JP2004190688A - 燃料電池用転がり軸受、燃料電池システム用圧送機及び燃料電池システム - Google Patents

燃料電池用転がり軸受、燃料電池システム用圧送機及び燃料電池システム Download PDF

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    • F04D29/059Roller bearings

Abstract

【課題】燃料電池システムの圧送機に組み込まれる転がり軸受の耐熱性及び耐水性を向上させ、またこの転がり軸受を組み込むことにより圧送機、更には燃料電池システムを長寿命化する。
【解決手段】少なくとも、燃料電池スタック及び各種流体を輸送するための圧送機を具備する燃料電池システムの前記圧送機に組み込まれる燃料電池用転がり軸受であって、フッ素油を基油としフッ素樹脂を増ちょう剤とするフッ素系グリースと、フッ素系グリース以外のグリースとの混合グリースを封入した燃料電池用転がり軸受、前記転がり軸受を備える燃料電池システム用圧送機並びに前記圧送機を具備する燃料電池システム。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、メタノール、水のような燃料をガス化し、改質器で改質した後、CO除去装置でCO除去を行い、燃料電池スタック(燃料電池本体)に燃料を供給して発電を行う燃料電池システム、あるいは水素タンク、水素貯蔵合金等の水素保存手段から燃料としての水素を燃料電池スタックに供給し、発電する燃料電池システム、あるいはメタノール水のような水素含有化合物から改質器で水素を取り出し、CO除去装置等の不純物除去装置で不純物を除去し、燃料電池スタックに水素を供給して発電する燃料電池システム、並びにこれら燃料電池システムにおいて各機器間に各種流体を圧送するための燃料電池システム用圧送機(以下、単に「圧送機」ともいう)、更にはこの圧送機に組み込まれる燃料電池用転がり軸受(以下、単に「転がり軸受」ともいう)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車の排ガスによる大気汚染や二酸化炭素による地球温暖化等の環境問題に対し、クリーンな排気及び高エネルギー効率を可能にする燃料電池が注目を浴びている。燃料電池は、水素や水素リッチな改質ガスと酸素等(空気)の酸化剤との電気化学反応によって化学エネルギーを電気エネルギーに変換するエネルギーシステムである。燃料電池に用いられる電解質には、固体高分子、リン酸水溶液、溶融炭酸塩、アルカリ水溶液等があるが、中でも、固体高分子電解質型燃料電池は、比較的低温(100℃以下)で発電が行われ、出力密度が高く、低温で作動し、電池構成材料の劣化が少なく、起動が容易である等の長所があることから、特に、自動車等の輸送体の動力源として有効とされており、種々の燃料電池システムが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
これらの固体高分子電解質型燃料電池を用いた燃料電池システムでは、水素や水素リッチな改質ガス、酸化剤として多量の空気を圧送するために圧送機が使用されており、圧送を安定に行うための改良がなされた圧送機が種々提案されている。(例えば、特許文献3参照)。また、圧送機には回転軸の支持用に転がり軸受が使用されており、潤滑のためのグリースが封入されているが、揮発成分が飛散して燃料電池スタックに付着して触媒毒として作用することがあり、この揮発成分の飛散、漏洩の防止を図った圧送機も提案されている(例えば、特許文献4、特許文献5参照)。
【0004】
また、封入されるグリースは、合成油を基油とし、増ちょう剤としてウレア化合物を配合したウレア−合成油系グリースが一般に使用されている。しかし、このウレア−合成油系グリースは170〜180℃の温度までは軸受潤滑寿命が長く十分に使用可能であるが、近年では使用条件も厳しくなってきており、耐熱性において十分とは言えない状況にある。そのため、耐熱性を改善するために、フッ素系グリースを封入することも提案されている(例えば、特許文献6、特許文献7参照)。
【特許文献1】
特開平11−307112号公報
【特許文献2】
特開2002−231294号公報
【特許文献3】
特開2002−70762号公報
【特許文献4】
特開2000−2192号公報
【特許文献5】
特開2002−70764号公報
【特許文献6】
特開2000−273478号公報
【特許文献7】
特開2000−303088号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
燃料電池システムでは、安定した発電を行うために、水素や水蒸気、酸素濃度の緻密な管理が必要であり、そのためには圧送機による各種流体の安定輸送が必須である。そのため、圧送機に使用される転がり軸受でも、軸受材料やグリースが水素や水分に対する耐久性を有することが必要であり、水素燃料を循環させ再利用する場合には更に電解質から遊離した酸やアルカリに対する耐久性も必要になる。
【0006】
