JP2017171717A - 非延焼性グリース組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係るグリース組成物は、基油と、増ちょう剤とを含有し、非延焼性を有するグリースであって、基油は、合成油と、鉱物油とから構成されており、合成油として、少なくともコンプレックスエステルを含み、鉱物油の含有量が、組成物中において20質量%未満である、ことを特徴とする非延焼性に優れたグリース組成物である。
【選択図】なし
Description
本実施の形態に係るグリース組成物は、基油と、増ちょう剤とを含有するものであり、非延焼性を有するグリース組成物(以下、「非延焼性グリース組成物」、または単に「グリース組成物」ともいう)である。ここで、「非延焼性」とは、着火せず、あるいは着火した場合でも燃え拡がりを抑制することができる性質をいう。具体的に、非延焼性については、そのグリースに対して、例えば後述する実施例にて行ったような、高温に加熱した鋼球等の加熱物を接触させる非延焼性試験によって評価することができる。
基油は、グリース組成物の主成分をなすものである。本実施の形態に係る非延焼性グリース組成物においては、基油として、合成油と鉱物油とから構成される。ここで、「合成油」とは化学的に合成された油であり、一方で、「鉱物油」とは天然の原油から分離、蒸留、精製されて得られる油である。
(コンプレックスエステル)
コンプレックスエステルとは、例えば、1価アルコール及び多価アルコールと、多塩基酸とを原料として合成されるエステルである。本実施の形態において、コンプレックスエステルとしては、特に限定されないが、脂肪族1価アルコール及び脂肪族多価アルコールと、直鎖状又は分岐状の脂肪族モノカルボン酸、直鎖状又は分岐状の脂肪族二塩基酸あるいは芳香族二塩基酸、三塩基酸、四塩基酸とからなるコンプレックスエステルを好適に使用することができる。
また、この非延焼性グリース組成物において、基油である合成油として、コンプレックスエステルとポリアルファオレフィンとの混合物により構成されるものであることが好ましい。このように、コンプレックスエステルとポリアルファオレフィンとの混合油を合成油として含有させることで、効率的にグリース組成物を調製することができ、またより優れた非延焼性を発揮させることができる。
上述したように、基油成分中における合成油として、コンプレックスエステルとポリアルファオレフィンとの混合油を用いる場合、その混合比率としては、特に限定されないが、質量比でコンプレックスエステル:ポリアルファオレフィン=30:70〜70:30とすることが好ましく、40:60〜60:40とすることが好ましく、50:50とすることがより好ましい。
また、合成油として、ナフタレン化合物、アルキルベンゼン等の炭化水素系油、ポリアルキレングリコール、ポリビニルエーテル、ケトン、ポリフェニルエーテル、シリコーン、ポリシロキサン、パーフルオロエーテル等の含酸素合成油などを含有させることもできる。
本実施の形態に係る非延焼性グリース組成物では、上述したように合成油として少なくともコンプレックスエステルを含有していることにより、基油成分としては鉱物油も特定の割合で含有させることができる。これにより、優れた非延焼性を発揮しながら、潤滑性を向上させることができる。また、基油成分の一部を鉱物油により構成することで、グリース組成物を安価に製造することができる。
グリース組成物中における基油の含有量、すなわち合成油と鉱物油とを合わせた基油成分の含有割合としては、特に限定されないが、グリース組成物中に60質量%〜95質量%程度の割合とすることができる。
増ちょう剤は、上述した基油と共にグリース基剤を構成し、油を保持する成分であり、従来から一般的に使用されているものを用いることができる。
本実施の形態に係る非延焼性グリース組成物には、添加剤として固体潤滑剤を含有させることができる。このように固体潤滑剤を含有させることによって、耐荷重性等の優れた潤滑性を発揮させながら、非延焼性を有するグリース組成物とすることができる。
また、本実施の形態に係る非延焼性グリース組成物には、添加剤としてフェノール系酸化防止剤を含有させることができる。フェノール系酸化防止剤は、優れた難燃性を有する成分である。そのメカニズムは明らかではないが、フェノール系酸化防止剤を配合させることで、より優れた非延焼性を発揮させることができる。
本実施の形態に係るグリース組成物においては、上述した各成分のほか、グリースに一般的に用いられている各種添加剤を、非延焼性の作用を阻害しない範囲でさらに配合させることができる。具体的には、フェノール系酸化防止剤以外の酸化防止剤、防錆剤、油性剤、極圧剤、耐摩耗剤、金属不活性剤、ポリマー、金属系清浄剤、非金属系清浄剤、着色剤、撥水剤等が挙げられる。
