JP6870894B2 - 難燃性グリース組成物 - Google Patents
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Description
本実施の形態に係るグリース組成物は、基油と、増ちょう剤とを含有するものであり、難燃性を有するグリース組成物(以下、「難燃性グリース組成物」、または単に「グリース組成物」ともいう)である。ここで、「難燃性」とは、着火し難い性質をいい、あるいは着火した場合でも燃え広がりを抑制することができる性質をいう。具体的に、難燃性については、そのグリースに対して、例えば後述する実施例にて行ったような、高温に加熱した鋼球等の加熱物を接触させる燃焼試験により評価することができる。
基油は、グリース組成物の主成分をなすものである。本実施の形態に係る難燃性グリース組成物においては、基油として合成油を含む。基油としては、合成油と共に鉱物油を併用してもよいが、合成油のみからなり鉱物油を含まないことがより好ましい。基油として合成油のみから構成することで、難燃性の効果を向上させることができる。ここで、「合成油」とは化学的に合成された油であり、一方で、「鉱物油」とは天然の原油から分離、蒸留、精製されて得られる油である。
コンプレックスエステルとは、例えば、1価アルコール及び多価アルコールと、多塩基酸とを原料として合成されるエステルである。本実施の形態において、コンプレックスエステルとしては、特に限定されないが、脂肪族1価アルコール及び脂肪族多価アルコールと、直鎖状又は分岐状の脂肪族モノカルボン酸、直鎖状又は分岐状の脂肪族二塩基酸あるいは芳香族二塩基酸、三塩基酸、四塩基酸とからなるコンプレックスエステルを好適に使用することができる。
上述したように、本実施の形態に係る難燃性グリース組成物は、基油として、少なくともコンプレックスエステルを含み、そして、その基油としては、特に、コンプレックスエステルとポリアルファオレフィンとの混合基油であることがより好ましい。
上述したように、基油としてコンプレックスエステルとポリアルファオレフィンとの混合基油とする場合、その混合比率としては、特に限定されないが、質量比でコンプレックスエステル:ポリアルファオレフィン=30:70〜70:30とすることが好ましく、40:60〜60:40とすることが好ましく、50:50とすることがより好ましい。
なお、グリース組成物中における基油の含有量としては、特に限定されないが、グリース組成物中に60質量%〜95質量%程度の割合とすることができる。なお、基油の含有量に関しては、所望のグリース硬度を得るために添加する増ちょう剤の含有量も考慮して任意に定めることができる。
増ちょう剤は、上述した基油と共にグリース基剤を構成し、油を保持する成分であり、従来から一般的に使用されているものを用いることができる。
本実施の形態に係る難燃性グリース組成物には、添加剤として固体潤滑剤を含有させることができる。このように固体潤滑剤を含有させることによって、耐荷重性等の優れた潤滑性を発揮させながら、難燃性を有するグリース組成物とすることができる。
本実施の形態に係る難燃性グリース組成物においては、リン酸エステルを含有する。このように、上述したコンプレックスエステルと共にリン酸エステルを含有することにより、より優れた難燃性が得られ、実施例にて示すような燃焼試験において着火しない。したがって、苛酷な使用環境であっても火災等の発生を有効に防ぐことができ、安全性を向上させることができる。
また、本実施の形態に係る難燃性グリース組成物には、添加剤としてフェノール系酸化防止剤を含有させることができる。フェノール系酸化防止剤は、優れた難燃性を有する成分である。そのメカニズムは明らかではないが、フェノール系酸化防止剤を配合させることで、より優れた難燃性を発揮させることができる。
本実施の形態に係るグリース組成物においては、上述した各成分のほか、グリースに一般的に用いられている各種添加剤を、難燃性の作用を阻害しない範囲でさらに配合させることができる。具体的には、フェノール系酸化防止剤以外の酸化防止剤、防錆剤、油性剤、極圧剤、耐摩耗剤、金属不活性剤、ポリマー、金属系清浄剤、非金属系清浄剤、着色剤、撥水剤等が挙げられる。
本実施の形態に係る難燃性グリース組成物は、合成油を含む基油と、増ちょう剤と、リン酸エステルとを含有し、具体的にその基油としては少なくともコンプレックスエステルを含む。
以下、本発明の実施例を示してより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
実施例、比較例において、下記表1に示す組成となるようにグリース組成物を製造し、難燃性等についての評価を行った。
<基グリース>
・リチウム複合石鹸グリース
メタロセンPAOを基油とし、リチウム複合石鹸を増ちょう剤として含有するグリース
<合成油(基油)>
・ポリアルファオレフィン:メタロセンPAO(40℃動粘度:400mm2/s)
