JP6587920B2 - グリース組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、所定の粘土鉱物を含むグリース組成物に関し、環境適合性が高く、グリースとしての主要な特性を備えたグリース組成物に関する。
機械技術の進歩に伴い、グリースの使用環境は年々めざましく変化している。例えば、自動車や電気機器等では、各種機器の小型軽量化、高出力化によって、運転条件が高温化し、潤滑条件は過酷になってきている。鉄鋼の連続鋳造設備や熱延設備の圧延機等では、150℃以上の環境で使用される事も珍しくなく、これらに使用されるグリースは、耐熱性や酸化安定性に優れたグリースが求められている。また、昨今ではグリースの高温下での性能向上のみならず、環境適合性(使用上においては人体に対する安全性が高いことや、製造上においては環境負荷の小さいこと等)を満たす材料への要求が高まっている。
このようなグリース市場において、現在では、その50%以上をリチウムグリースが占めている。リチウムグリースは最高温度が120℃程度の高温まで使用可能であり、せん断安定性や耐水性も比較的良好で、原料である油脂や脂肪酸の入手性や取扱性も容易であり、比較的安価なコストで製造可能であることから、汎用的に使用可能なグリースとされている。また、通常のリチウムグリースより広い温度領域にて使用可能なグリースとして、リチウムコンプレックスグリース等も提案されている(特許文献1)。しかしながら、これらリチウムグリースの原料として用いられる、油脂や脂肪酸とけん化反応させるための水酸化リチウムは、リチウムの需要が多岐に渡るにつれて徐々に高騰しており、今後は、リチウムグリースの汎用品としての位置づけにも変化が生じる懸念がある。
リチウムグリース以外のグリースとしては、ナトリウムグリースやアルミニウムグリース等もあるが、ナトリウムグリースは水が混合するとグリースが流動状に変化し軸受等から流出する課題があり、徐々にグリース市場からは淘汰されてきている。また、アルミニウムグリースは使用温度範囲がカルシウムグリースと同等以下であるため、特定の用途に限られている。
グリースを環境適合性が高いものとするための手段としては、グリースの原料を、天然由来の鉱物や人工的に合成された無機化合物とすることが考えられる。例えば、特許文献2では、天然由来の鉱物または人工的に合成された無機物等をグリースの増ちょう剤として用いたグリース組成物が開示されている。しかし、当該グリースは、環境負荷の低減という要求を満たすことは可能であるが、増ちょう剤量を多く配合しないとグリースの構造が維持できず、また、含水時に軟化が大きくなったり、防錆性が低下したりといった課題がある。
耐熱グリースとして使用可能なグリースは、ウレアグリースが挙げられる。ウレアグリースは、リチウムコンプレックスグリースよりも更に高い温度で使用可能なため、耐熱用途に多く使用されている高性能なグリース組成物である。例えば、特許文献3では、ポリウレア化合物に無機化合物である炭酸カルシウムやポリテトラフルオロエチレン又は黒鉛等の固体潤滑剤を混合したグリース組成物が開示されている。当該グリース組成物によれば、高温、高荷重下でも、耐熱性及び極圧性に優れ、グリースが局部的に高温に晒されても硬化を抑制することが可能となる。
しかしながら、このようなウレアグリースは、原料となるイソシアネートやアミン類の安全性及び取扱い性の問題から、環境適合性が低いという課題がある。更には、高度な製造技術と設備が必要となるため、コスト高となり用途も限定されるものである。
特開平1−170691号公報 特開2011−57761号公報 特開2008−94991号公報
本発明はこのような状況に鑑みて成されたものであり、その目的は、グリースとしての主要な特性(混和ちょう度、滴点、耐熱性、耐水性、防錆性)と、環境適合性と、に優れたグリース組成物を提供することである。
前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、天然にも産出される所定の無機化合物が、環境適合性を有するとともに、混和ちょう度をはじめとしたグリース組成物の主要な特性を向上させることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、より具体的には下記[1]〜[5]を提供するものである。
[1]
基油として、アメリカ石油協会(API)が定める基油カテゴリーにおいてグループ1〜5に属する潤滑油又はこれらの混合油と、
増ちょう剤として硫酸バリウムと、
添加剤として、アルカリ金属サリシレート、アルカリ土類金属サリシレート、アルカリ金属スルホネート、アルカリ土類金属スルホネート、アルカリ金属フェネート、及び、アルカリ土類金属フェネートからなる群より選択される少なくとも1種の金属系清浄剤と、を含有するグリース組成物。
[2]
前記硫酸バリウムの配合量が、グリース組成物全体を100質量部として0.5〜50質量部である、[1]記載のグリース組成物。
[3]
前記硫酸バリウムの1次粒子径が1μm以下である、[1]又は[2]のいずれか一記載のグリース組成物。
[4]
前記金属系清浄剤の配合量が、グリース組成物全体を100質量部として0.1〜10質量部である、[1]から[3]のいずれか一記載のグリース組成物。
[5]
前記添加剤のTBNが、5〜600mgKOH/gである、[1]から[4]のいずれか一記載のグリース組成物。
