JP2007064442A - 燃料電池システム用転がり軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】
水素脆性による転走面での剥離を効果的に防止できる燃料電池システム用転がり軸受を提供する。
【解決手段】
燃料電池システム用転がり軸受であって、上記転がり軸受は、内輪および外輪と、この内輪および外輪間に介在する複数の転動体とを備え、この転動体の周囲にグリース組成物を封止するためのシール部材を上記内輪および外輪の軸方向両端開口部に設けてなり、上記グリース組成物は、基油に、増ちょう剤とからなるベースグリースに添加剤を配合してなり、上記添加剤は、無機マグネシウムおよび有機マグネシウムから選ばれた少なくとも一つのマグネシウム系添加剤を含有し、該マグネシウム系添加剤の配合割合はベースグリース 100 重量部に対して 0.05〜10 重量部である。
【選択図】 図1

Description

本発明は燃料電池システム用転がり軸受に関し、特に燃料電池システム内の各種流体を圧送する圧送機に用いられる燃料電池システム用転がり軸受に関する。
近年、自動車の新しい動力源または分散型発電装置として燃料電池システムが注目されている。燃料電池は、出力密度が高く、低温で作動し、電池構成材料の劣化が少なく、起動が容易である固体高分子電解質型燃料電池が、自動車等の輸送体の動力源として有効とされている。
燃料電池システムでは燃料電池セルに、燃料である水素、水素リッチ改質ガス、および酸化剤としての空気を圧送する必要があり、スーパーチャージャ、インペラ型圧送機、スクロール型圧送機、斜板型圧送機、スクリュー型圧送機などの各種圧送機が使用されている。
また、固体高分子電解質型燃料電池では、発電のための化学反応により燃料の水素と、酸化剤である空気とが反応して水が生成することや、高分子膜が固体電解質として機能できるように、加湿器により加湿され、常に水分を含んだ状態に維持されるので、圧送機が圧送する気体には水分が混入している。この水分が軸受内に浸入すると潤滑不良により金属接触が発生し、転がり軸受の転走面に白色組織変化を伴なった早期剥離が発生することがある。
この特異的な剥離は、通常の金属疲労により生じる転走面内部からの剥離と異なり、転走面表面の比較的浅いところから生じる破壊現象で、水素が原因の水素脆性と考えられている。このような早期に発生する白色組織変化を伴った特異な剥離現象を防ぐ方法として、例えばグリース組成物に不動態化剤を添加する方法(特許文献1参照)やビスマスジチオカーバメートを添加する方法(特許文献2参照)が知られている。
しかしながら、近年の燃料電池システム用転がり軸受の使用条件の過酷化に伴い、不動態化剤を添加する方法やビスマスジチオカーバメートを添加する方法では充分な対策ができなくなってきている。
また、発電量の増加の要望に対応して、圧送機はより高速化、高性能化が求められており、転がり軸受も高速、高荷重下で回転するため軸受部が 180℃程度の高温になる場合があることから、耐熱性に優れることも要求される。
特開平3−210394号公報 特開2005−42102号公報
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、水素脆性による転走面での剥離を効果的に防止できる燃料電池システム用転がり軸受の提供を目的とする。
本発明の燃料電池システム用転がり軸受は、燃料電池システムに用いられる流体を圧送するための圧送機に設けられている回転部位を回転自在に支持する燃料電池システム用転がり軸受であって、該転がり軸受は、内輪および外輪と、この内輪および外輪間に介在する複数の転動体とを備え、該転動体の周囲にグリース組成物を封止するためのシール部材を上記内輪および外輪の軸方向両端開口部に設けてなり、上記グリース組成物は、基油と、増ちょう剤とからなるベースグリースに添加剤を配合してなるグリース組成物であり、上記添加剤は、無機マグネシウム(以下、マグネシウムをMgと記す)および有機Mgから選ばれた少なくとも一つのMg系添加剤を含有し、該Mg系添加剤の配合割合はベースグリース 100 重量部に対して 0.05〜10 重量部であることを特徴とする。
上記無機Mgは、Mg粉末であることを特徴とする。
上記有機Mgは、ステアリン酸Mgであることを特徴とする。
上記増ちょう剤は、ウレア系またはリチウム石けん系増ちょう剤であることを特徴とする。
本発明の燃料電池システム用転がり軸は、受燃料電池システムに用いられる流体を圧送するための圧送機に設けられる回転部位を回転自在に支持する燃料電池システム用転がり軸受であって、該軸受に封入されたグリース組成物が、軸受部における摩擦摩耗面または摩耗により露出した鉄系金属新生面において酸化鉄とともにMg化合物を含有する膜を形成できる、無機Mgおよび有機Mgから選ばれた少なくとも一つのMg系添加剤を含有することを特徴とする。
