JP5411457B2 - 潤滑剤組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、高温安定性に優れた潤滑剤組成物に関する。
潤滑剤としては、一般に、基油に鉱油や各種の合成油を用い、増ちょう剤にカルシウム石けん、リチウム石けん、カルシウム複合石けん、カルシウムスルフォネート系、リチウム複合石けん、アルミニウム複合石けん、クレイ、シリカゲル、ウレア化合物、ナトリウムテレフタラメート、フッ素樹脂等を使用したグリースが使われている。
近年、機械の小型化、軽量化、高速化に伴い、またメンテナンスフリー化の浸透により、高温で長時間使用できる熱安定性に優れた潤滑グリースが要求されてきた。一般的に、潤滑グリースの熱安定性は、使用する基油の種類や粘度にも影響するが、グリース構造の核とも言える増ちょう剤の種類やその含有量によって大きく支配される。すなわち、カルシウム石けんのような融点の低い増ちょう剤を用いたカルシウム石けんグリースでは、120℃を超えるような高温において、油を保持しているミセル構造が熱により溶融して破壊され、基油の全てが流出し、潤滑グリースとしての役割を果たさなくなる。
また、汎用グリースとして広く使用されているリチウム石けんグリースは、140℃以上の高温では、酸化劣化により短時間でグリース構造が破壊され、潤滑作用を低下させる。更に、潤滑グリースが熱によって極度に軟化すれば使用部位から流出し、硬くなれば潤滑不良を引き起こし、軸受や歯車などは焼付いてしまう。
軸受用潤滑剤組成物として、リチウム石けん/鉱油系などのグリースに、超高分子量ポリオレフィンの粉末、固形ワックス及び酸化防止剤を添加したものがあるが(特許文献1)、超高分子量ポリオレフィンの粉末、固形ワックスでは、融点が低いため、高温下での潤滑性、即ち、充分な耐熱性は期待できていないのが現状である。
また、同様に高温下で安定した性能を求めるために、グリースに、アルキルチオカルバモイル基を有する化合物及びアミン−ケトン縮合物系酸化防止剤を含有するグリース組成物の提示があるが(特許文献2)、これも高温下において、充分満足できる性能を得ることができない。
特開平06−287587 特開2007−238755
本発明は、高温条件下においても蒸発量の少ない熱安定性に優れたグリース状の潤滑剤組成物を経済的に提供しようとするものである。
本発明者等は、第三リン酸カルシウムが潤滑グリースの熱安定性を向上させる有効な材料になることに早くから着目し、それを発展させた研究・開発を種々行ってきた。そうした研究・開発の過程において、鉱油や合成油の基油に、第三リン酸カルシウム及び酸化防止作用を有する添加剤を加えることによって、高温においても蒸発が抑制され、熱安定性に優れた潤滑剤組成物が得られることを見出した。また、この組成物に、更に増ちょう剤を含有させたものも、同様に高温下での蒸発量が少なく、熱安定性に優れていることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、
(a)基油と、
(b)第三リン酸カルシウムと、
(c)ジアルキルジチオリン酸亜鉛と、
(d)アルカリ金属複合石けんを、
含有させることによって潤滑剤組成物とするものである。
上記(b)の第三リン酸カルシウムは、潤滑剤組成物の全組成物に対して約1〜70質量%程度の割合で使用される。この第三リン酸カルシウムは、上記基油と混合することにより組成物の粘ちょう度が増加していき、グリース化することができる。また、上記(c)の酸化防止作用を有する添加剤であるジアルキルジチオリン酸亜鉛の含有量は、同じく約0.1〜10質量%程度の割合で使用される。更に、(d)の増ちょう剤であるアルカリ金属複合石けんは、約0.5〜20質量%程度の含有量で使用するようにする。
本発明は、上記したように高温下での潤滑剤組成物の蒸発を抑制し、高温において流れたり、逆に固化したりすることのない熱安定性に優れたグリース状の潤滑剤組成物を得ることができ、高温状態下において優れた作用が得られる。
本発明の潤滑剤組成物は、用途として、一般に使用される機械、軸受、歯車等に使用可能であることは勿論、より苛酷な荷重条件下で優れた性能を発揮することができる。
