JP2020204016A - グリース組成物および転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】 転がり軸受における白層はく離の発生を抑制することができるグリース組成物、及び、当該グリース組成物が封入された転がり軸受を提供する。【解決手段】 基油と、増ちょう剤としてのジウレアと、ビス(2−エチルヘキサノイルオキシ)亜鉛と2−エチルヘキサン酸との混合物であって、ビス(2−エチルヘキサノイルオキシ)亜鉛と2−エチルヘキサン酸との合計質量に対するビス(2−エチルヘキサノイルオキシ)亜鉛の割合が75〜90質量%である脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物と、を含む、グリース組成物。【選択図】 図1
Description
本発明は、グリース組成物および当該グリース組成物が封入された転がり軸受に関する。
オルタネータ、カーエアコン用電磁クラッチ、中間プーリ、電動ファンモータなどの自動車電装部品や自動車用エンジンの補機などに用いられる軸受は、高温・高速・高荷重・高振動などの苛酷な環境で使用される。
このような過酷な環境で使用される転がり軸受では、使用中に固定輪や転動体に鋼の組織変化に伴う早期はく離が発生することがある。この鋼の組織変化に伴う早期はく離は、内部起点はく離とは異なり、白色組織が見られるのが特徴的で、白層はく離と呼ばれている。
近年、転がり軸受の使用条件がさらに過酷になり、転がり軸受において白層はく離が発生しやすくなっている。
このような過酷な環境で使用される転がり軸受では、使用中に固定輪や転動体に鋼の組織変化に伴う早期はく離が発生することがある。この鋼の組織変化に伴う早期はく離は、内部起点はく離とは異なり、白色組織が見られるのが特徴的で、白層はく離と呼ばれている。
近年、転がり軸受の使用条件がさらに過酷になり、転がり軸受において白層はく離が発生しやすくなっている。
そこで、このような白層はく離の問題を解決することを目的とするグリースが提案されている。
例えば、特許文献1では、水素による白色組織変化をともなうはく離を防止するために、カーボンブラック等の導電性物質を0.1〜10重量%の割合で含有するグリースを用いることが提案されている。
例えば、特許文献1では、水素による白色組織変化をともなうはく離を防止するために、カーボンブラック等の導電性物質を0.1〜10重量%の割合で含有するグリースを用いることが提案されている。
白層はく離の発生は、すべり、高面圧、衝撃荷重などによる内部応力の増大が主原因であり、更に、内部応力の増大にともない内外輪と転動体との摩擦面に新生面が発生し、この新生面と大気中の水分やグリースとの化学反応によって水素が発生し、この水素が軸受鋼へ侵入することによって助長されると考えられている。
そして、特許文献1で提案されたような所定量のカーボンブラックを含有するグリースでは、上記白層はく離を充分に抑制することが困難であった。
そのため、上記白層はく離を回避するのにより適したグリースが引き続き求められている。
そのため、上記白層はく離を回避するのにより適したグリースが引き続き求められている。
本発明者らは、上記の要求に応えるべく鋭意検討を行い、増ちょう剤としてジウレアを含み、更に特定の脂肪酸亜鉛塩を含むグリース組成物を使用すれば、転がり軸受における白層はく離の発生を抑制することができることを見出し、本発明を完成した。
本発明のグリース組成物は、
基油と、
増ちょう剤としてのジウレアと、
ビス(2−エチルヘキサノイルオキシ)亜鉛と2−エチルヘキサン酸との混合物であって、ビス(2−エチルヘキサノイルオキシ)亜鉛と2−エチルヘキサン酸との合計質量に対するビス(2−エチルヘキサノイルオキシ)亜鉛の割合が75〜90質量%である脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物と、を含む。
基油と、
増ちょう剤としてのジウレアと、
ビス(2−エチルヘキサノイルオキシ)亜鉛と2−エチルヘキサン酸との混合物であって、ビス(2−エチルヘキサノイルオキシ)亜鉛と2−エチルヘキサン酸との合計質量に対するビス(2−エチルヘキサノイルオキシ)亜鉛の割合が75〜90質量%である脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物と、を含む。
本発明のグリース組成物は、上記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物を含むため、転がり軸受に使用した際に、当該転がり軸受における白層はく離の発生を抑制することができる。
この理由の1つは、上記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物を含むグリース組成物を転がり軸受に使用した場合、上記グリース組成物からなるグリースは、転動体と内外輪の転走面との間に介入し、転動体と内外輪の転走面との摩擦面に上記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物の被膜を形成することができ、上記摩擦面における新生面の生成を抑制することができるため、と考えている。
この理由の1つは、上記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物を含むグリース組成物を転がり軸受に使用した場合、上記グリース組成物からなるグリースは、転動体と内外輪の転走面との間に介入し、転動体と内外輪の転走面との摩擦面に上記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物の被膜を形成することができ、上記摩擦面における新生面の生成を抑制することができるため、と考えている。
上記グリース組成物は、更に、亜鉛ジチオホスフェートを含む、ことが好ましい。
