JP2004292485A - グリース組成物、転がり軸受、燃料電池システム用圧送機及び燃料電池システム - Google Patents

グリース組成物、転がり軸受、燃料電池システム用圧送機及び燃料電池システム Download PDF

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功哲 傳寳
Masahiko Yamazaki
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Abstract

【課題】酸性物質が存在するような雰囲気での使用に好適なグリース組成物、前記グリース組成物を封入してなり耐酸性が要求される用途に好適な転がり軸受、前記転がり軸受を具備し、長期にわたり安定作動する燃料電池システム用圧送機、並びに前記圧送機を具備し、長期にわたり安定した発電を行い得る燃料電池システムを提供する。
【解決手段】基油及び増ちょう剤を含有し、塩基性アルキルアミン化合物、有機金属塩及び有機酸金属塩の少なくとも一種をグリース全量の0.1〜10質量%添加してなり、かつ酸性物質が存在する雰囲気で使用されるグリース組成物、前記グリース組成物を封入した転がり軸受、前記転がり軸受を具備する燃料電池システム用圧送機並びに前記圧送機を具備する燃料電池システム。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸性物質が存在する雰囲気で使用されるグリース組成物、前記グリース組成物を封入した転がり軸受、前記転がり軸受を具備する燃料電池システム用の圧送機並びに前記圧送機を具備した燃料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
エネルギー需給問題、大気汚染や二酸化炭素による地球温暖化等の環境問題に対し、クリーンな排気及び高エネルギー効率を可能にする燃料電池が注目を浴びている。燃料電池は、水素や水素リッチな改質ガスと酸素等(空気)の酸化剤との電気化学反応によって化学エネルギーを電気エネルギーに変換するエネルギーシステムである。燃料電池に用いられる電解質には、固体高分子、リン酸水溶液、溶融炭酸塩、アルカリ水溶液等があるが、中でも、固体高分子電解質型燃料電池は、比較的低温(100℃以下)で発電が行われ、出力密度が高く、低温で作動し、電池構成材料の劣化が少なく、起動が容易である等の長所があることから、特に、自動車等の輸送体の動力源として有効とされており、種々の燃料電池システムが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
固体高分子電解質型燃料電池の基本的構成は、固体高分子電解質膜の両面を、白金等の貴金属を触媒とする多孔質のカソード(酸素極)とアノード(燃料極)の両ガス拡散電極で挟んで重ね合わせてなるセルを、セパレータを介して積層して燃料電池スタックとし、各セパレータの表裏両面にガス通路を形成し、カソード側のガス通路には酸化剤ガスを給排させ、アノード側のガス通路には燃料ガスを給排させるようにした構成が一般的である。
【0004】
これらの固体高分子電解質型燃料電池を用いた燃料電池システムでは、水素や水素リッチな改質ガス、酸化剤として多量の空気を輸送するために圧送機が使用されており、これらの気体の輸送を安定に行うための改良がなされた圧送機が種々提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】
特開平11−307112号公報
【特許文献2】
特開2002−231294号公報
【特許文献3】
特開2002−70764号公報
【発明が解決しようとする課題】
燃料電池システムでは、発電のための化学反応に際して水が発生することから、圧送機が輸送する気体には多分に水分が混入している。更に、固体高分子電解質型燃料電池では、燃料電池スタックのセルを構成する電解質としてフッ素樹脂系の高分子膜が一般的であり、水素イオンの伝導性を維持し、膜の破損の原因となる水素と酸素との直接反応を避けるために、このフッ素樹脂系高分子膜は常に水分を含んだ状態に維持されなければならず、固体高分子電解質型燃料電池を用いた燃料電池システムでは、圧送機と燃料電池スタックとの間に加湿器が介在される。
【0005】
このように、燃料電池システムでは、圧送機に組み込まれている転がり軸受が水分との接触により錆や腐食が発生し易い状況に置かれており、転がり軸受には潤滑性能に加えて耐水性に優れることが要求されている。また、転がり軸受は潤滑のためにグリースが一般に使用されているが、気体中の水分がこのグリースに混入すると、グリースが軟化してグリース漏れを起こすことがあり、気体中の水分はこの点でも重量課題となっている。
【0006】
更に、水素燃料を循環させて再利用する燃料電池システムでは、電解質から酸やアルカリが遊離するため、圧送機、更には転がり軸受並びにグリース組成物には酸やアルカリに対する耐性も望まれている。また、メタノールやメチルエーテル等の改質ガスを用いる燃料電池システムでは、副次的に生成した一酸化炭素や二酸化炭素を除去しなければならず、圧送機や転がり軸受、グリース組成物には耐酸性が要求される。
