JP4829523B2 - 等速ジョイント用グリースおよび等速ジョイント - Google Patents

等速ジョイント用グリースおよび等速ジョイント Download PDF

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Description

本発明は、自動車に用いられる等速ジョイント用グリースおよびこのグリースを封入した等速ジョイントに関し、特にトリポート型等速ジョイントに関する。
近年の自動車のエンジンの高出力化、軽量化にともない、等速ジョイント内部における潤滑条件は高面圧側にシフトしている。特に最近では、ジャーナル−インナー−ローラ間において点接触でそのトルクを受ける低振動等速ジョイント(特許文献1参照)が登場し、ジョイントにかかる負荷はますます厳しいものになっている。潤滑条件が高面圧になるほど、等速ジョイント内部においては摩耗が問題になる。摩耗が大きくなると、耐久性(耐フレーキング性)の低下や振動の悪化という問題を引き起こす原因となる。一方、自動車用等速ジョイントにおいては耐久性向上だけでなく、乗員の乗り心地に配慮するため静粛性(低振動性)もさらなる向上を求められている。
従来、等速ジョイントには、硫黄−リン系極圧剤を含有するリチウム系極圧グリース、二硫化モリブデンを含有するリチウム系極圧グリースが使用されている。これらのグリースでは、高面圧下での摩耗が非常に大きく、耐久性の面でも満足のいくものではないし、低振動の面においても十分ではない。近年では、耐摩耗性向上や耐久性向上のために、ウレア系グリースに極圧剤や耐摩耗剤などを添加したグリースも提案されている。例えば、摩耗を抑えフレーキングを防止する目的で、過塩基性ナトリウムスルフォネートと硫黄系添加剤の組合せによるグリースが知られている(特許文献2参照)。これらは、耐摩耗性の点で十分であるとはいえないし、低振動については考慮されていない。また、モリブデン酸塩や酸化モリブデンと摩擦調整剤や極圧剤を併用することにより過酷な条件下での耐摩耗性と低摩擦性を両立させることを提案し、酸化モリブデン、モリブデン酸カルシウム、モリブデン酸と摩擦調整剤や極圧剤の組合せが知られている(特許文献3参照)。これらに示された内容では、耐摩耗性の点でも低振動性の点でも十分であるとはいえない。
また、自動車における静粛性の要求が大きくなるに従い、等速ジョイントから発生する振動の低減がより求められるようになり、従来の等速ジョイント用グリースでは要求を満足できないという問題がある。
特に、自動車における持続的な静粛性が求められるようになり、経時的な振動の低減に対して従来の等速ジョイント用グリースでは要求を満足できないという問題がある。
特開2000−320563号公報 特開2002−20776号公報 特開2000−53989号公報
本発明は、このような問題に対処するためになされたもので、等速ジョイントを効率よく持続的に潤滑し、有効に摩耗および摩擦を低減し、かつ振動の発生を防止し得る等速ジョイント用グリースおよびこのグリースを封入した等速ジョイントの提供を目的とする。
本発明の等速ジョイント用グリースは、基油に増ちょう剤を配合してなるベースグリースに、モリブデン酸のアルカリ金属塩と層状化合物とを必須成分として含有することを特微とする。
上記増ちょう剤が下記式(1)で表されるジウレア化合物であることを特徴とする。
Figure 0004829523
(式中、R1 および R3 は、炭素原子数 4〜24 の直鎖アルキル基またはシクロヘキシル基であり、R1 および R3 は、同一であっても異なっていてもよい。R2 は、炭素原子数 6〜15 の芳香族系炭化水素基である。)
上記層状化合物は、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、メラミンシアヌレート、グラファイト、窒化ホウ素およびセリサイトから選ばれた少なくとも1つの物質であることを特徴とする。
等速ジョイントに用いられる等速ジョイント用グリースであって、該グリースは、等速ジョイントにおける摩擦摩耗面または摩耗により露出した鉄系金属新生面において酸化鉄とともにモリブデン化合物を含有する膜を形成できるモリブデン酸のアルカリ金属塩を含有することを特徴とする。
本発明の等速ジョイントは、トラック溝と転動体との係り合いによって回転トルクの伝達が行なわれ、上記転動体が前記トラック溝に沿って転動することによって軸方向移動がなされる等速ジョイントであって、該等速ジョイントに封入されるグリースが上記等速ジョイント用グリースであることを特徴とする。
