JP5244891B2 - 潤滑油組成物およびその製造方法、グリース組成物およびその製造方法、転がり軸受、および酸化防止剤 - Google Patents

潤滑油組成物およびその製造方法、グリース組成物およびその製造方法、転がり軸受、および酸化防止剤 Download PDF

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Description

本発明は潤滑油組成物、グリース組成物、転がり軸受および酸化防止剤に関し、特に、フラーレンを含む酸化防止剤を配合した潤滑油組成物またはグリース組成物、これら組成物の製造方法、これら組成物を用いて潤滑される転がり軸受に関する。
オルタネータ、カーエアコン用電磁クラッチ、中間プーリ、電動ファンモータ等の自動車電装部品、補機等に用いられている転がり軸受には潤滑のため潤滑油組成物またはグリース組成物が多用されている。
自動車は小型軽量化を目的としたFF(フロントエンジン・フロント駆動)車の普及により、またさらに居住空間の拡大により、エンジンルームの縮小を余儀なくされ、オルタネータ、カーエアコン用電磁クラッチ、中間プーリ、電動ファンモータ等の電装部品、補機等の小型軽量化が一層進められている。加えて電装部品、補機自体は高性能、高出力のものがますます求められており、例えばオルタネータでは、小型化による出力低下分を設計上高速化することにより補っている。さらに、静粛性向上の要望によりエンジンルームの密閉化が進み、エンジンルーム内の高温化が促進されるため、より一層高温に耐える仕様の部品が必要となっている。
これら電装部品、補機等には転がり軸受が使用されており、転がり軸受の潤滑には主としてグリース組成物または潤滑油組成物などの潤滑剤組成物が使用されている。ところが、このような使用条件の高速回転化および高温化に伴い、上記軸受は転走面に生じる特異的な剥離や焼き付きにより寿命に至る場合がある。このような転走面に生じる剥離を防ぐ方法としては、例えば不動態化剤を添加する方法(特許文献1参照)、アンチモン化合物またはモリブデン化合物を添加する方法(特許文献2参照)が提案されている。一方、グリース寿命による焼き付きに対しては酸化防止剤を添加し潤滑油の酸化劣化を防止する手段が採用されている。
しかしながら、近年の転がり軸受の使用条件の過酷化に伴い、不動態化剤を添加する方法やモリブデン化合物等を添加する方法では充分な対策ができなくなってきている。また、潤滑油の酸化劣化を防止するために配合されている従来の酸化防止剤は有機化合物が多く、使用中に変質する場合があるという問題がある。
一方、フラーレンは、炭素5員環と6員環から構成され、球状に閉じた多面体構造を有する炭素分子であり、その構造から極めて特殊な性質を発現し、超伝導体や半導体、光機能材等への応用が報告されている。また、ジアルコキシジサルファイドの光分解反応へのフラーレンの関与(非特許文献1)、化粧品用途へのフラーレンの応用(非特許文献2)等が報告されている。
しかしながら、焼き付き現象が生じる潤滑油組成物またはグリース組成物等におけるフラーレンの挙動は知られていない。
特開平3−210394号公報 特再平6−803565号公報
J.Org.Chem.61巻,3327−3331(1996) バイオインダストリー,20巻,5号,82−90(2003)
解決しようとする課題は、転がり軸受の使用条件の過酷化に伴なう高温での潤滑寿命を大幅に改善できる潤滑油組成物、グリース組成物がないという点にある。
本発明の転がり軸受の潤滑に用いられる潤滑油組成物は、潤滑油組成物全体に対してフラーレンを 0.05〜10 重量%配合してなり、上記フラーレンは上記組成物の基油に溶解する有機溶剤に分散させた配合剤として配合されることを特徴とする。
本発明のグリース組成物は、基油と増ちょう剤とを含有し、該グリース組成物全体に対してフラーレンを 0.05〜10 重量%配合してなり、上記フラーレンは上記基油に溶解する有機溶剤に分散させた配合剤として配合されることを特徴とする。
また、上記増ちょう剤がウレア系増ちょう剤であり、該ウレア系増ちょう剤をグリース組成物全体に対して 5〜30 重量%配合したことを特徴とする。
本発明の転がり軸受は上記潤滑油で潤滑された転がり軸受、または上記グリース組成物が封入された転がり軸受であることを特徴とする。
本発明の酸化防止剤は、潤滑油組成物またはグリース組成物に配合されて各組成物の酸化を防ぐフラーレンを上記各組成物の基油に溶解する有機溶剤に分散させた状態で含む酸化防止剤であることを特徴とする。
