JP2017025189A - グリース組成物、グリース封入軸受、自在継手および直動装置 - Google Patents

グリース組成物、グリース封入軸受、自在継手および直動装置 Download PDF

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涼太 近藤
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【課題】高速高面圧などの過酷な摺動条件下での使用において、モリブデン非含有でも優れた低摩擦性を実現できるグリース組成物、および、このグリース組成物を封入してなる軸受、自在継手および直動装置を提供する。【解決手段】グリース封入軸受1は、グリース組成物7が少なくとも転動体4の周囲に封入されてなり、このグリース組成物7は、基油と、増ちょう剤と、添加剤とを含み、上記添加剤が、ジチオカルバミン酸モリブデンと、ジチオカルバミン酸亜鉛と、亜鉛スルフォネートとを含み、前記グリース組成物全体中におけるモリブデン含有量が0.01〜0.06重量%である。【選択図】図1

Description

本発明はグリース組成物、および、該グリース組成物を封入した軸受、自在継手、直動装置に関する。
従来から産業界でグリース組成物の高性能化を図る目的で、グリース組成物に種々の添加剤を配合し潤滑性を向上させる試みがなされている。軸受などが高速高面圧条件下で使用される場合、封入したグリース組成物の潤滑膜が破断しやすくなる。潤滑膜が破断すると金属接触が起こり、発熱、摩擦摩耗が増大する不具合が発生する。このため、高速高面圧などの過酷条件下での運転においても優れた潤滑性を示すグリース組成物に対する要求がある。特に、軸受、自在継手、直動装置、ボールねじなどの機械部品は、高速高面圧などの過酷条件下で用いられるものであり、その潤滑に用いられるグリース組成物において上記要求がある。従来、このような高面圧条件下における摩擦を低減するため、有機金属系化合物などの極圧剤をグリース組成物に添加することがなされている。
例えば、有機金属系化合物として、ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン(モリブデンジチオカーバメート)や、モリブデンジチオフォスフェートなどのモリブデン化合物を含む等速ジョイント用グリースが提案されている(特許文献1および特許文献2参照)。また、等速ジョイントから発生する振動の低減等を目的として、極圧剤として、基油に溶解する油溶性のモリブデンジチオカーバメートと、基油に溶解しない非油溶性のモリブデンジチオカーバメートとを併用した等速ジョイント用グリースが提案されている(特許文献3参照)。
また、二硫化モリブデンを含有せず、有機モリブデン化合物とCaスルフォネートを含有したグリースが提案されている(特許文献4参照)。その他、高温、高荷重、高速という過酷な条件での劣化や潤滑性能低下を防止する目的で、ジチオカルバミン酸塩などの添加剤を封入したマイクロカプセルを、転がり軸受用グリースに配合したものが提案されている(特許文献5参照)。
さらに、ジチオカルバミン酸モリブデンとジチオカルバミン酸ナトリウムとを含み、環境を保護するためにモリブデン化合物の使用量を0.06重量%以下に低減したグリース組成物(特許文献6参照)、ジチオカルバミン酸モリブデンと炭素数2以上の脂肪酸の金属塩とを含みモリブデン含有量が0.1重量%以下としたグリース組成物(特許文献7参照)がそれぞれ知られている。
特開平07−197072号公報 特開平10−147791号公報 特許第4181771号公報 特許第3988897号公報 特開2008−249078号公報 特開2012−140542号公報 特開2012−77283号公報
