JP6481383B2 - 立体造形装置、立体造形物の生産方法、プログラム - Google Patents

立体造形装置、立体造形物の生産方法、プログラム Download PDF

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本発明は立体造形装置、立体造形物の生産方法、プログラムに関する。
立体造形物(三次元造形物)を造形する立体造形装置(三次元造形装置)として、例えば積層造形法で造形するものが知られている。これは、例えば、造形ステージに平坦化された金属又は非金属の粉体層を形成し、粉体層に対して造形液をヘッドから吐出して、粉体が結合された薄層の造形層を形成し、この造形層上に粉体層を形成して再度造形層を形成する工程を繰り返して、造形層を順次積層することで立体造形物を造形する。
従来、未使用の造形材料を収集するために、造形チャンバからオーバーフローした造形材料を受け入れるように収集チャンバが配置され、光学センサで収集チャンバの造形材料を検知するようにしたものが知られている(特許文献1)。
特開2008−302701号公報
上述したように粉体層に造形液の液滴を着弾させて造形層を形成したとき、造形液が着弾して形成された造形層の表面が当該造形層を含む粉体層の表面(造形層が形成されていない領域の表面)に対して凹んだ状態になる。
そのため、次の粉体層を形成するときに、造形層が形成されている領域と形成されていない領域とで供給される粉体の層厚みが異なり、得られる造形物に密度ムラが生じるという課題がある。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、造形物の品質を向上することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明に係る立体造形装置は、
粉体層に対して造形液の液滴を吐出して前記粉体層の粉体が結合された造形層を順次積層して立体造形物を形成する立体造形装置において、
前記造形層が積層形成される造形ステージを有する造形槽と、
前記造形ステージのステージ面に沿う方向に相対的に移動されて、前記造形槽の前記粉体の表面を平坦化して前記粉体層を形成する平坦化手段と、
前記平坦化手段で平坦化するときに前記造形槽から溢れた溢れ粉体量を検出する手段と、
前記溢れ粉体量が所定量より少ないときには、前記造形槽に対して前記粉体を再度供給して平坦化する動作を行わせる手段と、を備えている
構成とした。
本発明によれば、造形物の品質を向上することができる。
本発明に係る立体造形装置の第1例の要部斜視説明図である。 造形部の断面説明図である。 制御部のブロック図である。 造形の流れの説明に供する造形部の模式的断面説明図である。 本発明の第1実施形態の説明に供する説明図である。 同実施形態における制御部による造形動作の制御(処理)の説明に供するフロー図である。 本発明の第2実施形態における制御部による造形動作の制御(処理)の説明に供するフロー図である。 同実施形態の動作の説明に供する説明図である。 本発明の第3実施形態における制御部による造形動作の制御(処理)の説明に供するフロー図である。 同実施形態の動作の説明に供する平面説明図である。 同じく断面説明図である。 本発明の第4実施形態における制御部による造形動作の制御(処理)の説明に供するフロー図である。
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明に係る立体造形装置の第1例について図1及び図2を参照して説明する。図1は同立体造形装置の要部斜視説明図、図2は同じく造形部の断面説明図である。なお、図2は造形時の状態で示している。
この立体造形装置は、粉体造形装置(粉末造形装置ともいう。)であり、粉体(粉末)20が結合された造形層30が形成される造形部1と、造形部1に造形液10を吐出して立体造形物を造形する造形ユニット5とを備えている。
造形部1は、粉体槽11と、平坦化手段としての回転体である平坦化ローラ(リコータローラとも称される)12などを備えている。