本発明の潤滑油組成物の製造方法は、転がり軸受の潤滑に用いられ、基油とフラーレンとを含有する潤滑油組成物の製造方法であり、上記フラーレンを上記基油に溶解する有機溶剤に分散させて配合剤とする工程と、該工程で得られた上記配合剤を潤滑油組成物全体に対して上記フラーレンが 0.05〜10 重量%となるように配合する工程とを有することを特徴とする。
本発明のグリース組成物の製造方法は、基油と増ちょう剤とフラーレンとを含有するグリース組成物の製造方法であり、上記フラーレンを上記基油に溶解する有機溶剤に分散させて配合剤とする工程と、該工程で得られた上記配合剤をグリース組成物全体に対して上記フラーレンが 0.05〜10 重量%となるように配合する工程とを有することを特徴とする。
フラーレンを潤滑油組成物またはグリース組成物に配合することにより、組成物を構成する基油の酸化を抑制できることが分かった。このため、潤滑油組成物またはグリース組成物が高温耐久性に優れ、該潤滑油で潤滑された転がり軸受、または該グリース組成物が封入された転がり軸受の高温耐久性が向上する。
シェル型針状ころ軸受の斜視図である。 深溝玉軸受の断面図である。
フラーレンは、炭素5員環と6員環から構成され、球状に閉じた多様な多面体構造を有する炭素分子である。グラファイト、ダイヤモンドに続く第3の炭素同素体として1985年にH.W.KrotoとR.E.Smalley等によって発見された新規な炭素材料である。代表的な分子構造としては、60個の炭素原子が12個の五員環と20個の六員環からなる球状の切頭正二十面体を構成する、いわゆるサッカーボール状の構造のC60が挙げられ、同様に70個の炭素原子からなるC70、さらに炭素数の多い高次フラーレン、例えばC76、C78、C82、C84、C90、C94、C96などが存在する。これらのうちのC60およびC70が代表的なフラーレンである。また、これらを反応させて多量体が得られる。本発明においては、フラーレンであれば球状、あるいは多量体のいずれも使用できる。
フラーレン添加の効果については、明確に解明されていないが、その球形に由来するマイクロボールベアリング効果が提唱されており、また前述の抗酸化作用による潤滑油組成物またはグリース組成物の熱分解抑制作用等が複合的に作用しているものと考えられる。
フラーレンの製造法には、レーザ蒸発法、抵抗加熱法、アーク放電法、熱分解法などがあり、具体的には、例えば特許第2802324号に開示されており、これらは、減圧下あるいは不活性ガス存在化、炭素蒸気を生成し、冷却、クラスター成長させることによりフラーレン類を得ている。
一方、近年、経済的で効率のよい大量製造法として燃焼法が実用化されている。燃焼法の例としては、バーナーが減圧チャンバー内に設置された装置を使用し、系内を真空ポンプにて換気しつつ炭化水素原料と酸素とを混合してバーナーに供給し、火炎を生成する。その後、上記火炎により生成した煤状物質を下流に設けた回収装置により回収する。この製造法において、フラーレンは煤中の溶媒可溶分として得られ、溶媒抽出、昇華等により単離される。得られたフラーレンは通常C60、C70および高次フラーレンの混含物であり、さらに精製してC60、C70等を単離することもできる。また、分離精製したフラーレンを、機能性付与や親和性向上を目的に、水素化などにより化学修飾する試みもなされている。
本発明で用いるフラーレンとしては、構造や製造法を特に限定するものではないが、特にC60、C70の炭素数のもの、あるいはこれらの混合物が好ましい。
フラーレンは固体状の配合剤として、あるいはフラーレンを有機溶剤に溶解、分散させて得られる配合剤として用いることができる。いずれの場合においても、フラーレンはC60、C70および高次フラーレン単独でも、混含状態でも用いることが可能であるが、溶剤に対する溶解性、また固体状態で用いる際の分散性等の観点から、これらを混合状態で用いることが好ましい。さらにより分散性を良好にするため、混合時の平均粒径は 100μm 以下、好ましくは 50μm 以下、より好ましくは 10μm 以下である。有機溶剤に溶解して使用する場合、当該有機溶剤は後述する基油に溶解するものが好ましく、例えばキシレン、トルエン、トリメチルベンゼン、N−メチル−2−ピロリドン等を使用することができ、フラーレン溶液濃度としては 15重量%以下が好ましい。
