JP2021130747A - グリース組成物および転がり軸受 - Google Patents

グリース組成物および転がり軸受 Download PDF

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Yurie Hagino
侑里恵 萩野
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Abstract

【課題】 転がり軸受における電食抑制を図ることができるともに、静音性の良好なグリース組成物、及び、当該グリース組成物が封入された転がり軸受を提供する。【解決手段】 基油と、増ちょう剤と、酸化ジルコニウム粒子とを含み、前記基油は、ポリ−α−オレフィンであり、前記増ちょう剤は、脂肪族ジウレアであり、前記酸化ジルコニウム粒子は、メジアン径D50が0.2〜4μmであり、前記酸化ジルコニウム粒子の含有量は、前記基油と前記増ちょう剤との合計量に対して2〜25質量%であるであるグリース組成物。【選択図】 図1

Description

本発明は、グリース組成物および当該グリース組成物が封入された転がり軸受に関する。
近年、EV車やハイブリット車の需要拡大に伴って、モータ用軸受における電食対策が求められている。
電食対策の技術としては、転がり軸受の内外輪間で絶縁をできるだけ強化して耐電圧を高くする技術と、転がり軸受の内外輪間で電気を通りやすくして頻繁に小さな放電を繰り返し、内外輪間に電荷を溜めない技術とが知られている(例えば、特許文献1の段落[0003]参照)。
特開2012−237334号公報
上記のように電食対策の手法自体は提案されているものの、その技術はいまだ改善の要求が高かった。
そこで、本発明者らは、転がり軸受に封入するグリース組成物を特定の組成のものとすることによって、転がり軸受の内外輪間の絶縁性を高め、転がり軸受における電食の発生を抑制することを検討した。
また、グリース組成物によって、転がり軸受の内外輪間の絶縁性を確保する場合、単に絶縁性を確保するだけでなく、静音性等の転がり軸受の性能が損なわれないことも求められる。そのため、本発明者らは、転がり軸受用グリース組成物に求められる良好な静音性を確保することも検討した。
本発明者らは、増ちょう剤が脂肪族ジウレアであり、添加剤として、所定のメジアン径D50の酸化ジルコニウム粒子を所定量含有するグリース組成物であれば、転がり軸受に使用した際に、転がり軸受の内外輪間の絶縁性を確保して電食の発生を防止することができるともに、転がり軸受において、良好な静音性を確保することができることを見出し、本発明を完成した。
本発明のグリース組成物は、基油と、増ちょう剤と、酸化ジルコニウム粒子とを含み、
上記基油は、ポリ−α−オレフィンであり、
上記増ちょう剤は、脂肪族ジウレアであり、
上記酸化ジルコニウム粒子は、メジアン径D50が0.2〜4μmであり、
上記酸化ジルコニウム粒子の含有量は、上記基油と上記増ちょう剤との合計量に対して2〜25質量%である。
本発明のグリース組成物は、基油及び増ちょう剤に加えて特定のサイズの酸化ジルコニウム粒子を所定量含有している。そのため、上記グリース組成物は、転がり軸受に使用した際に油膜厚さを厚くすることができる。よって、上記グリース組成物を転がり軸受に使用した際には、当該グリース組成物が転がり軸受の摩擦面(内輪や外輪と転動体との接触面など)に厚い油膜を形成し、内外輪間の絶縁性を高めて当該転がり軸受における電食の発生を抑制することができる。
更に、上記グリース組成物は、上述した組成からなるため、上記グリース組成物を転がり軸受に使用した際には、良好な静音性も確保することができる。
上記グリース組成物において、上記酸化ジルコニウム粒子は、メジアン径D50が0.6〜4μmである、ことが好ましい。
この場合、転がり軸受の摩擦面にグリース組成物による厚い油膜を形成し、転がり軸受の内外輪間の絶縁性を高めて当該転がり軸受における電食の発生を抑制するのに、より適している。
