JP2022051533A - グリース組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱性に優れたグリース組成物の提供。【解決手段】基油と、増ちょう剤と、グリース組成物の全質量に対して、1.00質量%~6.00質量%のアルキル化フェニル-α-ナフチルアミン、0.30質量%~3.00質量%の亜リン酸エステル、及び、0.30質量%~6.00質量%のアルキル化ジフェニルアミンを含む酸化防止剤と、を含有する、グリース組成物。【選択図】なし

Description

本開示は、グリース組成物に関する。
グリース組成物において耐熱性は重要な特性の一つであり、従来より種々の検討がなされてきた。例えば、熱安定性に優れた基油として、エステル油などの合成油が使用されている。また、リチウム複合石けん系グリースは、耐熱性及び酸化安定性に優れていることが一般的に知られている。さらに、基油の酸化劣化を抑制する観点から、酸化防止剤として、ジチオカルバミン酸塩化物、芳香族アミン系化合物等の各種酸化防止剤を添加することにより、より耐熱性に優れたグリース組成物とすることも検討されている。
特許文献1には、軸受け等の潤滑に使用されるグリース組成物として、ポリオールエステル油とアルキルフェニルエーテル油を80:20~20:80の重量比で配合した基油に(A)ジアルキルジチオカルバミン酸塩系化合物と(B)芳香族アミン系化合物を90:10~10:90の重量比で組合せた混合酸化防止剤を潤滑油組成物全重量の0.2~8重量%添加した潤滑グリース組成物等が記載されている。
特許文献2には、基油と、増ちょう剤としてリチウム複合石けんと、ポリサルファイド、硫化オレフィン、硫化エステル及び硫化油脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の硫黄系極圧剤をグリース組成物の全質量に対して硫黄量換算で0.1質量%~2質量%と、リン酸エステル、酸性リン酸エステル及び酸性リン酸エステルのアミン塩からなる群より選ばれる少なくとも1種のリン系摩耗防止剤をグリース組成物の全質量に対してリン量換算で0.1質量%~1質量%と、を含有するリチウム複合石けん系グリース組成物が記載されている。
特開平9-3468公報 特開2018-30970号公報
近年、モータ等のグリース組成物を使用する機器の高性能化に伴い、グリース組成物の使用環境は過酷化している。特に、近年のモータは、異物混入、騒音発生等を防止する観点から、密閉型へとその構造が推移しており、従来よりも内部に熱がこもりやすい。このため、グリース組成物は、より高温環境下で使用される傾向にあるが、従来のグリース組成物では、未だ耐熱性が不十分であるのが現状である。
本発明の一実施形態は、耐熱性に優れたグリース組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、基油と、増ちょう剤と、3種の特定の酸化防止剤と、を含有するグリース組成物により、耐熱性が向上することを見出し、本開示に係るグリース組成物を完成するに至った。
本開示に係るグリース組成物は、以下の実施態様を含む。
<1> 基油と、増ちょう剤と、グリース組成物の全質量に対して、1.00質量%~6.00質量%のアルキル化フェニル-α-ナフチルアミン、0.30質量%~3.00質量%の亜リン酸エステル、及び、0.30質量%~6.00質量%のアルキル化ジフェニルアミンを含む酸化防止剤と、を含有する、グリース組成物。
<2> 酸化防止剤は、アルキル化フェニル-α-ナフチルアミンの含有量(A)、亜リン酸エステルの含有量(B)、及び、アルキル化ジフェニルアミンの含有量(C)の比率が、質量基準で、A:B:C=1.2~6:1:1.2~5である、<1>に記載のグリース組成物。
<3> 酸化防止剤は、アルキル化フェニル-α-ナフチルアミンの含有量(A)、亜リン酸エステルの含有量(B)、及び、アルキル化ジフェニルアミンの含有量(C)の比率が、質量基準で、A:B:C=1.5~5:1:1.5~3である、<2>に記載のグリース組成物。
<4> さらに、硫黄系極圧剤及びリン系摩耗防止剤から選択される少なくとも1種を含有する、<1>~<3>のいずれか1つ記載のグリース組成物。
<5> 硫黄系極圧剤を含有し、かつ、硫黄系極圧剤の含有量は、グリース組成物の全質量に対して、0.10質量%~7.00質量%である、<4>に記載のグリース組成物。
<6> リン系摩耗防止剤を含有し、かつ、リン系摩耗防止剤の含有量は、グリース組成物の全質量に対して、0.10質量%~5.00質量%である、<4>~<5>のいずれか1つに記載のグリース組成物。
<7> リン系摩耗防止剤を含有し、かつ、リン系摩耗防止剤の含有量は、グリース組成物の全質量に対して、0.50質量%~5.00質量%である、<4>~<5>のいずれか1つに記載のグリース組成物
<8> 増ちょう剤が、リチウム複合石けん及びジウレア化合物から選択される少なくとも1種である、<1>~<7>のいずれか1つに記載のグリース組成物。
<9> 基油が、エーテル系合成油及びエステル系合成油から選択される少なくとも1種の合成油である、<1>~<8>のいずれか1つに記載のグリース組成物。
