JP7412202B2 - 潤滑グリース組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、潤滑グリース組成物に関する。
ハブシール、デフサイドシール等の自動車部品では、ゴム部材と金属部材とが接触する摺動部分は高摩擦になり易く、自動車の燃費に大きな影響を与えることが知られている。このような摺動部分には低摩擦化が要求され、通常、潤滑剤としてグリースが使用されている。一方で、近年、低摩擦化の機能を向上させるため、潤滑剤に含まれる基油の低粘度化が検討されている。しかしながら、低速度領域では、基油の低粘度化に起因してゴム部材と金属部材間の摺動による摩擦係数の増大が懸念されている。そのため、ゴム部材と金属部材間の摺動部分には、摩擦係数を低減させ、潤滑特性を高めることが要求される。
特許文献1には、潤滑油に酸性リン酸エステルを少量添加することで、ゴム材-金属間の摩擦係数が小さく、かつ摩擦エネルギーが大きく、さらに酸化安定性にも優れる潤滑油組成物を提供できることが開示されている。しかしながら、実際には、酸性リン酸エステル以外の添加剤として酸化防止剤を含んだ潤滑油組成物の摩擦係数の影響しか評価されておらず、グリースの基本成分の1つである増ちょう剤が配合された潤滑油組成物の潤滑特性については言及されていない。
特許文献2には、リチウム石鹸グリース又はウレアグリースに耐摩耗剤を含有させることで、精密機器などに起こるスリップトルクを最適化できることが開示されている。しかしながら、耐摩耗剤としては、中性リン酸エステル、中性亜リン酸エステル及びホウ酸カルシウムが用いられており、酸性リン酸エステルの影響については開示されていない。また、金属部材間の摺動による潤滑特性については評価されているものの、ゴム部材と金属部材間の摺動による潤滑特性については言及されていない。
このように、ゴム部材と金属部材間に使用される潤滑剤としてのグリースには、摩擦係数の低減、潤滑特性の向上が依然として要求される。また、潤滑剤をゴム部材と金属部材間に使用する場合、低速度領域及び高速度領域のいずれの摺動時においても高い潤滑特性を示すことが望ましい。特許文献1及び2には、各速度領域における潤滑特性については言及されていない。そのため、ゴム部材と金属部材間において、幅広い速度領域で優れた潤滑特性を示す潤滑剤の開発が望まれる。
特開2016-037528号公報 国際公開第2004/018594号
本発明は、幅広い速度領域で、ゴム部材と金属部材間における摩擦係数が低い潤滑グリース組成物を提供する。
本発明の潤滑グリース組成物は、基油と、増ちょう剤と、酸性リン酸エステルとを含有し、前記基油の動粘度が40℃で10mm/s以上200mm/s以下であることを特徴とする。
本発明の潤滑グリース組成物において、前記酸性リン酸エステルが、例えば、以下の式(1)及び下記式(2)で表される酸性リン酸エステルの少なくとも1種であることが好ましい。
Figure 0007412202000001

(上記式(1)及び(2)において、
、R及びRは、互いに独立して、飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基、或いは芳香族炭化水素基である。)
本発明の潤滑グリース組成物において、前記基油が、鉱油及び合成炭化水素油の少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の潤滑グリース組成物において、前記増ちょう剤が、金属石けん系化合物、複合金属石けん系化合物及びウレア系化合物の少なくとも1種であることが好ましく、ウレア系化合物であることがより好ましい。
本発明の潤滑グリース組成物において、前記酸性リン酸エステルの配合量が、潤滑グリース組成物の全重量に対して0.1重量%以上10重量%以下であることが好ましく、1重量%以上5重量%以下であることがより好ましい。
本発明の潤滑グリース組成物は、ゴム部材と金属部材との摺動部分に使用されることが好ましい。
