JP6874681B2 - 多糖類−タンパク質複合体の製造方法 - Google Patents

多糖類−タンパク質複合体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、多糖類−タンパク質複合体の製造方法に関する。
一部の食品において、泡立ちが当該食品に特に高い付加価値をもたらす場合がある。こうした食品の代表例として、ビール等の発泡性飲料が挙げられる。
現在、日本においては、麦芽を使用したアルコール飲料としてビール及び発泡酒が多く消費されている。発泡酒はビールに比べて麦芽の使用量が低く、酒税法上、麦芽の使用量が水を除く全原料の66.7重量%以上のものはビール、66.7重量%未満のものは発泡酒に分類される。さらに近年では、「ビール」又は「発泡酒」に続く、いわゆる「第3のビール」又は「新ジャンル」と呼ばれるものが上市され、低価格志向の消費者に特に広く普及している。「第3のビール」には、原料に麦芽を用いないものと、ビール若しくは発泡酒に別のアルコール飲料を混ぜた、ビールに比べて麦芽の使用量は少ないものとがある。酒税法で前者は「その他の醸造酒(発泡性)(1)」又は「その他の雑酒(2)」に、後者は「リキュール(発泡性)(1)」に分類される。
国際公報第04/000990号 国際公報第05/005593号 特開2006−204172号公報 特開2011−188833号公報 特開昭61−92554号公報 特開平5−38275号公報 特開2013−21944号公報 特開2014−124119号公報
ビールの泡には、見た目に美しい、炭酸ガスが外へ逃げるのを抑える、ビールが空気に触れて劣化するのを防ぎ美味しさを守る、泡立ちにより香りを立てる等の重要な働きがある。このため泡持ちを良くすることは、品質の良いビールを作るうえで重要な要素である。これはビールに限らず、ビールの代替飲料である発泡酒、第3のビール等のビール様飲料においても同様である。しかし、こうした麦芽の使用量を抑えたビール様飲料では、ビールに比べて泡持ちが劣るという課題がある。麦芽由来のタンパク質、炭水化物は、ビールの泡持ちに寄与するためである。
また、社会情勢の変化及び生活スタイルの多様化から、近年では、ノンアルコールビールテイスト飲料が普及し、該市場も急速に拡大しつつある。ノンアルコールビールテイスト飲料とは一般に、飲料中に含有するアルコール分が1%以下のものを指し、日本の食品分類上では「清涼飲料水」に分類される。ノンアルコールビールテイスト飲料の製造法には数種類あり、一度ビールを製造してからアルコール分を除去する方法、麦芽を糖化させホップを加えて煮込んだ麦汁に、酵母菌は入れず不純物を取り除いて炭酸及びその他の成分を加える方法、麦汁を使わずに麦芽から取れる麦芽エキスに様々な成分を加える方法、清涼飲料水を使用してビール風の味付けをし、ビール風味を表現する方法等が挙げられる。ノンアルコールビールテイスト飲料の主な原材料としては、麦芽、糖類、ホップ、麦芽エキス等が使用される。しかし、ノンアルコールビールテイスト飲料は、発泡酒及び第3のビール等と同様に、ビールに比べて麦芽の使用量が少ないため、泡持ちについての課題は残されている。
一方、サイダー、コーラ、ジュースのような、飲料に炭酸を含有させた炭酸清涼飲料では、タンパク質による泡持ちが期待できない。従来の炭酸清涼飲料は、泡による清涼感は感じさせるが、発生する泡が粗く、泡持ちも悪く、炭酸による刺激が強すぎるなど、味覚の上から必ずしも好ましいものではない。このため、炭酸清涼飲料においても、きめ細かい泡を発生させ、泡持ちを改善できるようにする技術が求められている。
麦芽アルコール飲料、及び麦芽を使用しない発泡性アルコール飲料の泡持ちの課題を解決する方法として、発泡酒に泡持ち向上剤としてサポニン、増粘剤等を使用する方法(特許文献1)、エンドウ豆から抽出したエンドウタンパク質を泡持ち向上物質として発泡性アルコール飲料に使用する方法(特許文献2)、ソルガム分解物を発泡性飲料に使用する方法(特許文献3)等が提案されている。しかし、いずれも泡のきめが粗く、泡持ち効果も不十分である。さらに、飲料の泡立ちを向上する方法として、タンパク質を酵素分解したポリペプチドを利用する方法(特許文献4)が提案されている。しかし、この方法では酵素分解物の分子量分布が広範であり、泡質改善又は泡持ちに寄与しない夾雑画分が多く含まれるため、充分な効果を得るための添加量が多くなってしまう。そのため起泡素材そのものの味が飲料の風味を損なわせ、使用用途が大きく制限されることが課題として残されている。また、酵素分解により得たポリペプチドは起泡力には優れるものの、発生した泡を保持する機能が充分でなく、課題が残されている。