本発明の等速ジョイント用グリースは、基油に増ちょう剤を配合してなるベースグリースに、モリブデン酸のアルカリ金属塩と層状化合物とを必須成分として含有するので、等速ジョイントの摺動部の摩耗および摩擦を抑え、誘起スラストを低減し、等速ジョイントに発生する振動を抑えることができる。
本発明の等速ジョイントは、上記グリースを封入した等速ジョイントであるので、振動を十分に抑え、自動車の静粛性および耐久性を向上させることができる。
摩耗および摩擦を低減し、かつ振動の発生を防止し得る等速ジョイント用グリースおよびこのグリースを封入した等速ジョイントを提供すべく、種々の等速ジョイント用グリースを組み込んだ等速ジョイントの試料を作成し、耐久試験を行なうとともに、誘起スラスト試験を行ない耐摩耗性および耐振動性について評価した。本発明はこのような評価試験により得られた知見に基づくものである。
種々の等速ジョイント用グリースを鋭意検討した結果、モリブデン酸塩の中でもモリブデン酸のアルカリ金属塩に著しい耐摩耗性があることを見出した。また、モリブデン酸のアルカリ金属塩と、耐摩耗性の良い増ちょう剤と、層状化合物とを必須成分として配合することにより、等速ジョイントの各摺動部の摩耗を効果的に防止するとともに等速ジョイントの振動低減を達成し、本発明を完成させるに至った。
モリブデン酸のアルカリ金属塩を配合する効果については、モリブデン酸のアルカリ金属塩を等速ジョイント用グリースに配合すると、等速ジョイントの摩擦摩耗面または摩耗により露出した鉄系金属新生面において、酸化モリブデン酸のアルカリ金属塩が反応し、摺動面に酸化鉄とともにモリブデン化合物を含有する膜を生成することが、摺動面の表面分析の結果わかった。この酸化モリブデン被膜が摩耗を抑制するものと考えられる。
また、層状化合物を必須成分として配合する効果については、モリブデン酸のアルカリ金属塩と、層状化合物とを組合せることにより、耐摩耗性に加えて、広角度域にて等速ジョイントの振動低減を達成することがわかった。これは、モリブデン酸のアルカリ金属塩が反応してモリブデン化合物の膜が形成された耐摩耗性を有する摺動面間に、へき開性を有する層状化合物が介入し、せん断により層状化合物がへき開することにより固体潤滑剤として働き低摩擦性を示すものと考えられる。
すなわち、耐摩耗性と低振動特性を両立させることにより、エンジンの高出力化やコンパクト化にともなって摺動部が高面圧になっても、長寿命が確保でき、かつ乗員に不快感を与える振動を低減することができる。本発明はこのような知見に基づいて完成されたものである。
本発明に使用できるベースグリース成分の基油としては、ナフテン系、パラフィン系、流動パラフィン、水素化脱ろう油などの鉱油、ポリアルキレングリコールなどのポリグリコール油、アルキルジフェニルエーテル、ポリフェニルエーテルなどのエーテル系合成油、ジエステル油、ポリオールエステル油などのエステル系合成油、ポリジメチルシロキサン、ポリフェニルメチルシロキサンなどのシリコーン油、GTL基油、ポリ−α−オレフィン油などの炭化水素系合成油など、また、これらの混合油が挙げられる。
これらの中で、価格が安く工業的に利用しやすく、等速ジョイントのブーツを劣化させない耐ブーツ性に優れるナフテン系、パラフィン系などの鉱油類が好ましい。
本発明に使用できる増ちょう剤としては、リチウム石けん、リチウムコンプレックス石けん、力ルシウム石けん、カルシウムコンプレックス石けん、アルミニウム石けん、アルミニウムコンプレックス石けんなどの石けん類、ジウレア化合物、ポリウレア化合物などのウレア系化合物が挙げられるが、特に限定されるものではない。ただし、耐摩耗性を考慮すると下記式(1)で示されるジウレア化合物を使用することが望ましい。
Figure 0004829523
(式中、R1 および R3 は、炭素原子数 4〜24 の直鎖アルキル基またはシクロヘキシル基であり、R1 および R3 は、同一であっても異なっていてもよい。R2 は、炭素原子数 6〜15 の芳香族系炭化水素基である。)
ジウレア化合物は、例えば、ジイソシアネートとモノアミンの反応で得られる。ジイソシアネートとしては、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、フェニルジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、オクタデカンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネー卜などが挙げられる。モノアミンとしては、オクチルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、アニリン、p−トルイジン、シクロヘキシルアミンなどが挙げられる。これらの中で特に好ましいモノアミンは、オクチルアミン、オクタデシルアミンおよびシクロヘキシルアミンである。
