JP2017031242A - グリース組成物 - Google Patents

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後藤 拓也
Takuya Goto
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Abstract

【課題】音響性能に優れたグリース組成物の提供。【解決手段】基油と、式(1)で表されるジウレア化合物である増ちょう剤と、コハク酸誘導体、アルケニルコハク酸、アルケニルコハク酸誘導体、及び酸性リン酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、総含有量が0.5〜5.0質量%である添加剤と、を含有するグリース組成物。R1及びR3は、無置換シクロヘキシル基、C7〜12アルキルシクロヘキシル基、C6〜20直鎖アルキル基、又はC6〜20分岐アルキル基を表し、かつ、無置換シクロヘキシル基、C7〜12アルキルシクロヘキシル基、C6〜20直鎖アルキル基、及びC6〜20分岐アルキル基の総モル数に対する無置換シクロヘキシル基及びC7〜12アルキルシクロヘキシル基の総モル数の割合が30〜80モル%である。R2は、炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表す。【選択図】なし

Description

本発明は、グリース組成物に関するものである。
ウレアグリースは、耐熱性・酸化安定性に優れていることが一般的に知られている。ウレアグリースは、高温耐久性の観点から、等速ジョイントや電装品軸受といった自動車用軸受、工作機械主軸軸受や建設機械の摺動部といった産業機械などの各種機械部品に使用されている。
近年では、機械装置の小型軽量化や機器の高性能化に伴い、グリースの使用環境はますます高温となり過酷化している。そのため、これら機械部品に使用される軸受には耐熱性に優れたウレアグリースを封入することが好まれるが、特に小型の軸受においてはグリースの音響性能(低騒音性)も同時に強く求められる。
かねてより、ウレアグリースの音響性能はLi石けんグリースなどの音響性能と比べて劣ることが報告されている。ウレアグリースの音響性能(低騒音性)を改善する手段としては、以下の手段が挙げられる。
例えば、イソシアネート(またはアミン)を溶解または分散させた基油中に、アミン(またはイソシアネート)を溶解または分散させた基油を、直径300μm以下の液滴として投入し、イソシアネートとアミンとを反応させてグリース組成物を得る手段が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。
また、ロール間のクリアランスが5μm未満であるロールミルで混合することにより、グリース組成物を製造する手段が挙げられる(例えば、特許文献2参照)。
また、グリース組成物に、ドデシル基を有するジウレア化合物とオレイル基を有するジウレア化合物とを含有させる手段が挙げられる(例えば、特許文献3参照)。
また、グリース組成物に、増ちょう剤として、脂環式ジウレア化合物とN−置換テレフタラミン酸ナトリウム塩とを含有させる手段が挙げられる(例えば、特許文献4参照)。
特開2000−248290号公報 特開2004−323541号公報 特開2008−074978号公報 特開2011−046899号公報
しかしながら、ウレアグリースに対し、より優れた音響性能が求められる場合がある。
本発明は、音響性能に優れたウレアグリースであるグリース組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、グリース組成物に、増ちょう剤として特定のジウレア化合物を含有させ、かつ、添加剤として、コハク酸誘導体、アルケニルコハク酸、アルケニルコハク酸誘導体、及び酸性リン酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種を特定の量含有させると、ウレアグリースの音響性能が向上することを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成したものである。
上記課題を解決するための具体的手段は以下のとおりである。
<1> 基油と、
