JP2009114354A - グリース組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記の成分(a)〜(e)を含むグリース組成物及びこれを含む機械部品。
(a)基油、
(b)増ちょう剤、
(c)モリブデンジチオカーバメート、
(d)亜鉛スルホネート、及び
(e)硫黄系極圧剤及び硫黄・リン系極圧剤からなる群から選ばれる少なくとも1種。
【選択図】なし
Description
たとえば、このような滑りを伴う等速ジョイントに用いられている潤滑グリースとしては、従来カルシウム石けんを増ちょう剤とするグリースや、リチウム石けんを増ちょう剤とし、硫黄・リン系極圧剤を含有したグリースが使用されていた(非特許文献1)。
近年、更なる摩擦係数特性の向上が望まれ、モリブデンジチオカーバメート、モリブデンジチオホスフェートなどの有機モリブデン化合物を使用したグリース組成物が検討されている(特許文献1)。
この有機モリブデン化合物が優れた低摩擦特性を示すには、潤滑部反応膜に有機モリブデン由来の二硫化モリブデンをはじめとするモリブデン化合物を有効に生成する必要があると報告されている(非特許文献2)。
二硫化モリブデンをはじめとするモリブデン化合物を有効に生成するためには、下地となる反応皮膜を生成させる事が重要である事が報告され、下地となる反応皮膜を有効に生成させる化合物として、Caスルホネート、亜鉛ジチオホスフェートが知られている(非特許文献3および4)。
近年、優れた低摩擦特性に対する要求は更に厳しくなってきた。下地となる反応皮膜を有効に生成させる化合物として、Caスルホネート、Mgスルホネート、亜鉛ジチオホスフェートが知られているが、低摩擦係数を示すのに十分ではなかった。
本発明の他の目的は、このグリース組成物を含む機械部品を提供することである。
1.下記の成分(a)〜(e)を含むグリース組成物。
(a)基油、
(b)増ちょう剤、
(c)モリブデンジチオカーバメート、
(d)亜鉛スルホネート、及び
(e)硫黄系極圧剤及び硫黄・リン系極圧剤からなる群から選ばれる少なくとも1種。
2.成分(e)が硫黄系極圧剤であり、該硫黄系極圧剤が、硫化油脂、硫化オレフィン、チアジアゾール、ポリサルファイド、亜鉛ジチオカーバメート及び金属を含まないジチオカーバメート系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記1記載のグリース組成物。
3.成分(e)が硫黄・リン系極圧剤であり、該硫黄・リン系極圧剤が、(1)硫化油脂、硫化オレフィン及びポリサルファイドからなる群から選ばれる少なくとも1種とホスフェート系及びホスファイド系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の混合物、(2)亜鉛ジチオホスフェート、(3)金属を含まないチオホスフェート及び(4)フォスフォロチオネートからなる群から選ばれる少なくとも1種である上記1記載のグリース組成物。
4.上記1〜3のいずれか1項記載のグリース組成物を使用した機械部品。
その結果、(a)基油、(b)増ちょう剤、(c)モリブデンジチオカーバメート、(d)亜鉛スルホネート、及び(e)硫黄系極圧剤及び/又は硫黄・リン系極圧剤を含有するグリース組成物が、望ましい潤滑特性を示すことを見いだし、本発明を完成したものである。
本発明に使用する(b)成分の増ちょう剤としては、全ての増ちょう剤が可能である。例えば、Li石けんやLiコンプレックス石けんに代表される石けん系増ちょう剤、ジウレアに代表されるウレア系増ちょう剤、有機化クレイやシリカに代表される無機系増ちょう剤、PTFEに代表される有機系増ちょう剤などが挙げられる。特に好ましいのはウレア系増ちょう剤とLi石けんである。これらは、耐熱性にすぐれ、欠点が少なく、かつ高価でなく、実用性がある増ちょう剤である。
増ちょう剤の含量は目的とするグリース組成物のちょう度により異なるが、通常は、グリース組成物全体に対して好ましくは1〜30質量%、さらに好ましくは3〜15質量%である。
(R1R2N−CS−S)2−Mo2OmSn (1)