<10> 基油が、エーテル系合成油及びエステル系合成油から選択される少なくとも1種の合成油であり、増ちょう剤が、リチウム複合石けんである、<9>に記載のグリース組成物。
<11> 基油が、鉱油から選択される少なくとも1種である、<1>~<8>のいずれか1つに記載のグリース組成物。
<12> 基油が、鉱油から選択される少なくとも1種であり、増ちょう剤が、ジウレア化合物である、<11>に記載のグリース組成物。
本発明の一実施形態によれば、耐熱性に優れたグリース組成物を提供することができる。
以下、本開示に係るグリース組成物の具体的な実施形態について詳細に説明する。但し、本開示に係るグリース組成物は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
本開示において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義である。
本開示において、各成分の量は、各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、複数種の物質の合計量を意味する。
本開示において、「JIS」は、日本産業規格(Japanese Industrial Standards)の略称として用いる。
<グリース組成物>
本開示に係るグリース組成物は、基油と、増ちょう剤と、グリース組成物の全質量に対して、1.00質量%~6.00質量%のアルキル化フェニル-α-ナフチルアミン、0.30質量%~3.00質量%の亜リン酸エステル、及び、0.30質量%~6.00質量%のアルキル化ジフェニルアミンを含む酸化防止剤と、を含有する。
以下、アルキル化フェニル-α-ナフチルアミン、亜リン酸エステル、及びアルキル化ジフェニルアミンを、適宜「特定酸化防止剤」と総称する。
本開示に係るグリース組成物は、基油、増ちょう剤、及び、所定量の特定酸化防止を含有することにより優れた耐熱性を有する。
本開示において、グリース組成物が耐熱性を有することは、グリース組成物を「薄膜加熱試験」に供した場合に、下記式から算出される全酸価変化の値が、3.00mgKOH/g以下であることを指標とする。全酸価の測定は、JIS K 2501:2019に準拠する。「薄膜加熱試験」の詳細は、後述する実施例にて説明する。
全酸価変化(mgKOH/g)=加熱後のグリース組成物の全酸価(mgKOH/g)-加熱前のグリース組成物の全酸価(mgKOH/g)
本開示に係るグリース組成物は、基油、増ちょう剤、及び、特定酸化防止剤以外にも他の成分を含むことができる。以下、グリース組成物が含有する各成分について説明する。
(1)基油
本開示に係るグリース組成物は、基油を含有する。基油は、1種のみであってもよいし、2種以上を併用してもよい、
基油としては、特に制限されず、例えば、鉱油、合成油、又はこれらの混合油であってもよい。基油は、グリース組成物の耐熱性及び潤滑長寿命性に優れる観点から、合成油であることが好ましい。また、基油は、グリース組成物の耐熱性及び耐樹脂性に優れる観点から、鉱油であることが好ましい。生産性の観点からは、基油として、鉱油又は合成油の一方を用いることも好ましい。
合成油としては、ポリフェニルエーテル等のエーテル系合成油、ジエステル、ポリオールエステル、コンプレックス型ポリオールエステル等のエステル系合成油、ポリαオレフィン等の合成炭化水素油、アルキルナフタレン系合成油などが挙げられる。これらの合成油の中でも、耐熱性の観点からは、エーテル系合成油及びエステル系合成油が好ましい。
エーテル系合成油としては、アルキルフェニルエーテルが好ましい。
アルキルフェニルエーテルは、好ましくは置換基の炭素数10~22、より好ましくは置換基の炭素数10~16であるアルキルジフェニルエーテル又はアルキルポリフェニルエーテルである。
エステル系合成油としては、ポリオールエステル又はコンプレックス型ポリオールエステルが好ましい。
ポリオールエステルは、ネオペンタンの骨格をもつ多価アルコールと、炭素数5~25のモノ脂肪酸または脂肪族多塩基酸のどちらか一方もしくは混合物から合成されるものが好ましい。
コンプレックス型ポリオールエステルは、炭素数5~25のモノ脂肪酸と脂肪族ジカルボン酸の混合酸と多価アルコールから合成されるものが好ましい。
鉱油としては、例えば、原油の潤滑油留分を、溶剤精製、水素化精製、水素化分解精製、水素化脱蝋などの精製法を適宜組合せて精製したものが挙げられる。また、鉱油としては、水素化精製油、触媒異性化油などに溶剤脱蝋又は水素化脱蝋などの処理を施して高度に精製されたパラフィン系鉱油等が挙げられる。
基油の40℃のおける動粘度(JIS K2283:2019、動粘度試験方法による)は、例えば5mm/s~300mm/sであることが好ましく、15mm/s~200mm/sがより好ましく、20mm/s~180mm/sが更に好ましい。
(2)増ちょう剤
本開示に係るグリース組成物は、増ちょう剤を含有する。
増ちょう剤としては、特に制限されず、グリース組成物の混和ちょう度、滴点等の物性、グリース組成物の使用環境などを考慮して、適宜決定することができる。
増ちょう剤としては、例えば、リチウム石けん、リチウム複合石けん、カルシウム石けん、カルシウム複合石けん、ジウレア化合物等が挙げられる。
これらの中でも、グリース組成物の耐熱性を向上させる観点から、リチウム複合石けん及びジウレア化合物から選択される少なくとも1種が好ましい。