粉体槽11は、粉体20を供給する供給槽21と、造形物が造形される造形槽22とを有している。供給槽21の底部は供給ステージ23として鉛直方向(高さ方向)に昇降自在となっている。同様に、造形槽22の底部は造形ステージ24として鉛直方向(高さ方向)に昇降自在となっている。造形ステージ24上に立体造形物が造形される。
供給ステージ23は後述するモータ27によって昇降され、造形ステージ24は後述するモータ28によって昇降される。
平坦化ローラ12は、供給槽21の供給ステージ23上に供給された粉体20を造形槽22に供給し、平坦化手段である平坦化ローラ12によって平坦化して、後述する粉体層31を形成する。
この平坦化ローラ12は、後述するモータ553を含む往復移動機構によって、造形ステージ24のステージ面(粉体20が積載される面)に沿う方向である矢印Y方向に、ステージ面に対して相対的に往復移動可能であり、後述するモータ26によって回転駆動される。
造形ユニット5は、図2に示すように、造形ステージ24上の粉体層31に造形液10の液滴100を吐出する1又は複数の液体吐出ヘッド(以下、「ヘッド」という。)50を有する吐出ユニット51を備えている。
この吐出ユニット51には、シアン造形液を吐出するヘッド、マゼンタ造形液を吐出するヘッド、イエロー造形液を吐出するヘッド、ブラック造形液を吐出するヘッド、及びクリア造形液を吐出するヘッド50を備える。これらのシアン造形液、マゼンタ造形液、イエロー造形液、ブラック造形液及びクリア造形液は装置本体側に着脱自在に装着される各造形液のタンクから供給される、
造形ユニット5は、全体が矢印Y方向(副走査方向)に往復移動可能である。この造形ユニット5は、後述するモータ552を含む走査機構によって矢印Y方向に往復移動される。
また、吐出ユニット51は、ガイド部材54、55で矢印X方向(主走査方向)に往復移動可能に支持され、後述するモータ550を含む走査機構によってX方向に往復移動される。
また、吐出ユニット51は、ガイド部材54、55とともに矢印Z方向に昇降可能に支持され、後述するモータ551を含む昇降機構によってZ方向に昇降される。
ここで、造形部1の詳細について説明する。
粉体槽11は、箱型形状をなし、供給槽21と造形槽22の2つの上面が開放された槽を備えている。供給槽21内部には供給ステージ23が、造形槽22内部には造形ステージ24がそれぞれ昇降可能に配置される。
供給ステージ23の側面は供給槽21の内側面に接するように配置されている。造形ステージ24の側面は造形槽22の内側面に接するように配置されている。これらの供給ステージ23及び造形ステージ24の上面は水平に保たれている。
粉体槽11の周りには、上面が開放された凹形状である粉体受け部29が設けられている(図2では省略)。
粉体受け部29は、投入される粉体の重量を測定する測定手段である後述する重量センサ561を有している。平坦化ローラ12によって粉体層31を形成するときに造形槽22から溢れた余剰の粉体20が粉体受け部29に収容されることで、溢れた粉体の重量が測定される。
平坦化ローラ12は、供給槽21から粉体20を造形槽22へと移送供給して、所定の厚みの粉体層31を形成する機能を有している。
この平坦化ローラ12は、造形槽22及び供給槽21の内寸(即ち、粉体が供される部分又は仕込まれている部分の幅)よりも長い棒状部材であり、往復移動機構によってステージ面に沿う方向(ステージ面と平行な矢印Y方向)に往復移動される。
この平坦化ローラ12は、モータ26によって回転されながら、供給槽21の外側から供給槽21及び造形槽22の上方を通過するようにして水平移動する。これにより、粉体20が造形槽22上へと移送供給され、造形槽22から溢れた粉体20は粉体受け部29に収容される。
また、図2に示すように、平坦化ローラ12の周面に接触して、平坦化ローラ12に付着した粉体20を除去するための粉体除去部材である粉体除去板13が配置されている。
粉体除去板13は、平坦化ローラ12の周面に接触した状態で、平坦化ローラ12とともに移動する。また、粉体除去板13は、平坦化ローラ12が平坦化を行うときの回転方向に回転するときにカウンタ方向になる状態で配置されている。
本実施形態では、造形部1の粉体槽11が供給槽21と造形槽22の二つの槽を有する構成としているが、造形槽22のみとして、造形槽22に粉体供給装置から粉体を供給して、平坦化手段で平坦化する構成とすることもできる。
