JP2021130806A - グリース組成物および転がり軸受 - Google Patents

グリース組成物および転がり軸受 Download PDF

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武志 津田
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Abstract

【課題】 転がり軸受における白層はく離の発生を抑制することができるグリース組成物、及び、当該グリース組成物が封入された転がり軸受を提供する。【解決手段】 基油と、増ちょう剤とを含み、前記増ちょう剤は、下記式(1)で表されるジウレアからなり、前記増ちょう剤は、n−オクチル基を含むジウレアとn−ドコシル基を含むジウレアと、シクロヘキシル基を含むジウレアとを含有するグリース組成物。R1−NHCONH−C6H4−CH2−C6H4−NHCONH−R2・・・(1)(式中、R1とR2とはそれぞれ独立して、n−オクチル基、n−ドコシル基及びシクロヘキシル基のいずれかである。)【選択図】 図1

Description

本発明は、グリース組成物および当該グリース組成物が封入された転がり軸受に関する。
オルタネータ、カーエアコン用電磁クラッチ、中間プーリ、電動ファンモータなどの自動車電装部品や自動車用エンジンの補機などに用いられる軸受は、高温・高速・高荷重・高振動などの苛酷な環境で使用される。
このような過酷な環境で使用される転がり軸受では、使用中に固定輪や転動体に鋼の組織変化に伴う早期はく離が発生することがある。この鋼の組織変化に伴う早期はく離は、内部起点はく離とは異なり、白色組織が見られるのが特徴的で、白層はく離と呼ばれている。
近年、転がり軸受の使用条件がさらに過酷になり、転がり軸受において白層はく離が発生しやすくなっている。
そこで、このような白層はく離の問題を解決することを目的とするグリースが提案されている。
例えば、特許文献1では、水素による白色組織変化をともなうはく離を防止するために、カーボンブラック等の導電性物質を0.1〜10重量%の割合で含有するグリースを用いることが提案されている。
特開2002−195277号公報
白層はく離の発生は、すべり、高面圧、衝撃荷重などによる内部応力の増大が主原因であり、更に、内部応力の増大にともない内外輪と転動体との摩擦面に新生面が発生し、この新生面と大気中の水分やグリースとの化学反応によって水素が発生し、この水素が軸受鋼へ侵入することによって助長されると考えられている。
そして、特許文献1で提案されたような所定量のカーボンブラックを含有するグリースでは、上記白層はく離を充分に抑制することが困難であった。
そのため、上記白層はく離を回避するのにより適したグリースが引き続き求められている。
本発明者らは、上記の要求に応えるべく鋭意検討を行い、増ちょう剤として特定のジウレアを含むグリース組成物を使用すれば、転がり軸受における白層はく離の発生を抑制することができることを見出し、本発明を完成した。
本発明のグリース組成物は、
基油と、増ちょう剤とを含み、
上記増ちょう剤は、下記式(1)
−NHCONH−C−CH−C−NHCONH−R・・・(1)
(式中、RとRとはそれぞれ独立して、n−オクチル基、n−ドコシル基及びシクロヘキシル基のいずれかである。)で表されるジウレアからなり、
上記増ちょう剤は、n−オクチル基を含むジウレアと、n−ドコシル基を含むジウレアと、シクロヘキシル基を含むジウレアとを含有する。
本発明のグリース組成物は、増ちょう剤が、n−オクチル基を含む上記式(1)で表されるジウレアと、n−ドコシル基を含む上記式(1)で表されるジウレアと、シクロヘキシル基を含む上記式(1)で表されるジウレアとの混合物である。そのため、上記増ちょう剤を含有するグリース組成物は、転がり軸受用のグリースに求められる特性を有しつつ、すべり、高面圧、衝撃荷重などによって内部応力が増加することを抑制することができる。従って、内部応力の増加や、当該内部応力の増加に伴う新生面の発生を抑制することができ、その結果、白層はく離の発生を抑制することができる。
上記グリース組成物は、n−オクチル基とn−ドコシル基とシクロヘキシル基との合計100mol分率に対して、n−オクチル基を70〜90mol分率、n−ドコシル基を5〜20mol分率、シクロヘキシル基を5〜20mol分率、含むことが好ましい。
