JP6899094B2 - 三次元造形装置、三次元造形物製造方法及び造形プログラム - Google Patents

三次元造形装置、三次元造形物製造方法及び造形プログラム Download PDF

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Description

本発明は、三次元造形装置、三次元造形物製造方法及び造形プログラムに関するものである。
従来、造形部に粉体を供給して粉体層を形成する動作と、粉体層の粉体を所要形状に結合して層状構造物を形成する造形動作とを繰り返し行い、層状構造物が積層された三次元造形物を造形する三次元造形装置が知られている。この種の三次元造形装置として、平坦化部材によって造形部に粉体を敷き詰めてプレ粉体層を形成する処理と、平坦化部材によってプレ粉体層の表層側の粉体を除去しつつ平坦化する粉体除去処理と、を実行して造形部に粉体層を形成するものが知られている。
例えば、特許文献1には、造形部に対して平坦化部材を往復移動させ、往路では形成しようとする粉体層の目標厚みよりも厚いプレ粉体層を造形部に形成し、復路ではプレ粉体層の表層側の粉体を除去して目標厚みの粉体層を形成するものが記載されている。
プレ粉体層を形成し、その表層側の粉体を除去して粉体層を形成する構成では、各層状構造物の形状に誤差が生じることがあり、層状構造物が積層して最終的に造形される三次元造形物の造形精度が低下することがあった。
上述した課題を解決するために、本発明は、平坦化部材によって造形部に粉体を敷き詰めてプレ粉体層を形成するプレ粉体層形成処理と、前記平坦化部材によって前記プレ粉体層の表層側の前記粉体を除去する粉体除去処理と、を実行して粉体層を形成する粉体層形成動作と、前記粉体層の前記粉体を所要形状に結合して層状構造物を形成する構造物形成動作と、を繰り返し行う三次元造形装置であって、前記平坦化部材は、前記造形部に対する前記平坦化部材の移動方向に直交する回転軸を中心に回転駆動する回転体であり、前記平坦化部材の回転速度が、前記プレ粉体層形成処理のときよりも前記粉体除去処理のときの方が速く、前記平坦化部材の回転方向は、前記平坦化部材の前記造形部との対向部における表面移動方向が前記平坦化部材の前記造形部に対する移動方向と同方向となる回転方向であることを特徴とするものである。
本発明によれば、形成される粉体層の粉体密度の均一化を図りつつ、三次元造形物の造形精度の低下を抑制することができる。
実施形態の三次元造形装置の概略平面説明図。 実施形態の三次元造形装置の概略側面説明図。 実施形態の三次元造形装置における粉体保持部の拡大側面説明図。 実施形態の三次元造形装置の制御部の概要を示すブロック図。 プレ粉体層形成処理の説明図。 粉体除去処理の説明図。 プレ粉体層形成処理における平坦化ローラの回転速度と粉体の挙動との関係を示す説明図。 粉体除去処理における平坦化ローラの回転速度と粉体の挙動との関係を示す説明図。 平坦化処理を行っているときの粉体の個々の粒子に作用する力を模式的に示した説明図。 平坦化ローラの回転速度を異ならせて、粉体に作用する力をそれぞれ算出したシミュレーションの結果を示す説明図。 プレ粉体層形成処理における平坦化ローラの移動速度と粉体の挙動との関係を示す説明図。 粉体除去処理における平坦化ローラの移動速度と粉体の挙動との関係を示す説明図。
以下、本発明に係る三次元造形装置の一実施形態について説明する。
図1は本実施形態の三次元造形装置100の概略平面説明図、図2は三次元造形装置100を図1中の右方から見た概略側面説明図である。図3は、図2に示す粉体保持部1の拡大側面説明図であり、図3は造形時の状態で示している。
三次元造形装置100は、粉体造形装置(「粉末造形装置」ともいう。)である。この三次元造形装置100は、粉体20(粉末)が結合された層状構造物30が形成される粉体保持部1と、粉体保持部1内に層状に敷き詰められた粉体20の粉体層31に対して造形液10を吐出して立体造形物を造形する造形ユニット5とを備えている。
本説明における「X方向」は図1における左右方向であり、「Y方向」は図1における上下方向である。また、「Z方向」は図2中の上下方向であって、図1の紙面に直交する方向である。
粉体保持部1及び造形ユニット5は、Y方向に相対移動可能であり、また造形ユニット5の液体吐出ユニット50は、粉体保持部1に対してX方向に相対移動可能に構成されている。
まず、粉体保持部1について説明する。
粉体保持部1は、粉体収容槽11と、平坦化手段(リコータ)を構成する平坦化部材としてのローラ状の回転部材である平坦化ローラ12と、平坦化ローラ12に付着した粉体20を除去する粉体除去板13とを備えている。平坦化部材は、ローラ状の部材や回転部材に限るものではなく、例えば板状部材(ブレード)とすることもできる。
図1、図2及び図3に示すように、粉体収容槽11は、箱型形状となっており、供給槽21と、造形槽22と、余剰粉体回収槽29との三つの上面が開放された槽を備えている。造形槽22は、層状構造物30が積層されて三次元造形物が造形される槽であり、供給槽21は、造形槽22に供給する粉体20を貯留する槽である。余剰粉体回収槽29は、造形槽22に供給された粉体20の余剰分を回収する槽である。粉体収容槽11には、供給槽21と造形槽22と余剰粉体回収槽29との順に、Y方向に並んで配置されている。
供給槽21の内部には、底部を構成する供給ステージ23が配置され、この供給ステージ23は、鉛直方向(高さ方向)に昇降自在となっている。供給ステージ23の上に造形材料となる粉体20を載置する。
造形槽22の内部には、底部を構成する造形ステージ24が配置され、この造形ステージ24は、鉛直方向(高さ方向)に昇降自在となっており、造形ステージ24上に層状構造物30が積層された三次元造形物が造形される。
供給ステージ23の側面は、供給槽21の内側面に接するように配置されている。造形ステージ24の側面も造形槽22の内側面に接するように配置されている。これらの供給ステージ23及び造形ステージ24の上面は水平に保たれている。
余剰粉体回収槽29は、造形槽22に粉体層31を形成するときに平坦化ローラ12によって造形槽22に向けて移送供給された粉体20のうち、粉体層31を形成しないで落下する余剰の粉体20である余剰粉体20aを溜める。余剰粉体回収槽29の底面は、余剰粉体20aを吸引する機構が備えられた構成や、余剰粉体回収槽29を簡単に取り外せるような構成となっている。
供給槽21の上方には、粉体供給装置554が配置されている。余剰粉体回収槽29に落下した余剰粉体20aは供給槽21に粉体20を供給する粉体供給装置554に戻される。
図4は、三次元造形装置100の制御部500の概要を示すブロック図である。制御部500によって供給ステージ昇降モータ27の駆動を制御することで、供給ステージ23はZ方向(高さ方向)に昇降される。また、制御部500によって造形ステージ昇降モータ28の駆動を制御することで、造形ステージ24もZ方向(高さ方向)に昇降される。
造形の初期動作時や供給槽21の粉体量が減少したときに、制御部500が粉体供給駆動部517の駆動を制御して、粉体供給装置554を構成するタンク内の粉体20を供給槽21へ供給する。粉体供給のための粉体搬送方法としては、スクリューを利用したスクリューコンベア方式や、エアーを利用した空気輸送方式などが挙げられる。
粉体供給装置554は、Y方向に移動する平坦化ローラ12及び粉体除去板13に接触しない構成である。このような構成としては、粉体供給装置554を平坦化ローラ12の移動に合わせてY方向に移動可能とする構成を挙げることができる。また、平坦化ローラ12の移動時に粉体供給装置554がZ方向に退避する構成としてもよい。さらに、供給槽21に粉体20を供給できる構成であればこれらの構成に限らない。
平坦化ローラ12は、その軸方向長さ(X方向の長さ)が造形槽22及び供給槽21の内寸幅(各槽のX方向の内壁面間の距離)よりも長い丸棒状の部材である。そして、造形ステージ24のステージ面(粉体20が積載される面)に沿ってY方向に、ステージ面に対して相対的に往復移動可能に配置されている。制御部500が平坦化ローラ往復モータ25の駆動を制御することで、平坦化ローラ12は、供給ステージ23及び造形ステージ24の上面に沿うように水平方向におけるY方向(副走査方向)に往復移動する。
平坦化ローラ12は、粉体層形成部材の一例であり、平坦化ローラ12によって造形槽22に粉体20を形成し、粉体層31を形成する。
造形槽22に粉体20を供給するときには、平坦化ローラ12が水平方向に移動することで、供給槽21の供給ステージ23上に貯留されている粉体20の一部を平坦化ローラ12が水平方向に押して造形槽22に移送し、供給する。
さらに、平坦化ローラ12が造形槽22上を通過することで、平坦化ローラ12が造形槽22に供給された粉体20の上層側の一部を移送しつつ、残った粉体20表面(上面)を均して平坦化し、所定の層厚の粉体層31を形成する。
また、平坦化ローラ12は、回転部材の一例である。平坦化ローラ回転モータ26によって回転駆動される。
平坦化ローラ12は、平坦化ローラ回転モータ26によって回転されながら、供給槽21及び造形槽22の上方を通過するように水平方向に往復移動する。
造形槽22に粉体20を供給するときには、平坦化ローラ12は、図3中の矢印「A1」方向に回転しながら、Y方向における供給槽21の外側から供給槽21及び造形槽22の上方を通過するようにして水平移動する。これにより、粉体20が造形槽22上へと移送供給され、平坦化ローラ12が造形槽22上を通過しながら粉体層31が形成される。
粉体除去板13は、平坦化ローラ12の周面に接触して、平坦化ローラ12に付着した粉体20を除去する。平坦化ローラ12が往復移動する際には、粉体除去板13は、平坦化ローラ12の周面に接触した状態で平坦化ローラ12とともに移動する。
次に、造形ユニット5について説明する。
図2に示すように、造形ユニット5は、液体吐出ユニット50を備えている。液体吐出部である液体吐出ユニット50は、造形ステージ24上の粉体層31に粉体20を結合させる造形液10を吐出(付与)して、粉体20が結合した層状の構造物としての層状構造物30を形成する。
液体吐出ユニット50は、キャリッジ51と、キャリッジ51に搭載された二つ(一つまたは三つ以上でもよい。)の液体吐出ヘッドである第一ヘッド52a及び第二ヘッド52b(区別しないときは、「ヘッド52」という。)と、を備えている。