次に、上記立体造形装置の制御部の概要について図3を参照して説明する。図3は同制御部のブロック図である。
制御部500は、この立体造形装置全体の制御を司るCPU501と、CPU501に本発明に係わる処理を実行させるための本発明に係るプログラムを含むプログラム、その他の固定データを格納するROM502と、画像データ(印刷データ)等を一時格納するRAM503とを含む主制御部500Aを備えている。
制御部500は、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための不揮発性メモリ(NVRAM)504を備えている。また、制御部500は、画像データに対する各種信号処理等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC505を備えている。
制御部500は、外部の造形データ作成装置600から造形データを受信するときに使用するデータ及び信号の送受を行うためのI/F506を備えている。なお、造形データ作成装置600は、最終形態の造形物を各造形層にスライスした造形データを作成する装置であり、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置で構成されている。
制御部500は、各種センサの検知信号を取り込むためのI/O507を備えている。
制御部500は、吐出ユニット51の各ヘッド50を駆動制御するヘッド駆動制御部508を備えている。
制御部500は、吐出ユニット51を矢印X方向に移動させるX方向走査モータ550を駆動するモータ駆動部510と、造形ユニット5を矢印Y方向に移動させるY方向走査モータ552を駆動するモータ駆動部512を備えている。
制御部500は、吐出ユニット51を矢印Z方向に移動(昇降)させるZ方向昇降モータ551を駆動するモータ駆動部511を備えている。なお、矢印Z方向への昇降は造形ユニット5全体を昇降させる構成とすることもできる。
制御部500は、供給ステージ23を昇降させるモータ27を駆動するモータ駆動部513と、造形ステージ24を昇降させるモータ28を駆動するモータ駆動部514を備えている。
制御部500は、平坦化ローラ12を移動させる往復移動機構のモータ26を駆動するモータ駆動部515と、平坦化ローラ12を回転駆動するモータ553を駆動する516を備えている。
制御部500は、供給槽21に粉体20を供給する粉体供給装置554を駆動する供給系駆動部517と、吐出ユニット51をクリーニング(メンテナンス、維持回復)するクリーニング装置555を駆動するクリーニング駆動部518を備えている。
制御部500のI/O507には、粉体受け部29に収容される溢れた粉体の重量を溢れ粉体量として検出する重量センサ561、環境条件としての温度及び湿度を検出する温湿度センサ560、などの検知信号やその他のセンサ類の検知信号が入力される。
制御部500には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル522が接続されている。
なお、造形データ作成装置600と立体造形装置(粉体積層造形装置)601によって造形装置が構成される。
次に、通常の造形の流れについて図4も参照して説明する。図4は造形の流れの説明に供する造形部の模式的断面説明図である。
造形槽22の造形ステージ24上に、1層目の造形層30が形成されている。
この造形層30上に次の造形層30を形成するときには、図4(a)に示すように、供給槽21の供給ステージ23を矢印Z1方向に上昇させ、造形槽22の造形ステージ24を矢印Z2方向に下降させる。
このとき、造形槽22の粉体層表面と平坦化ローラ12の下部(下方接線部)との間隔がΔt1となるように造形ステージ24の下降距離を設定する。この間隔Δt1が次に形成する粉体層31の厚さに相当する。間隔Δt1は、数十〜100μm程度であることが好ましい。
次いで、図4(b)に示すように、供給槽21の上面レベルよりも上方に位置する粉体20を、平坦化ローラ12を順方向(矢印方向)に回転しながらY2方向(造形槽22側)に移動することで、粉体20を造形槽22へと移送供給する(粉体供給)。
