JP2008208240A - 生分解性グリース組成物 - Google Patents

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Kenji Hayashi
健司 林
Shingo Tsuji
真悟 辻
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Abstract

【課題】生分解性、極圧性及び熱酸化安定性に優れたグリース組成物を提供する。
【解決手段】グリース組成物であって、基油として、ポリオールエステル及びコンプレックスエステルから選ばれる少なくとも1種以上を基油全量に対して70質量%以上含むとともに、40℃の動粘度が1〜2000mm/sである基油を含有し、増ちょう剤として、リチウム石けん系増ちょう剤、複合体リチウム石けん系増ちょう剤、ポリウレア及びN置換テレフタラミン酸金属塩の中から選ばれる少なくとも1種以上をグリース組成物全量に対して1〜40質量%含有し、硫黄系極圧剤として、150℃における活性硫黄量が1〜30質量%以下であり、硫化オレフィン、ポリサルファイド、硫化エステル及び硫化油脂の中から選ばれる少なくとも1種以上をグリース組成物全量に対して0.2〜8質量%含有することを特徴とする生分解性グリース組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、生分解性に優れ、かつ、極圧性と熱酸化安定性の向上を図った生分解性グリース組成物に関する。
近年、地球規模の環境問題がクローズアップされており、地球環境の保護があらゆる産業界での課題となっている。グリースにおいても、その主成分である基油が自然環境の中へ放出されると、水質や土壌を汚染する可能性があるため、グリースが外部へ漏れる可能性のある箇所については、生分解性の向上が望まれる。
一方、グリースが使用される機器においては、高性能化により年々過酷な条件下で運転される傾向にあるため、生分解性に加え、極圧性や熱酸化安定性についてもより一層の向上が望まれる。
これらの性能を満たすために、基油や添加剤等の配合を工夫した試みがなされており、例えば、生分解性の高い基油のほか、極圧剤、酸化防止剤等を配合した生分解性グリース組成物が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特開平10−46181号公報 特開平8−20789号公報 特開2004−18725号公報
本発明は、自動車、建設機械、農業機械等の外部へグリースが漏れる可能性のある箇所に適用でき、生分解性、極圧性及び熱酸化安定性に優れたグリース組成物を提供することを目的とするものである。
本発明では、以下のグリース組成物が提供される。
<1> グリース組成物であって、
基油として、ポリオールエステル及びコンプレックスエステルの少なくとも1種以上を基油全量に対して70質量%以上含むとともに、40℃の動粘度が1〜2000mm/sである基油を含有し、
増ちょう剤として、リチウム石けん系増ちょう剤、複合体リチウム石けん系増ちょう剤、ポリウレア及びN置換テレフタラミン酸金属塩の中から選ばれる少なくとも1種以上をグリース組成物全量に対して1〜40質量%含有し、
硫黄系極圧剤として、150℃における活性硫黄量が1〜30質量%以下であり、硫化オレフィン、ポリサルファイド、硫化エステル及び硫化油脂の中から選ばれる少なくとも1種以上をグリース組成物全量に対して0.2〜8質量%含有することを特徴とする生分解性グリース組成物。
<2> 前記硫黄系極圧剤が、硫化オレフィン及びポリサルファイドから選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする<1>記載の生分解性グリース組成物。
本発明によれば、生分解性、極圧性及び熱酸化安定性に優れたグリース組成物が提供され、本発明のグリース組成物は、実用上極めて有用である。
以下、本発明に係るグリース組成物について詳細に説明する。