キャリッジ51は、第一ガイド部材54及び第二ガイド部材55によって主走査方向である矢印「X」方向(以下、単に「X方向」という。他のY、Zについても同様とする。)に移動可能に保持されている。第一ガイド部材54及び第二ガイド部材55は、X方向の両端が側板70に対して昇降可能に保持されている。このキャリッジ51は、主走査方向移動機構550を構成するX方向走査モータによってプーリ及びベルトを介して主走査方向であるX方向に往復移動される。
ヘッド52は、造形液10を吐出する複数のノズルを配列したノズル列がそれぞれ二列配置されている。第一ヘッド52aの二つのノズル列は、粉体層31に向けてシアン造形液及びマゼンタ造形液をそれぞれ吐出する。第二ヘッド52bの二つのノズル列は、粉体層31に向けてイエロー造形液及びブラック造形液をそれぞれ吐出する。ヘッド52の構成や吐出する造形液の色はこれに限るものではない。
図1に示すように、これらのシアン造形液、マゼンタ造形液、イエロー造形液及びブラック造形液の各々を収容した複数のタンク60がタンク装着部56に装着され、各色の造形液は供給チューブなどを介してヘッド52に供給される。
液体吐出ユニット50は、第一ガイド部材54及び第二ガイド部材55とともにZ方向に昇降可能に配置され、吐出ユニット昇降機構551によってZ方向に昇降される。
図1に示すように、造形ユニット5のX方向におけるキャリッジ51の移動範囲の一方側(図1中の右側)には、液体吐出ユニット50のヘッド52の維持回復を行うメンテナンス機構61が配置されている。メンテナンス機構61は、主にキャップ62とワイパ63とで構成される。
メンテナンス機構61では、キャップ62をヘッド52のノズル面(ノズルが形成された面)に密着させ、ノズルから造形液を吸引する。これは、ノズルに詰まった粉体20の排出や高粘度化した造形液を排出するためである。
その後、メンテナンス機構61では、ノズルのメニスカス形成のため、ノズル面をワイパ63でワイピング(払拭)する。また、メンテナンス機構61は、造形液の吐出を行わない期間に、ヘッド52のノズル面をキャップ62で覆い、粉体20がノズルに混入することや造形液10が乾燥することを防止する。
造形ユニット5は、ベース部材7上に配置されたガイド部材71に移動可能に保持されたスライダ部72を有し、造形ユニット5全体がX方向に対して直交するY方向(副走査方向)に往復移動可能となっている。この造形ユニット5は、副走査方向移動機構552によって全体がY方向に往復移動される。
次に、三次元造形装置100の制御部500の概要について図4を参照して説明する。
図4に示すように、制御部500は、CPU501と、ROM502と、RAM503とを含む主制御部500Aを備えている。CPU501は、三次元造形装置100全体の制御を司るものである。ROM502は、CPU501に三次元造形動作の制御を実行させるための造形プログラムを含むプログラム、その他の固定データを格納するものである。RAM503は、造形データ等を一時格納するものである。
制御部500は、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための不揮発性メモリ(NVRAM504)を備えている。また、制御部500は、画像データに対する各種信号処理等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC505を備えている。
制御部500は、外部の造形データ作成装置600から造形データを受信するときに使用するデータ及び信号の送受を行うための外部インターフェース506(外部I/F)を備えている。
造形データ作成装置600は、最終形態の三次元造形物を各層状構造物にスライスした造形データを作成する装置であり、例えばパーソナルコンピュータ等の情報処理装置で構成される。
また、制御部500は、各種センサの検知信号を取り込むための入出力部507(I/O)を備えている。入出力部507には、装置の環境条件としての温度及び湿度を検出する温湿度センサ560などの検知信号やその他のセンサ類の検知信号が入力される。
制御部500は、液体吐出ユニット50のヘッド52を駆動制御するヘッド駆動制御部508を備えている。
また、制御部500は、主走査方向駆動部510と副走査方向駆動部512とを備える。
主走査方向駆動部510は、液体吐出ユニット50のキャリッジ51をX方向(主走査方向)に移動させる主走査方向移動機構550を構成するモータを駆動する。
副走査方向駆動部512は、造形ユニット5をY方向(副走査方向)に移動させる副走査方向移動機構552を構成するモータを駆動する。
さらに、制御部500は、液体吐出ユニット50のキャリッジ51をZ方向に移動(昇降)させる吐出ユニット昇降機構551を構成するモータを駆動する吐出ユニット昇降駆動部511を備えている。Z方向への昇降は造形ユニット5全体を昇降させる構成とすることもできる。
制御部500は、供給ステージ23を昇降させる供給ステージ昇降モータ27を駆動する供給ステージ駆動部513と、造形ステージ24を昇降させる造形ステージ昇降モータ28を駆動する造形ステージ駆動部514を備えている。
また、制御部500は、平坦化ローラ12を移動させる平坦化ローラ往復モータ25を駆動する平坦化往復駆動部515と、平坦化ローラ12を回転駆動する平坦化ローラ回転モータ26を駆動する平坦化回転駆動部516を備えている。
制御部500は、供給槽21に粉体20を供給する粉体供給装置554を駆動する粉体供給駆動部517と、液体吐出ユニット50のメンテナンス機構61を駆動するメンテナンス駆動部518とを備えている。
また、制御部500は、余剰粉体回収槽29内の余剰粉体を回収する粉体回収スクリューを回転駆動する粉体回収モータ555を駆動する粉体回収駆動部519を備えている。
制御部500には、使用者による必要な情報の入力及び使用者に対する情報の表示を行うための操作パネル522が接続されている。
三次元造形装置100と造形データ作成装置600とによって、造形装置が構成される。
次に、造形データ作成装置600が行う造形データ作成の一例について説明する。
まず、所望する立体データ(例えばSTLなどのCADデータ)を積層方向(即ち「Z方向」)で分断して、複数のスライスデータとする。
そして、各スライスデータの各X座標と各Y座標とに対応した液滴吐出の有無や、液滴の大きさ、液滴の種類、などを決定し、これを造形データとする。この造形データの作成方法は一例であり、これに限るものでなく、造形データ作成装置600を別体のパーソナルコンピュータで行うこともできるし、所望する立体データのスライスデータへの変換を必須とするものではない。
次に、三次元造形装置100での粉体層31の形成動作の流れについて、図5及び図6を参照して説明する。
図5及び図6は、本実施形態における粉体層31の形成動作の一例の流れを説明する模式的説明図であり、図5は、プレ粉体層形成処理の説明図であり、図6は、粉体除去処理の説明図である。
図5(a)は、造形槽22の造形ステージ24上に、一層目の層状構造物30が形成されている状態であり、次の一層の層状構造物30を形成する形成動作の初期状態である。
一層目の層状構造物30上に次の一層の層状構造物30を形成するときには、まず、図5(b)に示すように、供給槽21の供給ステージ23をZ1方向に上昇させ、造形槽22の造形ステージ24をZ2方向に下降させる。供給ステージ23を上昇させることで、供給ステージ23上の粉体20の上面は、供給槽21の上面レベルよりも上方となる。また、造形ステージ24を下降させることで、造形ステージ24上の粉体20の上面は、造形槽22の上面レベルよりも下方となる。
このとき、造形ステージ24上の粉体20の上面と平坦化ローラ12の周面の最下部との間隔が「Δt1」となるように造形ステージ24の下降距離を設定する。この間隔「Δt1」は、次に一回の粉体供給プロセスで形成される粉体層31の厚さ(即ち、積層ピッチ)の二倍程度の、100[μm]〜200[μm]であることが好ましい。
次に、図5(c)に示すように、平坦化ローラ12を順方向(図5中の反時計回り方向、矢印「A1」方向)に回転させながらY2方向(図5中の右方向、造形槽22側)に移動させる。これにより、供給ステージ23上の粉体20のうち、供給槽21の上面レベルよりも上方に位置する粉体20を、造形槽22へと移送供給する(粉体供給)。
さらに、図5(d)に示すように、平坦化ローラ12を造形槽22の造形ステージ24のステージ面と平行に移動させて、造形槽22に粉体20を供給しつつ、粉体20の上面の平坦化を行う。
これにより、図5(e)に示すように、造形ステージ24の粉体20の最上部に所定の層厚(積層ピッチ)よりも層厚が大きいプレ粉体層31aを形成する。このプレ粉体層31aを形成する処理をプレ粉体層形成処理と呼ぶ。このとき、図5(e)に示すように、プレ粉体層31aの形成に使用されなかった余剰の粉体20は余剰粉体回収槽29に落下する。
プレ粉体層31aを形成した後は、図6(a)に示すように、供給槽21の供給ステージ23をZ2方向に下降させるとともに、造形槽22の造形ステージ24をZ1方向に上昇させる。このとき、プレ粉体層31aの上面が平坦化ローラ12の周面の最下部より「Δt2」高い位置になるように造形ステージ24の上昇距離を設定する。
平坦化ローラ12が層状構造物30と接触しないために、「Δt1>Δt2」の関係を満たし、また「Δt1―Δt2」が、積層ピッチに相当する。積層ピッチは「数10[μm]〜100[μm]」程度であることが好ましい。
次に、図6(b)に示すように、平坦化ローラ12を逆方向(図6中の時計回り方向、矢印「A2」方向)に回転させながらY1方向(図5中の左方向、供給槽21側)に移動させる。これにより、造形ステージ24上の粉体20のうち、造形槽22の上面レベルよりも上方に位置する最表層の粉体20を削り取りつつ、粉体20の上面の平坦化を行う。そして、図6(c)に示すように、造形ステージ24の粉体20の最上部に所定の層厚の粉体層31を形成する。また、平坦化ローラ12は、削り取った粉体20を供給槽21へと搬送する。このようにプレ粉体層31aの最表層を削り取り、所定の層厚の粉体層31を形成する処理を粉体除去処理と呼称する。
