JP2004263836A - 電動コンプレッサ用転がり軸受 - Google Patents

電動コンプレッサ用転がり軸受 Download PDF

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功哲 傳寳
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雅彦 山崎
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Abstract

【課題】耐熱性に優れるとともに、帯電防止や電食防止を図った電動コンプレッサ用転がり軸受を提供する。
【解決手段】回転軸と、回転軸の回転により容積が変化する圧縮空間を有する圧縮部と、回転軸を回転させる駆動源とを備える電動コンプレッサの前記回転軸を支持する転がり軸受であって、内周面に外輪軌道を有する外側軌道輪と、外周面に内輪軌道を有する内側軌道輪と、外輪軌道と内輪軌道との間に転動自在に設けた複数個の転動体と、転動体を転動自在に保持する保持器とを備え、外輪軌道と内輪軌道との間の空間内に、基油と、増ちょう剤と、導電性物質とを必須成分とする導電性グリースを封入した電動コンプレッサ用転がり軸受。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、回転軸と、回転軸の回転により容積が変化する圧縮空間を有する圧縮部と、回転軸を回転させる駆動源とを備える電動コンプレッサの前記回転軸を支持するための転がり軸受に関し、特に内燃機関と電動モータとにより前記回転軸を回転する所謂ハイブリッドコンプレッサ用として好適な転がり軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、車輌用の空気調整装置においては、エンジンからの動力により冷房サイクルの圧縮機を作動し、冷却媒体を冷房サイクル内で循環させて冷房運転を行うようにしている。この圧縮機は、駆動源であるエンジンとベルト及び電磁クラッチ等を介して連結されており、エンジンの出力軸の回転に伴って回転されるようになっている。そして、車室内の冷房負荷が減少して、冷房サイクルを構成するエバポレータの吹き出し出口温度が所定温度以下になると、エンジンと圧縮機とを連結している電磁クラッチを手動又は自動的に(オフ)状態とし、その回転を一時的に停止するようにしている。圧縮機への動力の伝達は、電磁クラッチの断続により行われるようになっているが、これはエンジンの回転が前提であり、エンジンが停止すると電磁クラッチの断続状態と無関係に、圧縮機が停止され、冷房サイクル運転も停止されてしまう。
【0003】
しかし、エンジンの停止中であっても、冷房サイクルの運転を行い、冷房状態を継続しなければならない場合もある。例えば、活魚運搬車ではカーフェリーによる搬送中も冷却状態を維持する必要がある。このような問題に対処するため、エンジンと、バッテリにより駆動される電動モータとの2つの駆動源で駆動されるハイブリッドコンプレッサが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。このハイブリッドコンプレッサは、圧縮部の回転軸のフロント側端部に電動モータの出力軸を連結し、エンジンの動力が伝達されるプーリと電動モータの出力軸との間にプーリの回転を選択的に圧縮部の回転軸に伝達する電磁クラッチが設けられており、電磁クラッチをオンすることによりエンジンの動力により圧縮部を駆動するとともに電動モータの出力軸及びロータを連れ回りさせてバッテリに充電し、電磁クラッチをオフすることによりバッテリから給電されて電動モータを回転して圧縮部を駆動する。
【特許文献1】
実開平6−87678号公報
【特許文献2】
特開2000−54956号公報
【特許文献3】
特開2002−48060号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
車輌用の圧縮機は、駆動源であるエンジンの近傍に配置される場合が多く、また静粛性の要求からエンジンルームは密閉度が高くなっていることから、電動モータは圧縮機の運転に伴う自己発熱やエンジンからの放熱により高温に晒されている。そのため、電動モータの回転軸を支持する転がり軸受に封入されているグリースには、潤滑性とともに耐熱性が要求される。更に、ハイブリッドコンプレッサでは、装置のコンパクト化の要求に対応すべく電磁クラッチ、圧縮機、電動モータが直列に連結して一体化した構造を採っている場合が多く、更に空調制御の高まりにより電磁クラッチのオン・オフの切り替えが頻繁に行われるようになっていることから、転がり軸受は帯電防止や、電磁クラッチのコイルから流れる電流による電食の防止も考慮しなければならない。
