JP6872170B2 - 三次元造形装置、三次元造形物製造方法及びプログラム - Google Patents

三次元造形装置、三次元造形物製造方法及びプログラム Download PDF

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Description

本発明は、三次元造形装置、三次元造形物製造方法及びプログラムに関するものである。
従来、造形部に所定の層厚の粉体層を形成する動作と、粉体層の粉体を所要形状に結合して層状造形物を形成する造形動作とを繰り返し行い、層状造形物が積層された三次元造形物を造形する三次元造形装置が知られている。
例えば、特許文献1には、粉体層形成動作で、所定の層厚よりも厚い粉体層を形成し、その後、形成した粉体層における所定の層厚の部分よりも表層側の粉体を除去部材で除去することで所定の層厚の粉体層を形成する三次元造形装置が記載されている。この三次元造形装置では、所定の層厚の粉体層を一層形成するために、平坦化ローラ(除去部材)をステージ(造形部)のステージ面に平行に移動させる平坦化処理を複数回行う。最初の平坦化処理によってステージへ粉体を供給しながら平坦化を行い、所定の層厚よりも厚い粉体層を形成する。そして、二回目の平坦化処理によって、粉体層における所定の層厚の部分よりも表層側の粉体を除去しながら残った粉体層の上面の平坦化を行い、所定の層厚の粉体層を形成する。また、この特許文献1には、粉体の除去を行う平坦化処理を二回以上実行してもよいことが記載されている。
作成される三次元造形物の品質向上のためには、造形動作によって粉体を所要形状に結合される際に、粉体層の粉体密度が高い状態であることが望ましい。しかしながら、従来の三次元造形装置では、造形動作によって粉体を所要形状に結合される際の粉体層の粉体密度が不十分であった。
上述した課題を解決するために、本発明は、造形部に所定の層厚の粉体層である所定厚粉体層を形成する粉体層形成動作と、前記所定厚粉体層の粉体を所要形状に結合して層状造形物を形成する造形動作とを繰り返し行い、前記層状造形物が積層された三次元造形物を造形する三次元造形動作の制御を行う制御部を備える三次元造形装置であって、
前記制御部は、前記粉体層形成動作では、前記所定厚粉体層よりも厚い前記粉体層である過剰厚粉体層を形成した後、前記粉体層の積層方向に直交する方向に移動する除去部材によって前記過剰厚粉体層における前記所定の層厚の部分よりも表層側の前記粉体を除去する除去処理を複数回実行して前記所定厚粉体層を形成する制御を実行するとともに、
一回の前記除去処理で除去する前記粉体の層厚である粉体削り量が、最後に実行する前記除去処理が他の前記除去処理よりも小さくなるように装置を制御することを特徴とするものである。
本発明によれば、造形動作によって粉体を所要形状に結合される際に、粉体層の粉体密度が高い状態とすることが可能となる、という優れた効果がある。
実施形態の三次元造形装置の概略平面説明図。 実施形態の三次元造形装置の概略側面説明図。 実施形態の三次元造形装置における造形部の拡大側面説明図。 実施形態の三次元造形装置の要部の斜視説明図。 実施形態の三次元造形装置の制御部の概要を示すブロック図。 実施形態の三次元造形装置における粉体層の形成動作の一例の説明図。 粉体層に造形液の液滴を吐出して着弾させたときの説明図。 粉体供給工程で供給ステージを上昇させる動作の説明図。 粉体供給工程で造形ステージを下降させる動作の説明図。 第一回目の平坦化処理の説明図。 第二回目の平坦化処理で造形ステージを上昇させる動作の説明図。 第二回目の平坦化処理で平坦化ローラを移動させる動作の説明図。 第三回目の平坦化処理で造形ステージを上昇させる動作の説明図。 第三回目の平坦化処理で平坦化ローラを移動させる動作の説明図。 第四回目の平坦化処理で造形ステージを上昇させる動作の説明図。 第四回目の平坦化処理で平坦化ローラを移動させる動作の説明図。 実施例1の第二回目の平坦化処理で造形ステージを上昇させる動作の説明図。 実施例1の第二回目の平坦化処理で平坦化ローラを移動させる動作の説明図。 実施例1の第三回目の平坦化処理で造形ステージを上昇させる動作の説明図。 実施例1の第三回目の平坦化処理で平坦化ローラを移動させる動作の説明図。 実施例1の第四回目の平坦化処理で造形ステージを上昇させる動作の説明図。 実施例1の第四回目の平坦化処理で平坦化ローラを移動させる動作の説明図。 変形例の三次元造形装置の概略平面説明図。 変形例の三次元造形装置の概略側面説明図。 変形例の三次元造形装置の概略正面説明図。 変形例の三次元造形装置の要部の斜視説明図。 変形例の三次元造形装置での造形動作の一例の説明図。
以下、本発明に係る三次元造形装置の一実施形態について説明する。
図1は本実施形態の三次元造形装置100の概略平面説明図、図2は三次元造形装置100を図1中の右方から見た概略側面説明図である。図3は、図2に示す粉体保持部1の拡大側面説明図であり、図3は造形時の状態で示している。
図4は、三次元造形装置100の要部(粉体保持部1及び造形ユニット5)の斜視説明図である。粉体保持部1及び造形ユニット5は、Y方向に相対移動可能であり、また造形ユニット5の液体吐出ユニット50は、粉体保持部1に対してX方向に相対移動可能に構成されている。図3は図4中のA−A断面の概略断面図である。
三次元造形装置100は、粉体造形装置(「粉末造形装置」ともいう。)である。この三次元造形装置100は、粉体20(粉末)が結合された層状造形物30が形成される粉体保持部1と、粉体保持部1の層状に敷き詰められた粉体20の粉体層に対して造形液10を吐出する造形ユニット5とを備えている。
粉体保持部1は、粉体収容槽11と、平坦化手段(リコータ)を構成する平坦化部材としての回転部材である平坦化ローラ12とを備えている。平坦化部材は、回転部材に代えて、例えば板状部材(ブレード)とすることもできる。
粉体収容槽11は、層状造形物30が積層されて三次元造形物が造形される造形槽22と、造形槽22に供給する粉体20を貯留する供給槽21と、造形槽22に供給された粉体20の余剰分を回収する余剰粉体回収槽29とを有している。造形槽22と供給槽21とはY方向に並んで配置されている。
供給槽21の底部を構成する供給ステージ23は、鉛直方向(高さ方向)に昇降自在となっている。供給ステージ23の上に造形材料となる粉体20を載置する。造形槽22の底部を構成する造形ステージ24も、鉛直方向(高さ方向)に昇降自在となっている。造形ステージ24上に層状造形物30が積層された三次元造形物が造形される。
図5は、三次元造形装置100の制御部500の概要を示すブロック図である。制御部500によって、供給ステージ昇降モータ27の駆動を制御することで供給ステージ23は、Z方向(高さ方向)に昇降される。また、制御部500によって、造形ステージ昇降モータ28の駆動を制御することで造形ステージ24も、Z方向(高さ方向)に昇降される。
供給ステージ23の側面は供給槽21の内側面に接するように配置されている。造形ステージ24の側面も造形槽22の内側面に接するように配置されている。これらの供給ステージ23及び造形ステージ24の上面は水平に保たれている。
供給槽21には、粉体供給装置554が配置されている。造形の初期動作時や供給槽21の粉体量が減少したときに、制御部500が粉体供給駆動部517の駆動を制御して、粉体供給装置554を構成するタンク内の粉体20を供給槽21へ供給する。粉体供給のための粉体搬送方法としては、スクリューを利用したスクリューコンベア方式や、エアーを利用した空気輸送方式などが挙げられる。
平坦化ローラ12は、その軸方向長さ(X方向の長さ)が造形槽22及び供給槽21の内寸幅よりも長く、造形ステージ24のステージ面(粉体20が積載される面)に沿ってY方向に、ステージ面に対して相対的に往復移動可能に配置されている。制御部500が平坦化ローラ往復モータ25の駆動を制御することで、平坦化ローラ12は、供給ステージ23及び造形ステージ24の上面に沿うように水平方向に移動する。造形槽22に粉体20を供給するときには、平坦化ローラ12が水平方向に移動することで、供給槽21の供給ステージ23上に貯留されている粉体20の一部を平坦化ローラ12が水平方向に押して造形槽22に移送し、供給する。このとき、造形槽22に供給された粉体20の表面(上面)を平坦化ローラ12が均して平坦化し、所定の層厚の所定厚粉体層31を形成する。
また、平坦化ローラ12は、平坦化ローラ回転モータ26によって回転駆動される。平坦化ローラ12は、平坦化ローラ回転モータ26によって回転されながら、供給槽21及び造形槽22の上方を通過するように水平方向に往復移動する。これにより、供給槽21の上方の粉体20が平坦化ローラ12に押されて造形槽22へと移送供給されるとともに、平坦化ローラ12が造形槽22上を通過しながら粉体20を移送しつつ平坦化して、所望の厚さの所定厚粉体層31が形成される。
造形ユニット5は、造形ステージ24上の所定厚粉体層31に粉体20を結合させる造形液10を吐出(付与)して、粉体20が結合した層状の構造物としての層状造形物30を形成する液体吐出ユニット50を備えている。
液体吐出ユニット50は、キャリッジ51と、キャリッジ51に搭載された二つ(一つまたは三つ以上でもよい。)の液体吐出ヘッドである第一ヘッド52a及び第二ヘッド52b(区別しないときは、「ヘッド52」という。)と、を備えている。
キャリッジ51は、第一ガイド部材54及び第二ガイド部材55によって主走査方向である矢印X方向(以下、単に「X方向」という。他のY、Zについても同様とする。)に移動可能に保持されている。第一ガイド部材54及び第二ガイド部材55は、X方向の両端が支持部材75(第一支持部材75a及び第二支持部材75b)に支持され、側板70(第一側板70a及び第二側板70b)に対して昇降可能に保持されている。このキャリッジ51は、主走査方向移動機構550を構成するX方向走査モータによってプーリ及びベルトを介して主走査方向であるX方向に往復移動される。
ヘッド52は、造形液10を吐出する複数のノズルを配列したノズル列がそれぞれ二列配置されている。第一ヘッド52aの二つのノズル列は、シアン造形液及びマゼンタ造形液をそれぞれ吐出する。第二ヘッド52bの二つのノズル列は、イエロー造形液及びブラック造形液をそれぞれ吐出する。ヘッド52の構成や吐出する造形液の色はこれに限るものではない。
図1に示すように、これらのシアン造形液、マゼンタ造形液、イエロー造形液及びブラック造形液の各々を収容した複数のタンク60がタンク装着部56に装着され、各色の造形液は供給チューブなどを介してヘッド52に供給される。
