JP2004225870A - 燃料電池用転がり軸受、燃料電池システム用圧送機及び燃料電池システム - Google Patents

燃料電池用転がり軸受、燃料電池システム用圧送機及び燃料電池システム Download PDF

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雅彦 山崎
Hirotoshi Miyajima
裕俊 宮島
Yujiro Toda
雄次郎 戸田
Koutetsu Denpo
功哲 傳寶
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Abstract

【課題】グリース漏洩が少なく、防錆性能及び耐腐食性能にも優れ、長寿命の燃料電池用転がり軸受、前記転がり軸受を具備して長期にわたり安定作動する燃料電量システム用圧送機、並びに前記圧送機を具備して長期にわたり安定した発電を行い得る燃料電池システムを提供する。
【解決手段】基油に、増ちょう剤としてウレア化合物をグリース全量の5〜35質量%及びHLB(親水性親油性バランス)値が4〜14の界面活性剤をグリース全量の0.1〜10質量%配合してなるグリースを封入した燃料電池用転がり軸受、前記転がり軸受を具備する燃料電池用圧送機並びに前記圧送機を具備する燃料電池システム。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池システムの圧送機に組み込まれる転がり軸受、前記転がり軸受を具備する燃料電池システム用の圧送機並びに前記圧送機を具備した燃料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
エネルギー需給問題、大気汚染や二酸化炭素による地球温暖化等の環境問題に対し、クリーンな排気及び高エネルギー効率を可能にする燃料電池が注目を浴びている。燃料電池は、水素や水素リッチな改質ガスと酸素等(空気)の酸化剤との電気化学反応によって化学エネルギーを電気エネルギーに変換するエネルギーシステムである。燃料電池に用いられる電解質には、固体高分子、リン酸水溶液、溶融炭酸塩、アルカリ水溶液等があるが、中でも、固体高分子電解質型燃料電池は、比較的低温(100℃以下)で発電が行われ、出力密度が高く、低温で作動し、電池構成材料の劣化が少なく、起動が容易である等の長所があることから、特に、自動車等の輸送体の動力源として有効とされており、種々の燃料電池システムが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
固体高分子電解質型燃料電池の基本的構成は、固体高分子電解質膜の両面を、白金等の貴金属を触媒とする多孔質のカソード(酸素極)とアノード(燃料極)の両ガス拡散電極で挟んで重ね合わせてなるセルを、セパレータを介して積層して燃料電池スタックとし、各セパレータの表裏両面にガス通路を形成し、カソード側のガス通路には酸化剤ガスを給排させ、アノード側のガス通路には燃料ガスを給排させるようにした構成が一般的である。
【0004】
これらの固体高分子電解質型燃料電池を用いた燃料電池システムでは、水素や水素リッチな改質ガス、酸化剤として多量の空気を輸送するために圧送機が使用されており、これらの気体を輸送を安定に行うための改良がなされた圧送機が種々提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】
特開平11−307112号公報
【特許文献2】
特開2002−231294号公報
【特許文献3】
特開2002−70764号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
燃料電池システムでは、発電のための化学反応に際して水が発生することから、圧送機が輸送する気体には多分に水分が混入している。更に、固体高分子電解質型燃料電池では、燃料電池スタックのセルを構成する電解質としてフッ素樹脂系の高分子膜が一般的であり、水素イオンの伝導性を維持し、膜の破損の原因となる水素と酸素との直接反応を避けるために、このフッ素樹脂系高分子膜は常に水分を含んだ状態に維持されなければならず、固体高分子電解質型燃料電池を用いた燃料電池システムでは、圧送機と燃料電池スタックとの間に加湿器が介在される。
【0006】
このように、燃料電池システムでは、圧送機に組み込まれている転がり軸受が水分との接触により錆や腐食が発生し易い状況に置かれており、転がり軸受には防錆性能や耐腐食性に優れることが要求されている。また、転がり軸受は潤滑のためにグリースが一般に使用されているが、気体中の水分がこのグリースに混入すると、グリースが軟化してグリース漏れを起こすことがあり、気体中の水分はこの点でも重量課題となっている。更に、グリースには潤滑性能等を向上させるために各種の添加剤が添加されているが、添加剤には多様な金属イオンが含まれており、これらの金属イオンの中には燃料電池スタックの触媒毒となり得るものも含まれていることから、グリースが飛散して燃料電池スタックに付着すると、燃料電池の反応効率が低下するおそれもあり、増ちょう剤に金属石けんを用いた場合には更に顕著となる。
【0007】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、グリース漏洩が少なく、防錆性能及び耐腐食性能にも優れ、長寿命の燃料電池用転がり軸受を提供することを目的とする。また、前記転がり軸受を具備し、長期にわたり安定作動する燃料電池システム用圧送機、並びに前記圧送機を具備し、長期にわたり安定した発電を行い得る燃料電池システムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、特定のHLB値の界面活性剤を添加したグリースを封入することにより、水分が混入した場合でもグリース漏れを起こし難くなることを知見した。また、金属元素を含まない増ちょう剤及び添加剤を用いることにより、グリースの漏洩、飛散によりパーティクルが燃料電池スタックに付着した場合でも反応効率の低下を抑えることができることを知見した。本発明はこれらの知見に基づくものである。