本発明者らは、上記目的を達成するために、鋭意検討を重ねた結果、基油として、ポリオールエステル及びコンプレックスエステルから選ばれる少なくとも1種以上を基油全量に対して70質量%以上含むとともに、40℃の動粘度が1〜2000mm/sである基油を含有し、増ちょう剤として、リチウム石けん系増ちょう剤、複合体リチウム石けん系増ちょう剤、ポリウレア及びN置換テレフタラミン酸金属塩の中から選ばれる少なくとも1種以上をグリース組成物全量に対して1〜40質量%含有し、硫黄系極圧剤として、150℃における活性硫黄量が1〜30質量%以下であり、硫化オレフィン、ポリサルファイド、硫化エステル及び硫化油脂の中から選ばれる少なくとも1種以上をグリース組成物全量に対して0.2〜8質量%含有することにより、生分解性、極圧性及び熱酸化安定性が著しく向上したグリース組成物が得られることを見出した。
以下、本発明のグリース組成物を構成する各成分についてより具体的に説明する。
<基油>
本発明のグリースに含まれる基油としては、ポリオールエステル及びコンプレックスエステルから選ばれる少なくとも1種以上を基油全量に対して70質量%以上含有するとともに、40℃の動粘度が1〜2000mm/sである基油を用いる。このような基油を用いることで、高い生分解性を得ることができるとともに、低温での極圧性を得ることができる。
ポリオールエステルとしては、炭素数5〜6の2価、3価又は4価のアルコールと、炭素数3〜22のモノカルボン酸とのエステルが挙げられる。ここで用いるモノカルボン酸の好ましい炭素数は3〜22、より好ましくは6〜20である。具体例としては、ヘキサン酸、オクタン酸、2−エチルヘキシル酸、イソオクタン酸、ノナン酸、デカン酸、イソデカン酸、オレイン酸、ステアリン酸等が挙げられる。また、アルコールの具体例としては、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
コンプレックスエステルとしては、炭素数5〜6の2価、3価又は4価のアルコール、炭素数4〜18のモノカルボン酸と炭素数3〜18のジカルボン酸からなるコンプレックス型エステルが挙げられる。ここで用いるモノカルボン酸の好ましい炭素数は4〜18であり、より好ましくは6〜12であり、ジカルボン酸についての好ましい炭素数は3〜18であり、より好ましくは4〜12である。モノカルボン酸としては、例えば、ヘキサン酸、オクタン酸、2−エチルヘキシル酸、イソオクタン酸、ノナン酸、デカン酸、イソデカン酸、ステアリン酸等が挙げられる。ジカルボン酸としては、例えばコハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等が挙げられる。また、多価アルコールとしては、例えばネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
本発明のグリースに用いられる基油は、十分な生分解性を得るために、上記のポリオールエステル及びコンプレックスエステルから選ばれる少なくとも1種以上を基油全量に対して70質量%以上含有し、100%に近いほど好ましい。すなわち、上記のポリオールエステル、コンプレックスエステル、又はポリオールエステル及びコンプレックスエステルからなる基油を用いることで、より高い生分解性を得ることができる。
本発明のグリースに用いる基油は、動粘度があまり小さすぎると極圧性が低くなる傾向があり、動粘度が大きすぎると生分解性が悪くなる傾向にある。そこで、本発明のグリースに用いる基油は、前記のような成分により構成するとともに、40℃における動粘度を1〜2000mm/sとし、好ましくは1〜1500mm/s、更に好ましくは3〜1000mm/sとする。
なお、基油として上記のポリオールエステル及びコンプレックスエステル以外の成分を含有する場合には、鉱油系潤滑油基油、合成系潤滑油基油等の基油成分を含有することができる。このような鉱油系潤滑油基油としては、例えば原油の潤滑油留分を溶剤精製、水素化精製など適宜組み合わせて精製したものが挙げられる。また、合成系潤滑油基油としては、例えば、αオレフィンオリゴマー(PAO)、ジアルキルジエステル、ポリグリコール類などが挙げられる。
<硫黄系極圧剤>
本発明のグリースに用いる硫黄系極圧剤としては、硫化オレフィン、ポリサルファイド、硫化エステル及び硫化油脂から選ばれる少なくとも1種以上が用いられる。
硫化オレフィンとポリサルファイドは、下記一般式(1)で表される。なお、後述するように、硫化オレフィンはオレフィン類を硫化して得られ、ポリサルファイドはオレフィン類以外の炭化水素原料を硫化して得られる。
−Sx−(R−Sx−)n−R (1)