X方向におけるキャリッジ51の移動範囲の一方側(図1中の右側)には、液体吐出ユニット50のヘッド52の維持回復を行うメンテナンス機構61が配置されている。メンテナンス機構61は、主にキャップ62とワイパ63とで構成される。メンテナンス機構61では、キャップ62をヘッド52のノズル面(ノズルが形成された面)に密着させ、ノズルから造形液を吸引する。これは、ノズルに詰まった粉体20の排出や高粘度化した造形液を排出するためである。その後、メンテナンス機構61では、ノズルのメニスカス形成のため、ノズル面をワイパ63でワイピング(払拭)する。また、メンテナンス機構61は、造形液の吐出を行わない期間に、ヘッド52のノズル面をキャップ62で覆い、粉体20がノズルに混入することや造形液10が乾燥することを防止する。
造形ユニット5は、ベース部材7上に配置されたガイド部材71に移動可能に保持されたスライダ部72を有し、造形ユニット5全体がX方向に対して直交するY方向(副走査方向)に往復移動可能である。この造形ユニット5は、副走査方向移動機構552によって全体がY方向に往復移動される。
液体吐出ユニット50は、第一ガイド部材54及び第二ガイド部材55とともにZ方向に昇降可能に配置され、吐出ユニット昇降機構551によってZ方向に昇降される。
次に、三次元造形装置100の制御部500の概要について図5を参照して説明する。
制御部500は、CPU501と、ROM502と、RAM503とを含む主制御部500Aを備えている。CPU501は、三次元造形装置100全体の制御を司るものである。ROM502は、CPU501に三次元造形動作の制御を実行させるためのプログラムを含むプログラム、その他の固定データを格納するものであり、RAM503は、造形データ等を一時格納するものである。
制御部500は、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための不揮発性メモリ(NVRAM504)を備えている。また、制御部500は、画像データに対する各種信号処理等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC505を備えている。
制御部500は、外部の造形データ作成装置600から造形データを受信するときに使用するデータ及び信号の送受を行うための外部インターフェース506(外部I/F)を備えている。造形データ作成装置600は、最終形態の三次元造形物を各層状造形物にスライスした造形データを作成する装置であり、例えばパーソナルコンピュータ等の情報処理装置で構成される。また、制御部500は、各種センサの検知信号を取り込むための入出力部507(I/O)を備えている。入出力部507には、装置の環境条件としての温度及び湿度を検出する温湿度センサ560などの検知信号やその他のセンサ類の検知信号が入力される。
制御部500は、液体吐出ユニット50のヘッド52を駆動制御するヘッド駆動制御部508を備えている。
また、制御部500は、主走査方向駆動部510と副走査方向駆動部512とを備える。主走査方向駆動部510は、液体吐出ユニット50のキャリッジ51をX方向(主走査方向)に移動させる主走査方向移動機構550を構成するモータを駆動する。
副走査方向駆動部512は、造形ユニット5をY方向(副走査方向)に移動させる副走査方向移動機構552を構成するモータを駆動する。
さらに、制御部500は、液体吐出ユニット50のキャリッジ51をZ方向に移動(昇降)させる吐出ユニット昇降機構551を構成するモータを駆動する吐出ユニット昇降駆動部511を備えている。Z方向への昇降は造形ユニット5全体を昇降させる構成とすることもできる。
制御部500は、供給ステージ23を昇降させる供給ステージ昇降モータ27を駆動する供給ステージ駆動部513と、造形ステージ24を昇降させる造形ステージ昇降モータ28を駆動する造形ステージ駆動部514を備えている。また、制御部500は、平坦化ローラ12を移動させる平坦化ローラ往復モータ25を駆動する平坦化往復駆動部515と、平坦化ローラ12を回転駆動する平坦化ローラ回転モータ26を駆動する平坦化回転駆動部516を備えている。
制御部500は、供給槽21に粉体20を供給する粉体供給装置554を駆動する粉体供給駆動部517と、液体吐出ユニット50のメンテナンス機構61を駆動するメンテナンス駆動部518とを備えている。
制御部500には、使用者による必要な情報の入力及び使用者に対する情報の表示を行うための操作パネル522が接続されている。
造形槽22に粉体20を供給する工程の一例を示すと、供給ステージ23を200[μm]上昇させ、造形ステージ24を100[μm]下降させて、平坦化ローラ12を図4中の矢印「Y2」方向に移動させる。これにより、供給ステージ23を上昇させた分の粉体20を平坦化ローラ12で押して図4中の矢印「Y2」方向に移動させ、造形槽22に100[μm]の新たな粉体層(後述する「プレ粉体層31a」)を積層することができる。平坦化ローラ12によって押されて移送された粉体20のうち、造形槽22に入りきらない余剰の粉体20は、余剰粉体回収槽29に回収される。
粉体20には、ステンレス粉末に樹脂材料をコーティングした粉末を用いた。ステンレス粉末としては、山陽特殊製鋼社製ガスアトマイズ粉「PSS316L −20μmグレード」を用いた。また、コーティングに用いる樹脂材料としては、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社製、ゴーセネックスZ−100)を用いた。
樹脂材料としては上述したもの限定されるものではない。例えば、ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA−205C、PVA−220C)、ポリアクリル酸(東亞合成株式会社製、ジュリマーAC−10)、ポリアクリル酸ナトリウム(東亞合成株式会社製、ジュリマーAC−103P)、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社製、ゴーセネックスZ−300、ゴーセネックスZ−100、ゴーセネックスZ−200、ゴーセネックスZ−205、ゴーセネックスZ−210、ゴーセネックスZ−220)、カルボキシ基変性ポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社製、ゴーセネックスT−330、ゴーセネックスT-350、ゴーセネックスT-330T)、ブタンジオールビニルアルコール共重合体(日本合成化学工業株式会社製、ニチゴーG−ポリマーOKS−8041)、カルボキシメチルセルロース(第一工業株式会社製、セロゲン5A)、デンプン(三和澱粉工業株式会社製、ハイスタードPSS−5)、ゼラチン(新田ゼラチン株式会社製、ビーマトリックスゼラチン)などが適用可能である。
次に、三次元造形装置100での粉体層の形成動作の一例について、図6を参照して説明する。
図6(a)〜(f)は、本実施形態における所定厚粉体層31の形成動作の一例を説明するための説明図である。
まず、図6(a)に示すように、造形槽22の造形ステージ24上に、一層または複数層の層状造形物30が形成されているものとする。
最上層の層状造形物30の上に次の層状造形物30を形成するための所定厚粉体層31を形成するときには、図6(b)に示すように、供給槽21の供給ステージ23を「Z1」方向(上方)に移動量「z1」分だけ上昇させる。これとともに、造形槽22の造形ステージ24を「Z2」方向(下方)に移動量「z2」分だけ下降させる。移動量「z1」及び「z2」は所定厚粉体層31の目標厚み「Δt」(造形液10を供給され層状造形物30を形成するときの厚み)よりも大きな値に設定されている。目標厚み「Δt」は、例えば数十〜百[μm]程度であるのが好ましい。
供給ステージ23を「z1」分だけ上昇させることで、供給ステージ23上の粉体20の最上面の高さが供給槽21を形成する側壁の上端部よりも「Δt1(≒z1)」だけ高くなる。また、造形ステージ24を「z2」分だけ下降させることで、造形ステージ24上の粉体20の最上面の高さが造形槽22を形成する側壁の上端部よりも「Δt2(≒z2)」だけ高くなる。
供給ステージ23の移動量「z1」と造形ステージ24の移動量「z2」との関係は、「z1≧z2」の関係となっている。また、供給ステージ23の上面と造形ステージ24の上面とは、同じ面積となっている。これにより、造形ステージ24の下降によって生じた造形槽22内の粉体20の最上面よりも上方の隙間の全体に粉体20を敷き詰めるのに十分な量の粉体20を、供給槽21から造形槽22へ供給することができる。供給槽21から造形槽22に向けて移送された粉体20のうち、造形槽22に入らず、造形槽22内に供給されなかった余剰分の粉体20は、余剰粉体20aとして余剰粉体回収槽29に落下して回収される。
このような余剰粉体20aが生じるようにすると、平坦化ローラ12が供給槽21から造形槽22へ向かう「Y2」方向における造形槽22の下流端まで粉体20を移送する間、平坦化ローラ12の移動方向下流側に常に余剰分の粉体20が存在する。このように平坦化ローラ12の移動方向下流側に余剰分の粉体20が存在することで、その余剰分の粉体20の重みによって所定厚粉体層31を形成する粉体20への押し付け効果が造形槽22における平坦化ローラ12の移動方向下流端まで得られる。この結果、より均一な高い粉体密度の所定厚粉体層31を形成するのに有利である。
次に、図6(b)及び図6(c)に示すように、平坦化ローラ12を、供給槽21から造形槽22へ向かう「Y2」方向(往路の平坦化方向)に移動させる。このとき、平坦化ローラ12を、図6(b)及び図6(c)中の矢印の向き(図6中の反時計回り方向)に回転駆動させる。この回転駆動により、平坦化ローラ12の周面の最下部が「Y2」方向と同方向となる向きに表面移動する。このように平坦化ローラ12が図6中の反時計回り方向に回転しながら「Y2」方向へ移動することにより、供給槽21の上面レベルよりも上方に存在する粉体20を「Y2」方向へスムーズに移送して造形槽22へ供給することができる。そして、平坦化ローラ12が回転しながらさらに「Y2」方向へ移動し、造形槽22の上方を通過する際に、造形槽22に供給された粉体20の表面を均して平坦化する。これにより、最終的に形成される所定厚粉体層31の目標厚み「Δt」よりも厚みのあるプレ粉体層31aを、最上層の層状造形物30の上に形成する。