【0007】
更には、発電量の増加の要望に対応して圧送機はより高速化、高性能化が求められており、転がり軸受も高速、高荷重下で回転されることから、耐熱性に優れることも要求されている。そのため、圧送機に組み込まれる転がり軸受には、耐熱性に優れるウレア化合物を増ちょう剤として配合したグリース組成物が多用されている。しかし、ウレア化合物を増ちょう剤とするグリース組成物は、金属石けんを増ちょう剤とするグリース組成物に比べて塩基性が低いため、上記のような酸性物質が存在する雰囲気で使用される場合、グリースが劣化し易いという不具合がある。
【0008】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、潤滑性能や耐水性能に優れ、更に酸性物質が存在するような雰囲気での使用に好適なグリース組成物を提供することを目的とする。また、前記グリース組成物を封入してなり、特に燃料電池システムの圧送機に組み込まれる転がり軸受のように、潤滑性能や耐水性能に加えて耐酸性が要求される用途に好適な転がり軸受を提供することを目的とする。更に、前記転がり軸受を具備し、長期にわたり安定作動する燃料電池システム用圧送機、並びに前記圧送機を具備し、長期にわたり安定した発電を行い得る燃料電池システムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、グリース組成物にアルカリ性物質を配合して酸性物質を中和させる作用を付与することにより、潤滑性能や耐熱性能はそのままで、酸性物質が存在する雰囲気での使用に適したものとなることを知見した。本発明はこのような知見に基づくものである。
【0010】
即ち、上記の目的を達成するために本発明は、
(1)基油及び増ちょう剤を含有し、塩基性アルキルアミン化合物、有機金属塩及び有機酸金属塩の少なくとも一種をグリース全量の0.1〜10質量%添加してなり、かつ酸性物質が存在する雰囲気で使用されることを特徴とするグリース組成物
(2)増ちょう剤としてウレア化合物をグリース全量の3〜35質量%含有することを特徴とする上記(1)記載のグリース組成物
(3)上記(1)または(2)記載のグリース組成物を封入したことを特徴とする転がり軸受
(4)少なくとも、燃料タンク、燃料蒸発器、改質器、CO除去装置、燃料電池スタック及び各種流体を輸送するための圧送機であって、上記(3)記載の転がり軸受を具備することを特徴とする燃料電池システム用圧送機
(5)少なくとも、燃料電池スタック及び各種流体を輸送するための圧送機を具備する燃料電池システムであって、前記圧送機が上記(4)記載の燃料電池システム用圧送機であることを特徴とする燃料電池システム
を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に関して詳細に説明する。
【0012】
〔グリース組成物〕
本発明のグリース組成物は、基油と増ちょう剤とを含み、更に塩基性アルキルアミン化合物、有機金属塩及び有機酸金属塩の少なくとも一種を含む。以下にそれぞれの成分について詳述する。
【0013】
(基油)
基油は特に限定されず、通常潤滑油の基油として使用されている油は全て使用することができる。但し、低温流動性不足による低温起動時の異音発生や、高温で油膜が形成され難いために起こる焼付きを避けるために、40℃における動粘度が20〜400mm/sである基油が望ましい。
【0014】
具体例としては、合成炭化水素油、エステル油、エーテル油が挙げられる。合成炭化水素油としては、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、ポリブテン、ポリイソブチレン等のポリα−オレフィンまたはこれらの水素化物、モノアルキルベンゼンやジアルキルベンゼン等のアルキルベンゼン、モノアルキルナフタレンやジアルキルナフタレン等のアルキルナフタレン等が挙げられる。エステル油としては、ジブチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、ジオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジトリデシルグルタレート、メチル・アセチルシノレート等のジエステル油、トリオクチルトリメリテート、トリデシルトリメリテート、テトラオクチルピロメリテート等の芳香族エステル油、トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール−2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールベラルゴネート等のポリオールエステル油、多価アルコールと二塩基酸・一塩基酸の混合脂肪酸とのオリゴエステルであるコンプレックスエステル油等が挙げられる。エーテル油としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールモノエーテル、ポリプロピレングリコールモノエーテル等のポリグリコール、あるいはモノアルキルトリフェニルエーテル、アルキルジフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル、ペンタフェニルエーテル、テトラフェニルエーテル、モノアルキルテトラフェニルエーテル、ジアルキルテトラフェニルエーテル等のフェニルエーテル油等が挙げられる。これらの基油は、単独または混合物として用いることができ、上述した好ましい動粘度に調整される。また、高温、高速での潤滑性能や潤滑寿命を考慮すると、エステル油及びエーテル油を含有することが好ましい。更に、雰囲気の水分濃度が高い場合は、撥水効果の高いポリα−オレフィン系合成炭化水素油を含有することが好ましい。