しかし、従来の合成油−ウレア系グリースやフッ素系グリースでは、水素や水分、酸、アルカリ等に対する総合的な耐久性に問題があり、改良の余地は十分にある。
【0007】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、燃料電池システムの圧送機に組み込まれる転がり軸受に封入するグリースを工夫して、転がり軸受の耐熱性及び耐水性を向上させることを目的とする。また、本発明は、この転がり軸受を組み込むことにより圧送機、更には燃料電池システムの耐久性を向上させることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、封入するグリースとして、耐熱性に優れるフッ素系グリースと、フッ素系グリース以外のグリースとを混合使用することにより、転がり軸受の耐熱性とともに、耐水性も改善できることを知見した。
【0009】
即ち、上記の目的を達成するために本発明は、
(1)少なくとも、燃料電池スタック及び各種流体を輸送するための圧送機を具備する燃料電池システムの前記圧送機に組み込まれる燃料電池用転がり軸受であって、フッ素油を基油としフッ素樹脂を増ちょう剤とするフッ素系グリースと、フッ素系グリース以外のグリースとの混合グリースを封入したことを特徴とする燃料電池用転がり軸受
(2)少なくとも、燃料タンク、燃料蒸発器、改質器、CO除去装置、燃料電池スタック及び各種流体を輸送するための圧送機を具備する燃料電池システムの前記圧送機に組み込まれる燃料電池用転がり軸受であって、フッ素油を基油としフッ素樹脂を増ちょう剤とするフッ素系グリースと、フッ素系グリース以外のグリースとの混合グリースを封入したことを特徴とする燃料電池用転がり軸受
(3)上記(1)または(2)に記載の燃料電池用転がり軸受を備えることを特徴とする燃料電池システム用圧送機
(4)上記(3)の燃料電池システム用圧送機を具備することを特徴とする燃料電池システム
を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に関して詳細に説明する。
【0011】
(燃料電池用転がり軸受)
本発明において、燃料電池用転がり軸受の構成自体は制限されるものではなく、例えば図1に示すような玉軸受300を例示することができる。図示される玉軸受300は、内輪301と外輪302との間に保持器303を介して複数の転動体である玉304を略等間隔で回動自在に保持してなり、本発明においては更に内輪301、外輪302及び玉304で形成される空所Sに、下記に詳述される混合グリース(図示せず)を所定量充填し、シール305で封止して構成されている。尚、混合グリースの封入量は、従来と同様に、軸受空間容積の5〜50容積%の範囲で使用条件に応じて選定する。
【0012】
混合グリースは、フッ素系グリースと、フッ素系グリース以外のグリースとの混合物である。以下に、それぞれのグリースについて詳述する。
【0013】
[フッ素系グリース]
フッ素系グリースの基油はフッ素油であり、具体的にはパーフルオロポリエーテル油、クロロパーフルオロエーテル油等が挙げられる。これらは単独でも、混合して使用することができる。また、フッ素油は、低温流動性不足による低温起動時の異音発生や、高温で油膜が形成され難いために起こる焼付きを避けるために、40℃における動粘度が20〜400mm/s、特に30〜200mm/sであることが好ましい。
【0014】
フッ素系グリースの増ちょう剤はフッ素樹脂であり、具体的には四フッ化エチレン(PTFE)、四フッ化エチレン−パーフルロロエチレンアルキルビニルエーテル共重合体(PFA樹脂)、四フッ化エチレン−エチレン共重合体(FEP樹脂)、フッ化ブニリデン(PVDF)等の微粉末が挙げられる。微粉末の形状は、球形、多面体(立方体や直方体)や極端には針状でも構わない。また、これらは単独でも、混合して使用してもよい。
【0015】
フッ素系グリースにおけるフッ素樹脂の含有量は、10〜45質量%、好ましくは15〜35質量%である。フッ素樹脂の含有量が10質量%未満では安定したグリースとはならず、耐熱性も十分でなくなる。一方、フッ素樹脂の含有量が45質量%を越えるとグリースが硬くなりすぎる。
【0016】
[フッ素系グリース以外のグリース]
フッ素系グリース以外のグリースとしては、金属コンプレックス石けん系グリース及びウレア系グリースが好ましい。
【0017】
この金属コンプレックス石けん系グリースあるいはウレア系グリースに使用される基油としては、合成炭化水素油、エステル油、エーテル油、シリコーン油が好ましい。炭化水素系油としては、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、ポリブテン、ポリイソブチレン、1−デセンオリゴマー、1−デセンとエチレンコオリゴマー等のポリ−α−オレフィンまたはこれらの水素化物等が挙げられる。