式(1)で表されるジウレア化合物である増ちょう剤と、
コハク酸誘導体、アルケニルコハク酸、アルケニルコハク酸誘導体、及び酸性リン酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、総含有量がグリース組成物全量に対して0.5〜5.0質量%である添加剤と、
を含有するグリース組成物。
式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、無置換シクロヘキシル基、炭素数7〜12のアルキルシクロヘキシル基、炭素数6〜20の直鎖アルキル基、又は炭素数6〜20の分岐アルキル基を表し、かつ、無置換シクロヘキシル基、炭素数7〜12のアルキルシクロヘキシル基、炭素数6〜20の直鎖アルキル基、及び炭素数6〜20の分岐アルキル基の総モル数に対する無置換シクロヘキシル基及び炭素数7〜12のアルキルシクロヘキシル基の総モル数の割合が、30〜80モル%である。
式(1)中、Rは、炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表す。
本発明によれば、音響性能に優れたウレアグリースであるグリース組成物が提供される。
以下、本発明のグリース組成物について詳細に説明する。
本明細書中、数値範囲を表す「〜」はその上限及び下限として記載されている数値をそれぞれ含む範囲を表す。
また、本明細書中、「音響性能」は「低騒音性」と同義である。
また、本明細書中、「シクロへキシル基」は、無置換シクロヘキシル基及び炭素数7〜12のアルキルシクロヘキシル基を包含する概念である。
また、本明細書中、「アルキル基」は、炭素数6〜20の直鎖アルキル基及び炭素数6〜20の分岐アルキル基を包含する概念である。
本発明のグリース組成物は、基油と、式(1)で表されるジウレア化合物である増ちょう剤と、コハク酸誘導体、アルケニルコハク酸、アルケニルコハク酸誘導体、及び酸性リン酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、総含有量がグリース組成物全量に対して0.5〜5.0質量%である添加剤(以下、「特定添加剤」ともいう)と、を含有する。
本発明のグリース組成物は、「ウレアグリース」に分類されるものである。
本発明のグリース組成物は、上記ジウレア化合物(増ちょう剤)と上記総含有量の特定添加剤とを含有することにより、音響性能(低騒音性)に優れる。更に、本発明のグリース組成物は、前述の特許文献1〜4に記載されたグリース組成物と比較して、簡易な方法で製造できる。
<基油>
本発明のグリース組成物は、基油を含有する。
本発明のグリース組成物に含有される基油は、1種のみであっても2種以上であってもよい。
基油としては特に限定されず、鉱油であっても合成油であってもよい。
グリースの潤滑長寿命性を考慮すれば、基油としては、耐熱性に優れる合成油がより好ましい。
合成油としては、アルキルジフェニルエーテルなどのエーテル系合成油;ジエステル、ポリオールエステル、コンプレックス型ポリオールエステルなどのエステル系合成油;ポリアルファオレフィンなどの合成炭化水素油;アルキルナフタレン系合成油;が挙げられる。
基油の40℃動粘度には特に制限はないが、好ましくは40〜200mm/sであり、より好ましくは40〜150mm/sであり、さらに好ましくは40〜120mm/sである。
コンプレックス型ポリオールエステルとしては、炭素数4〜14の脂肪族モノカルボン酸と、炭素数4〜14の脂肪族ジカルボン酸と、3価〜6価の多価アルコールと、から形成されるエステルが好ましい。
脂肪族モノカルボン酸の炭素数としては、5〜14が好ましく、6〜14がより好ましく、8〜12が更に好ましい。脂肪族ジカルボン酸の炭素数としては4〜10が好ましく、5〜8がより好ましい。脂肪族モノカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸の両者において、炭素数が小さすぎると高温時の蒸発量が大きくなり、潤滑長寿命性が低下する。また、炭素数が大きすぎると基油の流動性が悪くなり、低トルク性が低下する傾向にある。
上記炭素数4〜14の脂肪族モノカルボン酸としては、酪酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、2−エチルヘキシル酸、イソオクタン酸、ノナン酸、デカン酸、イソデカン酸、等が挙げられる。
