S25)。尚、第一比率R1は、1以下の値に定められ、予め不揮発性メモリー等に記憶されている。そして、回路設定部13は、当該対象電源装置9nの個別電流値Irnが第一電流値I1以下であるか否かを判定する(S26)。
回路設定部13は、個別電流値Irnが第一電流値I1よりも大きいと判定した場合(S26;NO)、当該対象電源装置9nが備える電源回路9nkのうち、設定済電源回路を除いた電源回路9nkの中で、最大電流値が最小の電源回路(以下、最小電源回路)を、対象電源回路として設定した後(S27)、ステップS25を繰り返す。
一方、回路設定部13は、当該対象電源装置9nの個別電流値Irnが第一電流値I1以下であると判定した場合(S26;YES)、当該対象電源装置9nについての対象電源回路の設定を終了する。
そして、対象電源回路の設定を終了していない対象電源装置9nが存在する場合(S28;NO)、回路設定部13は、ステップS25に戻って、他の一台の対象電源装置9nについて、対象電源回路の設定を行う(S25〜S27)。そして、全ての対象電源装置9nについての対象電源回路の設定を終了すると(S28;YES)、回路設定部13は、各対象電源装置9nについて、ステップS29を行うことにより、各対象電源装置9nの各対象電源回路9nkに出力させる電流の電流値Irn_kを設定する。
具体的には、回路設定部13は、ステップS29において、ある一台の対象電源装置9nの各対象電源回路9nkの最大電流値Mnkによって、当該対象電源装置9nの個別電流値Irnを比例配分する。そして、回路設定部13は、当該比例配分によって得られた各電流値(=Irn×Mnk/Z1)を、当該対象電源装置9nの各対象電源回路9nkに出力させる電流の電流値Irn_kとして設定する(S29)。
そして、各対象電源回路9nkに出力させる電流の電流値Irn_kの設定を終了していない対象電源装置9nが存在する場合(S30;NO)、回路設定部13は、ステップS29に戻って、他の一台の対象電源装置9nの各対象電源回路9nkに出力させる電流の電流値Irn_kを設定する(S29)。そして、全ての対象電源装置9nについて、各対象電源回路9nkに出力させる電流の電流値Irn_kの設定が終了すると(S30;YES)、ステップS9が行われる。
以下、第二実施形態の構成における試験の実行例について図6を用いて説明する。図6は、第二実施形態における試験の試験電流値Isと各電源回路の出力電流の電流値との関係の一例を示す図である。尚、以下の説明では、第一比率及び第二比率が共に「0.9」であるとする。また、図6に示すように、ステップS21の実行直前で試験電流値Isが「180A」であったとする。
この場合、装置設定部12は、最初のステップS21では、設定済電源装置が存在しておらず、設定済電源装置の最大電流値の総和Z2が0であるので、第二電流値I2を0に設定する(S21)。この場合、試験電流値Is「180A」が第二電流値I2「0」より大きいので(S22;NO)、装置設定部12は、電源装置91〜93の中で最大電流値が最小の「50A」である最小電源装置91を対象電源装置として設定する(S23)。これにより、設定済電源装置は、電源装置91の一台となる。その結果、設定済電源装置の最大電流値の総和Z2が、電源装置91の最大電流値M1「50A」となる。
次に、装置設定部12は、再度ステップS21を実行し、設定済電源装置の最大電流値の総和Z2「50A」と第二比率R2「0.9」との積(=45A)を第二電流値I2とする(S21)。この場合、試験電流値Is「180A」が第二電流値I2「45A」より大きいので(S22;NO)、装置設定部12は、設定済電源装置91を除いた電源装置92、93の中で最大電流値が最小の「100A」である最小電源装置92を対象電源装置として設定する(S23)。これにより、設定済電源装置は、電源装置91と電源装置92の二台となる。その結果、設定済電源装置の最大電流値の総和Z2は、電源装置91の最大電流値M1「50A」と電源装置92の最大電流値M2「100A」との和である「150A」となる。
