JP2005298537A - 自動車電装補機用グリース組成物及び自動車電装補機用転がり軸受 - Google Patents
自動車電装補機用グリース組成物及び自動車電装補機用転がり軸受 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】 高温及び-40℃程度の極低温、高速、高荷重及び高振動下においても、焼付きや白色組織変化を伴うはく離をより抑制し得る自動車電装補機用グリース組成物、及びこのような環境下でも長寿命で、安定性に優れた自動車電装補機用転がり軸受を提供する。
【解決手段】 芳香族エステル油を含有する基油と、芳香族炭化水素基単独、或いは芳香族炭化水素基及び脂肪族炭化水素基の両方からなるジウレア化合物からなる増ちょう剤と、酸化防止剤と、防錆剤と、耐はく離添加剤とを配合してなる自動車電装補機用グリース組成物、並びに内輪と外輪との間に複数の転動体を転動自在に保持し、前記自動車電装補機用グリース組成物を封入した自動車電装補機用転がり軸受。
【選択図】 図1
【解決手段】 芳香族エステル油を含有する基油と、芳香族炭化水素基単独、或いは芳香族炭化水素基及び脂肪族炭化水素基の両方からなるジウレア化合物からなる増ちょう剤と、酸化防止剤と、防錆剤と、耐はく離添加剤とを配合してなる自動車電装補機用グリース組成物、並びに内輪と外輪との間に複数の転動体を転動自在に保持し、前記自動車電装補機用グリース組成物を封入した自動車電装補機用転がり軸受。
【選択図】 図1
Description
本発明は、自動車の電装部品、エンジン補機であるオルタネータや中間プーリ、カーエアコン用電磁クラッチ等のような高温、高速、高荷重及び高振動下での使用される部位に好適なグリース組成物及び、前記グリース組成物を封入してなり、前記部位に組み込まれる転がり軸受に関する。
自動車エンジンの各種動力装置の回転箇所、例えばオルタネータ、カーエアコン用電磁クラッチ、中間プーリ等の自動車電装部品、エンジン補機には、一般に転がり軸受が使用されており、その潤滑は主として潤滑グリースが使用されている。
自動車は小型軽量化を目的としたFF(フロントエンジンフロントドライブ)車の普及により、更には居住空間拡大の要望により、エンジンルームの容積減少を余儀なくされ、前記に挙げたような電装部品・エンジン補機の小型軽量化に拍車がかかっている。加えて、前記各部品においても高性能、高出力化が求められる。しかしながら、小型化による出力低下は避けられず、例えば、オルタネータ、カーエアコン用電磁クラッチでは高速化することで出力の低下分を補っており、それに伴い、アイドラープーリも同様に高速化することになる。更に、静粛性向上の要望によりエンジンルームの密閉化が進み、エンジンルーム内の高温化が促進されるため、前記各部品は高温に耐えることも必要となる。更には、自動車は世界各国で使用されており、その環境も様々である。例えば、寒冷地ではエンジン起動の際に潤滑剤の流動性不足による低温での異音発生がないことを要求されており、極低温から高温までの広温度範囲の潤滑性を要求される。また、熱帯雨林地域や海洋が近い場合、大気中の湿度や塩分濃度が高く軸受が腐食しやすい環境で使用されることがあり、防錆性を向上させることも重要な課題となっている。
また、コンプレッサープーリ、カーエアコン電磁クラッチ用軸受では主に複列アンギュラ玉軸受が使用されていたが、近時、プーリや電磁クラッチの軽量化や省スペース化の為、単列玉軸受を使用する傾向にある。複列アンギュラ玉軸受と使用条件を同じにして使用される単列玉軸受では転動体数が少なくなるため、軌道面と転動体間の面圧やすべりが大きくなる。また、軸受内の空間容積が小さくなることからグリース封入量が少なく、より焼付き易い条件下で使用される傾向にある。
このような背景から、上記の自動車電装補機用転がり軸受には、エステル油を基油とするグリース組成物が一般に封入されており、例えば、エステル油を必須成分とし、芳香族成分が50mol%以上含まれた芳香族または脂肪族ジウレアグリースが知られている(特許文献1参照)。
しかし、更なる性能の改善要求は必至であり、本発明は高温及び-40℃程度の極低温、高速、高荷重及び高振動下においても、焼付きや白色組織変化を伴うはく離をより抑制し得る自動車電装補機用グリース組成物、並びに前記自動車電装補機用グリース組成物を封入し、高温及び-40℃程度の極低温、高速、高荷重及び高振動下においても長寿命で、安定性、信頼性に優れた転がり軸受を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は以下を提供する。
(1)芳香族エステル油を含有する基油と、芳香族炭化水素基単独、或いは芳香族炭化水素基及び脂肪族炭化水素基の両方からなるジウレア化合物からなる増ちょう剤と、酸化防止剤と、防錆剤と、耐はく離添加剤とを配合してなることを特徴とする自動車電装補機用グリース組成物。