ウレア化合物は、イソシアネート化合物とアミン化合物を反応させることにより得られる。反応性のある遊離基を残さないため、イソシアネート化合物のイソシアネート基とアミン化合物のアミノ基とは略当量となるように配合することが好ましい。
基油にウレア化合物を配合して各種配合剤を配合するためのベースグリースが得られる。ベースグリースは、基油中でイソシアネート化合物とアミン化合物とを反応させて作製する。
本発明に使用できるモリブデン酸のアルカリ金属塩は、代表的なものとしてモリブデン酸カリウム、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸リチウムなどが挙げられる。モリブデン酸のアルカリ金属塩は油に不溶の固体であるので、グリース中においては、二硫化モリブデンなどの固体潤滑剤と同様に分散した状態で存在する。モリブデン酸のアルカリ金属塩は等速ジョイント内の各摺動部の潤滑界面において反応し、金属表面上に酸化モリブデンを形成する。モリブデン酸のアルカリ金属塩により耐摩耗性が発揮される機構は明らかにはなっていないが、生成される酸化モリブデンに耐摩耗性があると考えられる。モリブデン酸のアルカリ金属塩は、工業製品で通常 200μm 程度の粒径である。しかし、粒径はより小さいほうが潤滑界面に存在しやすく、その効果が発揮されやすい。よって、モリブデン酸のアルカリ金属塩の粒径は、好ましくは 50μm 以下である。
本発明に使用できる層状化合物は、特に限定されるものではないが、例としては二硫化モリブデン、二硫化タングステン、グラファイト、メラミンシアヌレート、窒化ホウ素、セリサイト、雲母、硫化亜鉛、炭酸カルシウム、タルク、モンモリロナイト、カオリナイト、チタン酸マグネシウムカリウム、チタン酸マリチウムカリウムなどを挙げることができる。これらの中で特に好ましい層状化合物は、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、メラミンシアヌレート、グラファイト、窒化ホウ素、セリサイトである。層状化合物は 1 種または 2 種以上を組合せて用いることができる。
また、層状化合物の粒径は特に限定されるものではないが、摺動部に介入してその効果を発揮することを考慮すると、好ましくは 20μm 以下である。
本発明の等速ジョイント用グリースは、その優れた性能を高めるため、必要に応じて公知の添加剤を含有させることができる。この添加剤として、例えば、ポリテトラフルオロエチレン樹脂などの固体潤滑剤、アミン系、フェノール系、硫黄系化合物などの酸化防止剤、石油スルフォネート、ジノニルナフタレンスルフォネート、ソルビタンエステルなどの錆止め剤、有機モリブデン化合物、硫化油脂、硫化オレフィンに代表される硫黄系化合物、チオフォスフェート、チオフォスファイトに代表される硫黄−リン系化合物、トリクレジルフォスフェートに代表されるリン系化合物などの極圧剤、リン系化合物、有機亜鉛などの摩耗防止剤、金属スルフォネート、金属フォスフェートなどの清浄分散剤、有機モリブデンなどの摩擦低減剤、ワックス系化合物、脂肪酸アミド、脂肪酸、アミン、油脂類などの油性剤、ベンゾトリアゾール、亜硝酸ソーダなどの金属不活性剤、ポリメタクリレート、ポリスチレンなどの粘度指数向上剤が挙げられる。これらは単独または 2 種類以上組合せて添加できる。
等速ジョイント用グリースの配合割合は、基油が好ましくは 20〜98.8 重量%、さらに好ましくは 45〜96.4 重量%、増ちょう剤が好ましくは 1〜40 重量%、さらに好ましくは 3〜25 重量%、モリブデン酸のアルカリ金属塩が 0.1〜10 重量%、さらに好ましくは 0.1〜5 重量%、層状化合物が好ましくは 0.1〜30 重量%、さらに好ましくは 0.5〜25 重量%、等速ジョイント用グリース全体に対してそれぞれ配合される。
上記組成において、増ちょう剤の配合量が 1 重量%未満では、増ちょう効果が少なくなり、グリース化しにくく、40 重量%よりも多いと得られたグリースが硬くなりすぎ、所期の効果が得られにくくなる。
