JP2004245381A - 転がり軸受、燃料電池システム用圧送機及び燃料電池システム - Google Patents

転がり軸受、燃料電池システム用圧送機及び燃料電池システム Download PDF

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雄次郎 戸田
Yasunobu Fujita
安伸 藤田
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    • F04C18/0207Rotary-piston pumps specially adapted for elastic fluids of arcuate-engagement type, i.e. with circular translatory movement of co-operating members, each member having the same number of teeth or tooth-equivalents both members having co-operating elements in spiral form
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Abstract

【課題】基油の揮発量が少なく、高温、高速、高荷重及び振動が激しい使用条件でも長期にわたり安定して作動し、低温で使用されたときでも異音の発生が少ない、特に燃料電池システムの圧送機に好適な転がり軸受、前記転がり軸受を具備して長期にわたり安定作動する燃料電量システム用圧送機及び前記圧送機を具備して長期にわたり安定した発電を行い得る燃料電池システムを提供する。
【解決手段】内輪と外輪との間に複数の転動体を転動自在に保持し、グリースを封入してなる転がり軸受において、前記グリースの基油が、ジフェニルスルフィドのアルキル置換体を基油全体の30質量%以上の割合で含有し、かつ増ちょう剤がウレア化合物である転がり軸受、前記転がり軸受を具備する燃料電池用圧送機並びに前記圧送機を具備する燃料電池システム。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に燃料電池システムの圧送機に好適な転がり軸受、前記転がり軸受を具備する燃料電池システム用の圧送機、並びに前記圧送機を具備した燃料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
エネルギー需給問題、大気汚染や二酸化炭素による地球温暖化等の環境問題に対し、クリーンな排気及び高エネルギー効率を可能にする燃料電池が注目を浴びている。燃料電池は、水素や水素リッチな改質ガスと酸素等(空気)の酸化剤との電気化学反応によって化学エネルギーを電気エネルギーに変換するエネルギーシステムである。燃料電池に用いられる電解質には、固体高分子、リン酸水溶液、溶融炭酸塩、アルカリ水溶液等があるが、中でも、固体高分子電解質型燃料電池は、比較的低温(100℃以下)で発電が行われ、出力密度が高く、低温で作動し、電池構成材料の劣化が少なく、起動が容易である等の長所があることから、特に、自動車等の輸送体の動力源として有効とされており、種々の燃料電池システムが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
固体高分子電解質型燃料電池の基本的構成は、固体高分子電解質膜の両面を、白金等の貴金属を触媒とする多孔質のカソード(酸素極)とアノード(燃料極)の両ガス拡散電極で挟んで重ね合わせてなるセルを、セパレータを介して積層して燃料電池スタックとし、各セパレータの表裏両面にガス通路を形成し、カソード側のガス通路には酸化剤ガスを給排させ、アノード側のガス通路には燃料ガスを給排させるようにした構成が一般的である。
【0004】
これらの固体高分子電解質型燃料電池を用いた燃料電池システムでは、水素や水素リッチな改質ガス、酸化剤として多量の空気を輸送するために圧送機が使用されており、これらの気体を安定に輸送するための改良がなされた圧送機が種々提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】
特開平11−307112号公報
【特許文献2】
特開2002−231294号公報
【特許文献3】
特開2002−70764号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
燃料電池システムでは、発電量や発電効率を高めるために各種気体の輸送量が高まる傾向にあり、圧送機は輸送能力を高めるためにより高速で運転されるようになってきている。それに伴い、圧送機に組み込まれている転がり軸受もかなりの高速、高荷重下で回転されており、封入グリースには耐熱性や耐荷重性に優れることが必要になっている。また、封入グリースには、基油の蒸発分が気体とともに輸送されると、パーティクルとなって燃料電池スタックに付着して発電効率を低下させることもあることから、基油が低揮発性であることも重要な要件となっている。
【0006】