次に、装置設定部12は、再度ステップS21を実行し、設定済電源装置の最大電流値の総和Z2「150A」と第二比率R2「0.9」との積(=135A)を第二電流値I2とする(S21)。この場合、試験電流値Is「180A」が第二電流値I2「135A」より大きいので(S22;NO)、装置設定部12は、設定済電源装置91、92を除いた電源装置93の中で最大電流値が最小の「150A」である最小電源装置93を対象電源装置として設定する(S23)。これにより、設定済電源装置は、電源装置91、電源装置92、及び電源装置93の三台となる。その結果、設定済電源装置の最大電流値の総和Z2は、電源装置91の最大電流値M1「50A」と電源装置92の最大電流値M2「100A」と電源装置93の最大電流値M3「150A」との和である「300A」となる。
次に、装置設定部12は、再度ステップS21を実行し、設定済電源装置の最大電流値の総和Z2「300A」と第二比率R2「0.9」との積(=270A)を第二電流値I2とする(S21)。この場合、試験電流値Is「180A」が第二電流値I2「270A」以下になったので(S22;YES)、装置設定部12は、対象電源装置9nの設定を終了する。
そして、装置設定部12は、ステップS24を実行し、各対象電源装置91、92、93の個別電流値Ir1、Ir2、Ir3を設定する。具体的には、装置設定部12は、当該ステップS24において、各対象電源装置91、92、93の最大電流値M1「50A」、M2「100A」、M3「150A」によって、試験電流値Is「180A」を比例配分する。そして、装置設定部12は、当該比例配分によって得られた各電流値「30A(=180A×50A/300A)」、「60A(=180A×100A/300A)」、「90A(=180A×150A/300A)」を、各対象電源装置91、92、93の個別電流値Ir1、Ir2、Ir3として設定する(S24)。
次に、回路設定部13は、各対象電源装置91、92、93について、ステップS25〜S27を行うことにより、各対象電源装置91、92、93の対象電源回路を設定する。
先ず、回路設定部13は、対象電源装置91についての対象電源回路の設定を行う。この場合、回路設定部13は、最初のステップS25では、設定済電源回路が存在しておらず、設定済電源回路の最大電流値の総和Z1が0であるので、第一電流値I1を0に設定する(S25)。この場合、対象電源装置91の個別電流値Ir1「30A」が第一電流値I1「0」より大きいので(S26;NO)、回路設定部13は、対象電源装置91が備える電源回路911〜913の中で、最大電流値が最小の「0.5A」である最小電源回路911を対象電源回路として設定する(S27)。これにより、設定済電源回路は、電源回路911の一台となる。その結果、設定済電源回路の最大電流値の総和Z1は、電源回路911の最大電流値M11「0.5A」となる。
次に、回路設定部13は、再度ステップS25を実行し、設定済電源回路の最大電流値の総和Z2「0.5A」と第一比率R1「0.9」との積(=0.45A)を第一電流値I1とする(S25)。この場合、対象電源装置91の個別電流値Ir1「30A」が第一電流値I1「0.45A」より大きいので(S26;NO)、回路設定部13は、設定済電源回路911を除いた電源回路912、913の中で最大電流値が最小の「4.5A」である最小電源回路912を対象電源回路として設定する(S27)。これにより、設定済電源回路は、電源回路911と電源回路912の二台となる。その結果、設定済電源回路の最大電流値の総和Z1は、電源回路911の最大電流値M11「0.5A」と電源回路912の最大電流値M12「4.5A」との和である「5A」となる。
次に、回路設定部13は、再度ステップS25を実行し、設定済電源回路の最大電流値の総和Z1「5A」と第一比率R1「0.9」との積(=4.5A)を第一電流値I1とする(S25)。この場合、対象電源装置91の個別電流値Ir1「30A」が第一電流値I1「4.5A」より大きいので(S26;NO)、回路設定部13は、設定済電源回路911、912を除いた電源回路913の中で最大電流値が最小の「45A」である最小電源回路913を対象電源回路として設定する(S27)。これにより、設定済電源回路は、電源回路911、電源回路912及び電源回路913の三台となる。その結果、設定済電源回路の最大電流値の総和Z1は、電源回路911の最大電流値M11「0.5A」と電源回路912の最大電流値M12「4.5A」と電源回路913の最大電流値M13「45A」との総和である「50A」となる。