しかしながら、近年において益々厳しくなっている、軸受、自在継手、直動装置、ボールねじなどの機械部品における高速高面圧の過酷条件下での使用に際しては、従来の添加剤では必ずしも充分とはいえず、さらに性能向上が望まれている。また、上記各特許文献等に記載のモリブデン化合物は、PRTR(環境汚染物質排出・移動登録)の規制物質であり、環境保護の観点からもモリブデン化合物の使用量は低減がより望まれている。
また、モリブデン量を極少量とする場合や、ジチオカルバミン酸塩(モリブデン以外)などの添加剤を単独で用いる場合では、高速高面圧の過酷条件下での使用において十分な低摩擦性を発揮させることは困難であった。これらの背景に鑑み、モリブデン量を低減させながらも、高速高面圧の低摩擦特性に優れる低摩擦添加剤を開発することが望まれている。
特許文献6記載のグリース組成物はジチオカルバミン酸ナトリウムを使用するので、ジチオカルバミン酸モリブデンおよびジチオカルバミン酸亜鉛含有のグリース組成物と比較して、職場安全上製造工数がかかるという問題がある。また、特許文献7記載のグリース組成物はモリブデン化合物の使用量をより低減できないという問題がある。
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、高速高面圧などの過酷な摺動条件下での使用において、モリブデン低含有(0.06重量%以下)でありながら優れた低摩擦性を実現できるグリース組成物、および、このグリース組成物を封入してなる軸受、自在継手および直動装置を提供することを目的とする。
本発明のグリース組成物は、基油と、増ちょう剤と、添加剤とを含むグリース組成物である。この組成物に含まれる添加剤が、ジチオカルバミン酸モリブデン(以下、MoDTCという)と、ジチオカルバミン酸亜鉛(以下、ZnDTCという)と、亜鉛スルフォネートとを含み、上記グリース組成物全体中におけるモリブデン含有量が0.01〜0.06重量%であることを特徴とする。
また、特に添加剤であるMoDTCが油溶性のMoDTCであることを特徴とする。
本発明のグリース組成物に使用される基油は、(1)基油全体に対して50重量%以上の鉱油を含有する基油であるか、または(2)基油全体に対して50重量%以上の鉱油と残部が硫黄含有率0.1重量%未満の高度精製油とからなる基油であることを特徴とする。
本発明のグリース組成物に使用される増ちょう剤が、ポリイソシアネート成分と、脂肪族モノアミンおよび脂環族モノアミンから選ばれた少なくとも1つのモノアミン成分とを反応して得られるウレア化合物であることを特徴とする。
本発明のグリース封入軸受は、上記本発明のグリース組成物を封入してなることを特徴とする。
また、本発明の自在継手は、上記本発明のグリース組成物を封入してなることを特徴とする。
また、本発明の直動装置は、案内部材に沿って直線移動し、上記本発明のグリース組成物を封入してなることを特徴とする。
本発明のグリース組成物は、添加剤として、MoDTCと、ZnDTCと、亜鉛スルフォネートとを含み、モリブデン含有量が0.01〜0.06重量%であるので、高速高面圧などの過酷条件下での使用においても、優れた耐環境性および潤滑性を示し、耐摩耗性の向上および低摩擦化が図れる。また、MoDTCが油溶性のMoDTCであるので、より低摩擦化が図れる。
グリース組成物の基油として、(1)基油全体に対して50重量%以上の鉱油を含有する基油であるか、または(2)基油全体に対して50重量%以上の鉱油と残部が硫黄含有率0.1重量%未満の高度精製油とからなるので、また、増ちょう剤がポリイソシアネート成分と、脂肪族モノアミンおよび脂環族モノアミンから選ばれた少なくとも1つのモノアミン成分とを反応して得られるウレア化合物であるので、耐熱耐久性に優れ、摺動部への介入性と付着性にも優れる。
本発明のグリース封入軸受、自在継手、および直動装置は、本発明のグリース組成物を封入してなるので、高速高面圧条件下で使用しても、摺動面における摩擦係数が小さく摩耗も抑制できる。また、封入するグリースがモリブデン低含有(0.06重量%以下)であり、環境保護の観点からも好ましい。
