JP6940454B2 - 転がり軸受用グリース組成物 - Google Patents

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Description

本発明は転がり軸受用グリース組成物に関するものである。
近年、自動車、家電機器、産業機械へのモータ需要の拡大に伴い、各種機械部品は、小型化、長寿命化及びメンテナンスフリー化が進められている。
モータの回転部分を支持する軸受に使用されるグリースは、高温、高速、高荷重等の過酷な条件下においても劣化しにくい程度の、耐摩耗性及びグリースの軟化抑制(せん断安定性)が求められている。また、上記グリースは、低温から高温までの温度範囲において使用できるために、耐低温性及び耐熱性が求められている。さらに、上記グリースは、機械装置が円滑に始動できるために、低トルク化が望まれている。
一般的に、グリースに対して耐摩耗性能を付与する場合、極圧剤としてジチオリン酸亜鉛化合物等の硫黄−リン系極圧剤を用いることが有効であることが知られている。
例えば、防食性に優れた極圧型ウレアグリース組成物として、潤滑油とウレア系増ちょう剤から成るグリースに、特定のジチオリン酸亜鉛化合物から成る極圧添加剤(A)と、1種または2種以上の組み合わせよりなる硫黄−リン系極圧添加剤(B)が、必須成分として含まれ、かつ、(A)成分の含有量が0.5〜5.0重量%、(B)の成分の含有量が0.3〜3.0重量%であり、(A)と(B)との混合比(A)/(B)が1.5以上であることを特徴とする極圧型ウレアグリースが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、良好なちょう度収率を有し、摩耗特性の優れたウレアグリース組成物として、特定の増ちょう剤を鉱油または合成油もしくはそれらの混合油に対して2〜30重量%含有せしめたことを特徴とするウレアグリース組成物が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、耐熱性や長寿命、耐荷重性により優れる転がり軸受として、内輪と外輪との間に保持器を介して複数の転動体を転動自在に保持してなり、かつ、リン−硫黄系極圧剤及びリン系極圧剤の少なくとも一種を、それぞれ単独でグリース全量の0.1〜5質量%、合計でグリース全量の10質量%以下の量含有するグリース組成物が充填されていることを特徴とする転がり軸受が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
特開平01−297498号公報 特開2009−293042号公報 特開2008−144808号公報
しかし、特許文献1及び特許文献2に記載の特定のジチオリン酸亜鉛化合物からなる極圧添加剤を含むグリースは、グリースのちょう度収率(グリースが硬くなる度合い)の低下、または、グリースのせん断安定性の低下を引き起こすことがある。特に、グリースのせん断安定性が低下すると、機械部品から軟化したグリースが漏洩する可能性がある。
また、極圧剤として、ジチオリン酸亜鉛化合物と酸性リン酸エステルとを併用した、特許文献3に記載のグリース組成物では、十分なせん断安定性が得られない可能性がある。
ちょう度収率が劣っているグリースを目的のちょう度に調整する方法、または、軟化しやすいグリースのせん断安定性を向上する方法としては、グリース中に含まれる増ちょう剤を増加させる方法が知られている。しかしこの方法では、グリース中の固体成分である増ちょう剤が増加することにより、グリースのトルク性能を低下させてしまうことがある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、ちょう度収率を低下させずに低トルク性能を維持し、耐摩耗性及びせん断安定性に優れた転がり軸受用グリース組成物の提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討した結果、基油に、増ちょう剤として特定のジウレア化合物と、特定のリン系極圧剤と、特定の塩基価を有する塩基性金属清浄剤と、を添加することにより、優れた低トルク性能を維持し、かつ、耐摩耗性及びせん断安定性に優れた転がり軸受用グリース組成物が得られることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成したものである。
上記課題を解決するための手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1> 下記式(1)で表されるジウレア化合物である増ちょう剤と、下記式(2)で表されるリン系極圧剤と、塩基価が100mgKOH/g以上である塩基性金属清浄剤と、を含む転がり軸受用グリース組成物である。
Figure 0006940454
式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、無置換のシクロヘキシル基、総炭素数7〜12のアルキル置換シクロヘキシル基、直鎖状の炭素数6〜20のアルキル基、又は分岐状の炭素数6〜20のアルキル基を表し、Rは、炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表す。