アルコールを含まない炭酸清涼飲料の泡持ちの課題を解決する方法として、原料液にサポニン成分及び炭酸ガスを含有する組成の高発泡性清涼飲料を製造する方法(特許文献5)、サポニン及びオリゴ糖を配合した嗜好飲料を調製し、これに炭酸ガスを含有させることを特徴とする、泡立ちと泡持ちの改良された発泡性嗜好飲料の製造方法(特許文献6)が提案されている。しかし、これらの技術はサポニン成分による苦味が問題となっている。
さらに、未発酵のビールテイスト飲料に対して、きめ細かい泡を発生及び保持させ、泡持ち及び口当たりを改善するために大豆食物繊維を利用する方法(特許文献7)も提案されている。しかし、この技術では、充分な泡保持効果を付与するための添加量が多いこと、またそれによって大豆特有の風味が飲料そのものの風味を損なわせ、使用用途が大きく制限されることが課題として残されている。
大豆食物繊維の利用における風味の課題を解決する手段として、水溶性エンドウ多糖類を利用する方法(特許文献8)が提案されているが、従来技術により製造されたエンドウ多糖類では泡持ちの機能は充分ではなく、改善の余地が残されている。
本発明は、発泡性飲料に添加することで、飲料の風味に悪影響を及ぼすことなくきめ細かい泡を発生及び保持することができる素材、及びその製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、上記素材を用いる、発泡性飲料の泡を安定化させる方法、及び発泡性飲料の製造方法を提供することをも目的とする。
本発明は、
(1)構成糖としてウロン酸を含む多糖類を、タンパク質の存在下において、pH2〜5かつ80℃以上180℃以下で加熱する加熱工程を含む、分子量12000以上の画分が30質量%以下、かつ分子量500以上12000未満の画分が30質量%以上である多糖類−タンパク質複合体の製造方法、
(2)上記多糖類−タンパク質複合体における、多糖類とタンパク質との比率が質量基準で10:1〜1:100である、(1)に記載の製造方法、
(3)上記多糖類がエンドウ種子由来である、(1)又は(2)に記載の製造方法、
(4)上記加熱工程におけるpHが2.5〜3.5である、(1)〜(3)のいずれか1つに記載の製造方法、
(5)発泡性飲料の泡を安定化させる方法であって、構成糖としてウロン酸を含む多糖類を、タンパク質の存在下において、pH2〜5かつ80℃以上180℃以下で加熱し、分子量12000以上の画分が30質量%以下、かつ分子量500以上12000未満の画
分が30質量%以上である多糖類−タンパク質複合体を得る工程と、上記多糖類−タンパ
ク質複合体を発泡性飲料原料に添加する工程とを含む、方法、
(6)構成糖としてウロン酸を含む多糖類を、タンパク質の存在下において、pH2〜5かつ80℃以上180℃以下で加熱し、分子量12000以上の画分が30質量%以下、かつ分子量500以上12000未満の画分が30質量%以上である多糖類−タンパク質複合体を得る工程と、上記多糖類−タンパク質複合体を発泡性飲料原料に添加する工程とを含む、発泡性飲料の製造方法、
(7)上記発泡性飲料がアルコールを含有する、(6)に記載の製造方法、
(8)構成糖としてウロン酸を含む多糖類と、タンパク質とを含有し、分子量12000以上の画分が30質量%以下、かつ分子量500以上12000未満の画分が30質量%以上である、加熱された多糖類−タンパク質複合体、
(9)上記多糖類−タンパク質複合体中の多糖類とタンパク質との比率が質量基準で10:1〜1:100である、請求項8に記載の複合体、
(10)上記多糖類がエンドウ種子由来である、(8)又は(9)に記載の複合体、
(11)(8)〜(10)のいずれか一項に記載の複合体を有効成分とする、泡安定剤。
(12)(11)に記載の泡安定剤を含む、発泡性飲料、
(13)アルコールを含有する、(12)に記載の発泡性飲料、
である。
本発明の多糖類−タンパク質複合体の製造方法により、発泡性飲料に添加することで、飲料の風味に悪影響を及ぼすことなく、きめ細かい泡を発生及び保持することができる素材を得ることができる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本実施形態に係る多糖類−タンパク質複合体(以下、場合により単に「複合体」と称する。)は、加熱されたものであり、構成糖としてウロン酸を含む多糖類と、タンパク質とを含有する。なお、「加熱された」とは、加熱処理を経たことを意味し、その後冷却された場合を含む。