本発明の燃料電池システム用転がり軸受は、該軸受に封入されたグリース組成物が、基油と増ちょう剤とからなるグリースに無機Mgまたは有機Mgから選ばれた少なくとも一つのMg系添加剤を配合してなるので、単位時間当りの停止−起動−運転−停止動作の繰り返しが頻繁に行なわれる燃料電池システムにおいて、使用される転がり軸受で見られる水素脆性による特異な剥離の発生を抑制することができ、燃料電池システム用転がり軸受の長寿命化が可能となる。
燃料電池システム用転がり軸受について、水素脆性による転走面での剥離を効果的に防止できる方法を鋭意検討の結果、基油と増ちょう剤とからなるグリースに無機Mgまたは有機Mgから選ばれた少なくとも一つのMg系添加剤を配合をベースグリース 100 重量部に対して 0.05〜10 重量部配合したグリース組成物を封入した燃料電池システム用転がり軸受を用いて、寿命試験を行なったところ軸受寿命を延長できることがわかった。
基油と増ちょう剤とからなるグリースに無機Mgまたは有機Mgから選ばれた少なくとも一つのMg系添加剤をベースグリース 100 重量部に対して 0.05〜10 重量部配合することにより、摩擦摩耗面または摩耗により露出した金属新生面でMg系添加剤が分解・反応し、酸化鉄とともにMg化合物被膜が軸受転走面に生成されることがわかった。この軸受転走面に生成したMg化合物被膜が、グリース組成物の分解による水素の発生を抑制するとともに、燃料電池システム内において定常的に補給される水分から電気分解反応により発生する可能性のある水素の侵入を防止して、水素脆性による特異な剥離を防止できるため、転がり軸受の寿命が延長するものと考えられる。本発明はこれらの知見に基づくものである。
本発明の燃料電池システム用転がり軸受の一例を図1に示す。図1はグリース組成物が封入されている深溝玉軸受の断面図である。
深溝玉軸受1は、外周面に内輪転走面2aを有する内輪2と内周面に外輪転走面3aを有する外輪3とが同心に配置され、内輪転走面2aと外輪転走面3aとの間に複数個の転動体4が配置される。この複数個の転動体4を保持する保持器5および外輪3等に固定されるシール部材6が内輪2および外輪3の軸方向両端開口部8a、8bにそれぞれ設けられている。少なくとも転動体4の周囲にグリース組成物7が封入される。
本発明の燃料電池システム用転がり軸受が用いられる圧送機の一例を図2に示す。図2は燃料電池車に使用されるインペラ型圧送機の断面図である。図2において、点線で囲まれた矢印は気体を表わす。図2に示すように、インペラ型圧送機は、インペラ9が固定された回転軸10を、軸方向に間隔をおいて配置した複数個の転がり軸受1によりケーシング11に支承して構成されている。モータなどの動力を受けて回転する回転軸10が高速回転するとインペラ9も高速回転し、気体吸込み口12から吸込まれた気体がインペラ9の遠心力によって加圧され、ケーシング11とバックプレート13とで形成された加圧ボリュート14を経て気体吐出口15から圧送される。
加圧ボリュート14から転がり軸受1へ気体が漏洩しないように、バックプレート13と回転軸10とは、その間に配設されたシールリング17によって、シールされている。しかし、このインペラ型圧送機では、回転軸10の高速回転に伴ってシールリング17のシール性が低下してくると、気体は、インペラ9の背面の背面空間16から回転軸10とシールリング17との間隙18を通って転がり軸受1に達してしまう。これを防ぐために、メカニカルシール19が配設されている。メカニカルシール19のシール性については、メカニカルシール19と回転軸10との摺動面は気体中に含まれる水蒸気による水潤滑状態であるので、このままだと水蒸気等が漏れて軸受1側に浸入してしまい、水蒸気等が軸受1内部に浸入して軸受1が劣化してしまうおそれがある。
このため本発明の燃料電池システム用転がり軸受においては、インペラ9側からの水蒸気の浸入を防止すると共に、軸受1内部に封入したグリース組成物7(図1参照)の漏洩を防止する目的で、軸受1に耐水素脆性を有するシール部材6(図1参照)が設けられている。
本発明の燃料電池システム用転がり軸受において、軸受転走面に生成する被膜は、軸受に封入されたグリース組成物に含まれる無機Mgまたは有機Mgから選ばれた少なくとも一つのMg系添加剤が、摩擦摩耗面または摩耗により露出した金属新生面で分解・反応し、Mg化合物被膜として形成される。