その後、図6(d)に示すように、液体吐出ユニット50のヘッド52から造形液10の液滴を粉体層31に向けて吐出して、粉体層31に層状構造物30を積層形成する。
層状構造物30は、例えば、ヘッド52から吐出された造形液10が粉体20と混合されることで、粉体20に含まれる接着剤が溶解し、溶解した接着剤同士が結合して粉体20が結合されることで形成される。
このように、平坦化ローラ12により形成された粉体層31に造形液10を吐出して、粉体層31中の粉体20が所要形状に結合された層状構造物30を形成する処理を、層状構造物形成処理と呼称する。ここで、所要形状とは、最終的に立体造形物の一部を形成する形状のことである。
立体造形物を形成するために、上述したプレ粉体層形成処理、粉体除去処理及び層状構造物形成処理を繰り返す。このとき、新たな層状構造物30とその下層の層状構造物30とは一体化して立体造形物の一部を構成する。そして、上述した処理を必要な回数繰り返すことによって、立体造形物(三次元形状造形物とも言う)を形成する。
一層の層状構造物30を形成する際に、プレ粉体層形成処理と粉体除去処理との少なくとも一方を複数回実行してもよい。また、粉体除去処理の際の平坦化ローラ12の移動方向は、Y1方向に限らず、Y2方向に平坦化ローラ12を移動させながら、順方向(図5中の矢印「A1」の向き)に回転させてもプレ粉体層31aの最上層の粉体20を除去しても良い。
粉体層31に造形液10を吐出することで層状構造物30とする。
造形ユニット5(液体吐出ユニット50)は、造形データに基づいて、粉体層31に造形液10を吐出する。より具体的には、造形ユニット5は、造形データに含まれる複数の画素のうち造形液の吐出が指定された画素群に対応する粉体層31上の領域に対して、造形液10を吐出する。
以上が層状構造物30の造形の流れであり、これを繰り返すことによって立体造形物を造形する。
本実施形態の三次元造形装置100では、平坦化部材である平坦化ローラ12を造形部である造形槽22に対して相対的に移動させて粉体20を移送しつつ平坦化して造形槽22に粉体層31を形成する粉体層形成動作を行う。この粉体層形成動作の際に、プレ粉体層形成処理と粉体除去処理とを実行して、粉体層31を形成する。プレ粉体層形成処理では、平坦化ローラ12によって粉体20を押して造形槽22に粉体20を敷き詰めてプレ粉体層31aを形成する。また、粉体除去処理では、平坦化ローラ12によってプレ粉体層31aの表層側となる上部の一部の粉体20を除去して粉体層31を形成する。
このような粉体層形成動作と、粉体層31の粉体20を所要形状に結合して層状構造物30を形成する構造物形成動作とを繰り返し行い、層状構造物30が積層された三次元造形物を製造する。
また、図5及び図6に示す粉体層31の形成動作では、造形槽22の上方を通過した平坦化ローラ12を初期位置(図5(a)の位置)に移動させる際に、造形ステージ24を上昇させて、プレ粉体層31aの粉体20の一部を供給槽21に戻している。これにより、立体造形物の品質低下を抑制しつつ、粉体20の使用効率を向上することができる。
立体造形物(三次元造形物)を造形する立体造形装置(三次元造形装置)としては、例えば積層造形法で造形するものが知られている。積層造形法の立体造形装置の一例としては、次のようなものが知られている。すなわち、造形ステージに平坦化された粉体の薄層を形成し、形成された粉体層に対して造形液をヘッドから吐出し、粉体が結合された薄層の造形層(層状構造物30)を形成する。そして、この造形層上に次の粉体層を形成して再び造形層を形成する工程を繰り返して、造形層を積層することで立体造形物を造形する。
しかし、造形ステージに対して平坦化部材を往復させることで、粉体層の粉体密度を高める従来の立体造形装置では、形成された粉体層の内部の粉体が変位して立体造形物の品質が低下することがあった。
本実施形態の三次元造形装置100では、平坦化ローラ12の回転速度と平坦化ローラ12の移動速度との少なくとも一方が、プレ粉体層形成処理のときよりも粉体除去処理のときの方が速い構成となっている。これにより、粉体層31の内部の粉体20が変位することを抑制しながら、粉体層31の粉体密度の向上を図ることができるため、立体造形物の品質の向上を図ることができる。
〔実施例1〕
次に、本実施形態の三次元造形装置100の粉体層形成動作の一つ目の実施例(以下、「実施例1」という。)について説明する。
実施例1では、平坦化ローラ12の回転速度について、プレ粉体層形成処理のときよりも粉体除去処理のときの方が速くなるように設定する。具体的には、直径が10[mm]の平坦化ローラ12を用い、プレ粉体層形成処理のときの回転速度を5[rps]未満に設定し、粉体除去処理のときの回転速度を5[rps]以上に設定する。また、実施例1では、平坦化ローラ12のステージ面に沿った水平方向の移動速度はプレ粉体層形成処理及び粉体除去処理ともに50[mm/s]に設定する。
ここで、プレ粉体層形成処理のときと粉体除去処理のときとで、平坦化ローラ12の回転速度と平坦化ローラ12の移動速度との条件が同じである場合の不具合について説明する。
平坦化ローラ12のステージ面に沿った移動速度を一定とした条件で、プレ粉体層形成処理と粉体除去処理との回転速度を5[rps]以上の高速回転で一定に設定して三次元造形物を形成する実験を行った。この実験で形成した三次元造形物は、水平方向の位置によって密度にムラが発生した。具体的には、プレ粉体層形成処理のときの平坦化ローラ12の移動方向の下流側となる位置で形成された部分ほど粉体密度が低くなった。これは、平坦化ローラ12の移動方向に位置によって粉体層31の粉体密度にムラが発生したためと考えられる。
また、平坦化ローラ12のステージ面に沿った移動速度を一定とした条件で、プレ粉体層形成処理と粉体除去処理との回転速度を5[rps]未満の低速回転で一定に設定して三次元造形物を形成する実験を行った。この実験で形成した三次元造形物は、水平方向の位置によって密度にムラが発生する不具合を抑制することができた。しかし、層状構造物同士の水平方向の位置がずれた状態で積層され、完成した三次元造形物の造形精度の低下が発生した。これは、粉体除去処理時に、既に形成された層状構造物30の上に粉体層31を形成する際に、平坦化ローラ12から粉体20に対して水平方向の力が作用し、粉体20を介して既に形成された層状構造物30を水平方向に変位させる力が作用したためと考えられる。
以下、図7及び図8を用いて、平坦化ローラ12の回転速度と粉体20の挙動との関係について説明する。
図7は、プレ粉体層形成処理における平坦化ローラ12の回転速度と粉体20の挙動との関係を示す説明図である。
図7(a)は、矢印「A1」方向に回転する平坦化ローラ12の回転速度が低速回転(5[rps]未満)である場合の説明図である。図7(b)は、矢印「A1」方向に回転する平坦化ローラ12の回転速度が高速回転(5[rps]以上)である場合の説明図である。
図7中の矢印「B」は平坦化ローラ12から粉体20に作用する力を模式的に示したものである。
プレ粉体層形成処理では、一つ前の粉体層31の形成動作で形成された粉体の層である既成粉体層31bの上面と平坦化ローラ12の周面の最下部との間にギャップ「Δt1」を形成する。このギャップ「Δt1」を形成する平坦化ローラ12の周面の最下部に対して平坦化ローラ12の移動方向下流側(図7中の右側)には、既成粉体層31bの上にプレ粉体層31aを形成していない状態の粉体20が存在する。この粉体20を「ローラ下流側粉体20b」とする。
図7(a)に示す低速回転の場合は、平坦化ローラ12の周面に接触する粉体20が平坦化ローラ12の表面移動に追従し易く、平坦化ローラ12と粉体20との間に静止摩擦力が作用し易い状態となる。また、平坦化ローラ12の表面移動に追従する粉体20と接触する他の粉体20との間にも静止摩擦力が作用し易い状態となる。
これに対して、図7(b)に示す高速回転の場合は、平坦化ローラ12の周面に接触する粉体20が平坦化ローラ12の表面移動に追従し難く、平坦化ローラ12と粉体20との間に静止摩擦力が作用し難く、動摩擦力が作用し易い状態となる。また、高速で移動する平坦化ローラ12の表面に接触して表面移動に追従する粉体20があっても、この粉体20も高速で移動するため、この粉体20に接触する他の粉体20は、高速で移動する粉体20の移動に追従し難い。このため、平坦化ローラ12の表面移動に追従する粉体20と他の粉体20との間も静止摩擦力が作用し難く、動摩擦力が作用し易い状態となる。
一般的に、動摩擦力よりも静止摩擦力の方が大きいため、平坦化ローラ12と粉体20との間に静止摩擦力が作用し易い低速回転の方が、動摩擦力が作用し易い高速回転よりもローラ下流側粉体20bに作用する平坦化ローラ12の移動方向への力が大きくなる。
このため、図7(a)及び(b)の矢印「B」で示すように、平坦化ローラ12から粉体20に作用する力は、低速回転の方が大きくなる。また、矢印「B」で示す力について、平坦化ローラ12の移動方向(Y2方向)への分力は、図7(a)で示す低速回転時の方が十分に大きい。しかし、矢印「B」で示す力の粉体20を押圧する下方向(Z2方向)の分力は、図7(a)に示す低速回転時と図7(b)で示す高速回転時とでほとんど差はない。
本実施形態のように、プレ粉体層31aを形成し、その表面側の一部を除去して所定の層厚の粉体層31を形成する場合、プレ粉体層形成処理のときに、造形槽22の水平方向の全体にわたって均一な量の粉体20を行き渡らせることが重要となる。粉体20の量が不十分な箇所があると、その後の粉体除去処理で平坦化を行っても、当該箇所の粉体密度が不足しやすくなり、上述した粉体層31の密度ムラが生じ易くなる。
また、平坦化ローラ12の周面と粉体20との間で生じる摩擦力が小さ過ぎると、平坦化ローラ12に接するローラ下流側粉体20bを、プレ粉体層形成処理での平坦化ローラ12の移動方向(図7中のY2方向)へ移送させる移送力が弱まる。これにより、平坦化ローラ12の移動に伴ってローラ下流側粉体20bを平坦化ローラ12の移動方向に移送する移送能力が低下してしまう。その結果、供給槽21から造形槽22へ供給される粉体20の量が減り、プレ粉体層形成処理時に、造形槽22における平坦化ローラ12の移動方向下流側(図7中のY2方向下流側)で粉体20の量が不足してしまう。これにより、造形槽22の水平方向の全体にわたって均一な量の粉体20を行き渡らせることが困難となる。