潤滑油組成物に対するフラーレンの配合割合は、潤滑油組成物全体に対して 0.05〜10 重量%、好ましくは 0.1〜5 重量%配合する。配合割合が 0.05 重量%未満であると酸化防止などの配合効果がなく、10 重量%をこえると流動性に悪影響を及ぼす。
また、グリース組成物に対するフラーレンの配合割合は、グリース組成物全体に対して 0.05〜10 重量%、好ましくは 0.1〜5 重量%配合する。配合割合が 0.05 重量%未満であると酸化防止などの配合効果がなく、10 重量%をこえると基油分が減少するため寿命が短くなるなど好ましくない。
本発明に使用できる潤滑油組成物またはグリース組成物の基油は、通常軸受の潤滑に使用される鉱油、合成油あるいはこれらの混合油を使用できる。具体的には、鉱油としてはパラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油を挙げることができ、合成油としては合成炭化水素油、エーテル油、エステル油を挙げることができる。
合成炭化水素油としてはポリ−α−オレフィン油等を、エーテル油としてはジアルキルジフェニルエーテル油、アルキルトリフェニルエーテル油、アルキルテトラフェニルエーテル油等を、エステル油としてはジエステル油、ポリオールエステル油またはこれらのコンプレックスエステル油、芳香族エステル油、炭酸エステル油等を挙げることができる。これらの中でも、高温、高速での潤滑性能並びに潤滑寿命を考慮すると、ポリ−α−オレフィン油、ポリオールエステル油またはこれらのコンプレックスエステル油、芳香族エステル油、炭酸エステル油、アルキルジフェニルエーテル油を含有することが望ましい。これら基油の粘度は、高粘度ほど高温耐久性に優れるが、軸受用の潤滑剤として考えた場合、回転トルクや低温特性の観点から、40℃の動粘度が 15〜400 mm2/s の範囲が好ましく、20〜150 mm2/s の範囲がさらに好ましい。
本発明のグリース組成物に使用される増ちょう剤は特に限定されず、通常のグリース組成物に使用されている増ちょう剤を適時使用できる。例えば、金属石けん、複合石けん、ウレア系増ちょう剤、有機化ベントナイト、シリカ等が挙げられる。
金属石けんとしては、12−ヒドロキシステアリン酸リチウム、ステアリン酸リチウム、リチウムコンプレックス、ウレア系としては、脂肪族ジウレア、脂環族ジウレア、芳香族ジウレア、トリウレア、テトラウレア、ウレアウレタンが挙げられる。有機ベントナイトとしては、第4級アンモニウム塩で処理したモンモリロナイト、シリカとしては、気相反応にて製造された超微粒子のシリカ粉末またはそれらの表面を例えば、メタノールのような低級アルコールで処理したものが挙げられる。その他、スルホネートコンプレックスやポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。
本発明に使用できるグリース組成物としては、高温性に優れたウレア系増ちょう剤が好ましい。
ウレア系増ちょう剤は、例えば、ジウレア化合物、ポリウレア化合物が挙げられ、末端基の化学構造により脂肪族、脂環族、芳香族などに分類される。ジウレア化合物は、例えば、ジイソシアネートとモノアミンの反応で得られる。ジイソシアネートとしては、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、オクタデカンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネー卜等が挙げられ、モノアミンとしては、オクチルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、アニリン、p−トルイジン、シクロヘキシルアミン等が挙げられる。
ポリウレア化合物は、例えば、ジイソシアネートとモノアミン、ジアミンとの反応で得られる。ジイソシアネート、モノアミンとしては、ジウレア化合物の生成に用いられるものと同様のものが挙げられ、ジアミンとしては、エチレンジアミン、プロパンジアミン、ブタンジアミン、ヘキサンジアミン、オクタンジアミン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。
ウレア系増ちょう剤は、単独で用いることもできるが、2種類以上を混合したり、1分子に2種類の基を結合させて用いることができる。これらのうち、耐熱性の点から好ましいものとして脂環族および/または芳香族ジウレアを挙げることができる。
