JP2009046625A - グリース組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、特に、高速、高温条件下で使用される自動車等のホイールベアリングに好適に使用することができるグリース組成物を提供する。
【解決手段】基油及び増ちょう剤を含むグリース組成物であって、前記基油として、鉱油及び合成油の少なくとも一方を含有し、前記増ちょう剤として、グリース全量に対し、複合体リチウム石けんを2〜20質量%及び下記式(1)で表されるポリウレア化合物を0.5〜10質量%含有し、かつ、前記複合体リチウム石けんと前記ポリウレア化合物の配合比率が質量比で9.5:0.5〜5:5であり、混和ちょう度が130〜340であることを特徴とするグリース組成物。R-NH-(CONH-R-NHCONH-RNH)y-CONH-R-NHCONH-R(1)(式(1)中、yは0〜3の整数で、R、R、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜30の炭化水素基である。)
【選択図】なし

Description

本発明は、高速、高温下で使用されるベアリング、特に自動車等のホイールベアリングに好適に使用することができ、優れたせん断安定性及び熱酸化安定性を有するグリース組成物に関する。
車両のホイールベアリングに使用するグリースは、ブレーキやベアリングの摩擦熱を受け、運転中は常に高温にさらされている。長期にわたりグリースが高温にさらされると、グリースのちょう度が大きく変化する等の劣化による性能低下をおこす場合がある。また、車両のホイールベアリングに使用するグリースは、ベアリングが回転する際に生じる激しい攪拌によりせん断を受けるが、せん断安定性が十分でないと、グリースが軟化してしまう場合がある。さらに、熱酸化安定性が十分でなく、高温下で軟化しやすいグリースがせん断安定性も十分でない場合には、極端な場合には長期の使用によりグリース漏れにつながる場合もある。したがって、このようなホイールベアリングに使用されているグリースにおいては、せん断安定性及び熱酸化安定性のより一層の向上が望まれており、基油や添加剤の配合技術による改良が試みられている(特許文献1、2等参照。)。
特開平8−183976号公報 特開2004−169862号公報
本発明は、特に、高速、高温条件下で使用される自動車等のホイールベアリングに好適に使用することができるグリース組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意研究及び検討した結果、増ちょう剤として複合体リチウム石けんとポリウレア化合物を特定の割合で配合し、かつ、混和ちょう度を130から340の範囲にすることにより、せん断安定性と熱酸化安定性(熱履歴によるちょう度変化が少なくかつ劣化が進みにくい)が著しく向上することを見出した。また、この組成物において、さらに、基油として、特定のアルキル化ジフェニルエーテル、特定のネオペンチル型ポリオールエステル油、または特定のコンプレックスエステルを特定量配合することにより、熱酸化安定性がより一層向上することを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成したものである。
本発明では、以下のグリース組成物が提供される。
<1> 基油及び増ちょう剤を含むグリース組成物であって、
前記基油として、鉱油及び合成油の少なくとも一方を含有し、
前記増ちょう剤として、グリース全量に対し、複合体リチウム石けんを2〜20質量%及び下記式(1)で表されるポリウレア化合物を0.5〜10質量%含有し、かつ、前記複合体リチウム石けんと前記ポリウレア化合物の配合比率が質量比で9.5:0.5〜5:5であり、混和ちょう度が130〜340であることを特徴とするグリース組成物。
-NH-(CONH-R-NHCONH-RNH)y-CONH-R-NHCONH-R (1)
(式(1)中、yは0〜3の整数で、R、R、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜30の炭化水素基である。)
<2> 前記基油として、下記式(2)で表されるアルキル化ジフェニルエーテル、炭素数4〜18の脂肪族カルボン酸と3価又は4価の多価アルコールから合成されるネオペンチル型ポリオールエステル油、及び炭素数4〜18の脂肪族モノカルボン酸と炭素数3〜18の脂肪族ジカルボン酸と3価又は4価の多価アルコールから合成されるコンプレックス型ポリオールエステル油から選ばれる少なくとも一種を、グリース全量に対し、25質量%以上含有することを特徴とする<1>記載のグリース組成物。
Figure 2009046625

(式(2)中、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13及びR14は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基であり、R〜R14のうち、少なくとも1つは炭素数8〜22の炭化水素基である。)