一般式(1)中、R及びRは同一または異なる一価の炭化水素基である。R及びRとしては、炭素数2〜20の直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基、炭素数2〜26の芳香族炭化水素基等を挙げることができる。具体的には、エチル基、プロピル基、ブチル基、ノニル基、ドデシル基、プロペニル基、ブテニル基、ベンジル基、フェニル基、トリル基、ヘキシルフェニル基などがある。Rとしては、炭素数2〜20の直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜26の芳香族炭化水素基等を挙げることができる。具体的にはエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、フェニレン基などがある。xは1以上の整数で、好ましくは1〜8の整数であり、繰り返し単位中においてそれぞれxは同一または異なる数である。xが小さいと極圧性が小さくなり、xが大きすぎると熱酸化安定性が低下する傾向にある。極圧性及び熱酸化安定性をともに得るため、繰り返し単位中のxは1〜6の整数が好ましく、より好ましくは2〜4の整数であり、特に好ましくは2〜3の整数である。nは0または1以上の整数である。
硫化オレフィンの具体例としては、ポリイソブチレンやテルペン類などのオレフィン類を硫黄その他の硫化剤で硫化して得られるものが挙げられる。
また、ポリサルファイド化合物の具体的としては、ジイソブチルジサルファイド、ジオクチルポリサルファイド、ジ−tert−ブチルポリサルファイド、ジ−tert−ベンジルポリサルファイドなどが挙げられる。
硫化油脂は、油脂と硫黄との反応生成物であり、油脂としてラード、牛脂、鯨油、パーム油、ヤシ油、ナタネ油などの動植物油脂を使用し、これを硫化反応して得られるものである。この反応生成物は、単一のものではなく、種々の物質の混合物であり、化学構造そのものは明確でない。
硫化エステルは、上記油脂と各種アルコールとの反応により得られる脂肪酸エステルを硫化することにより得られ、硫化油脂と同様、化学構造そのものは明確でない。
本発明においては、上記の硫黄系極圧剤の中でも、硫化オレフィン及びポリサルファイド化合物が極圧性を一層高めることができるため、特に好ましい。
硫黄系極圧剤は、活性硫黄量が少なすぎると十分な極圧性が得られず、多すぎるとグリースの熱酸化安定性が低下する傾向にある。そこで、本発明で用いる硫黄系極圧剤は、上記の各成分により構成されるとともに、ASTM D1662に規定される方法で測定される150℃での活性硫黄量が1〜30質量%の範囲内であることが必要であり、好ましくは3〜27質量%であり、特に好ましくは5〜25質量%である。
なお、上記ASTM D1662により基づく活性硫黄量は、具体的には以下の手順により測定することができる。
1.200ml用のビーカーに硫黄系添加剤(硫黄系極圧剤)50gと銅粉5gを入れ、スターラで攪拌しながら温度を150℃まで上げる。
2.150℃に達したら、更に銅粉を5g加え、30分間攪拌する。
3.攪拌終了後、ASTM D130準拠の銅板をビーカーへ入れて浸漬させる。このとき、銅板に変色が見られたら、さらに銅粉を5g加えて30分間攪拌する(この操作を変色が認められなくなるまで続ける。)。
4.銅板変色が認められなくなったら、ろ過により硫黄系添加剤中の銅粉を除去し、添加剤の硫黄量を測定する。
これにより、活性硫黄量は以下のように算出される。
活性硫黄量(質量%)=銅粉と反応前の硫黄量(質量%)−銅粉と反応前後の硫黄量(質量%)
また、硫黄系極圧剤の配合量が少なすぎると、十分な極圧性が得られず、多すぎると、グリース本来の性能である熱酸化安定性が低下する傾向にある。そこで、本発明のグリース組成物中の硫黄系極圧剤の配合量は、0.2〜8質量%とし、好ましくは0.5〜7質量%、特に好ましくは1.0〜5.0質量%である。
<増ちょう剤>
本発明のグリース組成物に含まれる増ちょう剤としては、リチウム石けん系増ちょう剤、複合体リチウム石けん系増ちょう剤、ポリウレア及びN置換テレフタラミン酸金属塩の中から選ばれる少なくとも1種以上をグリース組成物全量に対して1〜40質量%含有するものを用いる。
リチウム石けん系増ちょう剤としては、リチウム−12−ヒドロキシステアレート等の水酸基を有する脂肪族カルボン酸リチウム塩、リチウム−ステアレート等の脂肪族カルボン酸リチウム塩またはそれらの混合物などが挙げられる。