例えば、自動車では、スターター、オルターネーター及び各種アクチュエーター部のエンジン周辺、プロペラシャフト、等速ジョイント(CVJ)、ホイールベアリング及びクラッチ等のパワートレイン、電動パワーステアリング(EPS)、制動装置、ボールジョイント、ドアヒンジ、ハンドル部、冷却ファンモーター、ブレーキのエキスパンダー等の各種部品などの潤滑に好適に用いることができる。
さらに、パワーショベル、ブルドーザー、クレーン車等の建設機械、鉄鋼産業、製紙工業、林業機械、農業機械、化学プラント、発電設備、乾燥炉、複写機、鉄道車両、シームレスパイプのネジジョイント等の各種高温・高荷重部位に用いることも好ましい。
その他の用途としては、ハードディスク軸受用、プラスチック潤滑用、カートリッジグリース等が挙げられるが、これらの用途にも好適である。
本発明の潤滑剤組成物に用いられる(a)成分の基油には、通常の潤滑油に使用される鉱油、合成油、動植物油、これらの混合油を適宜使用することができ、その動粘度は100℃において約2〜40mm2/s程度のものが好ましい。
特に、API(American Petroleum Institute;米国石油協会)基油カテゴリーでグループ1、グループ2、グループ3、グループ4などに属する基油を、単独または混合物として使用することができる。
グループ1基油には、例えば、原油を常圧蒸留して得られる潤滑油留分に対して、溶剤精製、水素化精製、脱ろうなどの精製手段を適宜組み合わせて適用することにより得られるパラフィン系鉱油がある。
グループ2基油には、例えば、原油を常圧蒸留して得られる潤滑油留分に対して、水素化分解、脱ろうなどの精製手段を適宜組み合わせて適用することにより得られたパラフィン系鉱油がある。ガルフ社法などの水素化精製法により精製されたグループ2基油は、全イオウ分が10ppm未満、アロマ分が5%以下であり、本発明において好適に用いることができる。
グループ3基油およびグループ2プラス基油には、例えば、原油を常圧蒸留して得られる潤滑油留分に対して、高度水素化精製により製造されるパラフィン系鉱油や、脱ろうプロセスにて生成されるワックスをイソパラフィンに変換・脱ろうするISODEWAXプロセスにより精製された基油や、モービルWAX異性化プロセスにより精製された基油があり、これらも本発明において好適に用いることができる。
合成油としては、例えば、ポリオレフィン、セバシン酸ジオクチルの如き二塩基酸のジエステル、ポリオールエステル、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、エステル、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコールエステル、ポリオキシアルキレングリコールエーテル、ポリフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル、含フッ素化合物(パーフルオロポリエーテル、フッ素化ポリオレフィン等)、シリコーンなどが挙げられる。
上記ポリオレフィンには、各種オレフィンの重合物又はこれらの水素化物が含まれる。オレフィンとしては任意のものが用いられるが、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、炭素数5以上のα−オレフィンなどが挙げられる。ポリオレフィンの製造にあたっては、上記オレフィンの1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いても良い。特にポリα−オレフィン(PAO)と呼ばれているポリオレフィンが好適であり、これはグループ4基油である。
天然ガスの液体燃料化技術のフィッシャートロプッシュ法により合成されたGTL(ガストゥリキッド)は、原油から精製された鉱油基油と比較して、硫黄分や芳香族分が極めて低く、パラフィン構成比率が極めて高いため、酸化安定性に優れ、蒸発損失も非常に小さいため、本発明の基油として好適に用いることができる。