ある実施形態において、本開示における増ちょう剤としては、リチウム複合石けんがより好ましい。増ちょう剤としてリチウム複合石けんを含有することは、本開示に係るグリース組成物が、基油として合成油(好ましくは、エーテル系合成油及びエステル系合成油)を含有する場合において、耐熱性を向上させる観点から好ましい。
また、別の実施形態において、本開示における増ちょう剤としては、ジウレア化合物がより好ましい。増ちょう剤としてジウレア化合物を含有することは、本開示に係るグリース組成物が、基油として鉱油を含有する場合において、耐熱性を向上させる観点から好ましい。
<リチウム複合石けん>
リチウム複合石けんは、高級脂肪酸のリチウム塩とジカルボン酸のリチウム塩とを組み合わせた複合石けんである。
リチウム複合石けんとしては、耐熱性の観点から、炭素数12~24のモノカルボン酸のリチウム塩と、炭素数2~12のジカルボン酸のリチウム塩と、を組み合わせた複合体(コンプレックス)であることが好ましい。
好適なモノカルボン酸としては、ステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。また、好適なジカルボン酸としては、コハク酸、マロン酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等が挙げられる。
<ジウレア化合物>
ジウレア化合物としては、脂肪族ジウレア化合物、脂環式ジウレア化合物、芳香族ジウレア化合物、脂肪族-脂環式ジウレア化合物、脂肪族-芳香族ウレア化合物、脂環式-芳香族ジウレア化合物等が挙げられる。ジウレア化合物としては、特開2018-203999公報の段落[0039]~[0050]等に記載されるジウレア化合物を適用してもよい。具体的には、本開示におけるジウレア化合物としては、下記の式(A)で表されるジウレア化合物であることが好ましい。
Figure 2022051533000001
式(A)中、R21及びR23は、それぞれ独立に、無置換のシクロヘキシル基、総炭素数7~12のアルキル置換シクロヘキシル基、直鎖状の炭素数6~20のアルキル基、又は分岐状の炭素数6~20のアルキル基を表し、R22は、炭素数1~30の2価の炭化水素基を表す。ここで、「総炭素数」とは、R21及びR23が炭素原子を含む置換基を有する基である場合、置換基の炭素数を含めた炭素数の総数を意味する。
式(A)で表されるジウレア化合物としては、R21及びR23が、それぞれ独立に、無置換のシクロヘキシル基、総炭素数7~12のアルキル置換シクロヘキシル基、直鎖状の炭素数6~20のアルキル基、分岐状の炭素数6~20のアルキル基であり、かつ、R22が下記R221で表される基であることが好ましく、R21及びR23が、それぞれ独立に、直鎖状の炭素数12~18のアルキル基又は無置換のシクロへキシル基であり、かつ、R22が、下記R221で表される基であることがより好ましく、R21及びR23が、それぞれ独立に、n-オクタデシル基又は無置換のシクロへキシル基であり、かつ、R22が、下記R221で表される基であることが更に好ましい。
Figure 2022051533000002
221中、*は、結合位置を表す。
式(A)で表されるジウレア化合物において、R21及びR23が、それぞれ独立に、無置換のシクロヘキシル基、総炭素数7~12のアルキル置換シクロヘキシル基、直鎖状の炭素数6~20のアルキル基、又は分岐状の炭素数6~20のアルキル基である場合、無置換のシクロヘキシル基、総炭素数7~12のアルキル置換シクロヘキシル基、直鎖状の炭素数6~20のアルキル基、又は分岐状の炭素数6~20のアルキル基の総モル数に対する、無置換のシクロヘキシル基及び総炭素数7~12のアルキル置換シクロヘキシル基の総モル数の割合(以下、「〔シクロへキシル基/(シクロへキシル基+アルキル基)(モル%)」ともいう。〕は、30モル%~100モル%であることが好ましく、30モル%~70モル%であることがより好ましい。
増ちょう剤は、1種のみであってもよいし、2種以上を併用してもよい。
増ちょう剤の含有量は、目的とする混和ちょう度に合わせて適宜調整できる。
ある実施形態において、増ちょう剤の含有量は、グリース組成物の全質量に対して、3質量%~25質量%が好ましく、3質量%~20質量%がより好ましく、5質量%~20質量%が更に好ましい。
また、別の実施形態において、増ちょう剤として、例えば、リチウム複合石けんを含有する場合であれば、増ちょう剤の含有量は、グリース組成物の全質量に対して、5質量%~25質量%がより好ましく、8質量%~20質量%がより好ましく、10質量%~20質量%が更に好ましい。
(3)酸化防止剤
(特定酸化防止剤)
本開示に係るグリース組成物は、酸化防止剤を含有し、酸化防止剤は、グリース組成物の全質量に対して、1.00質量%~6.00質量%のアルキル化フェニル-α-ナフチルアミン、0.30質量%~3.00質量%の亜リン酸エステル、及び、0.30質量%~6.00質量%のアルキル化ジフェニルアミンを含む。
すなわち、本開示に係るグリース組成物は、アルキル化フェニル-α-ナフチルアミン、亜リン酸エステル、及び、アルキル化ジフェニルアミンからなる3種の酸化防止剤を含むことにより、従来のグリース組成物に比し顕著に優れた耐熱性を発揮する。