Figure 0006940454
式(2)中、R、R、及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜30の炭化水素基を表し、aは0又は1を表す。
<2> 前記式(2)中、R、R、及びRは、それぞれ独立に、総炭素数3〜24の脂肪族炭化水素基又は総炭素数6〜24の芳香族炭化水素基である、<1>に記載の転がり軸受用グリース組成物。
<3> 前記塩基価は400mgKOH/g以下である<1>又は<2>に記載の転がり軸受用グリース組成物。
<4> 前記塩基性金属清浄剤は、アルカリ土類金属スルフォネート、アルカリ土類金属フェネート、及びアルカリ土類金属サリシレートからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む<1>〜<3>のいずれか1つに記載の転がり軸受用グリース組成物。
<5> 前記塩基性金属清浄剤の含有量は、グリース組成物の全質量に対し、0.5質量%〜10質量%である<1>〜<4>のいずれか1つに記載の転がり軸受用グリース組成物。
本発明によれば、ちょう度収率を低下させずに低トルク性能を維持し、耐摩耗性及びせん断安定性に優れた転がり軸受用グリース組成物が提供される。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
なお、本明細書中、数値範囲を現す「〜」は、その上限及び下限としてそれぞれ記載されている数値を含む範囲を表す。また、「〜」で表される数値範囲において上限値のみ単位が記載されている場合は、下限値も同じ単位であることを意味する。
本明細書において組成物中の各成分の含有率又は含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
<転がり軸受用グリース組成物>
本発明の転がり軸受用グリース組成物(以下、単に「グリース組成物」ともいう。)は、基油と、下記式(1)で表されるジウレア化合物(以下、「特定ジウレア化合物」ともいう。)である増ちょう剤と、下記式(2)で表されるリン系極圧剤(以下、「特定リン系極圧剤」ともいう。)と、塩基価が100mgKOH/g以上である塩基性金属清浄剤と、を含む。
Figure 0006940454
式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、無置換のシクロヘキシル基、総炭素数7〜12のアルキル置換シクロヘキシル基、直鎖状の炭素数6〜20のアルキル基、又は分岐状の炭素数6〜20のアルキル基を表し、Rは、炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表す。
Figure 0006940454
式(2)中、R、R、及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜30の炭化水素基を表し、aは0又は1を表す。
グリース組成物は、上記成分に加え、他の成分を含んでいてもよい。
本発明のグリース組成物は、基油と、増ちょう剤として特定ジウレア化合物と、特定リン系極圧剤と、特定の塩基価を有する塩基性金属清浄剤と、を含むことにより、ちょう度収率を低下させずに低トルク性能を維持することが可能であり、かつ、優れた耐摩耗性及びせん断安定性を発揮することが可能となる。
この理由は、明らかではないが、以下のように推測される。
一般に、低温から高温までの温度領域における耐摩耗性能をグリースに付与する場合、ウレア系増ちょう剤と、極圧剤としてジチオリン酸亜鉛化合物(ZnDTP)などの硫黄−リン系極圧剤と、を添加することが知られている。しかし、硫黄−リン系極圧剤を用いた場合、グリースのちょう度の低下及びせん断安定性の低下が生じやすい傾向があり、ちょう度収率が劣っているグリースに対して、例えば、グリース中の増ちょう剤を増量することで、目的のちょう度に調整することが可能であるが、トルク性能を低下させる傾向がある。
本発明のグリース組成物は、金属清浄剤の中でも塩基価が100mgKOH/g以上である塩基性金属清浄剤を含んでいる。この塩基性金属清浄剤では、塩基価を調整するために、炭酸カルシウム等が多く含まれている。本発明のグリース組成物における増ちょう剤は特定ジウレア化合物である。一方、塩基性金属清浄剤中に含まれる炭酸カルシウム等は、増ちょう剤と同様の作用を示す傾向があるため、本発明のグリース組成物は、ちょう度収率を低下させずに低トルク性能を維持しつつ、せん断安定性が向上されるものと推察される。
本発明のグリース組成物は、他の極圧剤に比べ極性が低い特定リン系極圧剤を含んでいるため他の添加剤への相互作用が小さい。すなわち、本発明のグリース組成物では、他の添加剤の効果を阻害することなく、耐摩耗性が向上されるものと推察される。
以上より、本発明のグリース組成物は、ちょう度収率を低下させずに、低トルク性能を維持することが可能となり、かつ、耐摩耗性及びせん断安定性に優れると推察される。
以下、グリース組成物が含有する各成分について説明する。