(2)基油全量に対し芳香族エステル油の含有量が30質量%以上であり、且つグリース組成物全量に対して増ちょう剤量の含有量が5〜30質量%であることを特徴とする上記(1)記載の自動車電装補機用グリース組成物。
(3)エステル油が、炭化水素基の炭素数が6〜10であるトリメリット酸エステル油及びピロメリット酸エステルの少なくとも1種であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の自動車電装補機用グリース組成物。
(4) カルボン酸、カルボン酸金属塩、エステル系及びアミン系から選択される2種以上の防錆剤を、それぞれ単独で0.5〜9.5質量%、かつ合計で1〜10質量%含有することを上記(1)〜(3)の何れか1項に記載の自動車電装補機用グリース組成物。
(5)酸化防止剤がアミン系であり、かつ、極圧剤と耐はく離添加剤の両方を兼ねた添加剤として金属ジチオカーバメイトを配合してなることを特徴とする上記(1)〜(4)の何れか1項に記載の自動車電装補機用グリース組成物。
(6)内輪と外輪との間に複数の転動体を転動自在に保持し、上記(1)〜(5)の何れか1項に記載の自動車電装補機用グリース組成物を封入したことを特徴とする自動車電装補機用転がり軸受。
(7)接触型ゴムシールを有する上記(6)記載の自動車電装補機用転がり軸受。
(1)芳香族エステル油を含有する基油と、芳香族炭化水素基単独、或いは芳香族炭化水素基及び脂肪族炭化水素基の両方からなるジウレア化合物からなる増ちょう剤と、酸化防止剤と、防錆剤と、耐はく離添加剤とを配合してなることを特徴とする自動車電装補機用グリース組成物。
(2)基油全量に対し芳香族エステル油の含有量が30質量%以上であり、且つグリース組成物全量に対して増ちょう剤量の含有量が5〜30質量%であることを特徴とする上記(1)記載の自動車電装補機用グリース組成物。
(3)エステル油が、炭化水素基の炭素数が6〜10であるトリメリット酸エステル油及びピロメリット酸エステルの少なくとも1種であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の自動車電装補機用グリース組成物。
(4) カルボン酸、カルボン酸金属塩、エステル系及びアミン系から選択される2種以上の防錆剤を、それぞれ単独で0.5〜9.5質量%、かつ合計で1〜10質量%含有することを上記(1)〜(3)の何れか1項に記載の自動車電装補機用グリース組成物。
(5)酸化防止剤がアミン系であり、かつ、極圧剤と耐はく離添加剤の両方を兼ねた添加剤として金属ジチオカーバメイトを配合してなることを特徴とする上記(1)〜(4)の何れか1項に記載の自動車電装補機用グリース組成物。
(6)内輪と外輪との間に複数の転動体を転動自在に保持し、上記(1)〜(5)の何れか1項に記載の自動車電装補機用グリース組成物を封入したことを特徴とする自動車電装補機用転がり軸受。
(7)接触型ゴムシールを有する上記(6)記載の自動車電装補機用転がり軸受。
本発明の自動車電装補機用グリース組成物は、高温及び-40℃程度の極低温、高速、高荷重及び高振動下においても、焼付きや白色組織変化を伴うはく離をより抑制でき、これを封入した本発明の自動車電装補機用転がり軸受もまた、これらの環境下でも長寿命で、安定したものとなる。
以下、本発明に関して詳細に説明する。
(自動車電装補機用グリース組成物)
本発明の自動車電装補機用グリース組成物(以下、単に「グリース組成物」ともいう)において、増ちょう剤としては芳香族炭化水素基単独、或いは芳香族炭化水素基及び脂肪族炭化水素基の両方からなるジウレア化合物が使用される。具体的には、下記一般式(I)で表されるジウレア化合物が使用できる。耐熱性に優れた増ちょう剤としてはジウレア化合物の他にトリウレア化合物、テトラウレア化合物、フッ素樹脂、粘土鉱物等が知られているが、トリウレア、テトラウレア化合物は高温(180℃位)でちょう度変化が大きく、せん断安定性も悪い。更に高温で放置されると重合物が発生し易く、硬化し易い性質を持っている。フッ素樹脂は高価であり、経時的な基油保持能力に劣る。また、粘土鉱物では音響性能に劣る等の各々欠点がある。これに対して、下記一般式(I)で表されるジウレア化合物は、自動車電装補機が使用される高温環境下で流動特性に優れ、焼付き寿命の向上に有効である。
R1−NHCONH−R2−HNOCHN−R3 ……(I)
式中、R2は炭素数6〜15の芳香族系炭化水素基を表し、R1、R3は炭素数が6〜19の脂環式炭化水素基或いは炭素数が8〜20の飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素基で、同一でも異なっていてもよい。
(自動車電装補機用グリース組成物)