<3> ホイールベアリングに使用することを特徴とする<1>または<2>記載のグリース組成物。
本発明のグリース組成物は、せん断安定性及び熱酸化安定性に優れており、特に高温、高速条件下で使用されるホイールベアリングに好適に使用することができる。従って、本発明のグリース組成物は、実用上極めて有用である。
以下、本発明に係るグリース組成物について詳細に説明する。
本発明のグリース組成物(本明細書では単に「グリース」という場合がある。)は、少なくとも基油及び増ちょう剤を含み、前記増ちょう剤として複合体リチウム石けんとポリウレア化合物を用いる。そして、この2種類の増ちょう剤を選択し、かつ後述の特定配合比率とすることで、熱酸化安定性とせん断安定性の二つの性能をバランスよく向上させることができる。
本発明に係るグリース組成物が、せん断安定性及び熱酸化安定性のバランスに優れる理由は定かではないが、以下のことが考えられる。
複合体リチウム石けんは、せん断安定性及び熱酸化安定性が比較的良好であるが、ポリウレア化合物よりも酸化劣化しやすく、軟化しやすい傾向にあり、せん断安定性もやや劣る傾向にある。一方、ポリウレア化合物は酸化安定性に強く、さらにせん断安定性にも優れる。ただし、高温化で硬化するという短所があるため、特にホイールベアリング用グリースには不向きである。
しかし、複合体リチウム石けんとポリウレア化合物を特定の比率で混合することで、それぞれの長所と短所が補われ、高温・高せん断力下でのグリースのちょう度変化をほぼ一定に保つことができ、酸化劣化も効果的に防止することができるものと考えられる。
<増ちょう剤>
−複合体リチウム石けん−
本発明のグリースの増ちょう剤として使用する複合体リチウム石けんとしては、脂肪族カルボン酸リチウム塩と二塩基酸リチウム塩とのコンプレックス等が挙げられる。
ここで、好適な脂肪族カルボン酸の具体例としては、2−ヒドロキシテトラデカン酸、2−ヒドロキシヘキサデカン酸、11−ヒドロキシヘキサデカン酸、リシノール酸、9−ヒドロキシステアリン酸、10−ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等が挙げられ、12−ヒドロキシステアリン酸がより好ましい。
また、好適な二塩基酸としては、コハク酸、マロン酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等が挙げられる。特に好適なものはアゼライン酸とセバシン酸である。
なお、複合体リチウム石けんではなく、単にリチウム石けんを使用した場合には、熱履歴によりちょう度がやわらかくなりすぎてしまい、また酸価も上昇(劣化が促進)してしまうため、本発明の効果、すなわち優れた熱酸化安定性とせん断安定性を得ることができない。
−ポリウレア化合物−
本発明のグリースに含まれる増ちょう剤として使用するポリウレア化合物としては、下記式(1)で表されるものが挙げられる。
-NH-(CONH-R-NHCONH-RNH)y-CONH-R-NHCONH-R (1)
式(1)中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立に炭素数1〜30の炭化水素基である。R1及びR4は、それぞれ脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基又はそれらの組み合わせとすることができ、脂肪族炭化水素基が特に好ましい。R1及びR4の好ましい炭素数は2〜25であり、より好ましくは6〜20である。R2及びR3はそれぞれ1〜30個の炭素原子を有する炭化水素基である。また、yは0〜3の整数であり、好ましくは0である。
本発明のグリースでは、複合体リチウム石けんの含有量は、グリース全量に対して2〜20質量%であり、好ましくは3〜20質量%、より好ましくは5〜15質量%である。一方、ポリウレア化合物の含有量は、グリース全量に対して0.5〜10質量%であり、好ましくは1〜8質量%である。
さらに本発明のグリースでは、上記のような複合体リチウム石けんとポリウレア化合物を上記の量(質量%)で配合し、かつ質量比で 9.5:0.5 〜 5:5 配合することが、せん断安定性と熱酸化安定性(熱履歴によるちょう度変化の抑制)の両面から肝要である。複合体リチウム石けんとポリウレア化合物の配合比率は、好ましくは 9.5:0.5 〜 6:4 、より好ましくは 9.5:0.5 〜 7:3 、特に好ましくは 9:1 〜 7:3 である。
なお、ポリウレア化合物の複合体リチウム石けんに対する配合比率が上記比率(複合体リチウム石けん:ポリウレア化合物=9.5:0.5)を超えて多く配合すると、ちょう度が硬くなり、トルクが増大してしまう。ポリウレア化合物は熱酸化安定性とせん断安定性は高いものの、高温下で硬くなる性質があるためである。一方、複合体リチウム石けんのポリウレア化合物に対する配合比率が上記比率を超えて多く配合すると、熱酸化安定性とせん断安定性が不十分となり、長期使用でちょう度がやわらかくなりすぎたり、劣化しやすくなってしまう。