この場合、上記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物が上記亜鉛ジチオホスフェートと結合することによって、上記摩擦面に生成する被膜をより強固な被膜とすることができる。そのため、上記摩擦面における上記新生面の発生が更に抑制され、その結果、白層はく離が更に発生しにくくなる。
また、上記グリース組成物が亜鉛ジチオホスフェートを含む場合、上記摩擦面に新生面が生成しても、当該新生面は早期に不活性化される。
この場合、上記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物が上記亜鉛ジチオホスフェートと結合することによって、上記摩擦面に生成する被膜をより強固な被膜とすることができる。そのため、上記摩擦面における上記新生面の発生が更に抑制され、その結果、白層はく離が更に発生しにくくなる。
また、上記グリース組成物が亜鉛ジチオホスフェートを含む場合、上記摩擦面に新生面が生成しても、当該新生面は早期に不活性化される。
基油と、増ちょう剤と、脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物とを含む上記グリース組成物は、
上記基油と、上記増ちょう剤と、上記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物との合計質量に対する上記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物の割合が0.5〜10質量%である、ことが好ましい。
上記基油と、上記増ちょう剤と、上記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物との合計質量に対する上記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物の割合が0.5〜10質量%である、ことが好ましい。
基油と、増ちょう剤と、脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物と、亜鉛ジチオホスフェートとを含む上記グリース組成物は、
上記基油と、上記増ちょう剤と、上記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物と、亜鉛ジチオホスフェートとの合計質量に対する上記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物の割合が0.5〜10質量%であり、
上記基油と、上記増ちょう剤と、上記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物と、亜鉛ジチオホスフェートとの合計質量に対する上記亜鉛ジチオホスフェートの割合が0.5〜10質量%である、ことが好ましい。
上記基油と、上記増ちょう剤と、上記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物と、亜鉛ジチオホスフェートとの合計質量に対する上記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物の割合が0.5〜10質量%であり、
上記基油と、上記増ちょう剤と、上記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物と、亜鉛ジチオホスフェートとの合計質量に対する上記亜鉛ジチオホスフェートの割合が0.5〜10質量%である、ことが好ましい。
上記グリース組成物は、更に、防錆剤と酸化防止剤とを含む、ことが好ましい。
本発明の転がり軸受は、本発明のグリース組成物が封入された、転がり軸受である。
本発明の転がり軸受は、本発明のグリース組成物が封入された、転がり軸受である。
本発明のグリース組成物は、過酷な環境下で使用する転がり軸受に使用した際に、当該転がり軸受における白層はく離の発生を抑制することができる。
また、本発明の転がり軸受は、上記グリース組成物が封入されているため、白層はく離が発生しにくい転がり軸受である。
また、本発明の転がり軸受は、上記グリース組成物が封入されているため、白層はく離が発生しにくい転がり軸受である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
本発明の実施形態に係る転がり軸受は、本発明の実施形態に係るグリース組成物からなるグリースが封入された玉軸受である。
図1は、本発明の一実施形態に係る玉軸受を示す断面図である。
玉軸受1は、内輪2と、この内輪2の径方向外側に設けられている外輪3と、これら内輪2と外輪3との間に設けられている複数の転動体としての玉4と、これらの玉4を保持している環状の保持器5とを備えている。また、この玉軸受1は、軸方向一方側及び他方側のそれぞれにシール6が設けられている。
さらに、内輪2と外輪3との間の環状の領域7は、本発明の実施形態に係るグリース組成物からなるグリースGが封入されている。
本発明の実施形態に係る転がり軸受は、本発明の実施形態に係るグリース組成物からなるグリースが封入された玉軸受である。
図1は、本発明の一実施形態に係る玉軸受を示す断面図である。
玉軸受1は、内輪2と、この内輪2の径方向外側に設けられている外輪3と、これら内輪2と外輪3との間に設けられている複数の転動体としての玉4と、これらの玉4を保持している環状の保持器5とを備えている。また、この玉軸受1は、軸方向一方側及び他方側のそれぞれにシール6が設けられている。
さらに、内輪2と外輪3との間の環状の領域7は、本発明の実施形態に係るグリース組成物からなるグリースGが封入されている。
内輪2は、その外周に玉4が転動する内軌道面21が形成されている。
外輪3は、その内周に玉4が転動する外軌道面31が形成されている。
玉4は、内軌道面21と外軌道面31との間に複数介在し、これら内軌道面21及び外軌道面31を転動する。
領域7に封入されたグリースGは、玉4と内輪2の内軌道面21との接触箇所、及び、玉4と外輪3の外軌道面31との接触箇所にも介在する。なお、グリースGは、内輪2と外輪3とシール6とで囲まれた空間から玉4と保持器5を除いた空間の容積に対して、20〜40体積%を占めるように封入されている。