さらに、図4(c)に示すように、平坦化ローラ12を造形槽22の造形ステージ24のステージ面と平行に移動させ、図4(d)に示すように、造形ステージ24の造形層30上で所定の厚さΔt1になる粉体層31を形成する(平坦化)。
このとき、造形槽22から溢れた粉体(余剰粉体)20Aは、粉体受け部29に収容され、重量が重量センサ561で測定される。
また、粉体層31を形成後、平坦化ローラ12は矢印Y1方向に移動されて初期位置に戻される。
ここで、平坦化ローラ12は、造形槽22及び供給槽21の上面レベルとの距離を一定に保って移動できるようになっている。一定に保って移動できることで、平坦化ローラ12で粉体20を造形槽22の上へと搬送させつつ、造形槽22上又は既に形成された造形層30の上に均一厚さΔt1の粉体層31を形成できる。
その後、図4(e)に示すように、吐出ユニット51のヘッド50から造形液10の液滴を吐出して、次の造形層30を積層形成する(造形)。
なお、造形層30は、例えば、ヘッド50から吐出された造形液10が粉体20と混合されることで、粉体20に含まれる接着剤が溶解し、溶解した接着剤同士が結合して粉体20が結合されることで形成される。
次いで、上述した粉体供給・平坦化工程、ヘッドによる造形液吐出工程を繰り返して新たな造形層を形成する。このとき、新たな造形層とその下層の造形層とは一体化して三次元形状造形物の一部を構成する。
以後、粉体の供給・平坦化工程、ヘッドによる造形液吐出工程を必要な回数繰り返すことによって、三次元形状造形物(立体造形物)を完成させる。
次に、上記立体造形装置で使用する立体造形用粉末材料(粉体)及び造形液の一例について説明する。なお、以下で説明する粉体及び造形液に限定されるものではない。
立体造形用粉末材料は、基材と、この基材を平均厚み5nm〜500nmで被覆し、造形液としての架橋剤含有水の作用により溶解し架橋可能な水溶性有機材料とを有してなる。
この立体造形用粉末材料においては、基材を被覆する水溶性有機材料が、架橋剤含有水の作用により溶解し架橋可能であるため、水溶性有機材料に架橋剤含有水が付与されると、水溶性有機材料は、溶解すると共に、架橋剤含有水に含まれる架橋剤の作用により架橋する。
これにより、上記立体造形用粉末材料を用いて薄層(粉体層)を形成し、粉体層に架橋剤含有水を造形液10として吐出することで、粉体層においては、溶解した水溶性有機材料が架橋する結果、粉体層が結合硬化して造形層30が形成される。
このとき、基材を被覆する水溶性有機材料の被覆量が平均厚みで5nm〜500nmであるため、水溶性有機材料が溶解したときに基材の周囲に必要最小量だけ存在し、これが架橋して三次元ネットワークを形成するため、粉体層の硬化は寸法精度良く、かつ、良好な強度をもって行われる。
この操作を繰り返すことにより、簡便かつ効率的に、焼結等の前に型崩れが生ずることなく、寸法精度良く複雑な立体造形物を形成することができる。
−基材−
基材としては、粉末ないし粒子の形態を有する限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。その材質としては、例えば、金属、セラミックス、カーボン、ポリマー、木材、生体親和材料、などが挙げられるが、高強度な立体造形物を得る観点からは、最終的に焼結処理が可能な金属、セラミックスなどが好ましい。
金属としては、例えば、ステンレス(SUS)鋼、鉄、銅、チタン、銀などが好適に挙げられ、該ステンレス(SUS)鋼としては、例えば、SUS316Lなどが挙げられる。
セラミックスとしては、例えば、金属酸化物などが挙げられ、具体的には、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)、チタニア(TiO)などが挙げられる。
カーボンとしては、例えば、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、フラーレンなどが挙げられる。
ポリマーとしては、例えば、水に不溶な公知の樹脂などが挙げられる。
木材としては、例えば、ウッドチップ、セルロースなどが挙げられる。
生体親和材料としては、例えば、ポリ乳酸、リン酸カルシウムなどが挙げられる。