【0005】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、耐熱性に優れるとともに、帯電防止や電食防止を図った電動コンプレッサ用転がり軸受を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は、回転軸と、回転軸の回転により容積が変化する圧縮空間を有する圧縮部と、回転軸を回転させる駆動源とを備える電動コンプレッサの前記回転軸を支持する転がり軸受であって、内周面に外輪軌道を有する外側軌道輪と、外周面に内輪軌道を有する内側軌道輪と、外輪軌道と内輪軌道との間に転動自在に設けた複数個の転動体と、転動体を転動自在に保持する保持器とを備え、外輪軌道と内輪軌道との間の空間内に、基油と、増ちょう剤と、導電性物質とを必須成分とする導電性グリースを封入したことを特徴とする電動コンプレッサ用転がり軸受を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の電動コンプレッサ用転がり軸受(以下、単に「転がり軸受」ともいう)に関して図面を参照して詳細に説明する。
【0008】
本発明は電動コンプレッサの回転軸を支持する転がり軸受であるが、その構成には制限がなく、例えば図1に示すような玉軸受を例示することができる。図示される玉軸受300は、内輪301と外輪302との間に保持器303を介して複数の転動体である玉304を略等間隔で回動自在に保持してなり、本発明においては更に内輪301、外輪302及び玉304で形成される空所Sに、下記のグリース(図示せず)を所定量充填し、シール部材305で封止して構成されている。尚、グリースの封入量は、従来と同様に、軸受空間容積の5〜50容積%の範囲で使用条件に応じて選定する。
【0009】
グリースは、基油と増ちょう剤の他に、導電性物質を含有する。この導電性物質によりグリースに導電性が付与され、帯電や電食が抑制される。以下に基油、増ちょう剤及び導電性部物質の好ましい例を示す。
【0010】
〔基油〕
基油は、合成炭化水素油、エステル油、エーテル油、フッ素油が好ましい。それぞれ好ましい具体例を挙げると、合成炭化水素油としてノルマルパラフィン、イソパラフィン、ポリブテン、ポリイソブチレン、1−デセンオリゴマー、1−デセンとエチレンコオリゴマー等のポリ−α−オレフィンまたはこれらの水素化物等が挙げられる。また、エステル油としてジブチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、ジオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジトリデシルグルタレート、メチル・アセチルシノレート等のジエステル油、トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンぺラルゴネート、ペンタエリスリトル−2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネート等のポリオールエステル油、あるいはこれらのコンプレックスエステル油等が挙げられる。エーテル油としては、ジアルキルジフェニルエーテル、アルキルトリフェニルエーテル、アルキルテトラフェニルエーテル等が挙げられる。フッ素油としては、パーフルオロポリエーテル油、クロロパーフルオロエーテル油等が挙げられる。これらは単独でも、複数種を適宜組み合わせて使用してもよい。中でも、高温、高速での潤滑性能及び潤滑寿命を考慮すると、エステル油、エーテル油の使用が好ましく、雰囲気の水分濃度が高い場合には撥水効果の大きいポリ−αオレフィン系合成炭化水素油を含有することが好ましい。更に、基油には、必要に応じて鉱油を配合してもよく、パラフィン系鉱油やナフテン系鉱油を用いることができる。尚、鉱油は減圧蒸留、油剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、硫酸洗浄、白土精製、水素化精製等を適宜組み合わせて精製したものを用いることが好ましい。
【0011】
また、基油の動粘度は、グリースの低温流動性不足や、高温で油膜が形成され難いために起こる焼付きを避けるために、40℃における動粘度で20〜400mm/sであることが好ましく、上記の潤滑油を適宜組み合わせてこの範囲の動粘度となるように調製する。
【0012】
〔増ちょう剤〕
基油を保持する能力があれば、特に制約はないが、導電性能を重視する場合は金属石けんを用いることが好ましく、更に耐熱性を兼備することから金属複合石けんが特に好ましい。金属複合石けんは、ステアリン酸リチウムや12−ヒドロキシステアリン酸の金属塩(リチウム、バリウム、カルシウム、アルミニウム等)と複合化剤との共晶によって形成された金属石けんである。複合化剤としては二塩基酸またはそのエステルの他にリン酸またはホウ酸、サルチル酸のような芳香族酸のリチウム塩があるが、二塩基酸を用いたグリースが一般的である。二塩基酸としてはアジピン酸、スペリン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等が挙げられる。
【0013】
耐熱性の面ではウレア化合物も好適であり、ジウレア、トリウレア、テトラウレア、ポリウレアが挙げられるが、イソシアネートの末端基として芳香族系炭化水素、脂環族系炭化水素、脂肪族系炭化水素主体のジウレア化合物が特に好適である。また、このウレア化合物は耐水性にも優れるという利点も有する。その他の増ちょう剤として、ポリテトラフルロエチレン(PTFE)も使用できる。