更に、燃料電池システムの有用な応用分野として自動車があるが、自動者は使用環境に関わらず安定して作動、走行しなければならない。例えば、寒冷地では低温による流動性の低下に起因して異音が発生し易いが、燃料電池システムを搭載した自動車はガソリンエンジン車に比べて騒音が格段に少ないため、ガソリンエンジン車に比べて異音は格段に知覚されやすい。また、自動車は凹凸の大きな悪路も走行しなければならず、搭載される燃料電池システムは振動に強いことも必要である。
【0007】
このように、燃料電池システムに使用される圧送機や転がり軸受には、種々の特性が要求され、それらを同時に満足する必要があり、しかも要求の度合いも高まることは必至である。従って、本発明は、基油の揮発量が少なく、高温、高速、高荷重及び振動が激しい使用条件でも長期にわたり安定して作動し、更に低温で使用されたときでも異音の発生が少ない、特に燃料電池システムの圧送機に好適な転がり軸受を提供することを目的とする。また、前記転がり軸受を具備し、長期にわたり安定作動する燃料電池システム用圧送機、並びに前記圧送機を具備し、長期にわたり安定した発電を行い得る燃料電池システムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、ジフェニルスルフィドのアルキル置換体は揮発性が低く、これを特定量含有する基油を用いたグリースを封入した転がり軸受が優れた耐熱性及び耐荷重性を兼ね備え、低温での異音の発生も無くなり、長寿命になることを知見した。本発明は、このような知見に基づくものである。
【0009】
即ち、上記の目的を達成するために本発明は、
(1)内輪と外輪との間に複数の転動体を転動自在に保持し、グリースを封入してなる転がり軸受において、前記グリースの基油がジフェニルスルフィドのアルキル置換体を基油全体の30質量%以上の割合で含有し、かつ増ちょう剤がウレア化合物であることを特徴とする転がり軸受、
(2)前記グリースの離油度が1.0質量%以下であることを特徴とする請求項1記載の転がり軸受、
(3)燃料電池システムの圧送機に組み込まれることを特徴とする上記(1)または(2)記載の転がり軸受、
(4)上記(3)記載の転がり軸受を具備することを特徴とする燃料電池システム用圧送機、
(5)少なくとも、燃料電池スタック及び各種流体を輸送するための圧送機を具備する燃料電池システムであって、前記圧送機が上記(4)記載の燃料電池システム用圧送機であることを特徴とする燃料電池システム
を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に関して詳細に説明する。
【0011】
(転がり軸受)
本発明において、転がり軸受の構成自体は制限されるものではなく、例えば図1に示すような玉軸受300を例示することができる。図示される玉軸受300は、内輪501と外輪302との間に保持器303を介して複数の転動体である玉304を略等間隔で回動自在に保持してなり、本発明においては更に内輪301、外輪302及び玉304で形成される空所Sに、下記のグリース(図示せず)を所定量充填し、シール部材305で封止して構成されている。尚、グリースの封入量は、従来と同様に、軸受空間容積の5〜50容積%の範囲で使用条件に応じて選定する。
【0012】
グリースにおいて、基油は下記一般式(I)、(II)に示すジフェニルスルフィドのアルキル置換体を30質量%以上含有する。
【0013】
【化1】
Figure 2004245381
【0014】
式中、R及びR´は炭素数が10〜20の炭化水素基であり、互いに同一でも相違していてもよい。また、m、nは1≦m+n≦4を満たす0以上の整数である。中でも、R及びR´がともに炭素数12及び14で構成される炭化水素基のジフェニルスルフィドが好ましい。
【0015】
耐熱性に優れる潤滑油として、ポリフェニルエーテル油、シリコーン油、フッ素油等が知られているが、ポリフェニルエーテル油及びフッ素油は非常に高価であり、シリコーン油は一般的に潤滑性が悪いという欠点を抱えている。これに対し、ジフェニルスルフィドのアルキル置換体は、安価でありながらも、潤滑性に優れ、更には耐熱性や耐酸化性、耐摩耗性にも優れるという利点を有する。従って、本発明の目的を達成するには、このジフェニルスルフィドのアルキル置換体は基油中に30質量%以上含まれることが必要であり、ジフェニルスルフィドのアルキル置換体の含有量は多いほど潤滑性や耐熱性、耐酸化性、耐摩耗性等が高まる。焼付き寿命を重視する場合には、基油をジフェニルスルフィドのアルキル置換体単独とすることが好ましい。但し、コスト面を考慮すると、ジフェニルスルフィドのアルカリ置換体は基油全量の50〜75質量%が好ましい。
【0016】
但し、ジフェニルスルフィドのアルカリ置換体の含有量が多くなるほど、流動性に劣るようになり、特に低温での異音発生を抑える必要がある場合は他の潤滑油を混合使用して基油の流動点を低下させ、低温流動性を改善することができる。具体的には、基油は、40℃における動粘度が20〜200mm/s、特に40〜150mm/sであることが好ましく、この範囲の動粘度となるように他の潤滑油を混合して基油を調製する。
【0017】