<基油>
本発明のグリース組成物は、基油を含む。基油としては、特に限定されず、例えば、鉱油、合成油、又はこれらの混合油であってもよい。
基油は、1種を単独であってもよく、又は2種以上を組み合わせて含んでもいてもよい。
合成油としては、アルキルジフェニルエーテル等のエーテル系合成油、ジエステル、ポリオールエステル、コンプレックス型ポリオールエステル等のエステル系合成油、ポリアルファオレフィン等の合成炭化水素油、アルキルナフタレン系合成油などが挙げられる。
鉱油としては、例えば、原油の潤滑油留分を溶剤精製、水素化精製、水素化分解精製、水素化脱蝋などの精製法を適宜組合せて精製したものが挙げられる。加えて、水素化精製油、触媒異性化油などに溶剤脱蝋又は水素化脱蝋などの処理を施した高度に精製されたパラフィン系鉱油等が挙げられる。
ちょう度収率を低下させずに低トルク性能を維持し、かつ、優れた耐摩耗性及びせん断安定性を発揮する観点から、基油としては、合成油及び鉱油の少なくとも一方を含むことが好ましい。基油は、合成油としてポリアルファオレフィン、エーテル系合成油及びエステル系合成油より選ばれる少なくとも1種と、鉱油と、を含んでいてもよい。
潤滑性及び耐熱性の観点から、本発明のグリース組成物における基油の含有量としては、グリース組成物の全質量に対して、60質量%〜97質量%が好ましく、75質量%〜95質量%であることがより好ましい。
本発明のグリース組成物に含まれる基油が、合成油及び鉱油の両方を含む場合、合成油及び鉱油の含有割合(合成油:鉱油)としては、質量比で70:30〜50:50の範囲であることが好ましく、60:40〜50:50の範囲であることがより好ましい。
基油の40℃動粘度としては、特に制限はなく、20mm/s〜200mm/sであることが好ましく、20mm/s〜150mm/sであることがより好ましい。所望のちょう度のグリースが得られる観点から、基油の40℃動粘度としては、20mm/s〜120mm/sであることが更に好ましい。
本明細書において、基油の40℃動粘度とは、JIS K 2283(2000)「動粘度試験方法」により測定される値を示す。
<増ちょう剤>
本発明のグリース組成物は、増ちょう剤として、下記式(1)で表されるジウレア化合物(特定ジウレア化合物)を含む。グリース組成物が特定ジウレア化合物を含むと、耐熱性に優れる傾向がある。
本発明のグリース組成物に含まれる増ちょう剤は、特定ジウレア化合物を、1種を単独であってもよく、又は2種以上を組み合わせて含んでもいてもよい。
Figure 0006940454
式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、無置換のシクロヘキシル基、総炭素数7〜12のアルキル置換シクロヘキシル基、直鎖状の炭素数6〜20のアルキル基、又は分岐状の炭素数6〜20のアルキル基を表し、Rは、炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表す。ここで、「総炭素数」とは、R及びRが炭素原子を含む置換基を有する基である場合、置換基の炭素数を含めた炭素数の総数を意味する。
総炭素数7〜12のアルキル置換シクロヘキシル基としては、炭素数1〜6のアルキル基を有するシクロへキシル基が挙げられる。
上記炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の直鎖状または分岐状のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状のアルキル基などが挙げられる。
これらの中でも、耐熱性の観点から、総炭素数7〜12のアルキル置換シクロヘキシル基としては、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜6のアルキル基を有するシクロヘキシル基であることが好ましく、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜4のアルキル基を有するシクロヘキシル基であることがより好ましい。
直鎖状の炭素数6〜20のアルキル基としては、n−ヘキシル基、n−ノニル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基等が挙げられる。
これらの中でも、耐熱性の観点から、直鎖状の炭素数6〜20のアルキル基としては、直鎖状の炭素数6〜18のアルキル基であることが好ましく、直鎖状の炭素数12〜18のアルキル基であることがより好ましい。
分岐状の炭素数6〜20のアルキル基としては、イソヘキシル基、3−メチルペンチル基、エチルブチル基、2−メチルヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−メチルヘプチル基、メチルオクチル基、エチルヘプチル基等が挙げられる。
これらの中でも、耐熱性の観点から、分岐状の炭素数6〜20のアルキル基としては、分岐状の炭素数6〜18のアルキル基であることが好ましく、分岐状の炭素数12〜18のアルキル基であることがより好ましい。