本発明の自動車電装補機用グリース組成物(以下、単に「グリース組成物」ともいう)において、増ちょう剤としては芳香族炭化水素基単独、或いは芳香族炭化水素基及び脂肪族炭化水素基の両方からなるジウレア化合物が使用される。具体的には、下記一般式(I)で表されるジウレア化合物が使用できる。耐熱性に優れた増ちょう剤としてはジウレア化合物の他にトリウレア化合物、テトラウレア化合物、フッ素樹脂、粘土鉱物等が知られているが、トリウレア、テトラウレア化合物は高温(180℃位)でちょう度変化が大きく、せん断安定性も悪い。更に高温で放置されると重合物が発生し易く、硬化し易い性質を持っている。フッ素樹脂は高価であり、経時的な基油保持能力に劣る。また、粘土鉱物では音響性能に劣る等の各々欠点がある。これに対して、下記一般式(I)で表されるジウレア化合物は、自動車電装補機が使用される高温環境下で流動特性に優れ、焼付き寿命の向上に有効である。
R1−NHCONH−R2−HNOCHN−R3 ……(I)
式中、R2は炭素数6〜15の芳香族系炭化水素基を表し、R1、R3は炭素数が6〜19の脂環式炭化水素基或いは炭素数が8〜20の飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素基で、同一でも異なっていてもよい。
この一般式(I)で表されるジウレアは、基油中で、R2を骨格中に含むジイソシアネート1モルに対して、R1またはR3を骨格中に含むモノアミンを合計で2モルの割合で反応させることにより得られる。
R2を骨格中に含むジイソシアネートとしては、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ビフェニレンジイソシアネート、ジメチルジフェニレンジイソシアネート、あるいはこれらのアルキル置換体等を好適に使用できる。
R1またはR3として炭化水素基を骨格中に含むモノアミンとしてはオクチルアミン、オクタデシルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、ノニルアミン、エチルエキシルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ノナデシルアミン、エイコデシルアミン、オレイルアミン、リノレイルアミン、リノレニルアミン等の飽和、不飽和脂肪族アミン、シクロヘキシルアミン、メチルシクロヘキシルアミン、エチルシクロヘキシルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジエチルシクロヘキシルアミン、ブチルシクロヘキシルアミン、プロピルシクロヘキシルアミン、アミルシクロヘキシルアミン、シクロオクチルアミン等の脂環式脂肪族アミンを好適に使用できる。
本発明のグリース組成物において、上記ジウレア化合物はグリース組成物全量の5〜35質量%配合される。5質量%より少ないとグリース状態を維持することは困難となり、35質量%より多くなるとグリースが硬化し過ぎて十分な潤滑効果を発揮することができない。より高温、高速、高荷重、高振動条件下を考慮すると、高温、高せん断によるグリース軟化、更には潤滑効果を勘案すると、10〜30質量%が好ましい。
一方、基油はエステル油であり、好ましくは一般式(II)で表されるトリメリット酸エステル油である。
式中R4、R5、R6は炭素数が6〜10の炭化水素基であり、R4、R5、R6は互いに同一であっても異なるものであっても良い。また、これらの炭化水素基は飽和又は不飽和の直鎖又は分岐アルキル基を表す。
また、一般式(III)で表されるピロメリット酸エステル油も好ましい。
式中R7、R8、R9、R10は炭素数が6〜10の炭化水素基であり、R7、R8、R9、R10は互いに同一であっても異なるものであっても良い。また、これらの炭化水素基は飽和又は不飽和の直鎖又は分岐アルキル基を表す。
耐熱性に優れた基油としてはポリフェニルエーテル油、シリコーン油、フッ素油等が知られているが、ポリフェニルエーテル油、フッ素油やシリコーン油は非常に高価であり、フッ素油やシリコーン油は一般的に潤滑性が悪い。これに対して上記トリメリット酸エステル油やピロメリット酸エステル油のような芳香族エステル油は耐熱性、耐酸化性、耐摩耗性に優れた特性を有する。特に、上記一般式(II)、(III)式で表される芳香族エステル油は流動点も低く、粘度指数も高いので、極低温から高温まで使用環境を要求される自動車電装補機用転がり軸受には好適に使用される。尚且つ、安価であり、入手性も良い。
このようなトリメリット酸エステルとして、花王(株)製「トリメックスT−08」、「N−08」、旭電化工業(株)製「アデカプルーバーT−45」、「T−90、PT−50」、「UNIQEMA EMKARATE8130」、「EMKARATE9130」、「EMKARATE1320」等を市場から入手できる。また、ピロメリット酸エステルとして、旭電化工業(株)製「アデカプルーバーLX−1891」、「アデカプルーバーLX−1892」、Cognis社製「BISOLUBE TOPM」等を市場から入手できる。これらは、流動点が低く、本発明に好適に使用できる。