さらに、上述したように摩擦力が小さ過ぎると、平坦化ローラ12によるローラ下流側粉体20bの移送力が弱いため、図7中のY2方向へ移動する平坦化ローラ12の下を通り抜ける粉体20の量が多くなる。そのため、プレ粉体層形成処理の初期の頃に、造形槽22のY2方向上流側において多くの粉体20が平坦化ローラ12の下を通り抜けてしまう。この結果、造形槽22のY2方向下流側で粉体20の量が不足し、造形槽22の全体にわたって均一な量の粉体20を行き渡らせることが困難となる。
このため、図7(b)に示すように、平坦化ローラ12の周面と粉体20との間に動摩擦力が作用し易い高速回転でプレ粉体層形成処理を行うと、造形槽22の全体にわたって均一な量の粉体20を行き渡らせることが困難となると考えられる。
実施例1では、図7(a)に示すように、平坦化ローラ12の周面と粉体20との間に静止摩擦力が作用し易い低速回転でプレ粉体層形成処理を行う。これにより、平坦化ローラ12の周面と粉体20との間で生じる摩擦力を、造形槽22の全体にわたって均一な量の粉体20を行き渡らせる移送能力が十分に確保される程度に大きくすることが可能となる。このため、粉体層31の粉体密度にムラが生じることを抑制できる。
また、ローラ下流側粉体20bは、プレ粉体層形成処理で平坦化ローラ12の移動するに伴いプレ粉体層31aの形成に用いられるため、平坦化ローラ12が下流側ほど粉体20の量が減少する。そして、造形槽22における平坦化ローラ12の移動方向下流端までローラ下流側粉体20bが存在する状態を確保するため、造形槽22における平坦化ローラ12の移動方向上流側ではローラ下流側粉体20bの粉体20の量が多くなる。このようにプレ粉体形成処理時には平坦化ローラ12が多くの粉体20を保持しながら移動しているため、粉体20は飛散し易く、平坦化ローラ12の回転速度を5[rps]以上の高速回転とすると、粉体20が飛散するという不具合も生じ易くなる。
実施例1では、プレ粉体形成処理時の平坦化ローラ12の回転速度を5[rps]未満の低速回転としているため、粉体20の飛散が生じ易いプレ粉体形成処理時の粉体20の飛散を抑制することができる。
プレ粉体層形成処理での平坦化ローラ12の回転速度が、「高速」か「低速」かは、平坦化ローラ12の直径によって異なる。本実施形態では、平坦化ローラ12の直径は10[mm]であり、プレ粉体層形成処理の際の「回転速度が低速である」とは、回転速度が5[rps]未満である場合を指す。また、本実施形態のプレ粉体層形成処理の際の「回転速度が高速である」とは、回転速度が5[rps]以上である場合を指す。
図8は、粉体除去処理における平坦化ローラ12の回転速度と粉体20の挙動との関係を示す説明図である。
図8(a)は、矢印「A2」方向に回転する平坦化ローラ12の回転速度が低速回転(5[rps]未満)である場合の説明図である。図8(b)は、矢印「A2」方向に回転する平坦化ローラ12の回転速度が中速回転(5[rps]以上、20[rps]未満)である場合の説明図である。図8(c)は、矢印「A2」方向に回転する平坦化ローラ12の回転速度が高速回転(20[rps]以上)である場合の説明図である。
粉体除去処理では、プレ粉体層形成処理のときよりも造形ステージ24が「Δt2」上昇する。このため、図8に示すように、平坦化ローラ12はプレ粉体層形成処理で形成されたプレ粉体層31aに対して、高さ「Δt2」だけ入り込んだ状態となる。
図8(a)〜(c)の矢印「C」は、平坦化ローラ12の表面移動速度を示しており、粉体層31及び既成粉体層31bの内部の四つの白抜きの矢印「D」は、粉体層31及び既成粉体層31bの内部での水平方向に作用する力の分布を示している。
図8(a)に示すように、平坦化ローラ12の回転速度が低速回転であるとき、平坦化ローラ12とこれに接する粉体20との間に静止摩擦力が作用し易い状態となる。動摩擦力よりも大きな力である静止摩擦力の作用によって、粉体20に対して平坦化ローラ12の移動方向(水平方向)に大きな力が作用し、粉体20が平坦化ローラ12の表面に追従して水平方向へ変位する。このように変位する粉体20と、これに接する下方の粉体20との間の静止摩擦力によって、当該下方の粉体20にも水平方向の力が作用し、上方の粉体20に追従して水平方向へ変位する。このような粉体20の変位の連鎖によって、最終的に粉体層31の下方にある既成粉体層31bに接する粉体20にも変位させる力が伝わり、既成粉体層31b内に形成された層状構造物30の引き摺りや膨張を引き起こす。
ここでいう「引き摺り」とは、既成粉体層31b内の層状構造物30が平坦化ローラ12の移動方向(平坦化方向)へ引き摺られて、位置がシフトする現象である。また、「膨張」とは、既成粉体層31b内の層状構造物30が平坦化方向へ引き延ばされて層状構造物30の寸法が拡大する現象である。層状構造物30の引き摺りや膨張が発生すると、三次元造形物の造形精度が低下する。
また、粉体除去処理で除去されるプレ粉体層31aの表層側の「Δt2」の範囲の粉体20は、平坦化ローラ12に押されることでY1方向に移動する。このとき、平坦化ローラ12が低速回転であると、「Δt2」の範囲にあった粉体20が流動化し難く、この粉体20と粉体除去処理後に残す粉体20との間に摩擦力が作用し、粉体除去処理後に残す粉体20を水平方向に変位させる力が伝わり易くなる。この力も既成粉体層31b内に形成された層状構造物30の引き摺りや膨張を引き起こす原因となるおそれがある。
図8(b)に示すように、平坦化ローラ12の回転速度が中速回転であるとき、平坦化ローラ12の周面に接触する粉体20が平坦化ローラ12の表面移動に追従し難い。このため、平坦化ローラ12と粉体20との間に静止摩擦力が作用し難く、動摩擦力が作用し易い状態となる。また、平坦化ローラ12の表面に接触して表面移動に追従する粉体20があっても、この粉体20に接触する他の粉体20との間も静止摩擦力が作用し難く、動摩擦力が作用し易い状態となる。
静止摩擦力よりも小さい力である動摩擦力が作用する状態では、粉体20に対して平坦化ローラ12の移動方向(水平方向)に作用する力は小さくなり、移動中の平坦化ローラ12の周面とこれに接する粉体20との間で摺動(すべり)が発生する。このため、上述した低速回転の条件では生じ易かった粉体20の変位の連鎖が生じ難く、既成粉体層31bの粉体20を変位させようとする力を小さく抑えることができ、既成粉体層31b内の層状構造物30の引き摺りや膨張を抑制できる。
また、平坦化ローラ12が中速回転であると、上述した「Δt2」の範囲にあった粉体20が流動化し易く、この粉体20と粉体除去処理後に残す粉体20との間に摩擦力が作用し難くなる。このため、粉体除去処理後に残す粉体20を水平方向に変位させる力が伝わり難くなり、平坦化ローラ12に押される粉体20の移動に起因して既成粉体層31b内の層状構造物30に引き摺りや膨張が生じることを抑制できる。
よって、実施例1では、平坦化ローラ12の周面と粉体20との間に静止摩擦力が作用し易い低速回転ではなく、平坦化ローラ12の周面と粉体20との間に動摩擦力が作用し易い中速回転以上で粉体除去処理を行う。これにより、平坦化ローラ12の移動方向の力が既成粉体層31bの粉体20に作用することを抑制でき、層状構造物30を水平方向に変位させる力が作用することを抑制でき、三次元造形物の造形精度の低下を抑制できる。
また、図8(a)及び図8(b)中の矢印「D」で示すように、回転速度を速くすることで、平坦化ローラ12から粉体20に作用する水平方向の力は小さくなり、上方の粉体20から下方の粉体20に作用する水平方向の力も小さくなる。
しかし、平坦化ローラ12から粉体20に作用する粉体20を下方(Z2方向)に押し付ける力は、回転速度が変化してもほとんど変化せず、上方の粉体20から下方の粉体20に作用する下方に押し付ける力もほとんど変化しない。このため、回転速度を変化させても、平坦化ローラ12が粉体20を下方(Z2方向)に押し込む力によって粉体層31の粉体密度を高める作用を維持することができる。
しかし、図8(c)に示すように、平坦化ローラ12の回転速度が中速回転よりもさらに速くした高速回転(20[rps]以上)となると、粉体除去処理後の粉体層31の表面に図中の「E」で示す乱れが生じ、平坦化された表面を形成できないことがあった。これは、削り取った粉体20が、粉体除去処理後に残す粉体層31に干渉したためと考えられる。
粉体除去処理での平坦化ローラ12の回転速度が、「低速」、「中速」または「高速」の何れに該当するかは、平坦化ローラ12の直径によって異なる。本実施形態では、平坦化ローラ12の直径は10[mm]であり、粉体除去処理の際の「回転速度が低速である」とは、回転速度が5[rps]未満である場合を指す。また、本実施形態の粉体除去処理の際の「回転速度が高速である」とは、回転速度が20[rps]以上である場合を指す。さらに、本実施形態の粉体除去処理の際の「回転速度が中速である」とは、低速と高速との間の速度域(5[rps]以上、20[rps]未満)を指す。
上述した回転速度は、平坦化ローラ12の直径が10[mm]である場合であり、平坦化ローラ12の直径が変化するときは、この限りではない。具体的には、同一の回転速度であれば、平坦化ローラ12の直径が大きくなった場合、平坦化ローラ12周面の表面移動速度は上昇する。このため、プレ粉体層形成処理及び粉体除去処理ともに上述した効果を得るためには、回転速度はより低い領域へとシフトする。
また、同一の回転速度であれば、平坦化ローラ12の水平方向への移動速度が大きくなった場合、平坦化ローラ12周面の造形ステージ24に対する相対速度は上昇する。このため、プレ粉体層形成処理及び粉体除去処理ともに上述した効果を得るためには、回転速度はより低い領域へとシフトする。
プレ粉体層形成処理と粉体除去処理とを実行して粉体層31を形成する構成では、プレ粉体層形成処理時に、平坦化ローラ12が粉体20に対して作用させる水平方向の力を大きくすることで粉体層31の粉体密度にムラが生じることを抑制できると考えられる。これは、水平方向の力を大きくすることで造形ステージ24の表面に沿う方向の粉体20の移送力を確保することができ、造形槽22の全体にわたって均一な量の粉体20を行き渡らせることが可能となるため、と考えられる。