モリブデン酸のアルカリ金属塩の配合量が 0.1 重量%未満では、所期の効果を十分に得ることが困難になり、 10 重量%より多い場合にも、効果の増大はない。また、価格が高くなり、実用的ではない。
また、層状化合物の配合量が 0.1 重量%未満では、所期の効果を十分に得ることが困難になり、 30 重量%より多い場合にも、効果の増大はない。また、価格が高くなり、実用的ではない。
本発明の等速ジョイント用グリースを用いた等速ジョイントの一例を図1に基づいて説明する。図1(a)は、トリポート型等速ジョイントの横断面図、図1(b)は、図1(a)の等速ジョイントの縦断面図、図1(c)は、図1(b)におけるローラ案内面とローラとの相互関係を示す斜視図である。
図1(a)に示すように、等速ジョイントは外側継手部材1の内周面の軸方向に3本の円筒形トラック溝2を形成し、外側継手部材1内に挿入したトリポート部材4の半径方向に突設した3本の脚軸5の円筒状の外周面に複数の針状ころ6を介して回転可能に外嵌した円環状のローラ7をトラック溝2に挿入して構成される。各トラック溝2の円周方向で対向する一対のローラ案内面3は軸方向に平行な凹曲面であり、3本の脚軸5の各ローラ7の外周面はローラ案内面3に適合する凸曲面である。各ローラ7は、対応するトラック溝2のローラ案内面3に係合して脚軸5を中心に回転しながらトラック溝2に沿って移動可能である。また、図1(b)に示すように、外輪11の外周とシャフト10の外周とをブーツ12で覆い、その内部に等速ジョイント用グリース13が密封充填されている。
図1(b)に示すように、シャフト10が作動角θをとった状態で回転力を伝達するとき、ローラ7とローラ案内面3とは図1(c)に示すように互いに斜交する関係となる。この場合、ローラ7は図1(b)に矢印tで示す方向に転がり移動しようとするのに対して、トラック溝2は等速ジョイントの軸線と平行な円筒面の一部であるため、ローラ7はトラック溝2に拘束されながら移動することになる。その結果、ローラ案内面3とローラ7との相互間に滑りが発生してスライド抵抗が発生し、さらに、この滑りが軸方向に誘起スラストを発生させる。このようなスライド抵抗と誘起スラストは、車体の振動や騒音の発生原因となり、自動車のNVH(N:Noise 騒音、V:Vibration 振動、H:Harshness 乗り心地)性能に影響を与える。本発明の等速ジョイント用グリースは、このスライド抵抗と誘起スラストを低減させるものである。
また、このようなスライド抵抗と誘起スラストの低減を目的とした摺動式トリポート型等速ジョイントの他の例を図2に基づいて説明する。図2(a)は他のトリポート型等速ジョイントの横断面図、図2(b)は図2(a)のA−A断面図、図2(c)はリングの断面図である。図2に示すように、等速ジョイントは外側継手部材1とトリポート部材4とからなり、連結すべき2軸の一方が外側継手部材1と接続され、他方がトリポート部材4と接続される。
外側継手部材1は内周面に軸方向に延びる3本のトラック溝2を有する。各トラック溝2の円周方向で向かい合った側壁にローラ案内面3が形成されている。トリポート部材4は半径方向に突設した3本の脚軸5を有し、各脚軸5にはローラ7が取り付けてあり、このローラ7が外側継手部材1のトラック溝2内に収容される。ローラ7の外周面はローラ案内面3に適合する凸曲面である。
ローラ7の外周面は脚軸5の軸線から半径方向に離れた位置に曲率中心を有する円弧を母線とする凸曲面であり、ローラ案内面3の断面形状はゴシックアーチ形状であって、これにより、ローラ7とローラ案内面3とがアンギュラコンタクトをなす。球面状のローラ外周面に対してローラ案内面3の断面形状をテーパ形状としても両者のアンギュラコンタクトが実現する。このようにローラ7とローラ案内面3とがアンギュラコンタクトをなす構成を採用することによって、ローラが振れにくくなるため姿勢が安定する。なお、アンギュラコンタクトを採用しない場合には、たとえば、ローラ案内面3を軸線が外側継手部材1の軸線と平行な円筒面の一部で構成し、その断面形状をローラ7の外周面の母線に対応する円弧とすることもできる。
脚軸5の外周面にリング8が外嵌している。このリング8とローラ7とは複数の針状ころ6を介してユニット化され、相対回転可能なローラアセンブリを構成している。すなわち、リング8の円筒形外周面を内側軌道面とし、ローラ7の円筒形内周面を外側軌道面として、これらの内外軌道面間に針状ころ6が転動自在に介在する。図2(b)に示されるように、針状ころ6は、できるだけ多くのころを入れた、保持器のない、いわゆる総ころ状態で組み込まれている。符号9、9で指してあるのは、針状ころ6の抜け落ち止めのためにローラ7の内周面に形成した環状溝に装着した一対のワッシャである。これらのワッシャ9、9は円周方向の一個所に切れ目を有し、弾性的に縮径させた状態でローラ7の内周面の環状溝に装着するようになっている。
