JP6051097B2 - グリースの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、グリースの製造方法およびグリースに関する。
カルシウムスルホネートコンプレックスグリースは、耐熱性や耐水性に優れるため、自動車のエンジン周辺の摺動部に使用されるほか、圧延機等の軸受やアウトドアで使用される機器などに使用されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
このようなカルシウムスルホネートコンプレックスグリースの製造方法はよく知られている。具体的には、基油に分散させた過塩基性カルシウムスルホネートに水、水溶性の有機溶媒(例えば、メタノール、イソプロパノール、メチルセルソルブ、およびヘキシレングリコール等)、高級脂肪酸、および低級脂肪酸を加えて加熱・撹拌することで容易にグリース状液体が得られる。そしてこのグリース状液体を100℃以上に加熱して水および有機溶媒を除去することにより最終的にグリースが得られる。
特開2006−335286号公報 特開2007−084620号公報 特開2010−031123号公報
一方、上記した有機溶媒の除去方法では、引火性や中毒性などの危険を伴う。それ故、有機溶媒を環境より回収する必要がある。しかし、メタノールやイソプロパノールなどの低沸点溶媒は引火性および爆発性が高く、防爆構造など専用の装置を導入しなければ安全に取り扱うことができず、グリース製造コストも過大となる。一方、ヘキシレングリコールなどの高沸点溶媒は、引火性や爆発性は低いものの蒸発に高温・長時間を要し生産効率の低下を招いたり、過剰な加熱によるグリースの劣化を引き起こすおそれがある。
本発明の目的は、水溶性有機溶媒を使用せず、引火や中毒の問題を生じないグリースの製造方法、およびその製造方法で得られたグリースを提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究した結果、脂肪族基を有する芳香族スルホン酸を増ちょう剤として使用することで水溶性有機溶媒を使用せずにグリース化が可能であることを見い出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下に示すようなグリースの製造方法、およびグリースを提供するものである。
(1)炭素数が10以上16以下のアルキル基または炭素数が10以上16以下のアルケニル基を有する芳香族スルホン酸のカルシウム塩を増ちょう剤として使用し、水溶性有機溶媒(ただし、水溶性の一塩基脂肪酸および水溶性の二塩基脂肪酸を除く)を使用しないでグリース化することを特徴とするグリースの製造方法。
(2)上述の(1)に記載のグリースの製造方法において、前記芳香族スルホン酸がベンゼンスルホン酸であることを特徴とするグリースの製造方法。
(3)上述の(1)または2)に記載のグリースの製造方法において、増ちょう剤として過塩基性アルキルベンゼンスルホン酸カルシウムを併用することを特徴とするグリースの製造方法。
)上述の()に記載のグリースの製造方法において、前記過塩基性アルキルベンゼンスルホン酸カルシウムのアルキル基の炭素数が10以上24以下であることを特徴とするグリースの製造方法。
)上述の()または()に記載のグリースの製造方法において、前記過塩基性アルキルベンゼンスルホン酸カルシウムの塩基価が100mgKOH/g以上であることを特徴とするグリースの製造方法。
)上述の(1)から()までのいずれか1つに記載のグリースの製造方法において、さらに炭素数が8以上20以下である一塩基性脂肪酸を配合することを特徴とするグリースの製造方法。
)上述の(1)から()までのいずれか1つに記載のグリースの製造方法において、さらに二塩基性脂肪酸および酢酸の少なくともいずれかを配合することを特徴とするグリースの製造方法。
)上述の(1)から()までのいずれか1つに記載のグリースの製造方法において、混和ちょう度が220以上、385以下であるグリースを製造することを特徴とするグリースの製造方法
本発明のグリースの製造方法によれば、グリース化するときに水溶性有機溶媒を使用しないため、グリース化工程において当該有機溶媒による中毒や引火の問題を生じない。本発明は特に、カルシウムスルホネートコンプレックスグリースの製造方法として好適である。
本発明のグリースの製造方法(以下、「本製造方法」ともいう。)は、脂肪族基を有する芳香族スルホン酸のカルシウム塩を増ちょう剤として使用し、水溶性有機溶媒を使用しないでグリース化することを特徴とする。以下、詳細に説明する。
[基油]