本発明によれば、幅広い速度領域で、ゴム部材と金属部材間における摩擦係数が低い潤滑グリース組成物を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。本実施形態に係る潤滑グリース組成物は、主成分である基油と、増ちょう剤と、添加剤として酸性リン酸エステルとを含有する。使用される基油の動粘度は、40℃で10mm/s以上200mm/s以下である。所定の動粘度(40℃)を有する基油を含む潤滑グリース組成物に、増ちょう剤と、添加剤として酸性リン酸エステルとを配合させることにより、これらの反応によりゴム部材と金属部材間に薄膜が形成され、金属部材への付着性が向上すると共に、ゴム部材と金属部材間において優れた摩擦特性が付与される。これにより、低速度領域及び高速度領域のいずれにおいても、ゴム部材と金属部材間における摩擦係数が低い潤滑グリース組成物を得ることができる。以下、本実施形態に係る潤滑グリース組成物に含まれる各成分について詳細に説明する。
<基油>
本実施形態において、基油は、特に限定されないが、例えば、鉱油、合成炭化水素油(PAO)、エステル油、グリコール油が挙げられる。基油は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。鉱油としては、例えば、パラフィン系炭化水素、ナフテン系炭化水素、芳香族系炭化水素、オレフィン系炭化水素が挙げられる。合成炭化水素油としては、例えば、ポリα-オレフィン、エチレン・α-オレフィン共重合体、ポリブテン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン等が挙げられ、ポリα-オレフィンが好ましい。エステル油としては、例えば、ジエステル、ポリオールエステル、芳香族エステルが挙げられる。グリコール油としては、例えば、ポリアルキレングリコールが挙げられる。特に、低温特性に優れる観点から、基油は、鉱油及び合成炭化水素油の少なくとも1種であることが好ましく、合成炭化水素油であることがより好ましい。
基油の動粘度は、40℃で10mm/s以上であり、40℃で18mm/s以上であることが好ましい。基油の動粘度が40℃で10mm/s以上であることにより、潤滑グリース組成物は低速度領域で低い摩擦係数を示す。一方、基油の動粘度の上限値は、高い低温トルク特性を示し、低温環境下でスムーズに摺動させる観点から、40℃で200mm/s以下であり、40℃で100mm/s以下であることが好ましく、40℃で30mm/s以下であることが更に好ましい。なお、基油の動粘度は、JIS K 2283に準拠して測定することができる。
基油の市販品として、例えば、イネオスオリゴマーズジャパン社製の「DURASYN(登録商標) 164」(ポリα-オレフィン、40℃動粘度:18mm/s)、エクソンモービル社製の「SpectraSyn(登録商標) 4」(ポリα-オレフィン、40℃動粘度:18mm/s)、イネオスオリゴマーズジャパン社製の「DURASYN(登録商標) 166」(ポリα-オレフィン、40℃動粘度:30mm/s)などの合成炭化水素油;JXTGエネルギー社製の「FBKタービン 32」(パラフィン系鉱油、40℃動粘度:32mm/s)、JXTGエネルギー社製の「FBKタービン56」(パラフィン系鉱油、40℃動粘度:55mm/s)、JXTGエネルギー社製の「スーパーオイル N150」(パラフィン系鉱油、40℃動粘度:141mm/s)などの鉱油;大八化学工業社製の「DOS」(ジエステル、40℃動粘度:11mm/s)、日油社製の「ユニスター(登録商標) H-334R」(ポリオールエステル、40℃動粘度:20mm/s)などのエステル油;三洋化成工業社製の「ニューポール 50HB-100」(ポリアルキレングリコール、40℃動粘度:19mm/s)、三洋化成工業社製の「ニューポール 50HB-260」(ポリアルキレングリコール、40℃動粘度:51mm/s)などのグリコール油を用いることができる。
<増ちょう剤>
本実施形態において、増ちょう剤は、特に限定されないが、金属石けん系化合物、複合金属石けん系化合物及びウレア系化合物から選択される少なくとも1種であることが好ましい。増ちょう剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。高速度領域で摩擦係数をより低減させる観点から、増ちょう剤は、金属石けん系化合物及びウレア系化合物の少なくとも1種であることが好ましく、更に低速度域でも摩擦係数を低減させる観点から、ウレア系化合物であることがより好ましい。