複合体リチウム石けん系増ちょう剤としては、前述の水酸基を有する脂肪族カルボン酸リチウム塩と二塩基酸リチウム塩とのコンプレックス等が挙げられる。ここで、好適な二塩基酸としては、コハク酸、マロン酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等が挙げられる。特に好適なものはアゼライン酸、セバシン酸である。
ポリウレアとしては下記一般式(2)で示されるものがあげられる。
-NH-(CONH-R-NHCONH-RNH)y-CONH-R-NHCONH-R (2)
一般式(2)中、R、R、R及びRはそれぞれ炭素数1〜30の炭化水素基である。R及びRは、それぞれ脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基又はそれらの組み合わせであり、好ましい炭素数は1〜30であり、より好ましくは6〜18である。R及びRはそれぞれ1〜30個の炭素原子を有する炭化水素である。また、yは0〜3の整数であり、好ましくは0である。
N−置換テレフタラミン酸金属塩は、下記一般式(3)で表される。
Figure 2008208240
一般式(3)において、Rは炭素数4〜22の炭化水素基であり、その炭素数は好ましくは14〜20である。炭素数が少なすぎると増ちょう剤が基油に分散しにくく、基油が分離する傾向が生じる。また、炭素数が大きすぎるとせん断安定性が悪くなる傾向がある。Rの例としてはデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
一般式(3)中のMは、金属であるが、その例としては周期律I族、II族、III族、及びIV族の金属、例えばリチウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム、鉛などが挙げられる。特に好ましいのはナトリウム、バリウム、リチウム、カリウムであり、なかでもナトリウムが最も好ましい。
また、zはMの価数と同一である。
増ちょう剤は、グリース組成物にちょう度を付与するものであり、上記したものを単独でも組み合わせても使用することができるが、配合量が少なすぎると、グリース状にならずに適度なちょう度が得られず、多すぎると、製品グリースの潤滑性が低下する傾向にある。適度なちょう度を付与するとともに、グリースとしての潤滑性を確保するため、本発明において使用される増ちょう剤の配合量はグリース組成物全量に対して1〜40質量%とし、好ましくは2〜20質量%である。
<その他の添加剤>
本発明のグリース組成物は、必要に応じて、各種添加剤を適宜配合することができる。
添加剤としては、例えば、アルカリ土類金属スルホネート、アルカリ土類金属フェネート、アルカリ土類金属サリシレートなどの金属系清浄剤;アルケニルこはく酸イミド、アルケニルこはく酸イミド硼素化変性物、ベンジルアミン、アルキルポリアミンなどの分散剤;2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールなどのアルキルフェノール類、4,4’−メチレンビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)などのビスフェノール類、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェノール)プロピオネートなどのフェノール系化合物、ナフチルアミン類やジアルキルジフェニルアミン類などの芳香族アミン化合物などの各種酸化防止剤;重質スルホン酸の金属塩、多価アルコールのカルボン酸部分エステルなどの各種錆止め剤;ベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾールなどの各種腐食防止剤などが挙げられる。
これらの添加剤は、1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、これらの添加剤の配合量は、それぞれの添加剤による効果を発揮しつつ、グリース組成物の生分解性、極圧性、及び熱酸化安定性の低下を防ぐため、グリース組成物全量に対して0.01〜10質量%、より好ましくは0.05〜10質量%、さらに好ましくは0.05〜8質量%の範囲内とする。