本発明によれば、グリースとしての主要な特性(混和ちょう度、滴点、耐熱性、耐水性、防錆性)と、環境適合性と、に優れたグリース組成物を提供することができる。
本形態に係るグリース組成物は、硫酸バリウムが添加されてなる。以下、本形態に係るグリース組成物の、具体的な成分、各成分の配合量、製造方法、物性、用途に関して詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されない。例えば、本形態に係るグリース組成物は、硫酸バリウムを特に増ちょう剤として配合したものであるが、本発明の効果を奏する限りにおいて、増ちょう剤以外の用途で硫酸バリウムをグリース組成物に配合した場合にも、本発明の技術的範囲に属するものと解するべきである。
≪グリース組成物(成分)≫
[基油]
本形態のグリース組成物に用いられる基油は、特に限定されない。例えば、通常のグリース組成物に使用される鉱油、合成油、動植物油、これらの混合油を適宜使用することができる。具体例としては、API(アメリカ石油協会、American Petroleum Institute)の基油カテゴリーでグループ1〜5のものを挙げることができる。ここで、APIの基油カテゴリーとは、潤滑油基油の指針を作成するためにアメリカ石油協会によって定義された基油材料の広範な分類である。
本発明において、鉱油の種類は特に規定されるものではないが、好ましい例として、原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られた潤滑油留分に対して、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理などの一種もしくは二種以上の精製手段を適宜組み合わせて適用して得られるパラフィン系又はナフテン系などの鉱油を挙げることができる。
本発明において、合成油の種類は特に規定されるものではないが、ポリα−オレフィン(PAO)又は炭化水素系合成油(オリゴマー)を好ましい例として挙げることができる。PAOとは、α−オレフィンの単独重合体又は共重合体である。例えば、α−オレフィンとしては、C−C二重結合が末端にある化合物であり、ブテン、ブタジエン、ヘキセン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセン、テトラデセン、ヘキサデセン、オクタデセン、エイコセンなどが例示される。炭化水素系合成油(オリゴマー)としては、エチレン、プロピレン、又はイソブテンの単独重合体又は共重合体を例示することができる。これらの化合物は単独でも、また二種類以上の混合物としても用いることができる。また、これらの化合物はC−C二重結合が末端にある限り、とり得る異性体構造のどのような構造を有していてもよく、分枝構造でも直鎖構造でもよい。これらの構造異性体や二重結合の位置異性体の二種類以上を併用することもできる。これらのオレフィンのうち、炭素数5以下では引火点が低く、また炭素数31以上では粘度が高く実用性が低いため、炭素数6〜30の直鎖オレフィンの使用がより好ましい。
また、本発明においては、天然ガスの液体燃料化技術のフィッシャートロプッシュ法により合成されたGTL(ガストゥリキッド)を基油として用いてもよい。GTLは、原油から精製された鉱油基油と比較して、硫黄分や芳香族分が極めて低く、パラフィン構成比率が極めて高いため、酸化安定性に優れ、蒸発損失も非常に小さいため、本発明の基油として好適に用いることができる。
[増ちょう剤]
(硫酸バリウム)
本形態において使用される増ちょう剤は、硫酸バリウムである。硫酸バリウムは、人体のレントゲン用造影剤や非金属導電性フィラーとして広く使用され、天然には重晶石として存在する環境適合性(使用上においては人体に対する安全性が高いことや、製造上においては環境負荷の小さいこと等)の高い無機化合物である。また、表面処理をすることで、溶媒との親和性を高めることができる。表面処理としては、例えば、SiO、Al−SiOなどが挙げられる。
一般的に広く使用されているグリースは、石けん系グリースである。その中でもリチウム石けんグリースは、ちょう度収率(グリースが硬くなる度合い)や、せん断安定性に優れており、汎用グリースとして最も多く使用されている。その理由として、上述した長所がその大きな要因でもある。このリチウム石けんグリースの構造は、増ちょう剤として機能するリチウムステアレートが基油中に紐状に分散し、絡み合い、立体的な繊維構造をとっている。グリースの基本形態は、この繊維構造の中に基油が保持されることで、半固体状のグリース物性を保っている。このように、これらの石けん系グリースの組成は、殆どが鎖長の比較的長いステアレートから構成されている。これは、炭化水素が持つ基油の保持力と繊維を構成するミセル同士の分子間力の均衡が最適な関係にある事に由来している。これにより、ちょう度収率が良好で、せん断安定性にも効果的な作用が働いている。
一方、無機物においては立体的な繊維構造はとらず、基油中に分散した粒子が分子間力等の相互作用によりゲル化しグリース構造を保つ場合が多い。例えば、ベントナイトは、溶媒中(水系)で結晶同士が静電気的結合を起こし膨潤し、カードハウス構造を形成することでゲル化し半固体状態に変化する。しかしながら、グリースを構成させるための基油中では、容易には静電気的結合が起こらず、膨潤/ゲル化し強固なグリース構造を形成する事ができない。従って、膨潤を促進させるために水溶性の極性溶媒をバインダーとして添加する事が多い。しかしながら、無機物の多くは、基油中で膨潤し、グリースとしての基本特性(半固体状に成り、ちょう度が測定できる)を発揮するに値する作用は殆ど無く、現在市販されている無機増ちょう剤を使用したグリースは、上述したベントナイト以外にシリカグリースが流通している程度である。