メタロセン触媒を用いた重合させたポリアルファオレフィン
・コンプレックスエステル:
ネオペンチルグリコールと、ダイマー酸と、2−エチルヘキシルアルコールとをエステル化反応して得られたもの
<リン酸エステル>
芳香族系リン酸エステル
<フェノール系酸化防止剤>
ヘキサメチレンビス[3−(3,5−di−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
(燃焼試験1)
φ85mmの円形のブリキ製皿(深さ7mm)に、作製したグリース組成物10gを均一に詰め、電気炉中で900℃に加熱した3/4インチJIS玉軸受鋼球1個を、その中央投入して、着火の有無、着火した場合は消火するまでの時間(秒)を測定した。
φ85mmの円形のブリキ製皿(深さ7mm)に、作製したグリース組成物10gを均一に詰め、電気炉中で900℃に加熱した3/4インチJIS玉軸受鋼球2個を、その中央に連続投入して、着火の有無、着火した場合は消火するまでの時間(秒)を測定した。
上述した難燃試験の結果から、下記表1の評価欄では、燃焼試験1及び燃焼試験2の両方において着火しなかった場合を「○」とし、燃焼試験1では着火せず燃焼試験2では着火した場合を「△」、燃焼試験1及び燃焼試験2の両方で着火した場合を「×」として表記し、実施例、比較例にて作製したグリース組成物について評価した。
非延焼性とは、上述したような燃焼試験において着火せず、あるいは着火した場合でも短時間で消火して燃え広がりを抑制することができる性質をいうものとする。
非延焼性の評価は、φ85mmの円形のブリキ製皿(深さ7mm)に、作製したグリース組成物10gを均一に詰め、電気炉中で900℃に加熱した3/4インチJIS玉軸受鋼球1個を、その中央に投入して、延焼距離を縦方向と横方向とで測定してその平均値(mm)を求めた。なお、着火しない場合もブリキ製皿内のグリース組成物への焦げ範囲で測定した。
上述した非延焼性試験の結果から、下記表1の評価欄では、非延焼性に優れる場合を「○」とし、非延焼性が無い(十分ではない)場合を「×」として表記し、実施例、比較例にて作製したグリース組成物について評価した。
潤滑性(耐摩耗性)の評価として、耐荷重性試験を実施した。耐荷重性試験としては、ASTM D 2596により規定された方法に基づいてシェル式四球試験を実施し、融着荷重(WL、N)を測定した。下記表1の評価欄では、その融着荷重の測定結果から、耐荷重性が良好であったものを「○」とし、それよりもやや耐荷重性が劣ったものを「△」として表記した。この耐荷重性試験においては、融着荷重が2452N以上であると、実用上、耐荷重性が特に良好であるといえる。
Claims (9)
- 基油と、増ちょう剤とを含有し、難燃性を有するグリース組成物であって、
前記基油は合成油を含み、該合成油は少なくともコンプレックスエステルであり、
リン酸エステルをさらに含有し、
前記コンプレックスエステルは、ネオペンチルグリコールと、ダイマー酸と、2−エチルヘキシルアルコールとをエステル化反応して得られたものである
難燃性グリース組成物。 - 前記リン酸エステルは、引火点が200℃〜400℃である
請求項1に記載の難燃性グリース組成物。 - 前記リン酸エステルの含有量が0.1質量%以上20質量%以下の範囲である
請求項1又は2に記載の難燃性グリース組成物。 - 前記コンプレックスエステルの含有量が5質量%を超え55質量%未満の範囲である
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の難燃性グリース組成物。 - 前記基油は、前記コンプレックスエステルと、ポリアルファオレフィンとの混合物により構成されている
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の難燃性グリース組成物。 - 前記ポリアルファオレフィンは、40℃動粘度が400mm2/s以上である
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の難燃性グリース組成物。 - 添加剤として固体潤滑剤を含有し、
前記固体潤滑剤は、グラファイト又は炭酸カルシウムである
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の難燃性グリース組成物。 - 添加剤としてフェノール系酸化防止剤を含有する
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の難燃性グリース組成物。 - 前記増ちょう剤は、リチウム複合石けんである
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の難燃性グリース組成物。
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