【0015】
また、上記基油は必要に応じて鉱油を混合してもよい。鉱油としては、パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油が挙げられ、特に減圧蒸留、油剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、硫酸洗浄、白土精製、水素化精製等を適宜組み合わせて精製したものが好ましい。
【0016】
(増ちょう剤)
ゲル構造を形成し、基油をゲル構造中に保持する能力があれば、特に制約はない。例えば、Li、Na等からなる金属石けん、Li、Na、Ba、Ca等から選択される複合金属石けん等の金属石けん類、ベントン、シリカゲル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、ウレタン化合物等の非石けん類を適宜選択して使用できるが、グリースの耐熱性及び耐水性を考慮すると、ウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、ウレタン化合物またはこれらの混合物が好ましく、中でもジウレア化合物、トリウレア化合物、テトラウレア化合物、ポリウレア化合物またはこれらの混合物が好ましい。特に一般式(1)で表されるジウレア化合物を配合することが望ましい。
R1−NHCONH−R2−NHCONH−R3 ・・・(1)
【0017】
一般式(1)において、アミン残基(R1、R3) はシクロヘキシル基、炭素数7〜12のアルキルシクロヘキシル基または炭素数8〜20のアルキル基であり、同一でも異なっていてもよい。また、イソシアネート残基(R2)は炭素数6〜15の2価の芳香族基を含む炭化水素基である。
【0018】
(塩基性アルキルアミン、有機金属塩、有機酸金属塩)
本発明のグリース組成物は、酸性物質を中和するために、塩基性アルキルアミン、有機金属塩及び有機酸金属塩の少なくとも一種を含有する。含有量は、単独の場合でも混合した場合でもグリース全量の0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%、特に好ましくは1〜5質量%である。含有量が0.1質量%未満では酸性物質を中和する効果が十分に発現せず、10質量%を超える場合は、基油が相対的に減少して耐久性に劣るようになる。特にアミンは親水性であることから、含有量が10質量%を超える場合はグリース組成物が軟化して耐水性能に劣るようになる。
【0019】
塩基性アルキルアミンとしては、ステアリルアリルアミン等のアルキルアミンや一般式(2)で表されるアルキルアミン、一般式(3)で表されるN−アルキルポリアルキレンジアミンを挙げることができる。
(R4)NH3−n ・・・(2)
R5NH(CHNH ・・・(3)
【0020】
一般式(2)において、R4は炭素数12〜30の直鎖の飽和または不飽和のアルキル基であり、nは1または2の整数である。また、一般式(3)において、R5は炭素数12〜30の直鎖の飽和または不飽和のアルキル基であり、mは2〜5の整数である。
【0021】
また、有機金属塩または有機酸金属塩としては、高塩基性のカルボン酸金属塩系、エステル系、アミン系、界面活性剤系の各防錆剤を挙げることができる。具体的には、カルシウムやマグネシウム等のアルキル金属またはアルカリ土類金属の有機カルボン酸塩または、同金属の高塩基性フェノート、同金属のサリシレート、同金属のホスフェート等を例示できる。また、アルキルまたはアルケニルコハク酸、コハク酸、ソルビタンモノオレエート等の多価アルコールの部分エステル、オレオイルザルコシン等のヒドロキシステアリン酸、1−メルカプトステアリン酸等のメツカプト酸脂肪酸類等の金属塩も使用できる。更に、金属スルホネートの中で塩基性を示すもの、例えば(株)松村石油研究所製「スルホールCa−45」、同「モスコアンバーSC−45」、同「スルホール1040」、King社・楠本化成(株)製「NA−SUL611」、同「NA−SUL BSB」、同「NA−SUL CA−50」等も使用できる。
【0022】
(その他の添加剤)