上記グリース組成物において、上記増ちょう剤は、下記構造式(1)
−NHCONH−R−NHCONH−R・・・(1)
(式(1)中、R及びRは互いに独立して、−C13、−C17、又は、−C1021であり、Rは、−(CH−、−C(CH)−、又は、−C−CH−C−である。)
で表されるジウレアである、ことが好ましい。
上記構造式(1)で表される脂肪族ジウレアを増ちょう剤として含有するグリース組成物は、静音性を確保するのに好適である。
上記グリース組成物において、上記増ちょう剤の含有量は、上記基油及び上記増ちょう剤の合計量に対して10〜30質量%であることが好ましい。
上記グリース組成物は、更に、防錆剤及び酸化防止剤の少なくとも一方を含むことが好ましい。
本発明の転がり軸受は、本発明のグリース組成物が封入された、転がり軸受である。
本発明のグリース組成物によれば、上記グリース組成物が封入された転がり軸受において、電食の発生を抑制し、かつ優れた静音性を確保することができる。
本発明の一実施形態に係る玉軸受を示す断面図である。 ベースグリースの調製工程を説明するための図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
本発明の実施形態に係る転がり軸受は、本発明の実施形態に係るグリース組成物からなるグリースが封入された玉軸受である。
図1は、本発明の一実施形態に係る玉軸受を示す断面図である。
玉軸受1は、内輪2と、この内輪2の径方向外側に設けられている外輪3と、これら内輪2と外輪3との間に設けられている複数の転動体としての玉4と、これらの玉4を保持している環状の保持器5とを備えている。また、この玉軸受1は、軸方向一方側及び他方側のそれぞれにシール6が設けられている。
さらに、内輪2と外輪3との間の環状の領域7は、本発明の実施形態に係るグリース組成物からなるグリースGが封入されている。
内輪2は、その外周に玉4が転動する内軌道面21が形成されている。
外輪3は、その内周に玉4が転動する外軌道面31が形成されている。
玉4は、内軌道面21と外軌道面31との間に複数介在し、これら内軌道面21及び外軌道面31を転動する。
領域7に封入されたグリースGは、玉4と内輪2の内軌道面21との接触箇所、及び、玉4と外輪3の外軌道面31との接触箇所にも介在する。なお、グリースGは、内輪2と外輪3とシール6とで囲まれた空間から玉4と保持器5を除いた空間の容積に対して、20〜40体積%を占めるように封入されている。
シール6は、環状の芯金6aと芯金6aに固定された弾性部材6bとを備えた環状の部材であり、径方向外側部が外輪3に固定され、径方向内側部が内輪2に摺接可能に取付けられている。シール6は、封入されたグリースGが外部へ漏れるのを防止している。
このように構成された玉軸受1は、グリースGとして、後述する本発明の実施形態に係るグリース組成物からなるグリースが封入されている。そのため、グリースGが封入された玉軸受1は、玉4と内輪2の内軌道面21との接触箇所や、玉4と外輪3の外軌道面31との接触箇所に厚い油膜が形成され、電食の発生が抑制される。
次に、グリースGを構成するグリース組成物について詳細に説明する。
グリースGを構成するグリース組成物は、本発明の実施形態に係るグリース組成物であり、基油、増ちょう剤、及び、酸化ジルコニウム粒子を含有する。
上記グリース組成物は、上記酸化ジルコニウム粒子を含有するため、油膜厚さを厚くすることができ、転がり軸受に使用した際に、内外輪間等の絶縁性の確保に適している。
上記基油は、ポリ−α−オレフィン(PAO)である。
ポリ−α−オレフィンは、分子内に極性基が無いため、体積抵抗率が高く、絶縁性に優れたグリース組成物を提供するための基油として適している。
上記ポリ−α−オレフィンとしては、例えば、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン等のα−オレフィンを、オリゴマー化又はポリマー化したもの、更にはこれらを水素化したものが挙げられる。
