JP2008106911A - グリース封入転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】高温、高速回転下で使用される転がり軸受において、転走面での脆性剥離を効果的に防止できるグリース封入転がり軸受を提供する。
【解決手段】内輪3および外輪4と、これら内外輪の転走面3a、4a間に介在する複数の転動体5、該複数の転動体5を保持する保持器1を備え、この転動体5周囲にグリース7封入してなる転がり軸受2において、保持器1は、環状体の一側面に周方向で対向する一対の爪を等間隔に形成して一対の爪間に転動体を保持するポケット部を有し、該ポケットの内面に環状体の周方向に連続するグリース溜りが形成されてなり、上記グリースは基油と増ちょう剤とからなるベースグリースに添加剤を配合してなり、上記添加剤はアルミニウム粉末およびアルミニウム化合物から選ばれた少なくとも一つのアルミニウム系添加剤を含有し、該アルミニウム系添加剤の配合割合はベースグリース 100 重量部に対して 0.05〜10 重量部である。
【選択図】図1
【解決手段】内輪3および外輪4と、これら内外輪の転走面3a、4a間に介在する複数の転動体5、該複数の転動体5を保持する保持器1を備え、この転動体5周囲にグリース7封入してなる転がり軸受2において、保持器1は、環状体の一側面に周方向で対向する一対の爪を等間隔に形成して一対の爪間に転動体を保持するポケット部を有し、該ポケットの内面に環状体の周方向に連続するグリース溜りが形成されてなり、上記グリースは基油と増ちょう剤とからなるベースグリースに添加剤を配合してなり、上記添加剤はアルミニウム粉末およびアルミニウム化合物から選ばれた少なくとも一つのアルミニウム系添加剤を含有し、該アルミニウム系添加剤の配合割合はベースグリース 100 重量部に対して 0.05〜10 重量部である。
【選択図】図1
Description
本発明はグリース封入転がり軸受に関し、特にオルタネータ、カーエアコン用電磁クラッチ、中間プーリ、電動ファンモータ等の自動車電装部品、補機等の転がり軸受として使用されるグリース封入転がり軸受に関する。
転がり軸受に組み込まれる合成樹脂製保持器として、ボールを収容する半球状のポケットを環状体の側面に周方向に間隔をおいて形成し、そのポケットを環状体の周方向に挟んで対向する爪を環状体の側面に形成した合成樹脂製保持器が知られている(特許文献1参照)。しかし、この保持器はポケットの内面にグリース溜りが設置されていない。そのため、自動車の電装部品や補機で用いられるグリース封入玉軸受のように高温・高速条件下で使用した場合に、保持器とボール間の潤滑不具合が発生する場合があり、保持器とボールの摩擦熱によって温度が上昇しやすい。また、保持器とボールの摩擦によって生じた摩耗粉によってグリースを早く劣化させるという問題もある。
また、自動車における電装部品や補機、産業機械におけるモータ等は、年々小型化や高性能、高出力が求められており、使用条件が厳しくなってきている。これらには、転がり軸受が使用されており、その潤滑には主としてグリースが用いられている。ところが、高温下での高速回転等、使用条件が過酷になることで、転がり軸受の転走面に白色組織変化を伴った特異的な脆性剥離が早期に生じ、問題になっている。
この特異的な剥離は、通常の金属疲労により生じる転走面内部からの剥離と異なり、転走面表面の比較的浅いところから生じる破壊現象で、水素が原因の水素脆性による剥離と考えられている。このような早期に発生する白色組織変化を伴った特異な剥離現象を防ぐ方法として、グリース組成物に不動態化剤を添加する方法(特許文献2参照)やグリース組成物にビスマスジチオカーバメートを添加する方法が知られている(特許文献3参照)。