【0014】
また、増ちょう剤の含有量は、基油の保持と、導電性物質の分散性とを同時に満足するために、グリース全量に対して35質量%以下、好ましくは5〜25質量%とする。増ちょう剤が5質量%未満になるとグリースが軟らかすぎてグリース漏れを起こすようになり、35質量%を超えるとグリースが硬すぎて適当なちょう度が得られない。尚、ちょう度としては200〜350が好ましい。
【0015】
〔導電性物質〕
グリースに導電性を付与できる物質であれば制限されるものではないが、導電性カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックは、その製造方法や形態からファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等に分類されるが、本発明ではこれらの種類に関わらず使用できる。中でも、平均粒子径が2μm以下のものが好ましい。平均粒子径が2μmを上回る大径粒子は、グリース中で異物として作用して好ましくない。また、市販されている導電性カーボンブラックは概ね一次平均粒子径が100nmを下回っているため、市販品をそのまま使用することができる。更には、比表面積が大きく、中空構造(ポーラス構造)を有し、適度なチェーン構造を有するものが好ましく、このような導電性カーボンブラックは基油がポーラス内部に入り込んで機械的強度が増し、親油性が高いため過度の油分離や硬化を抑制できる。同様の中空構造を有することから、カーボンナノチューブやフラーレン等も用いることができる。
【0016】
導電性カーボンブラック以外では、金、銀、銅、錫、亜鉛、アルミニウム等の金属粒子や、酸化銀、硫化ニオブ、硝酸銀等の金属化合物粒子等も使用できる。
【0017】
従来の導電性グリースの中には導電性物質(主にカーボンブラック)のみで増ちょうしているものがあるが、油の保持性に劣り、しかも導電性物質の偏在化が起こりやすい。これに対し本発明で用いる導電性グリースは、上記した金属複合石けんやウレア化合物を共存させることにより導電性物質を安定に分散させることが可能となる。そのため、導電性の確保とともに、偏在化を抑えるために、導電性物質の含有量はグリース全量の1〜20質量%が好ましく、2〜10質量%が特に好ましい。導電性物質が1質量%未満では十分な導電性を付与できず、20質量%を超える場合はグリース硬化が大きくなり過ぎて軸受の焼付き寿命が短くなる。
【0018】
〔添加剤〕
上記の導電性グリースには、潤滑性能の更なる向上や他の特性を付与するために、種々の添加剤を添加できる。中でも、車輌用の電動コンプレッサは水と接触する機会もあることから、防錆性を付与する添加剤が好ましい。また、導電性物質の顕在化をより抑えるために、分散性を高める添加剤が好ましい。このような観点から、本発明では上記の導電性グリースに防錆剤、金属不活性化剤、油性剤、酸化防止剤、極圧剤、摩耗防止剤、平均粒径2μm以下の固体添加剤を単独で、あるいは適宜組み合わせて添加することが好ましい。以下にぞれぞれの好ましい具体例を示す。また、添加量は合計でグリース全量の20質量%以下、特に1〜8質量%とすることが好ましく、1質量%未満では添加剤の効果が発現せず、20質量%を超える場合はグリース硬化が過大になる。
【0019】
(防錆剤・金属不活性化剤)
防錆剤としては、スルホン酸やカルボン酸の金属塩系、エステル系、アミン系、界面活性剤系の各防錆剤が好適である。具体的には、有機スルホン酸のアンモニウム塩、バリウム、亜鉛、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の有機スルホン酸塩及び有機カルボン酸塩、フェネート、ホスフェート、アルキルもしくはアルケニルこはく酸エステル等のアルキルまたはアルケニルこはく酸誘導体、ソルビタンモノオレエート等の多価アルコールの部分エステル、オレオイルザルコシン等のヒドロキシ脂肪酸類、1−メルカプトステアリン酸等のメルカプト脂肪酸類あるいはその金属塩、ステアリン酸等の高級脂肪酸類及びそのエステル、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール等のチアゾール類、ベンズイミダゾール等のイミダゾール類、ジスルフィド系化合物、トリスノニルフェニルフォスファイト等のリン酸エステル類、ジラウリルチオプロピオネート等のチオカルボン酸エステル系化合物、亜硝酸塩等を使用することができる。また、金属不活性化剤としては、ベンズトリアゾール等のトリアゾール系化合物が好適である。
【0020】
また、導電性グリースがフッ素系の場合には、酸化マグネシウムや酸化チタン等の無機化合物やベンズトリアゾール系防錆剤、あるいはパーフルオロアルキル構造、パーフルオロエーテル構造、パーフルオロポリエーテル構造を有し、その末端官能基をアルコール変性、カルボキシル変性、イソシアネート変性したフッ素系防錆剤等が好適である。
【0021】
(油性剤)