<アルキル化フェニル-α-ナフチルアミン>
アルキル化フェニル-α-ナフチルアミンとしては、公知のアルキル化フェニル-α-ナフチルアミンから適宜選択することができる。本開示において、「アルキル化フェニル-α-ナフチルアミン」なる用語は、N-フェニル-α-ナフチルアミンのフェニル基にアルキル基が置換した化合物、及び、N-フェニル-α-ナフチルアミンのナフチル基にアルキル基が置換した化合物の双方を包含するものとする。
好適なアルキル化フェニル-α-ナフチルアミンとしては、例えば、下記一般式(1A)、一般式(1B)又は一般式(1C)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2022051533000003

一般式(1A)、一般式(1B)又は一般式(1C)中、Rは炭素数1~20のアルキル基を表す。
で表されるアルキル基としては、炭素数1~16のアルキル基が好ましく、炭素数3~12のアルキル基がより好ましい。
で表されるアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、2-メチルブチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、3-メチルペンチル基、エチルブチル基、n-ヘプチル基、2-メチルヘキシル基、tert-メチルブチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、3-メチルヘプチル基、n-ノニル基、メチルオクチル基、エチルヘプチル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-テトラデシル基などが挙げられる。
アルキル化フェニル-α-ナフチルアミンの具体例としては、オクチル化フェニル-α-ナフチルアミンが挙げられる。アルキル化フェニル-α-ナフチルアミンの一態様は、例えば、N-フェニル-ar-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-1-ナフタレンアミンを含む。但し、本開示に係るアルキル化フェニル-α-ナフチルアミンは、これらに限定されない。
特定酸化防止剤に含まれるアルキル化フェニル-α-ナフチルアミンは、1種単独であってもよく、2種以上が併用されてもよい。
アルキル化フェニル-α-ナフチルアミンの含有量は、グリース組成物の全質量に対し、1.00質量%~6.00質量%であり、1.00質量%~3.00質量%がより好ましい。
<亜リン酸エステル>
亜リン酸エステル(「フォスファイト」とも称される。)としては、公知の亜リン酸エステルから適宜選択することができる。
好適な亜リン酸エステルとしては、例えば、トリス(2-エチルヘキシル-3-メルカプトプロピオネート)フォスファイト、トリフェニルフォスファイト、トリオクタデシルフォスファイト、トリステアリルフォスファイト、トリラウリルトリチオフォスファイト、トリイソオクチルフォスファイト、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、トリクレジルフォスファイト、ジフェニルイソデシルフォスファイトなどの亜リン酸トリアルキルエステル類、亜リン酸ジアルキルエステル類、亜リン酸モノアルキルエステル類などが挙げられる。
これらの中でも、亜リン酸エステルとしては、トリス(アルキルフェニル)フォスファイトが好ましく、その代表例としては、下記一般式(2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2022051533000004

一般式(2)中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~12のアルキル基を表し、好ましくは炭素数2~6のアルキル基である。
亜リン酸エステルの具体例としては、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイトが挙げられる。
特定酸化防止剤に含まれる亜リン酸エステルは、1種単独であってもよく、2種以上が併用されてもよい。
亜リン酸エステルの含有量は、グリース組成物の全質量に対し、0.30質量%~3.00質量%であり、0.50質量%~2.00質量%が好ましい。
<アルキル化ジフェニルアミン>
アルキル化ジフェニルアミンとしては、公知のアルキル化ジフェニルアミンから適宜選択することができる。
好適なアルキル化ジフェニルアミンとしては、例えば、下記一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2022051533000005

一般式(3)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~16のアルキル基を表し、R及びRの少なくとも一方は、炭素数1~16のアルキル基を表し、R及びRの両方が炭素数1~16のアルキル基であることが好ましい。
又はRで表される炭素数1~16のアルキル基としては、炭素数3~12のアルキル基が好ましい。