また、粉体除去処理時に、平坦化ローラ12が粉体20に対して作用させる水平方向の力を小さくすることで、三次元造形物の造形精度の低下を抑制できると考えられる。これは、水平方向の力を小さくすることで、平坦化ローラ12の移動方向の力が既成粉体層31bの粉体20に作用することを抑制でき、層状構造物30を水平方向に変位させる力が作用することを抑制できるため、と考えられる。
実施例1では、プレ粉体層形成処理時に平坦化ローラ12の回転速度を低速回転とすることで、平坦化ローラ12が粉体20に対して作用させる移送力を確保することができ、造形槽22の全体にわたって均一な量の粉体20を行き渡らせることが可能となる。これにより、三次元造形物の密度にムラが生じることを抑制できる。さらに、粉体除去処理時に平坦化ローラ12の回転速度を中速回転とすることで、平坦化ローラ12が粉体20に対して作用させる水平方向の力を小さくすることができ、三次元造形物の造形精度の低下を抑制できる。また、粉体除去処理時に平坦化ローラ12の回転速度を中速回転としても平坦化ローラ12が粉体20に対して作用させる下方の力は維持することができるため、粉体層31の粉体密度を高くすることができる。
図9は、平坦化ローラ12を用いて粉体20の平坦化処理(プレ粉体層形成処理または粉体除去処理)を行っているときの粉体20の個々の粒子に作用する力を模式的に矢印で示した説明図である。図9に示すように、平坦化ローラ12に対する位置によって、粉体20の個々の粒子に作用する力は異なり、さらに、平坦化ローラ12の回転速度によっても粉体20の個々の粒子に作用する力は異なる。
平坦化ローラ12の回転速度の違いによって粉体20の集合全体に作用する力の違いを比較するシミュレーションを行った。
図10は、平坦化ローラ12の回転速度を異ならせて、粉体20に作用する力をそれぞれ算出したシミュレーションの結果を示す説明図である。
シミュレーションでは、プレ粉体層形成処理に対応するように既成粉体層31bの上に粉体20を敷き詰める条件と、粉体除去処理に対応するようにプレ粉体層31aの表面層の粉体20を除去する条件とで計算を行った。平坦化ローラ12の水平方向の移動速度は、200[mm/s]とし、プレ粉体層形成処理及び粉体除去処理の何れの場合も、平坦化ローラ12の移動方向は、図10中の右から左に向かう方向である。
図10(a)は、回転速度が0[rps]であり、図10(b)は、回転速度が5[rps]であり、図10(c)は、回転速度が50[rps]である。
プレ粉体層形成処理及び粉体除去処理のそれぞれの処理の開始から終了までの間で粉体20の個々の粒子に作用する力の合計値を算出し、粉体20の粒子の全ての力の合計値を算出して力の総和を求めた。この力の総和の大きさを図10中の矢印の長さで示し、力の向きを矢印の向きで示した。矢印の向きは、0[°]が水平方向であり、90[°]が鉛直下方である。図10に示す力の総和の大きさは無次元値である。
図10中の実線の矢印がプレ粉体層形成処理で粉体20に作用する力の総和を示し、図10中の破線の矢印が粉体除去処理で粉体20に作用する力の総和を示す。
図10に示すように、プレ粉体層形成処理と粉体除去処理との違い、及び、平坦化ローラ12の違いによって、力の総和の大きさ、及び、作用する方向の角度が変化した。
力が作用する方向の角度については、回転速度が0[rps]から50[rps]に増加すると、プレ粉体層形成処理では、実線の矢印で示すように50[°]から60[°]へと、わずかに増加した。これに対して、粉体除去処理では、破線の矢印で示すように50[°]から80[°]へと、大きく増加した。
力の総和の大きさについては、回転速度が0[rps]から50[rps]に増加すると、実線の矢印で示すプレ粉体層形成処理では、実線の矢印で示すように140から80へと、大きく減少した。これに対して、粉体除去処理では、破線の矢印で示すように100から80へと、減少量は少なかった。
さらに、粉体除去処理では、回転速度が0[rps]から50[rps]に増加するにつれて、力の総和の水平方向の分力は減少し、鉛直下方の分力はほとんど変化しなかった。このことから、粉体除去処理において回転速度を速くすることで、既成粉体層31bに水平方向の力が作用することを抑制しつつ、平坦化ローラ12の下方に押し込む力によって粉体層31の粉体密度を高める作用を維持することができる、と考えられる。
図10を用いて説明したシミュレーションでは、平坦化ローラ12の回転速度が0[rps]の条件での計算を行っている。しかし、実際の装置では、低速回転が適しているプレ粉体層形成処理でも回転速度を0[rps]にすると、層状構造物30に水平方向の変位が生じ、三次元造形物の造形精度が低下する。本実施形態の三次元造形装置100では、プレ粉体層形成処理時の平坦化ローラ12の回転速度を2[rps]以上に設定した。平坦化ローラ12の回転速度としては、粉体20の流動性によっても適切な値が変化し、流動性が高い粉体20であれば、より低速の回転速度であっても、層状構造物30が水平方向に変位することに起因して三次元造形物の造形精度が低下することを抑制できる。
実施例1では、プレ粉体層形成処理で造形槽22における平坦化ローラ12の移動方向の全域にわたって均一な量の粉体20を行き渡らせることが可能となり、形成される粉体層31を高い粉体密度で均一化することができる。さらに、粉体除去処理では粉体層31として残す粉体20に平坦化ローラ12の移動方向の力が作用することを抑制でき、形成しようとしている粉体層31よりも下方の粉体層である既成粉体層31bに形成された層状構造物30が変位することを抑制できる。これにより、三次元造形物の造形精度の低下を抑制することができる。
〔実施例2〕
次に、本実施形態の三次元造形装置100の粉体層形成動作の二つ目の実施例(以下、「実施例2」という。)について説明する。
実施例2では、平坦化ローラ12のステージ面に沿った水平方向の移動速度について、プレ粉体層形成処理のときよりも粉体除去処理のときの方が速くなるように設定する。具体的には、直径が10[mm]の平坦化ローラ12を用い、プレ粉体層形成処理のときの移動速度を50[mm/s]未満に設定し、粉体除去処理のときの移動速度を50[mm/s]以上に設定する。また、実施例2では、平坦化ローラ12の回転速度はプレ粉体層形成処理及び粉体除去処理ともに5[rps]に設定する。
実施例2は、平坦化ローラ12の回転速度と移動速度とが異なる点以外は、上述した実施例1と同様の構成である。
以下、図11及び図12を用いて、平坦化ローラ12の水平方向の移動速度と粉体20の挙動との関係について説明する。
図11は、プレ粉体層形成処理における平坦化ローラ12の移動速度と粉体20の挙動との関係を示す説明図である。
図11(a)は、矢印「Y2」方向に水平移動する平坦化ローラ12の移動速度が低速回転(50[mm/s]未満)である場合の説明図である。図11(b)は、矢印「Y2」方向に水平移動する平坦化ローラ12の移動速度が高速移動(50[mm/s]以上)である場合の説明図である。
図11中の矢印「B」は平坦化ローラ12から粉体20に作用する力を模式的に示したものである。
図11(a)に示す低速移動の場合は、平坦化ローラ12の周面に接触する粉体20が平坦化ローラ12の移動に追従し易く、平坦化ローラ12と粉体20との間に静止摩擦力が作用し易い状態となる。また、平坦化ローラ12の移動に追従する粉体20と接触する他の粉体20との間にも静止摩擦力が作用し易い状態となる。
これに対して、図11(b)に示す高速移動の場合は、平坦化ローラ12の周面に接触する粉体20が平坦化ローラ12の移動に追従し難く、平坦化ローラ12と粉体20との間に静止摩擦力が作用し難く、動摩擦力が作用し易い状態となる。また、平坦化ローラ12の表面に接触して追従して移動する粉体20があっても、この粉体20に接触する他の粉体20との間も静止摩擦力が作用し難く、動摩擦力が作用し易い状態となる。
図11(b)に示すように、平坦化ローラ12の周面と粉体20との間に動摩擦力が作用し易い高速移動でプレ粉体層形成処理を行うと、平坦化ローラ12の周面と粉体20との間で生じる摩擦力が小さ過ぎる状態となるおそれがある。この状態では、プレ粉体層形成処理での平坦化ローラ12の移動方向(図11中のY2方向)へローラ下流側粉体20bを移送させる移送力が弱まり、移送力が不十分となってしまう。その結果、供給槽21から造形槽22へ供給される粉体20の量が減り、プレ粉体層形成処理時に、造形槽22における平坦化ローラ12の移動方向下流側(図11中のY2方向下流側)で粉体20の量が不足してしまう。これにより、造形槽22の全体にわたって均一な量の粉体20を行き渡らせることが困難となる。
また、上述した摩擦力が小さ過ぎる状態では、平坦化ローラ12によるローラ下流側粉体20bの移送力が弱いため、図11中のY2方向へ移動する平坦化ローラ12の下を通り抜ける粉体20の量が多くなる。そのため、プレ粉体層形成処理の初期の頃に、造形槽22のY2方向上流側において多くの粉体20が平坦化ローラ12の下を通り抜けてしまう。この結果、造形槽22のY2方向下流側で粉体20の量が不足し、造形槽22の全体にわたって均一な量の粉体20を行き渡らせることが困難となる。
実施例2では、図11(a)に示すように、平坦化ローラ12の周面と粉体20との間に静止摩擦力が作用し易い低速移動でプレ粉体層形成処理を行う。これにより、平坦化ローラ12の周面と粉体20との間で生じる摩擦力を、造形槽22の全体にわたって均一な量の粉体20を行き渡らせる移送能力が十分に確保される程度に大きくすることが可能となる。このため、粉体層31の粉体密度にムラが生じることを抑制できる。
図12は、粉体除去処理における平坦化ローラ12の水平方向の移動速度と粉体20の挙動との関係を示す説明図である。
図12(a)は、矢印「A2」方向に回転しながら水平方向に移動する平坦化ローラ12の移動速度が低速移動(50[mm/s]未満)である場合の説明図である。図12(b)は、矢印「A2」方向に回転しながら水平方向に移動する平坦化ローラ12の移動速度が高速移動(50[mm/s]以上)である場合の説明図である。
図12中の矢印「F」は、平坦化ローラ12の水平方向の移動速度を示しており、粉体層31及び既成粉体層31bの内部の四つの白抜きの矢印「D」は、粉体層31及び既成粉体層31bの内部での水平方向に作用する力の分布を示している。
