JP2011063659A - 自在継手用グリースおよび自在継手 - Google Patents

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隆之 川村
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Abstract

【課題】低温から高温にかけての広い温度領域で、回転速度、荷重負荷などが過酷な使用環境下でのすべり摩擦係数を低減でき、自在継手の回転抵抗変動を低減できる自在継手用グリースおよび該グリースを封入した自在継手を提供する。
【解決手段】基油と、増ちょう剤とからなるベースグリースに、添加剤を配合してなる自在継手用グリースであって、基油は粘度指数が 120〜180 である高度精製油を 50 重量%以上含有し、添加剤は少なくともポリ(メタ)アクリレートと、ZnDTPと、MoDTCとを含み、該ポリ(メタ)アクリレートは、100℃における動粘度が 100 mm2/s 以上 850 mm2/s 未満であり、その配合割合はベースグリース 100 重量部に対して 0.2〜6 重量部である。自在継手1は外方部材2と、内方部材3と、トラック溝4、5と、トルク伝達部材6と、ケージ7と、シャフト8と、ブーツ9とに囲まれた空間に自在継手用グリース10が封入されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、自在継手用グリースおよびこれを封入した自在継手(ジョイント)に関する。詳しくは、自動車用ドライブシャフトに使用されている固定型等速ジョイントまたはスライド型等速ジョイントに用いられる自在継手用グリースに関する。
今日、自動車産業界においては、軽量化および居住空間の確保の観点から、FF車の生産が増加している。また、その機能性の観点から4WD車も増加している。これらFF車や4WD車では、前輪にて動力の伝達と操舵を行なうため、例えば、ハンドルを一杯に切った状態でも円滑な動力伝達が必要であり、交差する二軸間で交差角が種々変化しても回転運動を等速で伝達する部品として等速ジョイントが不可欠である。近年、自動車の高性能化がますます進み、高出力車が増加していることから、等速ジョイントにかかる負荷も増大し、その潤滑条件がより過酷になる傾向がある。一方で、自動車の乗り心地の向上もさらに高度なレベルを要求される傾向にある。その乗り心地の向上は、厳暑地から厳寒地に至るまで、あらゆる気候の地域において必要とされる。
このような条件下において、等速ジョイントが回転する際に、等速ジョイントを構成する部品間の摩擦抵抗の違いから回転抵抗に変動が生じる場合がある。回転抵抗に変動が生じると、スティックスリップ音を発生させる場合があり、乗り心地を低下させる要因になる。従来、潤滑剤としては基油として鉱物油、添加剤としてモリブデン化合物を含有する等速ジョイント用グリース組成物が開示されている(例えば、特許文献1および特許文献2を参照)。
特開平10−273692号公報 特開2003−165988号公報
しかしながら、温度、回転速度、荷重負荷などに関して種々の要因が重なりあった際には、これらの等速ジョイント用グリース組成物では回転抵抗変動を低減する性能が不十分となる場合があり、自動車において想定される使用環境下(低温から高温にかけての広い温度領域など)においてより安定した性能を発揮できることが望まれている。
本発明はこのような問題に対処すべくなされたものであり、低温から高温にかけての広い温度領域で、回転速度、荷重負荷などが過酷な使用環境下でのすべり摩擦係数を低減でき、自在継手の回転抵抗変動を低減できる自在継手用グリースおよび該グリースを封入した自在継手を提供することを目的とする。
本発明の自在継手用グリースは、基油と、増ちょう剤とからなるベースグリースに、添加剤を配合してなる自在継手用グリースであって、上記基油は、粘度指数が 120〜180 である高度精製油を 50 重量%以上含有し、上記添加剤は、少なくともポリ(メタ)アクリレートと、ジチオリン酸亜鉛(以下、ZnDTPと記す)と、ジチオカルバミン酸モリブデン(以下、MoDTCと記す)とを含み、該ポリ(メタ)アクリレートは、100℃における動粘度が 100 mm2/s 以上 850 mm2/s 未満であり、その配合割合はベースグリース 100 重量部に対して 0.2 重量部〜6 重量部であることを特徴とする。なお、ポリ(メタ)アクリレートとは、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、またはポリメタクリレートおよびポリアクリレートの混合物をいう。