更に、グリース組成物には、必要に応じて各種の添加剤を添加することができ、例えば酸化防止剤、油性剤、極圧剤、摩耗防止剤を好適に添加できる。何れも公知のもので構わないが、酸化防止剤としては脂肪族アミンや芳香族アミン等のアミン系化合物、フェノール系の酸化防止剤を挙げることができる。油性剤としては、オアレイン酸やステアリン酸等の脂肪酸、オレイルアルコール等の脂肪酸アルコール、ポリオキシステアリン酸エステル等の脂肪酸エステル、トリクレジルフォスフェート、ラウリル酸エスエル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸等のリン酸エステル等を挙げることができる。極圧剤・摩耗防止剤として、亜鉛、モリブデン、テルル、アンチモン、セレン、鉄、銅等のジチオカルバミン酸塩またはその複合物、亜鉛、モリブデン、アンチモン等のジチオリン酸塩、オクチル酸鉄、ナフテン酸銅、ジブチルスズサルファイド、フェネート、ホスフェート等の有機金属化合物等を挙げることができる。これらの添加剤は単独でも2種以上組み合わせて添加することができる。添加剤の添加量は、本発明の所望の目的を達成できれば特に限定されるものではないが、グリース全量に対して20質量%以下が好ましい。
【0023】
〔転がり軸受〕
本発明は、上記のグリース組成物を封入した転がり軸受を提供する。転がり軸受の構成自体は制限されるものではなく、例えば図1に示すような玉軸受300を例示することができる。図示される玉軸受300は、内輪501と外輪302との間に保持器303を介して複数の転動体である玉304を略等間隔で回動自在に保持してなり、本発明においては更に内輪301、外輪302及び玉304で形成される空所Sに、上記のグリース組成物(図示せず)を所定量充填し、シール部材305で封止して構成されている。尚、グリース組成物の封入量は、従来と同様に、軸受空間容積の5〜50容積%の範囲で使用条件に応じて選定する。
【0024】
本発明の転がり軸受は、封入したグリース組成物が酸性物質の中和作用を有するため、例えば燃料電池システムの圧送機に組み込まれる転がり軸受として好適である。
【0025】
〔燃料電池システム用圧送機〕
また、本発明は上記の転がり軸受を具備する燃料電池システム用圧送機に関する。燃料電池システム用圧送機として、インペラ型圧送機、スクロール型圧送機、斜板型圧送機、スクリュー型圧送機が一般的であるが、これらに限定されない。以下に各圧送機を例示する。
【0026】
図2に示すインペラ型圧送機は、回転軸31にインペラ32が取り付けられており、この回転軸31が上記の転がり軸受33a、33bで支持されている。そして、回転軸31の高速回転に伴ってインペラ32が高速回転すると、気体吸込み口34から吸込まれた気体がインペラ32の遠心力で加圧され、ハウジング35とバックプレート36とで形成された加圧ボリュート37を通って水蒸気吐出口38から圧送される。また、このポンプでは、シーリング部材39のシール性が低下してくると、気体がインペラ32の背面の背面空間40から回転軸31とシーリング部材39との間隙41を通って転がり軸受33a、33bに達するため、これを防ぐためのバッフル42とブッシュ43とが回転軸31に付設されている。
【0027】
図3に示されるスクロール型圧送機140は、固定スクロール111と旋回スクロール112とからなる圧縮機構部110と、モータ主軸122に対して偏心して設けられたクランクピン122aにより旋回スクロール112を旋回させるクランク機構部150と、モータ主軸122を回転させる駆動モータ部120とからなる。
【0028】
クランク機構部150は、旋回スクロール112に旋回運動を行わせる駆動クランク機構151、及び旋回スクロール112の自転を防止する従動クランク機構152で構成されている。
【0029】
従動クランク機構152は、旋回スクロール112に設けられた凹状保持部112cと、従動クランク軸153のクランクピン153a及びクランクピン153aを旋回スクロール112に対して回転自在とする上記の転がり軸受154とからなる。従動クランク軸153は、クランクピン153aとは反対側を上記の転がり軸受155を介してモータハウジング101に回転自在に支持されている。また、従動クランク軸153にはバランスウェイト153bが設けられており、バランスウェイト153bによって、旋回スクロール112の旋回時に生じる慣性モーメントを打ち消され、振動の低減が図られている。
【0030】
固定スクロール111は、円盤状に形成された固定基盤111aと、この固定基盤111aから立設した渦巻状の旋回渦巻部111cと、この旋回渦巻部111cを覆う外周壁111bとからなる。旋回スクロール112は、円盤状の旋回基盤112bと、この旋回基盤112bから立設した渦巻状の旋回渦巻部112aとからなる。旋回基盤112bのリア側中央には有底円筒状の凹状部112cが設けられている。固定基盤111aにおける図中上下方向略中央には、固定スクロール111及び旋回スクロール112間で圧縮された空気等の吐出口114が設けられている。
【0031】
凹状部112cをハウジングとして、針状ころ軸受133が凹状部112cの内周側に挿入されている。この針状ころ軸受133は、モータ主軸122のクランクピン122aを回転軸として、旋回スクロール112を回転自在に支えている。
【0032】