オレイン酸やステアリン酸等の脂肪酸、オレイルアルコール等の脂肪酸アルコール、ポリオキシエチレンステアリン酸エステルの脂肪酸エステル、リン酸、トリクレジルホスフェート、ラウリル酸エステルやポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸等のリン酸エステル等が好適である。また、導電性グリースがフッ素系の場合には、上記の防錆剤・金属不活性化剤に挙げたフッ素系化合物を使用することができる。
【0022】
(酸化防止剤)
脂肪族アミン、フェノール系、芳香族アミン等のアミン系化合物が好適である。
【0023】
(極圧剤・摩耗防止剤)
亜鉛、モリブデン、テルル、アンチモン、セレン、鉄、銅等のジチオカルバミン酸塩、亜鉛、モリブデン、アンチモン等のジチオリン酸塩、オクチル酸鉄、ナフテン酸銅、ジブチルスズサルファイド、フェネート、ホスフェート等の有機金属化合物が好適である。また、ベンジルジスルフィドやポリスルフィド、硫化油脂、チオウレア系化合物、チオカーボネート類等の硫黄系化合物も使用できる。
【0024】
(固体添加剤)
塩素化パラフィン等のハロゲン系極圧剤、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、グラファイト、PTFE、窒化ホウ素等の窒化物、酸化マグネシウム等の金属酸化物等からなる固体潤滑剤が好適であり、剥離防止に効果がある。但し、何れの固体添加剤も平均粒径2μm以下の微粒子である必要がある。平均粒子径が2μmを超える大径粒子は、グリース中で異物として作用し、軸受音響を悪化させるようになる。
【0025】
上記の如く構成される導電性グリースは、潤滑性能に加えて導電性にも優れており、これを封入した電動コンプレサ用転がり軸受は、帯電や電食を効果的に抑えることができる。以下に、本発明の電動コンプレッサ用転がり軸受を各種の電動コンプレッサに適用した例を示す。
【0026】
〔スクロール型コンプレッサ〕
図2に示されるスクロール型コンプレッサ140は、固定スクロール111と旋回スクロール112とからなる圧縮機構部110と、モータ主軸122に対して偏心して設けられたクランクピン122aにより旋回スクロール112を旋回させるクランク機構部150と、モータ主軸122を回転させる駆動モータ部120とからなる。
【0027】
クランク機構部150は、旋回スクロール112に旋回運動を行わせる駆動クランク機構151、及び旋回スクロール112の自転を防止する従動クランク機構152で構成されている。従動クランク機構152は、旋回スクロール112に設けられた凹状保持部112cと、従動クランク軸153のクランクピン153a及びクランクピン153aを旋回スクロール112に対して回転自在とする上記の転がり軸受154とからなる。従動クランク軸153は、クランクピン153aとは反対側を上記の転がり軸受155を介してモータハウジング101に回転自在に支持されている。また、従動クランク軸153にはバランスウェイト153bが設けられており、バランスウェイト153bによって、旋回スクロール112の旋回時に生じる慣性モーメントを打ち消され、振動の低減が図られている。
【0028】
固定スクロール111は、円盤状に形成された固定基盤111aと、この固定基盤111aから立設した渦巻状の旋回渦巻部111cと、この旋回渦巻部111cを覆う外周壁111bとからなる。旋回スクロール112は、円盤状の旋回基盤112bと、この旋回基盤112bから立設した渦巻状の旋回渦巻部112aとからなる。旋回基盤112bのリア側中央には有底円筒状の凹状部112cが設けられている。固定基盤111aにおける図中上下方向略中央には、固定スクロール111及び旋回スクロール112間で圧縮された空気等の吐出口114が設けられている。
【0029】
凹状部112cをハウジングとして、針状ころ軸受133が凹状部112cの内周側に挿入されている。この針状ころ軸受133は、モータ主軸122のクランクピン122aを回転軸として、旋回スクロール112を回転自在に支えている。
【0030】
駆動モータ部120において、駆動モータ121は、モータ主軸122に嵌め合わされたロータ123と、ロータ123の外周側に設けられてコイル124を巻回されたステータ125とを、モータハウジング101内に備えてなる。モータ主軸122は、モータハウジング101に上記の転がり軸受102を介して回転自在に支持されるとともに、リア側(図中右側)の端部を上記の転がり軸受103を介してリアハウジング104に回転自在に支持され、シール部材107で密封されている。また、モータ主軸122には、バランスウェイト122bが設けられており、バランスウェイト122bによって、旋回スクロール112の旋回時に生じる慣性モーメントを打ち消され、振動低減が図られている。
【0031】
上記の如く概略構成されるスクロール型コンプレッサ140では、駆動モータ121に電力が供給されると、モータ主軸122が回転し、その回転が駆動クランク機構130を介して旋回スクロール112に伝達される。旋回スクロール112は、モータ主軸122の回転に伴って、固定スクロール111と噛み合いつつ旋回し、図示しない吸入口から固定スクロール111との間に気体を吸入するとともに、固定スクロール111との間で圧縮させる。その後、圧縮された気体を吐出口114から吐出させる。