ウレア化合物は、イソシアネート化合物とアミン化合物とを反応させることにより得られる。反応性のある遊離基を残さないため、イソシアネート化合物のイソシアネート基とアミン化合物のアミノ基とは略当量となるように配合することが好ましい。
基油にウレア化合物を配合して各種配合剤を配合するためのベースグリースが得られる。ベースグリースは、基油中でイソシアネート化合物とアミン化合物とを反応させて作製する。
ベースグリースに対する増ちょう剤の配合割合は、グリース組成物全体に対して、 5〜30 重量%、好ましくは 8〜20 重量%配合される。増ちょう剤の含有量が 5 重量%未満では、増ちょう効果が少なくなり、グリース化が困難となり、 30 重量%をこえると得られたベースグリースが硬くなりすぎるとともに基油分が少なくなり、所期の効果が得られ難くなる。
本発明の潤滑油組成物またはグリース組成物には、本組成物の高温耐久性を劣化させない範囲で、以下に挙げる極圧剤、防錆剤・金属不活性化剤、油性剤等の添加剤を追加して使用することができる。また、従来使用されている酸化防止剤をフラーレンと併用することができる。
極圧剤として従来公知の極圧剤を併用することにより、耐荷重性や極圧性を向上させることができる。例えば以下の化合物を使用することができる。有機金属系のものとしては、ジチオカルバミン酸亜鉛、ジチオリン酸亜鉛、亜鉛フェネート等の有機亜鉛化合物、ジチオカルバミン酸セレン等の有機セレン化合物、ナフテン酸ビスマス、ジチオカルバミン酸ビスマス等の有機ビスマス化合物、ジチオカルバミン酸鉄、オクチル酸鉄等の有機鉄化合物、ジチオカルバミン酸銅、ナフテン酸銅等の有機銅化合物、ナフテン酸鉛、ジチオカルバミン酸鉛等の有機鉛化合物、マレイン酸スズ、ジブチルスズスルファイド等の有機スズ化合物、あるいは、アルカリ金属、アルカリ土類金属の有機スルホネート、フェネート、ホスホネート、金、銀、チタン、カドミウム等の有機金属化合物も必要なら使用できる。硫黄系化合物としては、ジベンジルジスルフィド等のスルフィドあるいはポリスルフィド化合物、硫化油脂類、無灰系カルバミン酸化合物類、チオウレア系化合物、もしくはチオカーボネート類等を使用することができる。リン酸系極圧剤としては、トリオクチルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート等のリン酸エステル、酸性リン酸エステル、亜リン酸エステル、酸性亜リン酸エステル等のリン酸エステル系化合物を使用することができる。また、その他、塩素化パラフィン等のハロゲン系の極圧剤、あるいは、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、グラファイト、ポリテトラフルオロエチレン、硫化アンチモン、窒化硼素などの硼素化合物等の固体潤滑剤を使用することができる。これらの極圧剤の中で、ジチオカルバミン酸系化合物やジチオリン酸系化合物を好適に使用できる。
防錆剤として、例えば有機スルホン酸のアンモニウム塩、バリウム、亜鉛、カルシウム、マグネシウム等アルカリ金属、アルカリ土類金属の有機スルホン酸塩、フェネート、ホスホネート、アルキルもしくはアルケニルこはく酸エステル等のアルキル、アルケニルこはく酸誘導体、ソルビタンモノオレエート等の多価アルコールの部分エステル、オレオイルザルコシン等のヒドロキシ脂肪酸類、1−メルカプトステアリン酸等のメルカプト脂肪酸類あるいはその金属塩、ステアリン酸等の高級脂肪酸類、イソステアリルアルコール等の高級アルコール類、高級アルコールと高級脂肪酸とのエステル、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプトチアジアゾール等のチアゾール類、2−(デシルジチオ)−ベンゾイミダゾール、ベンゾイミダゾール等のイミダゾール系化合物、あるいは、2,5−ビス(ドデシルジチオ)ベンゾイミダゾール等のジスルフィド系化合物、あるいは、トリスノニルフェニルフォスファイト等のリン酸エステル類、ジラウリルチオプロピオネート等のチオカルボン酸エステル系化合物等を使用することができる。また、亜硝酸塩等も使用することができる。
金属不活性化剤として、例えばベンゾトリアゾールやトリルトリアゾール等のトリアゾール系化合物を使用することができる。
油性剤として、例えばオレイン酸やステアリン酸等の脂肪酸、オレイルアルコール等の脂肪酸アルコール、ポリオキシエチレンステアリン酸エステルやポリグリセリルオレイン酸エステル等の脂肪酸エステル、リン酸、トリクレジルホスフェート、ラウリル酸エステルまたはポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸等のリン酸エステル等を使用することができる。
