JP5571924B2 - グリース組成物および該グリース組成物を封入した転がり軸受 - Google Patents

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本発明は各種産業機械や車両等に組み込まれる転がり軸受に封入されるグリース組成物に関し、特に超低温から高温の広い範囲、高速回転で使用される転がり軸受に用いられるグリース組成物に関する。
グリース組成物は、自動車、電気機器、建設機械、工作機械等の各種機械の潤滑に広く使われているが、年々機械の小型化、軽量化、高性能化が進んでおり、その中でも自動車等は小型で、高速、高回転となり、しかも数多くの部品が集中するため雰囲気温度が上昇し、これら機械の軸受等に使われているグリースの潤滑条件は増々厳しい状況となっている。このようなことから、グリースの高温寿命を向上させることは機械の品質の向上および信頼性に大きく貢献でき、非常に重要なことである。
一方、トレーラーや貨物列車による長距離輸送が行なわれているが、これらの車両は厳暑地から厳寒地に至るまでの遠隔地間を、気候変動を伴う広い温度変化を受けつつ高速で長時間走行する。これらの車両においては輸送中の微振動により軸受の転走面にフレッティングが生じやすくなり、問題となっている。特に厳寒地では、グリースが硬化し、転走面への潤滑油の十分な供給が得られないために、フレッティングの被害は甚大になる。
このフレッティングを防止するために種々の方法が提案されているが、その一つとして、適切な潤滑剤を選択してフレッティングを防止する方法がある。その中で、ウレア系増ちょう剤に酸化パラフィン、ジフェニルハイドロゲンホスファイトおよびヘキサメチルホスホリックトリアミドから選ばれた少なくとも一つを配合したグリースがフレッティング防止性を有すると報告されている(特許文献1参照)。
他方、自動車の車輪を回転自在に支持するための自動車用ハブベアリングにおいては、外輪にフランジが設けられる第二世代ハブベアリング(GEN2)および第三世代ハブベアリング(GEN3)では、鍛造性が良く安価なS53Cなどの機械構造用炭素鋼が用いられるようになった。機械構造用炭素鋼は軌道部に高周波熱処理を施すことで、軸受部の転がり疲労強度を確保しているが、合金成分が少ないため表面強度が弱く、軸受鋼に比べ表面起点剥離への耐性が劣る。その対策として亜鉛ジチオカーバメートを必須成分として添加したグリース(特許文献2参照)が知られている。
特許第2576898号公報 特開2006−342260号公報
しかしながら、特許文献1のグリースは、フレッティング防止に関して、厳寒地における低温下では十分な性能は有していない。また、特許文献2のグリースの表面起点剥離への耐性も低温下では十分ではなく、フレッティングが起こりやすいという問題がある。
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、比較的安価な基油を用いて低温から高温までの広い温度領域でフレッティングの発生を防止し、長期間使用できるグリース組成物、このグリース組成物を封入した転がり軸受を提供することを目的とする。
本発明のグリース組成物は、基油と、増ちょう剤とからなるベースグリースに、添加剤を配合してなるグリース組成物であって、上記基油は、粘度指数が 120〜180 である高度精製油を 50 重量%以上含有し、上記添加剤は、少なくともポリ(メタ)アクリレートと、ジチオリン酸亜鉛(以下、ZnDTPと記す)と、リン酸塩とを含み、該ポリ(メタ)アクリレートは、100℃における動粘度が 100 mm2/s 以上 850 mm2/s 未満であり、その配合割合はベースグリース 100 重量部に対して 0.2 重量部〜6 重量部であることを特徴とする。なお、ポリ(メタ)アクリレートとは、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、またはポリメタクリレートおよびポリアクリレートの混合物をいう。なお、上記リン酸塩は、上記ZnDTP以外のリン酸塩である。
上記高度精製油の硫黄含有率が 0.1 重量%未満であることを特徴とする。また、上記基油は、40℃における動粘度が 30 mm2/s〜150 mm2/s であることを特徴とする。また、上記グリース組成物のちょう度は、200〜350 であることを特徴とする。
上記増ちょう剤は、ポリイソシアネート成分とモノアミン成分とを反応して得られるウレア系化合物であり、上記モノアミン成分が脂肪族モノアミンおよび脂環族モノアミンから選ばれた少なくとも1つのモノアミンであることを特徴とする。