次に、回路設定部13は、再度ステップS25を実行し、設定済電源回路の最大電流値の総和Z1「50A」と第一比率R1「0.9」との積(=45A)を第一電流値I1とする(S25)。この場合、対象電源装置91の個別電流値Ir1「30A」が第一電流値I1「45A」以下になったので(S26;YES)、回路設定部13は、対象電源装置91についての対象電源回路の設定を終了する。
そして、対象電源回路の設定を終了していない対象電源装置92、93が存在するので(S28;NO)、回路設定部13は、ステップS25に戻って、対象電源装置92について、対象電源回路の設定を行う。
回路設定部13は、対象電源装置92について行う最初のステップS25では、上記と同様、設定済電源回路が存在していないので、第一電流値I1を0とする(S25)。この場合、対象電源装置92の個別電流値Ir2「60A」が第一電流値I1「0」より大きいので(S26;NO)、回路設定部13は、対象電源装置92が備える電源回路921の中で最大電流値が最小の「100A」である最小電源回路921を対象電源回路として設定する(S27)。これにより、設定済電源回路は、電源回路921の一台となる。その結果、設定済電源回路の最大電流値の総和Z1は、電源回路921の最大電流値M21「100A」となる。
次に、回路設定部13は、再度ステップS25を実行し、設定済電源回路の最大電流値の総和Z1「100A」と第一比率R1「0.9」との積(=90A)を第一電流値I1とする(S25)。この場合、対象電源装置92の個別電流値Ir2「60A」が第一電流値I1「90A」以下になったので(S26;YES)、回路設定部13は、対象電源装置92についての対象電源回路の設定を終了する。
そして、対象電源回路の設定を終了していない対象電源装置93が存在するので(S28;NO)、回路設定部13は、ステップS25に戻って、対象電源装置93について、対象電源回路の設定を行う。
回路設定部13は、対象電源装置93について行う最初のステップS25では、上記と同様、設定済電源回路が存在していないので、第一電流値I1を0とする(S25)。この場合、対象電源装置93の個別電流値Ir3「90A」が第一電流値I1「0」より大きいので(S26;NO)、回路設定部13は、対象電源装置93が備える電源回路931の中で最大電流値が最小の「150A」である最小電源回路931を対象電源回路として設定する(S27)。これにより、設定済電源回路は、電源回路931の一台となる。その結果、設定済電源回路の最大電流値の総和Z1は、電源回路931の最大電流値M31「150A」となる。
次に、回路設定部13は、再度ステップS25を実行し、設定済電源回路の最大電流値の総和Z1「150A」と第一比率R1「0.9」との積(=135A)を第一電流値I1とする(S25)。この場合、対象電源装置93の個別電流値Ir3「90A」が第一電流値I1「135A」以下になったので(S26;YES)、回路設定部13は、対象電源装置93についての対象電源回路の設定を終了する。以上により、全ての対象電源装置91、92、93についての対象電源回路の設定が終了する(S28;YES)。
次に、回路設定部13は、対象電源装置91の各対象電源回路911、912、913に出力させる電流の電流値Ir1_1、Ir1_2、Ir1_3と、対象電源装置92の各対象電源回路921に出力させる電流の電流値Ir2_1と、対象電源装置93の各対象電源回路931に出力させる電流の電流値Ir3_1と、を設定する。
先ず、回路設定部13は、対象電源装置91について、ステップS29を行うことにより、対象電源装置91の各対象電源回路911、912、913に出力させる電流の電流値Ir1_1、Ir1_2、Ir1_3を設定する。
具体的には、回路設定部13は、当該ステップS29において、対象電源装置91の各対象電源回路911、912、913の最大電流値M11「0.5A」、M12「4.5A」、M13「45A」によって、対象電源装置91の個別電流値Ir1「30A」を比例配分する。そして、回路設定部13は、当該比例配分によって得られた各電流値「0.3A(=30A×0.5A/50A)」、「2.7A(=30A×4.5A/50A)」、「27A(=30A×45A/50A)」を、各対象電源回路911、912、913に出力させる電流値Ir1_1、Ir1_2、Ir1_3として設定する(S29)。