駆動モータ部120において、駆動モータ121は、モータ主軸122に嵌め合わされたロータ123と、ロータ123の外周側に設けられてコイル124を巻回されたステータ125とを、モータハウジング101内に備えてなる。モータ主軸122は、モータハウジング101に上記の転がり軸受102を介して回転自在に支持されるとともに、リア側(図中右側)の端部を上記の転がり軸受103を介してリアハウジング104に回転自在に支持され、シール部材107で密封されている。また、モータ主軸122には、バランスウェイト122bが設けられており、バランスウェイト122bによって、旋回スクロール112の旋回時に生じる慣性モーメントを打ち消され、振動低減が図られている。
【0033】
上記の如く概略構成されるスクロール型圧送機140では、駆動モータ121に電力が供給されると、モータ主軸122が回転し、その回転が駆動クランク機構130を介して旋回スクロール112に伝達される。旋回スクロール112は、モータ主軸122の回転に伴って、固定スクロール111と噛み合いつつ旋回し、図示しない吸入口から固定スクロール111との間に気体を吸入するとともに、固定スクロール111との間で圧縮させる。その後、圧縮された気体を吐出口114から吐出させる。
【0034】
図4に示される両斜板式圧送機160は、両面傾斜板171の回転に伴う両頭ピストン172の往復動で気体を圧縮する圧縮機構部170と、駆動モータ181のモータ主軸182の回転により圧縮機構部170を駆動する駆動モータ部180とを備える。
【0035】
圧縮機構部170において、両頭ピストン172は、シリンダブロック161のクランク室163内にモータ主軸182の軸方向に沿って往復動可能に設けられており、両面傾斜板171にシュー173を介して連結されている。また両面傾斜板171は、モータ主軸182の外周面に、モータ主軸182と一体回転可能に挿着されており、シリンダブロック161内に設けられた支持部材162に、スラスト軸受174を介して回転自在に支持されている。
【0036】
駆動モータ部180において、駆動モータ181は、モータ主軸182に嵌入されたロータ183と、ロータ183の外周側に設けられ、コイル184を巻回されたステータ185とを、モータハウジング186内に備えてなる。
【0037】
モータ主軸182は、軸方向略中央より図中左側を左右一対の上記の転がり軸受187を介してモータハウジング186に回転自在に支持されるとともに、軸方向略中央より図中右側を左右一対の上記の転がり軸受175を介して支持部材162に回転自在に支持されている。
【0038】
上記の如く構成される両斜板型圧送機160では、駆動モータ181に電力が供給されると、モータ主軸182が回転し、その回転が両面傾斜板171及びシュー173を介して両頭ピストン172に伝達される。両頭ピストン172は、モータ主軸182の回転に伴ってクランク室163内で軸方向に沿って往復動することにより、気体を吸入・圧縮して吐出させる。
【0039】
また、斜板型圧送機として、図5に示すような片面傾斜板171aを備える片斜板タイプのものがある。図示される片斜板型圧送機190は、片面傾斜板171aに連動するロッド176を通じてピストン177が移動する構成となっており、その他の構成部位、例えば、モータ主軸182の支持構造や、モータ駆動部180等は、図4に示した両斜板タイプの圧送機160と同様であり、同一の部位には同一の符号を付して説明は省略する。
【0040】
図6はスクリュー型圧送機220を示すが、主ロータ201と副ロータ202とを噛み合わせて回転させることで気体を圧縮する圧縮機構部200と、駆動モータ181のモータ主軸182の回転により圧縮機構部200を駆動する駆動モータ部180とを備える。なお、駆動モータ部180については、図4に示した両斜板式圧送機160と同様であり、同一の符号を付して説明を省略する。
【0041】
圧縮機構部200において、主ロータ201及び副ロータ202はそれぞれ、対応する螺旋状に形成されて互いに噛み合わせることで協働して回転可能な構成である。主ロータ201は、図中左側の回転軸201aを左右一対の上記の転がり軸受203を介してハウジング207に回転自在に支持されるとともに、図中右側の回転軸201aを上記の転がり軸受204を介してハウジングに回転自在に支持されている。また、副ロータ202は、図中左側の回転軸202aを図中左右一対の上記の転がり軸受205を介してハウジング207に回転自在に支持されるとともに、図中右側の回転軸202aを上記の転がり軸受206を介してハウジング207に回転自在に支持されている。
【0042】
また、主ロータ201の回転軸201aにおいて、転がり軸受203,204に対して軸方向内側には、ハウジング207との間にシール部材208が介在されている。副ロータ202の回転軸202aにおいて、転がり軸受205,206より軸方向内側には、ハウジング207との間にシール部材209が介在されている。
【0043】
主ロータ201及び副ロータ202は、図中左側の回転軸201a,202aにそれぞれ設けられた連結ギア210を介して連動される。主ロータ201の図中左側の回転軸201aの左端部には、被駆動ギア211が設けられており、被駆動ギア211は、駆動モータ181のモータ主軸182に嵌合された駆動軸188の駆動ギア189に噛合されている。従って、主ロータ201は、モータ主軸182の回転を、駆動軸188、駆動ギア189及び被駆動ギア211を介して伝達される。主ロータ201の回転は、連結ギア210を介して副ロータ202に伝達される。