本実施形態において用いられる多糖類は、構成糖としてウロン酸を含むものであればよく、水溶性であることが好ましい。多糖類は、好ましくは植物原料から抽出して得られる植物由来多糖類、又は微生物が発酵等により産生する微生物由来多糖類である。多糖類におけるウロン酸の量は、例えば0.01〜50質量%であってもよい。ウロン酸は、例えば、D−グルクロン酸、D−ガラクツロン酸、D−マンヌロン酸、L−グルロン酸等である。
植物由来多糖類としては、例えば、下記に詳述する、エンドウ種子由来の水溶性エンドウ多糖類、大豆由来の水溶性大豆多糖類を用いることができる。これらの多糖類は構成糖としてウロン酸を含むことが知られている。また、構成糖としてウロン酸を含む植物由来多糖類源は、例えば、ペクチン、トラガントガム、アラビアガム、ガッティガム、カラヤガム、サイリウムシードガム、寒天、アルギン酸類等であってもよく、その他の植物由来のものであってもよい。ペクチンは、例えば、柑橘類由来のものであってもよく、ポテト由来、ビート由来等のものであってもよい。なお、アルギン酸類とは、アルギン酸又はその誘導体を意味する。構成糖としてウロン酸を含む微生物由来多糖類源としては、例えば、キサンタンガム、ジェランガム等が挙げられる。
上記多糖類又は多糖類源は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。構成糖としてウロン酸を含む多糖類としては、水溶性エンドウ多糖類又は水溶性大豆多糖類を用いることが好ましく、水溶性エンドウ多糖類を用いることがより好ましい。後述する多糖類及びタンパク質の複合化には、予め単離又は抽出された多糖類を用いてもよく、多糖類以外の成分を含む多糖類源を用いてもよい。また、複合化のための加熱処理と、多糖類源からの多糖類の加熱抽出とを同時に行ってもよい。
水溶性エンドウ多糖類とは、エンドウ種子から抽出して得られる水溶性の多糖類である。水溶性エンドウ多糖類は、エンドウ種子に含まれるタンパク質画分及び澱粉画分を除去して得られる繊維画分等のエンドウ種子処理物から抽出して得たものであってもよい。
エンドウ種子からの水溶性エンドウ多糖類の抽出には、水を溶媒として用いることができる。水は熱水であってもよい。抽出時のpHは3〜12であることが好ましい。pH3以上であると多糖類の加水分解を抑制することができ、pH12以下であると多糖類の脱離分解を抑制することができるため好ましい。抽出時のpHは4〜10であることがより好ましい。
水溶性エンドウ多糖類は、例えば、原料としてのエンドウ種子又はその処理物にその5〜20倍量の水を加えた後、pH3〜12に調整し、60℃以上180℃以下、好ましくは60℃以上150℃以下又は80℃以上180℃以下、より好ましくは80℃以上150℃以下、更に好ましくは80℃以上130℃以下の温度で抽出することができる。抽出温度は高いほど抽出効率が向上するため好ましく、また180℃以下であると多糖類の加
水分解を抑制することができる。抽出時間は、例えば0.5〜3時間とすることができ、原料の状態、温度等により、任意に調整することができる。
得られた抽出液は、液中の不溶性繊維分を遠心分離機等により分離した後、水溶性エンドウ多糖類源として用いることができ、さらに、タンパク質の除去、澱粉の除去、脱塩、色素成分の除去等の精製処理、高温殺菌、レトルト殺菌、電磁波殺菌、高温真空殺菌、オゾン殺菌、電解水殺菌、間接加熱殺菌等の殺菌処理などを行ったものを水溶性エンドウ多糖類源として用いてもよい。澱粉の除去は、例えばアミラーゼによる分解により行うことができる。水溶性エンドウ多糖類源は、液状のまま用いてもよく、凍結乾燥、噴霧乾燥等により乾燥させて用いてもよい。
水溶性大豆多糖類とは、大豆から抽出して得られる水溶性の多糖類である。水溶性大豆多糖類は、大豆子葉由来であることが好ましい。多糖類を抽出する原料としては、豆腐、分離大豆タンパク質等を産生する場合に副生されるおからを用いることもできる。おからは脱脂大豆から得られたおからであることが好ましく、分離大豆タンパク質を製造する工程で副生するおからであることが好ましい。
水溶性大豆多糖類は、おから等の原料にその5〜20倍量の水を加えた後、pH3〜7に調整し、60℃以上180℃以下、好ましくは60℃以上150℃以下、より好ましくは80℃以上130℃以下、更に好ましくは100℃以上130℃以下の温度で抽出することができる。抽出温度が上記範囲であることにより、抽出効率を向上させ、かつ水溶性大豆多糖類の加水分解を抑制することができる。抽出時間、得られる抽出液における不溶性繊維分の分離、精製処理、殺菌処理及び乾燥は、水溶性エンドウ多糖類の抽出と同様の態様を適用することができる。
