JP2011084698A - シリコーングリース組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ジメチルシリコーンオイルと、リチウム石けん系増ちょう剤、複合体リチウム石けん系増ちょう剤、ポリウレア、及びN置換テレフタラミン酸金属塩の中から選ばれる少なくとも1種の増ちょう剤と、硫化エステル、硫化オレフィン、ポリサルファイド、及び硫化油脂の中から選ばれる少なくとも1種であり、組成物全量に対する含有量が0.1〜20質量%である硫黄系添加剤と、を含むシリコーングリース組成物。前記硫黄系添加剤が硫化エステルであることが好ましい。
【選択図】なし
Description
本発明は、鋼−鋼間での耐フレッチング損傷性に優れ、軸受、ギヤ等の潤滑箇所へ好適に使用できるシリコーングリース組成物を提供することを目的とする。
すなわち、本発明では以下のシリコーングリース組成物が提供される。
<1> ジメチルシリコーンオイルと、リチウム石けん系増ちょう剤、複合体リチウム石けん系増ちょう剤、ポリウレア、及びN置換テレフタラミン酸金属塩の中から選ばれる少なくとも1種の増ちょう剤と、硫化エステル、硫化オレフィン、ポリサルファイド、及び硫化油脂の中から選ばれる少なくとも1種であり、組成物全量に対する含有量が0.1〜20質量%である硫黄系添加剤と、を含むシリコーングリース組成物。
<2> 前記硫黄系添加剤が硫化エステルである<1>に記載のシリコーングリース組成物。
1.基油
本発明のシリコーングリース組成物に使用する基油は、ジメチルシリコーンオイルである。ジメチルシリコーンオイルとしては、例えば、下記式(1)に示すジメチルシリコーンオイルが挙げられる。
(CH3)3SiO−〔Si(R1)(R2)−O−〕n−Si(CH3)3 (1)
式(1)中、R1、R2はメチル基であり、nは1〜2000の整数である。
本発明のシリコーングリース組成物は、リチウム石けん系増ちょう剤、複合体リチウム石けん系増ちょう剤、ポリウレア、及びN−置換テレフタラミン酸金属塩の中から選ばれる少なくとも1種の増ちょう剤を含む。
リチウム石けん系増ちょう剤としては、リチウム−12−ヒドロキシステアレート等の水酸基を有する脂肪族カルボン酸リチウム塩、リチウム−ステアレート等の脂肪族カルボン酸リチウム塩またはそれらの混合物などが挙げられる。
R3-NH-(CONH-R4-NHCONH-R5NH)y-CONH-R4-NHCONH-R6 (2)
式(2)において、yは0〜3の整数であり、好ましくは0又は1、より好ましくは0である。R3、R6は、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基又はそれらの組み合わせであり、好ましい炭素数は1〜30であり、さらに好ましくは3〜22、より好ましくは6〜18である。R4、R5は、1〜30個の炭素原子を有する炭化水素基である。式(2)のポリウレアは、通常はジアミンとジイソシアネートの反応により得られる。
Mは金属であり、その例としては周期律I族、II族、III族、及びIV族の金属が挙げられる。Mの具体例としては、例えばリチウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム、鉛などが挙げられる。特に好ましいのはナトリウム、バリウム、リチウム、カリウムであり、中でもナトリウムが最も好ましい。zは、金属Mの価数と同じ整数である。
本発明のシリコーングリース組成物において使用される増ちょう剤は、ちょう度を付与させるもので、好ましい含有量はシリコーングリース組成物全量に対して1〜40質量%、より好ましくは2〜20質量%である。増ちょう剤の配合量が少なすぎると、グリース状にならずに所定のちょう度が得られない傾向にある。また、増ちょう剤の配合量が多すぎると、製品グリースの潤滑性が低下する傾向にある。
本発明のシリコーングリース組成物は、硫化エステル、硫化オレフィン、ポリサルファイド、及び硫化油脂の中から選ばれる少なくとも1種類の硫黄系添加剤を含有する。
硫黄系添加剤はフレッチング損傷を防止するために使用するものであるが、硫黄系添加剤自体のシリコーン油中での分散性が良くないため、添加剤の選定においては、フレッチング損傷防止性を均一に保つため、分散性も十分考慮する必要がある。このシリコーン油への分散性の観点から、上記硫黄系添加剤としては硫化エステルを用いることがより好ましい。