図12(a)に示すように、平坦化ローラ12の移動速度が低速移動であるとき、平坦化ローラ12とこれに接する粉体20との間に静止摩擦力が作用し易い状態となる。動摩擦力よりも大きな力である静止摩擦力の作用によって、粉体20に対して平坦化ローラ12の移動方向(水平方向)に大きな力が作用し、粉体20が平坦化ローラ12の表面に追従して水平方向へ変位する。このように変位する粉体20と、これに接する下方の粉体20との間の静止摩擦力によって、当該下方の粉体20にも水平方向の力が作用し、上方の粉体20に追従して水平方向へ変位する。このような粉体20の変位の連鎖によって、最終的に粉体層31の下方にある既成粉体層31bに接する粉体20にも変位させる力が伝わり、既成粉体層31b内に形成された層状構造物30の引き摺りや膨張を引き起こす。層状構造物30の引き摺りや膨張が発生すると、三次元造形物の造形精度が低下する。
また、粉体除去処理で除去されるプレ粉体層31aの表層側の「Δt2」の範囲の粉体20は、平坦化ローラ12に押されることでY1方向に移動する。このとき、平坦化ローラ12が低速移動であると、「Δt2」の範囲にあった粉体20が流動化し難く、この粉体20と粉体除去処理後に残す粉体20との間に摩擦力が作用し、粉体除去処理後に残す粉体20を水平方向に変位させる力が伝わり易くなる。この力も既成粉体層31b内に形成された層状構造物30の引き摺りや膨張を引き起こす原因となるおそれがある。
図12(b)に示すように、平坦化ローラ12の移動速度が高速移動であるとき、平坦化ローラ12の周面に接触する粉体20が平坦化ローラ12の移動に追従し難い。このため、平坦化ローラ12と粉体20との間に静止摩擦力が作用し難く、動摩擦力が作用し易い状態となる。また、平坦化ローラ12の表面に接触して平坦化ローラ12の移動に追従する粉体20があっても、この粉体20に接触する他の粉体20との間も静止摩擦力が作用し難く、動摩擦力が作用し易い状態となる。
静止摩擦力よりも小さい力である動摩擦力が作用する状態では、粉体20に対して平坦化ローラ12の移動方向(水平方向)に作用する力は小さくなり、移動中の平坦化ローラ12の周面とこれに接する粉体20との間で摺動(すべり)が発生する。このため、上述した低速移動の条件では生じ易かった粉体20の変位の連鎖が生じ難く、既成粉体層31bの粉体20を変位させようとする力を小さく抑えることができ、既成粉体層31b内の層状構造物30の引き摺りや膨張を抑制できる。
また、平坦化ローラ12が高速移動であると、上述した「Δt2」の範囲にあった粉体20が流動化し易く、この粉体20と粉体除去処理後に残す粉体20との間に摩擦力が作用し難くなる。このため、粉体除去処理後に残す粉体20を水平方向に変位させる力が伝わり難くなり、平坦化ローラ12に押される粉体20の移動に起因して既成粉体層31b内の層状構造物30に引き摺りや膨張が生じることを抑制できる。
よって、実施例2では、平坦化ローラ12の周面と粉体20との間に静止摩擦力が作用し易い低速回転ではなく、平坦化ローラ12の周面と粉体20との間に動摩擦力が作用し易い高速移動で粉体除去処理を行う。これにより、平坦化ローラ12の移動方向の力が既成粉体層31bの粉体20に作用することを抑制でき、層状構造物30を水平方向に変位させる力が作用することを抑制でき、三次元造形物の造形精度の低下を抑制できる。
また、回転速度を変化させる実施例1と同様に、移動速度を変化させても、平坦化ローラ12が粉体20を下方(Z2方向)に押し込む力によって粉体層31の粉体密度を高める作用を維持することができる。
実施例2では、プレ粉体層形成処理時に平坦化ローラ12の移動速度を低速移動とすることで、平坦化ローラ12が粉体20に対して作用させる移送力を確保することができ、造形槽22の全体にわたって均一な量の粉体20を行き渡らせることが可能となる。これにより、三次元造形物の密度にムラが生じることを抑制できる。さらに、粉体除去処理時に平坦化ローラ12の移動速度を高速移動とすることで、平坦化ローラ12が粉体20に対して作用させる水平方向の力を小さくすることができ、三次元造形物の造形精度の低下を抑制できる。また、粉体除去処理時に平坦化ローラ12の移動速度を高速移動としても平坦化ローラ12が粉体20に対して作用させる下方の力は維持することができるため、粉体層31の粉体密度を高くすることができる。
プレ粉体層形成処理及び粉体除去処理において、平坦化ローラ12の移動速度が、「低速」か「高速」かは、平坦化ローラ12の直径によって異なる。本実施形態では、平坦化ローラ12の直径は10[mm]であり、プレ粉体層形成処理及び粉体除去処理の際の「移動速度が低速である」とは、移動速度が50[mm/s]未満である場合を指す。また、本実施形態のプレ粉体層形成処理及び粉体除去処理の際の「移動速度が高速である」とは、移動速度が50[mm/s]以上である場合を指す。
上述した移動速度は、平坦化ローラ12の直径が10[mm]で、回転速度が5[rps]である場合であり、平坦化ローラ12の直径や回転速度が変化するときは、この限りではない。具体的には、同一の移動速度であれば、平坦化ローラ12の直径や回転速度が大きくなった場合、平坦化ローラ12周面の造形ステージ24に対する相対速度は上昇する。このため、プレ粉体層形成処理及び粉体除去処理ともに上述した効果を得るためには、移動速度はより低い領域へとシフトする。
実施形態では、プレ粉体層形成処理時に、平坦化ローラ12を低速で回転または移動させるため、搬送中の粉体20を飛散させずに密に詰まったプレ粉体層31aを形成することができる。また、粉体除去処理時には、平坦化ローラ12を高速で回転または移動させるため、平坦化ローラ12の表面に追従する粉体20があっても、この粉体20と他の粉体20との結び付きを断ち切り、粉体層31を形成する粉体20の水平方向への移動を抑制できる。このため、平坦化ローラ12の移動方向への粉体層31を形成する粉体20の変位を抑制しつつ、粉体層31を形成する粉体20よりも上方に位置する粉体20を削り取ることが可能となる。
実施形態では、平坦化ローラ12を移動させることで平坦化ローラ12を造形槽22に対して相対的に移動させる構成であるが、造形槽22を移動させることで平坦化ローラ12を造形槽22に対して相対的に移動させる構成としてもよい。
実施形態では、平坦化ローラ12の回転方向は、平坦化ローラ12の造形槽22との対向部における表面移動方向が、平坦化ローラ12の造形槽22に対する移動方向と同方向となる回転方向(以下、「カウンター方向」と呼ぶ)である。平坦化ローラ12の回転方向としては、平坦化ローラ12の造形槽22との対向部における表面移動方向が平坦化ローラ12の造形槽22に対する移動方向とは逆方向となる回転方向(以下、「トレーリング方向」という)でもよい。
しかし、平坦化ローラ12の回転方向をカウンター方向に設定することで、粉体層31の粉体密度の均一化及び層厚の均一化を図ることができる。これは以下の理由による。
すなわち、平坦化ローラ12の最下部の近傍であって、この最下部よりも平坦化ローラ12の造形槽22に対する移動方向の下流側となる平坦化ローラ12の周面と、平坦化ローラ12の最下部を通る仮想水平面との間には、楔形の空間が形成される。
平坦化ローラ12の回転方向がトレーリング方向の場合、楔形の空間内で平坦化ローラ12に接触する粉体20は平坦化ローラ12の表面移動によって、平坦化ローラ12の最下部が位置する楔形の頂点に向かって移動する。平坦化ローラ12の表面移動によって楔形の頂点に到達した粉体20は、上方の平坦化ローラ12と、下方のプレ粉体層31aまたは粉体層31とによって逃げ場がないため、プレ粉体層31aまたは粉体層31を形成する粉体20内に入ろうとする。これにより、平坦化ローラ12の下方の粉体20の量が部分的に多くなり、粉体20の量が多くなった部分で形成された粉体層31は他の部分と比べて、部分的に粉体密度が高くなるおそれがある。さらに、過剰な粉体20が平坦化ローラ12の下方に到達することで、粉体層31の所定の層厚の範囲に粉体20が入りきらず、一時的に平坦化ローラ12を押し上げて、粉体層31の表面が部分的に高くなり、層厚が厚くなるおそれがある。
一方、平坦化ローラ12の回転方向がカウンター方向の場合、楔形の空間内で平坦化ローラ12に接触する粉体20は平坦化ローラ12の表面移動によって、楔形の頂点から離れる方向に移動する。これにより、平坦化ローラ12の下方の粉体20の量が部分的に多くなることを抑制でき、部分的に粉体密度が高くなることを抑制できるため、粉体層31の粉体密度の均一化を図ることができる。さらに、過剰な粉体20が平坦化ローラ12の下方に到達することを抑制できるので、粉体層31の表面が部分的に高くなることを抑制でき、粉体層31の層厚の均一化を図ることができる。
実施形態では、一層の層状構造物を形成するための一回の粉体層形成動作で、プレ粉体層形成処理と粉体除去処理とをそれぞれ一回ずつ実行している。しかし、一回の粉体層形成動作で、プレ粉体層形成処理と粉体除去処理との少なくとも一方を複数回実行する構成としてもよい。
プレ粉体層形成処理を複数回実行することで、造形槽22に対して必要な粉体20を複数回に分けて供給でき、特定の箇所に多くの粉体20が供給されることを抑制でき、造形槽22の水平方向の全体にわたって均一な量の粉体20を行き渡らせ易くなる。
また、粉体除去処理を複数回実行することで、一度の粉体除去処理で水平方向に移動させる粉体20の量を少なくすることができる。これにより、水平方向に移動する粉体20の重量が軽くなり、この粉体20の移動によって粉体層31として残す粉体20に作用する水平方向の力を小さくすることができ、粉体層31を形成する粉体20の水平方向の変位を抑制できる。これにより、層状構造物30の引き摺りや膨張を抑制でき、三次元造形物の造形精度が低下することを抑制できる。
実施形態では、プレ粉体層形成処理で、造形槽22に隣接する供給槽21から平坦化ローラ12によって粉体20を押して造形槽22に粉体20を供給し、平坦化ローラ12で粉体20を平坦化してプレ粉体層31aを形成する。プレ粉体層形成処理で造形槽22に粉体20を供給する構成としてはこれに限るものではない。例えば、造形槽22の上方に粉体供給部を備え、造形槽22内に粉体20を供給し、供給された粉体20を平坦化ローラ12によって平坦化して造形槽22内に敷き詰め、プレ粉体層31aを形成する構成としてもよい。
実施形態では一回のプレ粉体層形成処理で形成されるプレ粉体層31aの層厚は、一回の粉体層形成動作で形成される粉体層31の所定の層厚よりも厚くなっている。しかし、一回の粉体層形成動作の間に、プレ粉体層形成処理を複数回実行する場合は、一回のプレ粉体層形成処理で形成するプレ粉体層31aの層厚を粉体層31の層厚以下としてもよい。
