JP2004323586A - グリース組成物及びグリース封入転がり軸受 - Google Patents

グリース組成物及びグリース封入転がり軸受 Download PDF

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Atsushi Oda
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Abstract

【課題】白色組織剥離をより一層抑制できるグリース組成物及びグリース封入転がり軸受を提供する。
【解決手段】基油及び増ちょう剤(好ましくは特定のジウレア化合物)を含み、基油及び増ちょう剤を含み、亜鉛化合物(好ましくはジアルキルジチオリン酸亜鉛、ジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛及び酸化亜鉛から選択)をグリース全量に対して0.1〜10質量%含有するグリース組成物、及び内輪と外輪との間に保持器により複数の転動体を転動自在に保持してなり、かつ前記グリース組成物を充填してシール部材により封止したグリース封入転がり軸受。。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、グリース組成物及びグリース封入転がり軸受に関する。より詳細には、自動車の電装部品、エンジン補機であるオルタネータや中間プーリ、カーエアコン用電磁クラッチ等のような高温高速高荷重条件下で使用される部品、あるいは水ポンプのように水と接触する部品に組み込まれる転がり軸受に適したグリース組成物、並びに前記転がり軸受としてのグリース封入転がり軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車は小型軽量化を目的としたFF車の普及により、更には居住空間拡大の要望により、エンジンルーム空間の減少を余儀なくされ、オルタネータや中間プーリ、カーエアコン用電磁クラッチ、水ポンプ等の電装部品・エンジン補機の小型軽量化がより一層進められており、これらの部品にも高性能化、高出力化が益々求められている。しかし、小型化により出力の低下は避けられず、例えばオルタネータやカーエアコン用電磁クラッチでは高速化することにより出力の低下分を補っており、それに伴ってアイドラプーリも高速化することになる。更に、静粛性向上の要望によりエンジンルームの密閉化が進み、エンジンルーム内の高温化が促進されるため、これらの部品は高温に耐えることも必要となっている。
【0003】
上記のように、これらの部品は、高温、高速、高荷重下で使用されるため、組み込まれる転がり軸受では内外輪と転動体とが高面圧での接触状態となり、その表面に金属の新生面が発生しやすい。金属新生面は活性が高いため、封入グリースが分解して水素が発生し、この水素が軸受鋼中に侵入して水素脆性による白色組織変化剥離(以下、「白色組織剥離」という。)を誘発することがある。
【0004】
また、これらの部品はエンジンルームの下部に取り付けられていることが多いことから、軸受には走行中に路面より跳ね上げられる泥水や雨水などがかかりやすく、更に水ポンプ用軸受ではエンジン冷却用循環水の浸入も受けやすい。軸受に接触ゴムシールを装着することにより水の浸入をある程度抑えることはできるが、完全な浸水防止はできていない状況にある。更に、自動車のエンジンは稼動と休止とを繰り返すため、エンジンが休止しているときに軸受のハウジング内の温度が低下して露点に達すると、周囲の空気中の水分が凝縮して水滴となり、軸受に付着したり、封入しているグリース等の潤滑剤に混入することがある。このような水分によっても、水素が発生することがあり、上記と同様の白色組織剥離が起こる。
【0005】
このような白色組織剥離を抑制するために、封入グリースに亜硝酸ナトリウム等の無機不働態化剤を添加したり(特許文献1参照)、封入グリースにアルカリ性物質を添加して水素イオン指数pHを7〜13の範囲に調整してカソード反応(水素吸着反応)を抑制する(特許文献2参照)、等の対策が講じられている。
【特許文献1】
特許第2878749号公報
【特許文献2】
特開平11−72120号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、自動車の電装部品やエンジン補機等に組み込まれる転がり軸受では、白色組織剥離が新たな重要課題となってきているが、従来の対処法では使用条件等によっては抑制効果が十分に得られないことがある。