以上のような基油、増ちょう剤、硫黄系極圧剤等を配合して調製された本発明に係るグリース組成物は、生分解性、極圧性及び熱酸化安定性に極めて優れたものとなり、自動車、建設機械、農業機械等、過酷な条件下で運転されるとともに、外部へグリースが漏れる可能性のある箇所に特に好適に使用することができる。
次に、本発明に係るグリース組成物について実施例により具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。
<実施例1〜6及び比較例1〜4>
実施例及び比較例では、以下に示す*1〜*16の各成分を下記表1及び表2に示した配合量(質量)の割合で含有させたグリース組成物を調製した。
*1〜*16の各成分の内、増ちょう剤*1〜*6は、その増ちょう剤の原料を基油に混合して、基油中でその原料を反応させて増ちょう剤にして、結果として表1及び表2に示すように*1〜*16の各成分を含有するグリース組成物を調製した。なお、グリース組成物は、*1〜*16の各成分を適宜混合し、ミル処理を行ってグリース中に増ちょう剤を均一に分散させ、調製した。
得られたグリース組成物は、それぞれ極圧性、熱酸化安定性、及び生分解性の各評価を行った。
*1:リチウム−12−ヒドロキシステアレート
耐熱容器に基油とリチウム−12−ヒドロキシステアレート(堺化学工業(株)製、商品名;S7000H)を投入して加熱し、約200℃付近で溶解させた。次いで、基油を加え、冷却し、ミル処理を行うことによりリチウム−12−ヒドロキシステアレートの結晶を最適なものとし、基油中に混合分散させたグリースを調製した。
*2:リチウム−ステアレート
耐熱容器に基油とリチウム−ステアレート(堺化学工業(株)製、商品名;S7000)を投入して加熱し、約200℃付近で溶解させた。次いで、基油を加え、冷却し、ミル処理を行うことによりリチウム−ステアレートの結晶を最適なものとし、基油中に混合分散させたグリースを調製した。
*3:複合体リチウム石けん
耐熱容器に基油と12−ヒドロキシステアレートを投入し加熱した。次に、水酸化リチウム水溶液を約80℃付近で添加し、けん化反応によりリチウム−12−ヒドロキシステアレートを生成させた。さらに、約90℃付近で水酸化リチウムとアゼライン酸を加え約2時間反応させ、リチウムコンプレックス石けんを生成させた。その後、これを加熱し、半溶融させた後急冷を行うことによって、リチウムコンプレックス石けんの結晶を最適なものとし、基油中にリチウム−12−ヒドロキシステアレート/アゼライン酸複合体リチウム石けんを均一に混合分散させたグリースを調製した。
*4:脂肪族ジウレア
耐熱容器に基油とジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネートを投入し、加熱した。次に、オクチルアミンを約60℃付近で添加し、約40分間反応させた。その後、撹拌しながら170℃に加熱し、基油を加え、冷却し、ミル処理を行うことによりジウレアの結晶を最適なものとし、基油中に混合分散させたグリースを調製した。
なお、ジウレアの構造は、前記一般式(2)において、yが0、R及びRが炭素数8の脂肪族炭化水素基、Rが炭素数13の芳香族炭化水素基を有する脂肪族ジウレアである(Rはyが0なのでなし)。
*5:脂環式ジウレア
耐熱容器に基油とジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネートを投入し、加熱した。次に、シクロヘキシルアミンを約60℃付近で添加し、約40分間反応させた。その後、撹拌しながら110℃に加熱し、基油を加え、冷却し、ミル処理を行うことによりジウレアの結晶を最適なものとし、基油中に混合分散させたグリースを調製した。
なお、ジウレアの構造は、前記一般式(2)において、yが0、R及びRは炭素数6の脂環式炭化水素基、Rは炭素数13の芳香族炭化水素基を有する脂環式ジウレアである(Rはyが0なのでなし)。
*6:N−置換テレフタラミン酸ナトリウム
耐熱容器に基油とN−オクタデシルテレフタラミン酸のメチルエステルを入れ、加熱溶解した。その後、100℃以下に冷却して50質量%水酸化ナトリウム水溶液を加え、よく撹拌しながら徐々に加熱し、充分に鹸化を行い、鹸化終了後150℃において更に基油を加え最高温度180℃まで加熱した。その後60℃まで冷却を行い、ミル処理を行うことによりN−オクタデシルテレフタラミン酸ナトリウムを基油中に混合分散させたグリースを調製した。
*7:鉱油
水素化精製鉱油。40℃動粘度:100mm/s