エステル系油としては、ジブチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、ジオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジトリデシルグルタレート、メチル・アセチルシノレート等のジエステル油、あるいはトリオクチルトリメリテート、トリデシルトリメリテート、テトラオクチルピロメリテート等の芳香族エステル油、更にはトリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール−2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールベラルゴネート等のポリオールエステル油、更にはまた、多価アルコールと二塩基酸・一塩基酸の混合脂肪酸とのオリゴエステルであるコンプレックスエステル油等が挙げられる。エーテル系油としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールモノエーテル、ポリプロピレングリコールモノエーテル等のポリグリコール、あるいはモノアルキルトリフェニルエーテル、アルキルジフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル、ペンタフェニルエーテル、テトラフェニルエーテル、モノアルキルテトラフェニルエーテル、ジアルキルテトラフェニルエーテル等のフェニルエーテル油等が挙げられる。シリコーン油としては、メチルシリコーン油、フェイルメチルシリコーン油、フェニルフルオロシリコーン油等が挙げられる。これらの基油は、単独または混合物として用いることができる。また、必要に応じて、鉱油を配合してもよい。但し、鉱油には不純物が含まれており、これらが蒸発して外部を汚染するおそれがあることから、減圧蒸留、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、硫酸洗浄、白土精製、水素化精製等を適宜組み合わせて精製したものを用いることが好ましい。これら基油の中でも、高温、高速での使用下での潤滑性能や潤滑寿命を考慮すると、エステル系油、エーテル系油を含有していることが好ましい。また、エステル系油、エーテル系油は、フッ素系グリースの基油であるフッ素油と比較的親和性の高いという利点も有する。更に、雰囲気の水分濃度が高い場合、撥水効果の高いポリα−オレフィン系合成炭化水素油を含有していることが好ましい。
【0018】
また、グリースの低温流動性不足による低温起動時の異音発生や、高温で油膜が形成され難いために起こる焼付きを避けるために、基油の40℃における動粘度が、好ましくは10〜400mm/sec、より好ましくは20〜250mm/sec、さらに好ましくは40〜150mm/secであることが好ましい。
【0019】
金属コンプレックス石けん系グリースの増ちょう剤としては、Li、Na、Ba、Ca等から選択される金属コンプレックス石けん、またはこれらの混合物が挙げられる。リチウム石けん等の単純な金属石けん系増ちょう剤では、吸水性があり、グリースが水分を含むようになり軸受に錆を発生させたり、グリースの液状化が起こりグリースが流出するおそれがある。一方、ウレア系グリースの増ちょう剤としては、ジウレア化合物、トリウレア化合物、テトラウレア化合物、ポリウレア化合物、またはこれらの混合物が挙げられる。これらの増ちょう剤は、単独または混合物として用いることができる。
【0020】
また、金属コンプレックス石けん系グリース及びウレア系グリースの増ちょう剤量は、何れも5〜40質量%、好ましくは10〜30質量%の範囲である。増ちょう剤量が5質量未満ではグリースを形成できず、40質量%を越えるとグリースが硬くなりすぎる。
【0021】
上記した金属コンプレックス石けん系グリース及びウレア系グリースは、必要に応じて、その何れか一方のみを用いることもできるし、両グリースを併用することもできる。得られるグリースの耐熱性、音響性を考慮すると、ウレア系グリースを用いることが望ましい。また、両グリースを併用する場合、金属コンプレックス石けん系グリースとウレア系グリースとの配合割合は、必要に応じて任意に適宜設定することができる。
【0022】
[添加剤]
上記のフッ素系グリース及びフッ素系グリース以外のグリースにはそれぞれ、その性能を一層高めるため、必要に応じて種々の添加剤を添加することができ、中でも下記に示す添加剤が好適である。尚、添加量としては、添加量が多すぎると相対的に基油及び増ちょう剤の含有量が少なくなり、潤滑性能等に劣るようになることから、合計で混合グリース全量に対して20質量%以下とすることが好ましい、
【0023】
(防錆剤・金属不活性化剤)
フッ素系グリース以外のグリースには、防錆剤として、例えば有機スルホン酸のアンモニウム塩、バリウム、亜鉛、カルシウム、マグネシウム等アルカリ金属、アルカリ土類金属の有機スルホン酸塩、有機カルボン酸塩、フェネート、ホスフェート、アルキルもしくはアルケニルこはく酸エステル等のアルキル、アルケニルこはく酸誘導体、ソルビタンモノオレエート等の多価アルコールの部分エステル、オレオイルザルコシン等のヒドロキシ脂肪酸類、1−メルカプトステアリン酸等のメルカプト脂肪酸類あるいはその金属塩、ステアリン酸等の高級脂肪酸類あるいはそのエステル、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール等のチアゾール類、ベンズイミダゾール等のイミダゾール類やスルフィド系化合物、トリスノニルフェニルフォスファイト等のリン酸エステル類、ジラウリルチオプロピオネート等のチオカルボン酸エステル系化合物、亜硝酸塩等を使用することができる。また、金属不活性化剤として、例えばベンゾトリアゾール等のトリアゾール系化合物を使用することができる。