この場合、優れた耐摩耗性及び良好なトラクション係数の確保により適しており、内部応力の増加に伴う新生面の発生を抑制して白層はく離の発生を抑制するのに特に適している。
上記グリース組成物において、上記増ちょう剤の含有量は、上記基油と上記増ちょう剤との合計質量に対して、11〜25質量%である、ことが好ましい。
上記グリース組成物は、更に、防錆剤、酸化防止剤及び極圧剤のうちの少なくとも1種の添加剤を含み、上記グリース組成物に含まれる上記添加剤の含有量は、上記基油と上記増ちょう剤との合計質量に対して、それぞれ0.5〜10質量%である、ことが好ましい。
本発明の転がり軸受は、本発明のグリース組成物が封入された、転がり軸受である。
本発明のグリース組成物は、低トルク性、耐摩耗性、長潤滑寿命性、良好なトラクション係数、適度なチャーニング性、及び耐漏えい性をバランス良く確保しつつ、転がり軸受に使用した際に、すべり、高面圧、衝撃荷重などによって内部応力が増加することを抑制することができる。そのため、転がり軸受における白層はく離の発生を抑制することができる。
また、本発明の転がり軸受は、上記グリース組成物が封入されているため、白層はく離が発生しにくい転がり軸受である。
本発明の一実施形態に係る玉軸受を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
本発明の実施形態に係る転がり軸受は、本発明の実施形態に係るグリース組成物からなるグリースが封入された玉軸受である。
図1は、本発明の一実施形態に係る玉軸受を示す断面図である。
玉軸受1は、内輪2と、この内輪2の径方向外側に設けられている外輪3と、これら内輪2と外輪3との間に設けられている複数の転動体としての玉4と、これらの玉4を保持している環状の保持器5とを備えている。また、この玉軸受1は、軸方向一方側及び他方側のそれぞれにシール6が設けられている。
さらに、内輪2と外輪3との間の環状の領域7は、本発明の実施形態に係るグリース組成物からなるグリースGが封入されている。
内輪2は、その外周に玉4が転動する内軌道面21が形成されている。
外輪3は、その内周に玉4が転動する外軌道面31が形成されている。
玉4は、内軌道面21と外軌道面31との間に複数介在し、これら内軌道面21及び外軌道面31を転動する。
領域7に封入されたグリースGは、玉4と内輪2の内軌道面21との接触箇所、及び、玉4と外輪3の外軌道面31との接触箇所にも介在する。なお、グリースGは、内輪2と外輪3とシール6とで囲まれた空間から玉4と保持器5を除いた空間の容積に対して、20〜40体積%を占めるように封入されている。
シール6は、環状の金属環6aと金属環6aに固定された弾性部材6bとを備えた環状の部材であり、径方向外側部が外輪3に固定され、径方向内側部のリップ先端が内輪2に摺接可能に取付けられている。シール6は、封入されたグリースGが外部へ漏れるのを防止している。
このように構成された玉軸受1は、グリースGとして、後述する本発明の実施形態に係るグリース組成物からなるグリースが封入されている。そのため、グリースGが封入された玉軸受1は、白層はく離が発生しにくい。
次に、グリースGを構成するグリース組成物について詳細に説明する。
グリースGを構成するグリース組成物は、本発明の実施形態に係るグリース組成物であり、基油と増ちょう剤とを含む。
上記グリース組成物は、増ちょう剤として特定のジウレアを含むことを技術的特徴としている。このような技術的特徴を有する上記グリース組成物は、低トルク性、耐摩耗性、長潤滑寿命性、良好なトラクション係数、適度なチャーニング性、及び耐漏えい性という転がり軸受用のグリースに求められる特性をバランス良く満足しつつ、すべり、高面圧、衝撃荷重などによって固定輪や転動体の内部応力が増加することを抑制することができる。そのため、内部応力の増加に伴う新生面の発生も抑制することができ、更には、水素の生成を抑制したり、当該水素の軸受鋼への侵入を防止したりすることもできる。
その結果、上記グリース組成物を転がり軸受に使用することで、当該転がり軸受における白層はく離の発生を抑制することができる。
上記基油としては、例えば、ポリ−α−オレフィン(PAO)、エステル油、ポリアルキレングリコール、フッ素油、シリコーン油、アルキルジフェニルエーテル等のエーテル油等が挙げられる。