【0044】
また、駆動軸188は、左右一対の上記の転がり軸受212を介してハウジング213に回転自在に支持されている。駆動軸188とハウジング213との間には、シール部材214が介在されている。
【0045】
上記の如く構成されるスクリュー型圧送機220では、駆動モータ181に電力が供給されると、モータ主軸182が回転し、その回転が駆動軸188、駆動ギア189、被駆動ギア211を介して主ロータ201の回転軸201aに伝達される。同時に、主ロータ201の回転軸201aから連結ギア210を介して副ロータ202の回転軸202aに伝達される。主ロータ201及び副ロータ202は、噛み合い回転することにより、気体を吸入・圧縮して吐出させる。
【0046】
上記の各圧送機は、組み込まれている転がり軸受が、酸性成分を中和する作用を有することから、副生した一酸化炭素や二酸化酸素、電解質から遊離した酸やアルカリ性の物質が存在しても、長期にわたり安定して作動する。
【0047】
〔燃料電池システム〕
本発明は更に、上記の燃料電池システム用圧送機を具備する燃料電池システムに関する。燃料電池システムとしては、図7に示す固体高分子電解質型燃料電池システムや図8に示す水素タンク方式の燃料電池システムを例示することができる。
【0048】
図7に示す固体高分子電解質型燃料電池システムは引用文献1(特開平11−307112号公報)に記載された燃料電池システムに相当するものであり、固体高分子電解質膜1の両面をカソード2とアノード3の両ガス拡散電極で狭持してなるセルをセパレータを介して積層して燃料電池スタックとし、更に数セルに1つずつの冷却部4を備える固体高分子電解質型燃料電池Iのアノード3入口側に、上流側より順に改質器5、熱交換器6、シフトコンバータ7、CO除去器8をそれぞれ設置し、燃料タンク9から供給されるメタノールを、メタノール蒸発器10を経て改質器5に導入させるようにメタノール供給ライン11を設け、一方、水タンク12からの水の一部を蒸気発生器13で水蒸気にして送る水蒸気ライン14をメタノール供給ライン11に接続してメタノールと水蒸気とを改質器5に導入して水蒸気改質を行わせるようにすると共に、水の他の一部を、冷却用として熱交換器6とCO除去器8を通過させるようにし、改質器5で改質された燃料ガスFGを、熱交換器6で水タンク12からの冷却水により冷却した後、200℃で運転されるシフトコンバータ7でシフト反応を行って、固体高分子電解質型燃料電池Iの触媒毒となる一酸化炭素(CO)の濃度をCO除去器8が処理可能な濃度(1%以下)に低減する。また、100〜150℃程度で運転されるCO除去器8でCO除去処理された燃料ガスFGが加湿器15を経て固体高分子電解質型燃料電池Iのアノード3へ供給する。
【0049】
一方、固体高分子電解質型燃料電池Iのカソード2の入口側には、酸化剤ガスとして空気Aをターボチャージャ16の上記の圧送機17により圧縮して加湿器15を経て供給するようにすると共に、一部を分岐してCO除去器8に入れてCOの燃焼に用い、また、カソード2から排出されたカソード排ガスCGの全量と、アノード3から排出されたアノード排ガスAGの一部とを燃焼器19で燃焼させた後、改質器5の燃焼室に導入し、改質器5の改質室内のメタノールを改質触媒の存在下で250℃になるように熱を吸熱して反応させて燃料ガスFGに改質する。
【0050】
また、改質器5の燃焼室より排出された排ガスは、アノード3から排出されたアノード排ガスAGの一部とともに燃焼器20で燃焼させられた後にタービン18に導いて上記の圧送機17を駆動させ、タービン18から排出された排気ガスは蒸気発生器13、メタノール蒸発器10を通して排気ガスとして排出させる。更に、水タンク12からの冷却水の一部は、加湿器15を経て固体高分子電解質型燃料電池Iの冷却部4を通過させられ、冷却部4を通過させられた冷却水は、冷却器21で冷却されて水タンク12へ入れられる。また、カソード排ガスライン22中の気水分離器23及びアノード排ガスライン24中の気水分離器25で各々分離された水は、熱交換器6及びCO除去器8を通過した水とともに水タンク12に戻される。
【0051】
また、図8に示す燃料電池システムは引用文献2(特開2002−231294号公報)に記載された燃料電池システムに相当するものであり、図中、符号51は、固体高分子電解質膜を間に挟んで燃料極53と酸化剤極55とを相互に対向配置し、更にセパレータで挟持して複数積層して構成される燃料電池スタックである。また、符号57は加湿器であり、燃料ガスおよび酸化剤ガスが、それぞれ半透膜を介して純水と隣接し、水分子が半透膜を通過することにより燃料ガスおよび酸化剤ガスに対して加湿を行う。
【0052】