金属石けん系化合物としては、例えば、リチウム石けん、カルシウム石けん及びアルミニウム石けんが挙げられ、リチウム石けんが好ましい。ここで、リチウム石けんは、脂肪族カルボン酸又はエステルをリチウム水酸化物でけん化して得られる石けんである。リチウム石けんとしては、例えば、炭素数12~24の脂肪族モノカルボン酸のリチウム塩、少なくとも1個のヒドロキシ基を有する炭素数12~24の脂肪族モノカルボン酸のリチウム塩が挙げられ、ステアリン酸リチウム塩、12-ヒドロキシステアリン酸リチウム塩が特に好ましい。
複合金属石けん系化合物としては、例えば、リチウム複合石けん、カルシウム複合石けん、及びバリウム複合石けんが挙げられ、リチウム複合石けん及びバリウム複合石けんが好ましい。ここで、リチウム複合石けんは、複数の脂肪族カルボン酸又はエステルをリチウム水酸化物でけん化して得られる石けんであり、バリウム複合石けんは、複数の脂肪族カルボン酸又はエステルを、バリウム水酸化物でけん化して得られる石けんである。リチウム複合石けんとしては、例えば、脂肪族モノカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸とのリチウム塩、2種以上の脂肪族モノカルボン酸のリチウム塩が挙げられる。
ウレア系化合物としては、特に限定されないが、ジウレア化合物、トリウレア化合物、テトラウレア化合物、ポリウレア化合物等が挙げられ、ジウレア化合物が好ましい。ジウレア系化合物としては、例えば、下記式(3)で表されるジウレア化合物が挙げられる。
Figure 0007412202000002
上記式(3)中、Rは炭素数6~15の芳香族炭化水素基を表し、R及びRは、互いに独立して、炭素数6~18の芳香族炭化水素基、シクロヘキシル基、炭素数7~12のアルキルシクロヘキシル基、炭素数8~22のアルキル基又は炭素数8~22のアルケニル基を表す。
上記式(3)で表されるジウレア化合物は、公知の方法によりアミンとジイソシアネート化合物とを反応させることにより得ることができる。アミンとしては、例えば、炭素数6~18の芳香族アミン、シクロヘキシルアミン、炭素数7~12のアルキルシクロヘキシルアミン、炭素数8~22のアルキル又はアルキルアミン、及びそれらの混合物等が挙げられる。ジイソシアネート化合物としては、例えば、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、2,4’-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネートが入手性において優れるという点から好ましく、さらに耐熱性に優れる点からジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネートがより好ましい。
潤滑グリース組成物中に含まれる増ちょう剤の配合量は、潤滑グリース組成物の全重量に対して1重量%以上40重量%以下であることが好ましく、5重量%以上20重量%以下であることがより好ましい。
<酸性リン酸エステル>
本実施形態において、潤滑グリース組成物は、添加剤として、例えば下記式(1)及び下記式(2)で表される酸性リン酸エステルを含有する。
Figure 0007412202000003
上記式(1)及び(2)において、R、R及びRは、互いに独立して、飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基、或いは芳香族炭化水素基である。R、R及びRは、いずれも同じであってもよく、異なっていてもよい。飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基として、例えば、オレイル基、2-エチルヘキシル基、イソデシル基が挙げられ、オレイル基が好ましい。また、芳香族炭化水素基として、例えば、フェニル基が挙げられる。
上記式(1)及び式(2)で表される酸性リン酸エステルは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。潤滑グリース組成物が、増ちょう剤に加えて、酸性リン酸エステルをさらに含むことにより、低速度領域及び高速度領域の各速度領域で、摩擦係数をより低減させることができる。