ジフェニルスルフィドのアルキル置換体と併用できる潤滑油としては、耐熱性、耐酸化性、耐荷重性等に優れるものが好ましく、合成炭化水素油、エーテル油、エステル油が好ましい。合成炭化水素油としてはポリ−α−オレフィン油等を、エーテル油としてはジアルキルジフェニルエーテル油、アルキルトリフェニルエーテル油、アルキルテトラフェニルエーテル油等を、エステル油としてはジエステル油、ネオペンチル型ポリオールエステル油、またはこれらのコンプレックスエステル油、芳香族エステル油等を挙げることができる。これらの潤滑油は単独でもよいし、適宜組み合わせて使用してもよい。中でも、高温、高速、高荷重、振動が激しい等の条件での使用に耐え得る潤滑性能及び焼付き寿命向上のための耐熱性、更には低温での異音発生を抑制するための低音流動性等を考慮すると、ペンタエリスリトールエステルやジペンタエリスリトールエステル等のポリオールエステル油や芳香族エステル油、合成炭化水素油を混合使用することが好ましい。
【0018】
上記の基油には、増ちょう剤としてウレア化合物が配合される。金属石けん系増ちょう剤は耐熱性に劣るため、本発明では増ちょう剤としてウレア化合物を用いる。耐熱性に優れる増ちょう剤としてナトリウムテレフタラメート、フッ素樹脂、粘土鉱物等が知られているが、ナトリウムテレフタラメートは離油度が大きく、フッ素樹脂は高価であり、粘土鉱物は音響性能に劣る等、それぞれ欠点を抱えている。これに対し,ウレア化合物は安価であり、耐熱性や音響特性等にバランス良く優れる。また、上記の基油に対する離油度を1.0質量%以下に抑えることができ、潤滑寿命も向上する。更に、ウレア化合物は、金属石けん系増ちょう剤と異なり、分子中に金属元素を含まないため、グリースが飛散して燃料電池スタックに付着した場合でも触媒毒となることはない。
【0019】
ウレア化合物として例えばジウレア化合物、トリウレア化合物、テトラウレア化合物、ポリウレア化合物を使用できるが、中でも下記一般式(III)で表されるジウレア化合物が好ましい。
−NHCO−R−NHCO−R ・・・(III)
(式中、R炭素数6〜15の芳香族系炭化水素基を表す。R,Rはそれぞれ炭化水素基または縮合環炭化水素基を表し、同一でも異なっていてもよく、また炭化水素基は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基の何れでもよく、更に縮合炭化水素基の場合に炭素数は9〜19が好ましい。)
【0020】
上記一般式(III)で表されるジウレア化合物は、基油中で、Rを骨格中に含むジイソシアネート1モルに対して、RまたはRを骨格中に含むモノアミンを合計で2モルの割合で反応させることにより得られる。
【0021】
を骨格中に含むジイソシアネートとしては、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ビフェニレンジイソシアネート、ジメチルジフェニルイソシアネートあるいはこれらのアルキル置換体を好適に使用できる。
【0022】
またはRとして炭化水素基を骨格中に含むモノアミンとしては、アニリン、シクロヘキシルアミン、オクチルアミン、トルイジン、ドデシルアニリン、オクタデシルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、ノニルアミン、エチルヘキシルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ナノデシルアミン、エイコデシルアミン、オレイルアミン、リノレイルアミン、リノレニルアミン、メチルシクロヘキシルアミン、エチルシクロヘキシルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジエチルシクロヘキシルアミン、ブチルシクロヘキシルアミン、プロピルシクロヘキシルアミン、アミルシクロヘキシルアミン、シクロオクチルアミン、ベンジルアミン、ベンズヒドリルアミン、フェネルアミン、メチルベンジルアミン、ビフェニルアミン、フェニルイソプロピルアミン、フェニルヘキシルアミン等を好適に使用できる。
【0023】
またはRとして縮合環炭化水素基を骨格中に含むモノアミンとしては、アミノインデン、アミノインダン、アミノ−1−メチルインデン等のインデン系アミン化合物、アミノナフタレン(ナフチルアミン)、アミノメチルナフタレン、アミノエチルナフタレン、アミノジメチルナフタレン、アミノカダレン、アミノビニルナフタレン、アミノフェニルナフタレン、アミノベンジルナフタレン、アミノジナフチルアミン、アミノビナフチル、アミノ−1,2−ジヒドロナフタレン、アミノ−1,4−ジヒドロナフタレン、アミノテトラヒドロナフタレン、アミノオクタレン等のナフタレン系アミン化合物、アミノペンタレン、アミノアズレン、アミノヘプタレン等の縮合二環系アミン化合物、アミノフルオレン、アミノ−9−フェニルフルオレン等のアミノフルオレン系アミン化合物、アミノアントラセン、アミノメチルアントラセン、アミノジメチルアントラセン、アミノフェニルアントラセン、アミノ−9,10−ジヒドロアントラセン等のアントラセン系アミン化合物、アミノフェナントレン、アミノ−1,7−ジメチルフェナントレン、アミノレテン等のフェナントレン系アミン化合物、アミノビフェニレン、アミノ−s−インダセン、アミノ−as−インダセン、アミノアセナフチレン、アミノアセナフテン、アミノフェナレン等の縮合三環系アミン化合物、アミノナフタセン、アミノクリセン、アミノピレン、アミノトリフェニレン、アミノベンゾアントラセン、アミノアセアントリレン、アミノアセアントレン、アミノアセフェナントリレン、アミノアセフェナントレン、アミノフルオランテン、アミノプレイアデン等の縮合四環系アミン化合物、アミノペンタセン、アミノペンタフェン、アミノピセン、アミノペリレン、アミノジベンゾアントラセン、アミノベンゾピレン、アミノコラントレン等の縮合五環系アミン化合物、アミノコロネン、アミノピラントレン、アミノビオラントレン、アミノイソビラントレン、アミノオバレン等の縮合多環系(六環以上)系アミン化合物等を好適に使用できる。