さらに、本発明のグリースにおいては、混和ちょう度を130〜340とし、好ましくは130〜295にする。混和ちょう度が340より高い場合、せん断安定性が低下し、130より低い場合、熱履歴を受けると硬化する傾向が強くなる、すなわち熱酸化安定性が悪くなる。なお、混和ちょう度は、JIS K 2220に基づき測定した値である。
<基油>
本発明のグリース組成物に含まれる基油としては、通常のグリースに使用される鉱油系潤滑油基油、合成系潤滑油基油、またはこれらの混合系のものなどの種々の潤滑油基油を用いることができる。これらの基油の40℃における動粘度の値は1〜1000mm/sが好ましく、特に好ましくは1〜500mm/sである。基油の動粘度の値が、1〜1000mm/sであれば、特にホイールベアリングに使用するグリースとして好適となる。
−鉱油系潤滑油基油−
鉱油系潤滑油基油(単に「鉱油」という場合がある。)としては、例えば原油の潤滑油留分を溶剤精製、水素化精製など適宜組み合わせて精製した水素化精製鉱油が挙げられる。
−合成系潤滑油基油−
合成系潤滑油基油(単に「合成油」という場合がある。)としては、例えばジフェニルエーテル、ポリオールエステル、コンプレックスエステル、炭素数3〜12のα−オレフィンの重合体であるα−オレフィンオリゴマー、炭素数9〜40のアルキル基を有するアルキルベンゼン類、ブチルアルコールをプロピレンオキシドと縮合させることにより得られるポリグリコールなどのポリグリコール類などが挙げられる。
なお、基油の配合量は、潤滑性、熱酸化安定性、せん断安定性など、本発明のグリース組成物としての効果を確実に発揮するため、グリース全量に対し、好ましくは50〜95質量%、より好ましくは60〜95質量%、特に好ましくは70〜92質量%である。
本発明のグリースにおいて熱酸化安定性をより向上させるためには、基油として、さらに下記式(2)で表されるアルキル化ジフェニルエーテル、炭素数4〜18の脂肪族カルボン酸と3価又は4価の多価アルコールから合成されるネオペンチル型ポリオールエステル油、及び炭素数4〜18の脂肪族モノカルボン酸と炭素数3〜18の脂肪族ジカルボン酸と3価又は4価の多価アルコールから合成されるコンプレックス型ポリオールエステル油から選ばれる少なくとも一種を、グリース全量に対し、25質量%以上配合することが好ましい。これらの基油の配合量を25質量%以上とすることで、熱酸化安定性の向上効果を高めることができる。なお、この配合量は、より好ましくは35質量%以上95質量%以下、更に好ましくは40質量%以上95質量%以下である。
Figure 2009046625
式(2)において、R〜R14はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基であり、かつR〜R14のうち少なくとも1つは炭素数8〜22の炭化水素基、好ましくは炭素数8〜20の炭化水素基、特に好ましくは炭素数12〜18の炭化水素基である。なお、R〜R14のうち少なくとも1つの炭化水素基が炭素数8〜22でない場合、固形物となり、基油として使用することができない。また、R〜R14の個々の炭素数が少なすぎると増ちょう剤の分散性を悪くする傾向にあり、炭素数が大きすぎると基油の流動性が悪くなる傾向がある。そのため、R〜R14のうち、炭素数8〜22の炭化水素基であるものは1〜4個であることが好ましく、1〜2個が特に好ましい。さらに、その他のR〜R14は水素原子であることが好ましい。
ネオペンチル型ポリオールエステル油については、これを合成するために使用される炭素数4〜18の脂肪族カルボン酸として、酪酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、2−エチルヘキシル酸、イソオクタン酸、ノナン酸、デカン酸、イソデカン酸、ステアリン酸等が挙げられる。好ましい脂肪族カルボン酸の炭素数は6〜12である。また、上記ネオペンチル型ポリオールエステル油を合成するために使用される3価又は4価の多価アルコールは、4価のアルコールが好ましい。具体例としては、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
コンプレックス型ポリオールエステル油(コンプレックスエステル)としては、炭素数4〜18の脂肪族モノカルボン酸と、炭素数3〜18の脂肪族ジカルボン酸と、3価又は4価の多価アルコールから合成されるコンプレックス型ポリオールエステル油か挙げられる。
ここで用いる脂肪族モノカルボン酸の好ましい炭素数は6〜12である。上記モノカルボン酸としては、例えば、ヘキサン酸、オクタン酸、2−エチルヘキシル酸、イソオクタン酸、ノナン酸、デカン酸、イソデカン酸、ステアリン酸等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸の好ましい炭素数は4〜16であり、より好ましくは4〜12である。上記ジカルボン酸としては、例えばコハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等が挙げられる。