このような状況下、本発明の増ちょう剤として用いられる硫酸バリウム化合物は、グリース増ちょう剤としての大きな効果がある。この効果を考察すると、本化合物は、1次粒子が強固に凝集した2次粒子を形成し、その2次粒子間に生じる空隙に潤滑油が吸油されやすい構造をとると考えられる。加えて、嵩比重が大きい(比表面積が大きい)こと等から、潤滑油中の分散性も高い。従って、これらの複合的な効果により、極性溶媒等の添加を必要とせず、優れた増ちょう効果を発揮する事が考えられる。
更に、硫酸バリウムは、グリース組成物の耐熱性を向上させるという性質を有する。グリース組成物の耐熱性を向上させることが可能な理由としては、増ちょう剤として用いられる硫酸バリウムの融点が、1,345℃と極めて高い事が一つの因子としてあげられる。当該高い熱安定性により、熱環境下でも構造が破壊されず、安定した増ちょう効果が発揮される。
本形態に係る成分の硫酸バリウム(BaSO)としては、沈降性または簸性硫酸バリウムの何れでもよい。平均1次粒子径が1μm以下であれば好ましく、0.7μm以下であればより好ましく、0.5μm以下であればさらに好ましい。平均1次粒子径の下限値は、特に限定されるものではないが、0.001μm以上であることが好ましい。硫酸バリウムの微細粉体は、1次粒子からなる凝集物、2次粒子を形成することが知られている。この凝集を抑制するために結晶化抑制剤や分散剤などにより処理が行われるが、本発明に使用する硫酸バリウムはこの表面処理方法により何ら制限されるものではない。硫酸バリウムの1次粒径が小さいほど、凝集した際の2次粒子間の空隙の表面積が大きく、吸油する量が増えることから、増ちょう効果が高まりグリースが硬くなると考えられる。平均1次粒子径は、レーザー回折法、動的光散乱法、遠心沈降法、FFF(フィールド・フロー・フラクショネーション)法、または電気的検知体法等によって測定することができる。本発明の平均1次粒子径は、体積平均粒子径であるが、個数平均粒子径を換算したものであってもよい。
(他の増ちょう剤)
本形態のグリース組成物には、上記の増ちょう剤(硫酸バリウム)と共に、硫酸バリム化合物以外の増ちょう剤(他の増ちょう剤)を用いてもよい。こうした他の増ちょう剤としては、第三リン酸カルシウム、アルカリ金属石けん、アルカリ金属複合石けん、アルカリ土類金属石けん、アルカリ土類金属複合石けん、アルカリ金属スルホネート、アルカリ土類金属スルホネート、その他の金属石けん、テレフタラメート金属塩、トリウレアモノウレタン、ジウレア、テトラウレア、これ以外のポリウレア、又は、クレイ、シリカエアロゲル等のシリカ(酸化ケイ素)、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を併せて使用することができる。また、これら以外にも液状物質に粘ちょう効果を付与できるものはいずれも使用することができる。
[添加剤]
(金属系清浄剤)
本形態のグリース組成物には、上記の増ちょう剤(硫酸バリウム)からなるグリースに、特定の添加剤を加える事により、耐水性や防錆性の機能が発揮できる。本形態に使用される添加剤は、金属系清浄剤であり、このような金属系清浄剤としては、中性塩、塩基性塩、過塩基性塩およびこれらの混合物等を用いることができ、特に過塩基性サリシレート、過塩基性フェネート、過塩基性スルホネートの含有が、本発明の硫酸バリウムを増ちょう剤とするグリースの構造をより安定にする。そのため、金属系清浄剤としては、潤滑油に用いられるアルカリ金属清浄剤、及び/又は、アルカリ土類金属系清浄剤が使用可能であるが、本形態のグリース組成物は、アルカリ金属サリシレート、アルカリ土類金属サリシレート、アルカリ金属スルホネート、アルカリ土類金属スルホネート、アルカリ金属フェネート、及び、アルカリ土類金属フェネートからなる群より選択される少なくとも1種の金属系清浄剤と、を含有する。アルカリ金属又はアルカリ土類金属としては、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム等が挙げられ、カルシウム及び/又はマグネシウムが特に好ましく用いられる。
金属系清浄剤は、エンジンオイルの添加剤としてよく知られており、内燃機関の燃焼時に生成するスラッジプリカーサの分散あるいは可溶化および酸性物質を化学的に中和しエンジン内の清浄並びにオイルの劣化を抑制するために配合されている。本発明の硫酸バリウムを増ちょう剤とするグリースに配合するこれらの金属系清浄剤の機能と、上述したエンジンオイルの添加剤としての機能は全く同じではないものの、金属系清浄剤が無機粉体である硫酸バリウムを基油中で均質な分散状態を維持し、空気中の水分や外部から混入する水分の影響によるグリース構造の脆弱化と軟化、並びに、不十分な水分散性による遊離水が伴う錆の発生と潤滑性の低下などといったグリースとしての基本的な機能を改善する作用がある。