炭素数1~16のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、2-メチルブチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、3-メチルペンチル基、エチルブチル基、n-ヘプチル基、2-メチルヘキシル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、3-メチルヘプチル基、n-ノニル基、メチルオクチル基、エチルヘプチル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-テトラデシル基などが挙げられる。
アルキル化ジフェニルアミンの具体例としては、p,p-ジオクチルジフェニルアミン、オクチルジフェニルアミン、フェニルベンゼンアミンと2,4,4-トリメチルペンテンの反応生成物などが挙げられる。
特定酸化防止剤に含まれるアルキル化ジフェニルアミンは、1種単独であってもよく、2種以上が併用されてもよい。
アルキル化ジフェニルアミンの含有量は、グリース組成物の全質量に対し、0.30質量%~6.00質量%であり、0.50質量%~3.00質量%がより好ましい。
本開示に係るグリース組成物は、特定酸化防止剤として、グリース組成物の全質量に対して、1.00質量%~6.00質量%のアルキル化フェニル-α-ナフチルアミン、0.30質量%~3.00質量%の亜リン酸エステル、及び、0.30質量%~6.00質量%であるアルキル化ジフェニルアミンを含むものであり、アルキル化フェニル-α-ナフチルアミン、亜リン酸エステル及びアルキル化ジフェニルアミンからなる特定酸化防止剤が上記範囲で含まれることにより、顕著に優れた耐熱性が発揮される。
特定酸化防止剤は、アルキル化フェニル-α-ナフチルアミンの含有量(A)、上記亜リン酸エステルの含有量(B)、及び、上記アルキル化ジフェニルアミンアルキル化ジフェニルアミンの含有量(C)の比率が、質量基準で、A:B:C=1.2~6:1:1.2~5が好ましく、A:B:C=1.5~5:1:1.5~3がより好ましい。
特定酸化防止剤は、アルキル化フェニル-α-ナフチルアミンの含有量(A)、上記亜リン酸エステルの含有量(B)、及び、上記アルキル化ジフェニルアミンアルキル化ジフェニルアミンの含有量(C)の比率が、質量基準で、A≧C≧Bの関係を満たすことが好ましく、A≧C>Bの関係を満たすことがより好ましく、A>C>Bの関係を満たすことがさらに好ましい。
(その他の酸化防止剤)
本開示に係るグリース組成物は、目的とする効果を損なわない範囲において、特定酸化防止剤以外の酸化防止剤(所謂、その他の酸化防止剤)を含有してもよいが、特定酸化防止剤のみを含有することが好ましい。その他の酸化防止剤が含有される場合、グリース組成物が含有する酸化防止剤の全質量に対して、25.00質量%以下の含有量であることが好ましい。
本開示に係るグリース組成物が含有する酸化防止剤の合計含有量は、グリース組成物の全質量に対して、1.60質量%~20.00質量%が好ましく、1.60質量%~15.00質量%がより好ましく、1.60質量%~8.00質量%が更に好ましい。なお、酸化防止剤の合計含有量とは、酸化防止剤として、特定酸化防止剤のみが含有される場合には、特定酸化防止剤の合計含有量であり、特定酸化防止剤とその他の酸化防止剤が併用される場合には、特定酸化防止剤とその他の酸化防止剤の合計有量である。
(4)その他の添加剤
本開示に係るグリース組成物は、目的とする効果を損なわない範囲において、既述の成分以外の成分(所謂、その他の添加剤)を含んでいてもよい。
その他の添加剤としては、グリース組成物に用いられる公知の添加剤、例えば、硫黄系極圧剤、リン系摩耗防止剤、金属不活性化剤、防錆剤等の各種添加剤が挙げられる。なお、一つの添加剤が、2以上の機能を担うものであってもよい。
本開示に係るグリース組成物の好適な態様の一つは、硫黄系極圧剤及びリン系摩耗防止剤から選択される少なくとも1種を含有する態様である。耐熱性と潤滑性能(すなわち、耐極圧性及び/又は耐摩耗性)の両立の観点からは、硫黄系極圧剤及びリン系摩耗防止剤の両方を含有する態様はより好ましい態様の一つである。本開示に係るグリース組成物は、硫黄系極圧剤及びリン系摩耗防止剤のいずれか一方のみを含有してもよい。耐極圧性に優れる観点からは、少なくとも硫黄系極圧剤を含有することが好ましい。また、耐腐食性に優れる観点からは、硫黄系極圧剤を含まず、リン系摩耗防止剤を含む態様とすることも好ましい。
グリース組成物においては、耐熱性を維持しつつ、かつ、潤滑性能(すなわち、耐極圧性及び/又は耐摩耗性)を付与する観点から、硫黄系極圧剤及び/又はリン系摩耗防止剤等の添加剤の配合が行われてきた(例えば、前掲の特許文献2参照)。しかしながら、グリース組成物の使用環境が、従来よりも高温になる状況においては、硫黄系極圧剤及びリン系摩耗防止剤の熱安定性が損なわれ、延いてはグリース組成物全体の耐熱性が損なわれる傾向となる。これに対し、本開示に係るグリース組成物は、特定酸化防止剤が含有されることで、硫黄系極圧剤及び/又はリン系摩耗防止剤等の添加剤の熱安定性が得られ、これにより、グリース組成物は、優れた耐熱性を発揮し、かつ、潤滑性能の向上を発揮するという副次的効果も得られる。なお、硫黄系極圧剤及びリン系摩耗防止剤の詳細については、後述する。
<硫黄系極圧剤>