上記炭素数4〜14の脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、等が挙げられる。
上記3価〜6価の多価アルコールとしては、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、等が挙げられる。このうち、より好ましいものは4価の多価アルコールであり、特にペンタエリスリトールが好ましい。
<増ちょう剤>
本発明のグリース組成物は、増ちょう剤として、下記式(1)で表されるジウレア化合物を含有する。
式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、無置換シクロヘキシル基、炭素数7〜12のアルキルシクロヘキシル基、炭素数6〜20の直鎖アルキル基、又は炭素数6〜20の分岐アルキル基を表し、かつ、無置換シクロヘキシル基、炭素数7〜12のアルキルシクロヘキシル基、炭素数6〜20の直鎖アルキル基、及び炭素数6〜20の分岐アルキル基の総モル数に対する無置換シクロヘキシル基及び炭素数7〜12のアルキルシクロヘキシル基の総モル数の割合が、30〜80モル%である。
式(1)中、Rは、炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表す。
以下、本発明のグリース組成物に含有される式(1)で表されるジウレア化合物(増ちょう剤)について、より詳細に説明する。
式(1)で表されるジウレア化合物の一分子において、R及びRは、それぞれ独立に、無置換シクロヘキシル基、炭素数7〜12のアルキルシクロヘキシル基、炭素数6〜20の直鎖アルキル基、又は炭素数6〜20の分岐アルキル基であり、Rは、炭素数1〜30の2価の炭化水素基である。
本発明のグリース組成物に含有される式(1)で表されるジウレア化合物の全体(全分子)において、R及びRは、無置換シクロヘキシル基、炭素数7〜12のアルキルシクロヘキシル基、炭素数6〜20の直鎖アルキル基、及び炭素数6〜20の分岐アルキル基の総モル数に対する無置換シクロヘキシル基及び炭素数7〜12のアルキルシクロヘキシル基の総モル数の割合が30〜80モル%である。
上記割合は、言い換えると、以下の比〔シクロへキシル基/(シクロへキシル基+アルキル基)〕(モル%)である。
比〔シクロへキシル基/(シクロへキシル基+アルキル基)〕(モル%)=((無置換シクロヘキシル基のモル数+炭素数7〜12のアルキルシクロヘキシル基のモル数)/(無置換シクロヘキシル基のモル数+炭素数7〜12のアルキルシクロヘキシル基のモル数+炭素数6〜20の直鎖アルキル基のモル数+炭素数6〜20の分岐アルキル基のモル数))×100
なお、前述のとおり、「シクロへキシル基」は、無置換シクロヘキシル基と炭素数7〜12のアルキルシクロヘキシル基とを包含する概念であり、「アルキル基」は、炭素数6〜20の直鎖アルキル基と炭素数6〜20の分岐アルキル基とを包含する概念である(以下、同様である)。
本発明におけるジウレア化合物としては、上記条件を満たす限りにおいて、同一分子中のR及びRの一方がシクロへキシル基であって他方がアルキル基であるジウレア化合物、同一分子中のR及びRの両方がシクロへキシル基であるジウレア化合物、並びに、同一分子中のR及びRの両方がアルキル基であるジウレア化合物のいずれであっても用いることができ、また、これらの2種以上からなる混合物を用いることもできる。
式(1)において、Rは、炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表す。
で表される2価の炭化水素基の炭素数としては、2〜30が好ましく、6〜30がより好ましく、6〜25が更に好ましく、6〜20が特に好ましい。
また、Rで表される2価の炭化水素基としては、炭素数1〜30のアルキレン基、炭素数6〜30のアリーレン基、炭素数7〜30のアルキレンアリーレン基、炭素数8〜30のアルキレンアリーレンアルキレン基、又は、炭素数13〜30のアリーレンアルキレンアリーレン基が好ましい。
で表される2価の炭化水素基として、特に好ましくは、ヘキシレン基、デシレン基、オクタデシレン基、フェニレン基、トリレン基、又は下記式(R21)で表される基である。