*8:ポリオールエステルA
ペンタエリスリトールと炭素数8〜10モノカルボン酸とのテトラエステル。40℃動粘度:29mm/s
*9:ポリオールエステルB
1−トリメチロールプロパンと炭素数16〜18のイソカルボン酸とのトリエステル。40℃動粘度:110mm/s
*10:コンプレックスエステル
ペンタエリスリトールと炭素数8〜10のモノカルボン酸と炭素数6のジカルボン酸とのコンプレックスエステル。40℃動粘度:95mm/s
*11:硫化オレフィンA
前記一般式(1)で、R及びRは炭素数8〜12の不飽和脂肪族炭化水素、n=0、xは2または3の硫化オレフィンで、150℃における活性硫黄量が15質量%である硫化オレフィン。
*12:硫化オレフィンB
前記一般式(1)で、R及びRは炭素数8の不飽和脂肪族炭化水素、n=0、xは3〜8の整数である硫化オレフィンで、150℃における活性硫黄量が40質量%である硫化オレフィン。
*13:ポリサルファイド
前記一般式(1)で、R及びRは炭素数4〜8の飽和脂肪族炭化水素、n=0、Xは2または3であるポリサルファイドで、150℃における活性硫黄量が8質量%であるポリサルファイド。
*14:硫化油脂
150℃における活性硫黄量が2質量%の硫化油脂。
*15:硫化エステル
150℃における活性硫黄量が4質量%の硫化エステル。
*16:酸化防止剤
ジフェニルアミン
<評価方法>
1.極圧性試験
各グリース組成物の極圧性を評価するため、シェル四球試験(ASTM D2596準拠)を行った。評価は、融着荷重(単位:N)で行い、数値が大きいほど極圧性が高く、グリースとして好ましい。
2.熱酸化安定性試験
各グリース組成物の熱酸化安定性を評価するため、薄膜加熱試験を行った。本試験では、鋼板にグリースを3mmの厚さに均一に塗り、125℃の恒温槽で96時間放置した。評価は、試験前後の全酸価を測定し、全酸価の増加度合いにより、以下の基準で行った。全酸化の増加が小さいほど熱酸化安定性が高く、グリースとして好ましい。
・全酸価増加が3.0mgKOH/g未満であるとき … ○
・全酸価増加が3.0mgKOH/g以上5.0未満であるとき … △
・全酸価増加が5.0mgKOH/g以上であるとき … ×
3.生分解性試験
各グリース組成物の生分解性を評価するため、OECD301B法に規定される方法により試験を行い、生分解率60%以上を合格とした。
Figure 2008208240
Figure 2008208240
表1に示すように、実施例1〜6のグリース組成物は、極圧性、熱酸化安定性及び生分解性の全てに優れていた。一方、表2に示すように、比較例1〜4のグリース組成物では、極圧性、熱酸化安定性及び生分解性の全てを満たすものはなかった。硫黄系極圧剤が無添加だと極圧性が著しく劣り(比較例2)、硫黄系極圧剤を添加することで極圧性が向上するが、極圧剤中の活性硫黄量が多過ぎると熱酸化安定性が劣り(比較例3)、硫黄系極圧剤中の活性硫黄量が本発明で規定した範囲内であっても、配合量が多過ぎると熱酸化安定性が劣る(比較例4)ことが分かる。このように比較例2〜4は極圧性又は熱酸化安定性が顕著に劣ったため、生分解性については測定しなかった。

Claims (2)

  1. グリース組成物であって、
    基油として、ポリオールエステル及びコンプレックスエステルから選ばれる少なくとも1種以上を基油全量に対して70質量%以上含むとともに、40℃の動粘度が1〜2000mm/sである基油を含有し、
    増ちょう剤として、リチウム石けん系増ちょう剤、複合体リチウム石けん系増ちょう剤、ポリウレア及びN置換テレフタラミン酸金属塩の中から選ばれる少なくとも1種以上をグリース組成物全量に対して1〜40質量%含有し、
    硫黄系極圧剤として、150℃における活性硫黄量が1〜30質量%以下であり、硫化オレフィン、ポリサルファイド、硫化エステル及び硫化油脂の中から選ばれる少なくとも1種以上をグリース組成物全量に対して0.2〜8質量%含有することを特徴とする生分解性グリース組成物。
  2. 前記硫黄系極圧剤が、硫化オレフィン及びポリサルファイドから選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1記載の生分解性グリース組成物。
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