上記ポリ−α−オレフィンとしては、1−デセンをオリゴマー化した、PAO4〜PAO8(PAO4、PAO5、PAO6、PAO7、PAO8)が好ましい。
上記基油の40℃における基油動粘度は、15〜50mm/sが好ましい。この理由は、軸受のトルクを低減するのに適しているからである。
上記基油動粘度(40℃)は、25〜35mm/sがより好ましい。
上記基油動粘度は、JIS K 2283に準拠した値である。
上記増ちょう剤は、脂肪族ジウレアである。
上記脂肪族ジウレアとしては、下記構造式(1)で表される脂肪族ジウレアが好ましい。
−NHCONH−R−NHCONH−R・・・(1)
(式(1)中、R及びRは互いに独立して、炭素数6〜10のアルキル基であり、Rは、−(CH−、−C(CH)−、又は、−C−CH−C−である。)
ここで、R及びRは互いに独立して、−C13、−C17、又は、−C1021が好ましい。また、R及びRのアルキル基は、直鎖状が好ましい。
また、Rが−C(CH)−の場合、フェニレン基は、2,4位又は2,6位で結合していることが好ましい。また、Rが−C−CH−C−の場合、両フェニレン基は、どちらもパラ位で結合していることが好ましい。
としては、−C−CH−C−が好ましい。
上記構造式(1)で表されるジウレアは、R及びRが炭素数6〜10のアルキル基である脂肪族ジウレアである。このような脂肪族ジウレアを用いたグリース組成物は、転がり軸受に使用した際に、絶縁性を確保しつつ、当該転がり軸受を静音性の良好な転がり軸受とするに特に適している。
上記構造式(1)で表されるジウレアは、脂肪族アミンと、ジイソシアネート化合物との反応物である。
上記脂肪族アミンは、炭素数6〜10の脂肪族アミンであり、具体例としては、1−アミノヘキサン、1−アミノヘプタン、1−アミノオクタン(n−オクチルアミンともいう)、1−アミノノナン、1−アミノデカンなどが挙げられる。
これらのなかでは、1−アミノヘキサン、1−アミノオクタン、及び、1−アミノデカンが好ましく、1−アミノオクタンが更に好ましい。
これらの芳香族アミンは、単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
上記ジイソシアネート化合物の具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,4−トルエンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トルエンジイソシアネート(2,6−TDI)、2,4−TDIと2,6−TDIとの混合物、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)などが挙げられる。
上記構造式(1)で表される脂肪族ジウレアを得るために、上記脂肪族アミンと上記ジイソシアネート化合物とは種々の条件下で反応させることができるが、増ちょう剤としての均一分散性が高いジウレア化合物が得られることから、基油中で反応させることが好ましい。
また、上記脂肪族アミンと上記ジイソシアネート化合物との反応は、脂肪族アミンを溶解した基油中に、ジイソシアネート化合物を溶解した基油を添加して行っても良いし、ジイソシアネート化合物を溶解した基油中に、脂肪族アミンを溶解した基油を添加して行っても良い。
上記の脂肪族アミンとジイソシアネート化合物との反応における温度及び時間は特に制限されず、通常この種の反応で採用される条件と同様の条件を採用すれば良い。
反応温度は、脂肪族アミン及びジイソシアネート化合物の溶解性、揮発性の点から、150℃〜170℃が好ましい。
反応時間は、脂肪族アミンとジイソシアネート化合物との反応を完結させるという点や、製造時間を短縮してグリースの製造を効率良く行うという点から、0.5〜2.0時間が好ましい。
上記増ちょう剤の含有量は、基油及び増ちょう剤の合計量に対して、10〜30質量%が好ましい。