本実施形態に係る多糖類−タンパク質複合体の製造に用いられるタンパク質は、任意のタンパク質種であってよく、例えば、大豆タンパク質、エンドウタンパク質、卵白アルブミン、小麦グルテン、カゼイン、オーツ麦タンパク質、緑豆タンパク質、落花生タンパク質、レンズ豆タンパク質等であってよい。タンパク質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。タンパク質は、発泡性飲料の泡安定性の効果を高めることができる点で、大豆タンパク質、カゼイン、エンドウタンパク質又は卵白であることが好ましい。
本実施形態に係る多糖類−タンパク質複合体は、多糖類をタンパク質の存在下で加熱処理することにより、多糖類とタンパク質とを複合化させて得ることができる。複合化は、多糖類源からの多糖類の加熱抽出工程と、多糖類及びタンパク質の複合化のための加熱工程を同時に行う、すなわち多糖類源からの多糖類の抽出を、複合化させるタンパク質の存在下で行うことによって実施してもよく、予め原料から抽出された多糖類及びタンパク質を混合し、加熱処理することによって実施してもよい。
複合化は水の存在下で行うことが好ましく、水溶液中で行うことがより好ましい。加熱時の水溶液中の多糖類の濃度は、0.1〜10質量%であることが好ましく、1〜5質量%であることが好ましい。また、加熱時の水溶液中のタンパク質の濃度は、0.1〜10質量%であることが好ましく、1〜5質量%であることが好ましい。
多糖類とタンパク質との複合化は、具体的には例えば以下の方法により行うことができる。水系下に多糖類及びタンパク質を懸濁し、懸濁液をpH2〜5、好ましくはpH2.5〜3.5に調整する。pH調整の際に使用する酸は、塩酸、リン酸、硫酸、乳酸、クエン酸、酢酸、シュウ酸等、食品工業で使用可能な酸が特に制限なく使用できる。pH調整後、80℃以上180℃以下の温度で、加熱処理を行う。これにより、多糖類とタンパク質とが複合化され、多糖類−タンパク質複合体を含む液を得ることができる。加熱温度は好ましくは100〜160℃、より好ましくは110〜140℃である。加熱温度が80℃以上であることにより、複合化反応をより短時間で効率よく行うことができる。また180℃以下であることにより、複合化反応中の多糖類及びタンパク質の過剰な分解を抑制することができる。加熱時間は概ね1〜180分間であるが、原料の状態や温度等により、任意に調整することができる。
加熱処理後、ろ過・遠心分離等の常法により、懸濁液中の固形分を分離除去してもよい。固形分の除去を行わなくとも、飲料の泡安定効果への影響はないが、固形分を分離して除去すると、発泡性飲料中で沈殿が生じることを防ぎ、外観をより良好なものとすることができるため、より好ましい。また、沈殿が生じることを防ぐために、懸濁液中の澱粉を分解又は除去してもよい。澱粉の分解はアミラーゼを用いて行うことができる。澱粉の除去は、例えば、冷却又は乳化剤添加による凝集により生じた沈殿物を除去することにより行うことができる。
得られた多糖類−タンパク質複合体を含む液に対し、必要に応じて、中和・脱塩、疎水性物質又は低分子物質の除去等の精製処理を行ってもよい。精製処理の方法として、活性炭処理、樹脂吸着処理、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン等の極性溶媒を用いて行う再沈殿法、限外ろ過法、逆浸透法、ゲルろ過法、透析法、イオン交換樹脂法、電気透析法、イオン交換膜法等が例示でき、これらの方法の1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。特に、極性溶媒を用いる再沈殿法、限外ろ過、逆浸透法、ゲルろ過法又は透析法を用いると、種々の低分子をも取り除くことができるため好ましい。脱塩精製処理を行う場合には、処理後の液中の灰分が10質量%以下となるように処理することが好ましい。
得られた多糖類−タンパク質複合体を含む液は、そのまま発泡性飲料の製造に用いてもよく、常法により乾燥させたものを用いてもよい。
多糖類−タンパク質複合体における多糖類とタンパク質との比率は、質量基準で10:1〜1:100であることが好ましい。比率が上記範囲内であることにより、きめ細かい泡を発生・保持する効果を高めることができる。多糖類とタンパク質との比率は、質量基準で5:1〜1:10であることがより好ましく、3:1〜1:4であることが更に好ましい。また、多糖類源として抽出前の原料を直接複合化に用いる場合には、得られる複合体における多糖類とタンパク質との比率が上記範囲内となるように多糖類源及びタンパク質量を調整すればよい。