次いで、図6(d)に示すように、供給槽21の供給ステージ23を「Z2」方向(下方)に移動量「z3」分だけ下降させ、造形槽22の造形ステージ24を「Z1」方向に移動量「z4」分だけ上昇させる。これにより、上述した往路での平坦化処理により造形槽22の造形ステージ24上に形成されたプレ粉体層31aの上層部分の粉体20が造形槽22の上面レベルから上方に盛り上がった状態になる。このときの造形ステージ24の移動量「z4」は、前回形成した下方の所定厚粉体層31の上面と平坦化ローラ12の最下部との間隔が所定厚粉体層31の目標厚み「Δt1」となるように設定される。
その後、図6(e)に示すように、平坦化ローラ12を、造形槽22から供給槽21へ向かうY1方向(復路の平坦化方向)に移動させる。このとき、平坦化ローラ12を、図6(d)中の矢印の向き(図6中の時計回り方向)に回転駆動させる。この回転駆動により、平坦化ローラ12の周面の最下部側が「Y1」方向と同方向となる向きに表面移動する。このように平坦化ローラ12が図6中の時計回り方向に回転しながら「Y1」方向へ移動することにより、造形槽22の上面レベルよりも上方に存在する粉体20が「Y1」方向へ移送されながら造形槽22の粉体20の表面が均されて平坦化される。これにより、造形槽22内に目標厚み「Δt」の所定厚粉体層31が形成される。
そして、平坦化ローラ12が回転しながらさらに「Y1」方向へ移動し、造形槽22の上方を通過したとき、プレ粉体層31aを形成し、所定厚粉体層31の形成には使用されなかった未使用の粉体20が供給槽21に戻される。
所定厚粉体層31の形成後の平坦化ローラ12は、図6(f)に示すように、供給槽21の上方を通過して、初期位置(原点位置)に戻る(復帰する)。その後、図6(a)に示す動作に戻り、ヘッド52から造形液10の液滴を吐出して、形成した所定厚粉体層31に所要形状の層状造形物30を形成する。
以後、上述した粉体20の供給及び平坦化による所定厚粉体層31を形成する粉体層形成工程と、ヘッド52による造形液10の吐出を行う造形液吐出工程とを、行うことで形成済みの層状造形物30の上方に新たな層状造形物30を形成する。
層状造形物30は、例えば、ヘッド52から吐出された造形液10が粉体20と混合されることで、粉体20に含まれる接着剤が溶解し、溶解した接着剤同士が結合して粉体20が結合されることで形成される。新たな層状造形物30とその下層の層状造形物30とは一体化して三次元造形物の一部を構成する。
上述した粉体層形成工程と造形液吐出工程とを必要な回数繰り返すことによって、層状造形物30が積層された三次元形状造形物(立体造形物)を完成させる。
図7は、所定厚粉体層31に造形液10の液滴を吐出して着弾させたときの説明図である。
図7では、「300×300[dpi](約85[μm]相当)」のピッチで二次元画像データを作成し、このデータに基づいて所定厚粉体層31に造形液10の液滴を吐出して着弾させたときの浸透状態を示している。
図6を用いて説明した所定厚粉体層31の形成動作では、平坦化ローラ12を往復移動させて往路と復路とで二回の平坦化処理を実行することにより一層の所定厚粉体層31を形成する。平坦化処理の回数は三回以上であってもよい。このように複数回の平坦化処理を実行して一層の所定厚粉体層31を形成する場合、所定厚粉体層31を構成する粉体20の密度を段階的に高めることができ、高い粉体密度で均一化された所定厚粉体層31を形成するのに有利である。
複数回の平坦化処理を実行する構成では、一回目の平坦化処理は、粉体20を造形槽22に供給する供給処理でもある。そして、二回目以降の平坦化処理は、造形槽22に形成されたプレ粉体層31aにおける所定厚粉体層31の目標厚み「Δt」の部分よりも表層側の粉体20を除去する除去処理でもある。
本実施形態では、平坦化部材として平坦化ローラ12のようなローラ部材を用いているため、平坦化処理時には、平坦化部材の移動方向前方で粉体20に接触する接触面(平坦化ローラ12の周面のうちの移動方向前方下側部分)が斜め下方を向く。そのため、平坦化部材を移動させることで、その接触面により粉体20を移動方向へ移送するとともに下方へ押し込む力を生じさせる。よって、このような平坦化部材を用いることで、粉体密度を高める効果が得られる。
本実施形態の三次元造形装置100では、一層の所定厚粉体層31を形成する際に、複数回の除去処理を実行する。さらに、複数回の除去処理における最後の除去処理と他の除去処理とで、プレ粉体層31aにおける除去する部分の層厚と、平坦化ローラ12の回転速度との、少なくとも一方の条件を異ならせる構成となっている。
以下、一層の所定厚粉体層31を形成する際に、複数回の除去処理を実行する構成で、除去処理における除去する粉体20の層厚と平坦化ローラ12の回転速度とを一定とした参考構成例について説明する。
〔参考構成例〕
図8乃至図16は、参考構成例の粉体層形成動作の説明図であり、粉体保持部1の供給槽21と造形槽22とを図1中の右方から見た概略断面図である。
図8乃至図10を用いて、参考構成例の粉体層形成動作における粉体供給工程について説明する。
まず、図8に示すように、供給ステージ23を、Z方向(上下方向)に、平坦化ローラ12に対して相対的に「Δt1」(=264[μm])上昇させる。また、図9に示すように、造形ステージ24を、Z方向に、平坦化ローラ12に対して相対的に「Δt2」(=240[μm])下降させる。次に、図10に示すように、平坦化ローラ12を「Y2」方向に、粉体収容槽11に対して相対的に「V1」(=50[mm/s])の速度で平行移動させる。このとき、平坦化ローラ12を粉体保持部1内の粉体20を巻き上げる方向(図10中の反時計回り方向)に回転速度「N1」(=2[rps])で回転させながら平行移動させる。このとき、供給ステージ23上の粉体20のうち、図8及び図9中の斜線のハッチングを付した部分が平坦化ローラ12に押されて造形ステージ24に向けて移送される。
これにより、図10に示すように、造形槽22に粉体20を供給し、平坦化して、層厚が240[μm]のプレ粉体層31aを形成する。このときの粉体20を供給しつつ供給した粉体20の粉体層を平坦化するように平坦化ローラ12を移動させる処理が、第一回目の平坦化処理となる。
次に、図11乃至図16を用いて、参考構成例の粉体層形成動作における粉体除去工程について説明する。
図11及び図12は、第一回目の除去処理となる第二回目の平坦化処理の説明図である。
第二回目の平坦化処理では、図11に示すように、供給ステージ23を、Z方向に、平坦化ローラ12に対して相対的に「Δt3」(=306[μm])下降させる。この平坦化ローラ12に対する供給ステージ23の下降は、除去処理のために供給ステージ23の上方を水平方向に移動する平坦化ローラ12が供給槽21内の粉体20と接触することを防止するためである。
さらに、第二回目の平坦化処理では、図11に示すように、造形ステージ24を、Z方向に、平坦化ローラ12に対して相対的に「Δt4」(=60[μm])上昇させる。
次に、図12に示すように、平坦化ローラ12を「Y1」方向に、粉体収容槽11に対して相対的に「V2」(=50[mm/s])の速度で平行移動させる。このとき、平坦化ローラ12を造形槽22内の粉体20を巻き上げる方向(図12中の時計回り方向)に回転速度「N2」(=5[rps])で回転させながら平行移動させる。これにより、図12に示すように、造形槽22に形成されたプレ粉体層31aにおける厚さ「Δt4」の上層部分を除去しつつ、プレ粉体層31aの上面を平坦化する。
第二回目の平坦化処理で、造形ステージ24上のプレ粉体層31aから平坦化ローラ12に押されて除去された粉体20の一部または全部は、平坦化ローラ12に押されて供給槽21に戻される。
図13及び図14は、第二回目の除去処理となる第三回目の平坦化処理の説明図である。
第三回目の平坦化処理では、図13に示すように、造形ステージ24を、Z方向に、平坦化ローラ12に対して相対的に「Δt5」(=60[μm])上昇させる。
次に、図14に示すように、平坦化ローラ12を「Y2」方向に、粉体収容槽11に対して相対的に「V3」(=50[mm/s])の速度で平行移動させる。このとき、平坦化ローラ12を造形槽22内の粉体20を巻き上げる方向(図14中の反時計回り方向)に回転速度「N3」(=5[rps])で回転させながら平行移動させる。これにより、図14に示すように、造形槽22に形成されたプレ粉体層31aにおける厚さ「Δt5」の上層部分を除去しつつ、プレ粉体層31aの上面を平坦化する。
第三回目の平坦化処理で、造形ステージ24上のプレ粉体層31aから平坦化ローラ12に押されて除去された粉体20の一部または全部は、平坦化ローラ12に押されて余剰粉体回収槽29に回収される。
図15及び図16は、第三回目の除去処理となる第四回目の平坦化処理の説明図である。
第四回目の平坦化処理では、図15に示すように、造形ステージ24を、Z方向に、平坦化ローラ12に対して相対的に「Δt6」(=60[μm])上昇させる。
次に、図16に示すように、平坦化ローラ12を「Y1」方向に、粉体収容槽11に対して相対的に「V4」(=50[mm/s])の速度で平行移動させる。このとき、平坦化ローラ12を造形槽22内の粉体20を巻き上げる方向(図16中の時計回り方向)に回転速度「N4」(=5[rps])で回転させながら平行移動させる。これにより、造形槽22に形成されたプレ粉体層31aにおける厚さ「Δt6」の上層部分を除去しつつ、粉体層の上面を平坦化して、所定の層厚(60[μm])の所定厚粉体層31を形成する。
第四回目の平坦化処理で、造形ステージ24上のプレ粉体層31aから平坦化ローラ12に押されて除去された粉体20の一部または全部は、平坦化ローラ12に押されて供給槽21に戻される。
次に、参考構成例の評価試験について説明する。
まず評価方法について説明する。
粉体20としては、次のようなものを用いた。すなわち、平均粒径「8[μm]」のSUS粉体(山陽特殊製鋼製PSS316L)に有機材料(ポバール製DF−05)をコーティングした。このコーティングされたSUS粉体に対しアクリル樹脂(綜研化学妹製MP−1451)0.25[wt%]を添加した混合粉体を用いた。そして、図8乃至図16を用いて説明した参考構成例の粉体層形成工程を実行し、造形槽22に形成された所定厚粉体層31の粉体20の空間率を評価した。