上記増ちょう剤の含有量が10質量%未満では、グリースの基油を保持する能力が低下して、転がり軸受の回転中にグリースから離油する基油量が多くなる可能性が大きくなる。一方、上記増ちょう剤の含有量が30質量%を超えると、転がり軸受の回転により生じる、内輪、外輪、玉、保持器の相対運動によるグリースのせん断によって生じる撹拌抵抗が大きくなって転がり軸受のトルクが大きくなったり、グリースのせん断によって生じる撹拌抵抗にともなうグリースの発熱によるグリースの酸化や基油の蒸発、離油による劣化が促進されたりすることがある。
上記増ちょう剤のより好ましい含有量は、基油及び増ちょう剤の合計量に対して、20〜30質量%である。
上記グリース組成物は、特定のサイズの酸化ジルコニウム粒子を所定量含有する。
上記酸化ジルコニウム粒子を含有することにより、上記グリース組成物は、上記油膜厚さを増加させることができる。
また、上記酸化ジルコニウム粒子は、セラミックス粒子の中でもモース硬度やヤング率が低い粒子である。そのため、上記グリース組成物を転がり軸受に封入した場合、上記酸化ジルコニウム粒子が転がり軸受の構成部材を摩耗したり、音響性能を悪化させたりしにくく、上記グリース組成物は、転がり軸受用途に求められる基本性能を満足しつつ、上記油膜厚さの増加を図ることができる。
上記酸化ジルコニウム粒子は、レーザー回折・散乱法によって測定したメジアン径D50が、0.2〜4μmである。
メジアン径D50が上記範囲にある酸化ジルコニウム粒子は上記油膜厚さを厚くするのに適している。上記範囲のメジアン径D50の酸化ジルコニウム粒子は、軸受の転がり速度が低速の場合でも、中速〜高速の場合でも油膜中に存在しやすいからである。
一方、上記酸化ジルコニウム粒子のメジアン径D50が0.2μm未満では、上記グリース組成物の油膜厚さが厚くなりにくい。また、上記メジアン径D50が4μmを超えると、転がり軸受に封入したグリース組成物が、当該転がり軸受の摩擦面に介入しにくくなる。また、音響性能が悪化することがある。
上記メジアン径D50は0.6〜4μmが好ましい。
ここで、上記範囲のメジアン径D50を有する酸化ジルコニウム粒子は、2次粒子である。
上記酸化ジルコニウム粒子の形状は、球状が好ましい。
上記酸化ジルコニウム粒子は、レーザー回折・散乱法によって測定した最大粒子径が20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。
最大粒子径が20μmを超える酸化ジルコニウム粒子が混在すると、当該酸化ジルコニウム粒子のメジアン径D50が上記範囲にあっても、上記グリース組成物を封入した転がり軸受において、異音が発生して静音性が損なわれる場合がある。
上記酸化ジルコニウム粒子の含有量は、上記基油及び上記増ちょう剤の合計量に対して、2〜25質量%である。
上記酸化ジルコニウム粒子の含有量が2質量%未満では、上記油膜厚さを増加させ、絶縁性を高める効果に乏しい。一方、上記酸化ジルコニウム粒子の含有量が25質量%を超えると、静音性の悪化を引き起こす。また、グリースが硬化して潤滑性が悪化したり、攪拌抵抗が増加して回転トルクが増大したりすることがある。更には、転がり軸受に封入するのに適したグリースとしての性状を有することが困難になることもある。
上記酸化ジルコニウム粒子の含有量の下限は、上記基油及び上記増ちょう剤の合計量に対して5質量%が好ましく、7質量%がより好ましい。一方、上記含有量の上限は、上記基油及び上記増ちょう剤の合計量に対して20質量%が好ましく、17質量%がより好ましい。
上記グリース組成物は、更に、防錆剤や酸化防止剤を含有していても良い。
上記防錆剤を配合することで、上記グリース組成物を封入した転がり軸受における錆の発生を抑制することができる。
上記酸化防止剤を配合することで、上記グリース組成物の潤滑寿命を向上させることができる。
上記グリース組成物は、更に、その他の添加剤として、例えば、極圧剤、油性剤、耐摩耗剤、染料、色相安定剤、増粘剤、構造安定剤、金属不活性剤、粘度指数向上剤等を含有していても良い。