【0024】
ウレア化合物の含有量は、グリース全量に対して10〜25質量%、好ましくは15〜22質量%とする。含有量が10質量%未満では十分な増ちょう性が得られずグリース漏れを生じやすくなり、25質量%を超える場合は流動性が乏しくなり軸受内での攪拌抵抗が大きく、発熱が多くなりすぎ、何れの場合も耐久性が低下する。
【0025】
上記のグリースには、潤滑性能等をより一層高めるために、必要に応じてその他の添加剤を添加することができる。但し、金属元素を含有する添加剤は、グリースが飛散して燃料電池スタックに付着した際に触媒毒として作用する可能性があるため、不可避不純物としての金属元素以外の金属元素を含まない添加剤を用いることが好ましい。このような金属元素を含まない添加剤をその種類別に例示すると、アミン系やフェノール系、硫黄系の酸化防止剤、エステル系、アミン系、コハク酸誘導体等の防錆剤、硫黄系やリン系の無灰系極圧剤、長鎖脂肪酸系の油性剤、ベンゾトリアゾールやチアジアゾール系の金属不活性化剤等が挙げられる。これらの添加剤の添加量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択できるが、合計で0.1〜4質量%とすることが好ましい。含有量が0.1質量%未満では添加剤の効果が現われず、4質量%を超える場合は、特に増ちょう剤の含有量が少ない場合に飛散量が極端に多くなるとともに、相対的に基油の量が少なくなり潤滑性に劣るようになる。
【0026】
本発明の転がり軸受は、封入グリースの基油が低揮発性のジフェニルスルフィドを含有し、増ちょう剤として耐熱性等に優れるジウレア化合物であることから、高温、高速、高荷重及び振動が激しい使用条件でも長期にわたり安定して作動し、更には低温で使用されたときでも異音の発生が少なくなる。そのため、上記したように低発塵性で、高温、高速、高荷重及び振動が激しい使用条件にも対応でき、低温での異音が発生しないこと等が要求される燃料電池システムの圧送機に組み込まれる転がり軸受等として好適である。
【0027】
(燃料電池システム用圧送機)
また、本発明は上記の転がり軸受を具備する燃料電池システム用圧送機に関する。燃料電池システム用圧送機として、インペラ型圧送機、スクロール型圧送機、斜板型圧送機、スクリュー型圧送機が一般的であるが、これらに限定されない。以下に、インペラ型圧送機、スクロール型圧送機、両斜板型圧送機、片斜板型圧送機スクリュー型圧送機を例示して説明する。
【0028】
図2に示すインペラ型圧送機は、回転軸31にインペラ32が取り付けられており、この回転軸31が上記の転がり軸受33a、33bで支持されている。そして、回転軸31の高速回転に伴ってインペラ32が高速回転すると、気体吸込み口34から吸込まれた気体がインペラ32の遠心力で加圧され、ハウジング35とバックプレート36とで形成された加圧ボリュート37を通って水蒸気吐出口38から圧送される。また、このポンプでは、シーリング部材39のシール性が低下してくると、気体がインペラ32の背面の背面空間40から回転軸31とシーリング部材39との間隙41を通って転がり軸受33a、33bに達するため、これを防ぐためのバッフル42とブッシュ43とが回転軸31に付設されている。
【0029】
図3に示されるスクロール型圧送機140は、固定スクロール111と旋回スクロール112とからなる圧縮機構部110と、モータ主軸122に対して偏心して設けられたクランクピン122aにより旋回スクロール112を旋回させるクランク機構部150と、モータ主軸122を回転させる駆動モータ部120とからなる。
【0030】
クランク機構部150は、旋回スクロール112に旋回運動を行わせる駆動クランク機構151、及び旋回スクロール112の自転を防止する従動クランク機構152で構成されている。
【0031】
従動クランク機構152は、旋回スクロール112に設けられた凹状保持部112cと、従動クランク軸153のクランクピン153a及びクランクピン153aを旋回スクロール112に対して回転自在とする上記の転がり軸受154とからなる。従動クランク軸153は、クランクピン153aとは反対側を上記の転がり軸受155を介してモータハウジング101に回転自在に支持されている。また、従動クランク軸153にはバランスウェイト153bが設けられており、バランスウェイト153bによって、旋回スクロール112の旋回時に生じる慣性モーメントを打ち消され、振動の低減が図られている。
【0032】
固定スクロール111は、円盤状に形成された固定基盤111aと、この固定基盤111aから立設した渦巻状の旋回渦巻部111cと、この旋回渦巻部111cを覆う外周壁111bとからなる。旋回スクロール112は、円盤状の旋回基盤112bと、この旋回基盤112bから立設した渦巻状の旋回渦巻部112aとからなる。旋回基盤112bのリア側中央には有底円筒状の凹状部112cが設けられている。固定基盤111aにおける図中上下方向略中央には、固定スクロール111及び旋回スクロール112間で圧縮された空気等の吐出口114が設けられている。