【0032】
〔インペラ型コンプレッサ〕
図3に示すインペラ型コンプレッサは、電動モータ(図示せず)に直結する回転軸31にインペラ32が取り付けられており、この回転軸31が上記の転がり軸受33a、33bで支持されている。そして、回転軸31の高速回転に伴ってインペラ32が高速回転すると、気体吸込み口34から吸込まれた気体がインペラ32の遠心力で加圧され、ハウジング35とバックプレート36とで形成された加圧ボリュート37を通って水蒸気吐出口38から圧送される。また、このインペラ型コンプレッサでは、シーリング部材39のシール性が低下してくると、気体がインペラ32の背面の背面空間40から回転軸31とシーリング部材39との間隙41を通って転がり軸受33a、33bに達するため、これを防ぐためのバッフル42とブッシュ43とが回転軸31に付設されている。
【0033】
〔斜板型コンプレッサ〕
斜板型コンプレッサは図4に示す両斜板タイプと、図5に示す片者板タイプとに大別される。図4は両斜板式コンプレッサ160を示すが、両面傾斜板171の回転に伴う両頭ピストン172の往復動で気体を圧縮する圧縮機構部170と、駆動モータ181のモータ主軸182の回転により圧縮機構部170を駆動する駆動モータ部180とを備える。
【0034】
圧縮機構部170において、両頭ピストン172は、シリンダブロック161のクランク室163内にモータ主軸182の軸方向に沿って往復動可能に設けられており、両面傾斜板171にシュー173を介して連結されている。また両面傾斜板171は、モータ主軸182の外周面に、モータ主軸182と一体回転可能に挿着されており、シリンダブロック161内に設けられた支持部材162に、スラスト軸受174を介して回転自在に支持されている。
【0035】
駆動モータ部180において、駆動モータ181は、モータ主軸182に嵌入されたロータ183と、ロータ183の外周側に設けられ、コイル184を巻回されたステータ185とを、モータハウジング186内に備えている。
【0036】
モータ主軸182は、軸方向略中央より図中左側を左右一対の上記の転がり軸受187を介してモータハウジング186に回転自在に支持されるとともに、軸方向略中央より図中右側を左右一対の上記の転がり軸受175を介して支持部材162に回転自在に支持されている。
【0037】
上記の如く構成される両斜板型コンプレッサ160では、駆動モータ181に電力が供給されると、モータ主軸182が回転し、その回転が両面傾斜板171及びシュー173を介して両頭ピストン172に伝達される。両頭ピストン172は、モータ主軸182の回転に伴ってクランク室163内で軸方向に沿って往復動することにより、気体を吸入・圧縮して吐出させる。
【0038】
また、図5に示される片斜板型コンプレッサ190は、片面傾斜板171aに連動するロッド176を通じてピストン177が移動する構成となっており、その他の構成部位、例えば、モータ主軸182の支持構造や、モータ駆動部180等は、図4に示した両斜板型コンプレッサ160と同様であり、同一の部位には同一の符号を付して説明は省略する。
【0039】
〔スクリュー型コンプレッサ〕
図6に示すスクリュー型コンプレッサ220は、主ロータ201と副ロータ202とを噛み合わせて回転させることで気体を圧縮する圧縮機構部200と、駆動モータ181のモータ主軸182の回転により圧縮機構部200を駆動する駆動モータ部180とを備える。なお、駆動モータ部180については、図4に示した両斜板式コンプレッサ160と同様であり、同一の符号を付して説明を省略する。
【0040】
圧縮機構部200において、主ロータ201及び副ロータ202はそれぞれ、対応する螺旋状に形成されて互いに噛み合わせることで協働して回転可能な構成である。主ロータ201は、図中左側の回転軸201aを左右一対の上記の転がり軸受203を介してハウジング207に回転自在に支持されるとともに、図中右側の回転軸201aを上記の転がり軸受204を介してハウジングに回転自在に支持されている。また、副ロータ202は、図中左側の回転軸202aを図中左右一対の上記の転がり軸受205を介してハウジング207に回転自在に支持されるとともに、図中右側の回転軸202aを上記の転がり軸受206を介してハウジング207に回転自在に支持されている。
【0041】
また、主ロータ201の回転軸201aにおいて、転がり軸受203,204に対して軸方向内側には、ハウジング207との間にシール部材208が介在されている。副ロータ202の回転軸202aにおいて、転がり軸受205,206より軸方向内側には、ハウジング207との間にシール部材209が介在されている。
【0042】
主ロータ201及び副ロータ202は、図中左側の回転軸201a,202aにそれぞれ設けられた連結ギア210を介して連動される。主ロータ201の図中左側の回転軸201aの左端部には、被駆動ギア211が設けられており、被駆動ギア211は、駆動モータ181のモータ主軸182に嵌合された駆動軸188の駆動ギア189に噛合されている。従って、主ロータ201は、モータ主軸182の回転を、駆動軸188、駆動ギア189及び被駆動ギア211を介して伝達される。主ロータ201の回転は、連結ギア210を介して副ロータ202に伝達される。