上記ジチオカルバミン酸モリブデンは、非油溶性のジチオカルバミン酸モリブデンであることを特徴とする。
上記高度精製油の硫黄含有率が 0.1 重量%未満であることを特徴とする。また、上記基油は、40℃における動粘度が 45 mm2/s〜200 mm2/s であることを特徴とする。また、上記自在継手用グリースのちょう度は、250〜350 であることを特徴とする。
上記増ちょう剤は、ポリイソシアネート成分とモノアミン成分とを反応して得られるウレア系化合物であり、上記モノアミン成分が脂肪族モノアミンおよび脂環族モノアミンから選ばれた少なくとも1つのモノアミンであることを特徴とする。
本発明の自在継手は、外方部材および内方部材に設けられたトラック溝とトルク伝達部材との係り合いによって回転トルクが伝達され、上記トルク伝達部材が上記トラック溝に沿って転動することによって軸方向移動がなされる自在継手であって、上記トルク伝達部材の周囲に上記自在継手用グリースを封入してなることを特徴とする。また、上記自在継手は等速自在継手であり、特に、固定型またはスライド型の等速自在継手であることを特徴とする。
本発明の自在継手用グリースは、基油と、増ちょう剤とからなるベースグリースに、添加剤を配合してなる自在継手用グリースであって、上記基油は粘度指数が 120〜180 である高度精製油を 50 重量%以上含有し、上記添加剤は、100℃における動粘度が 100 mm2/s 以上 850 mm2/s 未満であるポリ(メタ)アクリレートをベースグリース 100 重量部に対して 0.2〜6 重量部と、ZnDTPと、MoDTCとを少なくとも含むので、一般の鉱油系グリースに比較して、低温から高温にかけて広い温度領域ですべり摩擦係数を低減できる。このため、このグリースを封入した自在継手の回転変動を低減することができる。
本発明の自在継手は、上記自在継手用グリースが封入されてなるので、回転抵抗変動を低減させることができ、低温から高温にいたる温度領域下での、高速、高負荷などの苛酷な使用環境においても円滑な作動が可能となり、自動車の乗り心地の向上などが図れる。
本発明の一実施例に係る等速ジョイント(ツェッパ型)の一部切欠断面図である。 本発明の他の実施例に係る等速ジョイント(ダブルオフセット型)の一部切欠断面図である。 本発明の他の実施例に係る等速ジョイント(トリポード型)の一部切欠断面図である。
本発明の自在継手用グリースに使用できる基油は、粘度指数が 120〜180 である高度精製油を 50 重量%以上含有する基油である。より好ましい粘度指数の範囲は、125〜160 である。粘度指数が 120 未満であると温度変化により粘度の変化が大きく特に高温で油膜切れを起こしやすくなるため潤滑寿命が短くなり、また使用限界温度も低くなる。180 をこえると高面圧下での油膜形成が不十分となり好ましくない。また、粘度指数が 120〜180 である高度精製油の含有量が 50 重量%未満であると低温特性と耐熱性が不足する状態となり好ましくない。
本発明の自在継手用グリースに使用する基油は、40℃における動粘度が 45〜200 mm2/s であることが好ましい。ここで 40℃における動粘度が 45 mm2/s 未満の場合は、粘度が低すぎて油膜切れを起こしやすくなったり、また油の蒸発量も多くなる。一方、40℃における動粘度が 200 mm2/s より高いと、低温性に劣り、また、流動性が劣るため潤滑面への迅速な油の供給性が損なわれる。
本発明の自在継手用グリースに必須成分として用いる高度精製油は、例えば減圧蒸留の残油から得られるスラッグワックスを接触水素化熱分解し、合成することにより得られる。また、フィッシャー・トロプシュ法により合成されるGTL油などが挙げられる。高度精製油は、硫黄含有率が 0.1 重量%未満であることが好ましく、より好ましくは 0.01 重量%未満である。高度精製油の市販品としては、昭和シェル石油社製:シェルハイバックオイルX46、X68などが挙げられる。