本製造方法で用いられる基油としては、特に限定はなく、通常のグリース製造に使用される鉱油や合成油が挙げられる。これらは、単独で、または混合物として使用することができる。
鉱油としては、減圧蒸留、油剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、硫酸洗浄、白土精製、および水素化精製等を適宜組み合わせて精製したものを用いることができる。
ここで、カルシウムスルホネートコンプレックスグリースを製造する場合は、基油として鉱油を用いることが好ましい。また、鉱油の40℃動粘度は、10mm/s以上600mm/s以下であることが好ましい。
合成油としては、炭化水素系合成油、エステル系油、エーテル系油などが挙げられる。
炭化水素系合成油としては、例えば、芳香族系油として、モノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼン等のアルキルベンゼン、あるいはモノアルキルナフタレン、ジアルキルナフタレン、ポリアルキルナフタレン等のアルキルナフタレン等が挙げられる。脂肪族系油としては、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、ポリブテン、ポリイソブチレン、オレフィン系オリゴマー(1−デセンオリゴマーや1−デセンとエチレンのコオリゴマー等)が挙げられる。
エステル系油としては、ジブチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、ジオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジトリデシルグルタレート、メチル・アセチルシノレート等のジエステル油、あるいはトリオクチルトリメリテート、トリデシルトリメリテート、テトラオクチルピロメリテート等の芳香族エステル油、更にはトリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンベラルゴネート、ペンタエリスリトール−2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールベラルゴネート等のポリオールエステル油、さらには、多価アルコールと二塩基酸・一塩基酸の混合脂肪酸とのオリゴエステルであるコンプレックスエステル油等が挙げられる。
エーテル系油としては、モノアルキルトリフェニルエーテル、アルキルジフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル、ペンタフェニルエーテル、テトラフェニルエーテル、モノアルキルテトラフェニルエーテル、およびジアルキルテトラフェニルエーテル等のフェニルエーテル油が挙げられる。
[増ちょう剤]
本製造方法で用いられる増ちょう剤は、脂肪族基を有する芳香族スルホン酸のカルシウム塩である。このカルシウム塩は、基油と水の双方に親和性が高いので単なる増ちょう剤としてではなく、いわば界面活性剤的な役割も果たすことができる。従来、増ちょう剤が溶けている基油と水との親和性を向上させるために、グリース化工程では水溶性有機溶媒を添加してきたが、本製造方法では、当該溶媒の代わりに前記した特定のカルシウム塩を用いている。
なお、従来用いられていた水溶性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、へキシレングリコール、メチルセルソルブ、エチレングリコール、およびペンタンジオールなどが挙げられる。
増ちょう剤として用いられる前記芳香族スルホン酸のカルシウム塩の脂肪族基としては基油との親和性、安定性の観点よりアルキル基またはアルケニル基が好ましく、特にアルキル基がより好ましい。
前記したアルキル基やアルケニル基の炭素数としては、基油との親和性の観点より10以上16以下が好ましい。また、前記芳香族スルホン酸としては、増ちょう剤としての効果の観点よりベンゼンスルホン酸を用いることが好ましい。
前記した芳香族スルホン酸のカルシウム塩の配合量としては、増ちょう剤としての効果の観点よりグリース全量基準で5質量%以上30質量%以下が好ましく、8質量%以上20質量%以下がより好ましい。
また、増ちょう剤としては過塩基性アルキルベンゼンスルホン酸カルシウムを併用することが好ましい。この過塩基性アルキルベンゼンスルホン酸カルシウムとしては、いわゆるカルシウムスルホネートコンプレックスグリースを製造する際に用いられるものが好ましい。なお、この過塩基性アルキルベンゼンスルホン酸カルシウムは、前記した脂肪族基を有する芳香族スルホン酸のカルシウム塩とは異なり、水に対する親和性はない。