【0043】
また、駆動軸188は、左右一対の上記の転がり軸受212を介してハウジング213に回転自在に支持されている。駆動軸188とハウジング213との間には、シール部材214が介在されている。
【0044】
上記の如く構成されるスクリュー型コンプレッサ220では、駆動モータ181に電力が供給されると、モータ主軸182が回転し、その回転が駆動軸188、駆動ギア189、被駆動ギア211を介して主ロータ201の回転軸201aに伝達される。同時に、主ロータ201の回転軸201aから連結ギア210を介して副ロータ202の回転軸202aに伝達される。主ロータ201及び副ロータ202は、噛み合い回転することにより、気体を吸入・圧縮して吐出させる。
【0045】
〔ハイブリッドコンプレッサ〕
ハイブリッドコンプレッサは図7に示すように、コンプレッサ401と、このコンプレッサ401の回転軸410に装着され、エンジン403からの動力を断接する電磁クラッチ402と、コンプレッサ401のリヤ側端部に連結された電動モータ404とにより構成されている。電動モータ404は直流電源(バッテリ)405により駆動されるようになっている。バッテリ405と電動モータ404はリード線406により接続され、リード線406にはスイッチ407が設けられ電動モータ404のオン・オフを行うようになっている。
【0046】
制御装置450は各種のデータの演算処理動作を行う中央演算処理回路(CPU)452を備え、CPU452には制御プログラム等を記憶したリードオンリーメモリ(ROM)453と、各種のデータを一時的に記憶するためのランダムアクセスメモリ(RAM)454が接続されている。CPU52にはインターフェイス455を介して車室内の冷房負荷を検出する手段としてのエバポレータの吹き出し口の温度センサ456が接続されている。制御装置450は、電磁クラッチ402に対する電源のオン・オフ動作を指示するための信号、並びに冷房負荷に応じて容量制御弁424の電磁コイル424aの制御御信号を出力するようになっている。
【0047】
図8は、ハイブリッドコンプレッサの電磁クラッチ402、コンプレッサ401及び電動モータ404の細部を示す断面図であるが、コンプレッサ401として斜板型コンプレッサを備える構成を例示してある。図示されるように、コンプレッサ401のシリンダブロック410の前端(左端)面にはフロントハウジング412が接合されるとともに、後端面にはリヤハウジング413が接合されている。リヤハウジング413の中央部には吸入室420が形成され、外周部には吐出室421が形成されている。
【0048】
シリンダブロック411とフロントハウジング412とにより形成される空間はクランク室415となっており、回転軸416が一対のころ軸受417を介して回転可能に支持されている。回転軸416の中間部にはラグプレート418が嵌合固定され、回転軸416の回転に同期して回転される。また、ラグプレート418には斜板419がヒンジ機構420を介して前後方向の揺動可能に装設されている。この斜板419にはピストン421の首部がシュー422を介して係留され、斜板419の回転によりピストン421がシリンダボア423内で往復動されるようになっている。更に、シリンダブロック411及びリヤハウジング413には吐出室421とクランク室415を連通するため昇圧通路424が形成されている。この昇圧通路424には制御装置450により制御される容量制御弁425が介在されている。
【0049】
電磁クラッチ402は、エンジン403により駆動されるベルト431を掛装するプーリ432を備えている。プーリ432は駆動クラッチ板433を有し、フロントハウジング412の外周面に玉軸受434を介して回転可能に支持されている。また、フロントハウジング412側には電磁コイル435が取付ステー436により支持されており、この電磁コイル435が励磁されるとプーリ432の回転運動が伝達されてコンプレッサ401が駆動されるようになっている。
【0050】
コンプレッサ401のリヤハウジング413のリヤ側壁面には、電動モータ404を構成するフロント側を開口したハウジング410が接合されている。コンプレッサ401の回転軸416のリヤ側端部は、電動モータ404の出力軸437のフロント側端部に一体的に、直列に連結されている。出力軸437のリヤ側端部は、ハウジング410のリヤ側壁面の内側中央部にころ軸受438を介して支持されている。また、出力軸437の中間部には電動モータ404を構成するロータ439が嵌合固定されている。このロータ439と対応してハウジング410の内周面には巻線440が所定位置に固定されている。更に、電動モータ404のハウジング410の内部には、冷媒ガスの通路441が設けられている。
【0051】
そして、ハイブリッドコンプレッサの玉軸受434及びころ軸受417、438には、上記の導電性グリースが封入される。
【0052】