これらの材料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、基材として、これらの材料で形成された市販品の粒子ないし粉末を使用することができる。市販品としては、例えば、SUS316L(山陽特殊鋼製、PSS316L)、SiO(トクヤマ製、エクセリカSE−15)、AlO(大明化学工業製、タイミクロンTM−5D)、ZrO(東ソー製、TZ−B53)などが挙げられる。
また、基材としては、水溶性有機材料との親和性を高める目的等で、公知の表面(改質)処理がされていてもよい。
−水溶性有機材料−
水溶性有機材料としては、水に溶解し、架橋剤の作用により架橋可能な性質を有するものであれば、換言すれば、水溶性であって架橋剤によって架橋可能である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
ここでは、水溶性有機材料の水溶性は、例えば、30℃の水100gに水溶性有機材料を1g混合して撹拌したとき、その90質量%以上が溶解するものを意味する。
また、水溶性有機材料としては、その4質量%(w/w%)水溶液の20℃における粘度が、40mPa・s以下であるものが好ましく、1〜35Pa・sであるものがより好ましく、5〜30mPa・sであるものが特に好ましい。
水溶性有機材料の粘度が、40mPa・sを超えると、立体造形用粉末材料に架橋剤含有水を付与して形成した立体造形物用粉末材料(粉体層)による硬化物(立体造形物、焼結用硬化物)の強度が充分でないことがあり、その後の焼結等の処理ないし取扱い時に型崩れ等の問題が生ずることがある。また、立体造形用粉末材料に架橋剤含有水を付与して形成した立体造形物用粉末材料(粉体層)による硬化物(立体造形物、焼結用硬化物)の寸法精度が充分でないことがある。
水溶性有機材料の粘度は、例えば、JISK7117に準拠して測定することができる。
−架橋剤含有水−
造形液である架橋剤含有水としては、水性媒体中に架橋剤を含有するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。なお、架橋剤含有水は、水性媒体、架橋剤のほか、必要に応じて適宜選択したその他の成分を含有していてもよい。
その他の成分としては、架橋剤含有水を付与する手段の種類、使用頻度や量などの諸条件を考慮して適宜選択することができる。例えば、液体吐出法によって架橋剤含有水を付与する場合には、液体吐出ヘッドのノズルへの目詰り等の影響を考慮して選択することができる。
水性媒体としては、例えば、水、エタノール等のアルコール、エーテル、ケトン、などが挙げられるが、水が好ましい。なお、水性媒体は、水がアルコール等の水以外の成分を若干量含有するものであってもよい。
上述した立体造形物用粉末材料及び造形液としての架橋剤含有水を使用することで、粉体(基材)を接着させるためのバインダーを液体吐出ヘッドから吐出する構成に比べて、ノズルの目詰まりが少なく、ヘッドの耐久性が向上する。
次に、本発明の第1実施形態について図5を参照して説明する。図5は同実施形態の説明に供する説明図である。
図5(a)に示すように、粉体層31に造形層30を形成したとき、粉体層31の粉体密度が低いと、粉体層31の造形層30を形成していない非造形部分の表面に比べて造形層30である造形部分の表面が凹むことになる。つまり、造形液10を吐出して粉体20を結合固化させた造形層30の領域では、粉体20の収縮・凝集が発生し、Z方向の高さが他の領域の粉体面のZ方向高さよりも低くなる。
ここで造形層30が凹んだまま、粉体20を供給して次の粉体層31を形成すると、造形部分と非造形部分とで供給された粉体による粉体層の厚さが異なり、得られる造形物に密度ムラが生じる。また、造形部分と非造形部分との境界にできた凹みによって、造形物の端部に粉体が供給できず、造形物の端部の形状精度が低下することになる。
そこで、本実施形態では、平坦化ローラ12で平坦化するときに造形槽22から溢れた溢れ粉体量(余剰粉体20Aの量)を重量で測定して算出し、測定した溢れ粉体量が所定量よりも少ないときに、造形槽22に対して再度粉体を供給して平坦化する動作を行うようにしている。