【0009】
即ち、上記の目的を達成するために本発明は、
(1)少なくとも、燃料電池スタック及び各種流体を輸送するための圧送機を具備する燃料電池システムの前記圧送機に組み込まれる燃料電池用転がり軸受であって、基油に、増ちょう剤としてウレア化合物をグリース全量の5〜35質量%及びHLB値が4〜14の界面活性剤をグリース全量の0.1〜10質量%配合してなるグリースを封入したことを特徴とする燃料電池用転がり軸受、
(2)少なくとも、燃料タンク、燃料蒸発器、改質器、CO除去装置、燃料電池スタック及び各種流体を輸送するための圧送機を具備する燃料電池システムの前記圧送機に組み込まれる燃料電池用転がり軸受であって、基油に、増ちょう剤としてウレア化合物をグリース全量の5〜35質量%及びHLB値が4〜14の界面活性剤をグリース全量の0.1〜10質量%配合してなるグリースを封入したことを特徴とする燃料電池用転がり軸受、
(3)グリースが、不可避不純物としての金属元素以外の金属元素を含まない酸化防止剤、防錆剤、金属腐食防止剤、極圧剤及び油性剤の少なくとも1種を含有していることを特徴とする上記(1)または(2)記載の燃料電池用転がり軸受、
(4)上記(1)〜(3)の何れか1項に記載の燃料電池用転がり軸受を具備することを特徴とする燃料電池システム用圧送機、
(5)少なくとも、燃料電池スタック及び各種流体を輸送するための圧送機を具備する燃料電池システムであって、前記圧送機が上記(4)記載の燃料電池システム用圧送機であることを特徴とする燃料電池システム、
(6)少なくとも、燃料タンク、燃料蒸発器、改質器、CO除去装置、燃料電池スタック及び各種流体を輸送するための圧送機を具備する燃料電池システムであって、前記圧送機が上記(4)記載の燃料電池システム用圧送機であることを特徴とする燃料電池システム、
を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に関して詳細に説明する。
【0011】
(燃料電池用転がり軸受)
本発明は、燃料電池システムの圧送機に組み込まれる転がり軸受に関する。転がり軸受の構成自体は制限されるものではなく、例えば図1に示すような玉軸受300を例示することができる。図示される玉軸受300は、内輪501と外輪302との間に保持器303を介して複数の転動体である玉304を略等間隔で回動自在に保持してなり、本発明においては更に内輪301、外輪302及び玉304で形成される空所Sに、下記のグリース組成物(図示せず)を所定量充填し、シール部材305で封止して構成されている。尚、グリースの封入量は、従来と同様に、軸受空間容積の5〜50容積%の範囲で使用条件に応じて選定する。
【0012】
グリースにおいて、基油は添加する界面活性剤の溶解性に優れることが必要であることから、極性の小さい合成油系潤滑油及び鉱油系潤滑油が好適である。合成油系潤滑油としては、炭化水素系油、エステル系油、エーテル系油等が挙げられる。炭化水素系油としては、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、ポリブテン、ポリイソブチレン、1−デセンオリゴマー、1−デセンとエチレンコオリゴマー等のポリ−α−オレフィンまたはこれらの水素化物等が挙げられる。エステル系油としては、ジブチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、ジオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジトリデシルグルタレート、メチル・アセチルシノレート等のジエステル油、あるいはトリオクチルトリメリテート、トリデシルトリメリテート、テトラオクチルピロメリテート等の芳香族エステル油、更にはトリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンぺラルゴネート、ペンタエリスリトル−2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネート等のポリオールエステル油、更にはまた、多価アルコールと二塩基酸・一塩基酸の混合脂肪酸とのオリゴエステルであるコンプレックスエステル油等が挙げられる。エーテル系油としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールモノエーテル、ポリプロピレングリゴールモノエーテル等のポリアルキレングリコール、あるいはモノアルキルトリフェニルエーテル、アルキルジフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル、ペンタフェニルエーテル、テトラフェニルエーテル、モノアルキルテトラフェニルエーテル、ジアルキルテトラフェニルエーテル等のフェニルエーテル油等が挙げられる。
【0013】
鉱油系潤滑油については、通常の鉱油系潤滑油はVI(粘度指数)値が低いために特に低温での使用には不向きであり、例えば自動車用の燃料電池に適用した場合には低温起動時に異音を発する等の不具合を起こしやすい。低温から高温までの広い温度範囲で使用することを考慮すると、VI値は120以上であることが好ましく、そのため鉱油系潤滑油を用いる場合は、減圧蒸留、油剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、硫酸洗浄、白土精製、水素化精製等を適宜組み合わせて精製したものを用いることが好ましい。
【0014】