酸性リン酸エステルの市販品として、例えば、SC有機化学社製の「Phoslex A-13」(イソトリデシルアシッドホスフェート)、SC有機化学社製の「Phoslex A-18C」(オレイルアシッドホスフェート)、城北化学工業社製の「JP-524R」(テトラコシルアシッドホスフェート)などを用いることができる。
潤滑グリース組成物中に含まれる酸性リン酸エステルの配合量は、潤滑グリース組成物の全重量に対して0.1重量%以上10重量%以下であることが好ましく、1重量%以上5重量%以下であることがより好ましい。特に、比較的低粘度の基油を使用する場合、当該配合量が1重量%以上5重量%以下であることにより、低速度領域及び高速度領域の各速度領域で、摩擦係数をより低減させることができる。酸性リン酸エステルの配合量が1重量%以上であると、摩擦係数の低減の観点だけでなく、耐久性の観点からも好ましい。また、酸性リン酸エステルの配合量が5重量%以下であると基油への溶解性を担保できるため好ましい。
本実施形態において、潤滑グリース組成物は、その効果に影響を与えない範囲で他の添加剤を含有していてもよい。このような添加剤として、例えば、公知の酸化防止剤、防錆剤等を適宜選択して含有させることができる。使用する添加剤は、その目的に合わせて任意に種類、配合量等を決定することができる。
酸化防止剤としては、例えば2,6-ジ第3ブチル-4-メチルフェノール、4,4′-メチレンビス(2,6-ジ第3ブチルフェノール)等のフェノール系酸化防止剤、アルキルジフェニルアミン等のアミン系酸化防止剤、さらにはリン酸系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば脂肪酸、脂肪酸アミン、金属スルホネート、アルキルスルホン酸金属塩、アルキルスルホン酸アミン塩、酸化パラフィン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等が挙げられる。
本実施形態に係る潤滑グリース組成物は、基油と、増ちょう剤と、酸性リン酸エステルとを含有し、基油の動粘度が40℃で10mm/s以上200mm/s以下である。これにより、潤滑グリース組成物は、幅広い速度領域で、ゴム部材と金属部材間において低い摩擦係数を有し、特に、ゴム部材と金属部材間の摺動部分に使用するのに適している。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含み、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
以下に、本発明の実施例について説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、これらの例に限定されるものではない。
(実施例1)
ポリα-オレフィンB(40℃動粘度:18mm/s、製品名「SpectraSyn(登録商標) 4」、エクソンモービル社製)89.9重量部に、増ちょう剤Aが表1に示される量で配合されるようにジフェニルメタンジイソシアネートとオクチルアミンとを配合して反応させ、昇温した後、冷却した。生成したゲル状物質に、酸性リン酸エステル(オレイルアシッドホスフェート、製品名「Phoslex A-18C」、SC有機化学社製)0.1重量部加え、撹拌した後、ロールミル又は高圧ホモジナイザーで混練りし、潤滑グリース組成物を作製した。
<低速度領域の評価>
下部試験片上に得られた潤滑グリース組成物(試料油)を塗布し、その上から上部試験片を押し当て、往復動させた。往復動させた時の上部試験片と下部試験片との間に発生する摩擦力からゴム-金属間における摩擦係数を測定した。試験条件は以下の通りである。なお、摩擦係数は、試験開始後4~5分に測定された各ストロークでの摩擦係数の平均値を算出した。評価結果を表1に示す。
上部試験片:直径8.5mmのニトリルゴム(NBR)製のゴム球
下部試験片:SUJ2製の金属プレート
試験荷重:1N
試料油の塗布量:1g
摺動速度:0.0005m/sec
摺動距離:0.01m
試験温度:常温(25℃)
試験時間:5分
<高速度領域の評価>
下部試験片上に得られた潤滑グリース組成物(試料油)を塗布し、その上から上部試験片を押し当て、回転動させた。回転動させた時の上部試験片と下部試験片との間に発生する摩擦力からゴム-金属間における摩擦係数を測定した。試験条件は以下の通りである。評価結果を表1に示す。