次に、上記グリース組成物の製造方法について説明する。
上記グリース組成物の製造は、例えば、最初に、基油及び増ちょう剤からなるベースグリースを調製し、その後、得られたベースグリースに酸化ジルコニウム粒子及び必要に応じて含有させる任意の添加剤を投入し、自転・公転ミキサー等で撹拌して各成分を混合することによって行うことができる。
この実施形態によれば、玉軸受1に封入されたグリースGを構成するグリース組成物として、上述した基油及び増ちょう剤に加えて、上述した酸化ジルコニウム粒子を所定量含有するものを採用する。このようなグリース組成物を採用することにより、上記グリースGが封入された玉軸受1では、内外輪間の絶縁性を高め、電食の発生を抑制することができる。更には、良好な静音性を確保することもできる。
本発明は、上記の実施形態に制限されることなく、他の実施形態で実施することもできる。
本発明の実施形態に係る転がり軸受は、本発明の実施形態に係るグリース組成物からなるグリースが封入された玉軸受に限定されない。上記転がり軸受は、本発明の実施形態に係るグリース組成物からなるグリースが封入されたものであれば、転動体として玉以外のものが使用された、ころ軸受等、他の転がり軸受であっても良い。
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
ここでは、複数のグリース組成物を調製し、各グリース組成物の特性を評価した。各グリース組成物の組成及び評価結果は、表1に示した。
(ベースグリースの調製/比較例1)
ベースグリースとして、基油及び増ちょう剤を含有するグリース組成物を下記の工程を経て調製した。
図2は、ベースグリースの調製工程を説明するための図である。
(1)ポリ−α−オレフィンの1種であるPAO6(イネオス オリゴマーズ社製、(商品名)Durasyn 166 polyalphaolefin、動粘度(40℃)29〜33mm/s)を基油とし、この基油を100℃に加熱しておく。
(2)基油、n−オクチルアミン、及び、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を計量する。
(3)ステンレス容器Aに、半量の基油(100℃)とMDIとを投入し、100℃で30分間撹拌する。
(4)別のステンレス容器Bに、残りの半量の基油(100℃)とn−オクチルアミンとを投入し、100℃で30分間撹拌する。
上記工程(3)及び(4)を一次工程という。
(5)ステンレス容器B内のアミン溶液を、ステンレス容器Aに滴下し、イソシアネート溶液に徐々に投入する。このとき、反応熱により液温は20℃程度昇温する。
(6)ステンレス容器B内のアミン溶液が、ステンレス容器A内に全量投入されたことを確認した後、150℃まで昇温する。
(7)加熱しながら撹拌し、30分間、温度を150℃に保持する。本工程(7)を二次工程という。
(8)加熱を止め、撹拌しながら自然放冷し、100℃まで冷却する。
(9)温度が100℃以下になったことを確認した後、撹拌を停止し、そのまま常温になるまで自然放冷する。
(10)三本ロールミルで均質化処理を実施する。このとき、処理条件は、
ロール間すき間:−50μm
ロール間圧力:1MPa
回転速度:200r/min
処理温度:RT
とする。
このような工程(1)〜(10)を経て、ベースグリースを調製した。
このベースグリースは、比較例1のグリース組成物として後述する評価に供した。このグリース組成物において、増ちょう剤は、脂肪族ジウレアである。
(比較例2)
n−オクチルアミンに代えて、アミンとしてp−トルイジンを使用し、工程(6)及び工程(7)の温度を170℃とした以外は、比較例1と同様にしてグリース組成物を調製した。このグリース組成物において、増ちょう剤は、芳香族ジウレアである。
比較例1で調製したベースグリースを用いて、実施例1〜4のグリース組成物を調製した。このとき、下記試薬を使用した。
・酸化ジルコニウム粒子(A):SPZ(第一稀元素化学工業社製、D50=1.83μm)