式(R21)中、*は、結合位置を表す。
また、式(1)において、R又はRで表される直鎖アルキル基の炭素数としては、それぞれ、12〜20が好ましく、16〜20がより好ましい。
また、式(1)において、R又はRで表される分岐アルキル基の炭素数としては、それぞれ、12〜20が好ましく、16〜20がより好ましい。
式(1)で表されるジウレア化合物の製造方法には特に制限はないが、式(1)で表されるジウレア化合物は、例えば、ジイソシアネートと、シクロヘキシルアミンと、アルキルアミンと、を原料として用い、これらを(好ましくは基油中で)反応させることによって製造することができる。
上記ジイソシアネートとしては、上記R(即ち、炭素数1〜30の2価の炭化水素基)と2つのイソシアネート基(−N=C=O基)とが結合した構造の化合物を用いることができる。
上記ジイソシアネートとして、より具体的には、へキシレンジイソシアネート、デシレンジイソシアネート、オクタデシレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート、トリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
上記シクロヘキシルアミン及び上記アルキルアミンとしては、上記R又は上記Rとアミノ基とが結合した構造の化合物を用いることができる。
上記シクロヘキシルアミンとして、具体的には、シクロへキシルアミン(即ち、無置換シクロヘキシル基とアミノ基とが結合した構造のシクロヘキシルアミン)、及び、炭素数7〜12のアルキルシクロヘキシル基とアミノ基とが結合した構造のアルキルシクロへキシルアミンが挙げられる。
上記アルキルアミンとして、具体的には、炭素数6〜20の直鎖アルキル基とアミノ基とが結合した構造のアルキルアミン(好ましくはオクタデシルアミン)、炭素数6〜20の分岐アルキル基とアミノ基とが結合した構造のアルキルアミン、等が挙げられる。
上記シクロヘキシルアミンと上記アルキルアミンとは、製造されるジウレア化合物において、上述の比〔シクロへキシル基/(シクロへキシル基+アルキル基)〕が30〜80モル%となる比率で混合して用いることができる。
本発明のグリース組成物における式(1)で表されるジウレア化合物の含有量は、目的とする混和ちょう度に合わせて適宜調整できる。式(1)で表されるジウレア化合物の含有量は、グリース組成物の全量に対し、好ましくは5〜16.5質量%、より好ましくは5〜16質量%、さらに好ましくは10〜15.5質量%である。
式(1)で表されるジウレア化合物の含有量が16.5質量%以下であると、音響性能がより向上する。
式(1)で表されるジウレア化合物の含有量が5質量%以上であると、適切な混和ちょう度を得やすい。
<特定添加剤>
本発明のグリース組成物は、特定添加剤として、コハク酸誘導体、アルケニルコハク酸、アルケニルコハク酸誘導体、及び酸性リン酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する。
コハク酸誘導体としては、コハク酸エステル、コハク酸ハーフエステル、コハク酸アミド、コハク酸イミド、コハク酸無水物、等が挙げられる。
アルケニルコハク酸としては、テトラプロペニルコハク酸が挙げられる。
アルケニルコハク酸誘導体としては、アルケニルコハク酸エステル、アルケニルコハク酸ハーフエステル、アルケニルコハク酸アミド、アルケニルコハク酸イミド、アルケニルコハク酸無水物、テトラプロペニルコハク酸無水物、等が挙げられる。
酸性リン酸エステルとしては、式(2)で表される化合物が挙げられる。
式(2)中、R、R、及びRのうち、1つ又は2つが水素原子であり、残りが炭素数1〜30の炭化水素基である。
式(2)中、aは1である。
式(2)中、上記炭素数1〜30の炭化水素基の炭素数としては、3〜24がより好ましく、6〜24が特に好ましい。
また、上記炭素数1〜30の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、及び芳香族炭化水素基のいずれであってもよいが、好ましくは脂肪族炭化水素基である。
上記炭素数1〜30の炭化水素基が脂肪族炭化水素基である場合、かかる脂肪族炭化水素基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。