本発明に使用する(b)成分の第三リン酸カルシウムとしては、Ca(POを使用することができるが、一般的には〔Ca(PO・Ca(OH)で表わされるヒドロキシアパタイト組成の化学構造を有しているものを用いると良い。粒径サイズについては、通常、平均粒径が約100μm以下であれば使用でき、好ましくは20μm以下、特に好ましくは10μm以下である。本発明において含有量を表示する場合には〔Ca(PO・Ca(OH)に基づいた質量で表示するものとする。
この第三リン酸カルシウムは、上記基油中に加えられるが、潤滑剤組成物の全組成物に対して約1〜70質量%、好ましくは約4〜65質量%、更に好ましくは約8〜60質量%を配合すると良い。第三リン酸カルシウムの配合量が1質量%未満の場合には、潤滑剤組成物が軟化状態にある場合があり、その際には適度な半固体状の硬さを維持することができない。また、配合量が70質量%を越える場合には、潤滑剤組成物が固化して滑らかな半固体状とならないことがあり、製造も困難なことが多い。
本発明の(c)成分は、酸化防止作用を有する添加剤であって、一般的には、フェノール系、アミン系、ジチオリン酸亜鉛、ジチオカルバミン酸塩系、無灰ジチオカーバメート、ベンズイミダゾール系、亜リン酸系及び有機チオ酸系からなる群から選択される少なくとも1種のものが挙げられる。
上記フェノール系酸化防止剤としては、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオ−ル−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等が挙げられる。
また、アミン系酸化防止剤としては、ジフェニルアミン系、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール及び1−トリデカノールとの混合エステル化物等が挙げられる。ジチオカルバミン酸塩系としては、ニッケルジブチルジチオカーバメート、亜鉛ジメチルジチオカーバメート、亜鉛ジエチルジチオカーバメート等がある。ベンズイミダゾール系としては、2−メルカプトベンズイミダゾールなどがある。亜リン酸系としては、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリオクタデシルホスファイト等が挙げられる。有機チオ酸系としては、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート等が挙げられる。
上記した潤滑剤組成物中の酸化防止作用を有する添加剤としては、ジアルキルジチオリン酸亜鉛が好ましい。また、その使用量は、潤滑剤組成物の全組成物に対して約0.1〜10質量%、好ましくは約0.2〜5質量%、更に好ましくは約0.5〜3質量%程度が使用される。こうした潤滑剤組成物の酸化防止作用を有する添加剤は、全組成物中の含有量が0.1質量%未満の場合には酸化防止を抑制する効果が認めらないことが多く、また10質量%より多過ぎた場合に効果は同じか、却って効果が得られない場合もある。
本発明の潤滑剤組成物は、上記基油に第三リン酸カルシウムと酸化防止作用を有する添加剤を加え、常温あるいは必要により加熱し、攪拌し、その後に三本ロールミルなどを使用してよく混捏することによって、所望のものを得ることができる。
上記した第三リン酸カルシウムは、増ちょう作用を有するので増ちょう剤と考えることができるが、これと共に他の増ちょう剤を併用することができる。一般的に、こうした他の増ちょう剤としては、ウレア化合物、アルカリ金属(複合)石けん、アルカリ土類金属(複合)石けん、アルカリ金属スルフォネート、アルカリ土類金属スルフォネート、アルミニウム(複合)石けん、テレフタラメート金属塩、クレイ、シリカエアロゲルなどのシリカ(酸化ケイ素)、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂などを挙げることができ、これらの1種または2種以上を併せて使用することができる。また、これら以外にも液状物質に粘ちょう効果を付与できるものはいずれも使用することができる。
上記ウレア化合物としては、例えば、ジウレア化合物、テトラウレア化合物、ウレア−ウレタン化合物等が挙げられる。