【0033】
凹状部112cをハウジングとして、針状ころ軸受133が凹状部112cの内周側に挿入されている。この針状ころ軸受133は、モータ主軸122のクランクピン122aを回転軸として、旋回スクロール112を回転自在に支えている。
【0034】
駆動モータ部120において、駆動モータ121は、モータ主軸122に嵌め合わされたロータ123と、ロータ123の外周側に設けられてコイル124を巻回されたステータ125とを、モータハウジング101内に備えてなる。モータ主軸122は、モータハウジング101に上記の転がり軸受102を介して回転自在に支持されるとともに、リア側(図中右側)の端部を上記の転がり軸受103を介してリアハウジング104に回転自在に支持され、シール部材107で密封されている。また、モータ主軸122には、バランスウェイト122bが設けられており、バランスウェイト122bによって、旋回スクロール112の旋回時に生じる慣性モーメントを打ち消され、振動低減が図られている。
【0035】
上記の如く概略構成されるスクロール型圧送機140では、駆動モータ121に電力が供給されると、モータ主軸122が回転し、その回転が駆動クランク機構130を介して旋回スクロール112に伝達される。旋回スクロール112は、モータ主軸122の回転に伴って、固定スクロール111と噛み合いつつ旋回し、図示しない吸入口から固定スクロール111との間に気体を吸入するとともに、固定スクロール111との間で圧縮させる。その後、圧縮された気体を吐出口114から吐出させる。
【0036】
図4は両斜板式圧送機160を示すが、両面傾斜板171の回転に伴う両頭ピストン172の往復動で気体を圧縮する圧縮機構部170と、駆動モータ181のモータ主軸182の回転により圧縮機構部170を駆動する駆動モータ部180とを備える。
【0037】
圧縮機構部170において、両頭ピストン172は、シリンダブロック161のクランク室163内にモータ主軸182の軸方向に沿って往復動可能に設けられており、両面傾斜板171にシュー173を介して連結されている。また両面傾斜板171は、モータ主軸182の外周面に、モータ主軸182と一体回転可能に挿着されており、シリンダブロック161内に設けられた支持部材162に、スラスト軸受174を介して回転自在に支持されている。
【0038】
駆動モータ部180において、駆動モータ181は、モータ主軸182に嵌入されたロータ183と、ロータ183の外周側に設けられ、コイル184を巻回されたステータ185とを、モータハウジング186内に備えてなる。
【0039】
モータ主軸182は、軸方向略中央より図中左側を左右一対の上記の転がり軸受187を介してモータハウジング186に回転自在に支持されるとともに、軸方向略中央より図中右側を左右一対の上記の転がり軸受175を介して支持部材162に回転自在に支持されている。
【0040】
上記の如く構成される両斜板型圧送機160では、駆動モータ181に電力が供給されると、モータ主軸182が回転し、その回転が両面傾斜板171及びシュー173を介して両頭ピストン172に伝達される。両頭ピストン172は、モータ主軸182の回転に伴ってクランク室163内で軸方向に沿って往復動することにより、気体を吸入・圧縮して吐出させる。
【0041】
また、斜板型圧送機として、図5に示すような片面傾斜板171aを備える片斜板タイプのものがある。図示される片斜板タイプの圧送機190は、片面傾斜板171aに連動するロッド176を通じてピストン177が移動する構成となっており、その他の構成部位、例えば、モータ主軸182の支持構造や、モータ駆動部180等は、図4に示した両斜板タイプの圧送機160と同様であり、同一の部位には同一の符号を付して説明は省略する。
【0042】
図6はスクリュー型圧送機220を示すが、主ロータ201と副ロータ202とを噛み合わせて回転させることで気体を圧縮する圧縮機構部200と、駆動モータ181のモータ主軸182の回転により圧縮機構部200を駆動する駆動モータ部180とを備える。なお、駆動モータ部180については、図4に示した両斜板式圧送機160と同様であり、同一の符号を付して説明を省略する。
【0043】
圧縮機構部200において、主ロータ201及び副ロータ202はそれぞれ、対応する螺旋状に形成されて互いに噛み合わせることで協働して回転可能な構成である。主ロータ201は、図中左側の回転軸201aを左右一対の上記の転がり軸受203を介してハウジング207に回転自在に支持されるとともに、図中右側の回転軸201aを上記の転がり軸受204を介してハウジングに回転自在に支持されている。また、副ロータ202は、図中左側の回転軸202aを図中左右一対の上記の転がり軸受205を介してハウジング207に回転自在に支持されるとともに、図中右側の回転軸202aを上記の転がり軸受206を介してハウジング207に回転自在に支持されている。
【0044】