シール6は、環状の金属環6aと金属環6aに固定された弾性部材6bとを備えた環状の部材であり、径方向外側部が外輪3に固定され、径方向内側部のリップ先端が内輪2に摺接可能に取付けられている。シール6は、封入されたグリースGが外部へ漏れるのを防止している。
外輪3は、その内周に玉4が転動する外軌道面31が形成されている。
玉4は、内軌道面21と外軌道面31との間に複数介在し、これら内軌道面21及び外軌道面31を転動する。
領域7に封入されたグリースGは、玉4と内輪2の内軌道面21との接触箇所、及び、玉4と外輪3の外軌道面31との接触箇所にも介在する。なお、グリースGは、内輪2と外輪3とシール6とで囲まれた空間から玉4と保持器5を除いた空間の容積に対して、20〜40体積%を占めるように封入されている。
シール6は、環状の金属環6aと金属環6aに固定された弾性部材6bとを備えた環状の部材であり、径方向外側部が外輪3に固定され、径方向内側部のリップ先端が内輪2に摺接可能に取付けられている。シール6は、封入されたグリースGが外部へ漏れるのを防止している。
このように構成された玉軸受1は、グリースGとして、後述する本発明の実施形態に係るグリース組成物からなるグリースが封入されている。そのため、グリースGが封入された玉軸受1は、軸受回転トルクが低く、充分な潤滑寿命を有する。また、玉軸受1は、上記白層はく離が発生しにくい。
次に、グリースGを構成するグリース組成物について詳細に説明する。
グリースGを構成するグリース組成物は、本発明の実施形態に係るグリース組成物であり、基油、増ちょう剤及び脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物を含む。
上記グリース組成物は、脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物を含むことを技術的特徴の1つとしており、脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物を含むことによって、転がり軸受における白層はく離の発生を抑制することができる。
グリースGを構成するグリース組成物は、本発明の実施形態に係るグリース組成物であり、基油、増ちょう剤及び脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物を含む。
上記グリース組成物は、脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物を含むことを技術的特徴の1つとしており、脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物を含むことによって、転がり軸受における白層はく離の発生を抑制することができる。
上記グリース組成物において、上記基油としては、ポリ−α−オレフィン(PAO)が好ましい。
上記基油としてポリ−α−オレフィンを選択したグリース組成物は、使用時に水素を発生しにくい。
上記基油としてポリ−α−オレフィンを選択したグリース組成物は、使用時に水素を発生しにくい。
上記ポリ−α−オレフィンとしては、例えば、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン等のα−オレフィンを、オリゴマー化又はポリマー化したもの、更にはこれらを水素化したものが挙げられる。
上記ポリ−α−オレフィンとしては、1−デセンをオリゴマー化した、PAO4〜PAO8が好ましい。
上記ポリ−α−オレフィンとしては、1−デセンをオリゴマー化した、PAO4〜PAO8が好ましい。
上記基油において、40℃における基油動粘度は、20〜60mm2/sが好ましい。この場合、耐熱性を確保しつつ、低トルク化を図るのに適している。
一方、上記基油動粘度(40℃)が20mm2/s未満では、グリースGが耐熱性に劣ることになる。また、上記基油動粘度(40℃)が60mm2/sを超えると、グリースGを封入した玉軸受のトルクが増大することがある。
上記基油動粘度(40℃)は、25〜50mm2/sがより好ましい。
上記基油動粘度は、JIS K 2283に準拠した値である。
一方、上記基油動粘度(40℃)が20mm2/s未満では、グリースGが耐熱性に劣ることになる。また、上記基油動粘度(40℃)が60mm2/sを超えると、グリースGを封入した玉軸受のトルクが増大することがある。
上記基油動粘度(40℃)は、25〜50mm2/sがより好ましい。
上記基油動粘度は、JIS K 2283に準拠した値である。
上記グリース組成物において、上記増ちょう剤は、ジウレアである。
上記ジウレアとしては、下記構造式(1)で表されるジウレアが好ましい。
R1−NHCONH−R2−NHCONH−R3・・・(1)
(式(1)中、R1及びR3は互いに独立して、−CnH2n+1(nは、6〜10の整数)で表される官能基であり、R2は、−(CH2)6−、−C6H3(CH3)−、又は、−C6H4−CH2−C6H4−である。)
ここで、R2が−C6H3(CH3)−の場合、フェニレン基は、メチル基を1位として、2,4位又は2,6位で結合していることが好ましい。また、R2が−C6H4−CH2−C6H4−の場合、両フェニレン基は、どちらもパラ位で結合していることが好ましい。
R2としては、−C6H4−CH2−C6H4−が好ましい。
上記ジウレアとしては、下記構造式(1)で表されるジウレアが好ましい。
R1−NHCONH−R2−NHCONH−R3・・・(1)
(式(1)中、R1及びR3は互いに独立して、−CnH2n+1(nは、6〜10の整数)で表される官能基であり、R2は、−(CH2)6−、−C6H3(CH3)−、又は、−C6H4−CH2−C6H4−である。)
ここで、R2が−C6H3(CH3)−の場合、フェニレン基は、メチル基を1位として、2,4位又は2,6位で結合していることが好ましい。また、R2が−C6H4−CH2−C6H4−の場合、両フェニレン基は、どちらもパラ位で結合していることが好ましい。
R2としては、−C6H4−CH2−C6H4−が好ましい。