【0024】
フッ素系グリースには、酸化マグネシウムや塩化チタン等の無機化合物やベンゾトリアゾール系化合物の他、パーフルオロアルキルまたはパーフルオロエーテル、パーフルオロポリエーテル構造を有し、末端官能基をアルコール変性、カルボキシル変性、イソシアネート変性したフッ素系防錆剤等を使用することができる。
【0025】
(油性剤)
フッ素系グリース以外のグリースには、例えばオレイン酸やステアリン酸等の脂肪酸、オレイルアルコール等の脂肪酸アルコール、ポリオキシエチレンステアリン酸エステル等の脂肪酸エステル、リン酸、トリクレジルフォスフェート、ラウリル酸エステルまたはポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸等のリン酸エステル等を使用することができる。
【0026】
(極圧剤・摩耗防止剤)
フッ素系グリース以外のグリースには、例えば亜鉛、モリブデン、テルル、アンチモン、セレン、鉄、銅等のジチオカルバミン酸塩、亜鉛、モリブデン、アンチモン等のジチオリン酸塩、オクチル酸鉄、ナフテン酸銅、ジブチル錫サルファイド、フェネート、ホスフェート等の有機金属化合物、ジベンジルジスルフィドやポリスルフィド、硫化油脂類、チオウレア、チオカーボネート等の硫黄系化合物、塩素化パラフィン等のハロゲン系の極圧剤、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、グラファイト、PTFE、硫化アンチモン、窒化ボウ素等の固体潤滑剤等を使用することができる。
【0027】
[混合グリースの組成]
本発明で使用する混合グリースは、上記したフッ素系グリースと、フッ素系グリース以外のグリースとの混合物であり、その配合比は目的とする耐熱性や耐水性、防錆性を考慮して適宜選択される。但し、フッ素系グリース以外のグリースとして金属コンプレックス石けん系グリース及びウレア系グリースの少なくとも一方を選択した場合、質量比にて、金属コンプレックス石けん系グリース及びウレア系グリースの少なくとも一方:フッ素系グリース=30〜80:70〜20の割合で混合することが好ましい。70質量%を超えてフッ素系グリースを配合すると、金属コンプレックス石けん、ウレア系グリースが少なすぎ、その中に基油として含まれる鉱油や合成油の配合率が少なくなるため、防錆剤を有効量添加できず、十分な防錆性を得ることができなくなる。しかも、フッ素系グリースが多くなるため、混合グリースの原料コストがフッ素系グリース並に高価となってしまう。一方、フッ素系グリースが20質量%未満であると、混合グリースに十分な耐熱性を付与できず、焼付き寿命が短くなる。
【0028】
また、混合グリース中の増ちょう剤の総量、即ち金属石けん、ウレア化合物及びフッ素樹脂の総量を15〜35質量%にする。混合グリース中の増ちょう剤総量が15質量%未満であると、離油が大きいこと、せん断安定性に劣ること等から、グリース漏れが発生し、焼付き寿命が短くなる。また、35質量%を超えると、混合グリースの流動性が大きくなり、軸受内外輪と転動体との転走面にグリースが入り込まなくなるため、焼付き寿命や、低温性に問題が出てくる。
【0029】
[混合グリースのちょう度]
また、混合グリースのちょう度は、フッ素系グリースと、フッ素系グリース以外のグリースとを混合した際、混合後に混和ちょう度180〜360(25℃)であることが好ましい。混和ちょう度が180未満だと硬すぎて十分な流動性が得られず、360を超えると流動性が過大となり多量の水分により流出するおそれがある。
【0030】
[混合グリースの製法]
フッ素系グリース及びフッ素系グリース以外のグリースとも、製法に関する制限はなく、何れも基油中で増ちょう剤を反応させることにより得られる。フッ素系グリースは、フッ素油にフッ素樹脂微粉末を十分に混合し、3段ロールミル等によって混練することにより得られる。また、フッ素系グリース以外のグリースは、ウレア系グリースの場合、第1の容器に半量の基油とイソシアネートとを入れて反応させるとともに、第2の容器に半量の基油とアミンとを入れて反応させ、第2の容器の内容物を第1の容器に入れて十分に攪拌混合して得られる。
【0031】
そして、フッ素系グリースと、フッ素系グリース以外のグリースとを所定の割合で配合し、ニーダやロールミル等の攪拌、混練手段で十分に攪拌、混練し、相互に均一に分散させることにより、混合グリースが得られる。この処理を行うときは、加熱するのも有効である。
【0032】
本発明の燃料電池用転がり軸受は、上記の特定のグリースを封入したことにより、潤滑性能は勿論のこと、耐熱性、防水性、防錆性等に優れ、長寿命となる。
【0033】
(燃料電池システム用圧送機)