上記リン酸塩が、トリクレジルホスフェート(以下、TCPと記す)であることを特徴とする。
本発明の転がり軸受は、内輪および外輪と、この内輪および外輪間に介在する複数の転動体とを備える転がり軸受であって、上記転動体の周囲に上記グリース組成物を封入してなることを特徴とする。また、上記転がり軸受は、ハブベアリングとして用いられることを特徴とする。
本発明のグリース組成物は、基油と、増ちょう剤とからなるベースグリースに、添加剤を配合してなるグリース組成物であって、上記基油は粘度指数が 120〜180 である高度精製油を 50 重量%以上含有し、上記添加剤は、100℃における動粘度が 100 mm2/s 以上 850 mm2/s 未満であるポリ(メタ)アクリレートをベースグリース 100 重量部に対して 0.2〜6 重量部と、ZnDTPと、リン酸塩とを少なくとも含むので、低温から高温までの広い温度領域、特に極低温下でのフレッティングの発生を防止できる。また、一般の鉱油系グリースに比較して高温下でのグリース寿命も長くできる。また、価格的にも合成油を基油に使用したグリースに比べ格段に安く供給できることから産業での利用分野は極めて広く、各種の機器に使用できる。
本発明の転がり軸受は、上記グリース組成物を封入してなるので、低温から高温までの広い温度領域でフレッティングの発生を防止でき、特に自動車の車輪を回転自在に支持するための自動車用ハブベアリングとして好適に利用できる。
本発明の転がり軸受の一例として深溝玉軸受を示す断面図である。 本発明の転がり軸受の他の例としてハブベアリングを示す断面図である。
比較的安価な基油を用いて低温から高温までの広い温度領域でフレッティングの発生を防止し、長期間使用できるグリース組成物について鋭意検討の結果、特定の基油と添加剤を配合することにより、従来公知のグリースに比較して、特に極低温下でのフレッティング防止性が格段に高いことを見い出し、本発明を完成するに至った。
本発明のグリース組成物に使用できる基油は、粘度指数が 120〜180 である高度精製油を 50 重量%以上含有する基油である。より好ましい粘度指数の範囲は、125〜160 である。粘度指数が 120 未満であると温度変化により粘度の変化が大きく特に高温で油膜切れを起こしやすくなるため潤滑寿命が短くなり、また使用限界温度も低くなる。180 をこえると高圧面下での油膜形成が不十分となり好ましくない。また、粘度指数が 120〜180 である高度精製油の含有量が 50 重量%未満であると低温特性と耐熱性が不足する状態となり好ましくない。
本発明のグリース組成物に使用する基油は、40℃における動粘度が 30〜150 mm2/s であることが好ましい。ここで 40℃における動粘度が 30 mm2/s 未満の場合は粘度が低すぎて油膜切れを起こしやすくなったり、また油の蒸発も多い。一方、40℃における動粘度が 150 mm2/s より高いと動力損失が大きくなり、軸受に使用した場合のトルクが上昇し発熱も大きくなる。
本発明のグリース組成物に必須成分として用いる高度精製油は、例えば減圧蒸留の残油から得られるスラッグワックスを接触水素化熱分解し、合成することにより得られる。また、フィッシャー・トロプシュ法により合成されるGTL油などが挙げられる。高度精製油は、硫黄含有率が 0.1 重量%未満であることが好ましく、より好ましくは 0.01 重量%未満である。高度精製油の市販品としては、昭和シェル石油社製:シェルハイバックオイルX46、X68などが挙げられる。
本発明のグリース組成物に使用できる基油としては、上述の高度精製油の他に一般的なパラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油、または合成油などを基油全体に対して 50 重量%未満となる範囲で配合できる。合成油としては、ポリ-α-オレフィン、ポリグリコール、ジフェニルエーテル、ジエステル、ポリオールエステル、ケイ酸エステルなどが挙げられる。上述の高度精製油を 50 重量%以上配合することで、低温特性や高温グリース寿命などを維持しつつ高価な合成潤滑油の配合量を減らすことができる。
本発明のグリース組成物に使用できる増ちょう剤としては、リチウム石けん系、カルシウム石けん系、ナトリウム石けん系、アルミニウム石けん系、リチウムコンプレックス石けん系、カルシウムコンプレックス石けん系、ナトリウムコンプレックス石けん系、バリウムコンプレックス石けん系、アルミニウムコンプレックス石けん系、モノウレア系、ジウレア系、トリウレア系、テトラウレア系、ウレタン系、ベントナイト系、クレイ系、ナトリウムテレフタラメート系の増ちょう剤などがあり、これらの増ちょう剤を1種以上配合することができる。