上記構造式(1)で表されるジウレアは、R1及びR3が炭素数6〜10のアルキル基であり、炭素鎖長が短いジウレアである。このようなジウレアを用いたグリース組成物は、使用時に水素を発生しにくい。また、上記ジウレアは、チャンネリング性の指標の1つである粘性低下エネルギーが高く、低トルク化に適している。
粘性低下エネルギーは、チキソトロピー性の1つの指標であり、回転式レオメータを用いて取得することができる。
粘性低下エネルギーは、チキソトロピー性の1つの指標であり、回転式レオメータを用いて取得することができる。
上記構造式(1)で表されるジウレアは、脂肪族アミンと、ジイソシアネート化合物とが反応して生成した生成物である。
上記脂肪族アミンは炭素数6〜10の脂肪族アミンであり、具体例としては、1−アミノヘキサン、1−アミノヘプタン、1−アミノオクタン、1−アミノノナン、1−アミノデカンなどが挙げられる。
これらのなかでは、1−アミノオクタンが好ましい。
上記脂肪族アミンは炭素数6〜10の脂肪族アミンであり、具体例としては、1−アミノヘキサン、1−アミノヘプタン、1−アミノオクタン、1−アミノノナン、1−アミノデカンなどが挙げられる。
これらのなかでは、1−アミノオクタンが好ましい。
上記ジイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,4−トルエンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トルエンジイソシアネート(2,6−TDI)、2,4−TDIと2,6−TDIとの混合物、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)などが挙げられる。
上記構造式(1)で表されるジウレアを得るために、上記脂肪族アミンと上記ジイソシアネート化合物とは種々の条件下で反応させることができるが、増ちょう剤としての均一分散性が高いジウレア化合物が得られることから、基油中で反応させることが好ましい。
また、上記脂肪族アミンと上記ジイソシアネート化合物との反応は、脂肪族アミンを溶解した基油中に、ジイソシアネート化合物を溶解した基油を添加して行っても良いし、ジイソシアネート化合物を溶解した基油中に、脂肪族アミンを溶解した基油を添加して行っても良い。
また、上記脂肪族アミンと上記ジイソシアネート化合物との反応は、脂肪族アミンを溶解した基油中に、ジイソシアネート化合物を溶解した基油を添加して行っても良いし、ジイソシアネート化合物を溶解した基油中に、脂肪族アミンを溶解した基油を添加して行っても良い。
上記の脂肪族アミンとジイソシアネート化合物との反応における温度及び時間は特に制限されず、通常この種の反応で採用される条件と同様の条件を採用すれば良い。
反応温度は、脂肪族アミン及びジイソシアネート化合物の溶解性、揮発性の点から、150℃〜170℃が好ましい。
反応時間は、脂肪族アミンとジイソシアネート化合物との反応を完結させるという点や、製造時間を短縮してグリースの製造を効率良く行うという点から、0.5〜2.0時間が好ましい。
反応温度は、脂肪族アミン及びジイソシアネート化合物の溶解性、揮発性の点から、150℃〜170℃が好ましい。
反応時間は、脂肪族アミンとジイソシアネート化合物との反応を完結させるという点や、製造時間を短縮してグリースの製造を効率良く行うという点から、0.5〜2.0時間が好ましい。
上記増ちょう剤の含有量は、基油及び増ちょう剤の合計量に対して、10〜30質量%が好ましい。
上記増ちょう剤の含有量が10質量%未満では、グリースが基油を保持する能力が低下して、転がり軸受の回転中にグリースから基油が離油する量が多くなる可能性が大きくなる。一方、上記増ちょう剤の含有量が30質量%を超えると、グリース組成物が硬質となり、転がり軸受に封入して使用した際に、当該転がり軸受のトルクが増大することがある。
上記増ちょう剤のより好ましい含有量は、基油及び増ちょう剤の合計量に対して、11〜18質量%である。
上記増ちょう剤の含有量が10質量%未満では、グリースが基油を保持する能力が低下して、転がり軸受の回転中にグリースから基油が離油する量が多くなる可能性が大きくなる。一方、上記増ちょう剤の含有量が30質量%を超えると、グリース組成物が硬質となり、転がり軸受に封入して使用した際に、当該転がり軸受のトルクが増大することがある。
上記増ちょう剤のより好ましい含有量は、基油及び増ちょう剤の合計量に対して、11〜18質量%である。
上記グリース組成物は、白層はく離の発生を抑制するための添加剤として脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物を含む。
上記グリース組成物は、転がり軸受に使用した際に、内輪と転動体との間や外輪と転動体との間などの摩擦面に脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物による被膜を形成することができる。そのため、上記グリース組成物が使用された転がり軸受は、摩擦面における新生面の生成が抑制され、その結果、白層はく離の発生が抑制される。従って、上記摩擦面は摩耗しにくくなる。
上記グリース組成物は、転がり軸受に使用した際に、内輪と転動体との間や外輪と転動体との間などの摩擦面に脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物による被膜を形成することができる。そのため、上記グリース組成物が使用された転がり軸受は、摩擦面における新生面の生成が抑制され、その結果、白層はく離の発生が抑制される。従って、上記摩擦面は摩耗しにくくなる。
上記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物は、ビス(2−エチルヘキサノイルオキシ)亜鉛と2−エチルヘキサン酸との混合物であって、ビス(2−エチルヘキサノイルオキシ)亜鉛と2−エチルヘキサン酸との合計質量に対するビス(2−エチルヘキサノイルオキシ)亜鉛の割合が75〜90質量%である。