本実施形態に係る多糖類−タンパク質複合体が高い泡安定性を発現するためには、複合体の分子の大きさが重要である。すなわち、複合体中の分子量12000以上の画分が30質量%以下、かつ分子量500以上12000未満の画分が30質量%以上であり、より好ましくは分子量12000以上の画分が25質量%以下、かつ分子量500以上12000未満の画分が40質量%以上である。
複合体中の分子量500以上12000未満の画分は、100質量%であってもよく、80質量%以下、60質量%以下又は50質量%以下であってもよい。複合体中の分子量12000以上の画分は、0質量%であってもよく、5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上又は20質量%以上であってもよい。複合体中の分子量500未満の画分は、0質量%以上70質量未満%であり、0質量%以上60質量%未満であることが好ましく、0質量%以上40質量%未満であることがより好ましい。分子量500未満の画分は、20質量%以上40質量%未満であってもよく、30質量%以上40質量%未満であってもよい。
複合体の分子量分布は、ゲルろ過HPLC法を用いて測定することができる。より詳細には、例えば、複合体を20mMリン酸緩衝液に溶解して水溶液とし、0.2μmフィルターでろ過したサンプルを、ゲルろ過クロマトグラフィーカラムに通し、上記リン酸緩衝液を用いて溶出し、214nmの吸光度を測定することにより、複合体の溶出時間を特定する。分子量検量線は、例えば、シトクロムC(分子量12384)、アプロチニン(分子量6512)、ガストリンI(分子量2098)、アンジオテンシンII(分子量1046)、トリグルタミン酸(分子量405)を分子マーカーとして用いて作製し、当該検
量線に基づいて複合体の分子量分布を求めることができる。
本発明はまた、多糖類−タンパク質複合体を有効成分とする泡安定剤を提供する。泡安定剤は、多糖類−タンパク質複合体のみからなるものであってもよく、モノグリセリド等の乳化剤、その他の泡安定効果を有する各種物質を更に含んでもよい。泡安定剤中の多糖類−タンパク質複合体の含有量は、10〜100質量%であってよく、50〜98質量%であることが好ましく、90〜95質量%であることがより好ましい。
また、本実施形態に係る多糖類−タンパク質複合体を発泡性飲料原料に添加することにより、発泡性飲料の泡を安定化することができる。より詳細には、本実施形態に係る多糖類−タンパク質複合体を発泡性飲料原料に添加することにより、得られる発泡性飲料においてより容易にきめ細かい泡を多く発生させることができ、発生した泡をより長時間保持することができる。
本明細書において、発泡性飲料とは、
(1)麦芽アルコール飲料(ビール、発泡酒、ビール又は発泡酒に別のアルコール飲料を混ぜたもの等)、
(2)麦芽成分を含む発泡性ノンアルコール飲料(ノンアルコールビール等)
(3)麦芽を使用しない発泡性アルコール飲料(酒税法上「その他の醸造酒(発泡性)(1)」に分類される麦芽を使用しないビール様飲料、いわゆる「酎ハイ」と呼ばれる焼酎ハイボール等のリキュール類)、
(4)泡安定性に寄与するタンパク質成分を含まない炭酸清涼飲料(サイダー、ラムネ、栄養ドリンク、ノンアルコールカクテル等)が含まれる。
なお、茶、紅茶、コーヒー、リキュール、ワイン、焼酎、スピリッツ、ウイスキー等の通常は発泡性でない飲料であっても、炭酸ガスを含有させ発泡性を持たせた場合にはこれらも発泡性飲料に含まれる。また、サイダー、クリームソーダ等の炭酸飲料で、粉末を水又は湯に溶いて飲むインスタントタイプのものも発泡性飲料に含まれる。
本実施形態に係る多糖類−タンパク質複合体又は泡安定剤の、飲料中の含有量は、多糖類−タンパク質複合体として、例えば0.001〜5質量%とすることができ、好ましくは0.01〜2質量%である。0.001質量%以上とすることにより、より高い泡安定化効果を得ることができる。本実施形態に係る多糖類−タンパク質複合体又は泡安定剤は、少ない添加量であっても高い泡安定化効果を奏する。発泡性飲料を粉末飲料に加工する場合には、当該粉末飲料を飲用に適した濃度に溶解した状態で複合体の含有量が上記の範囲になるように、粉末飲料中の複合体の含量を設定すればよい。
本実施形態に係る発泡性飲料の製造方法は、本実施形態に係る多糖類−タンパク質複合体又は泡安定剤を発泡性飲料原料に添加する工程を含む他は、従来公知の方法を特に制限なく用いることができ、添加する方法及びタイミングは特に問わない。麦芽を使用しない発泡性アルコール飲料又は麦芽アルコール飲料においても、従来公知の製造工程の任意の段階で本実施形態に係る多糖類−タンパク質複合体又は泡安定剤を添加することができる。