前記した過塩基性アルキルベンゼンスルホン酸カルシウムのアルキル基の炭素数は、基油への溶解性の観点より10以上24以下であることが好ましい。また前記した過塩基性アルキルベンゼンスルホン酸カルシウムの塩基価(JIS K 2501に準拠した過塩素酸法による塩基価)は、増ちょう効果の観点から、100mgKOH/g以上であることが好ましく、200mgKOH/g以上であることがより好ましく、300mgKOH/g以上であることがさらに好ましい。一方、基油への溶解性の観点より、この塩基価は500mgKOH/g以下であることが好ましい。
前記した過塩基性アルキルベンゼンスルホン酸カルシウムの配合量としては、増ちょう剤としての効果の観点よりグリース全量基準で10質量%以上50質量%以下が好ましく、15質量%以上40質量%以下がより好ましい。
[他の配合成分]
本製造方法では、得られるグリースの混和ちょう度を制御する観点より、炭素数が8以上20以下である一塩基性脂肪酸をさらに配合することが好ましい。
このような一塩基性脂肪酸としては、例えば、12−ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミスチリン酸、ラウリン酸、カプリン酸、アラギン酸、オレイン酸、リノレン酸、およびそれらの混合物などが好ましく挙げられる。
上記した一塩基性脂肪酸の配合量としては、適度な混和ちょう度を得る観点よりグリース全量基準で0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、0.5質量%以上5質量%以下がより好ましい。
本製造方法では、さらに二塩基性脂肪酸および酢酸の少なくともいずれかを配合することが好ましい。
二塩基性脂肪酸を配合することで、得られたグリースの耐熱性を上げることが可能となる。二塩基性脂肪酸としては、例えば、アゼライン酸、セバシン酸、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸、マロン酸、およびシュウ酸、などが好ましく挙げられる。
上記した二塩基性脂肪酸の配合量としては、効果の観点よりグリース全量基準で0.5質量%以上10質量%以下が好ましく、1質量%以上5質量%以下がより好ましい。
また、酢酸を配合することで、グリース化をより促進させることが可能となる。酢酸の配合量としては、効果の観点よりグリース全量基準で0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、0.5質量%以上5質量%以下がより好ましい。
[グリースの製造方法およびグリース]
本製造方法では、基油と前記した増ちょう剤を用いてグリース化を行うが、水溶性有機溶媒を配合しないことを除けば、従来のグリース製造方法がそのまま採用できる。
例えば、基油に分散させた脂肪族基を有する芳香族スルホン酸に水、水酸化カルシウム、過塩基性アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム、高級脂肪酸、および低級脂肪酸などを加えて加熱・撹拌すれば容易にグリース状液体を得ることができる。そしてこのグリース状液体を100℃以上に加熱して水を除去することにより最終的にグリースが得られる。この例の場合は、いわゆるカルシウムスルホネートコンプレックスグリースとなる。
本発明のグリースは、混和ちょう度が220以上、385以下(JIS K 2220.7準拠)であることが好ましい。混和ちょう度が220以上であると、グリースが硬くないため低温始動性が良好である。一方、混和ちょう度が385以下であると、グリースが軟らかすぎることなく潤滑性が良好である。
本発明のグリースは、製鉄装置、抄紙機、自動車用部品、建設機械、風車用軸受・旋回装置、減速機、軸受、スプライン、および等速ジョイントなどに好ましく使用できる。
[添加剤]
本発明のグリースには、本発明の効果を損なわない範囲で種々の添加剤を配合することができる。このような添加剤としては、酸化防止剤、極圧剤、防錆剤、および固体潤滑剤などが挙げられる。
酸化防止剤としては、例えばアルキル化ジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、およびアルキル化−α−ナフチルアミン等のアミン系酸化防止剤、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、および4,4 −メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)等のフェノール系酸化防止剤などが挙げられる。これらの酸化防止剤の好ましい配合量は、グリース全量基準で0.05質量%以上2質量%以下程度である。