比較構成例として、平坦化処理を二回実行した構成、すなわち、除去処理を一回実行した構成では、造形槽22に形成された所定厚粉体層31の空間率は60.4[%]であった。これに対して、参考構成例のように除去処理を三回実行した構成では、造形槽22に形成された所定厚粉体層31の空間率は58.6[%]であった。この評価試験によって、粉体20の除去を一回から三回に増加させることで、造形槽22に形成される所定厚粉体層31の粉体20の空間率が低減するこが確認できた。
三次元造形装置100は、所定厚粉体層31に対して造形液10の液滴を吐出して所定厚粉体層31の粉体20が結合された層状造形物30を順次積層して立体造形物(三次元造形物)を形成する。上述した参考構成例では、一層の層状造形物30を形成するための一層の所定厚粉体層31の形成する際に、造形槽22に粉体20を必要量より多く供給し、余分に供給した粉体20を除去する除去処理を複数回(三回)実行する。
除去処理が一回のみであると、余剰の粉体20を除去する処理による造形槽22内の粉体20の密度の向上を図る効果は一度分しか得られず、除去処理による造形槽22内の粉体20の密度向上の効果を十分に活用できない。
これに対して参考構成例では、第一回目の平坦化処理で、造形槽22に所望の積層ピッチ(所定厚粉体層31の目標厚み「Δt」)よりも厚みが大きい粉体層(プレ粉体層31a)を形成する。そして、第j回目(2≦j<M)の平坦化処理(第「j−1」回目の除去処理)で、造形槽22に供給された積層ピッチに対し余分な粉体20を一部除去し、第M回目の平坦化処理(第「M−1」回目の除去処理)で所望の積層ピッチと一致させる。
この構成により、造形槽22内に形成された所定厚粉体層31の密度を向上させることができ、その結果、造形物の密度を向上させることができる。
後述する各実施例でも参考構成例と同様に、複数回の除去処理を行って所定厚粉体層31を形成するため、除去処理を一回しか行わない構成に比べて、所定厚粉体層31の密度を向上させ、造形物の密度を向上させることができる。
〔実施例1〕
次に、三次元造形装置100の粉体層形成動作の一つ目の実施例(以下、「実施例1」という。)について説明する。
実施例1の粉体層形成動作は、複数回の除去処理における最後の除去処理と他の除去処理とで除去する粉体20の層厚の条件を異ならせる構成である。
実施例1の粉体層形成動作における粉体供給工程は、図8乃至図10を用いて説明した参考構成例の粉体層形成動作における粉体供給工程と同様である。また、参考構成例と同様に、粉体供給工程での粉体20を造形槽22に供給しつつ平坦化するように平坦化ローラ12を移動させる処理が、第一回目の平坦化処理となる。
次に、図17乃至図22を用いて、実施例1の粉体層形成動作における粉体除去工程について説明する。
図17及び図18は、第一回目の除去処理となる第二回目の平坦化処理の説明図である。
第二回目の平坦化処理では、図17に示すように、供給ステージ23を、Z方向に、平坦化ローラ12に対して相対的に「Δt3」(=306[μm])下降させる。さらに、第二回目の平坦化処理では、図17に示すように、造形ステージ24を、Z方向に、平坦化ローラ12に対して相対的に「Δt4」(=90[μm])上昇させる。
次に、図18に示すように、平坦化ローラ12を「Y1」方向に、粉体収容槽11に対して相対的に「V2」(=50[mm/s])の速度で平行移動させる。このとき、平坦化ローラ12を造形槽22内の粉体20を巻き上げる方向(図18中の時計回り方向)に回転速度「N2」(=5[rps])で回転させながら平行移動させる。これにより、図18に示すように、造形槽22に形成されたプレ粉体層31aにおける厚さ「Δt4」の上層部分を除去しつつ、プレ粉体層31aの上面を平坦化する。
図19及び図20は、第二回目の除去処理となる第三回目の平坦化処理の説明図である。
第三回目の平坦化処理では、図19に示すように、造形ステージ24を、Z方向に、平坦化ローラ12に対して相対的に「Δt5」(=60[μm])上昇させる。
次に、図20に示すように、平坦化ローラ12を「Y2」方向に、粉体収容槽11に対して相対的に「V3」(=50[mm/s])の速度で平行移動させる。このとき、平坦化ローラ12を造形槽22内の粉体20を巻き上げる方向(図20中の反時計回り方向)に回転速度「N3」(=5[rps])で回転させながら平行移動させる。これにより、図20に示すように、造形槽22に形成されたプレ粉体層31aにおける厚さ「Δt5」の上層部分を除去しつつ、プレ粉体層31aの上面を平坦化する。
図21及び図22は、第三回目の除去処理となる第四回目の平坦化処理の説明図である。
第四回目の平坦化処理では、図21に示すように、造形ステージ24を、Z方向に、平坦化ローラ12に対して相対的に「Δt6」(=30[μm])上昇させる。
次に、図22に示すように、平坦化ローラ12を「Y1」方向に、粉体収容槽11に対して相対的に「V4」(=50[mm/s])の速度で平行移動させる。このとき、平坦化ローラ12を造形槽22内の粉体20を巻き上げる方向(図22中の時計回り方向)に回転速度「N4」(=5[rps])で回転させながら平行移動させる。これにより、造形槽22に形成されたプレ粉体層31aにおける厚さ「Δt6」の上層部分を除去しつつ、粉体層の上面を平坦化して、所定の層厚(60[μm])の所定厚粉体層31を形成する。
実施例1の粉体層形成動作では、所定厚粉体層31の粉体密度の向上を目的として、上述した参考構成例と同様に、造形槽22に形成したプレ粉体層31aの表層を複数回削る(複数回除去する)ことによって一層の所定厚粉体層31を形成する。
そして、実施例1では、一層の所定厚粉体層31を複数回削りで形成するときに、プレ粉体層31aの厚みが目標とする厚み(Δt)に近づくにつれて、粉体20の削り量(粉体除去量)を小さくする。すなわち、終盤は少なく削る。具体的には、実施例1では、プレ粉体層31aを三回削って所定厚粉体層31を形成する工程で、第一回目は90[μm]、第二回目は60[μm]、第三回目は30[μm]と、最後の第三回目の除去処理での削り量を小さくしている。
プレ粉体層31aの厚みが目標とする厚みに近づいているときは、平坦化ローラ12と造形物(層状造形物30)の距離が近いということである。このときに削る粉体量が小さいと、平坦化ローラ12が粉体20を押し込む力を、削る粉体20の層を介して、下方の最終的に所定厚粉体層31として残る粉体20まで伝えることができ、所定厚粉体層31の粉体密度を向上できる。これにより、所定厚粉体層31の粉体20を結合して形成される立体造形物の品質を向上させることができる。
最後に実行する除去処理で削る粉体20の層厚が大きいと、次のような問題がある。すなわち、最後の除去処理の一つ前の除去処理で平坦化ローラ12が下方に押圧する力は、平坦化ローラ12の下方の離れた位置(最後の除去処理で削る層厚分だけ離れた位置)にある所定厚粉体層31として残る粉体20には伝わり難い。
また、すでに形成されている層状造形物30よりも十分上となるプレ粉体層31aの上層部分の粉体20を削る除去処理(つまり複数回削りの序盤)では、造形速度の観点からも、一回の除去処理で削る粉体20の層厚(削りピッチ)を大きくしてもよい。
しかし、粉体層における層状造形物30の近くとなる層の粉体20を削る除去処理(つまり複数回削りの終盤)では、最終的に所定厚粉体層31として残る粉体20に作用する垂直方向の力を大きくするために、削りピッチを小さくする。これにより、最後の除去処理の一つ前の除去処理において、平坦化ローラ12が下方に押圧する力によって、所定厚粉体層31として残る粉体20に作用する垂直方向の力を大きくできる。よって、所定厚粉体層31を形成する粉体20を圧縮でき、粉体密度を高くすることができる。
また、最後の除去処理では、所定厚粉体層31として残す粉体20の上面に平坦化ローラ12が直接接触する。このため、最後の除去処理では、平坦化ローラ12が下方に押圧する力によって、所定厚粉体層31として残る粉体20に作用する力は、削りピッチの大小の影響はほとんどないと考えられる。このため、最後の除去処理での削りピッチを小さくする実施例1の方が、全ての除去処理で削りピッチが均等な参考構成例よりも、最後の除去処理の一つ前の除去処理で粉体密度を高くすることができ、所定厚粉体層31の粉体密度を向上できる。
実施例1では、所定厚粉体層31として残す粉体20に近い粉体20を除去する第三回目の除去処理において、除去する粉体20の層厚を30[μm]と薄くしている。これにより、一つ前の除去処理である第二回目の除去処理で平坦化ローラ12がプレ粉体層31aの上面を下方に押し込む力が、所定厚粉体層31として残す粉体20に伝わり易くなり、所定厚粉体層31の粉体密度の向上を図ることができる。また、実施例1では、形成直後のプレ粉体層31aの上層となる部分を除去する除去処理(つまり複数回削りの序盤)では、除去する粉体20の層厚を90[μm]と厚くしている。このように最後に実行する除去処理よりも削り量を大きくすることで、所定の層厚の部分よりも表層側の粉体20を除去するために要する除去処理の回数を削減でき、粉体層形成動作に要する時間の短縮を図ることができる。
〔実施例2〕
次に、三次元造形装置100の粉体層形成動作の二つ目の実施例(以下、「実施例2」という。)について説明する。
実施例2の粉体層形成動作は、複数回の除去処理における最後の除去処理と他の除去処理とで平坦化ローラ12の回転速度の条件を異ならせる構成である。
実施例2の粉体層形成動作における粉体供給工程は、図8乃至図10を用いて説明した参考構成例の粉体層形成動作における粉体供給工程と同様である。また、参考構成例と同様に、粉体供給工程での粉体20を造形槽22に供給しつつ平坦化するように平坦化ローラ12を移動させる処理が、第一回目の平坦化処理となる。
次に、実施例2の粉体層形成動作における粉体除去工程について説明する。実施例2の粉体除去工程では、平坦化ローラ12の回転速度が異なる点以外は、上述した参考構成例の粉体除去工程と同様であるため、参考構成例の粉体除去工程の説明に用いた図11乃至図16を用いて、実施例2の粉体除去工程について説明する。
図11及び図12は、第一回目の除去処理となる第二回目の平坦化処理の説明図である。
第二回目の平坦化処理では、図11に示すように、供給ステージ23を、Z方向に、平坦化ローラ12に対して相対的に「Δt3」(=306[μm])下降させる。
さらに、第二回目の平坦化処理では、図11に示すように、造形ステージ24を、Z方向に、平坦化ローラ12に対して相対的に「Δt4」(=60[μm])上昇させる。