(式中R1およびR2は、独立して、炭素数1〜24、好ましくは3〜18のアルキル基を表し、mは0〜3、nは1〜4であり、m+n=4である。)
モリブデンジチオカーバメートの含量は、グリース組成物全体に対して好ましくは0.05〜10質量%、さらに好ましくは0.1〜5質量%である。
亜鉛スルホネートの含量は、グリース組成物全体に対して好ましくは0.05〜10質量%、さらに好ましくは0.1〜5質量%である。
成分(e)の硫黄系極圧剤及び/又は硫黄・リン系極圧剤の含量は、グリース組成物全体に対して好ましくは0.01〜10質量%、さらに好ましくは0.05〜5質量%である。
本発明の低摩擦係数特性に優れたグリース組成物には、上記成分に加えて、酸化防止剤、防錆剤、防食剤等を合有させることができる。
増ちょう剤および基油を含むベースグリースに、表1または表2に示す割合になるように、各成分を加え、適宜基油を加えながら、三段ロールミルにて、ちょう度No.1グレードに調整した。
粘度 40℃ 100mm2/s
100℃ 10.5mm2/s
粘度指数 97
また、Caスルホネート、モリブデンジチオカーバメートを合有する市販ウレアグリースを比較例8のグリースとした。
<ちょう度> JIS K 22205.3による
<滴点> JIS K 22205.4による
<TE77試験>
テストピース ボール径:10mm
プレート材質:SUJ2
試験条件 荷重:200N
振幅:1.0mm
周波数:20Hz
試験温度:40℃
亜鉛スルホネート :NA−SUL Zs−HT(KING INDUSTRIES社製)
硫黄系極圧剤 :ANGLAMOL33(Lubrizol社製)
硫黄・リン系極圧剤 :ANGLAMOL99(Lubrizol社製)
マグネシウムスルホネート:BRYTON M401(WITOCO社製)
カルシウムスルホネート :NA−SUL729(KING INDUSTRIES社製)
成分(e)を含まない比較例1、成分(d)を含まない比較例2、成分(c)を含まない比較例3、成分(d)及び(e)を含まずマグネシウムスルホネートを使用した比較例4、成分(d)を含まずマグネシウムスルホネートを使用した比較例5、成分(d)を含まずカルシウムスルホネートを使用した比較例6、成分(a)〜(e)のいずれも含まない比較例7、Caスルホネート、モリブデンジチオカーバメートを合有する市販品の比較例8のグリース組成物では、いずれも摩擦係数が0.05より大幅に高い。特に実施例1において亜鉛スルホネートの代わりにマグネシウムスルホネート又はカルシウムスルホネートを使用した比較例5及び6では摩擦係数の低下が少ないことから、亜鉛スルホネートを使用する事により、優れた低摩擦特性を有するグリース組成物が得られることがわかる。
Claims (4)
- 下記の成分(a)〜(e)を含むグリース組成物。
(a)基油、
(b)増ちょう剤、
(c)モリブデンジチオカーバメート、
(d)亜鉛スルホネート、及び
(e)硫黄系極圧剤及び硫黄・リン系極圧剤からなる群から選ばれる少なくとも1種。 - 成分(e)が硫黄系極圧剤であり、該硫黄系極圧剤が、硫化油脂、硫化オレフィン、チアジアゾール、ポリサルファイド、亜鉛ジチオカーバメート及び金属を含まないジチオカーバメート系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載のグリース組成物。
- 成分(e)が硫黄・リン系極圧剤であり、該硫黄・リン系極圧剤が、(1)硫化油脂、硫化オレフィン及びポリサルファイドからなる群から選ばれる少なくとも1種とホスフェート系及びホスファイド系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の混合物、(2)亜鉛ジチオホスフェート、(3)金属を含まないチオホスフェート及び(4)フォスフォロチオネートからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載のグリース組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載のグリース組成物を使用した機械部品。
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