硫化エステルは、ラード、牛脂、鯨油、パーム油、ヤシ油、ナタネ油などの動植物油脂と各種アルコールとの反応により得られる脂肪酸エステルを硫化することにより得られる物質である。
本発明では例えば下記構造式(4)で表される硫化エステルを用いることができる。
ポリサルファイドとしては、ジイソブチルジサルファイド、ジオクチルポリサルファイド、ジ−tert−ブチルポリサルファイド、ジ−tert−ノニルポリサルファイド、ジベンジルポリサルファイドなどが挙げられる。
硫化油脂としては、ラード、牛脂、鯨油、パーム油、ヤシ油、ナタネ油などの動植物油脂と硫黄との反応生成物が挙げられる。
なお、本発明のシリコーングリース組成物に含まれる硫黄系添加剤の市販品としては、後述の実施例で使用したものが挙げられる。
本発明のシリコーングリース組成物は、上記各成分の基油、増ちょう剤、及び硫黄系添加剤を配合することにより製造することができるものであるが、必要に応じて他の各種添加剤を配合することもできる。
添加剤としては、例えば、アルケニルこはく酸イミド、アルケニルこはく酸イミド硼素化変性物、ベンジルアミンなどの分散剤;ポリメタクリレート系、エチレンプロピレン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体の水素化物あるいはポリイソブチレン等の各種粘度指数向上剤;2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールなどのアルキルフェノール類、4,4’−メチレンビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)などのビスフェノール類、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェノール)プロピオネートなどのフェノール系化合物、ナフチルアミン類やジアルキルジフェニルアミン類などの芳香族アミン化合物などの各種酸化防止剤などが挙げられる。これらの添加剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
下記の表1及び表2に示す実施例1〜6及び比較例1〜4では、以下に示す*1〜*15成分を表1及び表2に示した配合量の割合(質量%)で含有させたシリコーングリース組成物を調製した。*1〜*6の増ちょう剤は、その増ちょう剤の原料を基油に混合して、基油中でその原料を反応させて増ちょう剤にして、結果として*1〜*14の各成分を含有するシリコーングリース組成物を調製した。なお、シリコーングリース組成物は、*1〜*14の各成分を適宜混合し、ミル処理を行ってシリコーングリース中に増ちょう剤を均一に分散させ、調製した。
また、下記の表3の実験例1〜4及び比較実験例1〜3については、シリコーン油に各成分を表3に示した配合量の割合(質量%)で含有させたものであり、増ちょう剤は含んでいない。
耐熱容器に表中の各基油とリチウム−12−ヒドロキシステアレート(堺化学社製;商品名「S7000H」)を投入して加熱し、約200℃付近で溶解させ、基油を添加し、冷却後、ミル処理を行うことによりリチウム−12−ヒドロキシステアレートの結晶を最適なものとし、基油中に混合分散させたシリコーングリースを調製した。
耐熱容器に表中の各基油とリチウム−ステアレート(堺化学製;商品名「S7000」)を投入して加熱し、約200℃付近で溶解させ、基油を添加し、冷却後、ミル処理を行うことによりリチウム−ステアレートの結晶を最適なものとし、基油中に混合分散させたシリコーングリースを調製した。
耐熱容器に表中の各基油とジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネートを投入して加熱し、次に、オクチルアミンを約60℃付近で添加し、約40分間反応させた。その後、撹拌しながら170℃に加熱し、さらに基油を添加し、冷却後、ミル処理を行うことによりジウレアの結晶を最適なものとした。これにより、基油中に混合分散させたシリコーングリースを調製した。
一般式(2)中、yは0であり、R3及びR6は炭素数8の脂肪族炭化水素基、R4は炭素数13の芳香族炭化水素基である。