上記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物としては市販品を使用することもできる。上記市販品の具体例としては、例えば、ランクセス社製、ADDITIN RC4580等が挙げられる。
上記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物としては市販品を使用することもできる。上記市販品の具体例としては、例えば、ランクセス社製、ADDITIN RC4580等が挙げられる。
上記グリース組成物は、更に、亜鉛ジチオホスフェート(「ジアルキルジチオりん酸亜鉛」とも称される化合物である)を含むことが好ましい。
上記亜鉛ジチオホスフェートは、上記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物と結合しやすい化合物である。
そのため、上記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物とともに、上記亜鉛ジチオホスフェートを含有するグリース組成物は、亜鉛ジチオホスフェートが脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物と結合することによって、上記摩擦面により強固な被膜を生成する。そのため、上記摩擦面において新生面がより生成しにくく、かつ当該摩擦面はより摩耗しにくくなる。また、上記摩擦面に新生面が生成しても、当該摩擦面には早期にトライボ被膜が形成され、新生面は不活性化される。
従って、上記亜鉛ジチオホスフェートを含有するグリース組成物は、白色はく離の発生を抑制するのにより適している。
上記亜鉛ジチオホスフェートは、上記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物と結合しやすい化合物である。
そのため、上記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物とともに、上記亜鉛ジチオホスフェートを含有するグリース組成物は、亜鉛ジチオホスフェートが脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物と結合することによって、上記摩擦面により強固な被膜を生成する。そのため、上記摩擦面において新生面がより生成しにくく、かつ当該摩擦面はより摩耗しにくくなる。また、上記摩擦面に新生面が生成しても、当該摩擦面には早期にトライボ被膜が形成され、新生面は不活性化される。
従って、上記亜鉛ジチオホスフェートを含有するグリース組成物は、白色はく離の発生を抑制するのにより適している。
上記亜鉛ジチオホスフェートは、下記構造式(2)で表される化合物である。
(式(2)中、R1〜R4は、それぞれ独立して、1級アルキル基、2級アルキル基及びアリール基のいずれかである。)
上記亜鉛ジチオホスフェートとしては、上記構造式(2)において、R1〜R4がそれぞれ独立して炭素数8〜18の1級アルキル基である亜鉛ジチオホスフェートが好ましく、R1〜R4が全てドデシル基(炭素数12)である亜鉛ジチオホスフェートがより好ましい。
上記亜鉛ジチオホスフェートとしては市販品を使用することもできる。上記市販品の具体例としては、例えば、ADEKA社製、アデカキクルーブZ−112等が挙げられる。
上記亜鉛ジチオホスフェートとしては、上記構造式(2)において、R1〜R4がそれぞれ独立して炭素数8〜18の1級アルキル基である亜鉛ジチオホスフェートが好ましく、R1〜R4が全てドデシル基(炭素数12)である亜鉛ジチオホスフェートがより好ましい。
上記亜鉛ジチオホスフェートとしては市販品を使用することもできる。上記市販品の具体例としては、例えば、ADEKA社製、アデカキクルーブZ−112等が挙げられる。
上記グリース組成物が、基油と、増ちょう剤としてのジウレアと、上記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物とを含み、上記亜鉛ジチオホスフェートを含まない場合、上記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物の配合量は、上記基油と上記増ちょう剤と上記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物との合計質量に対して、0.5〜10質量%であることが好ましい。
上記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物の配合量が0.5質量%未満では、摩擦面における耐摩耗性の点で十分な効果が得られないことがある。一方、上記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物の配合量が10質量%を超えると、グリース組成物が軟化してしまい、転がり軸受に使用した際に漏洩する恐れがある。
上記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物の配合量が0.5質量%未満では、摩擦面における耐摩耗性の点で十分な効果が得られないことがある。一方、上記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物の配合量が10質量%を超えると、グリース組成物が軟化してしまい、転がり軸受に使用した際に漏洩する恐れがある。
上記グリース組成物が、基油と、増ちょう剤としてのジウレアと、上記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物と、上記亜鉛ジチオホスフェートとを含む場合、
上記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物の配合量は、上記基油と上記増ちょう剤と上記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物と上記亜鉛ジチオホスフェートとの合計質量に対して、0.5〜10質量%であり、かつ、