本開示に係るグリース組成物は、硫黄系極圧剤を含有することが好ましい。
硫黄系極圧剤としては、極圧剤として機能しうる各種の硫黄化合物が挙げられる。
硫黄系極圧剤としては、例えば、ポリサルファイド、硫化オレフィン、硫化エステル、硫化油脂、チオリン酸化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
中でも、硫黄系極圧剤としては、特定酸化防止剤との組み合わせにおける耐熱性向上の観点から、ポリサルファイド及びチオリン酸化合物から選択される少なくとも1種が好ましい。
ポリサルファイドとしては、ジイソブチルジサルファイド、ジオクチルポリサルファイド、ジ-tert-ブチルポリサルファイド、ジ-tert-ノニルポリサルファイド、ジベンジルポリサルファイド、ジ-tert-ドデシルポリサルファイド、等が挙げられる。
チオリン酸化合物としては、チオリン酸、チオリン酸エステル(例えば、モノチオリン酸エステル、ジチオリン酸エステル、トリチオリン酸エステル、モノチオ亜リン酸エステル、ジチオ亜リン酸エステル、及びトリチオ亜リン酸エステル)等が挙げられる。
硫黄系極圧剤の含有量は、耐熱性及び潤滑性能の観点から、グリース組成物の全質量に対して、0.10質量%~7.00質量%が好ましく、0.10質量%~6.00質量%がより好ましく、0.15質量%~3.00質量%が更に好ましい。
硫黄系極圧剤の含有は、グリース組成物の耐熱性を低下させる傾向がある。すなわち、本発明者らの知見によれば、硫黄系極圧剤の含有により耐極圧性の向上は図れるものの、グリース組成物の耐熱性については、硫黄系極圧剤を含有させない場合に比し低下する傾向があった。しかしながら、本開示に係るグリース組成物においては、硫黄系極圧剤を上記の含有量範囲で含有することで、耐熱性が更に向上する傾向となる。このことは、本開示に係るグリース組成物に特有の顕著かつ異質な効果の一つであると言える。
ある実施形態において、本開示に係るグリース組成物は、より良好な耐熱性を発揮する観点から、基油としてエーテル系合成油及びエステル系合成油から選択される少なくとも1種の合成油と、上記所定量の特定酸化防止剤と、増ちょう剤としてリチウム複合石けんと、硫黄系極圧剤と、を含有することが好ましく、基油としてエーテル系合成油及びエステル系合成油から選択される少なくとも1種の合成油と、上記所定量の特定酸化防止剤と、増ちょう剤としてリチウム複合石けんと、上記含有量範囲の硫黄系極圧剤と、を含有することが好ましい。
<リン系摩耗防止剤>
本開示に係るグリース組成物は、リン系摩耗防止剤を有することが好ましい。
リン系摩耗防止剤としては、例えば、リン酸エステル、酸性リン酸エステル及び酸性リン酸エステルのアミン塩が挙げられる。中でも、リン系摩耗防止剤としては、他の添加剤を阻害することなく、かつ、潤滑性能を向上する観点から、リン酸エステルが好ましい。
リン酸エステルの具体例としては、ベンジルジフェニルリン酸エステル、アリルジフェニルリン酸エステル、トリフェニルリン酸エステル、トリクレジルリン酸エステル、トリブチルリン酸エステル、クレジルジフェニルリン酸エステル、ジクレジルフェニルリン酸エステル、エチルフェニルジフェニルリン酸エステル、ジエチルフェニルフェニルリン酸エステル、プロピルフェニルジフェニルリン酸エステル、ジプロピルフェニルフェニルリン酸エステル、トリエチルフェニルリン酸エステル、トリプロピルフェニルリン酸エステル等の化合物を挙げることができる。
リン系摩耗防止剤の具体例については、特開2018-30970公報の段落[0020]~[0039]にも記載があり、当該記載は参照により本開示に取り込まれる。
リン系摩耗防止剤の含有率は、グリース組成物の全質量に対して、0.10質量%以上としてもよく、0.20質量%以上としてもよく、0.25質量%以上としてもよく、0.50質量%以上としてもよい。また、リン系摩耗防止剤の含有率は、グリース組成物の全質量に対して、5.00質量%以下としてもよく、3.00質量%以下としてもよく、1.00質量%以下としてもよい。
ある実施形態において、リン系摩耗防止剤の含有率は、グリース組成物の全質量に対して、0.10質量%~5.00質量%とすることができ、0.50質量%~5.00質量%が好ましく、0.50質量%~3.00質量%がより好ましく、0.50質量%~1.00質量%が更に好ましい。
ある実施形態において、本開示に係るグリース組成物は、より良好な耐熱性を発揮する観点から、基油として選択される少なくとも1種の鉱油と、上記所定量の特定酸化防止剤と、増ちょう剤としてジウレア化合物と、リン系摩耗防止剤と、を含有することが好ましく、基油として選択される少なくとも1種の鉱油と、上記所定量の特定酸化防止剤と、増ちょう剤としてジウレア化合物と、上記含有量範囲のリン系摩耗防止剤と、を含有することがより好ましい。
=その他=
金属不活性化剤としては、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物、トリルトリアゾール化合物、チアジアゾール化合物等が挙げられる。
防錆剤としては、ソルビタン化合物、リチウムスルホネート等のアルカリ金属塩、カルシウムスルホネートやカルシウムサリシレート等のアルカリ土類金属塩、塩基性カルシウムスルホネートや塩基性カルシウムサリシレート等の塩基性アルカリ土類金属塩、ナフテン酸亜鉛、アルキルアミン脂肪酸塩等が挙げられる。