本発明のグリース封入軸受の一例として深溝玉軸受を示す断面図である。 本発明の自在継手の一例として等速ジョイントを示す断面図である。 本発明の直動装置の一例としてボールねじを示す断面図である。
本発明のグリース組成物は、基油と増ちょう剤とからなるベースグリースに添加剤を配合して得られ、添加剤として(1)MoDTC、(2)ZnDTC、および(3)亜鉛スルフォネートを含み、モリブデン含有量が0.01〜0.06重量%である。グリース組成物に添加する添加剤として、MoDTCと、ZnDTCと亜鉛スルフォネートとを併用することで、少ないモリブデン含有量でありながら、摺動面においてモリブデン被膜を生成でき、このモリブデン被膜などにより耐摩耗性の向上および低摩擦化が図れると考えられる。
本発明で使用するMoDTCとしては、下記式(1)で示されるジアルキルジチオカルバミン酸モリブデンなどが挙げられる。本発明では、特に、油溶性のものが好ましい。油溶性のMoDTCを用いることで、0.06重量%以下の少ないモリブデン含有量で耐熱耐久性に優れ、熱分解せず、極圧性効果が高い。
Figure 2017025189
式中、R1 およびR2 はそれぞれ炭素原子数 1〜24、好ましくは 3〜18 のアルキル基であり、X+Y= 4 の整数であり、かつXは 0〜3 、Yは 4〜1 である。好ましくは、XおよびYが共に2である。
本発明で好適な油溶性のMoDTCとは、溶解後の全重量に対して0.5重量%のMoDTCをグリース組成物に使用する基油に加えて撹拌し、これを70℃×24時間保持後に目視で観察した結果、基油中に不溶解分が析出していないMoDTCをいう。不溶解分が析出していると基油が透明にならず、MoDTCがコロイド状態、あるいは懸濁状態になり、目視で判断できる。油溶性のMoDTCの市販品としては、例えば、アデカ社製:アデカサクラルーブ100、165、200、525、600などが挙げられる。
本発明のグリース組成物は、該組成物全体中におけるモリブデン含有量が0.01〜0.06重量である。上記MoDTCの配合割合は、これを満たすような範囲とする。
油溶性のMoDTCの配合割合(含有量)は、モリブデン含有量が0.01〜0.06重量となる範囲内で、ベースグリース100重量部に対して0.2〜1重量部とすることが好ましい。配合割合が0.2重量部未満であると、高速高面圧条件下で十分な低摩擦化が図れないおそれがある。また、配合割合が1重量部をこえると、MoDTCの種類によってはグリース組成物中におけるモリブデン含有量が0.06重量%をこえる場合があり、モリブデン低含有とすることができない。なお、油溶性のMoDTCの代わりに固体のMoDTC(アデカ社製:サクラルーブ600など)を少量添加してもよいが、分散性に劣る。
本発明のグリース組成物における添加剤は、上記MoDTCに加えて、ZnDTC、および亜鉛スルフォネートを必須成分として含む。ZnDTCおよび亜鉛スルフォネートを併用することで、モリブデン低含有(0.06重量%以下)でありながら、耐摩耗性の向上および低摩擦化が図れる。
ZnDTCとしては、Vanderbilt社製の商品名Vanlube AZが好ましい。亜鉛スルフォネートとしては、ジノニルナフタレン亜鉛スルフォネートが好ましい。
ZnDTCの配合割合(含有量)は、ベースグリース100重量部に対して0.1〜5重量部とすることが好ましい。特に好ましくは0.3〜3重量部である。配合割合が0.1重量部未満であると、低摩擦化の効果の向上が少ない。また、配合割合が5重量部をこえると、上記油溶性のMoDTCの低摩擦発現を阻害し、特に低面圧下で十分な低摩擦化が図れない。
亜鉛スルフォネートの配合割合(含有量)は、ベースグリース100重量部に対して1〜6重量部とすることが好ましい。特に好ましくは2〜4重量部である。配合割合が1重量部未満であると、低摩擦化の効果の向上が少ない。また、配合割合が6重量部をこえても、併用による低摩擦化の効果の向上がそれ以上に望めない。