これらの中で、低温から高温に好適に使用できるウレア系増ちょう剤(ウレア系化合物)が好ましい。ウレア系化合物は、ポリイソシアネート成分とモノアミン成分とを反応して得られる。
ポリイソシアネート成分としては、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、オクタデカンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネー卜などが挙げられる。これらの中でも芳香族ジイソシアネートが好ましい。また、ジアミンと該ジアミンに対してモル比で過剰のジイソシアネートとの反応で得られるポリイソシアネートを使用できる。ジアミンとしては、エチレンジアミン、プロパンジアミン、ブタンジアミン、ヘキサンジアミン、オクタンジアミン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタンなどが挙げられる。
モノアミン成分は、脂肪族モノアミン、脂環族モノアミンおよび芳香族モノアミンを用いることができる。脂肪族モノアミンとしては、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミンなどが挙げられる。脂環族モノアミンとしては、シクロヘキシルアミンなどが挙げられる。芳香族モノアミンとしては、アニリン、p-トルイジンなどが挙げられる。
本発明においては脂肪族モノアミンおよび脂環族モノアミンから選ばれた少なくとも1つのモノアミンを用いることが好ましい。特に、脂肪族モノアミンおよび脂環族モノアミンを併用することが好ましい。高度精製した基油は増ちょうしにくいが、モノアミン成分をこのように選択することで、増ちょう性を改良でき、低温から高温にいたる広い温度範囲での潤滑性に優れる。
本発明において、基油と増ちょう剤とからなるベースグリース全体に対して増ちょう剤含有量は 3〜40 重量%であり、好ましくは 5〜30 重量%であることがグリース組成物本来の潤滑性を得るために適する。また、本発明のグリース組成物のちょう度は、200〜350 の範囲にあるのが好適である。グリース組成物として、ちょう度が 200 未満である場合は低温での油分離が小さく潤滑不良となり、350 をこえる場合はグリースが軟質で軸受外に流出しやすくなり好ましくない。
本発明のグリース組成物に使用するポリ(メタ)アクリレートは、潤滑剤の流動点降下剤として市販されているものであり、100℃における動粘度が 100 以上 850 mm2/s 未満であることを必須とする。より好ましい範囲は、100〜400 mm2/s である。このようなものとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレートおよびこれらを任意に重合させた共重合体等が挙げられる。このようなポリ(メタ)アクリレートの市販品としては、三洋化成工業社製:アクルーブ132、アクルーブ136などが挙げられる。
ポリ(メタ)アクリレートの配合割合は、ベースグリース 100 重量部に対して 0.2〜6 重量部である。より好ましくは、0.3〜5 重量部である。0.2 重量部未満であると低温特性が不十分であり、6 重量部をこえても、それ以上の低温特性の改良は見込めず、コストも上昇する。
本発明のグリース組成物に使用できるZnDTPは、ジンクジチオフォスフェートとも称され、下記式(1)で示される。ZnDTPの市販品としては、例えば、アデカ社製:アデカキクルーブZ112などが挙げられる。
Figure 0005571924
(式中、Rは炭素原子数 1〜24 のアルキル基または炭素原子数 6〜30 のアリール基である。R は、好ましくは、炭素原子数 3〜21 の一級アルキル基である。)
ZnDTPを上述の高度精製油に配合することで、基油の酸価(mg/KOH)を低減できる。ZnDTPと高度精製油との組み合わせによる酸価低減効果を表1に示す。表1に示す重量減少率は、表1に示す油を 30 mL のビーカに 10 g 採取して 150℃にて 1000 時間放置したときの重量減少率である。表1に示すように、高度精製油にZnDTP(アデカキクルーブZ112)を配合した場合には、酸価が低減され、重量減少率が大幅に少なくなることがわかる。これに対して、鉱油に同割合のZnDTPを配合する場合では、重量減少率にほぼ変化が見られない。