また、例えば、特開2018-20399公報の段落[0084]~[0089]に記載の各種添加剤は、本開示に係るグリース組成物に適用可能であり、当該添加剤に関する記載は、参照により本開示に取り込まれる。
~グリース組成物の性状~
<混和ちょう度>
グリース組成物の混和ちょう度は、好ましくは200~400、より好ましくは220~350、より好ましくは250~320である。混和ちょう度が400以下であると、漏洩を抑制しやすくなる。一方、混和ちょう度が200以上であると、撹拌抵抗を抑制しやすくなる。
~グリース組成物の調製方法~
本開示に係るグリース組成物の調製方法は、特に限定されず、従来公知の方法により調製することができる。本開示に係るグリース組成物は、例えば、基油、増ちょう剤、及び特定酸化防止剤に加えて、必要に応じて、硫黄系極圧剤、リン系摩耗防止剤、その他の添加成分を適宜混合することにより、調製することができる。
本開示に係るグリース組成物を調製するに際しての各成分の混合順序は、特に限定されないが、例えば、基油に、増ちょう剤、増ちょう剤原料及び特定酸化防止剤等の基油以外の成分を添加し、混合することが好ましい。
~グリース組成物の使用対象~
本開示に係るグリース組成物は、軸受、特に玉軸受、円筒ころ軸受等の転がり軸受に好適に適用することができる。各種軸受を備えるモータ等の回転機又は摺動機に好適である。特にモータに使用される軸受が好ましい。
以下、本開示に係るグリース組成物を、実施例により具体的に説明する。なお、本開示に係るグリース組成物は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。
[実施例1~12及び比較例1~11]
グリース組成物を構成する成分を、表1又は表2に示す種類及び配合割合(質量基準)で混合して、実施例及び比較例の各グリース組成物を調製した。
表1又は表2に記載する各成分の詳細は、以下のとおりである。なお、図中の「-」は、当該成分を配合していないことを意味する。
(基油)
*基油1(ポリオールエステル):エステル系合成油(ペンタエリスリトールエステル(コンプレックス型):40℃動粘度;101mm/s)
*基油2(ジフェニルエーテル):エーテル系合成油(アルキルジフェニルエーテル:40℃動粘度;99mm/s)
*基油3(鉱油):鉱油(水素化精製鉱油、40℃動粘度:35mm/s)
(増ちょう剤)
*リチウム複合石けん
耐熱容器に、基油(基油1及び基油2を使用)と、12-ヒドロキシステアリン酸と、アゼライン酸とを加え、攪拌しながら、約90℃まで加熱したのち、水酸化リチウム水溶液を加えて、約120分間反応させた。その後、この反応液を攪拌しながら230℃に加熱したのち、60℃まで冷却して、リチウム複合石けんを得た。
*ジウレア化合物
式(A):R21NHCONHR22NHCONHR23において、R21がシクロヘキシル基、R23がオクタデシル基であり、R22が上記R221表される基であり、比〔シクロヘキシル基/(シクロヘキシル基+アルキル基)〕(モル%)が、50モル%であるジウレア化合物。上記ジウレア化合物は、下記の方法により製造した。
耐熱容器に、基油(基油3を使用)、及び、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネートを張り込み、約90℃まで加熱攪拌した。ついで、基油、シクロヘキシルアミン及びオクタデシルアミンを混合した溶液を加え、さらに、約90℃で約60分間反応させた。得られた反応液を攪拌しながら140℃に加熱した後、60℃まで冷却し、ジウレア化合物と基油との混合物を得た。
(酸化防止剤)
*アルキル化フェニル-α-ナフチルアミン(特定酸化防止剤、化合物名:N-フェニル-ar-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-1-ナフタレンアミン)
*亜リン酸エステル(特定酸化防止剤、化合物名:トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト)
*アルキル化ジフェニルアミン(特定酸化防止剤、化合物名:フェニルベンゼンアミンと2,4,4-トリメチルペンテンの反応生成物)
*ジチオカルバミン酸ニッケル
(その他の添加剤)
*リン系摩耗防止剤:リン酸エステル(化合物名:トリクレジルフォスフェイト
*硫黄系極圧剤1:ポリサルファイド(化合物名:ジ-tert-ドデシルトリサルファイド
*硫黄系極圧剤2:チオリン酸(化合物名:O,O,O-トリフェニルホスホロチオエート)
[評価]
得られたグリース組成物について、下記の評価を行った。結果を表1及び表2に併記する。
<耐熱性:薄膜加熱試験>
グリース組成物の耐熱性を、加熱前後のグリース組成物の全酸価変化量を測定する薄膜加熱試験により評価した。
~試験方法~
実施例及び比較例のグリース組成物を、試料容器に幅4cm×5cm×高さ2mmの量で量り取り、160℃で500時間加熱した。
評価対象としたグリース組成物について、加熱前後での全酸価を測定して、下記式から全酸価変化(mgKOH/g)を算出した。全酸価の測定は、JIS K 2501:2019に準拠した。