本発明の自在継手用グリースに使用できる基油としては、上述の高度精製油の他に一般的なパラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油、または合成油などを基油全体に対して 50 重量%未満となる範囲で配合できる。合成油としては、ポリ-α-オレフィン、ポリグリコール、ジフェニルエーテル、ジエステル、ポリオールエステル、ケイ酸エステルなどが挙げられる。上述の高度精製油を 50 重量%以上配合することで、低温特性や高温グリース寿命などを維持しつつ高価な合成潤滑油の配合量を減らすことができる。
本発明の自在継手用グリースに使用できる増ちょう剤としては、リチウム石けん系、カルシウム石けん系、ナトリウム石けん系、アルミニウム石けん系、リチウムコンプレックス石けん系、カルシウムコンプレックス石けん系、ナトリウムコンプレックス石けん系、バリウムコンプレックス石けん系、アルミニウムコンプレックス石けん系、モノウレア系、ジウレア系、トリウレア系、テトラウレア系、ウレタン系、ベントナイト系、クレイ系、ナトリウムテレフタラメート系の増ちょう剤などがあり、これらの増ちょう剤を1種以上配合することができる。
これらの中で、低温から高温に好適に使用できるウレア系増ちょう剤(ウレア系化合物)が好ましい。ウレア系化合物は、ポリイソシアネート成分とモノアミン成分とを反応して得られる。
ポリイソシアネート成分としては、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、オクタデカンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネー卜などが挙げられる。これらの中でも芳香族ジイソシアネートが好ましい。また、ジアミンと該ジアミンに対してモル比で過剰のジイソシアネートとの反応で得られるポリイソシアネートを使用できる。ジアミンとしては、エチレンジアミン、プロパンジアミン、ブタンジアミン、ヘキサンジアミン、オクタンジアミン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタンなどが挙げられる。
モノアミン成分は、脂肪族モノアミン、脂環族モノアミンおよび芳香族モノアミンを用いることができる。脂肪族モノアミンとしては、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミンなどが挙げられる。脂環族モノアミンとしては、シクロヘキシルアミンなどが挙げられる。芳香族モノアミンとしては、アニリン、p-トルイジンなどが挙げられる。
本発明においては脂肪族モノアミンおよび脂環族モノアミンから選ばれた少なくとも1つのモノアミンを用いることが好ましい。特に、脂肪族モノアミンおよび脂環族モノアミンを併用することが好ましい。高度精製した基油は増ちょうしにくいが、モノアミン成分をこのように選択することで、増ちょう性を改良でき、低温から高温にいたる広い温度範囲での潤滑性に優れる。
本発明の自在継手用グリースの増ちょう剤含有量は 3〜40 重量部であることが好ましく、より好ましくは 5〜30 重量部を含有することが自在継手用グリース本来の潤滑性を得るために適する。
本発明の自在継手用グリースのちょう度は、250〜350 の範囲にあるのが好適である。より好適な範囲は 300〜350 である。自在継手用グリースとして、ちょう度が 250 未満である場合はグリースの移動性が悪く、潤滑面に油分が供給されにくく潤滑不良を生じやすくなり、350 をこえる場合はグリースが漏れやすくなり好ましくない。
本発明の自在継手用グリースに使用するポリ(メタ)アクリレートは、潤滑剤の流動点降下剤として市販されているものであり、100℃における動粘度が 100 mm2/s 以上 850 mm2/s 未満であることを必須とする。より好ましい範囲は、100〜400 mm2/s である。このようなものとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレートおよびこれらを任意に重合させた共重合体などが挙げられる。このようなポリ(メタ)アクリレートの市販品としては、三洋化成工業社製:アクルーブ132、アクルーブ136などが挙げられる。