この特異的な剥離は、通常の金属疲労により生じる転走面内部からの剥離と異なり、転走面表面の比較的浅いところから生じる破壊現象で、水素が原因の水素脆性による剥離と考えられている。このような早期に発生する白色組織変化を伴った特異な剥離現象を防ぐ方法として、グリース組成物に不動態化剤を添加する方法(特許文献2参照)やグリース組成物にビスマスジチオカーバメートを添加する方法が知られている(特許文献3参照)。
しかしながら、近年、自動車における電装部品や補機、産業機械におけるモータ等では、高温下で、高速運転−急減速運転−急加速運転−急停止が頻繁に行なわれる等ますます転がり軸受の使用条件が過酷化され、特許文献2および特許文献3のような不動態化剤やビスマスジチオカーバメートを添加する方法では剥離現象を防ぐ対策として不十分になってきている。特に、上述したように保持器とボール間の潤滑不具合が発生する場合では、転走面にグリース等が十分に供給されず、金属接触が起こることで、この剥離現象がより発生しやすくなるという問題がある。
特開平8−21450号公報
特開平3−210394号公報
特開2005−42102号公報
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、高温、高速回転下で使用される転がり軸受において、転走面での脆性剥離を効果的に防止できるグリース封入転がり軸受の提供を目的とする。
本発明のグリース封入転がり軸受は、内輪および外輪と、これら内外輪の転走面間に介在する複数の転動体と、該複数の転動体を保持する保持器とを備え、この転動体の周囲にグリースを封入してなる転がり軸受において、上記保持器は、環状体の一側面に周方向で対向する一対の爪を等間隔に形成して一対の爪間に転動体を保持するポケット部を有し、上記ポケット部の内面に上記環状体の周方向に連続するグリース溜りが形成されてなり、上記グリースは、基油と増ちょう剤とからなるベースグリースに添加剤を配合してなり、上記添加剤はアルミニウム粉末およびアルミニウム化合物から選ばれた少なくとも一つのアルミニウム系添加剤を含有し、該アルミニウム系添加剤の配合割合はベースグリース 100 重量部に対して 0.05〜10 重量部であることを特徴とする。
また、上記保持器は、合成樹脂製保持器であることを特徴とする。
また、上記保持器は、合成樹脂製保持器であることを特徴とする。
上記アルミニウム化合物は、炭酸アルミニウムおよび硝酸アルミニウムから選ばれた少なくとも一つの化合物であることを特徴とする。
また、上記増ちょう剤は、ウレア系増ちょう剤であることを特徴とする。
また、上記基油は、アルキルジフェニルエーテル油およびポリ-α-オレフィン油から選ばれた少なくとも一つの油であることを特徴とする。
また、上記増ちょう剤は、ウレア系増ちょう剤であることを特徴とする。
また、上記基油は、アルキルジフェニルエーテル油およびポリ-α-オレフィン油から選ばれた少なくとも一つの油であることを特徴とする。
本発明のグリース封入転がり軸受は、軸受保持器にグリース溜りを設けて転走面にグリースが常に供給されるようにしたので、転走面での金属接触が起こりにくく、かつ、そのグリースとしてアルミニウム系添加剤を配合したグリースを採用することで、摩擦摩耗面または摩耗により露出した金属新生面においてグリースに配合したアルミニウム系添加剤が反応し、酸化鉄とともにアルミニウム被膜が軸受転走面に生成し、自動車や産業機械に使用される軸受で見られる水素脆性等による剥離の発生を抑制することができる。
また、保持器ポケット内面とボール間の潤滑不良が低減されるため、摩擦熱、および摩耗粉の発生が抑えられる。このため軸受の回転トルク増大や軸受温度上昇、グリース劣化等を抑えることができる。これらの結果、軸受の長寿命化について飛躍的な向上を図ることができる
このように転走面での脆性剥離を効果的に防止でき軸受寿命に優れるので、オルタネータ、カーエアコン用電磁クラッチ、中間プーリ、電動ファンモータ等の自動車電装部品、補機等の転がり軸受として好適に利用できる。
また、保持器ポケット内面とボール間の潤滑不良が低減されるため、摩擦熱、および摩耗粉の発生が抑えられる。このため軸受の回転トルク増大や軸受温度上昇、グリース劣化等を抑えることができる。これらの結果、軸受の長寿命化について飛躍的な向上を図ることができる