耐熱性の観点から、R及びRとしては、それぞれ独立に、直鎖状の炭素数12〜20のアルキル基又は無置換のシクロへキシル基であることが好ましく、n−オクタデシル基又は無置換のシクロへキシル基であることがより好ましい。
式(1)中、Rは、炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表す。
で表される2価の炭化水素基としては、脂環式構造を含んでいてもよいアルキレン基、アリーレン基、アルキレンアリーレン基、アリーレンアルキレンアリーレン基、アルキレンアリーレンアルキレン基等が挙げられる。
式(1)中、Rで表される2価の炭化水素基の炭素数は、1〜30であり、耐熱性を向上させる観点から、2〜30であることが好ましく、6〜30であることがより好ましく、6〜25であることが更に好ましく、6〜20であることが特に好ましい。
耐熱性をより向上させる観点から、Rで表される2価の炭化水素基としては、炭素数6〜30のアルキレン基、炭素数6〜30のアリーレン基、炭素数7〜30のアルキレンアリーレン基、炭素数8〜30のアルキレンアリーレンアルキレン基、又は、炭素数13〜30のアリーレンアルキレンアリーレン基が好ましく、ヘキシレン基、デシレン基、オクタデシレン基、フェニレン基、トリレン基、又は下記R21で表される基であることがより好ましく、下記R21で表される基であることが更に好ましい。
Figure 0006940454
21中、*は、結合位置を表す。
耐熱性がより向上する観点から、特定ジウレア化合物としては、式(1)中、R及びRが、それぞれ独立に、無置換のシクロヘキシル基、総炭素数7〜12のアルキル置換シクロヘキシル基、直鎖状の炭素数6〜20のアルキル基、分岐状の炭素数6〜20のアルキル基であり、かつ、RがR21で表される基であることが好ましく、R及びRが、それぞれ独立に、直鎖状の炭素数12〜18のアルキル基又は無置換のシクロへキシル基であり、かつ、Rが、R21で表される基であることがより好ましく、R及びRが、それぞれ独立に、n−オクタデシル基又は無置換のシクロへキシル基であり、かつ、Rが、R21で表される基であることが更に好ましい。
本発明のグリース組成物に含まれる式(1)で表されるジウレア化合物において、R及びRが、それぞれ独立に、無置換のシクロヘキシル基、総炭素数7〜12のアルキル置換シクロヘキシル基、直鎖状の炭素数6〜20のアルキル基、又は分岐状の炭素数6〜20のアルキル基である場合、無置換のシクロヘキシル基、総炭素数7〜12のアルキル置換シクロヘキシル基、直鎖状の炭素数6〜20のアルキル基、又は分岐状の炭素数6〜20のアルキル基の総モル数に対する、無置換のシクロヘキシル基及び総炭素数7〜12のアルキル置換シクロヘキシル基の総モル数の割合(以下、「〔シクロへキシル基/(シクロへキシル基+アルキル基)(モル%)」ともいう。〕は、30モル%〜100モル%であることが好ましく、30モル%〜70モル%であることがより好ましい。
本発明のグリース組成物に含まれる増ちょう剤は、式(1)中のR及びRの少なくとも一方がシクロへキシル基であり、他方が直鎖状又は分岐状の炭素数12〜18のアルキル基(好ましくはn−オクタデシル基)であり、RがR21で表される基である特定ジウレア化合物(I)、式(1)中のR及びRの両方が無置換のシクロへキシル基であり、RがR21で表される基である特定ジウレア化合物(II)、並びに、式(1)中のR及びRの両方が直鎖状又は分岐状の炭素数12〜18のアルキル基(好ましくはn−オクタデシル基)であり、RがR21で表される基である特定ジウレア化合物(III)のいずれであってもよく、特定ジウレア化合物(I)〜(III)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、特定ジウレア化合物の混合物であってもよい。
特定ジウレア化合物の製造方法は、特に制限されず、通常用いられるジウレア化合物の製造方法から適宜選択することができる。
特定ジウレア化合物は、例えば、ジイソシアネート、シクロヘキシルアミン及びアルキルアミンを原料として用いて、これらの化合物を(好ましくは基油中で)反応させることによって製造することができる。
ジイソシアネートとしては、例えば、上記式(1)中のRで表される炭素数1〜30の2価の炭化水素基と2つのイソシアネート基(−N=C=O基)とが結合した構造の化合物が挙げられる。
ジイソシアネートの具体例としては、へキシレンジイソシアネート、デシレンジイソシアネート、オクタデシレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等が挙げられる。
アルキルアミンとしては、上記式(1)中のR及びRで表される無置換のシクロヘキシル基、総炭素数7〜12のアルキル置換シクロヘキシル基、直鎖状の炭素数6〜20のアルキル基、若しくは分岐状の炭素数6〜20のアルキル基とアミノ基(−NH)とが結合した構造を有する化合物が挙げられる。