上記炭素数1〜30の炭化水素基としては、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、又はオレイル基が特に好ましい。
式(2)で表される化合物として、特に好ましくは、
2−エチルヘキシル酸性リン酸エステル(即ち、式(2)において、R、R、及びRのうち、1つ又は2つが水素原子であり、残りが2−エチルヘキシル基であり、aが1である化合物)、
n−オクチル酸性リン酸エステル(即ち、式(2)において、R、R、及びRのうち、1つ又は2つが水素原子であり、残りがn−オクチル基であり、aが1である化合物)、又は
オレイル酸性リン酸エステル(即ち、式(2)において、R、R、及びRのうち、1つ又は2つが水素原子であり、残りがオレイル基であり、aが1である化合物)である。
特定添加剤の含有量は、本発明のグリース組成物の全量に対し、0.5〜5質量%であり、好ましくは1〜4質量%である。
特定添加剤の含有量が0.5質量%より少ないと音響性能への改善効果が十分ではなく、特定添加剤の含有量が5質量%より多くてもそれ以上の効果は期待できない。
また、本発明の効果がより効果的に奏される観点から、基油、式(1)で表されるジウレア化合物、及び特定添加剤の総含有量は、本発明のグリース組成物全量に対し、60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、95質量%以上が特に好ましい。この総含有量は、100質量%であってもよい。
<その他の添加剤>
本発明のグリース組成物は、必要に応じ、上述した特定添加剤以外のその他の添加剤を含有していてもよい。
その他の添加剤としては、亜鉛系、リン系、硫黄系、アミン系、エステル系などの各種摩耗防止剤;2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールなどのアルキルフェノール類、4,4´−メチレンビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)などのビスフェノール類、n−オクタデシル−3−(4´−ヒドロキシ−3´,5´−ジ−t−ブチルフェノール)プロピオネートなどのフェノール系化合物、ナフチルアミン類やジアルキルジフェニルアミン類などの芳香族アミン化合物などの各種酸化防止剤;硫化オレフィン、硫化油脂等の極圧剤;ベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾール等の各種腐食防止剤;スルホン酸金属塩系、ソルビタン化合物などの各種防錆剤;等が挙げられる。
その他の添加剤は1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができ、その含有量は適宜選定すればよい。例えば酸化防止剤であれば、その含有量は、グリース組成物全量に対し、0.5〜5質量%が好ましく、1〜4質量%が特に好ましい。
<混和ちょう度>
本発明のグリース組成物の混和ちょう度には特に制限はないが、混和ちょう度としては、130〜310が好ましく、220〜295がより好ましい。
混和ちょう度を上記数値範囲内とすることでジウレア化合物の含有量が適切となり、結果として音響特性を向上させることができるため好ましい。
なお、この混和ちょう度は、JIS K 2220:2013ちょう度試験方法に基づいて測定した値である。
<アンデロン値>
本発明のグリース組成物の音響性能は、例えば、アンデロン値によって評価することができる。アンデロン値が低いほど、音響性能に優れている。アンデロン値の測定方法の一例については、〔実施例〕において後述する。
アンデロン値は、音響性能の観点から、1.0未満が好ましく、0.9以下がより好ましく、0.8以下が特に好ましい。
アンデロン値の下限には特に制限はないが、下限として、例えば0.6が挙げられる。
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。
〔実施例1〜10、比較例1〜7〕
<グリース組成物の調製>
以下に示す、基油(*1〜*3)、増ちょう剤(*4〜*8)、及び特定添加剤(*9〜*14)を、表1又は表2に示す配合量(質量部)にて含有するグリース組成物を調製した。