【0007】
そこで、本発明は、今後益々高温高速高荷重化が進むことが予測される中で、この白色組織剥離をより一層抑制できるグリース組成物、並びに白色組織剥離の発生がより抑えられ、特に自動車の電装部品やエンジン補機等に好適なグリース封入転がり軸受を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、基油及び増ちょう剤を含み、亜鉛化合物をグリース全量に対して0.1〜10質量%含有することを特徴とするグリース組成物、並びに内輪と外輪との間に保持器により複数の転動体を転動自在に保持してなり、かつ前記グリース組成物を充填してシール部材により封止したことを特徴とするグリース封入転がり軸受を提供する。
【0009】
転がり軸受では、封入グリース中に水分が浸入すると転動体や軌道輪で腐食が起こるが、転動体や軌道輪の表面状態は一様でないため腐食形態としては局部腐食となる。具体的には、転動体や軌道輪の表面の非金属介在物とマトリクス(素地)との界面は引張り応力下で微小な隙間となり、毛細管現象によりこの隙間に水が入り込んで腐食反応が起こる。そして、腐食生成物がこの隙間の入口を塞いで隙間内部は酸素不足となり、腐食反応は水素発生型となる。尚、隙間に引張り応力が負荷されるのは、隙間の近くに転がり接触部が存在するときや、内輪と軸との嵌め合いが締まりばめのときであり、転がり軸受で転動体表面や軌道輪表面の非金属介在物とマトリクスとの界面は必ず引張り応力を受ける。
【0010】
また、隙間内部でアノードとなるのは主に隙間最深部のマトリクスであり、カソードとなるのは炭化物や最深部以外のマトリクスである。そして、アノード部では、
Fe + 2HO → Fe(OH) + 2e + 2H (1)
が起こり、カソード部では、
2H + 2e → 2Hads (2)
2Hads → 2Habs (3)
2Habs → H↑ (4)
が起こる。ここで、Hadsは表面に吸着する水素原子を表し、Habsは内部に吸収される水素原子を表し、H↑は外部にガスとして放出される水素原子を表す。即ち、反応式(3)は表面に吸着された水素原子が内部に拡散されていくことを示す反応式であり、反応式(4)は表面に吸着された水素原子同士が結合して分子(ガス)として外部に放出されることを示す反応式である。
【0011】
上記のカソード反応は、第一ステップとして反応式(2)が、第二ステップとして反応式(3)または反応式(4)が進行する。炭化物上では反応式(3)の進行はほぼ無視でき、反応式(4)が進行する。また、マトリクス上では反応式(3)及び反応式(4)が共に進行する。従って、稼動中の転がり軸受で僅かでも腐食が起こると、水素の吸収反応が起こる。そして、鋼に水素が僅かでも吸収されると、鋼は脆化するため、転がり疲れ強さが大きく低下して白色組織剥離を発生する。
【0012】
以上が水による鋼の転がり疲れ強さの低下のメカニズムであるが、これを抑えるには、反応式(2)の進行を抑制する方法と、隙間が発生しないようにする方法とが考えられる。隙間の発生を抑えるには、複雑な軸受設計が必要であり、また汎用性にも乏しい。そこで、本発明者らは反応式(2)の進行を抑制することに着眼し、封入グリース中に亜鉛化合物を特定量添加することが有効であることを知見した。亜鉛は、鉄や水素よりもイオン化傾向が大きく、下記に示すように水素イオンから水を容易に生成し、反応式(2)の進行を抑制して鋼への水素の吸着を防ぎ、結果として白色組織剥離を防止する。本発明は、このような知見によるものである。
ZnO + 2H → Zn2+ + H
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に関して詳細に説明する。先ず、本発明のグリース組成物について説明する。
【0014】
(グリース組成物)
[基油]
使用される基油は特に制限されず、通常潤滑油の基油として使用される油は全て使用することができる。好ましくは、グリースの低温流動性不足による低温起動時の異音発生や、高温で油膜が形成され難いために起こる焼付きを避けるために、40℃における動粘度が、好ましくは10〜400mm/sec、より好ましくは20〜250mm/sec、さらに好ましくは40〜150mm/secである基油が望ましい。
【0015】