ポリ(メタ)アクリレートの配合割合は、ベースグリース 100 重量部に対して 0.2〜6 重量部である。より好ましくは、0.3〜5 重量部である。0.2 重量部未満であると低温特性が不十分であり、6 重量部をこえても、それ以上の低温特性の改良は見込めず、コストも上昇する。
本発明の自在継手用グリースに使用できるZnDTPは、ジンクジチオフォスフェートとも称され、下記式(1)で示される。ZnDTPの市販品としては、例えば、アデカ社製:アデカキクルーブZ112などが挙げられる。
Figure 2011063659
(式中、R1 は炭素原子数 1〜24 のアルキル基または炭素原子数 6〜30 のアリール基である。R1 は、好ましくは炭素原子数 3〜21 の一級アルキル基である。)
ZnDTPを上述の高度精製油に配合することで、基油の酸価(mg/KOH)を低減できる。ZnDTPと高度精製油との組み合わせによる酸価低減効果を表1に示す。表1に示す重量減少率は、表1に示す油を 30 mL のビーカに 10 g 採取して 150℃にて 1000 時間放置したときの重量減少率である。表1に示すように、高度精製油にZnDTP(アデカキクルーブZ112)を配合した場合には、酸価が低減され、重量減少率が大幅に少なくなることがわかる。これに対して、鉱油に同割合のZnDTPを配合する場合では、重量減少率にほぼ変化が見られない。
Figure 2011063659
ZnDTPの配合割合は、ベースグリース 100 重量部に対して 0.5〜5 重量部とすることが好ましい。0.5 重量部未満の場合には所期の効果を十分に得ることが困難になり、また、5 重量部をこえる場合には効果は頭打ちになりコスト的に不利になる。
本発明の自在継手用グリースに使用できるMoDTCとしては、下記式(2)で示されるジアルキルジチオカルバミン酸モリブデンなどが挙げられる。MoDTCの市販品としては、例えば、アデカ社製:サクラルーブ600、200などが挙げられる。
Figure 2011063659
(式中、R2 およびR3 はそれぞれ炭素原子数 1〜24、好ましくは 3〜18 、より好ましくは 3〜5 のアルキル基であり、X+Y= 4 の整数であり、かつXは 0〜3 、Yは 4〜1 である。)
MoDTCとしては非油溶性のMoDTCが好ましい。非油溶性MoDTCとは、溶解後の全重量に対して、0.5 重量%のMoDTCをグリースに使用する基油に加えて撹拌し、これを 70℃×24 時間保持後に目視で観察した結果、不溶解分が析出しているMoDTCをいう。不溶解分が析出していると基油が透明にならず、MoDTCがコロイド状態、あるいは懸濁状態になり、目視で判断できる。上記アデカ社製:サクラルーブ600は、非油溶性のMoDTCである。
本発明に使用できるMoDTCの配合割合は、ベースグリース 100 重量部に対して 0.5〜5 重量部であることが好ましい。0.5 重量部未満の場合には所期の効果を十分に得ることが困難になり、また、5 重量部をこえる場合には効果は頭打ちになりコスト的に不利になる。
後述の実施例に示すように、ポリ(メタ)アクリレート、ZnDTPおよびMoDTCを組合せることにより、低温から高温にかけて広い温度領域で優れた耐摩擦性能を有する。このため、このグリースを封入した自在継手の回転変動を低減することができる。
また、本発明の自在継手用グリースには、上記添加剤の他に、他の極圧剤、酸化防止剤、防錆剤、油性剤など、自在継手用グリースに使用される公知の添加剤を含有させることができる。
本発明の自在継手用グリースは、自在継手、特に等速自在継手に用いるためのグリースをいう。ここで、等速自在継手とは、交差する二軸間で交差角が種々変化しても回転運動を等速度で伝達する部品をいう。本発明に係る自在継手のトルク伝達部材が球体である等速ジョイントとは、例えば、ツェッパ型、バーフィールド型などの固定型等速ジョイントやダブルオフセット型、クロスグルーブ型などのスライド型等速ジョイントなどが挙げられる。これらは、トルク伝達部材としてボールを用い、等速ジョイントの外輪および内輪に形成されたトラック上に配置され、ケージを介して組み込まれる構造を成している。また、トルク伝達部材が球面ローラであるスライド型等速ジョイントとしてトリポード型等速ジョイントが挙げられる。