具体例としては、直鎖状の炭素数6〜20のアルキル基とアミノ基とが結合した構造を有するアルキルアミン(好ましくはオクタデシルアミン)、分岐状の炭素数6〜20のアルキル基とアミノ基とが結合した構造を有するアルキルアミン、無置換のシクロヘキシル基とアミノ基とが結合した構造を有するシクロヘキシルアミン、及び、総炭素数7〜12のアルキル置換シクロヘキシル基とアミノ基とが結合した構造を有するアルキルシクロへキシルアミンが挙げられる。
本発明のグリース組成物における特定ジウレア化合物の含有量は、目的とする混和ちょう度に合わせて適宜調整することができる。
せん断安定性の観点から、特定ジウレア化合物の含有量としては、グリース組成物の全質量に対して、5質量%〜25質量%であることが好ましい。ジウレア化合物の含有量が、5質量%以上であると、グリースに対して適度なちょう度を付与することが可能となる。ジウレア化合物の含有量が25質量%以下であると、グリースのちょう度の上昇を抑制する傾向があり、せん断安定性を維持することが可能である。
上記観点から、ジウレア化合物の含有量としては、グリース組成物の全質量に対して、5質量%〜15質量%であることがより好ましく、5質量%〜13質量%であることが更に好ましい。
<リン系極圧剤>
本発明のグリース組成物は、式(2)で表されるリン系極圧剤(特定リン系極圧剤)を含む。
一般的に、極性が低いリン系極圧剤は、他の添加剤への相互作用が小さく、すなわち、他の添加剤の効果を阻害することなく、耐摩耗性を向上させる傾向がある。
Figure 0006940454
式(2)中、R、R、及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜30の炭化水素基を表し、aは0又は1を表す。
炭素数1〜30の炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、及び芳香族炭化水素基が挙げられる。脂肪族炭化水素基は、飽和又は不飽和のいずれであってもよく、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。脂環族炭化水素基は、飽和又は不飽和のいずれであってもよい。また、芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。
脂肪族炭化水素基としては、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、アリール基、ビニル基等が挙げられる。
脂環族炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基及びジメチルフェニル基、エチルフェニル基、ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基等のアルキル置換アリール基などが挙げられる。
、R、及びRで表される炭化水素基の炭素数は、それぞれ独立に、1〜30であり、耐摩耗性の観点から、3〜24が好ましく、6〜24がより好ましい。
耐摩耗性の観点から、炭素数1〜30の炭化水素基としては、総炭素数3〜24の脂肪族炭化水素基及び総炭素数6〜24の芳香族炭化水素基の少なくとも一方であることが好ましく、炭素数6〜24の無置換アリール基及び総炭素数7〜24のアルキル置換アリール基の少なくとも一方であることがより好ましく、フェニル基及びトリル基の少なくとも一方であることが更に好ましい。
ここで、「総炭素数」とは、R、R、及びRが炭素原子を含む置換基を有する基である場合、置換基の炭素数を含めた炭素数の総数を意味する。
また、耐摩耗性の観点から、aは、1であることが好ましい。
特定リン系極圧剤の具体例としては、ベンジルジフェニルリン酸エステル、アリルジフェニルリン酸エステル、トリフェニルリン酸エステル、トリクレジルリン酸エステル、トリブチルリン酸エステル、クレジルジフェニルリン酸エステル、ジクレジルフェニルリン酸エステル、エチルフェニルジフェニルリン酸エステル、ジエチルフェニルフェニルリン酸エステル、プロピルフェニルジフェニルリン酸エステル、ジプロピルフェニルフェニルリン酸エステル、トリエチルフェニルリン酸エステル、トリプロピルフェニルリン酸エステル等のリン酸トリエステル類が挙げられる。
他の添加剤への阻害することなく、かつ、耐摩耗性を向上させる観点から、特定リン系極圧剤としては、トリクレジルリン酸エステル及びトリフェニルリン酸エステルの少なくとも一方を含むことが好ましく、トリクレジルリン酸エステルを含むことがより好ましい。
特定リン系極圧剤の含有量は、グリース組成物の全質量に対し、0.5質量%〜10質量%が好ましい。特定リン系極圧剤の含有量が0.5質量%以上であると、耐摩耗性への改善効果を十分に発揮することが可能となる。また、特定リン系極圧剤の含有量が10質量%以下であると、良好なせん断安定性を維持する傾向がある。
上記観点から、特定リン系極圧剤の含有量としては、1.0質量%〜8.0質量%であることがより好ましく、1.0質量%〜6.0質量%であることが更に好ましい。
<塩基性金属清浄剤>
本発明のグリース組成物は、塩基価が100mgKOH/g以上である塩基性金属清浄剤(以下、「特定塩基性金属清浄剤」ともいう。)を含む。