また、基油はは他の潤滑油を適宜混合使用することができる。中でも耐熱性、耐酸化性に優れた潤滑油が好ましく、合成炭化水素油、エーテル油、上記以外のエステル油が好ましい。具体的には、合成炭化水素油としてはポリ−α−オレフィン油等を、エーテル油としてはアルキルジフェニルエーテル油、アルキルトリフェニルエーテル油等を、エステル油としてはジエステル油、ネオペンチル型ポリオールエステル油、又はこれらのコンプレックスエステル油等を使用することができる。これらの潤滑油基油は、単独でもよいし、適宜組み合わせてもよい。特に、高温、高速、高荷重及び高振動下での潤滑性能および焼付き寿命向上としての耐熱性及び特に厳しい低温での異音発生を考慮した低温流動性を勘案すると、ペンタエリスリトールエステル油、ジペンタエリスリトールエステル油等のポリオールエステル油やポリ−α−オレフィン油と混合使用することが好ましい。その際、トリメリット酸エステルやピロメリット酸エステルは、その優れた耐熱性、耐摩耗性を有効に引き出すためには、基油全量に対して30質量%以上含有することが好ましい。また、低温での流動性を考慮すると、基油の動粘度は40℃において30〜150mm2/sが好ましく、更には30〜130mm2/sが好ましい。
本発明のグリース組成物には、酸化防止剤、防錆剤及び耐はく離添加剤が必須の添加剤として配合される。以下に、それぞれについて説明する。
酸化防止剤としてフェノール系化合物、アミン系化合物、硫黄系化合物及びリン系化合物が上げられる。フェノール系化合物としては、従来から潤滑油や樹脂の酸化防止剤として用いられるアルキルフェノール系化合物が使用可能であり、特に制限されるものではないが、下記一般式(IV)で表されるアルキルフェノール化合物を用いることが好ましい。
式中、R12は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R13は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示し、R11は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基または下記一般式(V)で表される基を示す。
式中、R14は炭素数1〜6のアルキレン基または硫黄原子を示し、R15は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R16は水素原子または1〜4のアルキル基を示す。aは0または1を示す。
一般式(IV)で表される化合物の中で好ましいものを具体的に示すと、R11が炭素数1〜4のアルキル基である場合の化合物の例としては2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール等を挙げることができる。また、R11が一般式(V)で表される基である場合の化合物の例としてはビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,3−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン等、4,4−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)及びこれらの混合物等が挙げられる。
また、アミン系化合物としては、特に限定されるものではないが、α−ナフチルアミン類及びジフェニルアミン類が好ましく、下記一般式(VI)で表されるα−ナフチルアミン類及び下記一般式(VII)で表されるジフェニルアミン類から選ばれる1種または2種以上の芳香族アミンが好ましいものとして挙げられる。
式中、R17は水素原子または下記一般式(VIII))である。
式中、R18は水素原子または炭素数1〜16のアルキル基を示す。
式中、2つのR19は同一でも異なっても良く、各々水素原子または炭素数1〜16のアルキル基を示す。
まず、一般式(VI)で表されるα−ナフチルアミン類について説明する。一般式(VI)においてR17は水素原子または一般式(VIII)に表される基であり、好ましくは一般式(VIII)で表される基である。一般式(VIII)で表される基においてR18は水素原子または炭素数1〜16の直鎖若しくは分岐状のアルキル基を示す。R18で示されるアルキル基としては例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、及びヘキサデシル基等(これらのアルキル基は直鎖状でも分岐状でも良い。)が挙げられるが、中でも炭素数8〜16の分岐アルキル基が好ましい。