また、基油の種類として具体的には、鉱油系、合成油系または天然油系の潤滑油等が挙げられる。鉱油系潤滑油としては、鉱油を、減圧蒸留、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、硫酸洗浄、白土精製、水素化精製等を適宜組み合わせて精製したものが好ましい。合成油系潤滑油としては、炭化水素系油、芳香族系油、エステル系油、エーテル系油等が挙げられる。炭化水素系油としては、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、ポリブテン、ポリイソブチレン、1−デセンオリゴマー、1−デセンとエチレンコオリゴマー等のポリ−α−オレフィンまたはこれらの水素化物等が挙げられる。芳香族系油としては、モノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼン等のアルキルベンゼン、あるいはモノアルキルナフタレン、ジアルキルナフタレン、ポリアルキルナフタレン等のアルキルナフタレン等が挙げられる。エステル系油としては、ジブチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、ジオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジトリデシルグルタレート、メチル・アセチルシノレート等のジエステル油、あるいはトリオクチルトリメリテート、トリデシルトリメリテート、テトラオクチルピロメリテート等の芳香族エステル油、更にはトリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール−2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールぺラルゴネート等のポリオールエステル油、更にはまた、多価アルコールと二塩基酸・一塩基酸の混合脂肪酸とのオリゴエステルであるコンプレックスエステル油等が挙げられる。エーテル系油としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールモノエーテル、ポリプロピレングリコールモノエーテル等のポリグリコール、あるいはモノアルキルトリフェニルエーテル、アルキルジフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル、ペンタフェニルエーテル、テトラフェニルエーテル、モノアルキルテトラフェニルエーテル、ジアルキルテトラフェニルエーテル等のフェニルエーテル油等が挙げられる。その他の合成潤滑油としては、トリクレジルフォスフェート、シリコーン油、パーフルオロアルキルエーテル等が挙げられる。天然系油系潤滑油としては、牛脂、豚脂、大豆油、菜種油、米ぬか油、ヤシ油、パーム油、パーム核油等の油脂系油またはこれらの水素化物が挙げられる。これらの基油は、単独または混合物として用いることができ、上述した好ましい動粘度に調整される。
【0016】
[増ちょう剤]
増ちょう剤は、ゲル構造を形成し、このゲル構造中に前述した基油を保持する機能を有すれば特に制限はない。具体的には、LiやNa等を含む金属石けん、Li、Na、Ba、Caから選択される複合金属石けん等の金属石けん類、並びにベントン、シリカゲル、ウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、ウレタン化合物等の非石けん類を適宜選択して使用できるが、強固な油膜が得られること、またグリース組成物の耐熱性を考慮すると、ウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、ウレタン化合物及びこれらの混合物が望ましい。ウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、ウレタン化合物の具体例としては、ジウレア化合物、トリウレア化合物、テトラウレア化合物、ポリウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、ジウレタン化合物及びこれらの混合物が挙げられる。特にジウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、ジウレタン化合物及びこれらの混合物が好ましく、特にジウレア化合物を配合することが好ましい。