軸受転走面に生成したMg化合物被膜は、グリース組成物の分解による水素の発生を抑制するとともに、燃料電池システム内において定常的に補給される水分から電気分解反応により発生する可能性のある水素の侵入を防止することによって、水素脆性による特異な剥離を防止できる。
本発明の燃料電池システム用転がり軸受に使用できる無機Mgとしては、Mg粉末、炭酸Mg、塩化Mg、硝酸Mgおよびその水和物、硫酸Mg、フッ化Mg、臭化Mg、ヨウ化Mg、オキシフッ化Mg、オキシ塩化Mg、オキシ臭化Mg、オキシヨウ化Mg、酸化Mgおよびその水和物、水酸化Mg、セレン化Mg、テルル化Mg、リン酸Mg、オキシ過塩素酸Mg、オキシ硫酸Mg、サリチル酸Mg、チタン酸Mg、ジルコン酸Mg、モリブデン酸Mg等が挙げられるが、本発明において、特に好ましいのは、耐熱耐久性に優れ、熱分解しにくいため、極圧性効果の高いMg粉末である。
これら無機Mgは、1 種類、または 2 種類を混合してグリースに添加してもよい。
本発明の燃料電池システム用転がり軸受に使用できる有機Mgとしては、有機酸Mg塩であることが好ましい。有機酸Mg塩を構成する有機酸としては、芳香族系有機酸、脂肪族系有機酸、または脂環族系有機酸等の塩であればいずれも使用できる。
有機酸の具体例を例示すれば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸、2-エチルヘキシル酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキン酸等の1価飽和脂肪酸、アクリル酸、クロトン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ガドレイン酸等の1価不飽和脂肪酸、マロン酸、メチルマロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、ジメチルマロン酸、エチルマロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ジメチルコハク酸、ピメリン酸、テトラメチルコハク酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸等の2価飽和脂肪酸、フマル酸、マレイン酸、オレイン酸等の2価不飽和脂肪酸、酒石酸、クエン酸等の脂肪酸誘導体、安息香酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族有機酸、ナフテン酸等の脂環族有機酸が挙げられる。
これらの中で潤滑性に優れたステアリン酸を用いることが好ましい。これらは単独でも混合物としても使用できる。
本発明に使用できる基油は、スピンドル油、冷凍機油、タービン油、マシン油、ダイナモ油等の鉱油、高精製度鉱油、流動パラフィン、フィッシャー・トロプシュ法により合成されたGTL油、ポリブテン、ポリ-α-オレフィン油、アルキルナフタレン、脂環式化合物等の炭化水素系合成油、または、天然油脂、ポリオールエステル油、リン酸エステル油、ポリマーエステル油、芳香族エステル油、炭酸エステル油、ジエステル油等のエステル油、リグリコール油、シリコーン油、ポリフェニルエーテル油、アルキルジフェニルエーテル油、アルキルベンゼン油、フッ素化油等の非炭化水素系合成油等を使用できる。
これらの中で、耐熱性と潤滑性に優れたアルキルジフェニルエーテル油、ポリ-α-オレフィン油、ポリオールエステル油、鉱油を用いることが好ましい。
本発明に使用できる増ちょう剤としては、ベントン、シリカゲル、フッ素化合物、リチウム石けん、リチウムコンプレックス石けん、力ルシウム石けん、カルシウムコンプレックス石けん、アルミニウム石けん、アルミニウムコンプレックス石けん等の石けん類、ジウレア化合物、ポリウレア化合物等のウレア系化合物が挙げられる。これらの中でリチウム系石けんおよびウレア系化合物が好ましく、耐熱性、コスト等を考慮するとウレア系化合物が特に望ましい。
ウレア系化合物は、イソシアネート化合物とアミン化合物を反応させることにより得られる。反応性のある遊離基を残さないため、イソシアネート化合物のイソシアネート基とアミン化合物のアミノ基とは略当量となるように配合することが好ましい。
基油にウレア系化合物を配合して各種配合剤を配合するためのベースグリースが得られる。ベースグリースは、基油中でイソシアネート化合物とアミン化合物とを反応させて作製する。