また、主ロータ201の回転軸201aにおいて、転がり軸受203,204に対して軸方向内側には、ハウジング207との間にシール部材208が介在されている。副ロータ202の回転軸202aにおいて、転がり軸受205,206より軸方向内側には、ハウジング207との間にシール部材209が介在されている。
【0045】
主ロータ201及び副ロータ202は、図中左側の回転軸201a,202aにそれぞれ設けられた連結ギア210を介して連動される。主ロータ201の図中左側の回転軸201aの左端部には、被駆動ギア211が設けられており、被駆動ギア211は、駆動モータ181のモータ主軸182に嵌合された駆動軸188の駆動ギア189に噛合されている。従って、主ロータ201は、モータ主軸182の回転を、駆動軸188、駆動ギア189及び被駆動ギア211を介して伝達される。主ロータ201の回転は、連結ギア210を介して副ロータ202に伝達される。
【0046】
また、駆動軸188は、左右一対の上記の転がり軸受212を介してハウジング213に回転自在に支持されている。駆動軸188とハウジング213との間には、シール部材214が介在されている。
【0047】
上記の如く構成されるスクリュー型圧送機220では、駆動モータ181に電力が供給されると、モータ主軸182が回転し、その回転が駆動軸188、駆動ギア189、被駆動ギア211を介して主ロータ201の回転軸201aに伝達される。同時に、主ロータ201の回転軸201aから連結ギア210を介して副ロータ202の回転軸202aに伝達される。主ロータ201及び副ロータ202は、噛み合い回転することにより、気体を吸入・圧縮して吐出させる。
【0048】
上記の各圧送機は、組み込まれている転がり軸受が高温、高速、高荷重及び振動が激しい使用条件でも安定して作動し、低発塵性で異音の発生も無いことから、厳しい使用条件であっても長期にわたり安定して作動する。
【0049】
(燃料電池システム)
本発明は更に、上記の燃料電池システム用圧送機を具備する燃料電池システムに関する。燃料電池システムとしては、図7に示す固体高分子電解質型燃料電池システムや図8に示す水素タンク方式の燃料電池システムを例示することができる。
【0050】
図7に示す固体高分子電解質型燃料電池システムは引用文献1(特開平11−307112号公報)に記載された燃料電池システムに相当するものであり、固体高分子電解質膜1の両面をカソード2とアノード3の両ガス拡散電極で狭持してなるセルをセパレータを介して積層して燃料電池スタックとし、更に数セルに1つずつの冷却部4を備える固体高分子電解質型燃料電池Iのアノード3入口側に、上流側より順に改質器5、熱交換器6、シフトコンバータ7、CO除去器8をそれぞれ設置し、燃料タンク9から供給されるメタノールを、メタノール蒸発器10を経て改質器5に導入させるようにメタノール供給ライン11を設け、一方、水タンク12からの水の一部を蒸気発生器13で水蒸気にして送る水蒸気ライン14をメタノール供給ライン11に接続してメタノールと水蒸気とを改質器5に導入して水蒸気改質を行わせるようにすると共に、水の他の一部を、冷却用として熱交換器6とCO除去器8を通過させるようにし、改質器5で改質された燃料ガスFGを、熱交換器6で水タンク12からの冷却水により冷却した後、200℃で運転されるシフトコンバータ7でシフト反応を行って、固体高分子電解質型燃料電池Iの触媒毒となる一酸化炭素(CO)の濃度をCO除去器8が処理可能な濃度(1%以下)に低減する。また、100〜150℃程度で運転されるCO除去器8でCO除去処理された燃料ガスFGが加湿器15を経て固体高分子電解質型燃料電池Iのアノード3へ供給する。
【0051】
一方、固体高分子電解質型燃料電池Iのカソード2の入口側には、酸化剤ガスとして空気Aをターボチャージャ16の上記の圧送機17により圧縮して加湿器15を経て供給するようにすると共に、一部を分岐してCO除去器8に入れてCOの燃焼に用い、また、カソード2から排出されたカソード排ガスCGの全量と、アノード3から排出されたアノード排ガスAGの一部とを燃焼器19で燃焼させた後、改質器5の燃焼室に導入し、改質器5の改質室内のメタノールを改質触媒の存在下で250℃になるように熱を吸熱して反応させて燃料ガスFGに改質する。
【0052】
また、改質器5の燃焼室より排出された排ガスは、アノード3から排出されたアノード排ガスAGの一部とともに燃焼器20で燃焼させられた後にタービン18に導いて上記の圧送機17を駆動させ、タービン18から排出された排気ガスは蒸気発生器13、メタノール蒸発器10を通して排気ガスとして排出させる。更に、水タンク12からの冷却水の一部は、加湿器15を経て固体高分子電解質型燃料電池Iの冷却部4を通過させられ、冷却部4を通過させられた冷却水は、冷却器21で冷却されて水タンク12へ入れられる。また、カソード排ガスライン22中の気水分離器23及びアノード排ガスライン24中の気水分離器25で各々分離された水は、熱交換器6及びCO除去器8を通過した水とともに水タンク12に戻される。
【0053】
また、図8に示す燃料電池システムは引用文献2(特開2002−231294号公報)に記載された燃料電池システムに相当するものであり、図中、符号51は、固体高分子電解質膜を間に挟んで燃料極53と酸化剤極55とを相互に対向配置し、更にセパレータで挟持して複数積層して構成される燃料電池スタックである。また、符号57は加湿器であり、燃料ガスおよび酸化剤ガスが、それぞれ半透膜を介して純水と隣接し、水分子が半透膜を通過することにより燃料ガスおよび酸化剤ガスに対して加湿を行う。