また、グリースの低温流動性不足や、高温で油膜が形成され難いために起こる焼付きを避けるために、基油の動粘度を調整する必要がある。軸受が100℃程度の比較的低温で使用される場合には、40℃における動粘度で30〜150mm/s、150℃を超えるような高温で使用される場合には、40℃における動粘度で100〜500mm/sの範囲の基油が好ましい。
【0015】
本発明では、増ちょう剤としてウレア化合物を用いる。このウレア化合物は、金属石けん系の増ちょう剤と異なり、分子中に金属元素を含まないため、グリースが飛散して燃料電池スタックに付着したとしても、触媒毒となることはない。また、親水性の極性基を持たず、更に分子間力では最も強い水素結合による結晶構造を有しており耐水性にも優れるという利点も有する。ウレア化合物として例えばジウレア化合物、トリウレア化合物、テトラウレア化合物、ポリウレア化合物を使用できるが、中でも下記一般式で表されるジウレア化合物が好ましい。
−NHCO−R−NHCO−R
(式中、R,Rはそれぞれ炭素数6〜18の脂肪族、脂環族または芳香族炭化水素基を示し、同一でも異なっていてもよく、Rは炭素数6〜15の芳香族炭化水素基を示す。)
【0016】
また、ウレア化合物の含有量は、グリースのちょう度が180〜350が好ましいことから、グリース全量に対して5〜35質量%とする。含有量が5質量%未満では十分な増ちょう性が得られずグリース漏れを生じやすくなり、35質量%を超える場合は流動性が乏しくなり軸受内での攪拌抵抗が高くなりすぎ、何れの場合も不適当となる。
【0017】
グリースには、水分の混入によるグリース軟化を防ぐために、HLB値が4〜14、好ましくは6〜12の界面活性剤が添加される。HLB値が14を超える界面活性剤は、上記した基油に不溶になる場合があり、HLB値が4未満の界面活性剤は水を効果的に取り込むことができず、水分混入によるグリース軟化を防止できない。界面活性剤の種類は、HLB値が4〜14の範囲であれば制限されるものではないが、例えば下記に示す各界面活性剤を好適に使用できる。
【0018】
非イオン系界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、
【0019】
【化1】
Figure 2004225870
【0020】
グリセリン脂肪酸エステル、
【0021】
【化2】
Figure 2004225870
【0022】
デカグリン酸エステル(但し、Raはアシル基または水素原子)、
【0023】
【化3】
Figure 2004225870
【0024】
ポリグリセリン脂肪酸エステル(但し、Raはアシル基または水素原子)、
【0025】
【化4】
Figure 2004225870
【0026】
プロピレングリコール・ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、
【0027】
【化5】
Figure 2004225870
【0028】
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、
【0029】
【化6】
Figure 2004225870
【0030】
ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、
【0031】
【化7】
Figure 2004225870
【0032】
ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、
【0033】
【化8】
Figure 2004225870
【0034】
ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、
【0035】
【化9】
Figure 2004225870
【0036】
ポリオキシエチレンアルキルエーテル、
【0037】
【化10】
Figure 2004225870
【0038】
ポリオキシエチレンフィトステロール・フィトスタノール、
【0039】
【化11】
Figure 2004225870
【0040】
ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、
【0041】
【化12】
Figure 2004225870
【0042】
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、
【0043】
【化13】
Figure 2004225870
【0044】
ポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油、
【0045】
【化14】
Figure 2004225870
【0046】
ポリオキシエチレンアルキルアミン・脂肪酸アミド、
【0047】
【化15】
Figure 2004225870
【0048】
ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合物、
【0049】
【化16】
Figure 2004225870
【0050】
及びポリオキシエチレンラノレン・ラノリンアルコール・ミツロウ誘導体等が挙げられる。
【0051】
また、アニオン系界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、
【0052】
【化17】
Figure 2004225870
【0053】
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、
【0054】
【化18】
Figure 2004225870
【0055】
N−アシルアミノ酸及びその塩、
【0056】
【化19】
Figure 2004225870
【0057】
N−アシルメチルタウリン塩、
【0058】
【化20】
Figure 2004225870