極圧剤としては、ジアルキルジチオリン酸亜鉛,ジアルキルジチオリン酸モリブデン,無灰系ジチオカーバメートや亜鉛ジチオカーバメート、モリブデンジチオカーバメートなどのチオカルバミン酸類、硫黄化合物(硫化油脂、硫化オレフィン、ポリサルファイド、硫化鉱油、チオリン酸類、チオテルペン類、ジアルキルチオジピロピオネート類等)、リン酸エステル、亜リン酸エステル(トリクレジルホスフェート、トリフェニルフォスファイト等)などが挙げられる。極圧剤の好ましい配合量はグリース全量基準で0.1質量%以上、5質量%以下程度である。
防錆剤としては、ベンゾトリアゾール、ステアリン酸亜鉛、コハク酸エステル、コハク酸誘導体、チアジアゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール誘導体、亜硝酸ナトリウム、石油スルホネート、ソルビタンモノオレエート、脂肪酸石けん、およびアミン化合物などが挙げられる。防錆剤の好ましい配合量は、グリース全量基準で0.01質量%以上10質量%以下程度である。
固体潤滑剤としては、ポリイミド、PTFE、黒鉛、金属酸化物、窒化硼素、メラミンシアヌレート(MCA)、および二硫化モリブデンなどが挙げられる。
以上のような各種添加剤は、単独で、または数種組み合わせて配合してもよい。
実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの記載内容に何ら制限されるものではない。
具体的には、以下に示すように種々の条件でグリースを製造し、グリース化したものについては、混和ちょう度を測定するとともに赤外線吸収スペクトル(IR)を測定した。ちなみに、カルシウムスルホネートコンプレックスグリースのグリース化確認には、一般にIRが使用されている。過塩基性カルシウムスルホネート原料は860〜865cm−1に炭酸カルシウムの吸収ピークを持つが、ミセル構造が改質されグリース化すると炭酸カルシウムがカルサイト構造となり、炭酸カルシウムの吸収ピークが880〜890cm−1にシフトする。
〔実施例1〕
500mLセパラブルフラスコに基油(鉱油 40℃動粘度:90mm/s)40g、ドデシルベンゼンスルホン酸25g、水酸化カルシウム8.2g、および水10gを加え室温で20分、80rpmで撹拌した。この混合液に対し、過塩基性カルシウムスルホネート(塩基価400mgKOH/g)50g、12−ヒドロキシステアリン酸4.0g、酢酸2.0g、アゼライン酸2.0g、および鉱油(上述)65gを追加して80℃で3時間加熱した。
その後、120℃で30分間加熱し水を蒸発させたのち、さらに温度を160℃に上げて1時間加熱した。
室温まで冷却を行った後、酸化防止剤を4.0g加え、ロールミルに2回かけてグリースを得た。得られたグリースの混和ちょう度を測定し(JIS K 2220.7に準拠)、IRによりカルサイト構造の特徴ピークを確認した。グリース製造用組成物の配合組成、得られたグリースの混和ちょう度、およびIR測定結果を表1に示す。
〔実施例2〕
ドデシルベンゼンスルホン酸を17g、2度目に加える鉱油を73gとした以外は、実施例1と同様にしてグリースを製造した。グリース製造用組成物の配合組成、得られたグリースの混和ちょう度、およびIR測定結果を表1に示す。
〔実施例3〕
ドデシルベンゼンスルホン酸を17g、過塩基性カルシウムスルホネートを42g、2度目に加える鉱油を81gとした以外は、実施例1と同様にしてグリースを製造した。グリース製造用組成物の配合組成、得られたグリースの混和ちょう度、およびIR測定結果を表1に示す。
〔実施例4〕
ドデシルベンゼンスルホン酸を10g、過塩基性カルシウムスルホネートを80g、2度目に加える鉱油を38gとした以外は、実施例1と同様にしてグリースを製造した。グリース製造用組成物の配合組成、得られたグリースの混和ちょう度、およびIR測定結果を表1に示す。
〔比較例1〕
500mLセパラブルフラスコに、鉱油94g、過塩基性カルシウムスルホネート96g、酢酸2g、12−ヒドロキシステアリン酸8g、ヘキシレングリコール4g、および水10gを加えた。この混合液を80rpmで撹拌しながら80℃で1時間加熱した後、温度を120℃に上げ30分加熱した。その後、180℃に温度を上げ、1時間半以上加熱し、ヘキシレングリコールが飛びきったことを確認して加熱を終了した。
室温まで冷却を行った後、酸化防止剤を4.0g加え、ロールミルに2回かけてグリースを得た。得られたグリースの混和ちょう度を測定し、IRによりカルサイト構造の特徴ピークを確認した。グリース製造用組成物の配合組成、得られたグリースの混和ちょう度、およびIR測定結果を表2に示す。
〔比較例2〕