ここで、供給ステージ23の上昇量と供給ステージ23の面積(XY平面)により算出される供給槽21から造形槽22に供給する粉体量を供給粉体量W1とする。平坦化(リコート)によって造形槽22から粉体受け部29に溢れた余剰粉体20Aを重量センサ561で測定した結果から得られる余剰粉体量を溢れ粉体量W3とする。
また、造形ステージ24の下降量と造形ステージ24の面積(XY平面)によって算出される粉体層1層分の粉体量を、粉体充填量理論値W2calcとする。一方、供給粉体量W1から溢れ粉体量W3を減じて得られる、実際に造形槽22に充填された粉体層1層分の粉体量を粉体充填量実測値W2actualとする。
上述したように造形層30が造形層30以外の領域に対して凹んでいると、造形槽22に充填される粉体量が多くなり、溢れ粉体量W3が少なくなる。つまり、溢れ粉体量W3が所定量(ここでは、「W1−W2calc」となる。)よりも少なくなったときには、粉体充填量実測値W2actualが粉体充填量理論値W2calcより大きくなる。
したがって、粉体充填量実測値W2actualが粉体充填量理論値W2calcより大きくなったときには、粉体を再供給して平坦化を行うようにする。
次に、本実施形態における制御部による造形動作の制御(処理)について図6のフロー図を参照して説明する。
供給槽21から造形槽22に粉体20を供給して粉体層31を形成するリコート(平坦化)を終了した後、粉体充填量実測値W2actualが粉体充填量理論値W2calcより大きい(W2calc<W2actual)か否かを判別する。
このとき、W2calc<W2actualであるときには、造形層30の部分で凹みが発生していることになるので、供給槽21から造形槽22に粉体20を再度供給し、平坦化ローラ12によって平坦化して粉体層31を形成する再リコートを行う。
その後、また、W2calc<W2actualでないときはそのまま、滴吐出動作を行って造形層30を形成する。
これにより、粉体の無駄な消費を抑えつつ、粉体の充填不足を低減して、造形物の品質(精度・密度)の低下を防止することができる。
つまり、上述したように、造形層30の領域では造形層30以外の領域よりもZ方向の高さが低くなる。粉体20の収縮・凝集の程度は、粉体20の種類、環境(温湿度)に依存して変化する。造形層30の領域が凹んだ状態でリコートを行って次層の粉体層31を形成すると、1層分の体積よりも大きい領域に対して粉体20を移送供給することになるため、充填不足に陥る場合がある。
この場合、造形ステージ24上に粉体20を完全に充填させるためには、1層の粉体層の厚み(造形ステージ24の下降量)に対して150%以上の上昇量で供給ステージ23を上昇させて粉体20の供給と平坦化(リコート)を行う必要がある。
そのため、供給ステージ23を毎回大きく上昇させることになり、供給槽23側での粉体20の消費が多くなり、形成可能な造形層の積層数が少なくなる。また、造形中に発生する余剰粉体20Aの量も増加し、余剰粉体20Aの回収・後処理の手間が増加することになる。
本実施形態の構成とすることにより、粉体種類や環境(温湿度)によらず1層のリコート毎に充填量不足の発生を検知することができ、充填量が不足した場合には再度リコートを行うことで、完全に充填された粉体層を形成し、造形物品質(精度・密度)の低下を防止することができる。
そして、この場合、再リコートは充填不足分を補うだけの粉体20を移送供給すれば良いので、供給ステージ23の上昇量を通常のリコート時の上昇量よりも少なくすることで、余剰粉体20Aの発生量を低減させることもできる。
次に、本発明の第2実施形態における制御部による造形動作の制御(処理)について図7のフロー図を参照して説明する。
本実施形態では、N層目の粉体層31の形成(リコート)を終了した後、粉体充填量実測値W2actualが粉体充填量理論値W2calcより大きい(W2calc<W2actual)か否かを判別する。
このとき、W2calc<W2actualであるときには、次の(N+1)層目の粉体層31を形成するときのリコートパラメータ(粉体層の形成に係わるパラメータ)を変更する。ここでは、供給ステージ23の上昇量を増加させて、粉体供給量W1を多くするように変更する。