【0059】
ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、
【0060】
【化21】
Figure 2004225870
【0061】
アルキルスルホン酸カルボン酸塩、
【0062】
【化22】
Figure 2004225870
【0063】
α−オレフィンスルホン酸塩、
【0064】
【化23】
Figure 2004225870
【0065】
アルキルリン酸塩、
【0066】
【化24】
Figure 2004225870
【0067】
ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩等が挙げられる。
【0068】
【化25】
Figure 2004225870
【0069】
また、カチオン系界面活性剤としては、アルキルアンモニウム塩、
【0070】
【化26】
Figure 2004225870
【0071】
アルキルベンジルアンモニウム塩等が挙げられる。
【0072】
【化27】
Figure 2004225870
【0073】
また、両性界面活性剤としては、酢酸ベタイン、
【0074】
【化28】
Figure 2004225870
【0075】
イミダゾリウムベタイン、
【0076】
【化29】
Figure 2004225870
【0077】
レシチン
【0078】
【化30】
Figure 2004225870
【0079】
等が挙げられる。上記化学式において、Rはアルキル基である。
【0080】
これら界面活性剤の中では、耐熱性や耐久性に優れることから、ポリオキシアルキルフェニルエーテル及びポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましい。また、界面活性剤は単独でも、複数種を組み合わせて使用してもよく、グリース全量の0.1〜10質量%、好ましくは1〜5質量添加される。添加量が0.1質量%未満では水を取り込む効果が得られず、10質量%を超える場合は増ちょう剤であるウレア化合物との相互作用によりグリースを軟化させたり、硬化させたりする等の好ましくない影響が出てくる。
【0081】
上記のグリースには、潤滑性能等をより一層高めるために、必要に応じてその他の添加剤を添加することができる。但し、金属元素を含有する添加剤は、グリースが飛散して燃料電池スタックに付着した際に触媒毒として作用する可能性があるため、本発明では金属元素を含まない添加剤を用いる。また、金属元素を含む添加剤は極性が強く、上記の界面活性剤との相互作用が大きいことも予測される。尚、金属元素を含まない添加剤であっても、その合成過程等で金属触媒が使用され、それが不可避不純物として残存している場合がある。本発明では、不可避不純物としての金属元素の含有は許容するが、合計量でグリース全量の0.1ppm以下であることが好ましい。
【0082】
このような金属元素を含まない添加剤をその種類別に例示すると、アミン系やフェノール系の酸化防止剤、コハク酸やコハク酸エステル等の防錆剤、長鎖脂肪酸系の油性剤、ベンゾトリアゾールやチアジアゾール系の金属腐食防止剤剤、イ硫黄系やリン系の無灰系極圧剤が挙げられる。
【0083】
また、金属元素を含まない添加剤の含有量は、合計でグリース全量の0.1〜4質量%とすることが好ましい。含有量が0.1質量%未満では添加剤の効果が現われず、4質量%を超える場合は、特に増ちょう剤の含有量が少ない場合に飛散量が極端に多くなるとともに、相対的に基油の量が少なくなり潤滑性に劣るようになる。また、上記した増ちょう剤の含有量の下限側でも飛散量をより少なく抑えるために、この金属元素を含まない添加剤の含有量をグリース全量の0.1〜1質量%とすることが好ましい。
【0084】
本発明の転がり軸受は、封入したグリースが水分が混入した場合でもグリース漏れが少なく、また防錆性能や耐腐食性能等にも優れる。
【0085】
(燃料電池システム用圧送機)
また、本発明は上記の転がり軸受を具備する燃料電池システム用圧送機に関する。燃料電池システム用圧送機として、インペラ型圧送機、スクロール型圧送機、斜板型圧送機、スクリュー型圧送機が一般的であるが、これらに限定されない。以下に、インペラ型圧送機、スクロール型圧送機、両斜板型圧送機、スクリュー型圧送機を例示して説明する。
【0086】
図2に示すインペラ型圧送機は、回転軸31にインペラ32が取り付けられており、この回転軸31が上記の転がり軸受33a、33bで支持されている。そして、回転軸31の高速回転に伴ってインペラ32が高速回転すると、気体吸込み口34から吸込まれた気体がインペラ32の遠心力で加圧され、ハウジング35とバックプレート36とで形成された加圧ボリュート37を通って水蒸気吐出口38から圧送される。また、このポンプでは、シーリング部材39のシール性が低下してくると、気体がインペラ32の背面の背面空間40から回転軸31とシーリング部材39との間隙41を通って転がり軸受33a、33bに達するため、これを防ぐためのバッフル42とブッシュ43とが回転軸31に付設されている。
【0087】
図3に示されるスクロール型圧送機140は、固定スクロール111と旋回スクロール112とからなる圧縮機構部110と、モータ主軸122に対して偏心して設けられたクランクピン122aにより旋回スクロール112を旋回させるクランク機構部150と、モータ主軸122を回転させる駆動モータ部120とからなる。
【0088】
クランク機構部150は、旋回スクロール112に旋回運動を行わせる駆動クランク機構151、及び旋回スクロール112の自転を防止する従動クランク機構152で構成されている。
【0089】