本発明のグリース組成物は、必要に応じて上記以外の公知の添加剤を含有させてもよい。このような添加剤として、例えば、ソルビタンエステルなどの防錆剤、アミン系、フェノール系化合物などの酸化防止剤、亜硝酸ナトリウム、セバシン酸ナトリウムなどの腐食防止剤、グラファイト、二硫化モリブデンなどの固体潤滑剤、脂肪酸アミド、脂肪酸、アミン、油脂類などの油性剤、ポリメタクリレート、ポリスチレンなどの粘度指数向上などが挙げられる。なお、これらは、単独または2種類以上組合せて添加できる。
本発明のグリース組成物の基油は、特に限定されず、通常グリースの分野で使用される一般的なものを使用できる。例えば、高度精製油、鉱油、動植物油、エステル系合成油、合成炭化水素油、リン酸エステル油、シリコーン油、フッ素油およびこれらの混合油などを使用できる。
これらの中でも、潤滑性とコストを考慮した場合、鉱油を必須成分として基油全体に対して50重量%以上含有する基油の使用が好ましい。または鉱油を他の油と混合して使用する場合、低温性と高温性に優れた高度精製油と併用して使用することが好ましい。また、基油の動粘度(混合油の場合は、混合油の動粘度)としては、40℃において66〜100mm/sの範囲のものが、低温性と高温性に優れ特に好ましい。
高度精製油は、例えば、減圧蒸留の残油から得られるスラッグワックスを接触水素化熱分解し、合成することにより得られる。また、フィッシャー・トロプシュ法により合成されるGTL油などが挙げられる。高度精製油は、硫黄含有率が0.1重量%未満であることが好ましく、より好ましくは0.01重量%未満である。高度精製油の市販品としては、昭和シェル石油社製シェルハイバックオイルX46、X68などが挙げられる。また、鉱油としては、スピンドル油、冷凍機油、タービン油、マシン油、ダイナモ油などが挙げられる。
本発明のグリース組成物の増ちょう剤は、特に限定されず、通常グリースの分野で使用される一般的なものを使用できる。例えば、金属石けん、複合金属石けんなどの石けん系増ちょう剤、ベントン、シリカゲル、ウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物などの非石けん系増ちょう剤を使用できる。金属石けんとしては、ナトリウム石けん、カルシウム石けん、アルミニウム石けん、リチウム石けんなどが、ウレア化合物およびウレア・ウレタン化合物としては、ジウレア化合物、トリウレア化合物、テトラウレア化合物、他のポリウレア化合物、ジウレタン化合物などが挙げられる。これらの中でも、耐熱耐久性に優れ、摺動部への介入性と付着性にも優れたジウレア化合物の使用が好ましい。
ウレア化合物は、ポリイソシアネート成分とモノアミン成分とを反応して得られる。ポリイソシアネート成分としては、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、オクタデカンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネー卜などが挙げられる。また、モノアミン成分は、脂肪族モノアミン、脂環族モノアミンおよび芳香族モノアミンを用いることができる。脂肪族モノアミンとしては、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミンなどが挙げられる。脂環族モノアミンとしては、シクロヘキシルアミンなどが挙げられる。芳香族モノアミンとしては、アニリン、p-トルイジンなどが挙げられる。
これらのウレア化合物の中でも、上述の耐熱耐久性、摺動部への介入性と付着性に特に優れることから、ポリイソシアネート成分として芳香族ジイソシアネートを用い、モノアミン成分として脂肪族モノアミンおよび/または脂環族モノアミンを用いた、脂肪族ウレア化合物や脂環族ウレア化合物の使用が特に好ましい。
基油にウレア化合物などの増ちょう剤を配合して、上記の各添加剤を配合するためのベースグリースが得られる。ウレア化合物を増ちょう剤とするベースグリースは、基油中で上記ポリイソシアネート成分とモノアミン成分とを反応させて作製する。