その後、また、W2calc<W2actualでないときはそのまま、滴吐出動作を行って造形層30を形成する。
本実施形態の動作について図8を参照して説明する。図8は同説明に供する説明図である。
図8(a)に示すように(N−1)層目の造形層30を形成終了後、図8(b)に示すようにN層目の粉体層31を形成する(リコート)。このN層目のリコートで充填不足が生じている(W2calc<W2actualである)ときには、(N+1)層目の粉体層31を形成するときの粉体供給量W1が多くなるように、供給ステージ23の上昇量を多くするに変更する。
そして、図8(c)に示すように、N層目の造形層30を形成した後、図8(d)に示すように、(N+1)層目の粉体層31を形成する(リコートする)ときには、粉体供給量W1が多くする。
このように構成することで、ある層にて発生した充填量不足を次層のリコートを行うときに補うことができる。したがって、前記第1実施形態のように再リコートを行う構成に比べて造形生産性を低下させることなく、粉体充填量不足が何層にもわたって発生・蓄積することを防止することができる。
次に、本発明の第3実施形態における制御部による造形動作の制御(処理)について図9のフロー図を参照して説明する。
本実施形態では、N層目の粉体層31の形成(リコート)を終了した後、粉体充填量実測値W2actualが粉体充填量理論値W2calcより大きい(W2calc<W2actual)か否かを判別する。
このとき、W2calc<W2actualであるときには、次の(N+1)層目の粉体層31を形成するときのリコートパラメータを変更する。ここでは、供給ステージ23の上昇量を増加させて、粉体供給量W1を多くするように変更する。
また、N層目の造形層30を形成するときに下層である前の(N−1)層目の造形層30n断面パターンと重なる領域については吐出量を多くするように設定する。
その後、また、W2calc<W2actualでないときはそのまま、滴吐出動作を行ってN層目の造形層30を形成する。
本実施形態の動作について図10及び図11を参照して説明する。図10は同説明に供する平面説明図、図11は同じく断面説明図である。
上述したように、W2calc<W2actualであるときには、次の(N+1)層目の粉体層31を形成するときに供給ステージ23の上昇量を通常リコート時より増加させ粉体供給量W1を増加させる。
それとともに、N層目の造形層30を形成するための滴吐出を行うときに、下層である前の(N−1)層目の造形層30Aと今回のN層目の造形層30Bとが断面パターンで重なる領域である平面視で重なる領域33について、重ならない領域よりも、吐出量を増加させるように変更する。吐出量の増加は、例えばヘッド駆動波形の変更により、滴サイズを大きくする、或いは、滴の吐出回数を増やすことで行うことができる。
つまり、前層の造形層30Aが形成された領域では粉体20の収縮・凝集が発生し、Z方向高さは、造形層30Aが形成されていない領域よりも低くなっている。したがって、前層(下層)の造形層30Aの領域では造形層30Aが形成されていない領域に比べて粉体層31の厚みが厚くなる。
そこで、上記のように、上層の造形層30Bを形成するとき、下層の造形層30Aと重なる領域では、重ならない領域に比べて吐出量を多くする。これにより、所定層厚より厚く形成された重なり領域の粉体層に対して、下層に到達するまで浸透可能な量の造形液を吐出することができ、層間での造形物の割れ・剥離の発生を防止することできる。
次に、本発明の第4実施形態における制御部による造形動作の制御(処理)について図12のフロー図を参照して説明する。
本実施形態では、1層目の粉体層31の形成(リコート)を行ったときの溢れ粉体量W3を所定量である基準値W3refとして記憶保持する。
そして、1層目の造形層30を形成する。
次いで、N層目のリコートを行い、N層目のリコート時の溢れ粉体量W3nと基準溢れ粉体量W3refとを比較して、W3n<W3refか否かを判別する。
このとき、W3n<W3refであるときには、次の(N+1)層目の粉体層31を形成するときのリコートパラメータを変更する。ここでは、供給ステージ23の上昇量を増加させて、粉体供給量W1を多くするように変更する。