従動クランク機構152は、旋回スクロール112に設けられた凹状保持部112cと、従動クランク軸153のクランクピン153a及びクランクピン153aを旋回スクロール112に対して回転自在とする上記の転がり軸受154とからなる。従動クランク軸153は、クランクピン153aとは反対側を上記の転がり軸受155を介してモータハウジング101に回転自在に支持されている。また、従動クランク軸153にはバランスウェイト153bが設けられており、バランスウェイト153bによって、旋回スクロール112の旋回時に生じる慣性モーメントを打ち消され、振動の低減が図られている。
【0090】
固定スクロール111は、円盤状に形成された固定基盤111aと、この固定基盤111aから立設した渦巻状の旋回渦巻部111cと、この旋回渦巻部111cを覆う外周壁111bとからなる。旋回スクロール112は、円盤状の旋回基盤112bと、この旋回基盤112bから立設した渦巻状の旋回渦巻部112aとからなる。旋回基盤112bのリア側中央には有底円筒状の凹状部112cが設けられている。固定基盤111aにおける図中上下方向略中央には、固定スクロール111及び旋回スクロール112間で圧縮された空気等の吐出口114が設けられている。
【0091】
凹状部112cをハウジングとして、針状ころ軸受133が凹状部112cの内周側に挿入されている。この針状ころ軸受133は、モータ主軸122のクランクピン122aを回転軸として、旋回スクロール112を回転自在に支えている。
【0092】
駆動モータ部120において、駆動モータ121は、モータ主軸122に嵌め合わされたロータ123と、ロータ123の外周側に設けられてコイル124を巻回されたステータ125とを、モータハウジング101内に備えてなる。モータ主軸122は、モータハウジング101に上記の転がり軸受102を介して回転自在に支持されるとともに、リア側(図中右側)の端部を上記の転がり軸受103を介してリアハウジング104に回転自在に支持され、シール部材107で密封されている。また、モータ主軸122には、バランスウェイト122bが設けられており、バランスウェイト122bによって、旋回スクロール112の旋回時に生じる慣性モーメントを打ち消され、振動低減が図られている。
【0093】
上記の如く概略構成されるスクロール型圧送機140では、駆動モータ121に電力が供給されると、モータ主軸122が回転し、その回転が駆動クランク機構130を介して旋回スクロール112に伝達される。旋回スクロール112は、モータ主軸122の回転に伴って、固定スクロール111と噛み合いつつ旋回し、図示しない吸入口から固定スクロール111との間に気体を吸入するとともに、固定スクロール111との間で圧縮させる。その後、圧縮された気体を吐出口114から吐出させる。
【0094】
図4は両斜板式圧送機160を示すが、両面傾斜板171の回転に伴う両頭ピストン172の往復動で気体を圧縮する圧縮機構部170と、駆動モータ181のモータ主軸182の回転により圧縮機構部170を駆動する駆動モータ部180とを備える。
【0095】
圧縮機構部170において、両頭ピストン172は、シリンダブロック161のクランク室163内にモータ主軸182の軸方向に沿って往復動可能に設けられており、両面傾斜板171にシュー173を介して連結されている。また両面傾斜板171は、モータ主軸182の外周面に、モータ主軸182と一体回転可能に挿着されており、シリンダブロック161内に設けられた支持部材162に、スラスト軸受174を介して回転自在に支持されている。
【0096】
駆動モータ部180において、駆動モータ181は、モータ主軸182に嵌入されたロータ183と、ロータ183の外周側に設けられ、コイル184を巻回されたステータ185とを、モータハウジング186内に備えてなる。
【0097】
モータ主軸182は、軸方向略中央より図中左側を左右一対の上記の転がり軸受187を介してモータハウジング186に回転自在に支持されるとともに、軸方向略中央より図中右側を左右一対の上記の転がり軸受175を介して支持部材162に回転自在に支持されている。
【0098】
上記の如く構成される両斜板型圧送機160では、駆動モータ181に電力が供給されると、モータ主軸182が回転し、その回転が両面傾斜板171及びシュー173を介して両頭ピストン172に伝達される。両頭ピストン172は、モータ主軸182の回転に伴ってクランク室163内で軸方向に沿って往復動することにより、気体を吸入・圧縮して吐出させる。
【0099】
図5はスクリュー型圧送機220を示すが、主ロータ201と副ロータ202とを噛み合わせて回転させることで気体を圧縮する圧縮機構部200と、駆動モータ181のモータ主軸182の回転により圧縮機構部200を駆動する駆動モータ部180とを備える。なお、駆動モータ部180については、図3に示した両斜板式圧送機160と同様であり、同一の符号を付して説明を省略する。
【0100】
圧縮機構部200において、主ロータ201及び副ロータ202はそれぞれ、対応する螺旋状に形成されて互いに噛み合わせることで協働して回転可能な構成である。主ロータ201は、図中左側の回転軸201aを左右一対の上記の転がり軸受203を介してハウジング207に回転自在に支持されるとともに、図中右側の回転軸201aを上記の転がり軸受204を介してハウジングに回転自在に支持されている。また、副ロータ202は、図中左側の回転軸202aを図中左右一対の上記の転がり軸受205を介してハウジング207に回転自在に支持されるとともに、図中右側の回転軸202aを上記の転がり軸受206を介してハウジング207に回転自在に支持されている。
【0101】
また、主ロータ201の回転軸201aにおいて、転がり軸受203,204に対して軸方向内側には、ハウジング207との間にシール部材208が介在されている。副ロータ202の回転軸202aにおいて、転がり軸受205,206より軸方向内側には、ハウジング207との間にシール部材209が介在されている。