ベースグリース100重量部中に占める増ちょう剤の配合割合は、1〜40重量部、好ましくは3〜25重量部、より好ましくは8〜10重量部である。増ちょう剤の含有量が1重量部未満では、増ちょう効果が少なくなり、グリース化が困難となり、40重量部をこえると得られたベースグリースが硬くなりすぎ、所期の効果が得られ難くなる。
本発明のグリース組成物は、高速高面圧などの過酷条件下で用いられる機械部品、例えば、軸受、自在継手、直動装置、ボールねじなどに封入するグリースとして使用できる。以下、これらについて説明する。
本発明のグリース封入軸受を図1に基づいて説明する。図1は深溝玉軸受の断面図である。グリース封入軸受1は、外周面に内輪転走面2aを有する内輪2と内周面に外輪転走面3aを有する外輪3とが同心に配置され、内輪転走面2aと外輪転走面3aとの間に複数個の転動体4が配置される。この複数個の転動体4は、保持器5により保持される。また、外輪3等に固定されるシール部材6が、内輪2および外輪3の軸方向両端開口部8a、8bにそれぞれ設けられている。少なくとも転動体4の周囲に本発明のグリース組成物7が封入される。
軸受として玉軸受について例示したが、本発明のグリース組成物は、上記以外の円筒ころ軸受、円すいころ軸受、自動調心ころ軸受、針状ころ軸受、スラスト円筒ころ軸受、スラスト円すいころ軸受、スラスト針状ころ軸受、スラスト自動調心ころ軸受などの転がり軸受、または、滑り軸受の封入グリースとしても使用できる。
本発明の自在継手を図2に基づいて説明する。図2は本発明の自在継手の一例としてツェッパ型等速ジョイントを示す一部切欠き断面図である。図2に示すように、等速ジョイント11は、外方部材(外輪ともいう)12の内面および球形の内方部材(内輪ともいう)13の外面に軸方向の六本のトラック溝14、15を等角度に形成し、そのトラック溝14、15間に組み込んだトルク伝達部材(ボールともいう)16をケージ17で支持し、このケージ17の外周を球面17aとし、かつ内周を内方部材13の外周に適合する球面17bとしている。また、外方部材12の外周とシャフト18の外周とをブーツ19で覆い、外方部材12と、内方部材13と、トラック溝14、15と、トルク伝達部材16と、ケージ17と、シャフト18とに囲まれた空間に本発明のグリース組成物20が封入されている。
自在継手としてツェッパ型等速ジョイントについて例示したが、本発明のグリース組成物は、上記以外のバーフィールド型などの固定型等速ジョイント、ダブルオフセット型、クロスグルーブ型、トリポード型等速ジョイントなどのスライド型等速ジョイント、または、クロスジョイントなどの不等速自在継手の封入グリースとしても使用できる。
本発明の直動装置を図3に基づいて説明する。図3は本発明の直動装置の一例であるボールねじを示す断面図である。図3に示すように、本発明のボールねじは、案内部材であるねじ軸21の外周面に形成したねじ溝22と、ボールナット23の内周面に形成したねじ溝24の間に複数のボール25を介在させたものであり、ねじ軸21またはボールナット23の回転動力をボール25を介してボールナット23(またはねじ軸21)に伝達し、ボールナット23を軸方向に移動させるものである。ねじ軸21とボールナット23との間でボール25の周囲に本発明のグリース組成物が封入され、ボールねじ用シール部材26によってシールされている。
本発明を実施例および比較例により具体的に説明するが、これらの例によって何ら限定されるものではない。
実施例1〜実施例4および比較例1〜比較例12