そして、回路設定部13は、対象電源装置92の各対象電源回路921に出力させる電流の電流値Ir2_1及び対象電源装置93の各対象電源回路931に出力させる電流の電流値Ir3_1の設定を終了していないので(S30;NO)、ステップS29に戻って、対象電源装置92の各対象電源回路921に出力させる電流の電流値Ir2_1を設定する(S29)。
具体的には回路設定部13は、当該ステップS29において、対象電源装置92の各対象電源回路921の最大電流値M21「100A」によって、個別電流値Ir2「60A」を比例配分する。そして、回路設定部13は、当該比例配分によって得られた各電流値「60A(=60A×100A/100A)」を、対象電源装置92の各対象電源回路921に出力させる電流値Ir2_1として設定する(S29)。
そして、回路設定部13は、対象電源装置93の各対象電源回路931に出力させる電流の電流値Ir3_1の設定を終了していないので(S30;NO)、ステップS29に戻って、対象電源装置93の各対象電源回路931に出力させる電流の電流値Ir3_1を設定する(S29)。
回路設定部13は、当該ステップS29において、対象電源装置93の各対象電源回路931の最大電流値M31「150A」によって、個別電流値Ir3「90A」を比例配分する。そして、回路設定部13は、当該比例配分によって得られた各電流値「90A(=90A×150A/150A)」を、対象電源装置93の各対象電源回路931に出力させる電流値Ir3_1として設定する(S29)。
以上により、回路設定部13は、全ての対象電源装置91、92、93について、各対象電源回路911、912、913、921、931に出力させる電流の電流値Ir1_1、Ir1_2、Ir1_3、Ir2_1、Ir3_1の設定を終了する(S30;YES)。
第二実施形態の構成によっても、第一実施形態の構成によって得られる上記の(1)及び(5)の効果と同様の効果を得ることができる。
(変形実施形態)
尚、上記第一乃び第二実施形態は、本発明に係る実施形態の例示に過ぎず、本発明を上記第一乃び第二実施形態に限定する趣旨ではない。例えば、以下に示す変形実施形態であってもよい。
(1)電源部90に、制御部10と同様、CPU、RAM、不揮発性メモリー等を備えた構成のスレーブ制御部を設けてもよい。そして、当該スレーブ制御部が回路設定部13として動作するようにしてもよい。
(2)試験装置1による試験対象は、上記二次電池Lに限らず、他の電気的な負荷であってもよい。
(3)図2(A)〜(C)に示す試験パターンは例示に過ぎず、各試験パターンに定電流モードの試験及び定電力モードの試験が混在して定義されていてもよい。
(4)図2(C)に示す試験パターンの第七列欄を省略し、試験の実行指示の入力時に、二次電池Lの仕様によって定められている下限電圧値等、試験中の二次電池Lの電圧値と考えられる電圧値を試験者に入力させるようにしてもよい。これに合わせて、受付部11が、試験の実行指示を受け付ける時に、当該入力された電圧値を負荷電圧値としてRAMに記憶するようにしてもよい。そして、装置設定部12が、ステップS3(図3)においてRAMに記憶されている当該負荷電圧値を用いるようにしてもよい。
(5)受付部11が、定電力モードの試験を含む試験パターンを定義した試験パターンファイルを取得した場合、当該試験パターンファイルをRAMに記憶しないようにしてもよい。つまり、受付部11が、指定された試験電力値の試験電力を二次電池Lに給電する又は放電させる試験の実行指示を受け付けないようにしてもよい。これに合わせて、ステップS2、S3(図3)を省略してもよい。
(6)受付部11が、定電流モードの試験を含む試験パターンを定義した試験パターンファイルを取得した場合、当該試験パターンファイルをRAMに記憶しないようにしてもよい。これに合わせて、ステップS2(図3)を省略し、受付部11が、定電力モードの試験だけを含む試験パターンを定義した試験パターンファイルを取得した場合に、当該試験パターンファイルをRAMに記憶し、ステップS3以降の処理(図3)を行うようにしてもよい。つまり、受付部11が、指定された試験電力値の試験電力を二次電池Lに給電する又は放電させる試験の実行指示のみを受け付けるようにしてもよい。