【0102】
主ロータ201及び副ロータ202は、図中左側の回転軸201a,202aにそれぞれ設けられた連結ギア210を介して連動される。主ロータ201の図中左側の回転軸201aの左端部には、被駆動ギア211が設けられており、被駆動ギア211は、駆動モータ181のモータ主軸182に嵌合された駆動軸188の駆動ギア189に噛合されている。従って、主ロータ201は、モータ主軸182の回転を、駆動軸188、駆動ギア189及び被駆動ギア211を介して伝達される。主ロータ201の回転は、連結ギア210を介して副ロータ202に伝達される。
【0103】
また、駆動軸188は、左右一対の上記の転がり軸受212を介してハウジング213に回転自在に支持されている。駆動軸188とハウジング213との間には、シール部材214が介在されている。
【0104】
上記の如く構成されるスクリュー型圧送機220では、駆動モータ181に電力が供給されると、モータ主軸182が回転し、その回転が駆動軸188、駆動ギア189、被駆動ギア211を介して主ロータ201の回転軸201aに伝達される。同時に、主ロータ201の回転軸201aから連結ギア210を介して副ロータ202の回転軸202aに伝達される。主ロータ201及び副ロータ202は、噛み合い回転することにより、気体を吸入・圧縮して吐出させる。
【0105】
上記の各圧送機は、組み込まれている転がり軸受が、グリース漏れが少なく、防錆性能や耐腐食性能等に優れることから、長期にわたり安定して作動する。
【0106】
(燃料電池システム)
本発明は更に、上記の燃料電池システム用圧送機を具備する燃料電池システムに関する。燃料電池システムとしては、図6に示す固体高分子電解質型燃料電池システムや図7に示す水素タンク方式の燃料電池システムを例示することができる。
【0107】
図6に示す固体高分子電解質型燃料電池システムは引用文献1(特開平11−307112号公報)に記載された燃料電池システムに相当するものであり、固体高分子電解質膜1の両面をカソード2とアノード3の両ガス拡散電極で狭持してなるセルをセパレータを介して積層して燃料電池スタックとし、更に数セルに1つずつの冷却部4を備える固体高分子電解質型燃料電池Iのアノード3入口側に、上流側より順に改質器5、熱交換器6、シフトコンバータ7、CO除去器8をそれぞれ設置し、燃料タンク9から供給されるメタノールを、メタノール蒸発器10を経て改質器5に導入させるようにメタノール供給ライン11を設け、一方、水タンク12からの水の一部を蒸気発生器13で水蒸気にして送る水蒸気ライン14をメタノール供給ライン11に接続してメタノールと水蒸気とを改質器5に導入して水蒸気改質を行わせるようにすると共に、水の他の一部を、冷却用として熱交換器6とCO除去器8を通過させるようにし、改質器5で改質された燃料ガスFGを、熱交換器6で水タンク12からの冷却水により冷却した後、200℃で運転されるシフトコンバータ7でシフト反応を行って、固体高分子電解質型燃料電池Iの触媒毒となる一酸化炭素(CO)の濃度をCO除去器8が処理可能な濃度(1%以下)に低減する。また、100〜150℃程度で運転されるCO除去器8でCO除去処理された燃料ガスFGが加湿器15を経て固体高分子電解質型燃料電池Iのアノード3へ供給する。
【0108】
一方、固体高分子電解質型燃料電池Iのカソード2の入口側には、酸化剤ガスとして空気Aをターボチャージャ16の上記の圧送機17により圧縮して加湿器15を経て供給するようにすると共に、一部を分岐してCO除去器8に入れてCOの燃焼に用い、また、カソード2から排出されたカソード排ガスCGの全量と、アノード3から排出されたアノード排ガスAGの一部とを燃焼器19で燃焼させた後、改質器5の燃焼室に導入し、改質器5の改質室内のメタノールを改質触媒の存在下で250℃になるように熱を吸熱して反応させて燃料ガスFGに改質する。
【0109】
また、改質器5の燃焼室より排出された排ガスは、アノード3から排出されたアノード排ガスAGの一部とともに燃焼器20で燃焼させられた後にタービン18に導いて上記の圧送機17を駆動させ、タービン18から排出された排気ガスは蒸気発生器13、メタノール蒸発器10を通して排気ガスとして排出させる。更に、水タンク12からの冷却水の一部は、加湿器15を経て固体高分子電解質型燃料電池Iの冷却部4を通過させられ、冷却部4を通過させられた冷却水は、冷却器21で冷却されて水タンク12へ入れられる。また、カソード排ガスライン22中の気水分離器23及びアノード排ガスライン24中の気水分離器25で各々分離された水は、熱交換器6及びCO除去器8を通過した水とともに水タンク12に戻される。
【0110】
また、図7に示す燃料電池システムは引用文献2(特開2002−231294号公報)に記載された燃料電池システムに相当するものであり、図中、符号51は、固体高分子電解質膜を間に挟んで燃料極53と酸化剤極55とを相互に対向配置し、更にセパレータで挟持して複数積層して構成される燃料電池スタックである。また、符号57は加湿器であり、燃料ガスおよび酸化剤ガスが、それぞれ半透膜を介して純水と隣接し、水分子が半透膜を通過することにより燃料ガスおよび酸化剤ガスに対して加湿を行う。
【0111】
水素タンク59には水素が貯えられており、この水素は燃料調圧弁61により調圧された後、上記の圧送機(エゼクタ圧送機)63、供給側水分離器65及び加湿器57を通り、燃料電池スタック51に対し燃料極53の燃料入口53aから供給される。燃料極53の燃料出口53bから排出される水素と水蒸気との混合ガスは、排出側水分離器67、流路遮断弁69を通り、上記の圧送機(エゼクタ圧送機)63で原燃料ガスと混合され、この混合ガスが供給側水分離器65及び加湿器57を経て燃料電池スタック51の燃料極53に循環される。また、排出側水分離器67と流路遮断弁69との間の配管71には、パージ分岐部73にて、水素をパージさせるパージ配管75が分岐接続され、パージ配管75にはパージガス遮断弁77及びパージガス触媒79がそれぞれ設けられている。