【0017】
更に高温安定性を良好にするためには、増ちょう剤として下記一般式(1)〜(3)式で表されるジウレア化合物を用いることが好ましい。これらのジウレア化合物は特に耐熱性に優れ、180℃近い高温でも使用することができる。
【0018】
【化2】
Figure 2004323586
【0019】
式中、Rは炭素数7〜12の芳香族環含有炭化水素基、Rは炭素数6〜15の2価の芳香族環含有炭化水素基、Rは炭素数8〜20のアルキル基をそれぞれ示す。
【0020】
また、一般式(1)〜(3)で表されるジウレア化合物は、[Rのモル数/(Rのモル数+Rのモル数)]値が0.5〜1.0となるように、好ましくは0.6〜1.0となるように混合される。これらジウレア化合物の配合量は、グリースの混和ちょう度がNLGI No.1〜3が好ましいことから、グリース組成物全量に対して10〜30質量%の割合で配合される。この配合量が10質量%未満ではグリース組成物が軟らかすぎて高温でのグリース漏れ等が懸念され、30質量%を超えるとグリース組成物が硬すぎてトルクむらや低温時の異音発生の原因となる。
【0021】
[亜鉛化合物]
亜鉛化合物は、分子中に亜鉛元素が含まれていれば全て使用できるが、ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)、ジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnDTC)及び酸化亜鉛の少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0022】
また、亜鉛化合物は、グリース全量に対して0.1〜10質量%配合されることが好ましい。配合量が0.1質量%未満では白色組織剥離を防止する効果が得られず、10質量%を超える場合は効果の増分が見られず不経済となることに加え、潤滑に寄与する基油量が少なくなり耐焼付き性に劣るようになる。白色組織剥離の抑制効果及び耐焼付き性能の両方を良好に確保するには、亜鉛化合物の配合量はグリース全量の0.5〜5質量%がより好ましい。
【0023】
[その他の添加剤]
上記のグリース組成物には、更に各種性能を高めるために、必要に応じて公知の添加剤を添加することができる。添加剤として例えば、金属石けん、ベントン、シリカゲル等のゲル化剤;アミン系、フェノール系、イオウ系等の酸化防止剤;塩素系、イオウ系、リン系、有機モリブデン等の極圧剤;脂肪酸、動植物油等の油性剤;石油スルフォネート、ジノニルナフタレンスルフォネート、カルボン酸、カルボン酸塩、ソルビタンエステル等の錆止め剤;ポリメタクリレート、ポリイソブチレン、ポリスチレン等の粘度指数向上剤等が挙げられる。
【0024】
これらの添加剤は単独もしくは複数種を組み合わせて使用することができ、また、その添加量は本発明の所期の目的を損なわない範囲であれば制限されるものではないが、通常グリース組成物全量に対して20質量%以下添加することができる。
【0025】
[製法]
上記のグリース組成物を調製する方法には特に制限はないが、一般的には基油中で増ちょう剤を反応させて得られる。尚、加熱時間や攪拌・混合時間等の製造条件は、使用する基油や増ちょう剤、亜鉛化合物、その他の添加剤等により適宜設定される。また、亜鉛化合物やその他の添加剤を添加した後に十分攪拌して均一に分散させる必要があるが、このときに加熱することも有効である。
【0026】
(転がり軸受)
本発明は、上記のグリース組成物を封入した転がり軸受を提供する。但し、軸受の構造自体は制限されるものではなく、例えば図1に断面図として示される玉軸受1を例示することができる。この玉軸受1は、内輪10と外輪11との間に、保持器12を介して複数の転動体である玉13を転動自在に保持し、更に、内輪10と外輪11と玉13とで形成される軸受空間Sに、上記のグリース組成物(図示せず)を充填し、シール部材14により封止して構成されている。シール部材14は、接触シール、非接触シール、シールド等が挙げられるが、高温でのグリース漏れ対策が要求されるときは接触ゴムシールが用いられる。
【0027】
このように構成される本発明のグリース封入転がり軸受は、封入したグリース組成物の白色組織剥離の抑制作用により、高温、高速、高荷重下で使用される部品用として好適となる。
【0028】
【実施例】