また、コンプレックスエステルを合成する多価アルコールとしては、例えばネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
<その他の成分>
本発明に係るグリース組成物は、必要に応じて、各種添加剤(任意成分)を適宜配合することもできる。
添加剤としては、例えば、アルカリ土類金属スルホネート、アルカリ土類金属フェネート、アルカリ土類金属サリシレートなどの金属系清浄剤;アルケニルこはく酸イミド、アルケニルこはく酸イミド硼素化変性物、ベンジルアミン、アルキルポリアミンなどの分散剤;硫化オレフィン、硫化油脂、硫化エステル、ポリサルファイドなどの極圧剤;2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールなどのアルキルフェノール類、4,4’−メチレンビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)などのビスフェノール類、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェノール)プロピオネートなどのフェノール系化合物、ナフチルアミン類やジアルキルジフェニルアミン類などの芳香族アミン化合物などの各種酸化防止剤;重質スルホン酸の金属塩、多価アルコールのカルボン酸部分エステルなどの各種錆止め剤;ベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾールなどの各種腐食防止剤などが挙げられる。
これらの添加剤は、1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、これらの添加剤の配合量は、それぞれの添加剤による効果を発揮しつつ、グリース組成物のせん断安定性及び熱酸化安定性の低下を防ぐため、グリース組成物全量に対して0.01〜10質量%、より好ましくは0.05〜10質量%、さらに好ましくは0.05〜8質量%の範囲内とする。
以上のような組成により構成される本発明に係るグリース組成物は、せん断安定性及び熱酸化安定性に優れており、特に高温、高速条件下で使用されるホイールベアリングに好適に使用することができる。
次に、本発明に係るグリース組成物の実施例及び比較例について説明する。なお、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。
<実施例1〜6及び比較例1〜5>
実施例及び比較例では、以下に示す*1〜*10の成分(*1〜*4:増ちょう剤、*5〜*9:基油、*10:酸化防止剤)を、それぞれ表1及び表2に示した配合量(質量%)の割合で含有させたグリース組成物を調製した。*1〜*10のうちの増ちょう剤は、その増ちょう剤の原料を基油に混合して、基油中でその原料を反応させて増ちょう剤にして、結果として*1〜*10の各成分を含有するグリース組成物を調製した。なお、グリース組成物は、*1〜*10の各成分を適宜混合し、ミル処理を行ってグリース中に増ちょう剤を均一に分散させ、調製した。
得られたグリース組成物は、それぞれの混和ちょう度、せん断安定性、熱酸化安定性について評価を行った。
*1:複合体リチウム石けん
耐熱容器に基油と、12−ヒドロキシステアレートを投入し、加熱する。次に、水酸化ナトリウム水溶液を80℃付近で添加し、けん化反応によりリチウム−12−ヒドロキシステアレートを生成させる。さらに約90℃付近で水酸化リチウムとアゼライン酸を加えて2時間反応させ、複合体リチウム石けんを生成させる。その後、これを加熱し、半溶融させた後、急冷を行うことによって、複合体リチウム石けんの結晶を最適なものとし、リチウム−12−ヒドロキシステアレート/アゼライン酸リチウム塩の複合体リチウム石けんを基油中に均一に混合分散させたリチウムグリースを調製した。
*2:脂肪族ジウレア
耐熱容器に表中の各基油とジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネートを投入し、加熱し、次に、オクチルアミンを約60℃付近で添加し、約40分間反応させた。その後、撹拌しながら170℃に加熱した後、基油を添加し、冷却を行い、ミル処理を行った。これによりジウレアの結晶を最適なものとし、基油中にジウレアを混合分散させたグリースを調製した。このジウレアは、前記式(1)中、y=0、R及びRは炭素数8の脂肪族炭化水素基、Rは炭素数13の芳香族炭化水素基である。
*3:脂環式ジウレア
耐熱容器に表中の各基油とジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネートを投入し、加熱し、次に、シクロヘキシルアミンを約60℃付近で添加し、約40分間反応させた。その後、撹拌しながら110℃に加熱した後に、基油を添加し、冷却を行い、ミル処理を行った。これによりジウレアの結晶を最適なものとし、基油中に混合分散させたグリースを調製した。このジウレアは、前記式(1)中、y=0、R及びRは炭素数6の脂環式炭化水素基、Rは炭素数13の芳香族炭化水素基である。
*4:リチウム石けん