本発明に係る自在継手の作動については、固定型等速ジョイントでは45度以上の大きな作動角を取ることが可能である。またスライド型等速ジョイントでは固定型等速ジョイントほど大きな作動角を取ることはできないが、軸線方向にスライドすることが可能である。
本発明の自在継手を等速ジョイントを例にとって図1〜図3に基づいて説明する。図1はツェッパ型等速ジョイントの一部切欠断面図を示す。図1に示すように、ツェッパ型等速ジョイント1は、外方部材(外輪ともいう)2の内面および球形の内方部材(内輪ともいう)3の外面に軸方向の六本のトラック溝4、5を等角度に形成し、そのトラック溝4、5間に組み込んだトルク伝達部材(ボールともいう)6をケージ7で支持し、このケージ7の外周を球面7aとし、かつ内周を内方部材3の外周に適合する球面7bとしている。また、外方部材2の外周とシャフト8の外周とをブーツ9で覆い、外方部材2と、内方部材3と、トラック溝4、5と、トルク伝達部材6と、ケージ7と、シャフト8と、ブーツ9とに囲まれた空間に上述の自在継手用グリース10が封入されている。
図2はダブルオフセット型等速ジョイントの一部切欠断面図を示す。図2に示すように、ダブルオフセット型等速ジョイント11は、外方部材12の内面および球形の内方部材13の外面に軸方向の六本のトラック溝14、15を等角度に形成し、そのトラック溝14、15間に組み込んだトルク伝達部材16をケージ17で支持し、このケージ17の外周を球面17aとし、かつ内周を内方部材13の外周に適合する球面17bとし、各球面17a、17bの中心(イ)、(ロ)を外方部材12の軸心上において軸方向に位置をずらしてある。また、外方部材12の外周とシャフト18の外周とをブーツ19で覆い、外方部材12と、内方部材13と、トラック溝14、15と、トルク伝達部材16と、ケージ17と、シャフト18と、ブーツ19とに囲まれた空間に上述の自在継手用グリース20が封入されている。
図3はトリポード型等速ジョイントの一部切欠断面図を示す。図3に示すように、トリポード型等速ジョイント21は外方部材22の内面に軸方向の三本の円筒形トラック溝23を等角度に形成し、外方部材22の内側に組み込んだトリポード部材24には三本の脚軸25を設け、各脚軸25の外側に球面ローラ26を嵌合し、その球面ローラ26と脚軸25との間にニードル27を組み込んで球面ローラ26を回転可能に、かつ軸方向にスライド可能に支持し、その球面ローラ26を上記トラック溝23に嵌合してある。また、外方部材22の外周とシャフト28の外周とをブーツ29で覆い、外方部材22と、トラック溝23と、トリポード部材24と、シャフト28と、ブーツ29とに囲まれた空間に上述の自在継手用グリース30が封入されている。
以下、実施例によって本発明をさらに詳述するが、下記実施例は本発明を制限するものではない。
実施例1〜実施例11および比較例1〜比較例10
表2に示すごとく、増ちょう剤、基油を選択してベースグリースを調整した。ベースグリースの組成は、増ちょう剤、基油を合計して 100 重量部としてある。そして、表2に示す各種添加剤を配合して供試グリースを得た。得られた供試グリースについて、以下に示すSRV摩擦摩耗試験に供し、摩擦係数を測定した。測定結果を表2に併記する。
<SRV摩擦摩耗試験>
テストピース: ボール 直径 10 mm(SUJ2)
円盤プレート 直径 24 mm×7.85 mm(SUJ2)
評価条件: 点接触面圧 2.6 GPa
周波数 10 Hz
振幅 1.2 mm
時間 30分間
試験温度 −20℃、100℃
測定項目: (測定時間内で一定となった値)の平均値
Figure 2011063659