上部試験片:ニトリルゴム(NBR)製のOリング
下部試験片:SUJ2製の金属ディスク
試験荷重:14N
試料油の塗布量:0.5g
回転速度:2.57m/sec
試験温度:常温(25℃)
試験時間:5分
(実施例2)
ポリα-オレフィンBの配合量を89重量部、酸性リン酸エステルの配合量を1重量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして潤滑グリース組成物を作製した。各速度領域での摩擦係数の評価結果を表1に示す。
(実施例3)
ポリα-オレフィンBの配合量を85重量部、酸性リン酸エステルの配合量を5重量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして潤滑グリース組成物を作製した。各速度領域での摩擦係数の評価結果を表1に示す。
(実施例4)
ポリα-オレフィンBに代えて、ポリα-オレフィンC(40℃動粘度:30mm/s、製品名「DURASYN(登録商標) 166」、イネオスオリゴマーズジャパン社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして潤滑グリース組成物を作製した。各速度領域での摩擦係数の評価結果を表1に示す。
(実施例5)
ポリα-オレフィンBに代えて、ポリα-オレフィンC(40℃動粘度:30mm/s、製品名「DURASYN(登録商標) 166」、イネオスオリゴマーズジャパン社製)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして潤滑グリース組成物を作製した。各速度領域での摩擦係数の評価結果を表1に示す。
(実施例6)
ポリα-オレフィンCの配合量を87重量部、酸性リン酸エステルの配合量を3重量部に変更したこと以外は、実施例4と同様にして潤滑グリース組成物を作製した。各速度領域での摩擦係数の評価結果を表1に示す。
(実施例7)
ポリα-オレフィンBに代えて、ポリα-オレフィンC(40℃動粘度:30mm/s、製品名「DURASYN(登録商標) 166」、イネオスオリゴマーズジャパン社製)を用いたこと以外は、実施例3と同様にして潤滑グリース組成物を作製した。各速度領域での摩擦係数の評価結果を表1に示す。
(実施例8)
ポリα-オレフィンB(40℃動粘度:18mm/s、製品名「SpectraSyn(登録商標) 4」、エクソンモービル社製)92重量部に、増ちょう剤Bが表1に示される量で配合されるように12-ヒドロキシステアリン酸と水酸化リチウムとを配合し、80~130℃で加熱撹拌することでけん化反応を行った。けん化反応後、得られた反応物を昇温し、その後、冷却した。生成したゲル状物質に、酸性リン酸エステル(オレイルアシッドホスフェート、製品名「Phoslex A-18C」、SC有機化学社製)1重量部加え、撹拌した後、ロールミル又は高圧ホモジナイザーで混練りし、潤滑グリース組成物を作製した。各速度領域での摩擦係数の評価結果を表1に示す。
(実施例9)
ポリα-オレフィンBの配合量を88重量部、酸性リン酸エステルの配合量を5重量部に変更したこと以外は、実施例8と同様にして潤滑グリース組成物を作製した。各速度領域での摩擦係数の評価結果を表1に示す。
(実施例10)
ポリα-オレフィンC(40℃動粘度:30mm/s、製品名「DURASYN(登録商標) 166」、イネオスオリゴマーズジャパン社製)83重量部に、増ちょう剤Cが表1に示される量で配合されるように12-ヒドロキシステアリン酸と水酸化リチウムとを配合し、80~130℃で加熱撹拌することでけん化反応を行い、さらに、アゼライン酸を加え、80~200℃で加熱攪拌し、再度けん化反応を行った。けん化反応後、得られた反応物を冷却した。生成したゲル状物質に、酸性リン酸エステル(オレイルアシッドホスフェート、製品名「Phoslex A-18C」、SC有機化学社製)3重量部加え、撹拌した後、ロールミル又は高圧ホモジナイザーで混練りし、潤滑グリース組成物を作製した。各速度領域での摩擦係数の評価結果を表1に示す。
(実施例11)