例えば、麦芽を使用しない発泡性アルコール飲料は、炭素源、窒素源、ホップ及び水を含む発酵前液を製造し、該発酵前液を酵母によって発酵させて製造されるが、本実施形態に係る複合体又は泡安定剤を原材料の一部として使用することで、その泡安定性が改善される。また、一般的な麦芽アルコール飲料の製造工程は、麦芽を含む原料と仕込用水とを攪拌混合し、加温して糖化させ、麦汁を採取する仕込工程と、酵母を添加して発酵させる発酵工程と、発酵終了液を貯蔵する貯酒工程と、貯酒終了液をろ過し容器に充填するろ過・充填工程とを含むが、この製造工程のいずれかの段階において本実施形態に係る複合体又は泡安定剤を加えることができる。
以下、実施例により本発明の実施形態を具体的に説明するが、本発明の技術思想がこれらの例示によって限定されるものではない。なお、例中の部及び%は特に断らない限り質量基準を意味するものとする。
エンドウの種子50kgを脱皮した後、5倍量の水を子葉部に加えて24時間浸漬した。ホモミキサー(5,000rpm、30分間)を用いて子葉部を砕き、30%水酸化ナトリウム溶液を用いてpH9を保持しながらタンパク質及び澱粉を抽出した。遠心ろ過機(1,000rpm、5分間)を用いて水に分散しているタンパク質、澱粉等の成分を除去し、繊維質を回収した。さらに、繊維質に5倍量の水を加えてホモミキサー(3,000rpm、30分間)で攪拌し、遠心ろ過機(1,000rpm、5分間)により繊維質を回収した。この操作を繰り返して計2回行い、得られた繊維質を凍結乾燥して10kgのエンドウ種子処理物を得た。
<比較例1>
上記エンドウ種子処理物60部を940部の水に分散し、塩酸を用いてpH6に調整した後、120℃にて90分間加熱して多糖類を抽出した。液中の不溶性繊維を遠心分離(5,000rpm、30分間)にて除去して上清を回収した。上清を60℃に加温した後、pH6にて固形分の0.1質量%に相当するアミラーゼ(Fungamyl800L:ノボザイム社製)を添加して1時間澱粉を分解した。沸騰水中で15分間加熱しアミラーゼを失活させた後、凍結乾燥して粉末状の水溶性エンドウ多糖類Aを得た。
<比較例2>
上記エンドウ種子処理物60部を940部の水に分散し、塩酸を用いてpH3に調整した後、120℃にて90分間加熱して多糖類を抽出した。液中の不溶性繊維を遠心分離(5,000rpm、30分間)にて除去して上清を回収した。上清をアルカリにてpH6に調整した後、60℃で、固形分の0.1質量%に相当するアミラーゼ(Fungamyl800L:ノボザイム社製)を添加して1時間澱粉を分解した。得られた溶液を沸騰水中で15分間加熱しアミラーゼを失活させた後、凍結乾燥して粉末状の水溶性エンドウ多糖類Bを得た。
<実施例1>
上記エンドウ種子処理物40部及び大豆タンパク質(フジプロ−R:不二製油社製)20部を940部の水に分散し、塩酸を用いてpH3に調整した後、120℃にて90分間加熱し、多糖類の抽出及び多糖類とタンパク質との複合化を行った。液中の不溶性繊維を遠心分離(5,000rpm、30分間)にて除去して上清を回収し、水酸化ナトリウム水溶液にて上清をpH6に調整した後、固形分の0.1質量%に相当するアミラーゼ(Fungamyl800L:ノボザイム社製)を添加して1時間澱粉を分解した。得られた溶液を沸騰水中で15分間加熱しアミラーゼを失活させた後、凍結乾燥して粉末状の多糖類−タンパク質複合体Aを得た。
<実施例2〜5>
大豆タンパク質を使用する代わりに、カゼインカリウム(Tatua500:Tatua社製)、小麦タンパク質(北国フード社製)、エンドウタンパク質(ニュートラリスF85M:ロケットジャパン社製)又は乾燥卵白(メレンゲパウダー:タイセイ社製)を使用した以外は、実施例1と同様の方法で、それぞれ多糖類−タンパク質複合体B、C、D、Eを得た。
<実施例6>
比較例1にて調製した水溶性エンドウ多糖類A 30部及び大豆タンパク質(フジプロ−R:不二製油社製)30部を水に溶解又は分散し、塩酸を用いてpH3に調整した後、120℃にて60分間加熱し、多糖類とタンパク質との複合化を行った。生成した不溶物を遠心分離(5,000rpm、30分間)にて除去して上清を回収し、アルカリにて上清をpH4.5に調整した後、凍結乾燥して粉末状の多糖類−タンパク質複合体Fを得た。
<比較例3>
比較例1にて調製した水溶性エンドウ多糖類A 30部と大豆タンパク質(フジプロ−R:不二製油社製)30部を水に溶解又は分散し、塩酸を用いてpH3に調整した後、未加熱のまま、不溶物を遠心分離(5,000rpm、30分間)にて除去して上清を回収し、アルカリにて上清をpH4.5に調整した後、凍結乾燥して粉末状の多糖類及びタンパク質を含む組成物Aを得た。
<比較例4>