このように転走面での脆性剥離を効果的に防止でき軸受寿命に優れるので、オルタネータ、カーエアコン用電磁クラッチ、中間プーリ、電動ファンモータ等の自動車電装部品、補機等の転がり軸受として好適に利用できる。
本発明のグリース封入転がり軸受の一例を図1に示す。図1はグリース封入深溝玉軸受の断面図である。
グリース封入深溝玉軸受2は、外周面に転走面3aを有する内輪3と内周面に転走面4aを有する外輪4とが同心に配置され、内輪の転走面3aと外輪の転走面4aとの間に複数個の転動体5が介在して配置される。この複数個の転動体5は、保持器1のポケット部により保持される(図2参照)。転動体5周囲に後述するアルミニウム系添加剤を配合したグリース7が封入され、外輪4等に固定されるシール部材6によりシールされている。
グリース封入深溝玉軸受2は、外周面に転走面3aを有する内輪3と内周面に転走面4aを有する外輪4とが同心に配置され、内輪の転走面3aと外輪の転走面4aとの間に複数個の転動体5が介在して配置される。この複数個の転動体5は、保持器1のポケット部により保持される(図2参照)。転動体5周囲に後述するアルミニウム系添加剤を配合したグリース7が封入され、外輪4等に固定されるシール部材6によりシールされている。
図2に図1における保持器1の部分拡大図(斜視図)を示す。図2に示すように、保持器1は、環状の保持器1本体の一側面である上面に周方向に一定ピッチをおいて対向一対の保持器爪1b、1bを複数個形成し、その対向する各保持器爪1b、1bを相互に接近する方向に湾曲させるとともに、その保持器爪1b、1b間に転動体(ボール)5を保持するポケット部1aを形成したものである。なお、保持器1本体上面とは、図1に示すように保持器の内外径面とは異なる端面である。
ポケット部1aは、転動体であるボールを保持できるように爪1bで構成される球形状の一部であり、爪1bの端部で構成されるポケット部1aの上面開口部(ポケット開口部)は、円形状の一部である。このポケット部1aの内面にグリース溜り1cを有する。
ポケット部1aは、転動体であるボールを保持できるように爪1bで構成される球形状の一部であり、爪1bの端部で構成されるポケット部1aの上面開口部(ポケット開口部)は、円形状の一部である。このポケット部1aの内面にグリース溜り1cを有する。
図2に示すように保持器のグリース溜り1cは、環状体の側面に周方向に間隔をおいて形成したポケット部1aの内面に環状体の軸方向から見て周方向に連続するグリース溜りとして形成される。グリース溜り1cの大きさは、転がり軸受(NTN型番:6203)を用いる場合には、幅が0.4〜1.0mm、深さが 0.2〜0.5mm程度である。
このようなグリース溜りを設けることにより、保持器が公転した際にグリース溜り1cに積極的にグリースが取り込まれるとともに保持され、運転中に転動体表面にグリースが供給されるので潤滑不良が抑えられる。
このようなグリース溜りを設けることにより、保持器が公転した際にグリース溜り1cに積極的にグリースが取り込まれるとともに保持され、運転中に転動体表面にグリースが供給されるので潤滑不良が抑えられる。
本発明のグリース封入転がり軸受における保持器は、安定した成形性を確保するために、合成樹脂製であることが好ましい。合成樹脂の成形品であってもよく、合成樹脂の削り出し品であってもよい。この合成樹脂としては、耐熱性および耐油性を備えたものが好ましい。
例えば、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂などを好適に例示できる。
例えば、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂などを好適に例示できる。