本発明の燃料電池システム用圧送機は、上記本発明の転がり軸受を備える限り、その他の構成には制限がなく、例えば図2に示すインペラ型圧送機や図3に示すスクロール型圧送機を例示することができる。図2に示す圧送機は引用文献4(特開2000−2192号)に記載された圧送機に相当するものであり、回転軸31にインペラ32が取り付けられ、この回転軸31が本発明の転がり軸受33a、33bで支持されている。そして、回転軸31の高速回転に伴ってインペラ32が高速回転すると、水蒸気吸込み口34から吸込まれた水蒸気がインペラ32の遠心力で加圧され、ハウジング35とバックプレート36とで形成された加圧ボリュート37を通って水蒸気吐出口38から圧送される。また、この圧送機では、シーリング部材39のシール性が低下してくると、水蒸気がインペラ32の背面の背面空間40から回転軸31とシーリング部材39との間隙41を通って転がり軸受33a、33bに達するため、これを防ぐためのバッフル42とブッシュ43とが回転軸31に付設されている。
【0034】
また、図3に示す圧送機は引用文献3(特開2002−70762号公報)に記載された圧送機に相当するものであり、固定スクロール111と旋回スクロール112とからなる圧縮機構部110と、モータ主軸122に対して偏心して設けられたクランクピン122aにより旋回スクロール112を旋回させるクランク機構部150と、モータ主軸122を回転させる駆動モータ部120とからなる。
【0035】
固定スクロール111は、円盤状に形成された固定基盤111aと、この固定基盤111aから立設した渦巻状の旋回渦巻部111cと、この旋回渦巻部111cを覆う外周壁111bとからなる。旋回スクロール112は、円盤状の旋回基盤112bと、この旋回基盤112bから立設した渦巻状の旋回渦巻部112aとからなる。旋回基盤112bのリア側中央には有底円筒状の凹状部112cが設けられている。固定基盤111aにおける図中上下方向略中央には、固定スクロール111及び旋回スクロール112間で圧縮された空気等の吐出口114が設けられている。また、凹状部112cをハウジングとして針状ころ軸受133が凹状部112cの内周側に挿入されている。この針状ころ軸受133は、モータ主軸122のクランクピン122aを回転軸として、旋回スクロール112を回転自在に支えている。
【0036】
駆動モータ部120において、駆動モータ121は、モータ主軸122に嵌め合わされたロータ123と、ロータ123の外周側に設けられてコイル124を巻回されたステータ125とを、モータハウジング101内に備えてなる。モータ主軸122は、モータハウジング101に本発明の転がり軸受102を介して回転自在に支持されるとともに、リア側(図中右側)の端部を本発明の転がり軸受103を介してリアハウジング104に回転自在に支持されている。また、モータ主軸122は、転がり軸受102よりクランクピン122a側において、モータハウジング101との間にシール106が介在されるとともに、リア側において、リアハウジング104との間にシール107が介在されている。更に、モータ主軸122には、バランスウェイト122bが設けられており、バランスウェイト122bによって、旋回スクロール112の旋回時に生じる慣性モーメントを打ち消され、振動低減が図られている。
【0037】
クランク機構部150は、旋回スクロール112に旋回運動を行わせる駆動クランク機構151、及び旋回スクロール112の自転を防止する従動クランク機構152で構成されている。従動クランク機構152は、旋回スクロール112に設けられた凹状保持部112cと、従動クランク軸153のクランクピン153a及びクランクピン153aを旋回スクロール112に対して回転自在とする本発明の転がり軸受154とからなる。従動クランク軸153は、クランクピン153aとは反対側を本発明の転がり軸受155を介してモータハウジング101に回転自在に支持されている。また、従動クランク軸153には、モータ主軸122と同様にバランスウェイト153bが設けられており、バランスウェイト153bによって、旋回スクロール112の旋回時に生じる慣性モーメントを打ち消され、振動の低減が図られている。
【0038】
また、圧送機としては、上記に示したインペラ型圧送機やスクロール型圧送機の他にも、何れも図示は省略するが、バンケル型圧送機、楕円式マルチベーン型圧送機、偏心式マルチベーン型圧送着、ローリングピストン型圧送機、スクリュー型圧送機、斜板型圧送機、レシプロ型圧送機等が挙げられ、それぞれの回転軸の支持に本発明の転がり軸受が使用される。
【0039】
このように構成される本発明の圧送機は、上記本発明の転がり軸受を備えることにより、耐熱性、防水性、防錆性等に優れ、長寿命となる。
【0040】
また、図4に示すように、各転がり軸受300の装着箇所において、ハウジングと回転軸320との隙間を塞ぐように、転がり軸受300の外側にオイルシール310を設けることも好ましい。このオイルシール310により、転がり軸受300の密封性が向上し、防水性が更に高まる。
【0041】
(燃料電池システム)