大豆タンパク質(フジプロ−R:不二製油社製)30部を水540部に懸濁させ、pH7に調整後、対タンパク質に対してプロテアーゼ(プロテアーゼA「アマノ」SD:天野エンザイム社製)を0.4%添加して40℃にて60分間反応させた。生成した不溶物を遠心分離(5,000rpm、30分間)にて除去して上清を回収し、100℃、15分煮沸して酵素を失活させた後、凍結乾燥してタンパク質酵素分解物を得た。さらに、このタンパク質酵素分解物と比較例2にて調製した水溶性エンドウ多糖類Bとを粉末状のまま1:2の割合で混合し、多糖類及びタンパク質を含む組成物Bを得た。
<比較例5、6>
使用するプロテアーゼをサモアーゼPC10F(天野エンザイム社製)、又はパパインW−40(天野エンザイム社製)に変更した以外は比較例4と同様の方法でそれぞれ調製し、多糖類及びタンパク質を含む組成物C、Dを得た。
<実験例1>
上記の複合体A〜F及び組成物A〜Dについて、ゲルろ過HPLC法により分子量の確認を行った。20mMリン酸緩衝液(pH7.2)を用いて調製した複合体又は組成物の水溶液を、0.2μmのフィルターを用いてろ過した。得られたろ液を、Superdex peptide7.5/300GL(GEヘルスケア社製)にロードし、上記のリン酸緩衝液を用いて0.5ml/分で溶出させた。各複合体又は組成物の検出は、214nmの吸光度を測定することにより行った。また、分子量のマーカーとして、シトクロムC(分子量12384)、アプロチニン(分子量6512)、ガストリンI(分子量2098)、アンジオテンシンII(分子量1046)及びトリグルタミン酸(分子量405)を用いて検量線を作成し、当該検量線に基づいて分子量の分布を求めた。結果を表1に示す。
Figure 0006874681
複合体A〜Fでは、泡安定性に寄与すると考えられる分子量500以上12000未満の画分が多かった。一方で、未加熱の組成物Aは、加熱による分解を受けていないため、分子量12000以上の画分の割合が高く、泡安定性に寄与する分子量500以上12000未満の画分が少なかった。また、プロテアーゼによりタンパク質を酵素分解した組成物B〜Dは、分子量500未満の画分が過剰に増えていた。
<応用例1>
水溶性エンドウ多糖類A、B、多糖類−タンパク質複合体A〜F及び組成物A、Bについて、水溶液の泡安定性を以下に記載の方法によって測定した。結果を表2に示す。
多糖類、複合体又は組成物を水に溶解させ、それぞれ0.2%水溶液を調製した。これらの水溶液を100ml容量の共栓付きネスラー型色差管に30mlずつ入れ、液が漏れないように栓をして、管高さ方向に回転速度150rpmで1分間振とうした。色差管を色差管立てに固定して静置し、静置後5分後及び60分後における泡層の厚みを測定した。60分後の泡層の厚みを泡安定性の指標として用い、30mm以上であれば◎、20mm以上30mm未満であれば○、10mm以上20mm未満であれば△、10mm未満であれば×とした。評価が◎又は○のものを合格とした。
Figure 0006874681
複合体A〜Fを用いた実施例ではいずれも極めて高い泡安定性を有していた。中でも、大豆タンパク質、カゼイン、エンドウタンパク質、卵白を用いて得られた複合体は、特に優れた泡安定性を有していた。また、エンドウ種子の処理物及びタンパク質を出発原料として得た複合体Aと、既存の水溶性エンドウ多糖類及びタンパク質を出発原料とした複合体Fが、ほぼ同等の泡安定性を有していることが示され、いずれの製造法においても泡安定性に優れる複合体を製造できることが分かった。また、組成物Aに見られるように、加熱を行わない場合、泡安定性は多糖類を単独で用いる場合に比べて向上しなかった。泡安定性の高い複合体を得るためには加熱が重要であることが示された。
<応用例2:非アルコール系炭酸清涼飲料>
水溶性エンドウ多糖類A、B、多糖類−タンパク質複合体A〜F及び組成物Aについて、非アルコール系での炭酸清涼飲料を想定して泡安定性を以下に記載の方法にて測定した。結果を表3に示す。
100ml容量のネスラー型色差管に炭酸水49mlを入れ、多糖類、複合体又は組成物の10%水溶液を1ml加えて、泡立たないように静かに混合した。超音波発泡装置(ソニックアワー:タカラトミーアーツ社製)を用いて色差管の底部から超音波のパルスを5回かけ、発泡させた。発泡させて2分後の泡層の厚みを測定し、泡安定性の基準として厚みが40mm以上であれば◎、30mm以上40mm未満であれば○、20mm以上30mm未満であれば△、20mm未満であれば×とした。評価が◎又は○のものを合格とした。
また、各炭酸飲料について官能評価を行い、泡質(泡のきめ細かさ)及び香味について、以下の評価基準で評価した。泡質は肉眼観察及び試飲時の食感によって評価し、香味は試飲によって評価した。