耐熱容器に表中の各基油とジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネートを投入し、加熱し、次に、シクロヘキシルアミンを約60℃付近で添加し、約40分間反応させた。その後、撹拌しながら110℃に加熱し、基油を添加し、冷却後、ミル処理を行うことによりジウレアの結晶を最適なものとした。これにより、基油中に混合分散させたシリコーングリースを調製した。
一般式(2)中、yは0であり、R3及びR6は炭素数6の脂環式炭化水素基、R4は、炭素数13の芳香族炭化水素基である。
耐熱容器に基油とN−オクタデシルテレフタラミン酸のメチルエステルを入れ、加熱溶解した。その後、100℃以下に冷却して50質量%水酸化ナトリウム水溶液を加え、よく撹拌しながら徐々に加熱し、充分に鹸化を行い、鹸化終了後150℃において更に基油を加え最高温度180℃まで加熱した。その後60℃まで冷却して得られたN−オクタデシルテレフタラミン酸ナトリウムを用いた。
耐熱容器に表中の基油と12−ヒドロキシステアレートを投入し加熱した。次に、水酸化リチウム水溶液を約80℃付近で添加し、けん化反応によりリチウム−12−ヒドロキシステアレートを生成させた。さらに、約90℃付近で水酸化リチウムとアゼライン酸を加え約2時間反応させ、リチウムコンプレックス石けんを生成させた。その後、これを加熱し、半溶融させた後急冷を行うことによって、リチウムコンプレックス石けんの結晶を最適なものとした。これにより、基油中に均一に混合分散させたリチウム−12−ヒドロキシステアレート/アゼライン酸複合体リチウム石けんを得た。
25℃動粘度が500mm2/sであるジメチルシリコーンオイル
DIC社製、商品名「GS−230」
*9:硫化油脂
DIC社製 商品名「GS−110」
*10:硫化オレフィン
DIC社製 商品名「GS−460」
*11:ポリサルファイド
DIC社製 商品名「KG−002A」
*12:酸化防止剤(ジフェニルアミン)
*13:ZnDTP
亜鉛ジチオホスフェート(シェブロン・テキサコ社製、商品名「オロア260」)
*14:MoDTC
モリブデンジチオホスフェート(アデカ社製、商品名「サクラルーブ600」)
*15:TCP
トリクレジルホスフェート(アクゾ・ノーベル社製、商品名「TCP」)
(1)フレッチング摩耗試験(鋼−鋼間)
SRV摩擦試験機を用いて行った。試験条件は、温度40℃、振動数50HZ、振れ幅1mm、荷重200N、試験時間20minにより行った。また、試験片はシリンダとディスクを用いた。評価は、試験中の最大摩擦係数と、試験後ディスクの摺動部について、表面粗さ計を用いて摩耗深さを測定した。
耐フレッチング損傷性を以下に示す基準で評価した。結果を表1、2に示す。
◎:最大摩擦係数μが0.10未満である。
○:最大摩擦係数μが0.10以上、かつ0.12未満である。
×:最大摩擦係数μが0.12以上である。
貯蔵安定性試験を実施した(実験例1〜4、比較実験例1〜3)。試験は200ml用ビーカーに、シリコーンオイルと各添加剤3質量%を全量が100gになるように入れ、ビーカーを80℃に加熱し、スターラーで1時間攪拌した後、24時間、室温で静置し、目視にて添加剤の溶解性を評価した。添加剤のシリコーン油への溶解性が大きいほど、均一に摩耗防止能を発揮できることから、摩耗防止性やフレッチング損傷防止性に優れていると判断した。
貯蔵安定性の評価基準は以下のとおりである。結果を表3に示す。
○:完全に溶解あるいは完全に分散(濁りはあるが、添加剤の沈降無し)
△:分散はするが、添加剤の沈降有
×:不溶(シリコーン油と添加剤とが完全に分離)
Claims (2)
- ジメチルシリコーンオイルと、
リチウム石けん系増ちょう剤、複合体リチウム石けん系増ちょう剤、ポリウレア、及びN置換テレフタラミン酸金属塩の中から選ばれる少なくとも1種の増ちょう剤と、
硫化エステル、硫化オレフィン、ポリサルファイド、及び硫化油脂の中から選ばれる少なくとも1種であり、組成物全量に対する含有量が0.1〜20質量%である硫黄系添加剤と、
を含むシリコーングリース組成物。 - 前記硫黄系添加剤が硫化エステルである請求項1に記載のシリコーングリース組成物。
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