脚軸5の外周面は、縦断面(図2(a))で見ると脚軸5の軸線と平行なストレート形状であり、横断面(図2(b))で見ると、長軸が継手の軸線に直交する楕円形状である。脚軸5の断面形状は、トリポート部材4の軸方向で見た肉厚を減少させて略楕円状としてある。言い換えれば、脚軸5の断面形状は、トリポート部材4の軸方向で互いに向き合った面が相互方向に、つまり、仮想円筒面よりも小径側に退避している。
リング8の内周面は円弧状凸断面を有する。すなわち、内周面の母線が半径rの凸円弧である(図2(c))。このことと、脚軸5の横断面形状が上述のように略楕円形状であり、脚軸5とリング8との間には所定のすきまが設けてあることから、リング8は脚軸5の軸方向での移動が可能であるばかりでなく、脚軸5に対して首振り揺動自在である。また、上述のとおりリング8とローラ7は針状ころ6を介して相対回転自在にユニット化されているため、脚軸5に対し、リング8とローラ7がユニットとして首振り揺動可能な関係にある。ここで、首振りとは、脚軸5の軸線を含む平面内で、脚軸5の軸線に対してリング8およびローラ7の軸線が傾くことをいう。
本発明においては、ローラ7がローラ案内面3によって案内され、外側継手部材1の軸線と平行な姿勢を保ちながらローラ案内面3上を正しく転動する上記構造に加えて、等速ジョイント用グリース13が外側継手部材1の内部に封入されているので、ローラ7とローラ案内面3との摺動面の誘起スラストを低減させ、耐摩耗性を維持することができる。また、脚軸5とリング8との摺動部の摩耗を防ぐことができる。
本発明を実施例および比較例により具体的に説明するが、これらの例によって何ら限定されるものではない。
実施例1、実施例4、実施例6、実施例8、実施例10〜実施例15、比較例1、比較例2、比較例4および比較例6
鉱油( 100℃での動粘度が 13.5 mm2/sec )2000 g 中で、ジフェニルメタン−4、4'−ジイソシアネー卜 60.6 g と、 オクチルアミン 31.3 g と、ステアリルアミン 66.2 g とを反応させ、生成したウレア化合物を均一に分散させてベースグリース1を得た。このベースグリース1に、表1および表2に示す配合で添加剤を配合し、得られる化合物を三段ロールミルでJISちょう度No.1グレード(ちょう度:310〜340 )に調整して等速ジョイント用グリースを得た。
実施例2、実施例5および実施例7
鉱油( 100℃での動粘度が 13.5 mm2/sec )2000 g 中で、ジフェニルメタン−4、4'−ジイソシアネー卜 60.3 g と、ステアリルアミン 65.5 g と、シクロヘキシルアミン 24.1 g とを反応させ、生成したウレア化合物を均一に分散させてベースグリース2を得た。このベースグリース2に、表1に示す配合で添加剤を配合し、得られる化合物を三段ロールミルでJISちょう度No.1グレード(ちょう度:310〜340 )に調整して等速ジョイント用グリースを得た。
実施例3、実施例9、比較例3、比較例5および比較例7
鉱油( 100℃での動粘度が 13.5 mm2/sec )2000 g 中で、ジフェニルメタン−4、4'−ジイソシアネー卜 158.2 g と、オクチルアミン 81.3 g と、アニリン 58.9 g とを反応させ、生成したウレア化合物を均一に分散させてベースグリース3を得た。このベースグリース3に、表1に示す配合で添加剤を配合し、得られる化合物を三段ロールミルでJISちょう度No.1グレード(ちょう度:310〜340 )に調整して等速ジョイント用グリースを得た。
比較例8
比較例8は、鉱油( 100℃での動粘度が 13.5 mm2/sec )2000 g 中で、12−ヒドロキシリチウムステアレート 150 g を均一に分散させてベースグリース4を得た。このベースグリース4に、表2に示す配合で極圧剤として二硫化モリブデンを配合し、得られる化合物を三段ロールミルでJISちょう度No.1グレード(ちょう度:310〜340 )に調整して等速ジョイント用グリースを得た。
これらのグリースにつき、以下に示す試験方法で誘起スラスト試験を行ない、得られた結果を表1および表2に併記する。
誘起スラスト試験;