以下に実施例を挙げて更に具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
【0029】
(グリースAの調製)
第1の容器にポリα−オレフィンの半量とp−トルイジンとを入れ、70〜80℃に加温した。第2の容器にポリα−オレフィンの半量とジフェニルメタンジイソシアネートとを入れ、70〜80℃に加温し、内容物を第1の容器に加えて攪拌した。反応熱のため反応物の温度は上昇するが、約30分間この状態で攪拌を続け、反応を十分に行った後、昇温して170〜180℃で30分間保持し、冷却した。その後、酸化亜鉛(ZnO)を0.05〜12質量%となるように添加し、十分混練した後、ロールミルを通すことでグリースを得た。尚、何れのグリースも混和ちょう度をNLGI No.2に調整した。
【0030】
(グリースBの調製)
第1の容器にアルキルジフェニルエーテル油の半量及び、オクチルアミンとp−トルイジンとを等モルずつ入れ、70〜80℃に加温した。第2の容器にアルキルジフェニルエーテル油の半量とジフェニルメタンジイソシアネートとを入れ、70〜80℃に加温し、内容物を第1の容器に加えて攪拌した。反応熱のため反応物の温度は上昇するが、約30分間この状態で攪拌を続け、反応を十分に行った後、昇温して170〜180℃で30分間保持し、冷却した。その後、ZnDTPを0.05〜12質量%となるように添加し、十分混練した後、ロールミルを通すことでグリースを得た。尚、何れのグリースも混和ちょう度をNLGINo.2に調整した。
【0031】
上記のグリースA及びグリースBの配合を表1にまとめて示す。また、グリースA及びグリースBを、下記に示す白色組織剥離試験及び焼付き寿命試験に供した。
【0032】
【表1】
Figure 2004323586
【0033】
(白色組織剥離試験)
図1に示す構造を有し、内径φ12mm、外径φ37mm、幅12mmの接触ゴムシール付き深溝玉軸受に、グリースAを0.95g封入して試験軸受とした。そして、図2に示す試験装置を用いて試験軸受の剥離発生確率を求めた。図示される試験装置は、試験軸受31の内輪32をシャフト33の端部に嵌合させてナット34で固定し、プーリ35を介してエンジン(図示せず)からの回転を伝達される構成となっている。試験は、外輪回転速度1000〜7000min−1の繰り返し、室温、プーリ荷重1200Nの条件で試験軸受31を連続回転させ、500時間を目標に行った。また、軸受内輪転走面に剥離が生じて振動が発生したとき、試験を終了した。試験は各10例行い、下記式により剥離発生確率を算出した。
剥離発生確率=(剥離発生数/試験数)×100
【0034】
また、同様の白色組織剥離試験を、グリースBを封入した試験軸受についても行った。
【0035】
(焼付き寿命試験)
図1に示す構造を有し、内径φ17mm、外径φ52mm、幅16mmの接触ゴムシール付き深溝玉軸受に、グリースAを2.3g封入して試験軸受とした。そして、図3に示す試験装置を用いて試験軸受の焼付き寿命を評価した。図示される試験装置は、回転用シャフト20を一対の支持用軸受22,22で支持し、その中間部に試験軸受21を装着し、更に全体を所定温度に維持できるように恒温容器(図示せず)に収容する構成となっている。試験は、シャフト20を回転させて試験軸受21を内輪回転速度20000min−1、軸受外輪温度170℃、ラジアル荷重98Nの条件で連続回転させ、焼付きが生じて軸受外輪温度が180℃以上に上昇したときに試験を終了し、それまでの時間を測定した。試験は各4例行い、平均時間が1000時間以上を合格とした。
【0036】
また、同様の焼付き寿命試験を、グリースBを封入した試験軸受についても行った。
【0037】
上記のグリースAを用いた(1)白色組織剥離及び(2)焼付き寿命試験の結果を図4に、グリースBを用いた(1)白色組織剥離及び(2)焼付き寿命試験の結果を図5にそれぞれグラフ化して示す。図4から、酸化亜鉛の添加量が0.1〜10質量%の範囲であれば、白色組織剥離の発生が少なく、また焼付き寿命も1000時間を越えて良好であることがわかる。特に、酸化亜鉛の添加量が0.5〜5質量%の範囲で焼付き寿命が1200時間以上と更に良好な結果が得られている。また、図5から、ZnDTPの添加量が0.1〜10質量%の範囲で白色組織剥離の発生が少なく、焼付き寿命も1000時間を越えて良好であり、特にZnDTPの添加量が0.5〜5質量%の範囲で焼付き寿命が1200時間以上と更に良好な結果が得られている。これらのことから、亜鉛化合物の添加量はグリース全量に対して0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%が特に好ましいことがわかる。