【0112】
酸化剤としての空気は、上記の圧送機81によって加湿器57を経て燃料電池スタック1の酸化剤極55に、酸化剤入口55aから供給される。酸化剤極55の酸化剤出口55bから排出される排気は、水蒸気と液水を含み、水分離器83によって液水分が分離される。水分離器83には、水素パージ時の空気供給用の空気パージ配管85及びパージガス遮断弁87が設けてあり、水素パージ時にはパージガス触媒79に空気が供給されて外部に排出される。また、空気パージ配管85には、空気排出管89が分岐接続され、空気排出管89には空気調圧弁91が設けられている。
【0113】
更に、燃料電池スタック51の発電状態はセンサ(図示せず)で検知され、検知信号を受けて発電状態に応じて、水素圧力及び空気圧力を燃料調圧弁51及び空気調圧弁91で調整するようフィードバック制御するとともに、空気流量を上記の圧送機81の回転数により調整するようフィードバック制御する構成となっている。
【0114】
このように構成される燃料電池システムは、上記の圧送機を具備することにより長寿命となる。
【0115】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。
【0116】
(試験グリースの調製)
表1及び表2に示す如く基油、増ちょう剤、酸化防止剤、防錆剤及び界面活性剤を配合して実施例及び比較例の各試験グリースを調製した。その際、アミンと、MDI(4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート)とを基油中で反応させてベースグリースとし、冷却後に酸化防止剤、防錆剤及び界面活性剤を表記の量添加し、3段ロールミルで仕上げた。尚、表中のアミン系酸化防止剤「VL81」はバンダービルド社製のジオクチルジフェニルアミンであり、また界面活性剤の「SO−30(HLB値1.7)」は日光ケミカルズ(株)製のソルビタンモノオレエート、「NP−2(HLB値4.5)」、「NP−5(HLB値8.0)」、「NP−7.5(HLB値14.0)」及び「NP−10(HLB値16.0)」は何れもは日光ケミカルズ(株)製のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、「BT−3(HLB値8.0)」及び「BT−9(HLB値13.5)」は日光ケミカル(株)製のポリオキシエチレンアルキルエーテルである。また、増ちょう剤量及び試験グリースの混和ちょう度を同表に併記する。
【0117】
(軸受回転試験)
日本精工(株)製「6204DD」(内径φ20mm、外径φ47mm、幅14mmの接触ゴムシール付き単列深溝玉軸受、図1参照)に、試験グリース1gとイオン交換水0.15gとを封入して試験軸受を作製した。そして、図8に示す試験装置を用いて軸受回転試験を行った。図示される試験装置は、回転用シャフト60を一対の支持用軸受62で支持し、その中間部に試験軸受61を装着し、更に全体を所定温度に維持できるように恒温容器(図示せず)に収容する構成となっている。試験は、シャフト60を回転させて試験軸受61を内輪回転速度7000min−1、雰囲気温度80℃、ラジアル荷重100N、アキシアル荷重100Nの条件で200時間連続回転させた後、室温まで冷却して重量を計測し、試験前の重量との差からグリース漏れ率を求めた。
【0118】
また、上記の試験後の試験軸受について、注射器により更にイオン交換水を0.15g注入し、同試験装置を用いて雰囲気温度80℃で50時間連続回転させた後に120℃で50時間連続回転させる操作を1サイクルとし、この「イオン交換水注入−80℃での50時間回転−120℃での50時間回転」サイクルを繰り返し行い、焼き付くまでの時間を計測した。
【0119】
比較例1の試験グリースを封入した試験軸受によるグリース漏洩率及び焼付き寿命をそれぞれ10とした相対値にて、結果を表1及び表2に示すが、HLB値が4〜14の界面活性剤を0.1〜10質量%の割合で含有する試験グリースを封入することにより、HLB値が4〜14の界面活性剤を全く含まない、もしくはHLB値が4〜14以外の界面活性剤を含有する試験グリースを封入した場合に比べて、グリース漏れが格段に少なく(例えば比較例1と比べて2分の1〜5分の1)、焼付き寿命も大幅に向上(例えば比較例1と比べて3.5〜8.5倍)している。これに対して、HLB値が4未満の界面活性剤を添加すると(比較例2)、界面活性剤を含有しない比較例1と比較してグリース漏れ量が倍増し、焼付き寿命は半減している。また、HLB値が14を超える界面活性剤を添加すると(比較例3)、界面活性剤を含有しない比較例1と比較してグリース漏れ量の減少及び焼付き寿命が若干向上するものの、実施例と比べるとその改善効果はかなり少ない。更に、界面活性剤の添加量は10質量%を超える場合には(比較例4)、グリース漏れが多くなり、焼付き寿命も低減しており、逆に添加量が0.1質量%未満では(比較例5)、焼付き寿命が若干向上するものの、グリース漏れが多くなる。このことから、界面活性剤のHLB〕値は4〜14、添加量はグリース全量の0.1〜10質量%が適当であることがわかる。
【0120】
【表1】
Figure 2004225870
【表2】
Figure 2004225870
【0121】
(界面活性剤の添加量の検証)
比較例8の試験グリースに、添加量を変えて日光ケミカルズ(株)製「NP−5(HLB値8.0)」を添加して試験グリースを調製した。そして、上記と同様にしてグリース漏れ率及び焼付き寿命を求めた。
【0122】