詳細には、まず、増ちょう剤の原料を基油中で反応させることにより、基油中で増ちょう剤を製造した(詳細は、後述する各製造手順を参照)。得られた増ちょう剤と基油との混合物に対し、特定添加剤を加えた。得られた混合物に対し、ミル処理を行って増ちょう剤を均一に分散させ、表1又は表2に示す組成のグリース組成物を得た。
(基油)
*1:コンプレックスエステル(炭素数5〜12の脂肪族モノカルボン酸の混合物と、アジピン酸と、ペンタエリスリトールと、から形成されるコンプレックス型ポリオールエステル。40℃動粘度:100mm/s)
*2:精製鉱油(水素化精製鉱油。40℃動粘度:99mm/s)
*3:ポリアルファオレフィン(40℃動粘度:48mm/s)
(増ちょう剤(ジウレア化合物))
*4〜*7:ジウレアA〜D(式(1)において、R及びRが、それぞれ、無置換シクロヘキシル基又はオクタデシル基であり、Rが、下記式(R21)で表される基(*は、結合位置を表す。)であり、下記の比〔シクロヘキシル基/(シクロヘキシル基+アルキル基)〕(モル%)が、表1又は表2に示す値であるジウレア化合物。)
比〔シクロへキシル基/(シクロへキシル基+アルキル基)〕(モル%)=((無置換シクロヘキシル基のモル数+炭素数7〜12のアルキルシクロヘキシル基のモル数)/(無置換シクロヘキシル基のモル数+炭素数7〜12のアルキルシクロヘキシル基のモル数+炭素数6〜20の直鎖アルキル基のモル数+炭素数6〜20の分岐アルキル基のモル数))×100
−ジウレアA〜Dの製造手順−
ジウレア化合物の原料として、ジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート、シクロへキシルアミン、及びオクタデシルアミンを用い、これらの原料を基油中で反応させることにより、基油中でジウレア化合物(ジウレアA〜D)を製造した。
詳細には、耐熱容器に基油及びジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネートを張り込み、約90℃まで加熱攪拌した。ここに、基油とシクロヘキシルアミンとオクタデシルアミンとを混合した溶液を加え、約90℃で約60分間反応させた。得られた反応液を攪拌しながら160℃に加熱した後、60℃まで冷却し、ジウレア化合物(ジウレアA〜D)と基油との混合物を得た。
ここで、シクロヘキシルアミンとオクタデシルアミンとの量比は、比〔シクロヘキシル基/(シクロヘキシル基+アルキル基)〕(モル%)が表1又は表2に示す値となるように調整した。
なお、ジウレアA〜Cは実施例に係るジウレア化合物であり、ジウレアDは、比較用ジウレア化合物である。
*8:ジウレアE(式(1)において、R及びRが、無置換シクロヘキシル基であり、Rが、前述の式(R21)で表される基であり、前述した比〔シクロヘキシル基/(シクロヘキシル基+アルキル基)〕(モル%)が、表2に示す通り100である比較用ジウレア化合物)
−ジウレアE(比較用ジウレア化合物)の製造手順−
ジウレア化合物の原料として、ジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート及びシクロへキシルアミンを用い、これらの原料を基油中で反応させることにより、基油中でジウレアE(比較用ジウレア化合物)を製造した。
詳細には、耐熱容器に基油及びジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネートを張り込み、約90℃まで加熱攪拌した。ここに、基油とシクロヘキシルアミンとを混合した溶液を加え、約60分間反応させた。得られた反応液を攪拌しながら160℃に加熱した後、60℃まで冷却し、ジウレアE(比較用ジウレア化合物)と基油との混合物を得た。
て得た。
(特定添加剤)
*9:アルケニルコハク酸アミド
*10:テトラプロペニルコハク酸
*11:アルケニルコハク酸誘導体(アルケニルコハク酸、アルケニルコハク酸ハーフエステル、及びアルケニルコハク酸エステルの混合物)
*12:酸性リン酸エステルA(n−オクチル酸性リン酸エステル(モノ体:ジ体=50:50)。ここで、モノ体は、式(2)において、R〜Rのうちの1つがn−オクチル基であって残りの2つが水素原子であり、aが1である化合物である。ジ体は、式(2)において、R〜Rのうちの2つがn−オクチル基であって残りの1つが水素原子であり、aが1である化合物である。)