次に、一般式(VII)で表されるジフェニルアミンについて説明する。一般式(VII)中のR19は水素原子または炭素数1〜16のアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜16のアルキル基である。R18、R19の一方または双方が水素原子の場合にはそれ自身の酸化によりスラッジとして沈降する恐れがある。R19で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、及びヘキサデシル基等(これらのアルキル基は直鎖状でも分岐状でも良い。)が挙げられるが、中でも炭素数3〜16の分岐アルキル基が好ましい。
また、上記一般式(VI)、(VII)で表されるアミン系化合物の他、N−n−ブチル−p−アミノフェノール、4,4−テトラメチル−ジ−アミノジフェニルメタン、N,N−ジサリチルデン−1,2−プロピレンジアミン等のアミン系酸化防止剤を使用することができる。
硫黄系化合物としては、特に制限されるものではないが、例えばフェノチアジン、シチレン等が挙げられる。
リン系化合物としては、特に制限されるものではないが、例えばジアルキルジチオリン酸亜鉛、ジチオリン酸亜鉛、ジラウリルチオプロピオネート、ジステアリルチオプロピオネート等が挙げられる。
上記フェノール系化合物、アミン系化合物、硫黄系化合物及びリン系化合物は2種以上を組み合わせても良く、フェノール系化合物、及び/またはアミン系化合物を必須成分として用いることが好ましい。また、フェノール系化合物、アミン系化合物、硫黄系化合物及びリン系化合物の含有量の合計はグリース組成物全量に対して4〜12質量%であることが必要であり、好ましくは4.5〜11質量%、より好ましくは5〜10質量%である。当該含有量の合計が4質量%未満の場合は耐焼付き性が不十分となり、12質量%を超える場合は極低温時に添加剤の溶解性が悪い基油を使用した際に基油に溶解させた添加剤が再結晶化を起こし、低温での軸受回転時に異音を発生する恐れがあり、またグリース組成物中の基油の絶対量の減少により潤滑箇所に供給される基油量の確保が困難となり耐焼付き性が不十分となる。
また、防錆剤としては、亜硝酸ナトリウム等の環境負荷物質は使用せず、カルボン酸、カルボン酸塩、エステル系、アミン系が好適に使用される。具体的には、カルボン酸としては、ステアリン酸等のモノカルボン酸、アルキルまたはアルケニルコハク酸及びその誘導体等のジカルボン酸、ナフテン酸、アビエチン酸、ラノリン脂肪酸、アルケニルコハク酸のカルシウム、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、鉛等の金属塩が使用できる。特に、コハク酸及びナフテン酸亜鉛が好適に使用される。尚、ナフテン酸塩はナフテン核を有するものであり、カルボン酸は飽和、不飽和の何れでもよいが、ナフテン核を有する飽和カルボン酸塩(CnH2n-1COOMe)、飽和複環カルボン酸塩(CnH2n-3COOMe)及びこれらの誘導体が挙げられる。例えば、単環のカルボン酸塩としては下記一般式(IX)または(X)で表される化合物が好ましい。
式中、R20は炭化水素基を表す。炭化水素基としてはアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルカノール基、アラルキル基等が挙げられる。またMeは金属元素を示す。
また、コハク酸またはその誘導体としてはコハク酸、アルキルコハク酸、アルキルコハク酸ハーフエステル、アルケニルコハク酸、アルケニルコハク酸ハーフエステル、コハク酸イミド等を挙げることができる。
エステル系として多価アルコールのカルボン酸部分エステルではソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタエリスリットモノオレエートやコハク酸ハーフエステルなどが挙げられ、特にソルビタンモノオレエート、コハク酸ハーフエステルが好適に使用される。
アミン系としてアルキルアミン類、シクロアルキルアミン類、アルカノールアミン類、複素環アミン等が挙げられ、特に炭素数が8〜36のアルキルアミン類、炭素数が8〜36のシクロヘキシルアミン類が好適に使用される、
これら防錆剤の含有量は、カルボン酸、カルボン酸金属塩、エステル系及びアミン系から選択される2種以上を、それぞれ単独で0.5〜9.5質量%、かつ合計で1〜10質量%とする。合計量が10質量%を超えるとグリースが軟化してグリース漏れを発生させる恐れがあり、0.5質量%未満であると十分な防錆性を付与することができない。
また、耐はくり添加剤としては、金属ジチオカルバメートが好ましく、具体的にはジチオカルバミン酸亜鉛等を使用できる。また、この金属ジチオカルバメートは極圧剤としての機能も兼備する。耐はく離添加剤の配合量は、グリース組成物全量の0.1〜5.0質量%が好ましい。5.0質量%を越えるとグリースが軟化してグリース漏れを発生させる恐れがあり、0.1質量%未満であると十分なはく離防止効果を付与することができない。