水素タンク59には水素が貯えられており、この水素は燃料調圧弁61により調圧された後、上記の圧送機(エゼクタ圧送機)63、供給側水分離器65及び加湿器57を通り、燃料電池スタック51に対し燃料極53の燃料入口53aから供給される。燃料極53の燃料出口53bから排出される水素と水蒸気との混合ガスは、排出側水分離器67、流路遮断弁69を通り、上記の圧送機(エゼクタ圧送機)63で原燃料ガスと混合され、この混合ガスが供給側水分離器65及び加湿器57を経て燃料電池スタック51の燃料極53に循環される。また、排出側水分離器67と流路遮断弁69との間の配管71には、パージ分岐部73にて、水素をパージさせるパージ配管75が分岐接続され、パージ配管75にはパージガス遮断弁77及びパージガス触媒79がそれぞれ設けられている。
【0053】
酸化剤としての空気は、上記の圧送機81によって加湿器57を経て燃料電池スタック1の酸化剤極55に、酸化剤入口55aから供給される。酸化剤極55の酸化剤出口55bから排出される排気は、水蒸気と液水を含み、水分離器83によって液水分が分離される。水分離器83には、水素パージ時の空気供給用の空気パージ配管85及びパージガス遮断弁87が設けてあり、水素パージ時にはパージガス触媒79に空気が供給されて外部に排出される。また、空気パージ配管85には、空気排出管89が分岐接続され、空気排出管89には空気調圧弁91が設けられている。
【0054】
更に、燃料電池スタック51の発電状態はセンサ(図示せず)で検知され、検知信号を受けて発電状態に応じて、水素圧力及び空気圧力を燃料調圧弁51及び空気調圧弁91で調整するようフィードバック制御するとともに、空気流量を上記の圧送機81の回転数により調整するようフィードバック制御する構成となっている。
【0055】
このように構成される燃料電池システムは、上記の圧送機を具備することにより長寿命となる。
【0056】
【実施例】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
【0057】
表1に示す如く基油、増ちょう剤及び添加剤を配合して実施例及び比較例の各試験グリースを調製した。試験グリースの混和ちょう度を同表に示すが、増ちょう剤量を調整して表記の混和ちょう度としてある。また、試験グリースのpHを同表に示す。そして、試験グリースを下記に示す(1)含水焼付き耐久試験、(2)防錆試験及び(3)水洗耐水度試験に供した。
【0058】
(1)含水焼付き耐久試験
日本精工(株)製接触型密封シール付き玉軸受「6203」(内径17mm、外径40mm、幅12mm;図1参照)に、試験グリースを空間容積の40%を占めるように封入して試験軸受を作製した。そして、図9に示す試験装置を用いて含水焼付き耐久試験を行った。図示される試験装置は、回転用シャフト360を一対の支持用軸受362で支持し、その中間部に試験軸受361を装着し、更に全体を所定温度に維持できるように恒温容器(図示せず)に収容する構成となっている。試験は、外輪温度120℃、ラジアル荷重100N、アキシアル荷重100N、内輪回転速度2000min−1の条件で試験軸受361を連続回転させ、24時間毎に回転を止めて注射器で0.3mLの水を軸受内部に注入した後、再び同条件で回転させ、異音の発生、起動不可、起動から1分を経過してもモータ電流値が過大となった時点を焼付き(トルクの増大)と判断し、それまでの回転時間を求めた。試験は、同一の試験グリースについて3回行い、その平均回転時間を焼付き耐久寿命とした。結果を表1に示すが、比較例1の焼付き耐久寿命を1とする相対値で示してある。
【0059】
(2)防錆試験
日本精工(株)製接触型密封シール付き玉軸受「6303」(内径17mm、外径47mm、幅14mm;図1参照)に、試験グリースを空間容積の50%を占めるように封入して試験軸受を作製した。そして、試験軸受を1800min−1で30秒間ならし回転した後、注射器で0.5%塩水を0.5mL軸受内部に注入し、再び1800min−1で30秒間ならし回転した。次いで、試験軸受を80℃、100%RHに保持した恒湿恒温槽内に24時間放置した後、分解して軌道面の錆の発生状況を肉眼で観察した。錆の発生状況を0(錆無し)〜7(錆多い)に分けて判断し、0〜4を錆無し、5〜7を錆有りとして表1に示した。
【0060】
(3)水洗耐水度試験
日本精工(株)製「6204」(内径20mm、外径47mm、幅14mm、プラスチック保持器付きの接触ゴムシール付き密封深溝玉軸受;図1参照)に試験グリースを4g封入して試験軸受を作製した。試験はJIS K2220 5.12に準拠し、図10に示す試験装置400を用いて行った。即ち、試験軸受410をシャフト420に装着してハウジング430に収容し、プーリ440を介してシャフト420を600min−1にて1時間連続して回転させ、その間試験軸受410に水噴射ノズル450から79℃の蒸留水を5mL/秒の割合で吹きかけ、回転前後の重量差(水洗耐水度)を求めた。結果を表1に示した。
【0061】
【表1】
Figure 2004292485
【0062】
表1に示すように、実施例の試験グリースは何れも塩基性であり、それを封入した試験軸受は、比較例の試験軸受に比べて焼付き耐久寿命が長く、防錆性能にも優れ、水洗耐水度にも優れている。これに対し、防錆剤として一般的な金属スルボネートを添加した試験グリースを封入した比較例2及び比較例3の試験軸受は、防錆性能は認められるものの、焼付き耐久寿命及び水洗耐水度に劣っている。特に、比較例3の試験グリースは、塩基性を示すものの、焼付き寿命及び水洗耐水度が大きく劣っている。