【0054】
水素タンク59には水素が貯えられており、この水素は燃料調圧弁61により調圧された後、上記の圧送機(エゼクタ圧送機)63、供給側水分離器65及び加湿器57を通り、燃料電池スタック51に対し燃料極53の燃料入口53aから供給される。燃料極53の燃料出口53bから排出される水素と水蒸気との混合ガスは、排出側水分離器67、流路遮断弁69を通り、上記の圧送機(エゼクタ圧送機)63で原燃料ガスと混合され、この混合ガスが供給側水分離器65及び加湿器57を経て燃料電池スタック51の燃料極53に循環される。また、排出側水分離器67と流路遮断弁69との間の配管71には、パージ分岐部73にて、水素をパージさせるパージ配管75が分岐接続され、パージ配管75にはパージガス遮断弁77及びパージガス触媒79がそれぞれ設けられている。
【0055】
酸化剤としての空気は、上記の圧送機81によって加湿器57を経て燃料電池スタック1の酸化剤極55に、酸化剤入口55aから供給される。酸化剤極55の酸化剤出口55bから排出される排気は、水蒸気と液水を含み、水分離器83によって液水分が分離される。水分離器83には、水素パージ時の空気供給用の空気パージ配管85及びパージガス遮断弁87が設けてあり、水素パージ時にはパージガス触媒79に空気が供給されて外部に排出される。また、空気パージ配管85には、空気排出管89が分岐接続され、空気排出管89には空気調圧弁91が設けられている。
【0056】
更に、燃料電池スタック51の発電状態はセンサ(図示せず)で検知され、検知信号を受けて発電状態に応じて、水素圧力及び空気圧力を燃料調圧弁51及び空気調圧弁91で調整するようフィードバック制御するとともに、空気流量を上記の圧送機81の回転数により調整するようフィードバック制御する構成となっている。
【0057】
このように構成される燃料電池システムは、上記の圧送機を具備することにより、厳しい使用条件であっても長期にわたり安定して発電可能となる。
【0058】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。
【0059】
(試験グリースの調製)
表1に示す如く、基油と増ちょう剤とを用いて実施例及び比較例の各試験グリースを調製した。その際、ウレア化合物を増ちょう剤に用いる場合は、ジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネートを溶解した基油に、ステアリルアミンを溶解した基油及び/またはシクロヘキシルアミンを溶解した基油を加え、70℃程度に加熱しながら十分に攪拌して反応させ、その後160℃まで加熱して反応を終了し、冷却後に酸化防止剤及び防錆剤を添加し、3段ロールミルに通し、脱泡処理して仕上げた。その他の試験グリースにも、同一の酸化防止剤及び防錆剤を配合した。また、何れの試験グリースも、増ちょう剤、酸化防止剤及び防錆剤の含有量は同一とした。そして、各試験グリースを下記に示す測定及び試験に供した。
【0060】
(離油度の測定)
試験グリースを100℃で24時間保持した後、離油した油量を測定した(JIS K2220)。結果を表1に示す。
【0061】
(焼付き試験)
図9に示す構成の日本精工(株)製のシェル形針状ころ軸受(内径φ20mm、外径φ26mm、幅20mm)に、試験グリースを封入して試験軸受を作製した。尚、図示されるシェル形針状ころ軸受400は、円筒状体の軸方向両端縁部402が半径方向内方に折り曲げられて鍔とされたシェル形外輪401と、シェル形外輪2の全周にわたり複数配置された針状ころ403と、シェル形外輪2の内側に挿入されて針状ころ403を回転自在に支持する保持器404とで構成されている。そして、この試験軸受を回転速度10000min−1、ラジアル荷重1470N、軸受温度180℃の条件で連続回転させ、軸受温度が15℃上昇した時点を焼付きと見做し、それまでの回転時間(焼付き寿命)を計測した。結果を表1に、比較例1の試験グリースを封入した試験軸受の焼付き寿命を1とする相対値で示す。
【0062】
(低温異音試験)
日本精工(株)製接触ゴムシール付き単列深溝玉軸受(内径φ25mm、外径φ62mm、幅17mm;図1参照)に、試験グリース3.4gを封入して試験軸受を作製した。そして、この試験軸受を回転速度1800min−1、アキシアル荷重98N、軸受温度−20℃の条件で連続回転させ、異音の発生の有無を確認した。結果を表1に示す。
【0063】
(蒸発減量試験)
試験グリースを15mg採取して熱重量測定装置(TG)の専用容器に入れ、160℃で12時間保持し、そのときの試験グリースの減量を測定した。結果を表1に示す。
【0064】
【表1】
Figure 2004245381
【0065】
表1に示すように、ジフェニルスルフィドアルキル置換体を30質量%以上の割合で含有する基油とウレア化合物とを含む実施例の試験グリースは、何れも離油度が1質量%以下で、蒸発減量も少ない。また、実施例の試験グリースを封入することにより、軸受の焼付き寿命が格段に向上し、低温での異音の発生もない。これに対し、増ちょう剤が本発明と異なる比較例2では離油度及び蒸発減量が若干大きく、焼付き寿命も短い。また、基油が本発明と異なる比較例4、比較例5及び比較例6は総じて蒸発減量が大きく、焼付き寿命も実施例と比べるとかなり劣る。また、基油及び増ちょう剤ともに本発明とは異なる比較例3は、離油度以外の全ての項目で劣っている。