これらのなかでは、ポリ−α−オレフィン(PAO)が好ましい。
上記基油としてポリ−α−オレフィンを選択したグリース組成物は、使用時に基油が発熱によって分解しても水素を発生しにくい。
上記ポリ−α−オレフィンとしては、例えば、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン等のα−オレフィンを、オリゴマー化又はポリマー化したもの、更にはこれらを水素化したものが挙げられる。
上記ポリ−α−オレフィンとしては、1−デセンをオリゴマー化した、PAO4〜PAO8(PAO4、PAO5、PAO6、PAO7、PAO8)が好ましい。
上記基油において、40℃における基油動粘度は、20〜60mm/sが好ましい。この場合、耐熱性を確保しつつ、低トルク化を図るのに適している。
一方、上記基油動粘度(40℃)が20mm/s未満では、グリースGが耐熱性に劣ることになる。また、上記基油動粘度(40℃)が60mm/sを超えると、グリースGを封入した玉軸受のトルクが増大することがある。
上記基油動粘度(40℃)は、25〜50mm/sがより好ましい。
上記基油動粘度は、JIS K 2283に準拠した値である。
上記グリース組成物において、上記増ちょう剤は、下記式(1)
−NHCONH−C−CH−C−NHCONH−R・・・(1)
(式中、RとRとはそれぞれ独立して、n−オクチル基、n−ドコシル基及びシクロヘキシル基のいずれかである。)で表されるジウレアからなり、上記増ちょう剤は、n−オクチル基を含むジウレアと、n−ドコシル基を含むジウレアと、シクロヘキシル基を含むジウレアとを含有する。
従って、上記グリース組成物において、増ちょう剤は、所定の化学構造を有する複数種類のジウレアで構成されている。
具体的には、上記増ちょう剤は、少なくともn−オクチル基を含むジウレアと、n−ドコシル基を含むジウレアと、シクロヘキシル基を含むジウレアとが存在するように、下記(U1)〜(U6)のジウレアが混在するものである。
(U1)両末端がともにn−オクチル基であるジウレア
(U2)両末端の一方がn−オクチル基で、他方がn−ドコシル基であるジウレア
(U3)両末端の一方がn−オクチル基で、他方がシクロヘキシル基であるジウレア
(U4)両末端がともにn−ドコシル基であるジウレア
(U5)両末端の一方がn−ドコシル基で、他方がシクロヘキシル基であるジウレア
(U6)両末端がともにシクロヘキシル基であるジウレア
ここでは、(U1)、(U2)及び(U3)がn−オクチル基を含むジウレアであり、(U2)、(U4)及び(U5)がn−ドコシル基を含むジウレアであり、(U3)、(U5)及び(U6)がシクロヘキシル基を含むジウレアである。
このように、上記増ちょう剤は、両末端に特定の官能基を有する複数種類のジウレアで構成されている。
上記増ちょう剤は、n−オクチル基とn−ドコシル基とシクロヘキシル基との合計100mol分率に対して、n−オクチル基を70〜90mol分率、n−ドコシル基を5〜20mol分率、シクロヘキシル基を5〜20mol分率、含むことが好ましい。
この場合、上述した性能をバランス良く確保するのにより適しており、特に、耐摩耗性の向上と、良好なトラクション係数の確保に好適である。そのため、白層はく離の発生の防止により適している。
具体的には、n−オクチル基を上記範囲のmol分率で含むことによって、低トルク性、耐摩耗性、及び長潤滑寿命性の確保に寄与することができる。
また、n−ドコシル基を上記範囲のmol分率で含むことによって、n−オクチル基の存在に起因する結晶成長を阻害して、増ちょう剤を細繊維化し、良好なトラクション係数の確保を図ることができるともに、適度なチャーニング性の付与にも寄与することができる。
更に、シクロヘキシル基を上記範囲のmol分率で含むことによって、n−オクチル基の存在に起因する結晶成長を阻害して、増ちょう剤を細繊維化し、良好なトラクション係数の確保を図ることができるとともに、耐漏えい性の確保に寄与することができる。n−ドコシル基を含むことによってチャーニング性が付与された場合、同時に耐漏えい性が低下するおそれがあるが、n−ドコシル基とともにシクロヘキシル基を含むことによって耐漏えい性の低下を回避することができる。