更に、本発明のグリース組成物は、種々の特性を付与するために、その他の添加剤を必要に応じて配合することができる。例えば、リン系、ジチオリン酸亜鉛、有機モリブデン等の極圧剤、脂肪酸、動植物油等の油性向上剤、ベンゾトリアゾール等の金属不活性化剤等、グリースで一般に使用される添加剤を単独又は2種以上混合して用いることができる。等、これら添加剤の添加量は、本発明の目的を損なわない程度であれば特に限定されるものではない。
(自動車電装補機用転がり軸受)
上記の如く構成される本発明のグリース組成物は、後述する実施例にも示すように、高温及び-40℃程度の極低温、高速、高荷重及び高振動下においても、焼付きや白色組織変化を伴うはく離をより抑制することができ、特に自動車電装補機用転がり軸受に好適である。以下に、本発明の自動車電装補機用転がり軸受について説明する。
上記の如く構成される本発明のグリース組成物は、後述する実施例にも示すように、高温及び-40℃程度の極低温、高速、高荷重及び高振動下においても、焼付きや白色組織変化を伴うはく離をより抑制することができ、特に自動車電装補機用転がり軸受に好適である。以下に、本発明の自動車電装補機用転がり軸受について説明する。
自動車電装補機用転がり軸受自体の構成や構造には制限がなく、例えば図1に示すような転がり軸受を例示することができる。図示される転がり軸受1は、内輪10と外輪12との間に複数の転動体である玉13を保持器14により転動自在に保持し、上記のグリース組成物(図示せず)を、内輪10、外輪11及び玉13で形成される軸受空間に充填し、更に接触型ゴムシール15で密封したものである。接触型ゴムシール15は、芯金と、内輪側端部にシールリップを有するゴム部材15bとを一体に成形したものである。
また、図示される転がり軸受1は、玉13が内輪軌道及び外輪軌道と、それぞれ2点づつ、合計4点で接触(接触点A)する構成となっている。このような接触方式の転がり軸受は、耐荷重性能に優れた軸受であることから、自動車電装補機用転がり軸受として好適である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これらの実施例により本発明が制約されるものではない。
(供試グリースの調製)
供試グリースの組成は表1〜表4に示す通りであるが、何れも、イソシアネート原料を半量の基油に溶解したものと、アミン原料を半量の同一基油に溶解したものとを混合し、加熱しながら90℃程度で攪拌しながら反応させ、その後、160℃まで加熱して1時間保持し、反応を終了させ、120℃程度まで冷却し、各種添加剤を加え、ミル処理及び脱泡処理を行った。そして、下記示す各試験により供試グリースの評価を行った。結果を表1〜表4に併記する。
供試グリースの組成は表1〜表4に示す通りであるが、何れも、イソシアネート原料を半量の基油に溶解したものと、アミン原料を半量の同一基油に溶解したものとを混合し、加熱しながら90℃程度で攪拌しながら反応させ、その後、160℃まで加熱して1時間保持し、反応を終了させ、120℃程度まで冷却し、各種添加剤を加え、ミル処理及び脱泡処理を行った。そして、下記示す各試験により供試グリースの評価を行った。結果を表1〜表4に併記する。
(焼付き試験)
供試軸受:接触ゴムシール付単列玉軸受(内径φ35mm、外径52mm、幅13mm)
回転数:9000min-1(外輪回転)
ラジアル荷重:2000N
軸受温度:170℃
上記条件にて連続回転させ、軸受設定温度より軸受内輪温度が15℃上昇した時点を焼付きとみなし、それまでの時間(焼付き時間)を計測した。実施例1〜6及び比較例1〜4については、比較例1の焼付き時間に対する相対値で示し、実施例7〜実施例13については焼付き時間が500時間以上のとき合格とした。
供試軸受:接触ゴムシール付単列玉軸受(内径φ35mm、外径52mm、幅13mm)
回転数:9000min-1(外輪回転)
ラジアル荷重:2000N
軸受温度:170℃
上記条件にて連続回転させ、軸受設定温度より軸受内輪温度が15℃上昇した時点を焼付きとみなし、それまでの時間(焼付き時間)を計測した。実施例1〜6及び比較例1〜4については、比較例1の焼付き時間に対する相対値で示し、実施例7〜実施例13については焼付き時間が500時間以上のとき合格とした。
(防錆性試験)
供試軸受として単列深溝玉軸受(内径φ17mm、外径47mm、幅14mm)を持ち、これに供試グリースを2.7g封入し、更に0.1%塩化ナトリウム水溶液を軸受内部へ0.3cc注入し、非接触シールを取り付けてからなじませ回転を行った。そして、供試軸受を60℃、70%RHの環境下に3日間放置した後、供試軸受を分解し、軸受内輪軌道面の状態を観察した。錆が発生しているものを不合格とした。
供試軸受として単列深溝玉軸受(内径φ17mm、外径47mm、幅14mm)を持ち、これに供試グリースを2.7g封入し、更に0.1%塩化ナトリウム水溶液を軸受内部へ0.3cc注入し、非接触シールを取り付けてからなじませ回転を行った。そして、供試軸受を60℃、70%RHの環境下に3日間放置した後、供試軸受を分解し、軸受内輪軌道面の状態を観察した。錆が発生しているものを不合格とした。