ジウレア化合物は、例えば、ジイソシアネートとモノアミンとの反応で得られる。ジイソシアネートとしては、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、オクタデカンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネー卜等が挙げられ、モノアミンとしては、オクチルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、アニリン、p−トルイジン、シクロヘキシルアミン等が挙げられる。ポリウレア化合物は、例えば、ジイソシアネートとモノアミン、ジアミンとの反応で得られる。ジイソシアネート、モノアミンとしては、ジウレア化合物の生成に用いられるものと同様のものが挙げられ、ジアミンとしては、エチレンジアミン、プロパンジアミン、ブタンジアミン、ヘキサンジアミン、オクタンジアミン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。
ベースグリースにおける増ちょう剤の配合割合は、ベースグリース 100 重量部 の中で増ちょう剤が 1〜40 重量部、好ましくは 3〜25 重量部配合される。増ちょう剤の含有量が 1 重量部未満では、増ちょう効果が少なくなり、グリース化が困難となり、40 重量部をこえると得られたベースグリースが硬くなりすぎ、所期の効果が得られ難くなる。
無機Mgおよび有機Mgから選ばれた少なくとも1つのMg系添加剤の配合割合は、上記ベースグリース 100 重量部に対して 0.05〜10 重量部である。すなわち、(1)Mg系添加剤が無機Mgのみである場合、ベースグリース 100 重量部に対して無機Mgを 0.05〜10 重量部、(2)Mg系添加剤が有機Mgのみである場合、ベースグリース 100 重量部に対して有機Mgを 0.05〜10 重量部、(3)Mg系添加剤が無機Mgと有機Mgとである場合、ベースグリース 100 重量部に対して、無機Mgと有機Mgとを合せて0.05〜10 重量部配合する。
Mg系添加剤の配合割合は、好ましくは 0.01〜5 重量部である。配合量が 0.01 重量部未満であると水素脆性による転走面での剥離を効果的に防止できない。また、配合量が 10 重量部をこえると剥離抑制効果が頭打ちになりコストが高くなるとともに、潤滑不良を引き起こし、表面起点型の疲労剥離が生じ易くなる。
また、Mg系添加剤とともに、必要に応じて公知のグリース用添加剤を含有させることができる。この添加剤として、例えば、有機亜鉛化合物、アミン系、フェノール系化合物等の酸化防止剤、ベンゾトリアゾールなどの金属不活性剤、ポリメタクリレート、ポリスチレン等の粘度指数向上剤、二硫化モリブデン、グラファイト等の固体潤滑剤、金属スルホネート、多価アルコールエステルなどの防錆剤、有機モリブデンなどの摩擦低減剤、エステル、アルコールなどの油性剤、リン系化合物などの摩耗防止剤等が挙げられる。これらを単独または 2 種類以上組み合せて添加できる。
実施例1〜実施例4
表1に示した基油の半量に、4,4−ジフェニルメタンジイソシアナート(日本ポリウレタン工業社製ミリオネートMT、以下、MDIと記す)を表1に示す割合で溶解し、残りの半量の基油にMDIの 2 倍当量となるモノアミンを溶解した。それぞれの配合割合および種類は表1のとおりである。
MDIを溶解した溶液を撹拌しながらモノアミンを溶解した溶液を加えた後、100〜120℃で 30 分間撹拌を続けて反応させて、ジウレア化合物を基油中に生成させた。
これにMg系添加剤および酸化防止剤を表1に示す配合割合で加えてさらに 100〜120℃で 10 分間撹拌した。その後冷却し、三本ロールで均質化し、グリース組成物を得た。
表1において、基油として用いた合成炭化水素油は 40℃における動粘度 47 mm2/secのmm2/sec新日鉄化学社製シンフルード801を、アルキルジフェニルエーテル油は 40℃における動粘度 97 mm2/sec の松村石油社製モレスコハイルーブLB100を、ポリオールエステル油は 40℃における動粘度 33 mm2/sec の花王社製カオルーブ268を、それぞれ用いた。また、鉱油は動粘度 30.7 mm2/sec( 40℃)のパラフィン系鉱油を用いた。
酸化防止剤はアルキル化ジフェニルアミンを用いた。
得られたグリース組成物の混和ちょう度測定、高温高速試験、急加減速試験を行なった。ちょう度測定は日本工業規格JIS K2220による方法で行ない、高温高速試験、急加減速試験については試験方法および試験条件を以下に示す。また、結果を表1に示す。
高温高速試験
転がり軸受(6204)に各実施例で得られたグリース組成物をそれぞれ 1.8 g 封入し、軸受外輪外径部温度 180℃、ラジアル荷重 67 N 、アキシャル荷重 67 N の下で、 10000 rpm の回転数で回転させ、焼きつきに至るまでの時間を測定した。
急加減速試験