上記亜鉛ジチオホスフェートの配合量は、上記基油と上記増ちょう剤と上記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物と上記亜鉛ジチオホスフェートとの合計質量に対して、0.5〜10質量%である、ことが好ましい。
上記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物の配合量が0.5質量%未満では、摩擦面における耐摩耗性の点で十分な効果が得られないことがある。一方、上記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物の配合量が10質量%を超えると、グリース組成物が軟化してしまい、転がり軸受に使用した際に、漏洩する恐れがある。
また、上記亜鉛ジチオホスフェートの配合量が0.5質量%未満では、摩擦面における耐摩耗性の点で十分な効果が得られないことがある。一方、上記亜鉛ジチオホスフェートの配合量が10質量%を超えた場合も摩擦面の耐摩耗性が劣ることになる。
上記亜鉛ジチオホスフェートの上記配合量は、0.5〜3.0質量%がより好ましく、1.0〜2.0質量%が更に好ましい。
上記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物の配合量は、上記基油と上記増ちょう剤と上記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物と上記亜鉛ジチオホスフェートとの合計質量に対して、0.5〜10質量%であり、かつ、
上記亜鉛ジチオホスフェートの配合量は、上記基油と上記増ちょう剤と上記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物と上記亜鉛ジチオホスフェートとの合計質量に対して、0.5〜10質量%である、ことが好ましい。
上記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物の配合量が0.5質量%未満では、摩擦面における耐摩耗性の点で十分な効果が得られないことがある。一方、上記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物の配合量が10質量%を超えると、グリース組成物が軟化してしまい、転がり軸受に使用した際に、漏洩する恐れがある。
また、上記亜鉛ジチオホスフェートの配合量が0.5質量%未満では、摩擦面における耐摩耗性の点で十分な効果が得られないことがある。一方、上記亜鉛ジチオホスフェートの配合量が10質量%を超えた場合も摩擦面の耐摩耗性が劣ることになる。
上記亜鉛ジチオホスフェートの上記配合量は、0.5〜3.0質量%がより好ましく、1.0〜2.0質量%が更に好ましい。
上記グリース組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で酸化防止剤及び防錆剤を添加剤として含有することが好ましい。更には、本発明の効果を損なわない範囲で、極圧添加剤、耐摩耗剤、染料、色相安定剤、増粘剤、構造安定剤、金属不活性剤、粘度指数向上剤などの添加剤を適量含有しても良い。
これらの各種添加剤を含有する場合、グリース組成物における各種添加剤の総含有量は、基油と増ちょう剤の合計量100質量部に対して10質量部以下とすることが好ましい。
これらの各種添加剤を含有する場合、グリース組成物における各種添加剤の総含有量は、基油と増ちょう剤の合計量100質量部に対して10質量部以下とすることが好ましい。
本発明のグリース組成物は、グリース潤滑が求められる箇所に用いることができ、転がり軸受用のグリースとして好ましく用いられる。特に、本発明のグリース組成物は、耐白層はく離性が要求される転がり軸受用のグリースとして好適である。
そのため、上記グリース組成物からなるグリースは、オルタネータ、カーエアコン用電磁クラッチ、中間プーリ、電動ファンモータなどの自動車電装部品や自動車用エンジンの補機、CVTの軸受などの苛酷な環境で用いられる転がり軸受に封入するグリースとして好ましく用いられる。
そのため、上記グリース組成物からなるグリースは、オルタネータ、カーエアコン用電磁クラッチ、中間プーリ、電動ファンモータなどの自動車電装部品や自動車用エンジンの補機、CVTの軸受などの苛酷な環境で用いられる転がり軸受に封入するグリースとして好ましく用いられる。
次に、上記グリース組成物の製造方法について説明する。
上記グリース組成物の製造は、例えば、最初に、基油及び増ちょう剤からなるベースグリースを調製し、その後、得られたベースグリースに上記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物及び任意成分である上記亜鉛ジチオホスフェート、更には必要に応じて含有させる各種添加剤を投入し、自転・公転ミキサー等で撹拌して各成分を混合することによって行うことができる。
上記グリース組成物の製造は、例えば、最初に、基油及び増ちょう剤からなるベースグリースを調製し、その後、得られたベースグリースに上記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物及び任意成分である上記亜鉛ジチオホスフェート、更には必要に応じて含有させる各種添加剤を投入し、自転・公転ミキサー等で撹拌して各成分を混合することによって行うことができる。
本発明は、上記の実施形態に制限されることなく、他の実施形態で実施することもできる。
本発明の実施形態に係る転がり軸受は、本発明の実施形態に係るグリース組成物が封入された玉軸受に限定されず、上記転がり軸受は、本発明の実施形態に係るグリース組成物が封入されたものであれば、転動体として玉以外のものが使用された針軸受、ころ軸受等、他の転がり軸受であっても良い。
本発明の実施形態に係る転がり軸受は、本発明の実施形態に係るグリース組成物が封入された玉軸受に限定されず、上記転がり軸受は、本発明の実施形態に係るグリース組成物が封入されたものであれば、転動体として玉以外のものが使用された針軸受、ころ軸受等、他の転がり軸受であっても良い。