フラーレンと併用できる酸化防止剤としては、ゴム、プラスチック、潤滑油等に添加する老化防止剤、オゾン劣化防止剤、酸化防止剤から適宜選択して使用することができる。例えばフェニル−1−ナフチルアミン、フェニル−2−ナフチルアミン、ジフェニル−p−フェニレンジアミン、ジピリジルアミン、フェノチアジン、N−メチルフェノチアジン、N−エチルフェノチアジン、3,7−ジオクチルフェノチアジン、p,p′−ジオクチルジフェニルアミン、N,N′−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン等のアミン系化合物、2,6−ジ−tert−ジブチルフェノール等のフェノール系化合物等を使用することができる。
本発明の潤滑油組成物は高温耐久性に優れるので、転がり軸受の寿命を向上させることができる。このため、油圧モータや油圧ポンプ、アクスル遊星部、トランスミッション等に用いられている転がり軸受に好適に使用できる。これらの転がり軸受はギアオイルや油圧作動油で潤滑されている。
本発明の潤滑油組成物が用いられる転がり軸受の一例を図1に示す。図1はシェル型針状ころ軸受の一例を示す斜視図である。
針状ころ軸受1は、鋼板から精密深絞り加工等で作製された外輪2に、保持器4付針状ころ3が組み込まれている。針状ころ軸受1は、軸を直接軌道面にすることができ、潤滑油組成物により潤滑されることが多い。
本発明のグリース組成物は高温耐久性に優れるので、グリース封入軸受の寿命を向上させることができる。このため、深溝玉軸受、円筒ころ軸受、円すいころ軸受、自動調心ころ軸受、針状ころ軸受、スラスト円筒ころ軸受、スラスト円すいころ軸受、スラスト針状ころ軸受、スラスト自動調心ころ軸受等の封入グリースとして使用できる。
本発明のグリース組成物が封入されている軸受について図2により説明する。図2は深溝玉軸受の断面図である。
グリース封入軸受5は、外周面に内輪転走面6aを有する内輪6と内周面に外輪転走面7aを有する外輪7とが同心に配置され、内輪転走面6aと外輪転走面7aとの間に複数個の転動体8が配置される。この複数個の転動体8を保持する保持器9および外輪7等に固定されるシール部材10とにより構成される。少なくとも転動体8の周囲にグリース組成物11が封入される。
実施例1〜3、比較例1〜3
ポリ−α−オレフィン油(新日鐵化学社製:シンフルードS601)を基油として、この基油に表1に示す種類の添加剤を表1に示す割合で添加して潤滑油組成物を得た。
用いた添加剤を以下に示す。[ ]内は表中の名称である。
(1)混合フラーレン[ミックスフラーレン]:フロンティアカーボン社製混合フラーレン(C60(直径:0.71nm )が約 60 重量%、C70(長軸径:0.796nm、短軸径:0.712nm)が約 25 重量%で残部が高次フラーレンの混合物である。)
(2)セバシン酸ナトリウム[セバシン酸Na]
(3)フェノール系酸化防止剤[BP101]:ヘキスト社製BP−101
得られた潤滑油組成物の高温耐久性を高温放置時の重量減少率の測定により評価した。供試潤滑油組成物を 150 ℃の恒温槽中に空気雰囲気で放置して、加熱時間が 500、1000、1500、2000時間となった時点で恒温槽より取りだし、それぞれの重量減少率を測定した。結果を表1に示した。なお、比較例3は無添加油である。
Figure 0005244891
表1に示すように、比較例に比べフラーレンを配合した潤滑油組成物は重量減少率が小さく、高温耐久性に優れている。
実施例4〜6、比較例4〜6
表2に示した基油の半量に、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)を表2に示す割合で溶解し、残りの半量の基油に4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナートの2倍当量となるモノアミンを溶解した。それぞれの配合割合および種類は表2の通りである。
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナートを溶解した溶液を撹拌しながらモノアミンを溶解した溶液を加えた後、100〜120 ℃で 30 分間撹拌を続けて反応させて、ジウレア化合物を基油中に生成させた。