次に、図12に示すように、平坦化ローラ12を「Y1」方向に、粉体収容槽11に対して相対的に「V2」(=50[mm/s])の速度で平行移動させる。このとき、平坦化ローラ12を造形槽22内の粉体20を巻き上げる方向(図12中の時計回り方向)に回転速度「N2」(=1[rps])で回転させながら平行移動させる。これにより、図12に示すように、造形槽22に形成されたプレ粉体層31aにおける厚さ「Δt4」の上層部分を除去しつつ、プレ粉体層31aの上面を平坦化する。
図13及び図14は、第二回目の除去処理となる第三回目の平坦化処理の説明図である。
第三回目の平坦化処理では、図13に示すように、造形ステージ24を、Z方向に、平坦化ローラ12に対して相対的に「Δt5」(=60[μm])上昇させる。
次に、図14に示すように、平坦化ローラ12を「Y2」方向に、粉体収容槽11に対して相対的に「V3」(=50[mm/s])の速度で平行移動させる。このとき、平坦化ローラ12を造形槽22内の粉体20を巻き上げる方向(図14中の反時計回り方向)に回転速度「N3」(=2[rps])で回転させながら平行移動させる。これにより、図14に示すように、造形槽22に形成されたプレ粉体層31aにおける厚さ「Δt5」の上層部分を除去しつつ、プレ粉体層31aの上面を平坦化する。
図15及び図16は、第三回目の除去処理となる第四回目の平坦化処理の説明図である。
第四回目の平坦化処理では、図15に示すように、造形ステージ24を、Z方向に、平坦化ローラ12に対して相対的に「Δt6」(=60[μm])上昇させる。
次に、図16に示すように、平坦化ローラ12を「Y1」方向に、粉体収容槽11に対して相対的に「V4」(=50[mm/s])の速度で平行移動させる。このとき、平坦化ローラ12を造形槽22内の粉体20を巻き上げる方向(図16中の時計回り方向)に回転速度「N4」(=5[rps])で回転させながら平行移動させる。これにより、造形槽22に形成されたプレ粉体層31aにおける厚さ「Δt6」の上層部分を除去しつつ、粉体20の層の上面を平坦化して、所定の層厚(60[μm])の所定厚粉体層31を形成する。
実施例2の粉体層形成動作では、平坦化ローラ12の回転速度が、「N2<N3<N4」となっており、複数回削りの終盤の平坦化ローラ12の回転速度を大きくしている。平坦化ローラ12の回転速度が小さいと、平坦化ローラ12と粉体20との間、及び、粉体20の粒子同士の間で静止摩擦力が作用し易くなる。
移動中の平坦化ローラ12の周面に接する粉体20は、平坦化ローラ12の周面との間の摩擦力によって平坦化方向へ変位しようとする。このとき、平坦化ローラ12と粉体20との間に静止摩擦力が作用し易い状態であると、動摩擦力よりも大きい静止摩擦力が作用することで、粉体20が平坦化方向へ変位し易くなる。また、粉体20の粒子同士の間に静止摩擦力が作用し易い状態であると、平坦化方向に変位する粉体20とこれに接する下方の粉体20との間の摩擦力によって、当該下方の粉体20も平坦化方向に変位し易くなる。
よって、静止摩擦が作用し易い状態では、平坦化ローラ12による水平方向の力が除去処理後に残る粉体20に作用し易くなり、除去処理の後に残った粉体20の層に水平方向の粒子のずれが生じ易くなる。そして、平坦化ローラ12と造形物(層状造形物30)の距離が近くなる複数回削りの終盤で、水平方向の力が除去処理後に残る粉体20に作用すると、最終的に所定厚粉体層31として残る粉体20に粒子のずれが生じて、密度のムラが生じるおそれがある。さらに、最終的に所定厚粉体層31として残る粉体20を介して、その下方に形成された造形物(層状造形物30)に水平方向の力が作用して、位置ズレが生じ、立体造形物に変形が生じるおそれがある。
これに対して実施例2では、複数回削りの終盤の平坦化ローラ12の回転速度を大きくし、平坦化ローラ12と粉体20との間、及び、粉体20の粒子同士の間で動摩擦を作用し易くし、静止摩擦が作用することを抑制している。これにより、平坦化ローラ12による水平方向の力が除去処理後に残る粉体20に作用し難くなる。このため、複数回削りの終盤で、水平方向の力が除去処理後に残る粉体20に作用することを抑制し、最終的に所定厚粉体層31として残る粉体20に粒子のずれが生じることを抑制し、密度のムラが生じることを抑制できる。密度のムラが生じることを抑制することで、所定厚粉体層31の粉体密度の向上を図ることができる。
さらに、最終的に所定厚粉体層31として残る粉体20の下方に形成された造形物(層状造形物30)に水平方向の力が作用することを抑制でき、立体造形物に変形が生じることを抑制できる。粉体20の密度のムラや立体造形物の変形が生じることを抑制することにより、立体造形物の品質を向上させることができる。
層状造形物30から充分に離れた上層部分を除去する除去処理(つまり複数回削りの序盤)では、プレ粉体層31aの粉体20を水平方向に揺らすことで粉体密度の向上を図り、最終的に所定厚粉体層31として残る粉体20の密度の向上を図ることができる。このため、複数回削りの序盤では、平坦化ローラ12の回転速度は小さくてもよい。
上述した実施例1では、複数回の除去処理における最後の除去処理と他の除去処理とで除去する粉体20の層厚の条件を異ならせた構成である。また、上述した実施例2では、複数回の除去処理における最後の除去処理と他の除去処理とで平坦化ローラ12の回転速度の条件を異ならせた構成である。
三次元造形装置100の粉体層形成工程では、複数回の除去処理における最後の除去処理と他の除去処理とで、除去する粉体20の層厚と、平坦化ローラ12の回転速度との、両方の条件を異ならせる構成としてもよい。
この構成の場合、複数回削りの終盤ほど、除去する粉体20の層厚を薄くしつつ、平坦化ローラ12の回転速度を上げる。これにより、実施例1と同様に粉体層形成動作に要する時間の短縮を図りつつ、所定厚粉体層31の粉体密度の向上を図ることができる。さらに、実施例2と同様に、密度のムラや立体造形物の変形が生じることを抑制することができる。
また、平坦化ローラ12の回転速度を大きくすると、その周面の表面移動につれまわる粉体20が少なくなり、下層のずれを抑制できるが、回転速度を大きくすると巻き上げられる粉体20の量が多くなる。これに対して、複数回削りの終盤では、削る厚さを薄くした状態で平坦化ローラ12の回転速度を大きくする構成では、回転速度を大きくすることに起因して粉体20が巻き上げられる不具合を抑制できる。
〔実施例3〕
次に、三次元造形装置100の粉体層形成動作の三つ目の実施例(以下、「実施例3」という。)について説明する。
実施例3は、形成する層状造形物30の階層によって粉体層形成動作の条件を異ならせる構成である。以下の各階層の粉体層形成動作の上面の説明では、参考構成例の粉体層形成動作の説明に用いた図8乃至図16と、実施例1の粉体層形成動作の説明に用いた図17乃至図22とを用いて説明する。
〔第一層目〜第二十層目〕
実施例3の第一層目から第二十層目までの粉体供給工程では、図8に示す「Δt1」として、供給ステージ23を、Z方向(上下方向)に、平坦化ローラ12に対して相対的に「192[μm]」上昇させる。
また、図9に示す「Δt2」として、造形ステージ24を、Z方向に、平坦化ローラ12に対して相対的に「120[μm]」下降させる。
次に、図10に示すように、平坦化ローラ12を「Y2」方向に、粉体収容槽11に対して相対的に「V1」(=50[mm/s])の速度で平行移動させる。このとき、平坦化ローラ12を造形槽22内の粉体20を巻き上げる方向(図10中の反時計回り方向)に回転速度「N1」(=5[rps])で回転させながら平行移動させる。
これにより、図10に示すように、造形槽22に粉体20を供給し、平坦化して、層厚が120[μm]のプレ粉体層31aを形成する。このときの粉体20を造形槽22に供給しつつ平坦化するように平坦化ローラ12を移動させる処理が、第一回目の平坦化処理となる。
次に、図11及び図12を用いて実施例3の第一層目から第二十層目までの粉体層形成動作における粉体除去工程について説明する。
実施例3の第一層目から第二十層目までの粉体除去工程では、除去処理を一回のみ行う。
図11及び図12は、除去処理となる第二回目の平坦化処理の説明図である。
第二回目の平坦化処理では、図11に示すように、供給ステージ23を、Z方向に、平坦化ローラ12に対して相対的に「Δt3」(=306[μm])下降させる。
さらに、第二回目の平坦化処理では、図11に示すように、造形ステージ24を、Z方向に、平坦化ローラ12に対して相対的に「Δt4」(=60[μm])上昇させる。
次に、図12に示すように、平坦化ローラ12を「Y1」方向に、粉体収容槽11に対して相対的に「V2」(=50[mm/s])の速度で平行移動させる。このとき、平坦化ローラ12を造形槽22内の粉体20を巻き上げる方向(図12中の時計回り方向)に回転速度「N2」(=5[rps])で回転させながら平行移動させる。これにより、図12に示すように、造形槽22に形成されたプレ粉体層31aにおける厚さ「Δt4」の上層部分を除去しつつ、粉体20の層の上面を平坦化して、所定の層厚(60[μm])の所定厚粉体層31を形成する。
このように、実施例3の第一層目から第二十層目までの粉体除去工程では、二回の平坦化処理を行い、そのうちの一回が除去処理である。
〔第二十一層目〜第四十層目〕
実施例3の第二十一層目から第四十層目までの粉体供給工程では、図8に示す「Δt1」として、供給ステージ23を、Z方向(上下方向)に、平坦化ローラ12に対して相対的に「264[μm]」上昇させる。
また、図9に示す「Δt2」として、造形ステージ24を、Z方向に、平坦化ローラ12に対して相対的に「180[μm]」下降させる。
次に、図10に示すように、平坦化ローラ12を「Y2」方向に、粉体収容槽11に対して相対的に「V1」(=50[mm/s])の速度で平行移動させる。このとき、平坦化ローラ12を造形槽22内の粉体20を巻き上げる方向(図10中の反時計回り方向)に回転速度「N1」(=5[rps])で回転させながら平行移動させる。
これにより、図10に示すように、造形槽22に粉体20を供給し、平坦化して、層厚が180[μm]のプレ粉体層31aを形成する。このときの粉体20を造形槽22に供給しつつ平坦化するように平坦化ローラ12を移動させる処理が、第一回目の平坦化処理となる。
次に、図11乃至図14を用いて実施例3の第二十一層目から第四十層目までの粉体層形成動作における粉体除去工程について説明する。
実施例3の第二十一層目から第四十層目までの粉体除去工程では、除去処理を二回行う。
図11及び図12は、第一回目の除去処理となる第二回目の平坦化処理の説明図である。