本発明の燃料電池システムは、上記本発明の圧送機を具備する限り、その他の構成には制限が無く、例えば図5に示す固体高分子電解質型燃料電池システムや図6に示す水素タンク方式の燃料電池システムを例示することができる。図5に示す固体高分子電解質型燃料電池システムは引用文献1(特開平11−307112号公報)に記載された燃料電池システムに相当するものであり、固体高分子電解質膜1の両面をカソード2とアノード3の両ガス拡散電極で狭持してなるセルをセパレータを介して積層して燃料電池スタックとし、更に数セルに1つずつの冷却部4を備える固体高分子電解質型燃料電池Iのアノード3入口側に、上流側より順に改質器5、熱交換器6、シフトコンバータ7、CO除去器8をそれぞれ設置し、燃料タンク9から供給されるメタノールを、メタノール蒸発器10を経て改質器5に導入させるようにメタノール供給ライン11を設け、一方、水タンク12からの水の一部を蒸気発生器13で水蒸気にして送る水蒸気ライン14をメタノール供給ライン11に接続してメタノールと水蒸気とを改質器5に導入して水蒸気改質を行わせるようにすると共に、水の他の一部を、冷却用として熱交換器6とCO除去器8を通過させるようにし、改質器5で改質された燃料ガスFGを、熱交換器6で水タンク12からの冷却水により冷却した後、200℃で運転されるシフトコンバータ7でシフト反応を行って、固体高分子電解質型燃料電池Iの触媒毒となる一酸化炭素(CO)の濃度をCO除去器8が処理可能な濃度(1%以下)に低減する。また、100〜150℃程度で運転されるCO除去器8でCO除去処理された燃料ガスFGが加湿器15を経て固体高分子電解質型燃料電池Iのアノード3へ供給する。
【0042】
一方、固体高分子電解質型燃料電池Iのカソード2の入口側には、酸化剤ガスとして空気Aをターボチャージャ16の本発明の圧送機17により圧縮して加湿器15を経て供給するようにすると共に、一部を分岐してCO除去器8に入れてCOの燃焼に用い、また、カソード2から排出されたカソード排ガスCGの全量と、アノード3から排出されたアノード排ガスAGの一部とを燃焼器19で燃焼させた後、改質器5の燃焼室に導入し、改質器5の改質室内のメタノールを改質触媒の存在下で250℃になるように熱を吸熱して反応させて燃料ガスFGに改質する。
【0043】
また、改質器5の燃焼室より排出された排ガスは、アノード3から排出されたアノード排ガスAGの一部とともに燃焼器20で燃焼させられた後にタービン18に導いて本発明の圧送機17を駆動させ、タービン18から排出された排気ガスは蒸気発生器13、メタノール蒸発器10を通して排気ガスとして排出させる。更に、水タンク12からの冷却水の一部は、加湿器15を経て固体高分子電解質型燃料電池Iの冷却部4を通過させられ、冷却部4を通過させられた冷却水は、冷却器21で冷却されて水タンク12へ入れられる。また、カソード排ガスライン22中の気水分離器23及びアノード排ガスライン24中の気水分離器25で各々分離された水は、熱交換器6及びCO除去器8を通過した水とともに水タンク12に戻される。
【0044】
また、図6に示す燃料電池システムは引用文献2(特開2002−231294号公報)に記載された燃料電池システムに相当するものであり、図中、符号51は、固体高分子電解質膜を間に挟んで燃料極53と酸化剤極55とを相互に対向配置し、更にセパレータで挟持して複数積層して構成される燃料電池スタックである。また、符号57は加湿器であり、燃料ガスおよび酸化剤ガスが、それぞれ半透膜を介して純水と隣接し、水分子が半透膜を通過することにより燃料ガスおよび酸化剤ガスに対して加湿を行う。
【0045】
水素タンク59には水素が貯えられており、この水素は燃料調圧弁61により調圧された後、本発明の圧送機(エゼクタ圧送機)63、供給側水分離器65及び加湿器57を通り、燃料電池スタック51に対し燃料極53の燃料入口53aから供給される。燃料極53の燃料出口53bから排出される水素と水蒸気との混合ガスは、排出側水分離器67、流路遮断弁69を通り、本発明の圧送機(エゼクタ圧送機)63で原燃料ガスと混合され、この混合ガスが供給側水分離器65及び加湿器57を経て燃料電池スタック51の燃料極53に循環される。また、排出側水分離器67と流路遮断弁69との間の配管71には、パージ分岐部73にて、水素をパージさせるパージ配管75が分岐接続され、パージ配管75にはパージガス遮断弁77及びパージガス触媒79がそれぞれ設けられている。
【0046】
酸化剤としての空気は、本発明の圧送機81によって加湿器57を経て燃料電池スタック1の酸化剤極55に、酸化剤入口55aから供給される。酸化剤極55の酸化剤出口55bから排出される排気は、水蒸気と液水を含み、水分離器83によって液水分が分離される。水分離器83には、水素パージ時の空気供給用の空気パージ配管85及びパージガス遮断弁87が設けてあり、水素パージ時にはパージガス触媒79に空気が供給されて外部に排出される。また、空気パージ配管85には、空気排出管89が分岐接続され、空気排出管89には空気調圧弁91が設けられている。
【0047】