上記式(1)で表されるジウレアにおいて、2つのウレア結合に挟まれた官能基「−C−CH−C−」は、2つのフェニレン基が、どちらもパラ位で結合していることが好ましい。
上記グリース組成物に含まれるジウレアは、ジイソシアネート化合物と、複数種類のアミン化合物の混合物(以下、アミン混合物ともいう)との反応物である。
上記ジイソシアネート化合物としては、例えば、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4′−MDI)、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4′−MDI)、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,2′−MDI)などが挙げられる。これらのなかでは、4,4′−MDIが好ましい。
上記アミン混合物は、(a)短鎖長脂肪族アミンであるオクチルアミン(1−アミノオクタンともいう)と、(b)長鎖長脂肪族アミンであるベヘニルアミン(ドコシルアミンともいう)と、(c)脂環式アミンであるシクロヘキシルアミンとの混合物である。
上記アミン混合物は、(a)成分の含有率が70〜90mol%、(b)成分の含有率が5〜20mol%、(c)成分の含有率が5〜20mol%であることが好ましい。上記アミン混合物中の3成分の合計含有率は90〜100mol%が好ましく、95〜100mol%がより好ましく、100mol%が特に好ましい。
上記アミン混合物は、(a)成分の含有率が70〜80mol%、(b)成分の含有率が10〜15mol%、(c)成分の含有率が10〜15mol%であることがより好ましい。
上記ジウレアを得るために、上記ジイソシアネート化合物と上記アミン混合物とは種々の条件下で反応させることができるが、増ちょう剤としての均一分散性が高いジウレア化合物が得られることから、基油中で反応させることが好ましい。
また、上記ジイソシアネート化合物と上記アミン混合物との反応は、上記アミン混合物を溶解した基油中に、上記ジイソシアネート化合物を溶解した基油を添加して行っても良いし、上記ジイソシアネート化合物を溶解した基油中に、上記アミン混合物を溶解した基油を添加して行っても良い。
上記のアミン混合物とジイソシアネート化合物との反応における温度及び時間は特に制限されず、グリース組成物を構成するジウレアを得るために通常採用される条件と同様の条件を採用すれば良い。
反応温度は、ジイソシアネート化合物及び上記アミン混合物に含まれる各アミン化合物の溶解性、揮発性の点から、150℃〜170℃が好ましい。
反応時間は、ジイソシアネート化合物と上記アミン混合物に含まれる各アミン化合物との反応を完結させるという点や、製造時間を短縮してグリースの製造を効率良く行うという点から、0.5〜2.0時間が好ましい。
上記増ちょう剤の含有量は、上記基油と上記増ちょう剤との合計質量に対して、11〜25質量%であることが好ましい。
上記増ちょう剤の含有量が11質量%未満では、グリースが基油を保持する能力が低下して、転がり軸受の回転中にグリースから基油が離油する量が多くなる可能性が大きくなる。一方、上記増ちょう剤の含有量が25質量%を超えると、グリース組成物が硬質となり、転がり軸受に封入して使用した際に、当該転がり軸受のトルクが増大することがある。
上記グリース組成物は、添加剤として、酸化防止剤、防錆剤、極圧剤を含んでいても良い。
上記酸化防止剤としては、アミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤等の従来公知の酸化防止剤を用いることができる。上記酸化防止剤を含有する場合、その含有量は、上記基油と上記増ちょう剤との合計質量に対して、0.5〜10質量%が好ましい。
上記防錆剤としては、従来公知の防錆剤を用いることができる。上記防錆剤を含有する場合、その含有量は、上記基油と上記増ちょう剤との合計質量に対して、0.5〜10質量%が好ましい。
上記極圧剤としては、従来公知の極圧剤を用いることができる。上記極圧剤を含有する場合、その含有量は、上記基油と上記増ちょう剤との合計質量に対して、0.5〜10質量%が好ましい。
上記グリース組成物は、更に、他の添加剤として、例えば、耐摩耗剤、染料、色相安定剤、増粘剤、構造安定剤、金属不活性剤、粘度指数向上剤等を本発明の効果を損なわない範囲で含有しても良い。