第二回目の平坦化処理では、図11に示すように、供給ステージ23を、Z方向に、平坦化ローラ12に対して相対的に「Δt3」(=306[μm])下降させる。さらに、図11に示すように、造形ステージ24を、Z方向に、平坦化ローラ12に対して相対的に「Δt4」(=90[μm])上昇させる。
次に、図12に示すように、平坦化ローラ12を「Y1」方向に、粉体収容槽11に対して相対的に「V2」(=50[mm/s])の速度で平行移動させる。このとき、平坦化ローラ12を造形槽22内の粉体20を巻き上げる方向(図12中の時計回り方向)に回転速度「N2」(=5[rps])で回転させながら平行移動させる。これにより、図12に示すように、造形槽22に形成されたプレ粉体層31aにおける厚さ「Δt4」の上層部分を除去しつつ、プレ粉体層31aの上面を平坦化する。
図13及び図14は、第二回目の除去処理となる第三回目の平坦化処理の説明図である。
第三回目の平坦化処理では、図13に示すように、造形ステージ24を、Z方向に、平坦化ローラ12に対して相対的に「Δt5」(=60[μm])上昇させる。
次に、図14に示すように、平坦化ローラ12を「Y2」方向に、粉体収容槽11に対して相対的に「V3」(=50[mm/s])の速度で平行移動させる。このとき、平坦化ローラ12を造形槽22内の粉体20を巻き上げる方向(図14中の反時計回り方向)に回転速度「N3」(=5[rps])で回転させながら平行移動させる。これにより、図14に示すように、造形槽22に形成されたプレ粉体層31aにおける厚さ「Δt5」の上層部分を除去しつつ、粉体20の層の上面を平坦化して、所定の層厚(60[μm])の所定厚粉体層31を形成する。
このように、実施例3の第二十一層目から第四十層目までの粉体除去工程では、三回の平坦化処理を行い、そのうちの二回が除去処理である。
〔第四十一層目以降〕
実施例3の第四十一層目以降の粉体層形成動作では、上述した実施例1と同様の粉体層形成動作を行う。
実施例3の第四十一層目以降の粉体供給工程では、図8に示す「Δt1」として、供給ステージ23を、Z方向(上下方向)に、平坦化ローラ12に対して相対的に「264[μm]」上昇させる。また、図9に示す「Δt2」として、造形ステージ24を、Z方向に、平坦化ローラ12に対して相対的に「240[μm]」下降させる。
次に、図10に示すように、平坦化ローラ12を「Y2」方向に、粉体収容槽11に対して相対的に「V1」(=50[mm/s])の速度で平行移動させる。このとき、平坦化ローラ12を造形槽22内の粉体20を巻き上げる方向(図10中の反時計回り方向)に回転速度「N1」(=5[rps])で回転させながら平行移動させる。
これにより、図10に示すように、造形槽22に粉体20を供給し、平坦化して、層厚が240[μm]のプレ粉体層31aを形成する。このときの粉体20を供給しつつ平坦化するように平坦化ローラ12を移動させる処理が、第一回目の平坦化処理となる。
次に、図17乃至図22を用いて実施例3の第四十一層目以降の粉体層形成動作における粉体除去工程について説明する。
実施例3の第四十一層目以降の粉体除去工程では、除去処理を三回行う。
図17及び図18は、第一回目の除去処理となる第二回目の平坦化処理の説明図である。
第二回目の平坦化処理では、図17に示すように、供給ステージ23を、Z方向に、平坦化ローラ12に対して相対的に「Δt3」(=306[μm])下降させる。さらに、第二回目の平坦化処理では、図17に示すように、造形ステージ24を、Z方向に、平坦化ローラ12に対して相対的に「Δt4」(=90[μm])上昇させる。
次に、図18に示すように、平坦化ローラ12を「Y1」方向に、粉体収容槽11に対して相対的に「V2」(=50[mm/s])の速度で平行移動させる。このとき、平坦化ローラ12を造形槽22内の粉体20を巻き上げる方向(図18中の時計回り方向)に回転速度「N2」(=5[rps])で回転させながら平行移動させる。これにより、図18に示すように、造形槽22に形成されたプレ粉体層31aにおける厚さ「Δt4」の上層部分を除去しつつ、プレ粉体層31aの上面を平坦化する。
図19及び図20は、第二回目の除去処理となる第三回目の平坦化処理の説明図である。
第三回目の平坦化処理では、図19に示すように、造形ステージ24を、Z方向に、平坦化ローラ12に対して相対的に「Δt5」(=60[μm])上昇させる。
次に、図20に示すように、平坦化ローラ12を「Y2」方向に、粉体収容槽11に対して相対的に「V3」(=50[mm/s])の速度で平行移動させる。このとき、平坦化ローラ12を造形槽22内の粉体20を巻き上げる方向(図20中の反時計回り方向)に回転速度「N3」(=5[rps])で回転させながら平行移動させる。これにより、図20に示すように、造形槽22に形成されたプレ粉体層31aにおける厚さ「Δt5」の上層部分を除去しつつ、プレ粉体層31aの上面を平坦化する。
図21及び図22は、第三回目の除去処理となる第四回目の平坦化処理の説明図である。
第四回目の平坦化処理では、図21に示すように、造形ステージ24を、Z方向に、平坦化ローラ12に対して相対的に「Δt6」(=30[μm])上昇させる。
次に、図22に示すように、平坦化ローラ12を「Y1」方向に、粉体収容槽11に対して相対的に「V4」(=50[mm/s])の速度で平行移動させる。このとき、平坦化ローラ12を造形槽22内の粉体20を巻き上げる方向(図22中の時計回り方向)に回転速度「N4」(=5[rps])で回転させながら平行移動させる。これにより、造形槽22に形成されたプレ粉体層31aにおける厚さ「Δt6」の上層部分を除去しつつ、粉体20の層の上面を平坦化して、所定の層厚(60[μm])の所定厚粉体層31を形成する。
このように、実施例3の第四十一層目以降の粉体除去工程では、四回の平坦化処理を行い、そのうちの三回が除去処理である。
上述したように、実施例3は、下層では粉体層形成動作における除去処理の回数を減らす構成となっている。
立体造形物を構成する層状造形物30のうち下層部は、上層部の粉体除去工程による粉体圧縮の効果を受けることができるため、粉体除去工程の回数は比較的少なくてもよい。
実施例3では、下層での除去処理回数を減らすことで、生産性を向上できる。
次に本実施形態の三次元造形装置100における供給ステージ23の上昇幅について説明する。
粉体供給工程及び粉体除去工程を実行する手段として、すべて平坦化ローラ12による平坦化を用いた場合、第一回目の平坦化工程において、必要となる供給ステージ23の上昇幅は、次のように推定される。すなわち、最大で「積層ピッチ」×「平坦化実行回数」×「供給ステージ23に対する造形ステージ24の面積比」+100[μm]と、推定される。これは以下の理由による。
すなわち、上述した参考構成例の評価試験において、第一回目の平坦化処理では、造形ステージ24の下降幅は240[μm]であった。
これは「積層ピッチ:60[μm]」×「平坦化実行回数:4回」×「供給ステージ23に対する造形ステージ24の面積比:1」と表される。そして、造形ステージ24の下降幅が240[μm]とするのに対し、供給ステージ23の上昇幅は264[μm]とすることで、造形槽22内に均一なプレ粉体層31aを形成できている。
このとき、供給ステージ23の上昇幅は、「積層ピッチ:60[μm]」×「平坦化実行回数:4回」×「供給ステージ23に対する造形ステージ24の面積比:1」+24[μm]で表すことができる。
よって、造形時に必要となる供給ステージ23の上昇幅は、最大で「積層ピッチ」×「平坦化実行回数」×「供給ステージ23に対する造形ステージ24の面積比」+100[μm]を見積もっておけば、十分ということになる。第一回目の平坦化処理における供給ステージ23の上昇幅を上述のように設定することで、造形槽22に、均一なプレ粉体層31aを形成するために十分な粉体20を供給することができる。
本実施形態の三次元造形装置100では、所定厚粉体層31に対して造形液10の液滴を付与して所定厚粉体層31の粉体20が結合された層状造形物30を順次積層して立体造形物を形成する。そして、造形槽22内の粉体層の厚さを積層ピッチとさせる工程において、造形槽22に粉体20を供給する工程(粉体供給工程)と、造形槽22に供給された粉体20を除去する工程(粉体除去工程)とを含む。さらに、これらの工程のうち粉体供給工程では粉体20を供給する動作を一回実行する。一方、粉体除去工程では粉体20を除去する動作(除去処理)を複数回実行する。
本実施形態では、粉体除去工程における複数回の除去処理の全てにおいて平坦化処理を実行しているが、複数回の除去処理のうち、少なくとも最後の除去処理において平坦化を実行することが望ましい。これにより、造形液10の付与に適した平坦な粉体面を形成することができる。
本実施形態の三次元造形装置100では、造形槽22内の粉体層の厚さを積層ピッチとさせる工程において、粉体供給工程と、粉体除去工程において、すべて平坦化ローラ12による平坦化を実行している。これにより、粉体20の供給、除去、平坦化を、平坦化ローラ12のみのよって実施することができ、装置を単純化することができる。
〔変形例〕
次に、複数回の除去処理における最後の除去処理と他の除去処理とで、除去する粉体20の層厚と、平坦化ローラ12の回転速度との、少なくとも一方の条件を異ならせる構成が適用可能な三次元造形装置100の変形例について説明する。
図23は、変形例の三次元造形装置100の概略平面説明図、図24は図23中の右方から見た変形例の三次元造形装置100の概略側面説明図である。図25は、図23中の下方から見た変形例の三次元造形装置100の概略正面説明図、図26は、変形例の三次元造形装置100の要部(粉体保持部1及び造形ユニット5)の斜視説明図である。なお、図25は造形時の状態で示している。
変形例の三次元造形装置100は、粉体造形装置であり、粉体保持部1と、造形ユニット5とを備えている。粉体保持部1が供給槽21を備えない点、液体吐出ユニット50のキャリッジ51が粉体供給部80を備える点で、上述した実施形態のものと異なる。また、供給槽21に対する平坦化ローラ12の移動方向がX軸方向である点で、平坦化ローラ12の移動方向がY軸方向である実施形態の三次元造形装置100と異なる。
変形例の三次元造形装置100は、図5に示す制御部500と同様の構成の制御部500を備えており、図5に示す供給ステージ駆動部513の代わりに、粉体供給部80の駆動を制御する供給駆動部を備えている。
粉体保持部1には、粉体20が層状にされた所定厚粉体層31が形成され、粉体20が所要形状に結合された層状造形物30が形成される。造形ユニット5は、造形槽22内で層状に敷き詰められた所定厚粉体層31に造形液10を吐出して立体造形物を造形する。