本発明の増ちょう剤として用いられる硫酸バリウム化合物は、基本的に、1次粒子が強固に凝集した2次粒子を形成し、その2次粒子間に生じる空隙に潤滑油が吸油されやすい構造をとっており、グリース増ちょう剤とのネットワークをとっているが、その構造は、上述した添加剤の効果により、より強固になるものと考えられ、グリースとしての、基本的な性能を発揮できるものである。従って、これらを添加することでグリースの耐水性や防錆性を向上する事ができる。これらの性能は実用環境において、必要な性能の一つであり、耐熱性のみでなく、これらの性能が付加された場合は、より広い範囲で使用が可能となる。
金属系清浄剤は、極性先端部、即ち、有機酸の金属塩を油溶性の長い疎水性末端部に有し、石鹸又は界面活性物質と呼ばれる。従って、一般的に、有機酸は一つ又はそれより多い官能基、例えば−OH又は−COOH又は−SOHを、金属及びヒドロカルビル置換基との反応のために有する。この金属系清浄剤が有機酸の中和に必要な理論量に関して過剰の金属を含む場合、金属系清浄剤は過塩基性であってもよい。この過剰塩基は、ミセル構造における有機酸の金属塩を有するコロイド分散、一般的に金属カーボネート及び/又はヒドロキシドの形態で存在する。有機酸としては、例えば、スルホン酸、フェノール及び硫化したそれらの誘導体及び芳香族カルボン酸を含むカルボン酸が挙げられる。
上記フェノールは、非硫化又は好ましくは硫化されていてもよい。このフェノールは、1以上のヒドロキシル基を含むフェノール(例えば、アルキルカテコール)又は縮合芳香族環(例えば、アルキルナフトール)、及び化学反応により改質されたフェノール、例えばアルキレン架橋フェノール、マンニッヒ塩基縮合フェノール、及びサリゲニン型フェノール(塩基性条件下でフェノール及びアルデヒドの反応により製造される)を含むものである。
一般的に、スルホン酸は、ヒドロカルビル置換、具体的にはアルキル置換された芳香族炭化水素、例えば蒸留及び/又は抽出により石油の分別から、又は芳香族炭化水素のアルキル化により得られるもののスルホン化により得られる。アルキルアリールスルホン酸は、一般的に、炭素数が22〜100又はそれより多い。スルホン酸は、芳香族成分上で1以上のアルキル基により置換されていてもよく、例えば、それらはジアルキルアリールスルホン酸であってもよい。
カルボン酸としては、モノ及びジカルボン酸が挙げられる。好ましいモノカルボン酸は、炭素数(カルボキシル基中の炭素原子を含む)が8〜30、好ましくは8〜24のものである。モノカルボン酸としては、例えば、イソオクタン酸、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸及びベヘン酸などが挙げられる。他の好適な酸は、α−炭素原子での三級置換基を有するもの及びカルボキシル基を隔てる二つ又はそれより多い炭素原子を有するジカルボン酸である。さらに、炭素数が35より多い、例えば炭素数36〜100のジカルボン酸も好適である。
カルボン酸の好ましいタイプとして芳香族カルボン酸があり、芳香族カルボン酸の芳香族成分は、ヘテロ原子、例えば窒素及び酸素を含むことができる。好ましくは、その芳香族成分の炭素数は6又はそれより多いもので、例えば、ベンゼンは好ましい成分である。一つ又はそれより多い芳香族成分、例えば一つ又はそれより多いベンゼン環であって、縮合されているか又はアルキレン架橋により結合されているものを含んでいてもよい。
芳香族カルボン酸のもっとも好ましい例は、サリチル酸及びそれらの硫化誘導体、例えばヒドロカルビル置換したサリチル酸及びそれらの誘導体である。ヒドロカルビル置換したサリチル酸の硫化方法は、当業者に公知である。サリチル酸はフェノキシドのカルボキシル化、例えば、Kolbe-Schmitt法により製造され、その場合、通常、希釈剤中で、非カルボキシル化フェノールとの混合物において一般的に得られる。
油溶性のサリチル酸に関する好ましい置換基は、アルキル置換基である。アルキル置換サリチル酸において、アルキル基は、炭素数が5〜100、好ましくは9〜30、さらに好ましくは14〜20である。1以上のアルキル基がある場合、すべてのアルキル基中の平均炭素数は、好適な油溶性を確実にするために、好ましくは少なくとも9である。
金属系清浄剤は、中性又は過塩基性であってもよく、その用語は当技術分野において公知である。具体的にはJIS K2501(過塩素酸法)で規定される全塩基価(TBN)が 、5〜600mgKOH/gである金属系清浄剤が好ましく、50〜500mgKOH/gである金属系清浄剤がより好ましく、100〜400mgKOH/gである金属系清浄剤がさらに好ましい。TBNがこの範囲であれば、本発明の増ちょう剤として機能する無機粉体である硫酸バリウムの基油中でのネットワーク構造がより強化され、グリースの粘弾性が向上し、ちょう度が硬くなりやすく、また、空気中の水分や外部から混入する水分の影響によるグリース構造の脆弱化と軟化、並びに、不十分な水分散性による遊離水が伴う錆の発生と潤滑性の低下などが起きにくく、グリースとしての基本的な特性がより向上する。金属系清浄剤の添加剤成分は、一つのタイプの有機酸の塩又は一つより多いタイプの有機酸の塩を含んでいてもよく、それらは中性金属系清浄剤、過塩基性金属系清浄剤又は両方の混合物であり得る。
[任意の成分]