金属清浄剤の中でも塩基価が100mgKOH/g以上である特定塩基性金属清浄剤では、塩基価を調整するために、炭酸カルシウム等が多く含まれている。本発明のグリース組成物における増ちょう剤は特定ジウレア化合物であるが、特定塩基性金属清浄剤中に含まれる炭酸カルシウム等は、増ちょう剤と同様の作用を示す傾向がある。そのため、本発明のグリース組成物は、ちょう度収率を低下させずに低トルク性能を維持しつつ、せん断安定性を向上すると推察される。
本明細書において、塩基価とは、JIS K 2501(2003)によって規定された過塩素酸法による塩基価を意味する。なお、塩基価とは、試料1g中に含まれる全塩基性成分を中和するのに要する塩酸または過塩素酸と当量の水酸化カリウムのミリグラム(mg)数である。
本発明のグリース組成物に含まれる特定塩基性金属清浄剤としては、金属清浄剤の塩基価が100mgKOH/g以上であれば、特に制限はなく、アルカリ金属スルフォネート、アルカリ金属フェネート、アルカリ金属サリシレート、アルカリ金属フォスフォネート、アルカリ金属カルボキシレート、アルカリ土類金属スルフォネート、アルカリ土類金属フェネート、アルカリ土類金属サリシレート、アルカリ土類金属フォスフォネート、アルカリ土類金属カルボキシレート等が挙げられる。
特定塩基性金属清浄剤は、1種を単独であってもよく又は2種以上を組み合わせて含んでいてもよい。
これらの中でも、せん断安定性に優れる観点から、特定塩基性金属清浄剤としては、アルカリ土類金属スルフォネート、アルカリ土類金属フェネート、及びアルカリ土類金属サリシレートからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、アルカリ土類金属スルフォネート及びアルカリ土類金属サリシレートの少なくとも一方を含むことがより好ましく、アルカリ土類金属サリシレートを含むことが更に好ましい。
アルカリ土類金属スルフォネート、アルカリ土類金属フェネート及びアルカリ土類金属サリシレートは、炭酸ガスの存在下で中性アルカリ土類金属スルフォネート、中性アルカリ土類金属フェネート又は中性アルカリ土類金属サリシレートを、アルカリ土類金属の炭酸塩又はホウ酸塩と反応させることにより得られる過塩基性アルカリ土類金属スルフォネート、過塩基性アルカリ土類金属フェネート及び過塩基性アルカリ土類金属サリシレートであってもよい。
アルカリ土類金属としては、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)等が挙げられ、せん断安定性がより向上する観点から、カルシウムであることが好ましい。
アルカリ土類金属スルフォネートとしては、Caスルフォネート、Caアルキルベンゼンスルフォネート、Baアルキルベンゼンスルフォネート、Mgアルキルベンゼンスルフォネート、Caアルキルナフタレンスルフォネート等が挙げられる。
アルカリ土類金属フェネートとしては、Caフェネート、Baフェネート等が挙げられる。
アルカリ土類金属サリシレートとしては、Caサリシレート等が挙げられる。
これらの中でも、せん断安定性の観点から、特定塩基性金属清浄剤としては、Caサリシレート、Caスルフォネート及びCaフェネートからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、Caサリシレート及びCaスルフォネートの少なくとも一方を含むことがより好ましく、Caサリシレートを含むことが更に好ましい。
特定塩基性金属清浄剤の塩基価は、100mgKOH/g以上である。特定塩基性金属清浄剤の塩基価が、100mgKOH/g未満であると、適度なちょう度が得られにくく、せん断安定性の効果が十分に発揮されない傾向がある。
特定塩基性金属清浄剤の塩基価は、600mgKOH/g以下であることが好ましい。特定塩基性金属清浄剤の塩基価が600mgKOH/g以下であると、せん断安定性及び耐摩耗性の両立が可能となる。
上記観点から、特定塩基性金属清浄剤の塩基価としては、100mgKOH/g〜600mgKOH/gであることが好ましく、100mgKOH/g〜500mgKOH/gであることがより好ましく、120mgKOH/g〜400mgKOH/gであることが更に好ましい。
本発明のグリース組成物に含まれる特定塩基性金属清浄剤の含有量は、グリース組成物の全質量に対し、0.5質量%〜10質量%の範囲であることが好ましい。
特定塩基性金属清浄剤の含有量が、0.5質量%以上であると、適度なちょう度が得られやすく、せん断安定性の効果が十分に発揮される傾向がある。また、特定塩基性金属清浄剤の含有量が、10質量%以下であると、せん断安定性及び耐摩耗性の両立が可能となる。上記観点から、特定塩基性金属清浄剤の含有量としては、グリース組成物の全質量に対し、1.0質量%〜6.0質量%の範囲であることがより好ましい。
(4)その他の添加剤
本発明のグリース組成物は、必要に応じて、特定ジウレア化合物、特定リン系極圧剤及び特定塩基性金属清浄剤以外の、酸化防止剤、腐食防止剤、防錆剤、極圧剤等の添加剤を適宜配合してもよい。その他の添加剤は、1種を単独であってもよく又は2種以上を組み合わせて含んでいてもよい。
酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール等のアルキルフェノール類、4,4’−メチレンビス−(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)等のビスフェノール類、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェノール)プロピオネート等のフェノール系化合物、アルキル化フェニルα−ナフチルアミン等のナフチルアミン類、ジアルキルジフェニルアミン類等の芳香族アミン化合物、チオリン酸亜鉛化合物などが挙げられる。
酸化防止剤を添加する場合、添加率としては、グリース組成物の全質量に対し、0.5質量%〜5質量%であることが好ましく、1質量%〜4質量%であることがより好ましい。
腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、チアジアゾール、ベンゾイミダゾール等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、スルホン酸金属塩系化合物、ソルビタン化合物等が挙げられる。
極圧剤としては、例えば、ポリサルファイド、硫化オレフィン、硫化エステル及び硫化油脂等の硫黄系極圧剤が挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。
(実施例1〜13及び比較例1〜5)
実施例及び比較例では、以下に示す*1〜*17の成分を表1及び2に示した配合量(質量部)の割合で含有させてグリース組成物を調製した。
なお、表中の「−」は、当該成分を配合していないことを意味する。
(基油)
*1:精製鉱油A(水素化精製鉱油、40℃動粘度:40mm/s)
*2:ポリアルファオレフィン(40℃動粘度:30mm/s)
*3:精製鉱油B(水素化精製鉱油、40℃動粘度:100mm/s)
*4:ジフェニルエーテル(40℃動粘度:100mm/s)
*5:コンプレックスエステル(ペンタエリスリトール二塩基酸脂肪酸(炭素数8〜24)混合エステル、40℃動粘度:100mm/s)
(増ちょう剤(ジウレア化合物))
−ジウレア化合物Aの製造−
耐熱容器に、基油(実施例1〜5、実施例10〜13及び比較例1〜5では精製鉱油A及びポリアルファオレフィン、実施例6では精製鉱油Bを使用)、並びに、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートを張り込み、約90℃まで加熱攪拌した。ついで、上記基油、シクロヘキシルアミン及びオクタデシルアミンを混合した溶液を加え、さらに、約90℃で約60分間反応させた。得られた反応液を攪拌しながら140℃に加熱した後、60℃まで冷却し、ジウレア化合物と基油との混合物を得た。
*6:ジウレア化合物A(式(1):RNHCONHRNHCONHRにおいて、Rがシクロヘキシル基、Rがオクタデシル基であり、RがR21表される基であり、下記の比〔シクロヘキシル基/(シクロヘキシル基+アルキル基)〕(モル%)が、50モル%であるジウレア化合物。
比〔シクロへキシル基/(シクロへキシル基+アルキル基)〕(モル%)=((無置換シクロヘキシル基のモル数+炭素数7〜12のアルキルシクロヘキシル基のモル数)/(無置換シクロヘキシル基のモル数+炭素数7〜12のアルキルシクロヘキシル基のモル数+炭素数6〜20の直鎖アルキル基のモル数+炭素数6〜20の分岐アルキル基のモル数))×100
*7:ジウレア化合物B(式(1)において、R及びRの両方が、オクチル基)であり、Rが、式(R21)で表される基であり、上記の比〔シクロヘキシル基/(シクロヘキシル基+アルキル基)〕(モル%)が0モル%であるジウレア化合物。
*8:ジウレア化合物C(式(1)において、R及びRの両方が、無置換のシクロヘキシル基であり、Rが、部分構造(R21)で表される基であり、上記の比〔シクロヘキシル基/(シクロヘキシル基+アルキル基)〕(モル%)が100モル%であるジウレア化合物。
<リン系極圧剤>
*9:極圧剤A:トリクレジルリン酸エステル(特定リン系極圧剤)
*10:極圧剤B:トリフェニルリン酸エステル(特定リン系極圧剤)
*11:極圧剤C:酸性リン酸エステルアミン塩
<塩基性金属清浄剤>
*12:清浄剤A:カルシウムサリシレート、塩基価が320mgKOH/g(特定塩基性金属清浄剤)
*13:清浄剤B:カルシウムサリシレート、塩基価が170mgKOH/g(特定塩基性金属清浄剤)
*14:清浄剤C:カルシウムスルホネート、塩基価が300mgKOH/g(特定塩基性金属清浄剤)
*15:清浄剤D:カルシウムフェネート、塩基価が255mgKOH/g(特定塩基性金属清浄剤)
*16:清浄剤E:カルシウムサリシレート、塩基価が60mgKOH/g
なお、本明細書でいう塩基価とは、JIS K 2501(2003)に基づいて測定された過塩素酸法による塩基価である。以下、同様である。
<その他の極圧剤>
*17:ジチオリン酸亜鉛化合物
Figure 0006940454
Figure 0006940454
−グリース組成物の調製−