粉体保持部1は、造形槽22と、平坦化部材(リコータ)である回転体としての平坦化ローラ12などを備えている。なお、平坦化部材は、回転体に代えて、例えば板状部材(ブレード)とすることもできる。
造形槽22には、層状造形物30が積層されて立体造形物が造形される。造形槽22の底部は造形ステージ24として矢印Z方向(高さ方向)に昇降自在となっている。造形ステージ24上に層状造形物30が積層された立体造形物が造形される。
平坦化ローラ12は、造形槽22に供給された粉体20を均して平坦化することで粉体層を形成する。
この平坦化ローラ12は、造形ステージ24のステージ面(粉体20が積載される面)に沿って矢印X方向に、ステージ面に対して相対的に往復移動可能に配置されている。また、平坦化ローラ12は、造形槽22上を回転しながら移動する。
一方、造形ユニット5は、造形ステージ24上の粉体層に造形液10を吐出する液体吐出ユニット50を備えている。
液体吐出ユニット50は、キャリッジ51と、キャリッジ51と、キャリッジ51に搭載された二つ(一つまたは三つ以上でもよい。)の液体吐出ヘッドとして、第一ヘッド52a及び第二ヘッド52b(区別しないときは、「ヘッド52」という。)を備えている。
を備えている。
キャリッジ51は、第一ガイド部材54及び第二ガイド部材55によってX方向に移動可能に保持されている。第一ガイド部材54及び第二ガイド部材55は、X方向の両端が支持部材75(第一支持部材75a及び第二支持部材75b)に支持され、側板70(第一側板70a及び第二側板70b)に対して昇降可能に保持されている。このキャリッジ51は、主走査方向移動機構550を構成するX方向走査モータによってプーリ及びベルトを介して主走査方向であるX方向に往復移動される。
二つのヘッド52は、造形液10を吐出する複数のノズルを配列したノズル列152がそれぞれ二列配置されている(図23では透過状態を示している。)。第一ヘッド52aの二つのノズル列152は、シアン造形液及びマゼンタ造形液をそれぞれ吐出する。第二ヘッド52bの二つのノズル列152は、イエロー造形液及びブラック造形液をそれぞれ吐出する。ヘッド52の構成や吐出する造形液の色はこれに限るものではない。
図23に示すように、これらのシアン造形液、マゼンタ造形液、イエロー造形液及びブラック造形液の各々を収容した複数のタンク60がタンク装着部56に装着され、各色の造形液は供給チューブなどを介してヘッド52に供給される。
また、キャリッジ51には造形槽22の粉体層の上に、粉体20を供給する粉体供給手段である粉体供給部80が搭載されている。粉体供給部80は、粉体20を収容する粉体収容部81と、粉体20を供給する供給口部82と、供給口部82を開閉するシャッタ部材83とを備えている。
X方向におけるキャリッジ51の移動範囲の一方側(図23中の右側)には、液体吐出ユニット50のヘッド52の維持回復を行うメンテナンス機構61が配置されている。変形例のメンテナンス機構61は、上述した実施形態のメンテナンス機構61と同様の構成を備える。
造形ユニット5は、ベース部材7上に配置されたガイド部材71に移動可能に保持されたスライダ部72を有する。そして、副走査方向移動機構552によって、造形ユニット5全体がX方向(主走査方向)に対して直交するY方向(副走査方向)に往復移動可能である。
液体吐出ユニット50は、第一ガイド部材54及び第二ガイド部材55とともに吐出ユニット昇降機構551によってZ方向に昇降可能に配置されている。
上述したように、変形例の三次元造形装置100は供給槽21を備えていない。このため、変形例の制御部500は、図5に示す供給ステージ駆動部513を備えず、その代わりに供給駆動部を備える。この供給駆動部は、粉体供給部80のシャッタ部材83を開いて粉体20の供給を行わせる。
次に、変形例の三次元造形装置100での造形動作の一例について、図27を参照して説明する。
図27(a)〜(d)は、変形例における造形動作の一例を説明するための説明図である。
図27(a)に示すように、造形槽22の造形ステージ24上に層状に敷き詰められた所定厚粉体層31に、ヘッド52を移動させながら造形液10を吐出して、図27(b)に示すように、所要形状の一層目の層状造形物30を形成する。
そして、図27(c)に示すように、造形ステージ24をZ2方向に所定量下降させる。このとき、造形槽22内の層状造形物30が形成された所定厚粉体層31の上面と平坦化ローラ12の下部(下方接線部)との間隔が「Δt」となるように造形ステージ24の下降距離を設定する。この間隔「Δt」が次に形成する所定厚粉体層31の厚さに相当する。間隔「Δt」は、数十〜百[μm]程度であることが好ましい。
次いで、図27(c)に示すように、層状造形物30が形成された所定厚粉体層31上に粉体供給部80から粉体20を供給し、供給した粉体20を平坦化ローラ12によって平坦化する。これにより、図27(d)に示すように、次層の所定厚粉体層31を形成する。
変形例の三次元造形装置100に本発明の構成を適用する場合、次のような制御を行う。すなわち、粉体供給部80から粉体20を供給し、供給した粉体20を平坦化ローラ12によって平坦化するときに、目標厚み「Δt」の所定厚粉体層31ではなく、「Δt」よりも厚いプレ粉体層31aを形成するように、造形ステージ24の下降距離を設定する。プレ粉体層31aを形成後は、造形ステージ24を上昇させ平坦化ローラ12でプレ粉体層31aの上層部分を複数回削る除去処理を複数回繰り返すことで、目標厚み「Δt」の所定厚粉体層31を形成する。そして、上述した実施例1乃至実施例3のように、複数回の除去処理における最後の除去処理と他の除去処理とで、除去する粉体20の層厚と、平坦化ローラ12の回転速度との、少なくとも一方の条件を異ならせる。これにより、所定厚粉体層31の粉体密度を高くし、所定厚粉体層31を構成する粉体20の一部を結合させ、積層することで形成する立体造形物の品質の向上を図ることができる。
上述した実施形態の三次元造形装置100の造形方法は、バインダージェット方式である。本発明の構成を適用可能な造形方法は、バインダージェット方式に限らず、レーザ焼結方式(LS方式等)や電子ビーム焼結方式(EBM方式等)などであってもよい。すなわち、粉体の結合手段として、上述した実施形態では液体吐出ヘッドから吐出される液体を用いて粉体同士を結合させる手段を用いているが、これに代えて、レーザー照射手段等を用いて粉体同士を焼結等により結合させる手段などを用いることもできる。本発明は、粉体層を形成し、粉体層中の粉体を結合させる立体造形方法であれば、適用可能である。
バインダージェット方式の場合、粉体20に石膏を用い、インクジェットヘッドからバインダーインクを吐出し、石膏粉を凝固させることで層状造形物30を形成するのが一般的である。しかし、粉体20に砂を用いて、バインダー樹脂をインクジェットヘッドから吐出することで、鋳型などに利用される三次元造形物を造形することもできる。また、バインダージェット方式であれば、粉体20に、金属、セラミック、ガラス等を用いることもできる。また、バインダージェット方式においては、結合液に溶解可能な材料をコートした粉体20を用い、結合液をインクジェットヘッドから吐出することで、粉体同士をコート材料を介して結合させ、層状造形物30を形成することもできる。
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
造形槽22等の造形部に所定の層厚(「Δt」等)の粉体層である所定厚粉体層31等の所定厚粉体層を形成する粉体層形成動作と、所定厚粉体層の粉体20等の粉体を所要形状に結合して層状造形物30等の層状造形物を形成する造形動作とを繰り返し行い、層状造形物が積層された三次元造形物を造形する三次元造形装置100等の三次元造形装置であって、粉体層形成動作では、所定厚粉体層よりも厚い粉体層であるプレ粉体層31a等の過剰厚粉体層を形成した後、粉体層の積層方向(上下方向等)に直交する方向(水平方向等)に移動する平坦化ローラ12等の除去部材によって過剰厚粉体層における所定の層厚の部分よりも表層側の粉体を除去する除去処理を三回等の複数回実行して所定厚粉体層を形成し、一回の除去処理で除去する粉体の層厚である粉体削り量は、第三回目等の最後に実行する除去処理が第一回目等の他の除去処理よりも小さい。
これによれば、上記実施例1について説明したように、最後に実行する除去処理での粉体削り量が小さいため、最後から一つ前の除去処理の際に、粉体を除去する除去部材と所定厚粉体層として残す粉体との間に存在する粉体の層厚を薄くすることができる。これにより、一つ前の除去処理で除去部材が粉体層を押圧する力が、所定厚粉体層として残す粉体に伝わり易くなり、所定厚粉体層の粉体密度を高くすることができる。また、最後の除去処理では、所定厚粉体層として残す粉体の表面に除去部材が直接接触する。このため、最後の除去処理では、除去部材が粉体層を押圧する力によって、所定厚粉体層として残る粉体に作用する力は、最後の除去処理での粉体削り量の大小の影響はほとんどないと考えられる。
よって、態様Aでは、造形動作によって粉体を所要形状に結合される際に、粉体層の粉体密度を従来よりも高い状態とすることが可能となる。
(態様B)
態様Aにおいて、除去処理の回数を重ねるにつれて粉体削り量を徐々に小さくする。
これによれば、上記実施例1について説明したように、複数回削りの序盤で除去する粉体の層厚を厚くすることで、粉体層形成動作に要する時間の短縮を図ることができる。
(態様C)
態様AまたはBにおいて、平坦化ローラ12等の除去部材は回転体であり、第三回目等の最後に実行する除去処理のときの除去部材の回転速度(N4=5[rps]等)が、第一回目等の他の前記除去処理のときの回転速度(N2=1[rps]等)よりも大きい。
これによれば、上記実施形態について説明したように、粉体層形成動作に要する時間の短縮を図りつつ、所定厚粉体層の粉体密度の向上を図り、さらに、所定厚粉体層の密度のムラや立体造形物の変形が生じることを抑制することができる。
(態様D)
造形槽22等の造形部に所定の層厚(「Δt」等)の粉体層である所定厚粉体層31等の所定厚粉体層を形成する粉体層形成動作と、所定厚粉体層の粉体20等の粉体を所要形状に結合して層状造形物30等の層状造形物を形成する造形動作とを繰り返し行い、層状造形物が積層された三次元造形物を造形する三次元造形装置100等の三次元造形装置であって、粉体層形成動作では、所定厚粉体層よりも厚い粉体層であるプレ粉体層31a等の過剰厚粉体層を形成した後、回転しながら粉体層の積層方向(上下方向等)に直交する方向(水平方向等)に移動する平坦化ローラ12等の除去部材によって過剰厚粉体層における所定の層厚の部分よりも表層側の粉体を除去する除去処理を三回等の複数回実行して所定厚粉体層を形成し、第三回目等の最後に実行する除去処理のときの除去部材の回転速度(N4=5[rps]等)が、第一回目等の他の前記除去処理のときの回転速度(N2=1[rps]等)よりも大きい。