比較例9に示すように、MoDTCを配合しない場合、高温下での摩擦係数が大となった。特に比較例10は、さらにZnDTPおよびポリメタクリレートの配合もなく、低温下での耐摩擦性能が劣ったことに加えて、高温下での耐摩擦性能が著しく劣る結果となった。また、比較例1および比較例5に示すように、所定のポリメタクリレートを配合しない場合では、低温下での耐摩擦性能が劣る結果となった。また、比較例2および比較例3に示すように、所定のポリメタクリレートを配合する場合でも、その配合量が所定範囲外であると、同様に低温下での耐摩擦性能が劣る結果となった。また、比較例4に示すように、ZnDTPを配合しない場合では、同様に低温下での耐摩擦性能が劣る結果となった。また、比較例6および比較例7に示すように、高度精製油を配合しない場合、低温下での耐摩擦性能が劣る結果となった。また、比較例8に示すように、ZnDTP、MoDTCおよび所定のポリメタクリレートを添加する場合でも、基油が所定の高度精製油を 50 重量%以上含有するものでないときは、低温下での耐摩擦性能が劣る結果となった。
これらの比較例に対して、各実施例では、低温下および高温下ともに優れた耐摩擦性能を得ることができた。
本発明の自在継手用グリースは、低温から高温にかけて広い温度領域で優れた耐摩擦性能を有し、回転抵抗変動を低減することができるので、自在継手に、特に自動車などの等速ジョイントに好適に利用できる。
1、11、21 等速ジョイント(自在継手)
2、12、22 外方部材(外輪)
3、13、 内方部材(内輪)
4、5、14、15、23 トラック溝
6、16、 トルク伝達部材(ボール)
7、17、 ケージ
7a、17a 球面
7b、17b 球面
8、18、28 シャフト
9、19、29 ブーツ
10、20、30 自在継手用グリース
24 トリポード部材
25 脚軸
26 球面ローラ
27 ニードル

Claims (9)

  1. 基油と、増ちょう剤とからなるベースグリースに、添加剤を配合してなる自在継手用グリースであって、
    前記基油は、粘度指数が 120〜180 である高度精製油を 50 重量%以上含有し、前記添加剤は、少なくともポリ(メタ)アクリレートと、ジチオリン酸亜鉛と、ジチオカルバミン酸モリブデンとを含み、
    前記ポリ(メタ)アクリレートは、100℃における動粘度が 100 mm2/s 以上 850 mm2/s 未満であり、その配合割合はベースグリース 100 重量部に対して 0.2〜6 重量部であることを特徴とする自在継手用グリース。
  2. 前記ジチオカルバミン酸モリブデンは、非油溶性のジチオカルバミン酸モリブデンであることを特徴とする請求項1記載の自在継手用グリース。
  3. 前記高度精製油の硫黄含有率が 0.1 重量%未満であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の自在継手用グリース。
  4. 前記基油は、40℃における動粘度が 45〜200 mm2/s であることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載の自在継手用グリース。
  5. 前記増ちょう剤は、ポリイソシアネート成分とモノアミン成分とを反応して得られるウレア系化合物であり、前記モノアミン成分が脂肪族モノアミンおよび脂環族モノアミンから選ばれた少なくとも1つのモノアミンであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項記載の自在継手用グリース。
  6. 前記自在継手用グリースのちょう度は、250〜350 であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項記載の自在継手用グリース。
  7. 外方部材および内方部材に設けられたトラック溝とトルク伝達部材との係り合いによって回転トルクが伝達され、前記トルク伝達部材が前記トラック溝に沿って転動することによって軸方向移動がなされ、前記トルク伝達部材の周囲に自在継手用グリースを封入してなる自在継手であって、
    前記自在継手用グリースは、請求項1ないし請求項6のいずれか一項記載の自在継手用グリースであることを特徴とする自在継手。
  8. 前記自在継手は、等速自在継手であることを特徴とする請求項7記載の自在継手。
  9. 前記等速自在継手は、固定型またはスライド型であることを特徴とする請求項8記載の自在継手。
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