上記の各コンプレッサは、組み込まれている各転がり軸受が、潤滑性能とともに導電性にも優れ、帯電及び電食が抑えられ、長期にわたり安定して作動する。
【0053】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて更に説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。
【0054】
(実施例1〜7、比較例1〜2)
表1及び表2に示すように、基油、増ちょう剤、導電性カーボンブラック(平均粒径0.05μm)及び各種添加剤とを配合して試験グリースを調製した。尚、ジウレア化合物としてジフェニルメタンジイソシアネートとシクロヘキシルアミンとの反応物、ウレア化合物として脂環族ジウレアを用いた。そして、各試験グリースを以下に示す(1)軸受焼付き寿命試験、(2)軸受導電性試験、(3)軸受音響試験に供した。
【0055】
(1)焼付き寿命試験
日本精工(株)製接触ゴムシール付き深溝玉軸受「6203」(外径40mm、内径17mm、幅17mm;図1参照)に、空間容積の35容積%を占めるように試験グリースを封入して試験軸受とした。そして、図9に示す試験装置500に試験軸受を組み込み、焼付き寿命を測定した。尚、図示される試験装置500はASTM D1741に準拠する試験機であり、プーリ501により回転されるシャフト502の一端を支持軸受503で支持し、他端を試験軸受510で支持してハウジング504に収容し、電源接続端子505を通じてヒータ506に給電して試験軸受510を所定温度に加熱する構成となっている。試験は、外輪温度170℃、ラジアル荷重19N、アキシアル荷重196N、内輪回転速度13000min−1にて試験軸受510を連続回転させ、外輪温度の上昇と回転トルクの上昇を起こした時点を焼付きと見做し、それまでの回転時間(焼付き寿命)を計測した。試験は、各試験軸受について3回行った。結果を表1及び表2に示すが、実施例1の平均焼付き寿命を1とする相対値にて示してある。
【0056】
(2)軸受導電性試験
日本精工(株)製接触ゴムシール付き深溝玉軸受「6203」(外径40mm、内径17mm、幅17mm;図1参照)に、空間容積の35容積%を占めるように試験グリースを封入して試験軸受とした。試験は、図10に示す回路に試験軸受に組み込み、外輪温度100℃、ラジアル荷重19N、アキシアル荷重196N、内輪回転速度1000min−1にて100時間連続回転させ、回転中における内外輪間の平均電気抵抗値を求めた。試験は、各試験軸受について2回行った。結果を実施例1の平均値を1とする相対値にて表1及び表2に示す。
【0057】
(3)軸受音響試験
上記の(2)軸受導電性試験を行った後の試験軸受を同回路に組み込み、内外輪間に1mAの電流を流したまま更に外輪温度100℃、ラジアル荷重196N、内輪回転速度1000min−1にて100時間連続回転させた。回転後に回路から試験軸受を取り外し、室温、アキシアル荷重27.4N、内輪回転速度1800min−1にて回転させ、そのときのハイバンド値をアンデロンメータで測定した。試験は、各試験軸受について2回行った。結果を表1及び表2に示すが、実施例1の平均値を1とする相対値で示してある。
【0058】
【表1】
Figure 2004263836
【0059】
【表2】
Figure 2004263836
【0060】
表1及び表2に示すように、本発明に従う各実施例の試験軸受は、焼付き寿命、電気的特性及び音響特性の全てに優れている。これに対し、増ちょう剤を用いずに導電性カーボンブラックのみで増ちょうしたグリースを封入した比較例1の試験軸受は、基油の保持能力が低く、離油度が大きいことから、グリース硬化を起こし易く焼付き寿命に劣っており、軸受音響もやや大きくなっている。更に、導電性カーボンブラックの分散性も悪いことから、チェーン構造が形成され難く導電性も劣っている。また、導電性カーボンブラックを含まないグリースを封入した比較例2の試験軸受は、導電性が極端に悪く、軸受音響も大きい。
【0061】
(4)導電性カーボンブラック量と増ちょう剤量との比率の検証
実施例2のグリース組成に基づき、導電性カーボンブラックと増ちょう剤(ジウレア化合物)との配合比率を変えて試験グリースを調製した。尚、各試験グリースとも、導電性カーボンブラック量と増ちょう剤量との合計量を適宜調整して混和ちょう度を245〜285とした。そして、上記(1)焼付き寿命試験を行い、導電性カーボンブラック/(導電性カーボンブラック+増ちょう剤)比と焼付き寿命比との関係を求めた。結果を図11にグラフにして示す。尚、各値は上記(1)焼付き寿命試験における実施例1の値に対する相対値で示してあり、また図中の□は同試験における比較例1の値を示す。
【0062】
図示されるように、導電性カーボンブラック/(導電性カーボンブラック+増ちょう剤)比が0.75以下の範囲で良好な焼付き寿命を示しており、特に前記比は0.5以下が好ましいことがわかる。
【0063】
(5)導電性カーボンブラック量の検証