(耐はく離試験)
はく離寿命は、エンジン実機を用いてオルタネータに組み込んだ軸受を急加減速させることにより評価を行った。単列深溝玉軸受(内径φ17mm、外径47mm、幅14mm)に供試グリースを25g封入し、オルタネータに組み込んだ後、室温雰囲気下、プーリ荷重1560Nでエンジン回転数1000〜6000min-1(軸受回転数2400〜13300min-1)を繰り返し連続回転させ、500時間を目標に試験を行った。規定の振動値より大きくなった場合、或いは規定時間に達した場合に試験を終了とした。試験後、軸受鋼材のはく離の有無について確認した。そして、下記式から、はく離発生確率を求めた。
はく離発生確率=(はく離発生数/試験数)×100
はく離寿命は、エンジン実機を用いてオルタネータに組み込んだ軸受を急加減速させることにより評価を行った。単列深溝玉軸受(内径φ17mm、外径47mm、幅14mm)に供試グリースを25g封入し、オルタネータに組み込んだ後、室温雰囲気下、プーリ荷重1560Nでエンジン回転数1000〜6000min-1(軸受回転数2400〜13300min-1)を繰り返し連続回転させ、500時間を目標に試験を行った。規定の振動値より大きくなった場合、或いは規定時間に達した場合に試験を終了とした。試験後、軸受鋼材のはく離の有無について確認した。そして、下記式から、はく離発生確率を求めた。
はく離発生確率=(はく離発生数/試験数)×100
(高温ちょう度変化試験)
実施例1〜6及び比較例1〜4については更に、各供試グリースを鉄板上に3mmの厚さとなるように塗布し、170℃雰囲気下に240時間放置し、その後の混和ちょう度を測定した。加熱前の混和ちょう度との差が±100を越えるものを不合格とした。
実施例1〜6及び比較例1〜4については更に、各供試グリースを鉄板上に3mmの厚さとなるように塗布し、170℃雰囲気下に240時間放置し、その後の混和ちょう度を測定した。加熱前の混和ちょう度との差が±100を越えるものを不合格とした。
(基油流動点)
実施例7〜13及び比較例5〜7については更に、基油の流動点を測定した。
実施例7〜13及び比較例5〜7については更に、基油の流動点を測定した。
(低温異音試験)
実施例7〜13及び比較例5〜7については更に、低温異音試験を行った。
供試軸受:単列深溝玉軸受(内径φ25mm、外径62mm、幅17mm)
回転数:2600min-1の30秒測定
アキシアル荷重:9800N
雰囲気温度:−30℃
上記条件にて連続的に回転させ、異音の有無を確認した。異音が発生したものを不合格とした。
実施例7〜13及び比較例5〜7については更に、低温異音試験を行った。
供試軸受:単列深溝玉軸受(内径φ25mm、外径62mm、幅17mm)
回転数:2600min-1の30秒測定
アキシアル荷重:9800N
雰囲気温度:−30℃
上記条件にて連続的に回転させ、異音の有無を確認した。異音が発生したものを不合格とした。
表記のように、本発明に従う各実施例の供試グリースは、何れの試験を満足するものであり、高温、低温、高速、高荷重及び高振動下においても、焼付きや白色組織変化を伴うはく離を抑制し得ることがわかる。
(基油におけるエステル油含有量の検証)
実施例13の配合に従い、基油中のトリメリット酸エステルの含有量を変えて供試グリースを調製し、上記の焼付き試験を行った。結果を図2に、ポリαオレフィン油100%としたときの焼付き時間を1とする相対値にてグラフ化して示すが、トリメリット酸エステル含有量を基油全量の30質量%以上とすることにより、優れた耐焼付き性が得られることがわかる。
実施例13の配合に従い、基油中のトリメリット酸エステルの含有量を変えて供試グリースを調製し、上記の焼付き試験を行った。結果を図2に、ポリαオレフィン油100%としたときの焼付き時間を1とする相対値にてグラフ化して示すが、トリメリット酸エステル含有量を基油全量の30質量%以上とすることにより、優れた耐焼付き性が得られることがわかる。
(増ちょう剤配合量の検証)
実施例9の配合に従い、増ちょう剤の配合量を変えて供試グリースを調製し、上記の焼付き試験を行った。結果を図3に、実施例9を5.5とした相対値にてグラフ化して示すが、増ちょう剤量を5〜35質量%、特に10〜30質量%とすることで、優れた耐焼付き性が得られることがわかる。
実施例9の配合に従い、増ちょう剤の配合量を変えて供試グリースを調製し、上記の焼付き試験を行った。結果を図3に、実施例9を5.5とした相対値にてグラフ化して示すが、増ちょう剤量を5〜35質量%、特に10〜30質量%とすることで、優れた耐焼付き性が得られることがわかる。
(基油の流動点の検証)