例えば、プレ粉体層形成処理と粉体除去処理とを二回ずつ繰り返す場合、一回目のプレ粉体層形成処理で粉体層31と同じ層厚のプレ粉体層31aを形成した後、一回目の粉体除去処理で形成されているプレ粉体層31aの半分の粉体20を除去する。次に、二回目のプレ粉体層形成処理で所定の層厚の粉体層31と同じ層厚分を追加するようにプレ粉体層31aを形成し、二回目の粉体除去処理で、追加された層厚分の半分の粉体20を除去する。このような粉体層形成動作でも所定の層厚の粉体層31を形成することができる。
実施形態の三次元造形装置100の造形方法は、バインダージェット方式である。本発明の構成を適用可能な造形方法は、バインダージェット方式に限らず、レーザー焼結方式(LS方式等)や電子ビーム焼結方式(EBM方式等)などであってもよい。すなわち、粉体の結合手段として、実施形態では液体吐出ヘッドから吐出される液体を用いて粉体同士を結合させる手段を用いているが、これに代えて、レーザー照射手段等を用いて粉体同士を焼結等により結合させる手段などを用いることもできる。本発明は、粉体層を形成し、粉体層中の粉体を結合させる立体造形方法であれば、適用可能である。
バインダージェット方式の場合、粉体20に石膏を用い、インクジェットヘッドからバインダーインクを吐出し、石膏粉を凝固させることで層状構造物30を形成するのが一般的である。しかし、粉体20に砂を用いて、バインダー樹脂をインクジェットヘッドから吐出することで、鋳型などに利用される三次元造形物を造形することもできる。また、バインダージェット方式であれば、粉体20に、金属、セラミック、ガラス等を用いることもできる。また、バインダージェット方式においては、結合液に溶解可能な材料をコートした粉体20を用い、結合液をインクジェットヘッドから吐出することで、粉体同士をコート材料を介して結合させ、層状構造物30を形成することもできる。
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
平坦化ローラ12等の平坦化部材によって造形槽22等の造形部に粉体20等の粉体を敷き詰めてプレ粉体層31a等のプレ粉体層を形成するプレ粉体層形成処理と、平坦化部材によってプレ粉体層の表層側の粉体を除去する粉体除去処理と、を実行して粉体層31等の粉体層を形成する粉体層形成動作と、粉体層の粉体を所要形状に結合して層状構造物30等の層状構造物を形成する構造物形成動作と、を繰り返し行う三次元造形装置100等の三次元造形装置であって、平坦化部材は、造形部に対する平坦化部材の移動方向に直交する回転軸を中心に回転駆動する回転体であり、平坦化部材の回転速度が、プレ粉体層形成処理のときよりも粉体除去処理のときの方が速いことを特徴とする。
本態様では、プレ粉体層形成処理時は粉体除去処理時よりも平坦化部材の回転速度が遅いため、平坦化部材の表面に接触する粉体は平坦化部材の表面に追従し易く、平坦化部材と粉体との間で静止摩擦力が作用し易い。このため、動摩擦力が作用し易い粉体除去処理時よりも平坦化部材と粉体との間で生じる摩擦力が相対的に大きいものとなっている。これにより、回転速度を速く設定する粉体除去処理とプレ粉体層形成処理とで回転速度が同じ構成よりも、平坦化部材の移動に伴って粉体を平坦化方向へ移送する移送能力を、高くすることができる。移送能力が高いことで、移送の途中で粉体が不足すること抑制でき、形成しようとするプレ粉体層の全体にわたって均一な量の粉体を行き渡らせることができ、プレ粉体層の粉体の一部を除去して形成される粉体層の粉体密度の均一化を図ることができる。
また、本態様では、粉体除去処理時における平坦化部材と粉体との間で生じる摩擦力がプレ粉体層形成処理時よりも相対的に小さい。このため、粉体除去処理時に生じ得る既成粉体層31b等の下方の粉体層における層状構造物の引き摺りや膨張を、粉体除去処理時とプレ粉体層形成処理とで平坦化部材の回転速度と移動速度とが同じ構成よりも抑制できる。その結果、粉体層を形成する間に生じる層状構造物の引き摺りや膨張を抑制し、三次元造形物の造形精度の低下を抑制する。
このように、本態様では、形成される粉体層の粉体密度の均一化を図りつつ、三次元造形物の造形精度の低下を抑制することができる。
(態様B)
態様Aにおいて、平坦化ローラ12等の平坦化部材の造形槽22等の造形部に対する移動速度が、プレ粉体層形成処理のときよりも粉体除去処理のときの方が速いことを特徴とする。
これによれば、上記実施例2について説明したように、プレ粉体層形成処理では造形槽22等の造形部の平坦化部材の移動方向の全体にわたって均一な量の粉体を行き渡らせることが可能となり、形成される粉体層の粉体密度の均一化を図ることができる。さらに、粉体除去処理では粉体層として残す粉体に平坦化部材の移動方向の力が作用することを抑制でき、形成しようとしている粉体層よりも下方の粉体層に形成された層状構造物が変位することを抑制でき、三次元造形物の造形精度の低下を抑制することができる。
(態様C)
態様AまたはBにおいて、平坦化ローラ12等の平坦化部材の回転方向は、平坦化部材の造形槽22等の造形部との対向部における表面移動方向が平坦化部材の前記造形部に対する移動方向と同方向となる回転方向(カウンター方向)である。
これによれば、上記実施形態について説明したように、粉体層の粉体密度の均一化及び層厚の均一化を図ることができる。
(態様D)
平坦化ローラ12等の平坦化部材によって造形槽22等の造形部に粉体20等の粉体を敷き詰めてプレ粉体層31a等のプレ粉体層を形成するプレ粉体層形成処理と、平坦化部材によってプレ粉体層の表層側の粉体を除去する粉体除去処理と、を実行して粉体層31等の粉体層を形成する粉体層形成動作と、粉体層の粉体を所要形状に結合して層状構造物30等の層状構造物を形成する構造物形成動作と、を繰り返し行う三次元造形装置100等の三次元造形装置であって、平坦化部材の造形部に対する移動速度が、プレ粉体層形成処理のときよりも粉体除去処理のときの方が速いことを特徴とする。
これによれば、上記実施例2について説明したように、プレ粉体層形成処理では造形槽22等の造形部の平坦化部材の移動方向の全体にわたって均一な量の粉体を行き渡らせることが可能となり、形成される粉体層の粉体密度の均一化を図ることができる。さらに、粉体除去処理では粉体層として残す粉体に平坦化部材の移動方向の力が作用することを抑制でき、形成しようとしている粉体層よりも下方の粉体層に形成された層状構造物が変位することを抑制でき、三次元造形物の造形精度の低下を抑制することができる。
(態様E)
態様A乃至Dの何れかの態様において、一回の粉体層形成動作の際に、プレ粉体層形成処理を複数回実行することを特徴とする。
これによれば、上記実施形態について説明したように、造形槽22等の造形部に対して必要な粉体20等の粉体を複数回に分けて供給できる。これにより、特定の箇所に多くの粉体が供給されることを抑制でき、造形部における平坦化ローラ12等の平坦化部材の移動方向(水平方向等)の全体にわたって均一な量の粉体を行き渡らせ易くなる。このため、形成される粉体層を高い粉体密度で均一化することが可能となる。
(態様F)
態様A乃至Eの何れかの態様において、一回の前記粉体層形成動作の際に、粉体除去処理を複数回実行することを特徴とする。
これによれば、上記実施形態について説明したように、一度の粉体除去処理で水平方向に移動させる粉体20等の粉体の量を少なくすることができる。これにより、平坦化ローラ12等の平坦化部材の移動方向(水平方向等)に移動する粉体の重量が軽くなり、この粉体の移動によって粉体層31等の粉体層として残す粉体に作用する平坦化部材の移動方向の力を小さくすることができる。このため、粉体層を形成する粉体の水平方向の変位を抑制でき、層状構造物30等の層状構造物の引き摺りや膨張を抑制でき、三次元造形物の造形精度が低下することを抑制できる。また、造形槽22等の造形部内の粉体を押し込む力を複数回作用させることができ、粉体層の高密度化を図ることができる。
(態様G)
平坦化ローラ12等の平坦化部材によって造形槽22等の造形部に粉体20等の粉体を敷き詰めてプレ粉体層31a等のプレ粉体層を形成するプレ粉体層形成処理と、平坦化部材によってプレ粉体層の表層側の粉体を除去する粉体除去処理と、を実行して粉体層31等の粉体層を形成する粉体層形成工程と、粉体層の粉体を所要形状に結合して層状構造物30等の層状構造物を形成する構造物形成工程と、を繰り返し行う三次元造形物製造方法であって、平坦化部材は、造形部に対する平坦化部材の移動方向に直交する回転軸を中心に回転駆動する回転体であり、平坦化部材の回転速度が、プレ粉体層形成処理のときよりも粉体除去処理のときの方が速いことを特徴とする。
これによれば、上記実施形態について説明したように、形成される粉体層の粉体密度の均一化を図りつつ、三次元造形物の造形精度の低下を抑制することができる。
(態様H)
平坦化ローラ12等の平坦化部材によって造形槽22等の造形部に粉体20等の粉体を敷き詰めてプレ粉体層31a等のプレ粉体層を形成するプレ粉体層形成処理と、平坦化部材によってプレ粉体層の表層側の粉体を除去する粉体除去処理と、を実行して粉体層31等の粉体層を形成する粉体層形成工程と、粉体層の粉体を所要形状に結合して層状構造物30等の層状構造物を形成する構造物形成工程と、を繰り返し行う三次元造形物製造方法であって、平坦化部材の造形部に対する移動速度が、プレ粉体層形成処理のときよりも粉体除去処理のときの方が速いことを特徴とする。
これによれば、上記実施形態について説明したように、形成される粉体層の粉体密度の均一化を図りつつ、三次元造形物の造形精度の低下を抑制することができる。
(態様I)
平坦化ローラ12等の平坦化部材によって造形槽22等の造形部に粉体20等の粉体を敷き詰めてプレ粉体層31a等のプレ粉体層を形成するプレ粉体層形成処理と、平坦化部材によってプレ粉体層の表層側の粉体を除去する粉体除去処理と、を実行して粉体層を形成する粉体層形成動作と、粉体層の粉体を所要形状に結合して層状構造物30等の層状構造物を形成する構造物形成動作と、を繰り返し行う三次元造形装置100等の三次元造形装置を制御する造形プログラムであって、平坦化部材は、造形部に対する平坦化部材の移動方向に直交する回転軸を中心に回転駆動する回転体であり、平坦化部材の回転速度が、プレ粉体層形成処理のときよりも粉体除去処理のときの方が速くなるように三次元造形装置を制御することを特徴とする。