また、アルカリ金属石けん或いはアルカリ土類金属石けんは、一般に、脂肪酸とアルカリ金属水酸化物或いはアルカリ土類金属の反応によって得られるものが挙げられるが、この脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコサン酸等がある。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、また、アルカリ土類金属としては、カルシウム、マグネシウム等が挙げられる。
これらのアルカリ金属石けんとしては、リチウム石けん、リチウム複合石けん、ナトリウム石けん、ナトリウム複合石けん、カリウム石けん、カリウム複合石けん等があり、また、アルカリ土類金属石けんとしては、カルシウム石けん、カルシウム複合石けん、マグネシウム石けん、マグネシウム複合石けん等が挙げられる。
複合石けんは、上記の如き脂肪酸の金属石けんに第二の酸の金属塩を複合的に含んだものである。
例えば、リチウム複合石けんは、脂肪酸のリチウム塩の他に第二の酸の金属塩を含むものが挙げられ、具体的には、12−ヒドロキシステアリン酸リチウムとアゼライン酸リチウムを配合したものが挙げられる。
アルミニウム複合石けんは、具体的にはアルミニウムステアレートベンゾエート等が挙げられる。
上記テレフタラメート金属塩としては、ナトリウムテレフタラメート、リチウムテレフタラメート等が挙げられ、好ましくはナトリウムテレフタラメートが用いられる。
上記した他の増ちょう剤としては、上記アルカリ金属複合石けんを用いると好ましく、特に、リチウム複合石けんを用いると良い。
この他の増ちょう剤は、全組成物に対して約0.5〜20質量%の量で使用するようにすると好ましく、第三リン酸カルシウムとこの他の増ちょう剤は適宜の配合割合で使用することができるが、両者の総量が全組成物に対して約3〜70質量%になるように使用するのが好ましい。
こうした他の増ちょう剤は、基油に第三リン酸カルシウムと酸化防止作用を有する添加剤を混合した粘ちょう物に加えることができるし、また、基油に上記他の増ちょう剤を混合した粘ちょう物に第三リン酸カルシウムと酸化防止作用を有する添加剤を加えることによって、本潤滑剤組成物を得るようにすることができる。
この場合、基油に第三リン酸カルシウムと酸化防止作用を有する添加剤を含む潤滑剤組成物と、基油に他の増ちょう剤を主として含む潤滑剤組成物とを、適当な割合に混ぜ合せて本発明の潤滑剤組成物とすることもできる。
そして、上記したいずれの方法によっても、本発明の高温時に蒸発量が少なく、熱安定性の高い潤滑剤組成物を得ることができる。
この潤滑剤組成物には、上記各成分に加えて、必要によりさらに防錆剤、極圧剤、耐摩耗剤、固体潤滑剤、他の酸化防止剤等の添加剤を適宜使用することができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
(参考例1〜13)
表1、表2に示す配合組成によって、基油(100℃の動粘度が約33mm/sの鉱油)
、第三リン酸カルシウム及び酸化防止作用を有する添加剤(1)〜(11)を試作釜に加えた後、加熱攪拌し、その後三本ロールミルで処理して均一に仕上げ、参考例1〜13に示す潤滑剤組成物を得た。
参考例14及び比較例1)
100℃の動粘度が約33mm/s、40℃の動粘度が約500mm/sの精製鉱油(5400g)中で12−ヒドロキシステアリン酸リチウム(600g)を溶解し、均一に分散処理してリチウム石けんグリースを得た。このリチウム石けんグリース中のリチウム石けんの含有量は10質量%である。
このリチウム石けんグリースに第三リン酸カルシウム及び添加剤(1)を、表3に示す配合割合に加え、よく混練して均一に仕上げた潤滑剤組成物を参考例14とした。また、このリチウム石けんグリースに表3に示す配合割合により第三リン酸カルシウムを使用せず添加剤(1)を加えたものを比較例1とした。
実施例1及び比較例2)
上記参考例14の精製鉱油(4165g)中で12−ヒドロキシステアリン酸リチウム(350g)を水酸化リチウム(50.5g)と反応させた後、アゼライン酸(120.65g)を水酸化リチウム(59.0g)と反応させ、均一に分散・処理することによりリチウム複合石けんグリースを得た。リチウム複合石けんの含有量は10.4質量%である。