実際のトリポート型等速ジョイントを用いて、作動角とトルクをかけて回転させた時に軸方向に発生する力を誘起スラストとして測定した。
測定条件: 回転数 150 rpm
トルク 392 N-m
ジョイント角度 4゜および10゜
運転時間 15 分
ジョイントタイプ NTN社製:PTJ
評価基準: 比較例8を基準グリースとして、その初期性能を 100 としたときの誘起スラストの割合(%)で示す。誘起スラストの割合が 50%未満であるトリポート型等速ジョイントは低振動性に優れていると評価した。
耐久試験;
実際のトリポート型等速ジョイントを用いて、作動角とトルクをかけて回転させた時に生ずるジャーナル部(脚軸)の摩耗深さを測定した。
試験条件: 回転数 240 rpm
トルク 774 N-m
ジョイント角度 0゜〜10゜
運転時間 300 時間
ジョイントタイプ NTN社製:PTJ
評価基準: 試験終了後のジャーナル部の摩耗深さが 30μm 以下であるトリポート型等速ジョイントを耐久性に優れていると評価した。
総合評価;誘起スラスト試験において誘起スラストの割合が 50%未満であり、かつ耐久試験においてジャーナル部の摩耗深さが 30μm 以下であるトリポート型等速ジョイントを、低振動性および耐久性に優れていると評価して、「○」を、それ以外を不可と評価して「×」を表1および表2に併記した。
Figure 0004829523
Figure 0004829523
表1および表2に示すように、各実施例は、誘起スラストも低く、耐久性能も優れていた。比較例については、比較例1は、誘起スラストおよび耐久性能とも評価基準に達せず、比較例2〜比較例7はモリブデン酸のアルカリ金属塩の添加により耐久性は優れるものの、誘起スラストは評価基準を大幅に下回った。
本発明の等速ジョイント用グリースは、誘起スラストを小さくでき、かつ耐久性能に優れ、その効果を長期間維持できる。このため、各種等速ジョイントに、好ましくは自動車用等速ジョイントに用いることができる。自動車用等速ジョイントの中でも、転がりに比べて滑りの要素が多いプランジング型等速ジョイントに好適に利用できる。
トリポート型等速ジョイントの横断面図、等速ジョイントの縦断面図およびローラ案内面とローラとの相互関係を示す斜視図である。 他のトリポート型等速ジョイントの横断面図、該図におけるA−A断面図およびリングの断面図である。
符号の説明
1 外側継手部材
2 トラック溝
3 ローラ案内面
4 トリポート部材
5 脚軸
6 針状ころ
7 ローラ
8 リング
9 ワッシャ
10 シャフト
11 外輪
12 ブーツ
13 等速ジョイント用グリース

Claims (4)

  1. 基油に増ちょう剤を配合してなるベースグリースに、モリブデン酸のアルカリ金属塩と層状化合物とを必須成分として含有してなり、前記層状化合物が、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、メラミンシアヌレート、グラファイト、窒化ホウ素およびセリサイトから選ばれた少なくとも1つの物質であることを特微とする等速ジョイント用グリース。
  2. 前記増ちょう剤が下記式(1)で表されるジウレア化合物であることを特徴とする請求項1記載の等速ジョイント用グリース。
    Figure 0004829523
    (式中、R1 および R3 は、炭素原子数 4〜24 の直鎖アルキル基またはシクロヘキシル基であり、R1 および R3 は、同一であっても異なっていてもよい。R2 は、炭素原子数 6〜15 の芳香族系炭化水素基である。)
  3. 前記モリブデン酸のアルカリ金属塩が、グリース全体に対して 0.1〜10 重量%、前記層状化合物が、グリース全体に対して 0.1〜30 重量%、それぞれ含有されることを特徴とする請求項1または請求項2記載の等速ジョイント用グリース。
  4. トラック溝と転動体との係り合いによって回転トルクの伝達が行なわれ、前記転動体が前記トラック溝に沿って転動することによって軸方向移動がなされる等速ジョイントであって、
    該等速ジョイントに封入されるグリースが請求項1ないし請求項のいずれか一項記載の等速ジョイント用グリースであることを特徴とする等速ジョイント。
JP2005118180A 2005-04-15 2005-04-15 等速ジョイント用グリースおよび等速ジョイント Expired - Fee Related JP4829523B2 (ja)

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