これらの各種添加剤を含有する場合、グリース組成物における各種添加剤の総含有量は、基油と増ちょう剤の合計質量に対して10質量%以下とすることが好ましい。
上記グリース組成物は、従来公知の方法で製造すれば良い。
例えば、上述したように、ジイソシアネート化合物を溶解した基油とアミン混合物を溶解した基油とを混合してジイソシアネート化合物とアミン化合物とを反応させ、更に、これらの反応中や反応後の適宜のタイミングに必要に応じて各種添加剤を投入して、製造すれば良い。
本発明のグリース組成物は、グリース潤滑が求められる箇所に用いることができ、転がり軸受用のグリースとして好ましく用いられる。特に、本発明のグリース組成物は、耐白層はく離性が要求される転がり軸受用のグリースとして好適である。
そのため、上記グリース組成物からなるグリースは、オルタネータ、カーエアコン用電磁クラッチ、中間プーリ、電動ファンモータなどの自動車電装部品や自動車用エンジンの補機、CVTの軸受などの苛酷な環境で用いられる転がり軸受に封入するグリースとして好ましく用いられる。
本発明は、上記の実施形態に制限されることなく、他の実施形態で実施することもできる。
本発明の実施形態に係る転がり軸受は、本発明の実施形態に係るグリース組成物が封入された玉軸受に限定されず、上記転がり軸受は、本発明の実施形態に係るグリース組成物が封入されたものであれば、転動体として玉以外のものが使用された針軸受、ころ軸受等、他の転がり軸受であっても良い。
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
ここでは、複数のグリースを調製し、各グリースの特性を評価した。各グリースの組成及び評価結果は、表1に示した。
実施例/比較例では、以下の原料を使用した。
・アミン化合物A:オクチルアミン(OTA)
・アミン化合物B:ベヘニルアミン(BHA)
・アミン化合物C:シクロヘキシルアミン(CHA)
・アミン化合物D:p−ドデシルアニリン(pDA)
・ジイソシアネート化合物:4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4′−MDI)
・基油A:PAO6(40℃における基油動粘度が30.5mm/s)
・基油B:ADE(40℃における基油動粘度が103mm/s)
(実施例1)
表1に示した組成のグリース組成物からなるグリースを下記の工程を経て調製した。
(1)4,4′−MDI、オクチルアミン(OTA)、ベヘニルアミン(BHA)及びシクロヘキシルアミン(CHA)を、4,4′−MDI50mol%に対して、オクチルアミン80mol%、ベヘニルアミン10mol%及びシクロヘキシルアミン10mol%となるように計量した。
(2)ステンレス容器Aに、グリース組成物全量に対する配合量が85質量%になる量の半量の基油Aと、反応後の増ちょう剤の配合量がグリース組成物全量に対して15質量%になる量のオクチルアミン、ベヘニルアミン及びシクロヘキシルアミンを投入し、100℃に加熱して溶解させ、アミン混合物溶液を調製した。
(3)別のステンレス容器Bに、残りのグリース組成物全量に対する配合量が85質量%になる量の半量の基油Aと、反応後の増ちょう剤の配合量がグリース組成物全量に対して15質量%になる量の4,4′−MDIとを投入し、100℃に加熱して溶解させ、イソシアネート溶液を調整した。
(4)ステンレス容器B内のイソシアネート溶液を攪拌しつつ、これにステンレス容器A内のアミン混合物溶液を徐々に添加した。添加後150℃で30分間保持した。その後、攪拌を継続しながら放冷により室温まで冷却させた。
(5)最後に、室温まで冷却したものを3本ロールミルにより均質化処理することで、グリースを得た。
(実施例2)
表1に示した組成になるように、アミン化合物の量を変更した以外は、実施例1と同様にしてグリースを得た。
(比較例1)
表1に示した組成になるように、アミン化合物の種類及び量、並びに、基油の種類を変更した以外は、実施例1と同様にしてグリースを得た。
(比較例2)
表1に示した組成になるように、アミン化合物の種類及び量、ジイソシアネート化合物の量、並びに、基油の量を変更した以外は、実施例1と同様にしてグリースを得た。
(比較例3)
ベヘニルアミン(BHA)に代えて、p−ドデシルアニリン(pDA)を用いた以外は、実施例1と同様にしてグリースを得た。