(泡質)
○:非常にきめ細かい
△:ややきめ細かい
×:粗い
(香味)
○:非常に良い
△:良い
×:悪い
Figure 0006874681
炭酸ガスを含む飲料においても、複合体A〜Fを添加した実施例の飲料では、高い泡安定性が付与された。また、応用例1では泡質及び香味についてさほど差が顕著ではなかったが、炭酸飲料では、実施例の複合体を添加することによってきめ細かい泡質と雑味のない良好な香味を有する炭酸清涼飲料が得られた。
<応用例3:含アルコール発泡性飲料>
水溶性エンドウ多糖類A、B、多糖類−タンパク質複合体A〜F及び組成物Aについて、アルコール含有発泡性飲料を想定して泡安定性を以下に記載の方法にて測定した。結果を表4に示す。
市販の「その他の醸造酒(発泡性)(1)」に分類される、麦芽を使用しないビール様飲料49mlを、100ml容量のネスラー型色差管に入れ、多糖類、複合体又は組成物の10%水溶液を1ml加えて、泡立たないように静かに混合した。超音波発泡装置(ソニックアワー:タカラトミーアーツ社製)を用いて色差管の底部から超音波のパルスを5回かけ、発泡させた。発泡させて2分後の泡層の厚みを測定し、泡安定性の基準として厚みが60mm以上であれば◎、40mm以上60mm未満であれば○、20mm以上40mm未満であれば△、20mm未満であれば×とした。評価が◎又は○のものを合格とした。比較として何も添加しないものを同様の条件で評価した(比較例7)。
また、各飲料について官能評価を行い、泡質(泡のきめ細かさ)及び香味について、以下の評価基準で評価した。泡質は肉眼観察及び試飲時の食感によって評価し、香味は試飲によって評価した。
(泡質)
○:非常にきめ細かい
△:ややきめ細かい
×:粗い
(香味)
○:非常に良い
△:良い
×:悪い
Figure 0006874681
各実施例及び比較例におけるアルコールを含む発泡性飲料の泡安定性、泡質及び香味は、応用例2とほぼ同様の傾向であった。加熱を行っていない組成物Aでは、大豆タンパク質特有の収斂身がやや感じられたが、加熱を行った複合体A〜Fについては香味が改善した。

Claims (7)

  1. 構成糖としてウロン酸を含むエンドウ種子由来または大豆由来の多糖類を、大豆タンパク質、カゼイン、エンドウタンパク質又は卵白から選択されるタンパク質の存在下において、pH2.5〜3.5かつ100〜160℃で加熱する加熱工程を含む、分子量12000以上の画分が20質量%以上30質量%以下、かつ分子量500以上12000未満の画分が30質量%以上50質量%以下である多糖類−タンパク質複合体の製造方法。
  2. 前記多糖類−タンパク質複合体の分子量12000以上の画分が25質量%以下、かつ分子量500以上12000未満の画分が40質量%以上である、請求項1記載の製造方法。
  3. 前記多糖類−タンパク質複合体における、多糖類とタンパク質との比率が質量基準で10:1〜1:100である、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記多糖類−タンパク質複合体における、多糖類とタンパク質との比率が質量基準で5:1〜1:10である、請求項1または2に記載の製造方法。
  5. 発泡性飲料の泡を安定化させる方法であって、
    構成糖としてウロン酸を含むエンドウ種子由来または大豆由来の多糖類を、大豆タンパク質、カゼイン、エンドウタンパク質又は卵白から選択されるタンパク質の存在下において、pH2.5〜3.5かつ100〜160℃で加熱し、分子量12000以上の画分が20質量%以上30質量%以下、かつ分子量500以上12000未満の画分が30質量%以上50質量%以下である多糖類−タンパク質複合体を得る工程と、
    前記多糖類−タンパク質複合体を発泡性飲料原料に添加する工程とを含む、方法。
  6. 構成糖としてウロン酸を含むエンドウ種子由来または大豆由来の多糖類を、大豆タンパク質、カゼイン、エンドウタンパク質又は卵白から選択されるタンパク質の存在下において、pH2.5〜3.5かつ100〜160℃で加熱し、分子量12000以上の画分が20質量%以上30質量%以下、かつ分子量500以上12000未満の画分が30質量%以上50質量%以下である多糖類−タンパク質複合体を得る工程と、
    前記多糖類−タンパク質複合体を発泡性飲料原料に添加する工程とを含む、発泡性飲料の製造方法。
  7. 前記発泡性飲料がアルコールを含有する、請求項6に記載の製造方法。
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