更に、燃料電池スタック51の発電状態はセンサ(図示せず)で検知され、検知信号を受けて発電状態に応じて、水素圧力及び空気圧力を燃料調圧弁51及び空気調圧弁91で調整するようフィードバック制御するとともに、空気流量をコンプレッサ81の回転数により調整するようフィードバック制御する構成となっている。
【0048】
このように構成される本発明の燃料電池システムは、上記本発明の圧送機を具備することにより長寿命となる。
【0049】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。
【0050】
〔試験−1〕
(試験グリースの調製)
グリース配合を表1に示すが、パーフルオロポリエーテル油(40℃における動粘度60mm/s)に、22質量%の割合でポリテトラフルオロエチレン粉末を十分に混合し、更に同様のパーフルオロポリエーテル油に溶解した表記の防錆剤を添加し、三段ロールミルによる混練を行ってフッ素系グリースを調製した。
【0051】
また、フッ素系グリース以外のグリースとして、ジイソシアネートを混合した基油(合成炭化水素油、エーテル油またはエステル油;動粘度は表記の通り)とアミンを混合した同様の基油とを反応させ、攪拌加熱して得られた半固体状物に、予め同様の基油に溶解した表記の防錆剤を加えて十分攪拌を行ってウレア系グリースを調製した。その際、ジウレア化合物の含有量が25質量%となるように調整した(実施例1〜4、比較例2)。また、鉱油(40℃における動粘度130mm/s)にリチウム石けんを配合し、更に同様の鉱油に溶解した防錆剤を添加してリチウム石けん系グリースを調製した(比較例1)。
【0052】
そして、フッ素系グリースとフッ素系グリース以外のグリースとを等量にて混合し、その後ロールミルを通すことによって試験用混合グリースを得た。尚、試験用混合グリースのちょう度は、表記の通りである。そして、得られた試験用混合グリースを試験軸受に封入し、下記に示す含水耐久試験及び防錆試験を行った。
【0053】
【表1】
Figure 2004190688
【0054】
(含水耐久試験)
内径φ17mm、外径φ40mm、幅12mmの接触ゴムシール付き単列深溝玉軸受「日本精工製6203DD」(図1参照)に試験用混合グリースを空間容積の40%を占めるように封入して試験軸受を作製し、図7に示す試験装置を用いて焼付き寿命を評価した。図示される試験装置は、回転用シャフト60を一対の支持用軸受62,62で支持し、その中間部に試験軸受61を装着し、更に全体を所定温度に維持できるように恒温容器(図示せず)に収容する構成となっている。試験に際し、シャフト60を回転させて試験軸受61を内輪回転速度2000min−1、軸受温度120℃、ラジアル荷重100N、アキシアル荷重100Nの条件で連続回転させた。また、24時間毎に回転を止めて、注射器で0.3mlの水を軸受内部に注入した。そして、異常音の発生、起動不可あるいは起動から1分を経過してモータ電流値が過大となったとき、試験を終了した。結果を表1に併記した。
【0055】
(防錆試験)
内径17mm、外径47mm、幅14mmのゴムシール付き深溝玉軸受に、各試験用混合グリースを空間容積の50%を占めるように封入し、1800min−1で30秒間慣らし回転した。その後、この玉軸受内に、0.5質量%塩水を0.5ml注水し、再び1800min−1で30秒間慣らし回転した。次いで、この玉軸受を80℃、100%RHに保持した恒湿恒温槽内に48時間放置した後分解し、軸受軌道面の錆状況を肉眼で観察した。この防錆試験の錆評価点と錆状況は、以下に示す通りである。
#7:錆なし
#6:しみ錆(しみ状の微少錆)
#5:点錆(φ0.3mm以下)
#4:小錆(φ1.0mm以下)
#3:中錆(φ5.0mm以下)
#2:大錆(φ10.0mm以下)
#1:極大錆(ほぼ全面に錆発生)
尚、#7〜5を良好とし、#4〜1を不良とした。結果を表1に併記した。
【0056】
表1より、本発明に従い、フッ素系グリースとフッ素系グリース以外のグリースとの混合グリースを封入した各実施例の試験軸受は、フッ素系グリース以外のグリースを封入した各比較例の試験軸受と比べて、焼付き寿命が大幅に改善されていることがわかる。また、防錆性能もほぼ同等であるといえる。
【0057】
〔試験−2〕
(試験グリースの調製)
パーフルオロポリエーテル油(40℃における動粘度60mm/s)に、22質量%の割合でポリテトラフルオロエチレン粉末を十分に混合し、更に同様のパーフルオロポリエーテル油に溶解した無機系防錆剤を添加し、三段ロールミルによる混練を行ってフッ素系グリースを調製した。
【0058】
また、フッ素系グリース以外のグリースとして、ジイソシアネートを混合したエーテル油(40℃における動粘度100mm/s)とアミンを混合した同様のエーテル油とを反応させ、攪拌加熱して得られた半固体状物に、予め同様の基油に溶解した金属スルホネート塩からなる防錆剤を加えて十分攪拌を行ってウレア系グリースを調製した。その際、ジウレア化合物の含有量が25質量%となるように調整した。
【0059】
そして、フッ素系グリースとフッ素系グリース以外のグリースとを、両者の混合比を変えて混合し、ロールミルを通すことによって試験用混合グリースを得た。尚、試験用混合グリースのちょう度は285となるように調整した。また、フッ素系グリースの混合比が0のグリースとして、比較例2のグリースを用いた。