特にポリアミド樹脂は優れた耐熱性や耐油性に加え、価格が安価で工業的に利用しやすい材料であることからも好適である。ポリアミド樹脂としては、ポリヘキサメチレンアジパミド(6、6−ナイロン)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(6、9−ナイロン)、ポリヘキサメチレンセバサミド(6、10−ナイロン)、ポリヘキサメチレンデカミド(6、12−ナイロン)、ポリテトラメチレンアジパミド(4、6−ナイロン)、ポリカプロラクタム(6−ナイロン)、ポリラウリンラクタム(12−ナイロン)、ポリ−11−アミノウンデカン(11−ナイロン)などの脂肪族系ポリアミド樹脂、ポリメタフェニレンイソフタラミド、ポリパラフェニレンテレフタラミド、ポリメタキシレンアジパミド(ナイロンMXD−6)などの芳香族ポリアミド樹脂が挙げられ、これらは単独でまた混合物として使用できる。
本発明のグリース封入転がり軸受は、上記のグリース溜りを有する合成樹脂製保持器を用いることに加えて、アルミニウム系添加剤を配合したグリースを使用することを特徴としている。
本発明に用いるアルミニウム系添加剤は、アルミニウム粉末およびアルミニウム化合物から選ばれた少なくとも一つである。アルミニウム化合物としては、炭酸アルミニウム、硫化アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウムおよびその水和物、硫酸アルミニウム、フッ化アルミニウム、臭化アルミニウム、よう化アルミニウム、酸化アルミニウムおよびその水和物、水酸化アルミニウム、セレン化アルミニウム、テルル化アルミニウム、りん酸アルミニウム、りん化アルミニウム、アルミン酸リチウム、アルミン酸マグネシウム、セレン酸アルミニウム、チタン酸アルミニウム、ジルコン酸アルミニウム等の無機アルミニウム、安息香酸アルミニウム、クエン酸アルミニウム等の有機アルミニウムが挙げられる。これらアルミニウム系添加剤は、1種類または2種類を混合してグリースに添加してもよい。
本発明において特に好ましいのは、耐熱耐久性に優れ、熱分解しにくいため、極圧性効果の高いアルミニウム粉末である。
本発明に用いるアルミニウム系添加剤は、アルミニウム粉末およびアルミニウム化合物から選ばれた少なくとも一つである。アルミニウム化合物としては、炭酸アルミニウム、硫化アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウムおよびその水和物、硫酸アルミニウム、フッ化アルミニウム、臭化アルミニウム、よう化アルミニウム、酸化アルミニウムおよびその水和物、水酸化アルミニウム、セレン化アルミニウム、テルル化アルミニウム、りん酸アルミニウム、りん化アルミニウム、アルミン酸リチウム、アルミン酸マグネシウム、セレン酸アルミニウム、チタン酸アルミニウム、ジルコン酸アルミニウム等の無機アルミニウム、安息香酸アルミニウム、クエン酸アルミニウム等の有機アルミニウムが挙げられる。これらアルミニウム系添加剤は、1種類または2種類を混合してグリースに添加してもよい。
本発明において特に好ましいのは、耐熱耐久性に優れ、熱分解しにくいため、極圧性効果の高いアルミニウム粉末である。
アルミニウム系添加剤の配合割合は、ベースグリース 100 重量部に対して 0.05 重量部 〜10 重量部である。すなわち、(1)アルミニウム系添加剤がアルミニウム粉末のみである場合、ベースグリース 100 重量部に対してアルミニウム粉末を 0.05〜10 重量部、(2)アルミニウム系添加剤がアルミニウム化合物のみである場合、ベースグリース 100 重量部に対してアルミニウム化合物を 0.05〜10 重量部、(3)アルミニウム系添加剤がアルミニウム粉末とアルミニウム化合物とである場合、ベースグリース 100 重量部に対して、アルミニウム粉末とアルミニウム化合物とを合せて 0.05〜10 重量部配合する。
アルミニウム系添加剤の配合割合が、0.05重量部未満であると水素脆性等による転走面での剥離を効果的に防止できない。また 10重量部をこえても剥離防止効果がそれ以上に向上しない。