実施例1のグリース組成に基づき、導電性カーボンブラックの配合量を変えて試験グリースを調製した。尚、各試験グリースとも、増ちょう剤の配合量も適宜調整して混和ちょう度を245〜285とした。そして、上記(3)軸受音響試験を行い、導電性カーボンブラック量と軸受音響との関係を求めた。結果を図12にグラフにして示す。尚、各値は上記(3)軸受音響試験における実施例1の値に対する相対値で示してあり、また図中の□は同試験における比較例2の値を示す。
【0064】
図示されるように、導電性カーボンブラック量が1〜20質量%の範囲で良好な軸受音響を示しており、特に2〜10質量%が好ましいことがわかる。
【0065】
(6)増ちょう剤量の検証
実施例2のグリース組成に基づき、増りょう剤の配合量を変えて試験グリースを調製した。尚、各試験グリースとも、導電性カーボンブラックの配合量も適宜調整して混和ちょう度を245〜285とした。尚、増ちょう剤量が35質量%の試験グリースでは、混和ちょう度が300であった。そして、上記(1)軸受音響試験を行い、増ちょう剤量と焼付き寿命比との関係を求めた。結果を図13にグラフにして示す。尚、各値は上記(1)焼付き寿命試験における実施例1の値に対する相対値で示してある。
【0066】
図示されるように、増ちょう剤量が5〜25質量%の範囲で良好な焼付き寿命が得られることがわかる。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、耐熱性に優れるともに、導電性も良好で帯電や電食の発生も抑えられ、長寿命の電動コンプレッサ用転がり軸受が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電動コンプレッサ用転がり軸受の一例(玉軸受)を示す断面図である。
【図2】電動コンプレッサの一例(スクロール型)を示す断面図である。
【図3】電動コンプレッサの他の例(インペラ型)を示す断面図である。
【図4】電動コンプレッサの更に他の例(両斜板型)を示す断面図である。
【図5】電動コンプレッサの更に他の例(片斜板型)を示す断面図である。
【図6】電動コンプレッサの更に他の例(スクリュー型)を示す断面図である。
【図7】ハイブリッドコンプレッサの制御回路を示す説明図である。
【図8】ハイブリッドコンプレッサの一例を示す断面図である。
【図9】実施例において焼付き寿命試験に用いた試験装置の構成を示す概略図である。
【図10】実施例において軸受導電性試験に用いた試験装置を示す概略図である。
【図11】実施例で得られた、カーボンブラック/(増ちょう剤+カーボンブラック)比と焼付き寿命比との関係を示すグラフである。
【図12】実施例で得られた、カーボンブラック量と軸受音響との関係を示すグラフである。
【図13】実施例で得られた、増ちょう剤量と焼付き寿命比との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
31 回転軸
32 インペラ
33,33b 転がり軸受
35 ハウジング
111 固定スクロール
112 旋回スクロール
120 駆動モータ部
122 モータ主軸
150 クランク機構部
170 圧縮機構部
171 両面傾斜板
172 両頭ピストン
180 駆動モータ部
181 駆動モータ
182 モータ主軸
200 圧縮機構部
201 主ロータ
202 副ロータ
300 玉軸受
301 内輪
302 外輪
303 保持器
304 玉
305 シール部材
401 コンプレッサ
402 電磁クラッチ
403 エンジン
404 電動モータ
405 直流電源(バッテリ)
416 回転軸
417 ころ軸受
432 プーリ
434 玉軸受

Claims (4)

  1. 回転軸と、回転軸の回転により容積が変化する圧縮空間を有する圧縮部と、回転軸を回転させる駆動源とを備える電動コンプレッサの前記回転軸を支持する転がり軸受であって、
    内周面に外輪軌道を有する外側軌道輪と、外周面に内輪軌道を有する内側軌道輪と、外輪軌道と内輪軌道との間に転動自在に設けた複数個の転動体と、転動体を転動自在に保持する保持器とを備え、外輪軌道と内輪軌道との間の空間内に、基油と、増ちょう剤と、導電性物質とを必須成分とする導電性グリースを封入したことを特徴とする電動コンプレッサ用転がり軸受。
  2. 導電性グリースにおける増ちょう剤の含有量がグリース全量の5〜20質量%であり、導電性物質の含有量がグリース全量の1〜7質量%であることを特徴とする請求項1記載の電動コンプレッサ用転がり軸受。
  3. 導電性グリースにおける導電性物質の増ちょう剤に対する比が0.75以下であることを特徴とする請求項1または2記載の電動コンプレッサ用転がり軸受。
  4. 導電性グリースが防錆剤、金属不活性化剤、油性剤、酸化防止剤、極圧剤、摩耗防止剤及び平均粒径2μm以下の固体添加剤の少なくとも1種を合計でグリース全量の1〜8質量%含有していることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の電動コンプレッサ用転がり軸受。
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