【0038】
(グリースCの調製)
第1の容器にアルキルジフェニルエーテル油の半量及び、オクチルアミンとp−トルイジンとを配合比を変えて入れ、70〜80℃に加温した。第2の容器にアルキルジフェニルエーテル油の半量とジフェニルメタンジイソシアネートとを入れ、70〜80℃に加温し、内容物を第1の容器に加えて攪拌した。反応熱のため反応物の温度は上昇するが、約30分間この状態で攪拌を続け、反応を十分に行った後、昇温して170〜180℃で30分間保持し、冷却した。その後、何れのグリースにもZnDTPを0.1質量%の割合で添加し、十分混練した後、ロールミルを通すことでグリースを得た。尚、何れのグリースも混和ちょう度をNLGI No.2に調整した。
【0039】
そして、各グリースを用いて上記の(2)焼付き寿命試験を行った。結果を図6にグラフ化して示すが、ジウレア化合物における [Rのモル数/(Rのモル数+Rのモル数)]値が0.50〜1.0の範囲であれば、焼付き寿命が1000時間以上と良好になることがわかる。特に前記値が0.6〜1.0の範囲では焼付き寿命が1200時間以上と更に良好な結果が得られている。このことから、ジウレア化合物における[Rのモル数/(Rのモル数+Rのモル数)]値は0.5〜1.0、好ましくは0.6〜1.0であるといえる。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、グリース封入転がり軸受の白色組織剥離の抑制効果及び高温焼付き性を従来に比べて格段に改善でき、特にオルタネータやカーエアコン用電磁クラッチ、中間プーリ、電動ファンモータ、水ポンプ等の自動車用電装部品、エンジン補機用の転がり軸受に好適に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の転がり軸受の一実施形態を示す断面図である。
【図2】実施例において、白色組剥離試験に用いた試験装置を示す概略断面図である。
【図3】実施例において、高温焼付き寿命試験に用いた試験装置を示す概略断面図である。
【図4】実施例で得られた、ZnOの添加量と、剥離発生確率または焼付き寿命時間との関係を示すグラフである。
【図5】実施例で得られた、ZnDTPの添加量と、剥離発生確率または焼付き寿命時間との関係を示すグラフである。
【図6】実施例でえられた、ジウレア化合物の[Rのモル数/(Rのモル数+Rのモル数)]値と焼付き寿命時間との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 玉軸受
10 内輪
11 外輪
12 保持器
13 玉
14 シール

Claims (4)

  1. 基油及び増ちょう剤を含み、亜鉛化合物をグリース全量に対して0.1〜10質量%含有することを特徴とするグリース組成物。
  2. 前記亜鉛化合物が、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、ジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛及び酸化亜鉛から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載のグリース組成物。
  3. 前記増ちょう剤として、下記一般式(1)〜(3)で表されるジウレア化合物を、[Rのモル数/(Rのモル数+Rのモル数)]値が0.50〜1.0となるようにグリース全量に対して10〜30質量%配合したことを特徴とする請求項1または2記載のグリース組成物。
    Figure 2004323586
    (式中、Rは炭素数7〜12の芳香族環含有炭化水素基、Rは炭素数6〜15の2価の芳香族環含有炭化水素基、Rは炭素数8〜20のアルキル基を示す。)
  4. 内輪と外輪との間に保持器により複数の転動体を転動自在に保持してなり、かつ請求項1〜3の何れか1項に記載のグリース組成物を充填してシール部材により封止したことを特徴とするグリース封入転がり軸受。
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