*13:酸性リン酸エステルB(2−エチルヘキシル酸性リン酸エステル。モノ体:ジ体=50:50。ここで、モノ体は、式(2)において、R〜Rのうちの1つが2−エチルヘキシル基であって残りの2つが水素原子であり、aが1である化合物である。ジ体は、式(2)において、R〜Rのうちの2つが2−エチルヘキシル基であって残りの1つが水素原子であり、aが1である化合物である。)
*14:酸性リン酸エステルC(オレイル酸性リン酸エステル。モノ体:ジ体=50:50。ここで、モノ体は、式(2)において、R〜Rのうちの1つがオレイル基であって残りの2つが水素原子であり、aが1である化合物である。ジ体は、式(2)において、R〜Rのうちの2つがオレイル基であって残りの1つが水素原子であり、aが1である化合物である。)
<測定方法>
各グリース組成物について、それぞれ、混和ちょう度の測定、及び、アンデロン値の測定(音響性能の評価)を行った。
結果を表1及び表2に示す。
(1)混和ちょう度の測定
JIS K 2220ちょう度試験方法に基づき、各グリース組成物の混和ちょう度を測定した。
(2)アンデロン値の測定(音響性能の評価)
軸受の初期音響性能を評価するのに一般的なアンデロンメータを用いて、各グリース組成物のアンデロン値を測定することにより、各グリース組成物の音響性能を評価した。アンデロンメータは、ベアリングの外輪を固定し、内輪を一定の速度で回転させたときに内部から外部に伝達される半径方向の振動成分を取り出し、スピーカーより音として出す装置である。
具体的には、アンデロンメータの軸受としてJIS呼び番号608のベアリングを用い、グリース組成物を0.3g充填し、回転数1800rpm、スラスト荷重2kgfで正転および逆転をそれぞれ5分間回転させたときのハイバンドのアンデロン値を測定した。
アンデロン値が低いほど、音響性能に優れている。

表1及び表2に示すように、基油と、式(1)で表されるジウレア化合物(即ち、比〔シクロへキシル基/(シクロへキシル基+アルキル基)〕が30〜80モル%であるジウレア化合物)である増ちょう剤と、含有量がグリース組成物全量に対して0.5〜5.0質量%である特定添加剤と、を含有する実施例1〜10のグリース組成物は、比較例1〜7と比較してアンデロン値が低く、音響性能に優れていた。
一方、特定添加剤を含有しない比較例1〜5のグリース組成物、比〔シクロへキシル基/(シクロへキシル基+アルキル基)〕が30モル%未満であるジウレアDを含有する比較例6のグリース組成物、及び、比〔シクロへキシル基/(シクロへキシル基+アルキル基)〕が80モル%超であるジウレアEを含有する比較例7のグリース組成物は、いずれもアンデロン値が高く、音響性能に劣っていた。
本発明のウレアグリース組成物は、情報機器やエアコン等の家電製品、各種産業機械、自動車等に好適に使用することができ、特に小型の家電製品等のベアリング用グリースとして適している。

Claims (1)

  1. 基油と、
    式(1)で表されるジウレア化合物である増ちょう剤と、
    コハク酸誘導体、アルケニルコハク酸、アルケニルコハク酸誘導体、及び酸性リン酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、総含有量がグリース組成物全量に対して0.5〜5.0質量%である添加剤と、
    を含有するグリース組成物。

    〔式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、無置換シクロヘキシル基、炭素数7〜12のアルキルシクロヘキシル基、炭素数6〜20の直鎖アルキル基、又は炭素数6〜20の分岐アルキル基を表し、かつ、無置換シクロヘキシル基、炭素数7〜12のアルキルシクロヘキシル基、炭素数6〜20の直鎖アルキル基、及び炭素数6〜20の分岐アルキル基の総モル数に対する無置換シクロヘキシル基及び炭素数7〜12のアルキルシクロヘキシル基の総モル数の割合が、30〜80モル%である。
    式(1)中、Rは、炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表す。〕
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