表1に示す割合で、基油をジウレア系増ちょう剤(オクチルアミンおよびシクロヘキシルアミンを4,4'−ジフェニルメチルジイソシアネートと反応させて得られるジウレア化合物)で増ちょうさせたベースグリースを得た。このベースグリースに表1に記載の添加剤を混合し、3段ロールミルでミル処理を行なった後、脱泡しグリース組成物を得た。表中の油溶性MoDTCに含まれるモリブデン含有量は4.1重量%であり、MoDTC粉末に含まれるモリブデン含有量は27.7重量%である。また、グリース組成物全体に対するモリブデン含有量(表中の「Mo含有量(重量%)」)は分析値である。また、表中の各添加剤の配合量は、基油および増ちょう剤からなるベースグリース100重量部に対する配合量(重量部)である。得られたグリース組成物について、以下に示すSRV摩擦摩耗試験に供し、摩擦係数を測定した。結果を表1に示す。
<SRV摩擦摩耗試験>
テストピース: ボール 直径10mm(SUJ2)
円盤プレート 直径24mm×7.85mm(SUJ2)
評価条件: 点接触最大面圧 1.45GPa、2.62GPa
周波数 10Hz
振幅 1.2mm
時間 30分間
試験温度 40℃
測定項目: 摩擦係数;(測定時間内で一定となった値)の平均値
Figure 2017025189
表1に示すように、各実施例は、添加剤として。特に油溶性のMoDTCと、ZnDTCと、亜鉛スルフォネートとを配合することで、モリブデン低含有(0.06重量%以下)でありながら低摩擦化が図れることが分かる。
本発明のグリース組成物は、高速高面圧などの過酷条件下での使用においても、モリブデン低含有(0.06重量%以下)で優れた潤滑性を有する。このため、高速高面圧条件下で使用される、例えば、軸受、自在継手、直動装置、ボールねじなどの潤滑グリースとして好適に利用できる。
1 グリース封入軸受
2 内輪
3 外輪
4 転動体
5 保持器
6 シール部材
7 グリース組成物
8a、8b 開口部
11 等速ジョイント
12 外方部材(外輪)
13 内方部材(内輪)
14、15 トラック溝
16 トルク伝達部材(ボール)
17 ケージ
18 シャフト
19 ブーツ
20 グリース組成物
21 ねじ軸
22 ねじ溝
23 ボールナット
24 ねじ溝
25 ボール
26 シール部材

Claims (7)

  1. 基油と、増ちょう剤と、添加剤とを含むグリース組成物であって、
    前記添加剤が、ジチオカルバミン酸モリブデンと、ジチオカルバミン酸亜鉛と、亜鉛スルフォネートとを含み、前記グリース組成物全体中におけるモリブデン含有量が0.01〜0.06重量%であることを特徴とするグリース組成物。
  2. 前記ジチオカルバミン酸モリブデンが、油溶性のジチオカルバミン酸モリブデンであることを特徴とする請求項1記載のグリース組成物。
  3. 前記基油が、基油全体に対して50重量%以上の鉱油を含有する基油、または基油全体に対して50重量%以上の鉱油と残部が硫黄含有率0.1重量%未満の高度精製油とからなる基油であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のグリース組成物。
  4. 前記増ちょう剤が、ポリイソシアネート成分と、脂肪族モノアミンおよび脂環族モノアミンから選ばれた少なくとも1つのモノアミン成分とを反応して得られるウレア化合物であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項記載のグリース組成物。
  5. グリース組成物を封入してなるグリース封入軸受であって、前記グリース組成物が請求項1から請求項4までのいずれか1項記載のグリース組成物であることを特徴とするグリース封入軸受。
  6. グリース組成物を封入してなる自在継手であって、前記グリース組成物が請求項1から請求項4までのいずれか1項記載のグリース組成物であることを特徴とする自在継手。
  7. 案内部材に沿って直線移動し、グリース組成物を封入してなる直動装置であって、前記グリース組成物が請求項1から請求項4までのいずれか1項記載のグリース組成物であることを特徴とする直動装置。
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