これによれば、上記実施例2について説明したように、最後の除去処理の際に、所定厚粉体層として残す粉体に対して除去部材の移動方向の力が作用することを抑制し、所定厚粉体層として残す粉体の一部が移動する「ズレ」が発生することを抑制できる。これにより、ズレが発生することに起因する所定厚粉体層の粉体密度のムラが生じることを抑制でき、粉体密度のムラに起因する粉体密度の低下を抑制できる。このため、造形動作によって粉体を所要形状に結合される際に、粉体層の粉体密度が高い状態とすることが可能となる。
(態様E)
態様CまたはDにおいて、除去処理の回数を重ねるにつれて平坦化ローラ12等の除去部材の回転速度を徐々に大きくする。
これによれば、実施例2について説明したように、複数回削りの序盤では、除去部材の回転速度を小さくすることで、粉体層を水平方向等の除去部材の移動方向に揺らすことで粉体密度の向上を図ることができる。このため、所定厚粉体層として残す粉体の密度の向上を図ることができる。そして、複数回削りの終盤に掛けて除去部材の回転数を大きくすることで、所定厚粉体層の密度のムラが生じることを抑制し、所定厚粉体層の粉体密度の向上を図ることができる。
(態様F)
態様A乃至Eの何れかの態様において、平坦化ローラ12等の除去部材は、円筒形状である。
これによれば、上記実施形態について説明したように、除去部材の移動方向前方で粉体に接触する接触面(円筒形状の周面のうちの移動方向前方下側部分)が斜め下方を向く。そのため、除去部材を移動させることで、その接触面により粉体を移動方向へ移送するとともに下方へ押し込む力を生じさせる。よって、このような除去部材を用いることで、粉体密度を高める効果が得られる。
(態様G)
所定の層厚(「Δt」等)の粉体層である所定厚粉体層31等の所定厚粉体層を形成する粉体層形成工程と、所定厚粉体層の粉体20等の粉体を所要形状に結合して層状造形物30等の層状造形物を形成する造形工程とを繰り返し行い、層状造形物が積層された三次元造形物を造形する三次元造形物製造方法であって、粉体層形成工程では、所定厚粉体層よりも厚い粉体層であるプレ粉体層31a等の過剰厚粉体層を形成した後、粉体層の積層方向(上下方向等)に直交する方向(水平方向等)に移動する平坦化ローラ12等の除去部材によって過剰厚粉体層における所定の層厚の部分よりも表層側の粉体を除去する除去処理を三回等の複数回実行して所定厚粉体層を形成し、一回の除去処理で除去する粉体の層厚である粉体削り量は、第三回目等の最後に実行する除去処理が第一回目等の他の除去処理よりも小さい。
これによれば、上記実施例1について説明したように、造形工程で粉体を所要形状に結合する際に、粉体層の粉体密度が高い状態とすることが可能となる。
(態様H)
造形槽22等の造形部に所定の層厚(「Δt」等)の粉体層である所定厚粉体層31等の所定厚粉体層を形成する粉体層形成動作と、所定厚粉体層の粉体20等の粉体を所要形状に結合して層状造形物30等の層状造形物を形成する造形動作とを繰り返し行い、層状造形物が積層された三次元造形物を造形する三次元造形装置100等の三次元造形装置を制御するプログラムであって、粉体層形成動作では、所定厚粉体層よりも厚い粉体層であるプレ粉体層31a等の過剰厚粉体層を形成した後、粉体層の積層方向(上下方向等)に直交する方向(水平方向等)に移動する平坦化ローラ12等の除去部材によって過剰厚粉体層における所定の層厚の部分よりも表層側の粉体を除去する除去処理を三回等の複数回実行して所定厚粉体層を形成し、一回の除去処理で除去する粉体の層厚である粉体削り量は、第三回目等の最後に実行する除去処理が第一回目等の他の除去処理よりも小さくなるように三次元造形装置を制御する。
これによれば、上記実施例1について説明したように、造形工程で粉体を所要形状に結合する際に、粉体層の粉体密度が高い状態とすることが可能となる。
1 粉体保持部
5 造形ユニット
7 ベース部材
10 造形液
11 粉体収容槽
12 平坦化ローラ
20 粉体
20a 余剰粉体
21 供給槽
22 造形槽
23 供給ステージ
23 造形ステージ
24 造形ステージ
25 平坦化ローラ往復モータ
26 平坦化ローラ回転モータ
27 供給ステージ昇降モータ
28 造形ステージ昇降モータ
29 余剰粉体回収槽
30 層状造形物
31 所定厚粉体層
31a プレ粉体層
50 液体吐出ユニット
51 キャリッジ
52 ヘッド
52a 第一ヘッド
52b 第二ヘッド
54 第一ガイド部材
55 第二ガイド部材
56 タンク装着部
60 タンク
61 メンテナンス機構
62 キャップ
63 ワイパ
70 側板
70a 第一側板
70b 第二側板
71 ガイド部材
72 スライダ部
75 支持部材
75a 第一支持部材
75b 第二支持部材
80 粉体供給部
81 粉体収容部
82 供給口部
83 シャッタ部材
100 三次元造形装置
152 ノズル列
500 制御部
500A 主制御部
501 CPU
502 ROM
503 RAM
504 NVRAM
505 ASIC
506 外部インターフェース
507 入出力部
508 ヘッド駆動制御部
510 主走査方向駆動部
511 吐出ユニット昇降駆動部
512 副走査方向駆動部
513 供給ステージ駆動部
514 造形ステージ駆動部
515 平坦化往復駆動部
516 平坦化回転駆動部
517 粉体供給駆動部
518 メンテナンス駆動部
522 操作パネル
550 主走査方向移動機構
551 吐出ユニット昇降機構
552 副走査方向移動機構
554 粉体供給装置
560 温湿度センサ
600 造形データ作成装置
特開2014−065179号公報

Claims (8)

  1. 造形部に所定の層厚の粉体層である所定厚粉体層を形成する粉体層形成動作と、前記所定厚粉体層の粉体を所要形状に結合して層状造形物を形成する造形動作とを繰り返し行い、前記層状造形物が積層された三次元造形物を造形する三次元造形動作の制御を行う制御部を備える三次元造形装置であって、
    前記制御部は、前記粉体層形成動作では、前記所定厚粉体層よりも厚い前記粉体層である過剰厚粉体層を形成した後、前記粉体層の積層方向に直交する方向に移動する除去部材によって前記過剰厚粉体層における前記所定の層厚の部分よりも表層側の前記粉体を除去する除去処理を複数回実行して前記所定厚粉体層を形成する制御を実行するとともに、
    一回の前記除去処理で除去する前記粉体の層厚である粉体削り量が、最後に実行する前記除去処理が他の前記除去処理よりも小さくなるように装置を制御することを特徴とする三次元造形装置。
  2. 請求項1の三次元造形装置において、
    前記制御部は、前記除去処理の回数を重ねるにつれて前記粉体削り量を徐々に小さくなるように装置を制御することを特徴とする三次元造形装置。
  3. 請求項1または2に記載の三次元造形装置において、
    前記除去部材は回転体であり、
    前記制御部は、最後に実行する前記除去処理のときの前記除去部材の回転速度が、他の前記除去処理のときの回転速度よりも大きくなるように装置を制御することを特徴とする三次元造形装置。
  4. 造形部に所定の層厚の粉体層である所定厚粉体層を形成する粉体層形成動作と、前記所定厚粉体層の粉体を所要形状に結合して層状造形物を形成する造形動作とを繰り返し行い、前記層状造形物が積層された三次元造形物を造形する三次元造形動作の制御を行う制御部を備える三次元造形装置であって、
    前記制御部は、前記粉体層形成動作では、前記所定厚粉体層よりも厚い前記粉体層である過剰厚粉体層を形成した後、回転しながら前記粉体層の積層方向に直交する方向に移動する除去部材によって前記過剰厚粉体層における前記所定の層厚の部分よりも表層側の前記粉体を除去する除去処理を複数回実行して前記所定厚粉体層を形成する制御を実行するとともに、
    最後に実行する前記除去処理のときの前記除去部材の回転速度が、他の前記除去処理のときの回転速度よりも大きくなるように装置を制御することを特徴とする三次元造形装置。
  5. 請求項3または4に記載の三次元造形装置において、
    前記制御部は、前記除去処理の回数を重ねるにつれて前記除去部材の回転速度を徐々に大きくすることを特徴とする三次元造形装置。
  6. 請求項1乃至5の何れか一に記載の三次元造形装置において、
    前記除去部材は、円筒形状であることを特徴とする三次元造形装置。
  7. 所定の層厚の粉体層である所定厚粉体層を形成する粉体層形成工程と、前記所定厚粉体層の粉体を所要形状に結合して層状造形物を形成する造形工程とを繰り返し行い、前記層状造形物が積層された三次元造形物を造形する三次元造形物製造方法であって、
    前記粉体層形成工程では、前記所定厚粉体層よりも厚い前記粉体層である過剰厚粉体層を形成した後、前記粉体層の積層方向に直交する方向に移動する除去部材によって前記過剰厚粉体層における前記所定の層厚の部分よりも表層側の前記粉体を除去する除去処理を複数回実行して前記所定厚粉体層を形成し、
    一回の前記除去処理で除去する前記粉体の層厚である粉体削り量は、最後に実行する前記除去処理が他の前記除去処理よりも小さいことを特徴とする三次元造形物製造方法。
  8. 造形部に所定の層厚の粉体層である所定厚粉体層を形成する粉体層形成動作と、前記所定厚粉体層の粉体を所要形状に結合して層状造形物を形成する造形動作とを繰り返し行い、前記層状造形物が積層された三次元造形物を造形する三次元造形装置を制御するプログラムであって、
    前記粉体層形成動作では、前記所定厚粉体層よりも厚い前記粉体層である過剰厚粉体層を形成した後、前記粉体層の積層方向に直交する方向に移動する除去部材によって前記過剰厚粉体層における前記所定の層厚の部分よりも表層側の前記粉体を除去する除去処理を複数回実行して前記所定厚粉体層を形成し、
    一回の前記除去処理で除去する前記粉体の層厚である粉体削り量は、最後に実行する前記除去処理が他の前記除去処理よりも小さくなるように前記三次元造形装置を制御することを特徴とするプログラム。
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