【0060】
そして、得られた試験用混合グリースを用いて、試験−1と同様の含水耐久性試験及び防錆試験を行った。結果を図8にグラフにして示すが、フッ素系グリースの混合比が大きくなるほど焼付き寿命が長くなるが、一方で錆びが発生しやすくなる傾向にあり、フッ素系グリースの混合比が20〜80質量%の範囲にある混合グリースを封入することにより、焼付き寿命の改善とともに錆びの発生を抑えることができることが判る。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、燃料電池システムの圧送機に組み込まれる転がり軸受の耐熱性及び耐水性が向上し、またこの転がり軸受を組み込むことにより圧送機、更には燃料電池システムを長寿命化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃料電池用転がり軸受の一例(玉軸受)を示す断面図である。
【図2】本発明の燃料電池システム用圧送機の一例(インペラ型圧送機)を示す断面図である。
【図3】本発明の燃料電池システム用圧送機の他の例(スクロール型圧送機)を示す断面図である。
【図4】本発明の燃料電池システム用圧送機における転がり軸受の装着状態を模式的に示す図である。
【図5】本発明の燃料電池システムの一例(固体高分子電解質型燃料電池)の全体構成を示す図である。
【図6】本発明の燃料電池システムの他の例(水素タンク方式燃料電池)の全体構成を示す図である。
【図7】実施例において、含水耐久試験に用いた試験装置を示す概略構成図である。
【図8】実施例で得られた、フッ素系グリースの配合割合と、焼付時間及び錆評価点との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 固体高分子電解質膜
2 カソード
3 アノード
4 冷却部
5 改質器
6 熱交換器
7 シフトコンバータ
8 CO除去器
9 燃料タンク
10 メタノール蒸発器
11 メタノール供給ライン
12 水タンク
13 蒸気発生器
14 水蒸気ライン
15 加湿器
16 ターボチャージャ
17 コンプレッサ
18 タービン
19 燃焼器
20 燃焼器
21 冷却器
22 カソード排ガスライン
23 気水分離器
24 アノード排ガスライン
25 気水分離器
31 回転軸
32 インペラ
33a,33b 転がり軸受
34 水蒸気吸込み口
35 ハウジング
36 バックプレート
37 加圧ボリュート
38 水蒸気吐出口
39 シーリング部材
40 背面空間
41 間隙
42 バッフル
43 ブッシュ
300 転がり軸受
301 内輪
302 外輪
303 保持器
304 玉
305 シール

Claims (7)

  1. 少なくとも、燃料電池スタック及び各種流体を輸送するための圧送機を具備する燃料電池システムの前記圧送機に組み込まれる燃料電池用転がり軸受であって、
    フッ素油を基油としフッ素樹脂を増ちょう剤とするフッ素系グリースと、フッ素系グリース以外のグリースとの混合グリースを封入したことを特徴とする燃料電池用転がり軸受。
  2. 少なくとも、燃料タンク、燃料蒸発器、改質器、CO除去装置、燃料電池スタック及び各種流体を輸送するための圧送機を具備する燃料電池システムの前記圧送機に組み込まれる燃料電池用転がり軸受であって、
    フッ素油を基油としフッ素樹脂を増ちょう剤とするフッ素系グリースと、フッ素系グリース以外のグリースとの混合グリースを封入したことを特徴とする燃料電池用転がり軸受。
  3. 混合グリースにおいて、フッ素系グリース以外のグリースが金属コンプレックス石けん系及びウレア系グリースの少なくとも一方であり、金属コンプレックス石けん系及びウレア系グリースの少なくとも一方:フッ素系グリース=30〜80:70〜20の混合比(質量比)で、かつ増ちょう剤の総量が該混合グリース全量の15〜35質量%の割合で含有されていることを特徴とする請求項1または2記載の燃料電池用転がり軸受。
  4. フッ素油の40℃における動粘度が20mm/s〜400mm/sであり、かつフッ素系グリース以外のグリースの基油の40℃における動粘度が10mm/〜400mm/sであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の燃料電池用転がり軸受。
  5. 混合グリースが、添加剤を該混合グリース全量の20質量%以下の割合で含有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の燃料電池用転がり軸受。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載の燃料電池用転がり軸受を備えることを特徴とする燃料電池システム用圧送機。
  7. 請求項6に記載の燃料電池システム用圧送機を具備することを特徴とする燃料電池システム。
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