本実施の形態に係る非延焼性グリース組成物は、合成油と特定量の鉱物油とから構成される基油と、増ちょう剤とを含有し、具体的にその基油を構成する合成油としては少なくともコンプレックスエステルを含む。
以下、本発明の実施例を示してより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
実施例、比較例において、下記表1に示す組成となるようにグリース組成物を製造し、非延焼性等についての評価を行った。
<基グリース>
・リチウム複合石鹸グリース
メタロセンPAOを基油とし、リチウム複合石鹸を増ちょう剤として含有するグリース
<合成油(基油)>
・ポリアルファオレフィン:メタロセンPAO(40℃動粘度:400mm2/s)
メタロセン触媒を用いた重合させたポリアルファオレフィン
・コンプレックスエステル:
ネオペンチルグリコールと、ダイマー酸と、2−エチルヘキシルアルコールとをエステル化反応して得られたもの
<鉱物油(基油)>
・ブライトストック(JX製BS):スーパーオイルB460
・JX製N500:スーパーオイルB100
<フェノール系酸化防止剤>
・ヘキサメチレンビス[3−(3,5−di−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
(非延焼性試験)
非延焼性の評価は、φ85mmの円形のブリキ製皿(深さ11mm)に、作製したグリース組成物10gを均一に詰め、電気炉中で900℃に加熱した3/4インチJIS玉軸受鋼球をその中央入れて、消火した時点での延焼距離を縦方向と横方向とで測定してその平均値(mm)を求めた。
燃焼試験は、非延焼性試験と同様に、φ85mm×深さ11mmのブリキ製皿に、作製したグリース組成物10gを均一に詰め、電気炉中で900℃に加熱した3/4インチJIS玉軸受鋼球をその中央に入れて、消火するまでの時間(秒)を測定した。
上述した非延焼性試験と燃焼試験の結果から、下記表1の評価欄において、非延焼性に優れる場合を「○」とし、非延焼性が無い(十分ではない)場合を「×」として表記し、実施例、比較例にて作製したグリース組成物について評価した。
潤滑性の評価として、耐荷重性試験を実施した。耐荷重性試験としては、ASTM D 2596により規定された方法に基づいてシェル式四球試験を実施し、融着荷重(WL、N)を測定した。下記表1の評価欄において、その融着荷重の測定結果から、耐荷重性が良好であったものを「○」とし、それよりもやや耐荷重性が劣ったものを「△」として表記した。なお、この耐荷重性試験においては、融着荷重が2452N以上であると、実用上、耐荷重性が特に良好であるといえる。
Claims (8)
- 基油と、増ちょう剤とを含有し、非延焼性を有するグリースであって、
前記基油は、合成油と、鉱物油とから構成されており、
前記合成油として、少なくともコンプレックスエステルを含み、
前記鉱物油の含有量が、組成物中において20質量%未満である
非延焼性グリース組成物。 - 前記コンプレックスエステルの含有量は、組成物中において5質量%以上50質量%以下である
請求項1に記載の非延焼性グリース組成物。 - 前記合成油は、コンプレックスエステルと、ポリアルファオレフィンとの混合物である
請求項1又は2に記載の非延焼性グリース組成物。 - 前記ポリアルファオレフィンは、40℃動粘度が400mm2/s以上である
ことを特徴とする請求項3に記載の非延焼性グリース組成物。 - 前記基油を構成するコンプレックスエステルは、ネオペンチルグリコールと、ダイマー酸と、2−エチルヘキシルアルコールとをエステル化反応して得られたものである
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の非延焼性グリース組成物。 - 添加剤として固体潤滑剤を含有し、
前記固体潤滑剤は、グラファイト又は炭酸カルシウムである
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の非延焼性グリース組成物。 - 添加剤としてフェノール系酸化防止剤を含有する
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の非延焼性グリース組成物。 - 前記増ちょう剤は、リチウム複合石けんである
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の非延焼性グリース組成物。
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2016
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