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
ここでは、複数のグリース組成物を調製し、各グリース組成物の特性を評価した。各グリース組成物の組成及び評価結果は、表1に示した。
ここでは、複数のグリース組成物を調製し、各グリース組成物の特性を評価した。各グリース組成物の組成及び評価結果は、表1に示した。
実施例/比較例では、以下の原料を使用した。
・ジイソシアネート化合物:ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート(MDI)
・アミン化合物:オクチルアミン
・基油:PAO6(40℃における基油動粘度が30.5mm2/s)
・ジイソシアネート化合物:ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート(MDI)
・アミン化合物:オクチルアミン
・基油:PAO6(40℃における基油動粘度が30.5mm2/s)
・脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物:ADDITIN RC4580(ランクセス社製)
・亜鉛ジチオホスフェート:アデカキクルーブZ−112(ADEKA社製)
・亜鉛ジチオホスフェート:アデカキクルーブZ−112(ADEKA社製)
(比較例1)
(1)表1に示す基油含有量となるように用意したPAO6の半量のPAO6に、増ちょう剤原料のアミン化合物(オクチルアミン)を表1に示す含有量となるように混合し、100℃に加熱して溶解させ溶液Aを調製した。
(2)溶液Aの調製とは別に、表1に示す基油含有量となるように用意したPAO6の半量のPAO6に、増ちょう剤原料のジイソシアネート化合物(MDI)を表1に示す含有量となるように混合し、100℃に加熱して溶解させ溶液Bを調製した。
(3)上記溶液Bを撹拌しつつ、これに上記溶液Aを徐々に添加した。添加後150℃で30分間保持した。その後、攪拌を継続しながら放冷により室温まで冷却させた。
(4)最後に、室温まで冷却したものを3本ロールミルにより均質化処理することで、グリース組成物を得た。
(1)表1に示す基油含有量となるように用意したPAO6の半量のPAO6に、増ちょう剤原料のアミン化合物(オクチルアミン)を表1に示す含有量となるように混合し、100℃に加熱して溶解させ溶液Aを調製した。
(2)溶液Aの調製とは別に、表1に示す基油含有量となるように用意したPAO6の半量のPAO6に、増ちょう剤原料のジイソシアネート化合物(MDI)を表1に示す含有量となるように混合し、100℃に加熱して溶解させ溶液Bを調製した。
(3)上記溶液Bを撹拌しつつ、これに上記溶液Aを徐々に添加した。添加後150℃で30分間保持した。その後、攪拌を継続しながら放冷により室温まで冷却させた。
(4)最後に、室温まで冷却したものを3本ロールミルにより均質化処理することで、グリース組成物を得た。
このようにして生成したグリース組成物の増ちょう剤は、下記構造式(3)で表されるジウレアである。
(実施例1)
比較例1の(1)〜(3)の工程と同様の手法で基油と増ちょう剤との混合物を調製した後、表1に示した含有量(1.0質量%)となるように「脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物」を添加し、ミキサーを用いて、2000rpm、3分間の条件で混合した。
その後、3本ロールミルにより均質化処理することで、グリース組成物を得た。
比較例1の(1)〜(3)の工程と同様の手法で基油と増ちょう剤との混合物を調製した後、表1に示した含有量(1.0質量%)となるように「脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物」を添加し、ミキサーを用いて、2000rpm、3分間の条件で混合した。
その後、3本ロールミルにより均質化処理することで、グリース組成物を得た。
(実施例2)
表1に示した含有量(2.0質量%)となるように「脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物」の添加量を変更した以外は実施例1と同様の手法でグリース組成物を調製した。
表1に示した含有量(2.0質量%)となるように「脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物」の添加量を変更した以外は実施例1と同様の手法でグリース組成物を調製した。
(実施例3)
表1に示した含有量(5.0質量%)となるように「脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物」の添加量を変更した以外は実施例1と同様の手法でグリース組成物を調製した。
表1に示した含有量(5.0質量%)となるように「脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物」の添加量を変更した以外は実施例1と同様の手法でグリース組成物を調製した。
(実施例4)
表1に示した含有量(10.0質量%)となるように「脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物」の添加量を変更した以外は実施例1と同様の手法でグリース組成物を調製した。
表1に示した含有量(10.0質量%)となるように「脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物」の添加量を変更した以外は実施例1と同様の手法でグリース組成物を調製した。
(実施例5)
比較例1の(1)〜(3)の工程と同様の手法で基油と増ちょう剤との混合物を調製した後、表1に示した含有量(脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物が5.0質量%、亜鉛ジチオホスフェートが1.0質量%)となるように「脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物」及び「亜鉛ジチオホスフェート」を添加し、ミキサーを用いて、2000rpm、3分間の条件で混合した。