これによれば、上記実施形態について説明したように、形成される粉体層の粉体密度の均一化を図りつつ、三次元造形物の造形精度の低下を抑制することができる。
(態様J)
平坦化ローラ12等の平坦化部材によって造形槽22等の造形部に粉体20等の粉体を敷き詰めてプレ粉体層31a等のプレ粉体層を形成するプレ粉体層形成処理と、平坦化部材によってプレ粉体層の表層側の粉体を除去する粉体除去処理と、を実行して粉体層31等の粉体層を形成する粉体層形成動作と、粉体層の粉体を所要形状に結合して層状構造物30等の層状構造物を形成する構造物形成動作と、を繰り返し行う三次元造形装置100等の三次元造形装置を制御する造形プログラムであって、平坦化部材の造形部に対する移動速度が、プレ粉体層形成処理のときよりも粉体除去処理のときの方が速くなるように三次元造形装置を制御することを特徴とする。
これによれば、上記実施形態について説明したように、形成される粉体層の粉体密度の均一化を図りつつ、三次元造形物の造形精度の低下を抑制することができる。
1 粉体保持部
5 造形ユニット
7 ベース部材
10 造形液
11 粉体収容槽
12 平坦化ローラ
13 粉体除去板
20 粉体
20a 余剰粉体
20b ローラ下流側粉体
21 供給槽
22 造形槽
23 供給ステージ
24 造形ステージ
25 平坦化ローラ往復モータ
26 平坦化ローラ回転モータ
27 供給ステージ昇降モータ
28 造形ステージ昇降モータ
29 余剰粉体回収槽
30 層状構造物
31 粉体層
31a プレ粉体層
31b 既成粉体層
50 液体吐出ユニット
51 キャリッジ
52 ヘッド
52a 第一ヘッド
52b 第二ヘッド
54 第一ガイド部材
55 第二ガイド部材
56 タンク装着部
60 タンク
61 メンテナンス機構
62 キャップ
63 ワイパ
70 側板
71 ガイド部材
72 スライダ部
100 三次元造形装置
500 制御部
500A 主制御部
506 外部インターフェース
507 入出力部
508 ヘッド駆動制御部
510 主走査方向駆動部
511 吐出ユニット昇降駆動部
512 副走査方向駆動部
513 供給ステージ駆動部
514 造形ステージ駆動部
515 平坦化往復駆動部
516 平坦化回転駆動部
517 粉体供給駆動部
518 メンテナンス駆動部
519 粉体回収駆動部
522 操作パネル
550 主走査方向移動機構
551 吐出ユニット昇降機構
552 副走査方向移動機構
554 粉体供給装置
555 粉体回収モータ
560 温湿度センサ
600 造形データ作成装置
特開2014−065179号公報

Claims (12)

  1. 平坦化部材によって造形部に粉体を敷き詰めてプレ粉体層を形成するプレ粉体層形成処理と、前記平坦化部材によって前記プレ粉体層の表層側の前記粉体を除去する粉体除去処理と、を実行して粉体層を形成する粉体層形成動作と、前記粉体層の前記粉体を所要形状に結合して層状構造物を形成する構造物形成動作と、を繰り返し行う三次元造形装置であって、
    前記平坦化部材は、前記造形部に対する前記平坦化部材の移動方向に直交する回転軸を中心に回転駆動する回転体であり、
    前記平坦化部材の回転速度が、前記プレ粉体層形成処理のときよりも前記粉体除去処理のときの方が速く、
    前記平坦化部材の回転方向は、前記平坦化部材の前記造形部との対向部における表面移動方向が前記平坦化部材の前記造形部に対する移動方向と同方向となる回転方向であることを特徴とする三次元造形装置。
  2. 請求項1の三次元造形装置において、
    前記平坦化部材の前記造形部に対する移動速度が、前記プレ粉体層形成処理のときよりも前記粉体除去処理のときの方が速いことを特徴とする三次元造形装置
  3. 坦化部材によって造形部に粉体を敷き詰めてプレ粉体層を形成するプレ粉体層形成処理と、前記平坦化部材によって前記プレ粉体層の表層側の前記粉体を除去する粉体除去処理と、を実行して粉体層を形成する粉体層形成動作と、前記粉体層の前記粉体を所要形状に結合して層状構造物を形成する構造物形成動作と、を繰り返し行う三次元造形装置であって、
    前記平坦化部材の前記造形部に対する移動速度が、前記プレ粉体層形成処理のときよりも前記粉体除去処理のときの方が速いことを特徴とする三次元造形装置。
  4. 請求項1乃至の何れか一に記載の三次元造形装置において、
    一回の前記粉体層形成動作の際に、前記プレ粉体層形成処理を複数回実行することを特徴とする三次元造形装置。
  5. 請求項1乃至の何れか一に記載の三次元造形装置において、
    一回の前記粉体層形成動作の際に、前記粉体除去処理を複数回実行することを特徴とする三次元造形装置。
  6. 平坦化部材によって造形部に粉体を敷き詰めてプレ粉体層を形成するプレ粉体層形成処理と、前記平坦化部材によって前記プレ粉体層の表層側の前記粉体を除去する粉体除去処理と、を実行して粉体層を形成する粉体層形成動作と、前記粉体層の前記粉体を所要形状に結合して層状構造物を形成する構造物形成動作と、を繰り返し行う三次元造形装置であって、
    前記平坦化部材は、前記造形部に対する前記平坦化部材の移動方向に直交する回転軸を中心に回転駆動する回転体であり、
    前記平坦化部材の回転速度が、前記プレ粉体層形成処理のときよりも前記粉体除去処理のときの方が速く、
    一回の前記粉体層形成動作の際に、前記粉体除去処理を複数回実行することを特徴とする三次元造形装置。
  7. 平坦化部材によって造形部に粉体を敷き詰めてプレ粉体層を形成するプレ粉体層形成処理と、前記平坦化部材によって前記プレ粉体層の表層側の前記粉体を除去する粉体除去処理と、を実行して粉体層を形成する粉体層形成工程と、前記粉体層の前記粉体を所要形状に結合して層状構造物を形成する構造物形成工程と、を繰り返し行う三次元造形物製造方法であって、
    前記平坦化部材は、前記造形部に対する前記平坦化部材の移動方向に直交する回転軸を中心に回転駆動する回転体であり、
    前記平坦化部材の回転速度が、前記プレ粉体層形成処理のときよりも前記粉体除去処理のときの方が速く、
    前記平坦化部材の回転方向は、前記平坦化部材の前記造形部との対向部における表面移動方向が前記平坦化部材の前記造形部に対する移動方向と同方向となる回転方向であることを特徴とする三次元造形物製造方法。
  8. 平坦化部材によって造形部に粉体を敷き詰めてプレ粉体層を形成するプレ粉体層形成処理と、前記平坦化部材によって前記プレ粉体層の表層側の前記粉体を除去する粉体除去処理と、を実行して粉体層を形成する粉体層形成工程と、前記粉体層の前記粉体を所要形状に結合して層状構造物を形成する構造物形成工程と、を繰り返し行う三次元造形物製造方法であって、
    前記平坦化部材の前記造形部に対する移動速度が、前記プレ粉体層形成処理のときよりも前記粉体除去処理のときの方が速いことを特徴とする三次元造形物製造方法。
  9. 平坦化部材によって造形部に粉体を敷き詰めてプレ粉体層を形成するプレ粉体層形成処理と、前記平坦化部材によって前記プレ粉体層の表層側の前記粉体を除去する粉体除去処理と、を実行して粉体層を形成する粉体層形成工程と、前記粉体層の前記粉体を所要形状に結合して層状構造物を形成する構造物形成工程と、を繰り返し行う三次元造形物製造方法であって、
    前記平坦化部材は、前記造形部に対する前記平坦化部材の移動方向に直交する回転軸を中心に回転駆動する回転体であり、
    前記平坦化部材の回転速度が、前記プレ粉体層形成処理のときよりも前記粉体除去処理のときの方が速く、
    一回の前記粉体層形成工程の際に、前記粉体除去処理を複数回実行することを特徴とする三次元造形物製造方法。
  10. 平坦化部材によって造形部に粉体を敷き詰めてプレ粉体層を形成するプレ粉体層形成処理と、前記平坦化部材によって前記プレ粉体層の表層側の前記粉体を除去する粉体除去処理と、を実行して粉体層を形成する粉体層形成動作と、前記粉体層の前記粉体を所要形状に結合して層状構造物を形成する構造物形成動作と、を繰り返し行う三次元造形装置を制御する造形プログラムであって、
    前記平坦化部材は、前記造形部に対する前記平坦化部材の移動方向に直交する回転軸を中心に回転駆動する回転体であり、
    前記平坦化部材の回転速度が、前記プレ粉体層形成処理のときよりも前記粉体除去処理のときの方が速く
    前記平坦化部材の回転方向は、前記平坦化部材の前記造形部との対向部における表面移動方向が前記平坦化部材の前記造形部に対する移動方向と同方向となる回転方向であるように前記三次元造形装置を制御することを特徴とする造形プログラム。
  11. 平坦化部材によって造形部に粉体を敷き詰めてプレ粉体層を形成するプレ粉体層形成処理と、前記平坦化部材によって前記プレ粉体層の表層側の前記粉体を除去する粉体除去処理と、を実行して粉体層を形成する粉体層形成動作と、前記粉体層の前記粉体を所要形状に結合して層状構造物を形成する構造物形成動作と、を繰り返し行う三次元造形装置を制御する造形プログラムであって、
    前記平坦化部材の前記造形部に対する移動速度が、前記プレ粉体層形成処理のときよりも前記粉体除去処理のときの方が速くなるように前記三次元造形装置を制御することを特徴とする造形プログラム。
  12. 平坦化部材によって造形部に粉体を敷き詰めてプレ粉体層を形成するプレ粉体層形成処理と、前記平坦化部材によって前記プレ粉体層の表層側の前記粉体を除去する粉体除去処理と、を実行して粉体層を形成する粉体層形成動作と、前記粉体層の前記粉体を所要形状に結合して層状構造物を形成する構造物形成動作と、を繰り返し行う三次元造形装置を制御する造形プログラムであって、
    前記平坦化部材は、前記造形部に対する前記平坦化部材の移動方向に直交する回転軸を中心に回転駆動する回転体であり、
    前記平坦化部材の回転速度が、前記プレ粉体層形成処理のときよりも前記粉体除去処理のときの方が速く
    一回の前記粉体層形成動作の際に、前記粉体除去処理を複数回実行するように前記三次元造形装置を制御することを特徴とする造形プログラム。
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