鉱油(40℃動粘度:55mm/s、製品名「FBKタービン」、JXTGエネルギー社製)81重量部に、増ちょう剤Aが表1に示される量で配合されるようにジフェニルメタンジイソシアネートとオクチルアミンとを配合して反応させ、昇温した後、冷却した。生成したゲル状物質に、酸性リン酸エステル(オレイルアシッドホスフェート、製品名「Phoslex A-18C」、SC有機化学社製)1重量部加え、撹拌した後、ロールミル又は高圧ホモジナイザーで混練りし、潤滑グリース組成物を作製した。各速度領域での摩擦係数の評価結果を表1に示す。
(実施例12)
鉱油の配合量を79重量部、酸性リン酸エステルの配合量を3重量部に変更したこと以外は、実施例11と同様にして潤滑グリース組成物を作製した。各速度領域での摩擦係数の評価結果を表1に示す。
(実施例13)
鉱油の配合量を77重量部、酸性リン酸エステルの配合量を5重量部に変更したこと以外は、実施例11と同様にして潤滑グリース組成物を作製した。各速度領域での摩擦係数の評価結果を表1に示す。
(比較例1)
ポリα-オレフィンBの配合量を90重量部に変更し、酸性リン酸エステルを不含としたこと以外は、実施例1と同様にして潤滑グリース組成物を作製した。各速度領域での摩擦係数の評価結果を表2に示す。
(比較例2)
ポリα-オレフィンCの配合量を90重量部に変更し、酸性リン酸エステルを不含としたこと以外は、実施例4と同様にして潤滑グリース組成物を作製した。各速度領域での摩擦係数の評価結果を表2に示す。
(比較例3)
酸性リン酸エステルに代えて、中性リン酸エステル(トリクレジルホスフェート、大八化学工業社製)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして潤滑グリース組成物を作製した。各速度領域での摩擦係数の評価結果を表2に示す。
(比較例4)
ポリα-オレフィンBの配合量を93重量部に変更し、酸性リン酸エステルを不含としたこと以外は、実施例8と同様にして潤滑グリース組成物を作製した。各速度領域での摩擦係数の評価結果を表2に示す。
(比較例5)
ポリα-オレフィンCの配合量を86重量部に変更し、酸性リン酸エステルを不含としたこと以外は、実施例10と同様にして潤滑グリース組成物を作製した。各速度領域での摩擦係数の評価結果を表2に示す。
(比較例6)
ポリα-オレフィンCに代えて、ポリα-オレフィンA(40℃動粘度:5mm/s、製品名「DURASYN(登録商標) 162」、イネオスオリゴマーズジャパン社製)86重量部を使用し、酸性リン酸エステルを不含としたこと以外は、実施例10と同様にして潤滑グリース組成物を作製した。各速度領域での摩擦係数の評価結果を表2に示す。
(比較例7)
ポリα-オレフィンCに代えて、ポリα-オレフィンA(40℃動粘度:5mm/s、製品名「DURASYN(登録商標) 162」、イネオスオリゴマーズジャパン社製)85重量部を使用し、酸性リン酸エステルの配合量を1重量部に変更したこと以外は、実施例10と同様にして潤滑グリース組成物を作製した。各速度領域での摩擦係数の評価結果を表2に示す。
(比較例8)
ポリα-オレフィンAの配合量を81重量部、酸性リン酸エステルの配合量を5重量部に変更したこと以外は、比較例7と同様にして潤滑グリース組成物を作製した。各速度領域での摩擦係数の評価結果を表2に示す。
(比較例9)
鉱油(40℃動粘度:55mm/s、製品名「FBKタービン」、JXTGエネルギー社製)82重量部を使用し、酸性リン酸エステルを不含としたこと以外は、実施例11と同様にして潤滑グリース組成物を作製した。各速度領域での摩擦係数の評価結果を表2に示す。
Figure 0007412202000004
Figure 0007412202000005
上記表1及び表2に示される各成分は、下記の通りである。なお、上記表1及び表2中の上記各成分の値は「重量部」を表す。
<基油>
・ポリα-オレフィンA:製品名「DURASYN(登録商標) 162」(イネオスオリゴマーズジャパン社製、40℃動粘度:5mm/s)
・ポリα-オレフィンB:製品名「SpectraSyn(登録商標) 4」(エクソンモービル社製、40℃動粘度:18mm/s)
・ポリα-オレフィンC:製品名「DURASYN(登録商標) 166」(イネオスオリゴマーズジャパン社製、40℃動粘度:30mm/s)
・鉱油:製品名「FBKタービン56」(JXTGエネルギー社製、40℃動粘度:55mm/s)
<増ちょう剤>
・増ちょう剤A:脂肪族ジウレア(ジフェニルメタンジイソシアネートとオクチルアミンとのジウレア化合物)