その後、3本ロールミルにより均質化処理することで、グリース組成物を得た。
比較例1の(1)〜(3)の工程と同様の手法で基油と増ちょう剤との混合物を調製した後、表1に示した含有量(脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物が5.0質量%、亜鉛ジチオホスフェートが1.0質量%)となるように「脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物」及び「亜鉛ジチオホスフェート」を添加し、ミキサーを用いて、2000rpm、3分間の条件で混合した。
その後、3本ロールミルにより均質化処理することで、グリース組成物を得た。
(実施例6)
表1に示した含有量(2.0質量%)となるように「亜鉛ジチオホスフェート」の添加量を変更した以外は実施例5と同様の手法でグリース組成物を調製した。
表1に示した含有量(2.0質量%)となるように「亜鉛ジチオホスフェート」の添加量を変更した以外は実施例5と同様の手法でグリース組成物を調製した。
(実施例7)
表1に示した含有量(5.0質量%)となるように「亜鉛ジチオホスフェート」の添加量を変更した以外は実施例5と同様の手法でグリース組成物を調製した。
表1に示した含有量(5.0質量%)となるように「亜鉛ジチオホスフェート」の添加量を変更した以外は実施例5と同様の手法でグリース組成物を調製した。
(グリース組成物の評価)
実施例1〜7及び比較例1で調製したグリース組成物を評価した。結果を表1に示した。
実施例1〜7及び比較例1で調製したグリース組成物を評価した。結果を表1に示した。
表1に示した各評価の評価方法は、下記の通りである。
(1)混和ちょう度
混和ちょう度(60W)をJIS K 2220−7に準拠した方法で測定した。
(1)混和ちょう度
混和ちょう度(60W)をJIS K 2220−7に準拠した方法で測定した。
(2)摩耗量
神鋼造機社製のボールオンディスク摩擦摩耗試験機を用いて、実施例1〜7及び比較例1で調製したグリース組成物のボールオンディスク摩擦摩耗試験(図2参照)を行い、摩耗量(鋼球摩耗痕径)を評価した。結果は表1に示した。
ここでは、図2に示すように、SUJ2製の平板上にグリース組成物を塗布し、その上に接触面圧が2.4GPaになるように荷重を掛けてSUJ2製の鋼球を接触させた。
この状態で平板を30分間回転させ、その後、鋼球の摩耗痕径を摩耗量として測定した。試験条件の詳細は表2に示した通りである。
なお、表1には、比較例1で評価した摩耗量の相対比として、実施例1〜7の評価結果を示した。
神鋼造機社製のボールオンディスク摩擦摩耗試験機を用いて、実施例1〜7及び比較例1で調製したグリース組成物のボールオンディスク摩擦摩耗試験(図2参照)を行い、摩耗量(鋼球摩耗痕径)を評価した。結果は表1に示した。
ここでは、図2に示すように、SUJ2製の平板上にグリース組成物を塗布し、その上に接触面圧が2.4GPaになるように荷重を掛けてSUJ2製の鋼球を接触させた。
この状態で平板を30分間回転させ、その後、鋼球の摩耗痕径を摩耗量として測定した。試験条件の詳細は表2に示した通りである。
なお、表1には、比較例1で評価した摩耗量の相対比として、実施例1〜7の評価結果を示した。
実施例及び比較例の結果から明らかな通り、本発明の実施形態に係るグリース組成物を用いることにより、摩耗量を減少させることができる。
従って、上記グリース組成物は、転がり軸受に封入して使用した際に、当該転がり軸受における白層はく離の発生を抑制することができると考えられる。
従って、上記グリース組成物は、転がり軸受に封入して使用した際に、当該転がり軸受における白層はく離の発生を抑制することができると考えられる。
1:玉軸受、2:内輪、3:外輪、4:玉、5:保持器、6:シール、7:領域、G:グリース
Claims (6)
- 基油と、
増ちょう剤としてのジウレアと、
ビス(2−エチルヘキサノイルオキシ)亜鉛と2−エチルヘキサン酸との混合物であって、ビス(2−エチルヘキサノイルオキシ)亜鉛と2−エチルヘキサン酸との合計質量に対するビス(2−エチルヘキサノイルオキシ)亜鉛の割合が75〜90質量%である脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物と、を含む、
グリース組成物。 - 更に、亜鉛ジチオホスフェートを含む、請求項1に記載のグリース組成物。
- 前記基油と、前記増ちょう剤と、前記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物との合計質量に対する前記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物の割合が0.5〜10質量%である、請求項1に記載のグリース組成物。
- 前記基油と、前記増ちょう剤と、前記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物と、亜鉛ジチオホスフェートとの合計質量に対する前記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物の割合が0.5〜10質量%であり、
前記基油と、前記増ちょう剤と、前記脂肪族モノカルボン酸亜鉛含有物と、亜鉛ジチオホスフェートとの合計質量に対する前記亜鉛ジチオホスフェートの割合が0.5〜10質量%である、請求項2に記載のグリース組成物。 - 更に、防錆剤と酸化防止剤とを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のグリース組成物。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載のグリース組成物が封入された、転がり軸受。
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