上記で得られた増ちょう剤と基油との混合物に、表1又は表2に示す配合量(質量部)のリン系極圧剤、及び塩基性金属清浄剤を加えた。ついで、ミル処理を行って、増ちょう剤を均一に分散させ、表1又は表2に示す組成のグリース組成物を得た。
[評価]
(1)混和ちょう度変化(せん断安定性)
グリース組成物のせん断安定性の評価は、以下の方法で行った。
まず、上記で得られたグリース組成物について、ちょう度試験方法(JIS K 2220(2013))に基づき、混和ちょう度を測定した。この値をロール安定度試験前の混和ちょう度とした。ついで、上記で得られたグリース組成物について、ロール安定度試験方法(ASTM D 1831)に準拠し、25℃、毎分165回転の速度にて、15時間せん断をかけた後、混和ちょう度を測定した。この値をロール安定度試験後の混和ちょう度とした。
ロール安定度試験前後の混和ちょう度を用いて、以下の式により混和ちょう度変化を求めた。
混和ちょう度変化=ロール安定度試験後の混和ちょう度−ロール安定度試験前の混和ちょう度
混和ちょう度変化は、数値が低いほど、グリースのせん断安定性に優れることを意味する。
なお、本明細書では混和ちょう度変化の絶対値が、60以下の場合を合格、60を超える場合を不合格とした。結果を表1又は表2に示す。
(2)耐摩耗性
グリース組成物の耐摩耗性は、以下の方法で評価を行った。
シェル高速四球試験方法(ASTM D 2266−01)に基づき、荷重40kgf(392N)、グリース温度75℃、毎分1200回転で、1時間摩耗試験を行い、試験後の摩耗痕径を測定した。
摩耗痕径が小さいほど耐摩耗性能が優れることを意味し、摩耗痕径が0.7mm未満の場合を合格、0.7mm以上の場合を不合格とした。結果を表1又は表2に示す。
表1又は表2に示すように、基油と、増ちょう剤として特定ジウレア化合物と、特定リン系極圧剤と、特定の塩基価を有する塩基性金属清浄剤と、を含む実施例1〜13のグリース組成物は、混和ちょう度変化が60以下であり、比較例1〜5のグリース組成物と比較して、混和ちょう度変化が小さく、せん断安定性に優れていた。また、摩耗痕径が0.7mm未満であり、耐摩耗性も良好であった。
これに対して、表2に示すように、特定リン系極圧剤と、特定塩基性金属清浄剤とを含まない比較例1、特定リン系極圧剤の代わりにリン−硫黄系極圧剤を添加した比較例3及び、塩基価が100mgKOH/g未満の塩基性金属清浄剤を含む比較例4、酸性リン酸エステルアミン塩を含む比較例5のグリース組成物は、混和ちょう度変化が大きく、せん断安定性に劣っていた。
また、特定リン系極圧剤を含まない比較例2のグリース組成物は、摩耗痕径が0.7mm以上であり、耐摩耗性に劣っていた。
以上より、本発明のグリース組成物は、基油と、増ちょう剤として特定ジウレア化合物と、特定リン系極圧剤と、特定の塩基価を有する塩基性金属清浄剤と、を含むことにより、ちょう度収率を低下させずに低トルク性能を維持し、せん断安定性を向上することが可能となり、かつ、耐摩耗性に優れることが分かる。

Claims (5)

  1. 基油と、
    下記式(1)で表されるジウレア化合物である増ちょう剤と、
    下記式(2)で表されるリン系極圧剤と、
    塩基価が100mgKOH/g以上である塩基性金属清浄剤と、
    を含む転がり軸受用グリース組成物。
    Figure 0006940454

    [式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、無置換のシクロヘキシル基、総炭素数7〜12のアルキル置換シクロヘキシル基、直鎖状の炭素数6〜20のアルキル基、又は分岐状の炭素数6〜20のアルキル基を表し、Rは、炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表す。]
    Figure 0006940454

    [式(2)中、R、R、及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜30の炭化水素基を表し、aは0又は1を表す。]
  2. 前記式(2)中、R、R、及びRは、それぞれ独立に、総炭素数3〜24の脂肪族炭化水素基又は総炭素数6〜24の芳香族炭化水素基である、請求項1に記載の転がり軸受用グリース組成物。
  3. 前記塩基価は400mgKOH/g以下である請求項1又は請求項2に記載の転がり軸受用グリース組成物。
  4. 前記塩基性金属清浄剤は、アルカリ土類金属スルフォネート、アルカリ土類金属フェネート、及びアルカリ土類金属サリシレートからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の転がり軸受用グリース組成物。
  5. 前記塩基性金属清浄剤の含有量は、グリース組成物の全質量に対し、0.5質量%〜10質量%である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の転がり軸受用グリース組成物。
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