耐熱容器に基油とリチウム−12−ヒドロキシステアレート(堺化学製;商品名;S7000H)を投入して加熱し、溶解させた。次いで、基油を添加し、急冷を行うことによりリチウム−12−ヒドロキシステアレートの結晶を最適なものとし、リチウム−12−ヒドロキシステアレートを基油中に均一に混合分散させたリチウム石けんグリースを調製した。
*5:水素化精製鉱油
40℃の動粘度:100mm/s
*6:ポリアルファオレフィン(PAO)
100℃の動粘度:8mm/s
*7:アルキル化ジフェニルエーテル
商品名「モレスコハイルーブLB−100」、松村石油(株)製。式(2)におけるR〜R14のうち、2つは炭素数12〜18の炭化水素基であり、その他は水素原子である。
*8:ポリオールエステル(ネオペンチル型ポリオールエステル油)
ペンタエリスリトールと炭素数8〜10の脂肪族カルボン酸とのテトラエステル。
*9:コンプレックスエステル(コンプレックス型ポリオールエステル油)
ペンタエリスリトール、炭素数8〜10の脂肪族カルボン酸、及びアジピン酸から合成されたコンプレックスエステル。
*10:ジフェニルアミン(アミン系酸化防止剤)
<測定方法>
(1)混和ちょう度
JIS K 2220に基づき測定した。
(2)せん断安定性
シェルロール試験(ASTM D 1831)により行った。試験条件は、グリース50gを試験容器に入れ、試験温度130℃、回転数165rpm、試験時間90hで行った。評価は、試験前後のちょう度変化(試験後ちょう度−試験前ちょう度)で行った。試験前後のちょう度変化が少ないほど、せん断安定性に優れている。
(3)熱酸化安定性
薄膜加熱試験により熱酸化安定性を評価した。具体的には、鋼板にグリースを2mmの厚さに均一に塗り、160℃の恒温槽で200時間静置後の混和ちょう度を測定した。本試験は、高温・酸化条件下での、ちょう度変化と酸価の変化を評価するものである。ちょう度変化は少ないほど、また酸価の増加が小さいほど性能が優れている(酸価はグリース成分の分解等によるもので劣化の指標となる)。評価は、下記のとおり算出して行った。
・ちょう度変化=(試験後ちょう度)−(試験前ちょう度)
・酸価変化=(試験後酸価)−(試験前酸価)
実施例及び比較例の組成及び評価結果をそれぞれ表1及び表2に示す。
Figure 2009046625
Figure 2009046625
実施例1〜6のグリース組成物では、せん断安定性試験及び熱酸化安定性試験のいずれもちょう度変化及び酸価増加が小さく、せん断安定性及び熱酸化安定性の両方に優れることがわかる。一方、比較例1〜5では、せん断安定性試験及び熱酸化安定性試験のいずれか一方でちょう度変化あるいは酸価増加が大きく、せん断安定性及び熱酸化安定性の両方に優れるものはなかった。
以上、本発明のグリース組成物について説明したが、本発明は上記実施形態及び上記実施例に限定されるものではない。例えば、本発明に係るグリース組成物は、自動車等のホイールベアリングへの使用に限定されず、高速、高温下で使用される他のベアリングやボールジョイント等にも好適に使用することができる。

Claims (3)

  1. 基油及び増ちょう剤を含むグリース組成物であって、
    前記基油として、鉱油及び合成油の少なくとも一方を含有し、
    前記増ちょう剤として、グリース全量に対し、複合体リチウム石けんを2〜20質量%及び下記式(1)で表されるポリウレア化合物を0.5〜10質量%含有し、かつ、前記複合体リチウム石けんと前記ポリウレア化合物の配合比率が質量比で9.5:0.5〜5:5であり、混和ちょう度が130〜340であることを特徴とするグリース組成物。
    -NH-(CONH-R-NHCONH-RNH)y-CONH-R-NHCONH-R (1)
    (式(1)中、yは0〜3の整数で、R、R、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜30の炭化水素基である。)
  2. 前記基油として、下記式(2)で表されるアルキル化ジフェニルエーテル、炭素数4〜18の脂肪族カルボン酸と3価又は4価の多価アルコールから合成されるネオペンチル型ポリオールエステル油、及び炭素数4〜18の脂肪族モノカルボン酸と炭素数3〜18の脂肪族ジカルボン酸と3価又は4価の多価アルコールから合成されるコンプレックス型ポリオールエステル油から選ばれる少なくとも一種を、グリース全量に対し、25質量%以上含有することを特徴とする請求項1記載のグリース組成物。
    Figure 2009046625

    (式(2)中、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13及びR14は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基であり、R〜R14のうち、少なくとも1つは炭素数8〜22の炭化水素基である。)
  3. ホイールベアリングに使用することを特徴とする請求項1または請求項2記載のグリース組成物。
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