転がり軸受(6303)に各実施例で得られたグリース組成物をそれぞれ 2.3 g 封入し、負荷荷重をかけるために、内輸回転の転がり軸受に組み込み、急加減速試験を行なった。急加減速試験条件は、回転軸先端に取り付けたプーリに対する負荷荷重を 3234 N 、回転速度は 0〜18000 rpm で運転条件を設定した。そして、軸受内に異常剥離が発生し、振動検出器の振動が設定値以上になって発電機が停止する時間を計測した。なお、試験にはグリース組成物 100 重量部に対して予め純水 1 重量部を混入させたグリース組成物を用いた。試験は 100 時間で打ち切った。
実施例5および実施例6
表1に示した基油にLi−12−ヒドロキシステアレートを投入し、撹拌しながら 200℃にて加熱溶解した。なお、それぞれの配合割合は表1の通りである。その後冷却し、これに、Mg系添加剤および酸化防止剤を表1に示す配合割合で加えて、三本ロールで均質化し、グリース組成物を得た。このグリース組成物について、実施例1と同様に高温高速試験および急加減速試験を行なった。ただし、Li石けんグリースの耐熱性を考え、高温高速試験は 150℃にて行なった。結果を表1に示す。結果を表1に示す。
比較例1〜比較例5
実施例1に準じる方法で、表1に示す配合割合で、増ちょう剤、基油を選択してベースグリースを調整し、さらに添加剤を配合してグリース組成物を得た。得られたグリース組成物を実施例1と同様の試験を行なって評価した。結果を表1に示す。
Figure 2007064442
表1に示すように、各実施例の燃料電池システム用転がり軸受の剥離発生寿命時間は全て 100 時間以上を示した。よって、各実施例のグリース組成物を用いた転がり軸受は転走面で生じる白色組織変化を伴った特異的な剥離を効果的に防止できることがわかる。
本発明の燃料電池システム用転がり軸受は、転がり軸受に封入するグリース組成物が、転がり軸受の転走面で生じる白色組織変化を伴った特異的な剥離を効果的に防止でき軸受寿命に優れるので、燃料電池システム用転がり軸受として好適に利用できる。
深溝玉軸受の断面図である。 インペラ型圧送機の断面図である。
符号の説明
1 グリース封入軸受(転がり軸受)
2 内輪
3 外輪
4 転動体
5 保持器
6 シール部材
7 グリース組成物
8a、8b 開口部
9 インペラ
10 回転軸
11 ケーシング
12 気体吸込み口
13 バックプレート
14 加圧ボリュート
15 気体吐出口
16 背面空間
17 シールリング
18 間隙
19 メカニカルシール

Claims (5)

  1. 燃料電池システムに用いられる流体を圧送するための圧送機に設けられている回転部位を回転自在に支持する燃料電池システム用転がり軸受であって、
    該転がり軸受は、内輪および外輪と、この内輪および外輪間に介在する複数の転動体とを備え、該転動体の周囲にグリース組成物を封止するためのシール部材を前記内輪および外輪の軸方向両端開口部に設けてなり、前記グリース組成物は、基油と、増ちょう剤とからなるベースグリースに添加剤を配合してなるグリース組成物であり、
    前記添加剤は、無機マグネシウムおよび有機マグネシウムから選ばれた少なくとも一つのマグネシウム系添加剤を含有し、該マグネシウム系添加剤の配合割合はベースグリース 100 重量部に対して 0.05〜10 重量部であることを特徴とする燃料電池システム用転がり軸受。
  2. 前記無機マグネシウムは、マグネシウム粉末であることを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム用転がり軸受。
  3. 前記有機マグネシウムは、ステアリン酸マグネシウムであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の燃料電池システム用転がり軸受。
  4. 前記増ちょう剤は、ウレア系またはリチウム石けん系増ちょう剤であることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載の燃料電池システム用転がり軸受。
  5. 燃料電池システムに用いられる流体を圧送するための圧送機に設けられる回転部位を回転自在に支持する燃料電池システム用転がり軸受であって、
    該軸受に封入されたグリース組成物が、軸受部における摩擦摩耗面または摩耗により露出した鉄系金属新生面において酸化鉄とともにマグネシウム化合物を含有する膜を形成できる、無機マグネシウムおよび有機マグネシウムから選ばれた少なくとも一つのマグネシウム系添加剤を含有することを特徴とする燃料電池システム用転がり軸受。
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