Figure 0005571924
ZnDTPの配合割合は、ベースグリース 100 重量部に対して 0.5〜5 重量部とすることが好ましい。0.5 重量部未満の場合には所期の効果を十分に得ることが困難になり、また、5 重量部をこえる場合には効果は頭打ちになりコスト的に不利になる。
本発明においてリン酸塩は、金属表面に対して容易に吸着膜を形成し、この吸着膜により平滑な摩擦面を形成することができる。リン酸塩、特にTCPは金属面と反応して金属リン化物を精製し、それが金属と低融点の共融混合物(鉄とリン化鉄の共融混合物の融点は鉄の融点に比べて 515℃低下する)を生成する。そのため、摩擦に伴い表面突起頂部は溶解して谷部を埋め、極めて平滑な摩擦面を形成する。これが、接触圧力の低下、潤滑状態の改善をもたらし摩耗を低減させることができる。
リン酸塩の配合割合は、ベースグリース 100 重量部に対して 0.1〜5 重量部とすることが好ましい。0.1 重量部未満の場合には所期の効果を十分に得ることが困難になり、また、5 重量部をこえる場合には効果は頭打ちになりコスト的に不利になる。
また、本発明のグリース組成物には必要に応じてフェノール系、アミン系などの各種酸化防止剤、カルボン酸塩、スルホン酸塩などの防錆剤、ポリアルキレングリコール、グリセリンなどの耐摩耗剤、塩素化パラフィン、硫化油、アルキルフォスファイト、アルキルフォスホネート、各種有機モリブデン化合物などの極圧剤、高級脂肪酸、合成エステルなどの油性向上剤、グラファイト、二硫化モリブデンなどの固体潤滑剤などを配合することができる。
本発明の転がり軸受の一例を図1に示す。図1はグリース組成物が封入されている深溝玉軸受の断面図である。深溝玉軸受1は、外周面に内輪転走面2aを有する内輪2と内周面に外輪転走面3aを有する外輪3とが同心に配置され、内輪転走面2aと外輪転走面3aとの間に複数個の転動体4が配置される。この複数個の転動体4を保持する保持器5および外輪3等に固定されるシール部材6が内輪2および外輪3の軸方向両端開口部8a、8bにそれぞれ設けられている。少なくとも転動体4の周囲にグリース組成物7が封入される。
本発明の転がり軸受をハブベアリングとして用いた一例(従動輪用第三世代ハブベアリング)を図2に示す。図2は、ハブベアリングを示す断面図である。ハブベアリング16は、ハブ輪11および駆動用内輪12を有する内輪(内方部材ともいう)15と、外輪(外方部材ともいう)13と、複列の転動体14、14とを備えている。ハブ輪11はその一端部に車輪(図示せず)を取付けるための車輪取付けフランジ11dを一体に有し、外周に内側転走面11aと、この内側転走面11aから軸方向に延びる小径段部11bとが形成されている。本明細書においては、軸方向に関して「外」とは、車両への組付け状態で幅方向外側をいい、「内」とは、幅方向中央側をいう。ハブ輪11の小径段部11bには、外周に内側転走面12aが形成された駆動用内輪12が圧入されている。そして、ハブ輪11の小径段部11bの端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部11cにより、ハブ輪11に対して駆動用内輪12が軸方向へ抜けるのを防止している。外輪13は、外周に車体取付けフランジ13bを一体に有し、内周に外側転走面13a、13aと、これら複列の外側転走面13a、13aに対向する内側転走面11a、12aとの間には複列の転動体14、14が転動自在に収容されている。本発明のグリース組成物はシール部材17と、外輪13と、シール部材18と、内輪15と、ハブ輪11とに囲まれた空間に封入され、外輪13と、内輪15とに挟まれた複列の転動体14、14の周囲を被覆し、転動体14、14の転動面と、内側転走面11a、12aおよび外側転走面13a、13aとの転がり接触部の潤滑に供される。
上記ハブベアリングに使用できる材質は、軸受鋼、浸炭鋼、または機械構造用炭素鋼を挙げることができる。これらの中で鍛造性が良く安価なS53Cなどの機械構造用炭素鋼を用いることが好ましい。該炭素鋼は一般に高周波熱処理を施すことで、軸受部の転がり疲労強度を確保した上で用いられる。
実施例1〜実施例8および比較例1〜比較例10
表2に示すごとく、増ちょう剤、基油を選択してベースグリースを調整した。ベースグリースの組成は、増ちょう剤、基油を合計して 100 重量部としてある。そして、表2に示す各種添加剤を配合して供試グリースを得た。得られた供試グリースについて、以下に示す低温フレッティング試験に供し、摩耗量を測定した。その結果を表2に併記した。