【0063】
(4)塩基性アルキルアミンの含有量の検証
実施例1の配合において、アルキルアミンの含有量を変えて試験グリースを調製し、上記の(1)含水焼付き耐久寿命試験及び(3)水洗耐水度試験に供した。結果を図11にグラフ化して示す。
【0064】
図11より、アルキルアミンの含有量が増加するのに従い、水洗耐水度が低下するようになる。これはアミンが親水性であるため、吸水によりグリース軟化を起こして漏洩量が増した結果である。また、アルキルアミンの含有量がある値を超えると、グリース漏れが大きくなることに由来して、焼付き耐久寿命にも劣るようになる。従って、本発明においては、塩基性アルキルアミンの含有量を0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%、特に好ましくは1〜5質量%とする必要がある。また、有機金属塩及び有機酸金属塩についても同様である。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、潤滑性能や耐水性能に優れ、更に酸性物質が存在するような雰囲気での使用に好適なグリース組成物が得られる。また、このグリース組成物を封入してなり、特に燃料電池システムの圧送機に組み込まれる転がり軸受のように、潤滑性能や耐水性能に加えて耐酸性が要求される用途に好適な転がり軸受が得られる。更には、この転がり軸受を具備し、長期にわたり安定作動する燃料電池システム用圧送機、並びにこの圧送機を具備し、長期にわたり安定した発電を行い得る燃料電池システムが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の転がり軸受の一例(玉軸受)を示す断面図である。
【図2】本発明の圧送機の一例(インペラ型圧送機)を示す断面図である。
【図3】本発明の圧送機の他の例(スクロール型圧送機)を示す断面図である。
【図4】本発明の圧送機の更に他の例(両斜板型圧送機)を示す断面図である。
【図5】本発明の圧送機の更に他の例(片斜板型圧送機)を示す断面図である。
【図6】本発明の圧送機の更に他の例(スクリュー型圧送機)を示す断面図である。
【図7】本発明の燃料電池システムの一例(固体高分子電解質型燃料電池)の全体構成を示す図である。
【図8】本発明の燃料電池システムの他の例(水素タンク方式燃料電池)の全体構成を示す図である。
【図9】実施例において、含水焼付き耐久試験に用いた試験装置を示す概略図である。
【図10】実施例において、水洗耐水度試験に用いた試験装置を示す概略図である。
【図11】実施例で得られた、酸化マグネシウム粒子の添加量と、水洗耐水度及び剥離寿命比との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 固体高分子電解質膜
2 カソード
3 アノード
4 冷却部
5 改質器
9 燃料タンク
10 メタノール蒸発器
12 水タンク
13 蒸気発生器
15 加湿器
16 ターボチャージャ
17 コンプレッサ
23 気水分離器
25 気水分離器
111 固定スクロール
112 旋回スクロール
120 駆動モータ部
122 モータ主軸
140 スクロール型圧送機
150 クランク機構部
160 両斜板式圧送機
170 圧縮機構部
171 両面傾斜板
172 両頭ピストン
180 駆動モータ部
181 駆動モータ
182 モータ主軸
200 圧縮機構部
201 主ロータ
202 副ロータ
220 スクリュー型圧送機
300 玉軸受
301 内輪
302 外輪
303 保持器
304 玉
305 シール部材

Claims (5)

  1. 基油及び増ちょう剤を含有し、塩基性アルキルアミン化合物、有機金属塩及び有機酸金属塩の少なくとも一種をグリース全量の0.1〜10質量%添加してなり、かつ酸性物質が存在する雰囲気で使用されることを特徴とするグリース組成物。
  2. 増ちょう剤としてウレア化合物をグリース全量の3〜35質量%含有することを特徴とする請求項1記載のグリース組成物。
  3. 請求項1または2記載のグリース組成物を封入したことを特徴とする転がり軸受。
  4. 少なくとも、燃料タンク、燃料蒸発器、改質器、CO除去装置、燃料電池スタック及び各種流体を輸送するための圧送機であって、請求項3記載の転がり軸受を具備することを特徴とする燃料電池システム用圧送機。
  5. 少なくとも、燃料電池スタック及び各種流体を輸送するための圧送機を具備する燃料電池システムであって、前記圧送機が請求項4記載の燃料電池システム用圧送機であることを特徴とする燃料電池システム。
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JP2018203999A (ja) * 2017-06-07 2018-12-27 コスモ石油ルブリカンツ株式会社 転がり軸受用グリース組成物

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