【0066】
(基油中のジフェニルスルフィド含有量の検証)
実施例2の配合に従い、ジフェニルスルフィドアルキル置換体(ADS)と、芳香族エステル(AE)との配合比を変えた基油を用いて試験グリースを調製した。そして、試験グリースを上記の焼付き寿命試験に供した。結果を図10に示すが、実施例2(ADS50質量%:AE50質量%)の値を10とする相対値で示してある。尚、図中の横軸において目盛100はADS100%、目盛0はAE100%をそれぞれ示す。
【0067】
図示されるように、ADSの割合が多いほど焼付き寿命が長くなっており、ADS単独で最長になっている。また、ADSが30質量%付近に変曲点があることから、ADSは基油中に30質量%以上配合される必要があることが確認された。
【0068】
(増ちょう剤量の検証)
実施例1の配合に従い、増ちょう剤量を変えて試験グリースを調製した。そして、試験グリースを上記の焼付き寿命試験に供した。結果を図11に示すが、増ちょう剤量がグリース全量の10質量%のときの値を1とする相対値で示してある。
【0069】
図示されるように、増ちょう剤量がグリース全量の10〜25質量%の範囲で良好な焼付き寿命が得られ、15〜22質量%の範囲で特に焼付き寿命が長くなっている。
【0070】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の転がり軸受は、ジフェニルスルフィドのアルキル置換体を30質量%以上の割合で含有する基油にウレア化合物を配合したグリースを封入したことにより、高温、高速、高荷重及び振動が激しい使用条件でも長期にわたり安定して作動し、低温で使用されたときでも異音の発生が少ないものとなり、特に燃料電池システム用圧送機に好適である。また、この転がり軸受を組み込むことにより、長寿命の燃料電池システム用圧送機及び燃料電池システムが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の転がり軸受の一例(玉軸受)を示す断面図である。
【図2】本発明の圧送機の一例(インペラ型圧送機)を示す断面図である。
【図3】本発明の圧送機の他の例(スクロール型圧送機)を示す断面図である。
【図4】本発明の圧送機の更に他の例(両斜板型圧送機)を示す断面図である。
【図5】本発明の圧送機の更に他の例(片斜板型圧送機)を示す断面図である。
【図6】本発明の圧送機の更に他の例(スクリュー型圧送機)を示す断面図である。
【図7】本発明の燃料電池システムの一例(固体高分子電解質型燃料電池)の全体構成を示す図である。
【図8】本発明の燃料電池システムの他の例(水素タンク方式燃料電池)の全体構成を示す図である。
【図9】実施例において焼付き試験に用いた針状ころ軸受を示す概略図である。
【図10】実施例で得られた、基油中のADS(ジフェニルスルフィドアルキル置換体)の割合と焼付き寿命比との関係を示すグラフである。
【図11】実施例で得られた、増ちょう剤量と焼付き寿命比との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 固体高分子電解質膜
2 カソード
3 アノード
4 冷却部
5 改質器
9 燃料タンク
10 メタノール蒸発器
12 水タンク
13 蒸気発生器
15 加湿器
16 ターボチャージャ
17 コンプレッサ
23 気水分離器
25 気水分離器
111 固定スクロール
112 旋回スクロール
120 駆動モータ部
122 モータ主軸
140 スクロール型圧送機
150 クランク機構部
160 両斜板式圧送機
170 圧縮機構部
171 両面傾斜板
172 両頭ピストン
180 駆動モータ部
181 駆動モータ
182 モータ主軸
190 片斜板式圧送機
200 圧縮機構部
201 主ロータ
202 副ロータ
220 スクリュー型圧送機
300 玉軸受
301 内輪
302 外輪
303 保持器
304 玉
305 シール部材

Claims (5)

  1. 内輪と外輪との間に複数の転動体を転動自在に保持し、グリースを封入してなる転がり軸受において、
    前記グリースの基油がジフェニルスルフィドのアルキル置換体を基油全体の30質量%以上の割合で含有し、かつ増ちょう剤がウレア化合物であることを特徴とする転がり軸受。
  2. 前記グリースの離油度が1.0質量%以下であることを特徴とする請求項1記載の転がり軸受。
  3. 燃料電池システムの圧送機に組み込まれることを特徴とする請求項1または2記載の転がり軸受。
  4. 請求項3記載の転がり軸受を具備することを特徴とする燃料電池システム用圧送機。
  5. 少なくとも、燃料電池スタック及び各種流体を輸送するための圧送機を具備する燃料電池システムであって、前記圧送機が請求項4記載の燃料電池システム用圧送機であることを特徴とする燃料電池システム。
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