<低温フレッティング試験>
ASTM G−III−12に準拠し、ファフナーフリクションオキシデーション試験機を用いて性能評価試験を行なった。軸受として51204を用い、最大接触面圧が 2.0 GPa 、遥動サイクル 30 Hz 、遥動角 12°、雰囲気−20℃の条件下で、試験時間は 8 時間とした。軸受 1 個あたりの摩耗量( mg )で評価した。
Figure 0005571924
比較例1、比較例5および比較例10に示すように、所定のポリメタクリレートを配合しない場合では、低温下での耐フレッティング性能に劣った。また、比較例2および比較例3に示すように、所定のポリメタクリレートを配合する場合でも、その配合量が所定範囲外であると、同様に低温下での耐フレッティング性に劣った。また、比較例4に示すように、TCP、所定の高度精製油およびポリメタクリレートを用いる場合でも、ZnDTPを添加しないと、低温下での耐フレッティング性が劣る結果となった。また、比較例6〜比較例8に示すように、ZnDTP、TCPおよび所定のポリメタクリレートを添加する場合でも、基油が所定の高度精製油を 50 重量%以上含有するものでないときは、低温下での耐フレッティング性が劣る結果となった。また、比較例9に示すように、ZnDTP、所定の高度精製油およびポリメタクリレートを用いる場合でも、TCPを添加しないと、低温下での耐フレッティング性が劣る結果となった。これらの比較例に対して、請求項1の要件を満たす各実施例では、優れた低温下での耐フレッティング性を得ることができた。
本発明における高度精製油は、合成油に匹敵する粘度指数を有し、ZnDTPと、ポリメタクリレートと、TCPとを添加することにより、本発明によるグリース組成物は、一般の鉱油系グリースに比較して低温下での耐フレッティング性に優れる。そのため価格的にも合成油を基油に使用したグリース組成物に比べ格段に安く供給できることから各種産業において特に低温から高温にいたる広い温度領域にわたって回転機器等に用いられるグリース組成物として好適に利用できる。
1 深溝玉軸受
2 内輪
3 外輪
4 転動体
5 保持器
6 シール部材
7 グリース組成物
8a、8b 開口部
11 ハブ輪
11a 内側転走面
11b 小径段部
11c 加締部
11d 車輪取付けフランジ
12 駆動用内輪
12a 内側転走面
13 外輪(外方部材)
13a 外側転走面
13b 車体取付けフランジ
14 転動体
15 内輪(内方部材)
16 ハブベアリング
17 シール部材
18 シール部材

Claims (5)

  1. 基油と、増ちょう剤とからなるベースグリースに、添加剤を配合してなるグリース組成物であって、
    前記基油は、硫黄含有率が 0.1 重量%未満であり、かつ粘度指数が 120〜180 であるを 50 重量%以上含有し、前記添加剤は、少なくともポリ(メタ)アクリレートと、ジチオリン酸亜鉛と、リン酸塩とを含み、
    前記ポリ(メタ)アクリレートは、100℃における動粘度が 100〜400 mm 2 /s であり、その配合割合はベースグリース 100 重量部に対して 0.2〜6 重量部であり、
    前記リン酸塩が、トリクレジルホスフェートであり、
    前記増ちょう剤は、ポリイソシアネート成分とモノアミン成分とを反応して得られるウレア系化合物であり、前記モノアミン成分が脂肪族モノアミンおよび脂環族モノアミンから選ばれた少なくとも1つのモノアミンであることを特徴とするグリース組成物。
  2. 前記基油は、40℃における動粘度が 30〜150 mm2/s であることを特徴とする請求項1記載のグリース組成物。
  3. 前記グリース組成物のちょう度は、200〜350 であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のグリース組成物。
  4. 内輪および外輪と、この内輪および外輪間に介在する複数の転動体とを備え、前記転動体の周囲にグリース組成物を封入してなる転がり軸受であって、
    前記グリース組成物は、請求項1ないし請求項のいずれか一項記載のグリース組成物であることを特徴とする転がり軸受。
  5. 前記転がり軸受は、ハブベアリングとして用いられることを特徴とする請求項記載の転がり軸受。
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