ヘキシレングリコールを配合しないこと以外は比較例1と同様にしてグリースの製造を試みた。しかし、水溶性有機溶剤を用いていないのでグリース化できなかった。グリース製造用組成物の配合組成、および得られた組成物のIR測定結果を表2に示す。
〔比較例3〕
ヘキシレングリコールを配合せず、水酸化カルシウムを8.0g配合した以外は比較例1と同様にしてグリースの製造を試みた。しかし、水溶性有機溶剤を用いていないのでグリース化できなかった。グリース製造用組成物の配合組成、および得られた組成物のIR測定結果を表2に示す。
〔比較例4〕
ヘキシレングリコールを配合せず、水酸化カルシウムを8.0g配合し、12−ヒドロキシステアリン酸を28g配合した以外は比較例1と同様にしてグリースの製造を試みた。しかし、水溶性有機溶剤を用いていないのでグリース化できなかった。グリース製造用組成物の配合組成、および得られた組成物のIR測定結果を表2に示す。
〔比較例5〕
500mLセパラブルフラスコに、鉱油45g、過塩基性カルシウムスルホネート(ルブリゾール社製 86GR)155g、および水15gを混ぜた。この混合液を80rpmで撹拌しながら80℃で1時間加熱した後、温度を120℃に上げ30分加熱した。その後、180℃に温度を上げ、1時間半以上加熱し、ヘキシレングリコールが飛びきったことを確認して加熱を終了した。以下は比較例1と同様に処理を行った。
Figure 0006051097
Figure 0006051097
〔評価結果〕
比較例1は、カルシウムスルホネートコンプレックスグリースの一般的な製造方法であるが、水溶性有機溶剤であるヘキシレングリコールの除去に高温と長時間を有するため煩雑である。また、比較例2〜4は、比較例1から水溶性有機溶剤を除いた例であるがいずれもグリース化が不可能であった。ちなみに比較例4では、12−ヒドロキシステアリン酸の配合割合を増やすことにより基油(鉱油)と水に対する界面活性剤の役割を期待したがその効果は認められなかった。
また、比較例5は過塩基性カルシウムスルホネートとして市販品を用いた例である。当該製品はカルシウムスルホネートコンプレックス石けん用グリース原料用として販売されているものであり、成分に水溶性有機溶媒としてヘキシレングリコールを含むことがMSDSに記載されている。そのため比較例1と同様、この溶媒を除去するには高温・長時間を必要とする。
これに対して実施例1〜4では、ドデシルベンゼンスルホン酸と水酸化カルシウムが配合されているので反応系内で所定のスルホン酸カルシウム塩となり、鉱油と水の親和性が向上し、グリース化が容易となる。また、水溶性有機溶媒を用いていないことから引火や環境負荷の問題を生じない。

Claims (8)

  1. 炭素数が10以上16以下のアルキル基または炭素数が10以上16以下のアルケニル基を有する芳香族スルホン酸のカルシウム塩を増ちょう剤として使用し、
    水溶性有機溶媒(ただし、水溶性の一塩基脂肪酸および水溶性の二塩基脂肪酸を除く)を使用しないでグリース化する
    ことを特徴とするグリースの製造方法。
  2. 請求項1に記載のグリースの製造方法において、
    前記芳香族スルホン酸がベンゼンスルホン酸である
    ことを特徴とするグリースの製造方法。
  3. 請求項1または請求項に記載のグリースの製造方法において、
    増ちょう剤として過塩基性アルキルベンゼンスルホン酸カルシウムを併用する
    ことを特徴とするグリースの製造方法。
  4. 請求項に記載のグリースの製造方法において、
    前記過塩基性アルキルベンゼンスルホン酸カルシウムのアルキル基の炭素数が10以上24以下である
    ことを特徴とするグリースの製造方法。
  5. 請求項または請求項に記載のグリースの製造方法において、
    前記過塩基性アルキルベンゼンスルホン酸カルシウムの塩基価が100mgKOH/g以上である
    ことを特徴とするグリースの製造方法。
  6. 請求項1から請求項までのいずれか1項に記載のグリースの製造方法において、
    さらに炭素数が8以上20以下である一塩基性脂肪酸を配合する
    ことを特徴とするグリースの製造方法。
  7. 請求項1から請求項までのいずれか1項に記載のグリースの製造方法において、
    さらに二塩基性脂肪酸および酢酸の少なくともいずれかを配合する
    ことを特徴とするグリースの製造方法。
  8. 請求項1から請求項までのいずれか1項に記載のグリースの製造方法において
    和ちょう度が220以上、385以下であるグリースを製造する
    ことを特徴とするグリースの製造方法
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