全酸価変化(mgKOH/g)=加熱後のグリース組成物の全酸価(mgKOH/g)-加熱前のグリース組成物の全酸価(mgKOH/g)
~評価基準~
全酸価変化量が少ないほどグリース組成物は耐熱性に優れる。
本評価では、全酸価変化が3.00mgKOH/g以下であることを、耐熱性に優れると判断した。
Figure 2022051533000006

Figure 2022051533000007
表1及び表2中、各成分の組成の単位は、質量%である。
表1及び表2中、組成の欄に記載の「-」は、該当する成分を含まないことを意味する。
表1に示すように、基油、増ちょう剤、及び、特定酸化防止剤を含有する実施例のグリース組成物は、薄膜加熱試験の結果において、いずれも優れた耐熱性を有していた。
実施例1と実施例2~5及び実施例7~10及び実施例12との対比から、硫黄系極圧剤及びリン系摩耗防止剤から選択される少なくとも1種を含有するグリース組成物は、耐熱性により優れていた。
さらに、実施例1と実施例4及び5との対比から、特定酸化防止剤と共に硫黄系極圧剤を少量(0.10質量%~7.00質量%の範囲)含有するグリース組成物は、耐熱性により優れていた。
さらに、実施例1と実施例7との対比から、特定酸化防止剤と共にリン系摩耗防止剤を0.10質量%~5.00質量%の範囲で含有するグリース組成物は、耐熱性により優れていた。また、実施例7及び実施例10との対比から、特定酸化防止剤と共にリン系摩耗防止剤0.50質量%~5.00質量%の範囲で含有するグリース組成物は、耐熱性にさらに優れることが分かる。
また、実施例11及び12に示すように、基油として鉱油と、所定量の特定酸化防止剤と、増ちょう剤としてジウレア化合物との組合せは、耐熱性の向上に寄与する組合せであることが分かる。
一方、表2に示すように、特定酸化防止剤を構成する酸化防止剤を1種又は2種のみ含有する比較例1及び比較例6~9のグリース組成物、酸化防止剤を含有しない比較例2のグリース組成物、特定酸化防止剤を構成する3種の酸化防止剤の含有比率が所定の比率を満たさない比較例3、5、10及び11のグリース組成物は、いずれも耐熱性に劣っていた。

Claims (12)

  1. 基油と、
    増ちょう剤と、
    グリース組成物の全質量に対して、1.00質量%~6.00質量%のアルキル化フェニル-α-ナフチルアミン、0.30質量%~3.00質量%の亜リン酸エステル、及び、0.30質量%~6.00質量%のアルキル化ジフェニルアミンを含む酸化防止剤と、を含有する、グリース組成物。
  2. 前記酸化防止剤は、前記アルキル化フェニル-α-ナフチルアミンの含有量(A)、前記亜リン酸エステルの含有量(B)、及び、前記アルキル化ジフェニルアミンの含有量(C)の比率が、質量基準で、A:B:C=1.2~6:1:1.2~5である、請求項1に記載のグリース組成物。
  3. 前記酸化防止剤は、前記アルキル化フェニル-α-ナフチルアミンの含有量(A)、前記亜リン酸エステルの含有量(B)、及び、前記アルキル化ジフェニルアミンの含有量(C)の比率が、質量基準で、A:B:C=1.5~5:1:1.5~3である、請求項2に記載のグリース組成物。
  4. さらに、硫黄系極圧剤及びリン系摩耗防止剤から選択される少なくとも1種を含有する、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のグリース組成物。
  5. 前記硫黄系極圧剤を含有し、かつ、前記硫黄系極圧剤の含有量は、グリース組成物の全質量に対して、0.10質量%~7.00質量%である、請求項4に記載のグリース組成物。
  6. 前記リン系摩耗防止剤を含有し、かつ、前記リン系摩耗防止剤の含有量は、グリース組成物の全質量に対して、0.10質量%~5.00質量%である、請求項4~請求項5のいずれか1項に記載のグリース組成物。
  7. 前記リン系摩耗防止剤を含有し、かつ、前記リン系摩耗防止剤の含有量は、グリース組成物の全質量に対して、0.50質量%~5.00質量%である、請求項4~請求項5のいずれか1項に記載のグリース組成物。
  8. 前記増ちょう剤が、リチウム複合石けん及びジウレア化合物から選択される少なくとも1種である、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載のグリース組成物。
  9. 前記基油が、エーテル系合成油及びエステル系合成油から選択される少なくとも1種の合成油である、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載のグリース組成物。
  10. 前記基油が、エーテル系合成油及びエステル系合成油から選択される少なくとも1種の合成油であり、前記増ちょう剤が、リチウム複合石けんである、請求項9に記載のグリース組成物。
  11. 前記基油が、鉱油から選択される少なくとも1種である、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載のグリース組成物。
  12. 前記基油が、鉱油から選択される少なくとも1種であり、前記増ちょう剤が、ジウレア化合物である、請求項11に記載のグリース組成物。
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