また、N層目の造形層30を形成するときに前の(N−1)層目の造形層30と重なる領域については吐出量を多くするように設定する。
その後、また、W3n<W3refでないときはそのまま、滴吐出動作を行ってN層目の造形層30を形成する。
次いで、全積層数の造形が完了したか否かを判別し、全積層数の造形が完了していないときには、積層数Nをインクリメント(+1)した後N層目のリコートに戻り、全積層数の造形が完了すれば、処理を終了する。
つまり、造形開始直前に粉体20の収縮・凝集の発生ない状態の溢れ粉体量を基準として以後の溢れ粉体量を比較し、基準溢れ粉体量よりも溢れ粉体量が少ないときには、供給粉体量の増加などの処理を行う。
これにより、充填不足か否かを判別するときに環境(温湿度)や粉体種類等によるバラつきを低減させることができる。
1 造形部
5 造形ユニット
10 造形液
12 平坦化ローラ(平坦化手段、回転体)
20 粉体
21 供給槽
22 造形槽
23 供給ステージ
24 造形ステージ
30 造形層
31 粉体層
50 液体吐出ヘッド
51 吐出ユニット
561 重量センサ(検知手段)

Claims (6)

  1. 粉体層に対して造形液の液滴を吐出して前記粉体層の粉体が結合された造形層を順次積層して立体造形物を形成する立体造形装置において、
    前記造形層が積層形成される造形ステージを有する造形槽と、
    前記造形ステージのステージ面に沿う方向に相対的に移動されて、前記造形槽の前記粉体の表面を平坦化して前記粉体層を形成する平坦化手段と、
    前記平坦化手段で平坦化するときに前記造形槽から溢れた溢れ粉体量を検出する手段と、
    前記溢れ粉体量が所定量より少ないときには、前記造形槽に対して前記粉体を再度供給して平坦化する動作を行わせる手段と、を備えている
    ことを特徴とする立体造形装置。
  2. 前記粉体を再度供給して平坦化する動作で供給する粉体量は、当該粉体層を形成するときの供給量よりも少ない量である
    ことを特徴とする請求項1に記載の立体造形装置。
  3. 前記造形液の液滴を吐出して造形層を形成するとき、当該造形層の下層の前記造形層と重なる領域では、下層の前記造形層と重ならない領域よりも吐出量を多くする
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の立体造形装置。
  4. 1層目の前記粉体層を形成するときの前記溢れ粉体量を前記所定量とする
    ことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の立体造形装置。
  5. 粉体層に対して造形液の液滴を吐出して前記粉体層の粉体が結合された造形層を順次積層して立体造形物を形成する立体造形物の生産方法において、
    前記造形層が積層形成される造形ステージを有する造形槽に前記粉体を供給し、
    平坦化手段を前記造形ステージのステージ面に沿う方向に相対的に移動して、前記造形槽の前記粉体の表面を平坦化して前記粉体層を形成し、
    前記平坦化手段で平坦化するときに前記造形槽から溢れた溢れ粉体量を検出し、
    前記溢れ粉体量が所定量よりも少ないときには、前記造形槽に前記粉体を再度供給して平坦化する
    ことを特徴とする立体造形物の生産方法。
  6. 粉体層に対して造形液の液滴を吐出して前記粉体層の粉体が結合された造形層を順次積層して立体造形物を形成する造形動作の制御をコンピュータに行わせるためのプログラムであって、
    前記造形層が積層形成される造形ステージを有する造形槽に前記粉体を供給させ、
    平坦化手段を前記造形ステージのステージ面に沿う方向に相対的に移動させて、前記造形層の前記粉体の表面を平坦化して前記粉体層を形成させ、
    前記平坦化手段で平坦化するときに前記造形槽から溢れた溢れ粉体量を検出し、
    前記溢れ粉体量が所定量よりも少ないときには、前記造形層に対して前記粉体を再度供給して平坦化する動作を制御する前記コンピュータに行わせるためのプログラム。
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