・増ちょう剤B:リチウム石けん(12-ヒドロキシステアリン酸のリチウム塩)
・増ちょう剤C:リチウム複合石けん(12-ヒドロキシステアリン酸とアゼライン酸のリチウム塩)
<添加剤>
・酸性リン酸エステル:製品名「Phoslex A-18C」(オレイルアシッドホスフェート、SC有機化学社製)
・中性リン酸エステル:トリクレジルホスフェート(大八化学工業社製)
表1より、実施例1~13では、潤滑グリース組成物が酸性リン酸エステルを含有し、基油の動粘度が40℃で10mm/s以上200mm/s以下であるため、潤滑グリース組成物は、低速度領域及び高速度領域のいずれの速度領域でも、ゴム部材と金属部材間における摩擦係数が低く、潤滑特性に優れていた。特に、増ちょう剤としてウレア系化合物を使用した実施例1~7では、低速度領域及び高速度領域のいずれの速度領域でも、より低い摩擦係数を示した。
一方、酸性リン酸エステルを含んでいない比較例1、2、4、5では、酸性リン酸エステルを含む相応する実施例1、4、8、10と比較して、低速度領域及び高速度領域のいずれの速度領域でもゴム部材と金属部材間における摩擦係数が高かった。
酸性リン酸エステルではなく、中性リン酸エステルを含む比較例3では、酸性リン酸エステルを含む実施例2と比較して、低速度領域及び高速度領域のいずれの速度領域でもゴム部材と金属部材間における摩擦係数が高かった。
40℃における動粘度が10mm/s未満である基油を使用した比較例6~8では、低速度領域でゴム部材と金属部材間における摩擦係数が高かった。また、比較例7、8では、酸性リン酸エステルを含んでいない比較例6よりも低速度領域でゴム部材と金属部材間における摩擦係数が高かった。このことから、40℃における動粘度が10mm/s未満である基油を使用する場合、酸性リン酸エステルを使用すると却って摩擦係数が増大し、酸性リン酸エステルによる低減作用が及ばないことが確認された。
基油として鉱油を使用した比較例9においても、酸性リン酸エステルを含んでいないため、低速度領域及び高速度領域のいずれの速度領域でもゴム部材と金属部材間における摩擦係数が高かった。
以上より、潤滑グリース組成物が、基油と、増ちょう剤と、酸性リン酸エステルとを含有し、基油の動粘度が40℃で10mm/s以上200mm/s以下であることにより、潤滑グリース組成物は、幅広い速度領域で、ゴム部材と金属部材間において低い摩擦係数を有し、優れた潤滑特性を示す。
本発明に係る潤滑グリース組成物は、ゴム部材と金属部材との摺動部分に使用するのに適していることから、例えば、ハブシール、デフサイドシール等の自動車部品に適用することができる。

Claims (6)

  1. 基油と、増ちょう剤と、酸性リン酸エステルとを含有する潤滑グリース組成物であって、
    前記基油の動粘度が40℃で10mm/s以上200mm/s以下であり、
    前記酸性リン酸エステルが、以下の式(1)及び下記式(2)で表される酸性リン酸エステルの少なくとも1種であることを特徴とする、ゴム部材と金属部材との摺動部分に使用される潤滑グリース組成物。
    Figure 0007412202000006
    (上記式(1)及び(2)において、
    、R 及びR は、互いに独立して、不飽和の脂肪族炭化水素基、或いは芳香族炭化水素基である。)
  2. 前記基油が、鉱油及び合成炭化水素油の少なくとも1種である、請求項に記載の潤滑グリース組成物。
  3. 前記増ちょう剤が、金属石けん系化合物、複合金属石けん系化合物及びウレア系化合物の少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の潤滑グリース組成物。
  4. 前記増ちょう剤が、ウレア系化合物であることを特徴とする、請求項に記載の潤滑グリース組成物。
  5. 前記酸性リン酸エステルの配合量が、潤滑グリース組成物の全重量に対して0.1重量%以上10重量%以下である、請求項1乃至までのいずれか1項に記載の潤滑グリース組成物。
  6. 前記酸性リン酸エステルの配合量が、潤滑グリース組成物の全重量に対して1重量%以上5重量%以下である、請求項に記載の潤滑グリース組成物。
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