・酸化ジルコニウム粒子(B):UEP(第一稀元素化学工業社製、D50=0.48μm)
(実施例1)
上記ベースグリース100質量部に、酸化ジルコニウム粒子(A)10質量部を混合してグリース組成物を調製した。
ここでは、自転・公転ミキサーを使用し、回転数:2000rpm、時間:3分間の条件で酸化ジルコニウム粒子(A)をベースグリースに混合した。
(実施例2)
酸化ジルコニウム粒子(A)の添加量を5質量部に変更した以外は実施例1と同様にしてグリース組成物を調製した。
(実施例3)
酸化ジルコニウム粒子(A)の添加量を20質量部に変更した以外は実施例1と同様にしてグリース組成物を調製した。
(実施例4)
酸化ジルコニウム粒子(A)に代えて、酸化ジルコニウム粒子(B)を添加した以外は実施例1と同様にしてグリース組成物を調製した。
(グリース組成物の評価)
実施例1〜4及び比較例1、2で調製したグリース組成物の油膜厚さ及び音響安定値比を下記の方法で評価した。結果を表1に示した。
Figure 2021130747
(1)油膜厚さ
実施例及び比較例で調製したグリース組成物の油膜厚さについて、EHL極薄膜厚計測システム(PCS Instruments EHD2)を用いて下記表2の条件に従って測定した。
Figure 2021130747
(2)音響安定値(振動加速度:VG)
転がり軸受の音響安定値は、軸受振動加速度によって評価した。具体的には、グリース組成物を軸受(62022RU)に空間容積比で35%になるように封入した。そして、内輪を1800min−1で回転させたときの外輪のラジアル方向への振動加速度(VG)を、圧電式加速度センサーで測定した(測定時間:回転開始から1min後)。得られた値を音響安定値とした。
表1には、比較例1の音響安定値に対する比率(音響安定値(1分後)比)として、結果を示した。
実施例及び比較例の結果の通り、本発明の実施形態に係るグリース組成物は、油膜厚さを充分に厚くできるため、絶縁性に優れ、上記グリース組成物を封入した転がり軸受における電食の発生を抑制することができる。また、比較例1のベースグリースを使用した場合と同程度の静音性も確保することができる。
1:玉軸受、2:内輪、3:外輪、4:玉、5:保持器、6:シール、7:領域、G:グリース

Claims (6)

  1. 基油と、増ちょう剤と、酸化ジルコニウム粒子とを含み、
    前記基油は、ポリ−α−オレフィンであり、
    前記増ちょう剤は、脂肪族ジウレアであり、
    前記酸化ジルコニウム粒子は、メジアン径D50が0.2〜4μmであり、
    前記酸化ジルコニウム粒子の含有量は、前記基油と前記増ちょう剤との合計量に対して2〜25質量%である
    グリース組成物。
  2. 前記酸化ジルコニウム粒子は、メジアン径D50が0.6〜4μmである、請求項1に記載のグリース組成物。
  3. 前記増ちょう剤は、下記構造式(1)
    −NHCONH−R−NHCONH−R・・・(1)
    (式(1)中、R及びRは互いに独立して、−C13、−C17、又は、−C1021であり、Rは、−(CH−、−C(CH)−、又は、−C−CH−C−である。)
    で表されるジウレアである、請求項1又は2に記載のグリース組成物。
  4. 前記増ちょう剤の含有量は、前記基油及び前記増ちょう剤の合計量に対して10〜30質量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のグリース組成物。
  5. 更に、防錆剤及び酸化防止剤の少なくとも一方を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のグリース組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のグリース組成物が封入された、転がり軸受。
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