これに防錆剤および実施例1で用いた混合フラーレンを表2に示す配合割合で加えてさらに 100〜120 ℃で 10 分間撹拌した。その後冷却し、三本ロールで均質化し、グリース組成物を得た。
表2において、基油として用いたアルキルジフェニルエーテル油は松村石油社製商品名のLB100を、合成炭化水素油は新日鉄化学社商品名のシンフルード601を、ソルビタンエステルはソルビタントリオレエートをそれぞれ用いた。
得られたグリース組成物に関して高温高速試験を行なった。結果を表2に示す。試験方法および試験条件は以下の通りである。
(1)高温高速試験
転がり軸受(6204)に各試験グリース 0.7g 封入し、軸受外輪外径部温度 150 ℃、ラジアル荷重 67 N 、アキシアル荷重 67 N の下で 10000 rpm の回転数で回転させ、焼き付きに至るまでの時間を測定した。
(2)防錆試験
ASTMD1743の錆試験法をさらに厳しくした方法を採用した。すなわち、円すいころ軸受30204に、試料グリースを 1.9〜2.1 g 封入して、アキシアル荷重を 98 N 加えて毎分 1800 回転で 1 分間慣らし運転した。次に、1 %食塩水中に 10 秒間浸漬した。この軸受をデシケータに入れて 40 ℃で 48 時間放置した後、発錆状況を調べた。発錆状況は外輪レースを周方向に 32 等分し、これらのうち錆のあった区間を数え、n= 4 回の平均を錆評点とし、その個数で防錆性を評価した。
Figure 0005244891
表2に示すように、比較例に比べフラーレンを配合したグリース組成物は高温高速試験において 2 倍の寿命を示し、フラーレンの配合が優れた軸受寿命をもたらすことが分かった。
本発明の潤滑油組成物およびグリース組成物は、フラーレンが配合されるのでフラーレンの酸化防止剤としての働きにより高温耐久性に優れた各組成物が得られる。その結果、ギアオイルや油圧作動油で潤滑される軸受、自動車電装部品、補機等の転がり軸受、モータ用軸受に利用できる。
1 針状ころ軸受
2 外輪
3 針状ころ
4 保持器
5 グリース封入軸受
6 内輪
7 外輪
8 転動体
9 保持器
10 シール部材
11 グリース組成物

Claims (7)

  1. 転がり軸受の潤滑に用いられる潤滑油組成物であって、該組成物は、潤滑油組成物全体に対してフラーレンを 0.05〜10 重量%配合してなり、前記フラーレンは前記組成物の基油に溶解する有機溶剤に分散させた配合剤として配合されることを特徴とする潤滑油組成物。
  2. 基油と増ちょう剤とを含有するグリース組成物であって、該組成物は、グリース組成物全体に対してフラーレンを 0.05〜10 重量%配合してなり、前記フラーレンは前記基油に溶解する有機溶剤に分散させた配合剤として配合されることを特徴とするグリース組成物。
  3. 前記増ちょう剤がウレア系増ちょう剤であり、該ウレア系増ちょう剤をグリース組成物全体に対して 5〜30 重量%配合したことを特徴とする請求項2記載のグリース組成物。
  4. 潤滑油で潤滑された転がり軸受またはグリース組成物が封入された転がり軸受であって、前記潤滑油が請求項1記載の潤滑油組成物であり、前記グリース組成物が請求項2または請求項3記載のグリース組成物であることを特徴とする転がり軸受。
  5. 潤滑油組成物またはグリース組成物に配合され、前記各組成物の酸化を防ぐ酸化防止剤であって、該酸化防止剤がフラーレンを前記各組成物の基油に溶解する有機溶剤に分散させた状態で含むことを特徴とする酸化防止剤。
  6. 転がり軸受の潤滑に用いられ、基油とフラーレンとを含有する潤滑油組成物の製造方法であって、
    該製造方法は、前記フラーレンを前記基油に溶解する有機溶剤に分散させて配合剤とする工程と、該工程で得られた前記配合剤を潤滑油組成物全体に対して前記フラーレンが 0.05〜10 重量%となるように配合する工程とを有することを特徴とする潤滑油組成物の製造方法。
  7. 基油と増ちょう剤とフラーレンとを含有するグリース組成物の製造方法であって、
    該製造方法は、前記フラーレンを前記基油に溶解する有機溶剤に分散させて配合剤とする工程と、該工程で得られた前記配合剤をグリース組成物全体に対して前記フラーレンが 0.05〜10 重量%となるように配合する工程とを有することを特徴とするグリース組成物の製造方法。
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