このリチウム複合石けんグリースに第三リン酸カルシウム及び添加剤(6)を、表3に示す配合割合に加え、よく混練して均一に仕上げた潤滑剤組成物を実施例1とした。また、このリチウム複合石けんグリースに表3に示す配合割合により第三リン酸カルシウムを使用せず添加剤(6)を加えたものを比較例2とした。
参考例15及び比較例3)
市販のポリアルファーオレフィン油〔ExxonMobil社製・SpectraSyn40(100℃の動粘度が約40mm/s、40℃の動粘度が約400mm/s)〕(900g)中で、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート0.147モル(36.88g)にオクチルアミン0.295モル(38.12g)を反応させ、次にジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート0.04モル(10.08g)にラウリルアミン0.08モル(14.92g)を加えて反応させ、三本ロールミルで均一に分散処理してウレアグリースを得た。ウレアグリース中のウレア化合物の含有量は10質量%である。
このウレアグリースに第三リン酸カルシウム及び添加剤(6)を、表3に示す配合割合に加え、よく混練して均一に仕上げた潤滑剤組成物を参考例15とした。また、このウレアグリースに表3に示す配合割合により第三リン酸カルシウムを使用せず添加剤(6)を加えたものを比較例3とした。
(参考例16及び比較例4)
上記参考例14の精製鉱油(4272g)中に安息香酸(158.22g)とステアリン酸(334.8g)を溶解し、その後市販の環状アルミニウムオキサイドプロピレート潤滑液[川研ファインケミカル株式会社製・アルゴマー](293.64g)を加えて反応を行い、生成物を均一に分散処理して、アルミニウム複合石けんグリースを得た。アルミニウム複合石けんの含有量は約11質量%である。また、安息香酸(BA)とステアリン酸(FA)のモル比をBA/FA=1.1および安息香酸とステアリン酸に対するアルミニウム(Al)のモル比を(BA+FA)/Al=1.9とした。
このアルミニウム複合石けんグリースに第三リン酸カルシウム及び添加剤(5)を、表4に示す配合割合に加え、よく混練して均一に仕上げた潤滑剤組成物を参考例16とした。また、このアルミニウム複合石けんグリースに表3に示す配合割合により第三リン酸カルシウムを使用せず添加剤(5)を加えたものを比較例4とした。
参考例17及び比較例5)
上記参考例14の精製鉱油(2700g)中でN-オクタデシルテレフタラミン酸メチル(294.54g)を水酸化ナトリウム(27.36g)と反応させ、均一に分散・処理することによりナトリウムテレフタラメートグリースを得た。ナトリウムテレフタラメートの含有量は10質量%である。
このナトリウムテレフタラメートグリースに第三リン酸カルシウム及び添加剤(3)を、表4に示す配合割合に加え、よく混練して均一に仕上げた潤滑剤組成物を参考例17とした。また、このナトリウムテレフタラメートグリースに表4に示す配合割合により第三リン酸カルシウムを使用せず添加剤(3)を加えたものを比較例5とした。
参考例18及び比較例6)
参考例14の精製鉱油(4560g)中でベントン34を(400g)およびプロピレンカーボネート(40g)を均一に分散・処理することによりクレイグリースを得た。クレイの含有量は約8質量%である。
このクレイグリースに第三リン酸カルシウム及び添加剤(8)を、表4に示す配合割合に加え、よく混練して均一に仕上げた潤滑剤組成物を参考例18とした。また、このクレイグリースに表4に示す配合割合により、第三リン酸カルシウムを使用せず添加剤(8)を加えたものを比較例6とした。
上記した表1〜表4に示す酸化防止作用を有する添加剤(1)〜(11)は、次のものである。
添加剤(1):オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート
添加剤(2):1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン
添加剤(3):p,p’−ジオクチルジフェニルアミン