本形態のグリース組成物には、更に任意の酸化防止剤、防錆剤、油性剤、極圧剤、耐摩耗剤、固体潤滑剤、金属不活性剤、ポリマー、非金属系清浄剤、着色剤、撥水剤等の添加剤を、グリース組成物全体を100質量部として、任意の成分全体で約0.1〜20質量部加えることができる。例えば、酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルパラクレゾール、p,p’−ジオクチルジフェニルアミン、N−フェニル−α−ナフチルアミン、フェノチアジン等がある。例えば、防錆剤としては、酸化パラフィン、カルボン酸金属塩、スルホン酸金属塩、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル、サリチル酸エステル、コハク酸エステル、ソルビタンエステルや各種アミン塩等がある。例えば、油性剤や極圧剤並びに耐摩耗剤としては、硫化ジアルキルジチオリン酸亜鉛、硫化ジアリルジチオリン酸亜鉛、硫化ジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛、硫化ジアリルジチオカルバミン酸亜鉛、硫化ジアルキルジチオリン酸モリブテン、硫化ジアリルジチオリン酸モリブテン、硫化ジアルキルジチオカルバミン酸モリブテン、硫化ジアリルジチオカルバミン酸モリブテン、有機モリブテン錯体、硫化オレフィン、トリフェニルフォスフェート、トリフェニルフォスフォロチオネート、トリクレジンフォスフェート、その他リン酸エステル類、硫化油脂類等がある。例えば、固体潤滑剤としては、二硫化モリブテン、グラファイト、窒化ホウ素、メラミンシアヌレート、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、二硫化タングステン、フッ化黒鉛等がある。例えば、金属不活性剤としては、N,N’ジサリチリデン−1,2−ジアミノプロパン、ベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、チアジアゾール等がある。例えば、ポリマーとしては、ポリブテン、ポリイソブテン、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、ポリメタクリレート等が挙げられる。例えば、非金属系清浄剤として、コハク酸イミド等を挙げることができる。
≪グリース組成物(各成分の配合量)≫
次に、本形態に係るグリース組成物における、基油及び増ちょう剤または添加剤の配合量を説明する。尚、任意の成分の配合量に関しては、必要であれば上述の配合量にて適宜配合すればよい。
[基油]
基油の配合量としては、グリース組成物全体を100質量部として、好ましくは50〜95質量部であり、より好ましくは60〜90質量部であり、更に好ましくは70〜85質量部である。
[増ちょう剤]
増ちょう剤全体の配合量としては、グリース組成物全体を100質量部として、好ましくは3〜50質量部、より好ましくは5〜40質量部、更に好ましくは7〜30質量部配合することができる。
ここで、前述のとおり、本形態に係るグリース組成物は、少なくとも硫酸バリウム化合物を増ちょう剤として含み、その他の増ちょう剤を適宜合わせてなるものであるが、硫酸バリウム化合物のみを増ちょう剤とした場合、すなわち、硫酸バリウム化合物以外の増ちょう剤を実質的に含まない場合においても、高い増ちょう効果を発現させること(即ち、高い増ちょう効果を有するグリース組成物を製造すること)が可能となる。更に、前述のように、硫酸バリウム化合物はグリース組成物の耐熱性を向上させる性質を有するため、増ちょう剤全体における硫酸バリウム化合物の配合割合を高め、他の増ちょう剤の配合割合を少なくする程、グリース組成物の耐熱性及び酸化安定性をより発揮することも可能となる。更に、硫酸バリウム化合物が高い環境適合性を有することから、増ちょう剤全体におけるその他の増ちょう剤の配合割合を少なくすることは、環境適合性の面からも好適である。
従って、上記増ちょう剤全体のグリース組成物中の配合量と合わせ、グリース組成物全体を100質量部として、硫酸バリウム化合物を、0.5〜50質量部とすることが好適であり、1〜30質量部とすることがより好適であり、5〜28質量部とすることがさらに好適である。また、硫酸バリウム化合物以外の増ちょう剤(その他の増ちょう剤)を、20質量部以下とすることが好適であり、10質量部以下とすることがより好適である。
[添加剤]
添加剤としての、アルカリ金属/アルカリ土類金属サリシレート、アルカリ金属/アルカリ土類金属スルホネート、及び/又は、アルカリ金属/アルカリ土類金属フェネートである金属系清浄剤の配合量としては、グリース組成物全体を100質量部として、好ましくは0.1〜10質量部であり、より好ましくは0.3〜7質量部であり、更に好ましくは0.5〜5質量部である。
≪グリース組成物の製造方法≫
[硫酸バリウム類化合物以外の増ちょう剤を実質的に含まない場合]
本形態に係るグリース組成物の製造方法としては、既存の手法を適宜用いることが可能であるが、例えば、以下の工程により製造することが可能である。基油、増ちょう剤及び添加剤を配合し、グリース専用の製造装置(プログラム式グリース試作装置)内に投入する。次に、常温(例えば25℃程度)にて撹拌(撹拌条件は、例えば、攪拌回転数20〜100rpm、撹拌時間10〜15分)を行い、その後、均質化装置(例えば、三本ロールミル等)により処理した後、真空脱泡し、均質なグリース組成物を得る。尚、その他の任意の成分(添加剤等)を用いる場合には、あらかじめ適当な温度(例えば80〜100℃の温度)にて基油と添加剤とを混合した後、常温に戻し、硫酸バリウムを加えてもよい(又は、常温にて硫酸バリウムを基油に混ぜて混合した後、温度を上昇させ、添加剤を混合してもよい)。