アルミニウム系添加剤の配合割合が、0.05重量部未満であると水素脆性等による転走面での剥離を効果的に防止できない。また 10重量部をこえても剥離防止効果がそれ以上に向上しない。
本発明に使用できる基油としては、スピンドル油、冷凍機油、タービン油、マシン油、ダイナモ油等の鉱油、高精製度鉱油、流動パラフィン、ポリブテン、フィッシャー・トロプシュ法により合成されたGTL油、ポリ-α-オレフィン油、アルキルナフタレン、脂環式化合物等の炭化水素系合成油、または、天然油脂、ポリオールエステル油、りん酸エステル油、ポリマーエステル油、芳香族エステル油、炭酸エステル油、ジエステル油、ポリグリコール油、シリコーン油、ポリフェニルエーテル油、アルキルジフェニルエーテル油、アルキルベンゼン油、フッ素化油等の非炭化水素系合成油等を使用できる。これら基油は単独で、または 2 種類以上組み合せて用いることができる。
これらの中で、耐熱性と潤滑性に優れたアルキルジフェニルエーテル油、または、ポリ-α-オレフィン油を用いることが好ましい。
これらの中で、耐熱性と潤滑性に優れたアルキルジフェニルエーテル油、または、ポリ-α-オレフィン油を用いることが好ましい。
本発明に使用できる増ちょう剤としては、ベントン、シリカゲル、フッ素化合物、リチウム石けん、リチウムコンプレックス石けん、力ルシウム石けん、カルシウムコンプレックス石けん、アルミニウム石けん、アルミニウムコンプレックス石けん等の石けん類、ジウレア化合物、ポリウレア化合物等のウレア系化合物が挙げられる。
これらの中で、耐熱性、コスト等を考慮するとウレア系化合物が望ましい。
これらの中で、耐熱性、コスト等を考慮するとウレア系化合物が望ましい。
ウレア系化合物は、イソシアネート化合物とアミン化合物とを反応させることにより得られる。反応性のある遊離基を残さないため、イソシアネート化合物のイソシアネート基とアミン化合物のアミノ基とは略当量となるように配合することが好ましい。
ジウレア化合物は、例えば、ジイソシアネートとモノアミンとの反応で得られる。ジイソシアネートとしては、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、オクタデカンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネー卜等が挙げられ、モノアミンとしては、オクチルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、アニリン、p-トルイジン、シクロヘキシルアミン等が挙げられる。ポリウレア化合物は、例えば、ジイソシアネートとモノアミン、ジアミンとの反応で得られる。ジイソシアネート、モノアミンとしては、ジウレア化合物の生成に用いられるものと同様のものが挙げられ、ジアミンとしては、エチレンジアミン、プロパンジアミン、ブタンジアミン、ヘキサンジアミン、オクタンジアミン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。
基油にウレア系化合物等の増ちょう剤を配合して、上記アルミニウム系添加剤等を配合するためのベースグリースが得られる。ウレア系化合物を増ちょう剤とするベースグリースは、基油中でイソシアネート化合物とアミン化合物とを反応させて作製する。
ベースグリース 100 重量部中に占める増ちょう剤の配合割合は、1〜40 重量部、好ましくは 3〜25 重量部配合される。増ちょう剤の含有量が 1 重量部未満では、増ちょう効果が少なくなり、グリース化が困難となり、 40 重量部をこえると得られたベースグリースが硬くなりすぎ、所期の効果が得られ難くなる。
ベースグリース 100 重量部中に占める増ちょう剤の配合割合は、1〜40 重量部、好ましくは 3〜25 重量部配合される。増ちょう剤の含有量が 1 重量部未満では、増ちょう効果が少なくなり、グリース化が困難となり、 40 重量部をこえると得られたベースグリースが硬くなりすぎ、所期の効果が得られ難くなる。