結果を図9にグラフ化して示すが、界面活性剤量が0.1〜10質量%の範囲であれば、グリース漏れ率も小さく、焼付き寿命にも優れることがわかる。更に、界面活性剤量が1〜5質量%の範囲でグリース漏れ率、焼付き寿命が特に優れていることがわかる。
【0123】
(界面活性剤のHLB値の検証)
比較例1の試験グリース97.5gに、日光ケミカルズ製「SO−30(HLB値1.7)」、同「NP−2(HLB値4.5)」、同「NP−5(HLB値8.0)」、同「NP−7.5(HLB値14.0)」及び「NP−10(HLB値16.0)」をそれぞれ2.5g添加して試験グリースを調製した。
【0124】
そして、特開平9−87652号公報に記載の方法にて試験グリースの給水量及び平均水滴径を求めた。即ち、JIS K2220 5.12に規定される水洗耐水度試験機を大型化した試験機の軸受に試験グリースを50g充填し、内輪側に1mmの隙間のあるシール板を取り付け、この軸受を500min−1で8時間連続回転させながら80℃の温水を600mL/分の水量で噴射し、回転前後の重量差から試験グリースの吸水量を求めた。また、試験後の試験グリースを採取し、光学顕微鏡で吸水した水の粒子径を観察、測定した。
【0125】
結果を図10にグラフ化して示すが、HLB値が4〜14の界面活性剤を添加することにより、吸水量も多く、水を水滴の状態で取り込むことが可能なグリースが得られることがわかる。更に、HLB値が4〜12の範囲でこの特性が優れているといえる。
【0126】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、HLB値4〜14の界面活性剤を規定量含有するグリースを封入することにより、グリース漏れが少なく、防錆性能及び耐腐食性能にも優れ、長寿命の燃料電池用転がり軸受が得られる。また、この転がり軸受を組み込むことにより、長寿命の燃料電池システム用圧送機及び燃料電池システムが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃料電池用転がり軸受の一例(玉軸受)を示す断面図である。
【図2】本発明の圧送機の一例(インペラ型圧送機)を示す断面図である。
【図3】本発明の圧送機の他の例(スクロール型圧送機)を示す断面図である。
【図4】本発明の圧送機の更に他の例(両斜板型圧送機)を示す断面図である。
【図5】本発明の圧送機の更に他の例(スクリュー型圧送機)を示す断面図である。
【図6】本発明の燃料電池システムの一例(固体高分子電解質型燃料電池)の全体構成を示す図である。
【図7】本発明の燃料電池システムの他の例(水素タンク方式燃料電池)の全体構成を示す図である。
【図8】実施例において軸受回転試験に用いた試験装置を示す概略図である。
【図9】実施例で得られた、界面活性剤の添加量と、グリース漏れ率及び焼付き寿命との関係を示すグラフである。
【図10】実施例で得られた、界面活性剤のHLB値と、グリースの吸水量及び平均径水滴径との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 固体高分子電解質膜
2 カソード
3 アノード
4 冷却部
5 改質器
9 燃料タンク
10 メタノール蒸発器
12 水タンク
13 蒸気発生器
15 加湿器
16 ターボチャージャ
17 コンプレッサ
23 気水分離器
25 気水分離器
111 固定スクロール
112 旋回スクロール
120 駆動モータ部
122 モータ主軸
140 スクロール型圧送機
150 クランク機構部
160 両斜板式圧送機
170 圧縮機構部
171 両面傾斜板
172 両頭ピストン
180 駆動モータ部
181 駆動モータ
182 モータ主軸
200 圧縮機構部
201 主ロータ
202 副ロータ
220 スクリュー型圧送機
300 玉軸受
301 内輪
302 外輪
303 保持器
304 玉
305 シール部材

Claims (6)

  1. 少なくとも、燃料電池スタック及び各種流体を輸送するための圧送機を具備する燃料電池システムの前記圧送機に組み込まれる燃料電池用転がり軸受であって、
    基油に、増ちょう剤としてウレア化合物をグリース全量の5〜35質量%及びHLB(親水性親油性バランス)値が4〜14の界面活性剤をグリース全量の0.1〜10質量%配合してなるグリースを封入したことを特徴とする燃料電池用転がり軸受。
  2. 少なくとも、燃料タンク、燃料蒸発器、改質器、CO除去装置、燃料電池スタック及び各種流体を輸送するための圧送機を具備する燃料電池システムの前記圧送機に組み込まれる燃料電池用転がり軸受であって、
    基油に、増ちょう剤としてウレア化合物をグリース全量の5〜35質量%及びHLB値が4〜14の界面活性剤をグリース全量の0.1〜10質量%配合してなるグリースを封入したことを特徴とする燃料電池用転がり軸受。
  3. 前記グリースが、不可避不純物としての金属元素以外の金属元素を含まない酸化防止剤、防錆剤、金属腐食防止剤、極圧剤及び油性剤の少なくとも1種を含有していることを特徴とする請求項1または2記載の燃料電池用転がり軸受。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載の燃料電池用転がり軸受を具備することを特徴とする燃料電池システム用圧送機。
  5. 少なくとも、燃料電池スタック及び各種流体を輸送するための圧送機を具備する燃料電池システムであって、前記圧送機が請求項4記載の燃料電池システム用圧送機であることを特徴とする燃料電池システム。
  6. 少なくとも、燃料タンク、燃料蒸発器、改質器、CO除去装置、燃料電池スタック及び各種流体を輸送するための圧送機を具備する燃料電池システムであって、前記圧送機が請求項4記載の燃料電池システム用圧送機であることを特徴とする燃料電池システム。
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