ここで、硫酸バリウム以外の増ちょう剤を実質的に含まない場合には、増ちょう剤を添加し撹拌する際、特別な化学反応を伴わないため、温度を上昇させる過程を含まずともグリースを製造することが出来る(又は、添加剤の混合に高温の加熱が必要な場合には、高温を維持する工程を短くすることが出来る)ため、低エネルギー化及び低コスト化を図ることが可能となる。尚、硫酸バリウム、基油及び添加剤との混合及び撹拌過程において、常温での処理ではなく、加熱処理(例えば約140℃未満)を行っても差し支えない。
[硫酸バリウム以外の増ちょう剤を併用する場合]
次に、硫酸バリウムと、硫酸バリウム以外の増ちょう剤(他の増ちょう剤)を、グリース組成物の増ちょう剤として併用する場合の本形態に係るグリース組成物の製造方法を、他の増ちょう剤としてウレア増ちょう剤を用いる場合を一例として説明する。まず、ウレア増ちょう剤の原料(ジイソシアネート、一級モノアミン、モノアルコール等)を適宜配合し、基油中で合成反応させた後、180℃程度の温度まで上昇させる、その後冷却し、80〜100℃の温度で、添加剤等を混入し、十分に撹拌混合させた後、室温まで冷却させる。その後、硫酸バリウムを配合して、攪拌して得た分散体を、混練機(例えば、三本ロールミル等)を使用して、均質化することで、グリース組成物を得る事が出来る。
このように、従来の増ちょう剤と、硫酸バリウム増ちょう剤を併用する場合には、従来の増ちょう剤によって、一般的に行われるグリースの製造方法に従って一度グリース組成物を形成した後に、更に硫酸バリウムを投入し、増ちょう性を向上させ、グリース組成物を完成させることが可能である。更には、硫酸バリウムと、他の増ちょう剤と、を同じ工程(タイミング)にて配合し、一般的なグリースの製造方法に従ってグリース組成物を製造してもよい。また、上述の硫酸バリウムを増ちょう剤として製造したグリース組成物と、硫酸バリウム以外を増ちょう剤とした従来のグリース組成物と、を別途製造し、それらを混合してもよい。
≪グリース組成物の物性≫
[滴点]
本形態のグリース組成物は、滴点が200℃以上又は超となるものが好ましく、220℃以上又は超となるものがより好ましく、250℃以上又は超となるものが特に好ましい。グリース組成物の滴点が200℃以上であれば、潤滑上の問題、例えば、高温での粘性喪失やそれに伴う漏洩、焼付け等が生じる可能性を抑えられると考えられる。尚、滴点は、粘性を有するグリースが、温度を上げてゆくと増ちょう剤構造を失う温度をいう。ここで、滴点の測定は、JIS K 2220 8に従って行うことができる。
[混和ちょう度]
本形態のグリース組成物は、混和ちょう度試験において、好ましくは00号〜4号(175〜430)のちょう度であり、更に好ましくは1号〜3号(220〜340)のちょう度である。尚、ちょう度はグリースの外観的硬さを表す。ここで、ちょう度としては、JIS K 2220 7に従って測定された混和ちょう度の値を用いる。
[耐熱性]
本形態のグリース組成物は、耐熱性試験(薄膜加熱試験)(150℃、24時間)において、10%未満の蒸発減量が好ましく、3%未満の蒸発減量がより好ましい。ここで、薄膜加熱試験の方法は下記の通りである。即ち、JIS K 2246の湿潤試験方法に規定するSPCC鋼板の試験片(厚さ1.0mm×縦60mm×横80mm寸法)の片面の中央面積部分(50mm×70mm)に試料を3.0g±0.1g塗布し、150℃×24時間の薄膜加熱試験を行い、SPCC鋼鈑の薄膜加熱試験前後の重量を測定し、以下の式で求めた蒸発量を蒸発減量とする。
蒸発量(%)={(薄膜加熱試験前重量、g−薄膜加熱試験後重量、g)/薄膜加熱試験前重量、g}×100
[耐水性]
本形態のグリース組成物は、耐水性試験において、グリース状であることが好ましい。ここで、耐水性試験の方法は下記の通りである。即ち、300mlのビーカー内にグリース90質量部と水10質量部を投入し、十分混合させた後のグリース状態を観察する。増ちょう剤と基油が分離しない場合に、グリース状と評価する。尚、水の混入により増ちょう剤と基油が分離すると潤滑界面に十分な油分が供給されず潤滑性が損なわれ、さらに油分による金属表面への保護作用が低下することから、錆の発生を誘発してしまう。
[防錆性]
本形態のグリース組成物は、軸受防錆試験において、錆なしと評価されることが好ましい。ここで、軸受防錆試験の方法は、ASTM D1743に従って行うことができる。試験ベアリングのアウターレース面に錆が一つもない場合に、錆なしと評価する。
≪グリース組成物の用途≫
本形態のグリース組成物は、一般に使用される機械、軸受、歯車等に使用可能であることはもちろん、より苛酷な条件下、例えば、高温条件下で優れた性能を発揮することができる。例えば、自動車では、スターター、オルターネーター及び各種アクチュエーター部のエンジン周辺、プロペラシャフト、等速ジョイント(CVJ)、ホイールベアリング及びクラッチ等のパワートレイン、電動パワーステアリング(EPS)、制動装置、ボールジョイント、ドアヒンジ、ハンドル部、冷却ファンモーター、ブレーキのエキスパンダー等の各種部品等の潤滑に好適に用いることができる。更に、パワーショベル、ブルドーザー、クレーン車等の建設機械、鉄鋼産業、製紙工業、林業機械、農業機械、化学プラント、発電設備、乾燥炉、複写機、鉄道車両、シームレスパイプのネジジョイント等の各種高温・高荷重部位に用いることも好ましい。その他の用途としては、ハードディスク軸受用、プラスチック潤滑用、カートリッジグリース等が挙げられるが、これらの用途にも好適である。