また、アルミニウム系添加剤とともに、必要に応じて公知のグリース用添加剤を含有させることができる。この添加剤として、例えば、有機亜鉛化合物、アミン系、フェノール系化合物等の酸化防止剤、ベンゾトリアゾールなどの金属不活性剤、ポリメタクリレート、ポリスチレン等の粘度指数向上剤、二硫化モリブデン、グラファイト等の固体潤滑剤、金属スルホネート、多価アルコールエステルなどの防錆剤、有機モリブデンなどの摩擦低減剤、エステル、アルコールなどの油性剤、りん系化合物などの摩耗防止剤等が挙げられる。これらを単独または 2 種類以上組み合せて添加できる。
本発明のグリース封入転がり軸受は、軸受保持器へのグリース溜りの配設と、アルミニウム系添加剤を含有するグリースの封入とにより、軸受転走面における水素脆性による特異な剥離の発生を効果的に抑制することができる。このため、玉軸受、円筒ころ軸受、円すいころ軸受、自動調心ころ軸受、針状ころ軸受、スラスト円筒ころ軸受、スラスト円すいころ軸受、スラスト針状ころ軸受、スラスト自動調心ころ軸受等も長寿命の軸受として使用することができる。
実施例1〜実施例8
表1に示した基油の半量に、4,4−ジフェニルメタンジイソシアナート(日本ポリウレタン工業社製商品名のミリオネートMT、以下、MDIと記す)を表1に示す割合で溶解し、残りの半量の基油にMDIの2倍当量となるモノアミンを溶解した。それぞれの配合割合および種類は表1のとおりである。
MDIを溶解した溶液を撹拌しながらモノアミンを溶解した溶液を加えた後、100℃〜120℃で 30 分間撹拌を続けて反応させて、ジウレア化合物を基油中に生成させた。
これにアルミニウム系添加剤および酸化防止剤を表1に示す配合割合で加えてさらに 100℃〜120℃で 10 分間撹拌した。その後冷却し、三本ロールで均質化し、グリースを得た。
表1に示した基油の半量に、4,4−ジフェニルメタンジイソシアナート(日本ポリウレタン工業社製商品名のミリオネートMT、以下、MDIと記す)を表1に示す割合で溶解し、残りの半量の基油にMDIの2倍当量となるモノアミンを溶解した。それぞれの配合割合および種類は表1のとおりである。
MDIを溶解した溶液を撹拌しながらモノアミンを溶解した溶液を加えた後、100℃〜120℃で 30 分間撹拌を続けて反応させて、ジウレア化合物を基油中に生成させた。
これにアルミニウム系添加剤および酸化防止剤を表1に示す配合割合で加えてさらに 100℃〜120℃で 10 分間撹拌した。その後冷却し、三本ロールで均質化し、グリースを得た。
表1において、基油として用いた合成炭化水素油は 40℃における動粘度 30 mm2/sec の新日鉄化学社製シンフルード601を、アルキルジフェニルエーテル油は 40℃における動粘度 97 mm2/sec の松村石油社製モレスコハイルーブLB100を、それぞれ用いた。また、酸化防止剤は住友化学社製ヒンダードフェノールを用いた。
得られたグリースを、転がり軸受(6203)に封入して以下に示す急加減速試験を行なった。なお、各実施例では該転がり軸受の保持器に図2に示すグリース溜りを形成した。
<急加減速試験>
電装補機の一例であるオルタネータを模擬し、回転軸を支持する内輪回転の転がり軸受として上記転がり軸受を用い、急加減速試験を行なった。急加減速試験条件は、回転軸先端に取り付けたプーリに対する負荷荷重を 1960 N 、回転速度は 0 rpm〜18000 rpm で運転条件を設定し、さらに、試験軸受内に 0.1 A の電流が流れる状態で試験を実施した。そして、軸受内に異常剥離が発生し、振動検出器の振動が設定値以上になって発電機が停止する時間を軸受寿命時間として計測した。なお、試験は軸受寿命時間として十分な水準である 500 時間で打ち切った。