添加剤(4):N-フェニル-1,1,3,3−テトラメチルブチルナフタレン−1−アミン
添加剤(5):1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール及び1−トリデカノールとの混合エステル化物
添加剤(6):ジアルキルジチオリン酸亜鉛(プライマリータイプでC4〜C5の混合物)
添加剤(7):ジンクジアミルジチオカーバメート
添加剤(8):メチレンビス(ジブチルジチオカーバメート)
添加剤(9):2−メルカプトベンズイミダゾール
添加剤(10):トリス(ノニルフェニル)フォスファイト
添加剤(11):チオジプロピオン酸ジラウリル
(試験)
実施例1、参考例1〜18及び比較例1〜6の性能を知るために薄膜蒸発量試験を行った。
薄膜蒸発量試験:JIS K2246の湿潤試験方法に規定する厚さ(1.0〜2.0mm)×縦60mm×横80mm寸法の試験片の片面の中央面積部分(50×70mm)に試料を1.0±0.1g塗布し、160℃×24時間の加熱試験を行い、試験後の試料の状態を観察し、また試料の蒸発量(滅失量)を質量%で求めた。なお、リチウム石けんグリースを含有する参考例14及び比較例1に関しては、140℃×24時間の加熱条件により試験を行った。
(試験結果)
試験結果は表1〜表4に示す。
(考察)
表1及び表2に示す参考例1〜参考例13は、基油、第三リン酸カルシウム(25質量%)および酸化防止作用を有する添加剤(総量:1質量%)を配合成分とする潤滑剤組成物であるが、160℃×24時間の薄膜蒸発量試験結果が4.2%〜6.9%となっており、薄膜蒸発量がいずれも7%以下となっていて、耐熱性に優れていることを示している。
表3及び表4に示す実施例1、参考例14〜実施例18は、各種の他の増ちょう剤から構成されているグリースに、第三リン酸カルシウム(10質量%)及び酸化防止作用を有する添加剤(1質量%)を配合した潤滑剤組成物であり、比較例2、比較例1,3〜6は、実施例1、参考例14〜18に対応し、各々第三リン酸カルシウムを加えていないものである。
試験結果を見ると参考例14のリチウム石けんグリースを使用したものでは比較例1に比べて、また、実施例1のリチウム複合石けんグリースを使用したものでは比較例2に比べて大幅に蒸発量が低減していることが分かる。また、参考例15のウレアグリースを使用したものでは比較例3に比べて蒸発量が1/7以下に激減している。参考例16のアルミニウム複合石けんグリースを使用したものでは蒸発量が少なくて良好であるが、比較例4ではグリースが流出しており、著しい効果の違いが現れている。参考例17のナトリウムテレフタラメートグリースを使用したものでは比較例5よりも蒸発量が少ない結果を示している。参考例18のクレイグリースのものでは蒸発量が少なくて極めて良好であるが、比較例6では酸化劣化を起こして黒色化した状態となっている。
このように基油、第三リン酸カルシウムおよび酸化防止作用を有する添加剤を含む潤滑剤組成物は、高温下での蒸発を抑制できることから判るように、高温耐熱性に優れたものである。また、更に、他の増ちょう剤を併用した場合にも同じように良好な効果が得られていることが判る。
Figure 0005411457
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Figure 0005411457
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Claims (3)

  1. (a)基油と、
    (b)第三リン酸カルシウムを全組成物に対して1〜70質量%と
    (c)ジアルキルジチオリン酸亜鉛を全組成物に対して0.1〜10質量%と
    (d)アルカリ金属複合石けんを、
    含有する潤滑剤組成物。
  2. 上記(d)のアルカリ金属複合石けんが、リチウム複合石けんである請求項1に記載の潤滑剤組成物。
  3. 上記(c)のジアルキルジチオリン酸亜鉛のアルキル基がプライマリータイプでC4〜C5の混合物である請求項1又は2に記載の潤滑剤組成物。
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