次に、本発明を実施例及び比較例により、更に詳細に説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
≪原料≫
本実施例1〜17及び比較例1〜11で用いた原料は以下の通りである。
(基油)
・基油A:脱ろう溶剤精製により得られたパラフィン系鉱油で、グループ1に属するものであり、100℃動粘度が11.25mm/s、粘度指数が97のものである。
・基油B:フィッシャートロプッシュ法により合成されたGTL(ガストゥリキッド)で、グループ3に属するものであり、100℃動粘度が7.58mm/s、粘度指数が141のものである。
・基油C:ポリ−α−オレフィンで、グループ4に属するものであり、100℃動粘度が6.34mm/s、粘度指数が136のものである。
・基油D:不飽和ポリオールエステル油で、グループ5に属するものであり、100℃動粘度が4.55mm/s、粘度指数が141のものである。
(増ちょう剤)
・硫酸バリウム:平均1次粒子径0.01μmのSiO処理品
・硫酸バリウム:平均1次粒子径0.06μmの未処理品
・硫酸バリウム:平均1次粒子径0.3μmのSiO−Al処理品
・ケイ酸マグネシウム:平均粒子径10μmの一級試薬
・炭酸カルシウム:平均粒子径10μmの一級試薬
・酸化アルミニウム:平均粒子径10μmの一級試薬
(添加剤)
・添加剤A:カルシウムサリシレート(INFINEUM社製、M7121)(TBN225mgKOH/g)
・添加剤B:マグネシウムサリシレート(INFINEUM社製、C9012)(TBN342mgKOH/g)
・添加剤C:ナトリウムスルホネート(LUBRIZOL社製、Lz5318A)(TBN448mgKOH/g)
・添加剤D:カルシウムスルホネート(INFINEUM社製、C9330)(TBN300mgKOH/g)
・添加剤E:カルシウムフェネート(ORONITE社製、OLOA219)(TBN255)
・添加剤F:ザルコシン酸(BASF社製、SARKOSYL O)
・添加剤G:アミン酸誘導体(KING社製、K−CORR100)
・添加剤H:ナフテン酸亜鉛(DIC製、DAILUBE Z500)
≪製造方法≫
(実施例1)
基油A、平均1次粒子径0.01μmの硫酸バリウム及び添加剤Aの合計量が500gになるように表1内記載の配合割合にて計量し、内容量1.0kgのグリース専用の製造装置内に投入する。常温で200rpmの攪拌回転数で15分間攪拌した分散体を、三本ロールミルを使用して処理した後、真空脱泡し、均質な1.5号ちょう度のグリースを得た。
(実施例2)
グリース製造釜内に、原料として表1内記載の配合量にて基油A、平均1次粒子径0.01μmの硫酸バリウム、添加剤Aを混入し、実施例1の製造法に準拠し、同様に製造して、均質な3号ちょう度のグリースを得た。
(実施例3)
グリース製造釜内に、原料として表1内記載の配合量にて基油B、平均1次粒子径0.01μmの硫酸バリウム、添加剤Aを混入し、実施例1の製造法に準拠し、同様に製造して、均質な2号ちょう度のグリースを得た。
(実施例4)
グリース製造釜内に、原料として表1内記載の配合量にて基油B、平均1次粒子径0.01μmの硫酸バリウム、添加剤Aを混入し、実施例1の製造法に準拠し、同様に製造して、均質な1号ちょう度のグリースを得た。
(実施例5)
グリース製造釜内に、原料として表1内記載の配合量にて基油C、平均1次粒子径0.01μmの硫酸バリウム、添加剤Aを混入し、実施例1の製造法に準拠し、同様に製造して、均質な2号ちょう度のグリースを得た。
(実施例6)
グリース製造釜内に、原料として表1内記載の配合量にて基油C及び基油D、平均1次粒子径0.01μmの硫酸バリウム、添加剤Aを混入し、実施例1の製造法に準拠し、同様に製造して、均質な2号ちょう度のグリースを得た。
(実施例7)
グリース製造釜内に、原料として表1内記載の配合量にて基油A、基油B及び基油C、平均1次粒子径0.01μmの硫酸バリウム、添加剤Aを混入し、実施例1の製造法に準拠し、同様に製造して、均質な2号ちょう度のグリースを得た。
(実施例8)
グリース製造釜内に、原料として表1内記載の配合量にて基油B、平均1次粒子径0.06μmの硫酸バリウム、添加剤Aを混入し、実施例1の製造法に準拠し、同様に製造して、均質な1.5号ちょう度のグリースを得た。
(実施例9)
グリース製造釜内に、原料として表1内記載の配合量にて基油B、平均1次粒子径0.3μmの硫酸バリウム、添加剤Aを混入し、実施例1の製造法に準拠し、同様に製造して、均質な1号ちょう度のグリースを得た。
(実施例10)
グリース製造釜内に、原料として表1内記載の配合量にて基油A、平均1次粒子径0.01μmの硫酸バリウム、添加剤Aを混入し、実施例1の製造法に準拠し、同様に製造して、均質な2号ちょう度のグリースを得た。
(実施例11)
グリース製造釜内に、原料として表1内記載の配合量にて基油B、平均1次粒子径0.01μmの硫酸バリウム、添加剤A及び添加剤Dを混入し、実施例1の製造法に準拠し、同様に製造して、均質な1.5号ちょう度のグリースを得た。
(実施例12)
グリース製造釜内に、原料として表1内記載の配合量にて基油A、平均1次粒子径0.01μmの硫酸バリウム、添加剤Bを混入し、実施例1の製造法に準拠し、同様に製造して、均質な2号ちょう度のグリースを得た。