(比較例4)
ベヘニルアミン(BHA)に代えて、p−ドデシルアニリン(pDA)を用いた以外は、実施例2と同様にしてグリースを得た。
(グリースの評価)
実施例1〜2及び比較例1〜4で調製したグリースを評価した。結果を表1に示した。
Figure 2021130806
表1に示した各評価の評価方法は、下記の通りである。
(1)油膜厚さ
実施例及び比較例で調製したグリースの油膜厚さについて、EHL極薄膜厚計測システム(PCS Instruments EHD2)を用いて下記表2の条件に従って測定した。結果は表1に示した。
なお、本発明の実施形態に係るグリース組成物は、この方法で測定した油膜厚さが100nm以上であることが好ましい。転がり軸受に使用した際に、軸受鋼への水素の侵入を抑制するのに適しているからである。
Figure 2021130806
(2)トラクション係数
実施例及び比較例で調製したグリースのトラクション係数について、EHL極薄膜厚計測システム(PCS Instruments EHD2)を用いて下記表3の条件に従って測定した。結果は表1に示した。
なお、本発明の実施形態に係るグリース組成物は、この方法で測定したトラクション係数が0.02以上であることが好ましい。転がり軸受に使用した際に、転動体のすべりの発生を抑制するのに適しているからである。
Figure 2021130806
(3)摩擦痕面積
摩擦摩耗試験機(レスカ社製、フリクションプレーヤ FPR−2100)を用いて、実施例及び比較例で調製したグリースのボールオンディスク摩擦摩耗試験を行い、摩耗量(摩耗痕面積)を評価した。結果は表1に示した。
ここでは、SUJ2製の円板上にグリースを塗布し、その上に接触面圧が2.4GPaになるように荷重を掛けてSUJ2製の鋼球を接触させた。
この状態で円板を1800秒間回転させ、その後、鋼球の摩耗痕面積(mm)を摩耗量として測定した。試験条件の詳細は表4に示した通りである。
Figure 2021130806
実施例及び比較例の結果から明らかな通り、本発明の実施形態に係るグリース組成物では、増ちょう剤が特定のジウレアの混合物であるため、耐摩耗性に優れるとともに良好なトラクション係数を有し、更には充分な油膜厚さを確保できることが明らかとなった。
従って、上記グリース組成物は、転がり軸受に封入して使用した際に、新生面の生成や水素の発生・侵入を防止し、当該転がり軸受における白層はく離の発生を抑制することができると考えられる。
1:玉軸受、2:内輪、3:外輪、4:玉、5:保持器、6:シール、7:領域、G:グリース

Claims (5)

  1. 基油と、増ちょう剤とを含み、
    前記増ちょう剤は、下記式(1)
    −NHCONH−C−CH−C−NHCONH−R・・・(1)
    (式中、RとRとはそれぞれ独立して、n−オクチル基、n−ドコシル基及びシクロヘキシル基のいずれかである。)で表されるジウレアからなり、
    前記増ちょう剤は、n−オクチル基を含むジウレアと、n−ドコシル基を含むジウレアと、シクロヘキシル基を含むジウレアとを含有する、グリース組成物。
  2. 前記増ちょう剤は、n−オクチル基とn−ドコシル基とシクロヘキシル基との合計100mol分率に対して、n−オクチル基を70〜90mol分率、n−ドコシル基を5〜20mol分率、シクロヘキシル基を5〜20mol分率、含む、
    請求項1に記載のグリース組成物。
  3. 前記増ちょう剤の含有量は、前記基油と前記増ちょう剤との合計質量に対して、11〜25質量%である、請求項1又は2に記載のグリース組成物。
  4. 更に、防錆剤、酸化防止剤及び極圧剤のうちの少なくとも1種の添加剤を含み、
    前記グリース組成物に含まれる前記添加剤の含有量は、
    前記基油と前記増ちょう剤との合計質量に対して、それぞれ0.5〜10質量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のグリース組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のグリース組成物が封入された、転がり軸受。
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