流動点−55℃のペンタエリスリトールエステルと、流動点−20℃のピロメリット酸エステルとを配合比を変えて基油を調製し、各基油に脂環式炭化水素基を有するジウレア化合物を同量ずつ配合して供試グリース(何れも混和ちょう度No.2)を調整し、上記の低温異音試験を行った。結果を図4に示すが、流動点が−30℃よりも高くなると、異音が発生するようになる。
流動点−55℃のペンタエリスリトールエステルと、流動点−20℃のピロメリット酸エステルとを配合比を変えて基油を調製し、各基油に脂環式炭化水素基を有するジウレア化合物を同量ずつ配合して供試グリース(何れも混和ちょう度No.2)を調整し、上記の低温異音試験を行った。結果を図4に示すが、流動点が−30℃よりも高くなると、異音が発生するようになる。
(酸化防止剤添加量の検証)
実施例9の配合に従い、酸化防止剤の添加量を変えて供試グリースを調製し、上記の焼付き試験を行った。結果を図5に、添加量1重量%とした供試グリースの焼付き時間を1とする相対値にてグラフ化して示すが、酸化防止剤を4〜12質量%添加することにより、優れた耐焼付き性が得られることがわかる。
実施例9の配合に従い、酸化防止剤の添加量を変えて供試グリースを調製し、上記の焼付き試験を行った。結果を図5に、添加量1重量%とした供試グリースの焼付き時間を1とする相対値にてグラフ化して示すが、酸化防止剤を4〜12質量%添加することにより、優れた耐焼付き性が得られることがわかる。
また、同じ供試グリースを用い、−30℃に16時間放置した後、単列深溝玉軸受(内径φ25mm、外径62mm、幅17mm)に充填し、回転数2600min-1、アキシアル荷重9800Nにて回転させ、そのときの音響を測定した。結果を図6にグラフ化して示すが、酸化防止剤の添加量が12質量%以下であれば、音響特性に影響を及ぼさないことがわかる。
(防錆剤添加量の検証)
実施例1の配合に従い、防錆剤の添加量を変えて供試グリースを調製し、上記の防錆性試験を行った。結果を図7にグラフ化して示すが、錆の程度を7段階で表し、1は全面が錆びている状態、7は錆が全く発生していない状態であり、数字が大きくなるにつれて錆が少ないことを示している。図7より、防錆剤を1質量%以上、好ましくは1.5質量以上添加することにより、優れた防錆性能が得られることがわかる。
実施例1の配合に従い、防錆剤の添加量を変えて供試グリースを調製し、上記の防錆性試験を行った。結果を図7にグラフ化して示すが、錆の程度を7段階で表し、1は全面が錆びている状態、7は錆が全く発生していない状態であり、数字が大きくなるにつれて錆が少ないことを示している。図7より、防錆剤を1質量%以上、好ましくは1.5質量以上添加することにより、優れた防錆性能が得られることがわかる。
1 転がり軸受
10 内輪
11 外輪
13 玉
14 保持器
15 接触型ゴムシール
10 内輪
11 外輪
13 玉
14 保持器
15 接触型ゴムシール
Claims (7)
- 芳香族エステル油を含有する基油と、芳香族炭化水素基単独、或いは芳香族炭化水素基及び脂肪族炭化水素基の両方からなるジウレア化合物からなる増ちょう剤と、酸化防止剤と、防錆剤と、耐はく離添加剤とを配合してなることを特徴とする自動車電装補機用グリース組成物。
- 基油全量に対し芳香族エステル油の含有量が30質量%以上であり、且つグリース組成物全量に対して増ちょう剤量の含有量が5〜30質量%であることを特徴とする請求項1記載の自動車電装補機用グリース組成物。
- エステル油が、炭化水素基の炭素数が6〜10であるトリメリット酸エステル油及びピロメリット酸エステルの少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の自動車電装補機用グリース組成物。
- カルボン酸、カルボン酸金属塩、エステル系及びアミン系から選択される2種以上の防錆剤を、それぞれ単独で0.5〜9.5質量%、かつ合計で1〜10質量%含有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の自動車電装補機用グリース組成物。
- 酸化防止剤がアミン系であり、かつ、極圧剤と耐はく離添加剤の両方を兼ねた添加剤として金属ジチオカーバメイトを配合してなることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の自動車電装補機用グリース組成物。
- 内輪と外輪との間に複数の転動体を転動自在に保持し、請求項1〜5の何れか1項に記載の自動車電装補機用グリース組成物を封入したことを特徴とする自動車電装補機用転がり軸受。
- 接触型ゴムシールを有する請求項6記載の自動車電装補機用転がり軸受。
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- 2004-04-06 JP JP2004111877A patent/JP2005298537A/ja active Pending
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