(実施例13)
グリース製造釜内に、原料として表1内記載の配合量にて基油A、平均1次粒子径0.01μmの硫酸バリウム、添加剤Cを混入し、実施例1の製造法に準拠し、同様に製造して、均質な2号ちょう度のグリースを得た。
(実施例14)
グリース製造釜内に、原料として表1内記載の配合量にて基油A、平均1次粒子径0.01μmの硫酸バリウム、添加剤Dを混入し、実施例1の製造法に準拠し、同様に製造して、均質な2.5号ちょう度のグリースを得た。
(実施例15)
グリース製造釜内に、原料として表1内記載の配合量にて基油A、平均1次粒子径0.01μmの硫酸バリウム、添加剤Dを混入し、実施例1の製造法に準拠し、同様に製造して、均質な2号ちょう度のグリースを得た。
(実施例16)
グリース製造釜内に、原料として表1内記載の配合量にて基油A、平均1次粒子径0.01μmの硫酸バリウム、添加剤A及び添加剤Dを混入し、実施例1の製造法に準拠し、同様に製造して、均質な2号ちょう度のグリースを得た。
(実施例17)
グリース製造釜内に、原料として表1内記載の配合量にて基油A、平均1次粒子径0.01μmの硫酸バリウム、添加剤Eを混入し、実施例1の製造法に準拠し、同様に製造して、均質な1.5号ちょう度のグリースを得た。
(比較例1〜3)
グリース製造釜内に、原料として表2内記載の配合量にて基油A、基油C又は基油Dと、平均1次粒子径0.01μmの硫酸バリウムを混入し、実施例1の製造法に準拠し、同様に製造して、均質な1〜2号ちょう度のグリースを得た。
(比較例4、5)
グリース製造釜内に、原料として表2内記載の配合量にて基油A、平均1次粒子径0.01μmの硫酸バリウム、添加剤F又はGを混入し、実施例1を製造したが、流動状(非グリース状)の物質となった。
(比較例6)
グリース製造釜内に、原料として表2内記載の配合量にて基油A、平均1次粒子径0.01μmの硫酸バリウム、添加剤Hを混入し、実施例1の製造法に準拠し、同様に製造して、均質な1号ちょう度のグリースを得た。
(比較例7)
グリース製造釜内に、原料として表2内記載の配合量にて基油Aと、ケイ酸マグネシウムを混入し、実施例1の製造法に準拠し、同様に製造したが、流動状(非グリース状)の物質となった。
(比較例8)
グリース製造釜内に、原料として表2内記載の配合量にて基油Aと、炭酸カルシウムを混入し、実施例1の製造法に準拠し、同様に製造したが、流動状の物質となった。
(比較例9)
グリース製造釜内に、原料として表2内記載の配合量にて基油Aと、酸化アルミニウムを混入し、実施例1の製造法に準拠し、同様に製造したが、流動状の物質となった。
(比較例10)
増ちょう剤はリチウム12ヒドロキシステアレート石けん、鉱物油系の潤滑油を基油に使用した市販汎用リチウム系グリース(昭和シェル石油株式会社製)であり、基油の粘度は100℃で12.2mm/sである。
(比較例11)
鉱物油系の潤滑油を基油に使用した市販汎用ウレア系グリース(昭和シェル石油株式会社製)であり、基油の粘度は100℃で11.3mm/sである。
≪試験≫
実施例及び比較例について、滴点、混和ちょう度試験、耐熱性試験、耐水性試験、軸受防錆試験について、前述の試験方法により各試験を行った。得られた実施例及び比較例の各グリースの性質も表1及び2に記す。「木目の良さ」は、木目が細かく滑らかで艶がある場合に「◎」とし、木目が細かく滑らかであるが艶がない場合に「○」、木目がやや粗く艶がない場合に「△」、木目が粗く艶がない場合に「×」で示す。尚、木目の指標は、供試サンプルを直接手の指等で触れた際の感触ならびに外観から判定したものである。粘弾性(コシの強さ)は、コシが強く弾力がある場合に「◎」、コシがあり弾力がある場合に「○」、コシが弱く弾力がない場合に「△」、コシそのものを全く感じない場合(液状等)に「×」で示す。尚、粘弾性とは、供試サンプルを直接手の指等で触れた際の感触により判定したものである。
Figure 0006587920
Figure 0006587920
≪結果≫
表1に示したように、実施例1〜17は、いずれも、混和ちょう度、滴点、耐熱性、耐水性、防錆性に優れている。

Claims (5)

  1. 基油として、アメリカ石油協会(API)が定める基油カテゴリーにおいてグループ1〜5に属する潤滑油又はこれらの混合油と、
    増ちょう剤として、硫酸バリウムと、
    添加剤として、アルカリ金属サリシレート、アルカリ土類金属サリシレート、アルカリ金属スルホネート、アルカリ土類金属スルホネート、アルカリ金属フェネート、及び、アルカリ土類金属フェネートからなる群より選択される少なくとも1種の金属系清浄剤と、を含有するグリース組成物。
  2. 前記硫酸バリウムの配合量が、グリース組成物全体を100質量部として0.5〜50質量部である、請求項1記載のグリース組成物。
  3. 前記硫酸バリウムの平均1次粒子径が1μm以下である、請求項1又は2のいずれか一項記載のグリース組成物。
  4. 前記金属系清浄剤の配合量が、グリース組成物全体を100質量部として0.1〜10質量部である、請求項1から3のいずれか一項記載のグリース組成物。
  5. 前記金属系清浄剤のTBNが、5〜600mgKOH/gである、請求項1から4のいずれか一項記載のグリース組成物。
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