電装補機の一例であるオルタネータを模擬し、回転軸を支持する内輪回転の転がり軸受として上記転がり軸受を用い、急加減速試験を行なった。急加減速試験条件は、回転軸先端に取り付けたプーリに対する負荷荷重を 1960 N 、回転速度は 0 rpm〜18000 rpm で運転条件を設定し、さらに、試験軸受内に 0.1 A の電流が流れる状態で試験を実施した。そして、軸受内に異常剥離が発生し、振動検出器の振動が設定値以上になって発電機が停止する時間を軸受寿命時間として計測した。なお、試験は軸受寿命時間として十分な水準である 500 時間で打ち切った。
比較例1〜比較例3
実施例1に準じる方法で、表1に示す配合割合で、増ちょう剤、基油を選択してベースグリースを調整し、さらに添加剤を配合してグリースを得た。得られたグリースを実施例1と同様の試験を行なって評価した。結果を表1に示す。
実施例1に準じる方法で、表1に示す配合割合で、増ちょう剤、基油を選択してベースグリースを調整し、さらに添加剤を配合してグリースを得た。得られたグリースを実施例1と同様の試験を行なって評価した。結果を表1に示す。
本発明のグリース封入転がり軸受は、転走面での脆性剥離を効果的に防止でき軸受寿命に優れるので、オルタネータ、カーエアコン用電磁クラッチ、中間プーリ、電動ファンモータ等の自動車電装部品、補機等の転がり軸受として好適に利用できる。
1 保持器
2 グリース封入軸受
3 内輪
4 外輪
5 転動体
6 シール部材
7 グリース
2 グリース封入軸受
3 内輪
4 外輪
5 転動体
6 シール部材
7 グリース
Claims (5)
- 内輪および外輪と、これら内外輪の転走面間に介在する複数の転動体と、該複数の転動体を保持する保持器とを備え、この転動体の周囲にグリースを封入してなる転がり軸受において、
前記保持器は、環状体の一側面に周方向で対向する一対の爪を等間隔に形成して一対の爪間に転動体を保持するポケット部を有し、前記ポケット部の内面に前記環状体の周方向に連続するグリース溜りが形成されてなり、
前記グリースは、基油と増ちょう剤とからなるベースグリースに添加剤を配合してなり、前記添加剤はアルミニウム粉末およびアルミニウム化合物から選ばれた少なくとも一つのアルミニウム系添加剤を含有し、該アルミニウム系添加剤の配合割合はベースグリース 100 重量部に対して 0.05〜10 重量部であることを特徴とするグリース封入転がり軸受。 - 前記保持器は、合成樹脂製保持器であることを特徴とする請求項1記載のグリース封入転がり軸受。
- 前記アルミニウム化合物は、炭酸アルミニウムおよび硝酸アルミニウムから選ばれた少なくとも一つの化合物であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のグリース封入転がり軸受。
- 前記増ちょう剤は、ウレア系増ちょう剤であることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載のグリース封入転がり軸受。
- 前記基油は、アルキルジフェニルエーテル油およびポリ-α-オレフィン油から選ばれた少なくとも一つの油であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項記載のグリース封入転がり軸受。
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JP2006292665A JP2008106911A (ja) | 2006-10-27 | 2006-10-27 | グリース封入転がり軸受 |
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JP2010106952A (ja) * | 2008-10-30 | 2010-05-13 | Ntn Corp | 転がり軸受、画像形成装置、自動車補機およびモータ |
-
2006
- 2006-10-27 JP JP2006292665A patent/JP2008106911A/ja active Pending
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