JP2009298890A - 潤滑剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐熱性に優れた潤滑剤組成物を提供する。
【解決手段】潤滑油および半固体状潤滑剤に、第三リン酸カルシウムを含有させることによって、耐熱性を有する潤滑剤組成物とする。この第三リン酸カルシウムは全組成物に対して0.5〜60質量%程度使用される。この第三リン酸カルシウムを含有する潤滑剤組成物は、耐熱性に優れており、高温時にもグリース状態を保持して潤滑効果を維持している。また、生態への悪影響もほとんどないことから、より安全な潤滑剤組成物として広範囲に使用することができる。
【選択図】なし
【解決手段】潤滑油および半固体状潤滑剤に、第三リン酸カルシウムを含有させることによって、耐熱性を有する潤滑剤組成物とする。この第三リン酸カルシウムは全組成物に対して0.5〜60質量%程度使用される。この第三リン酸カルシウムを含有する潤滑剤組成物は、耐熱性に優れており、高温時にもグリース状態を保持して潤滑効果を維持している。また、生態への悪影響もほとんどないことから、より安全な潤滑剤組成物として広範囲に使用することができる。
【選択図】なし
Description
本発明は、潤滑剤組成物の改良に関し、特に、各種産業用機械、自動車等の潤滑箇所へ適用できる耐熱性に優れた潤滑剤組成物に関する。
近年、機械技術が益々発展する中で、機器は高速・高温・高荷重条件下で運転されるようになってきており、その使用環境は益々高温になってきている。このような箇所へ使用している潤滑剤組成物は、熱による劣化や蒸発、軟化や硬化、粘度の増減等により潤滑寿命が低下し、期待された性能が発揮できないケースが増えている。
従来から、このような高温の潤滑箇所に用いられる潤滑剤としては、合成油を主体とした潤滑剤が使用されているが、必ずしも十分な高価が得られていない。
フッ素系やシリコーン系の潤滑剤は、耐熱性を改良することができるが、鉱油や一般的な合成油と比較して非常に高価であったり、潤滑性や防錆性に劣るなどの難点もあった。
従来から、このような高温の潤滑箇所に用いられる潤滑剤としては、合成油を主体とした潤滑剤が使用されているが、必ずしも十分な高価が得られていない。
フッ素系やシリコーン系の潤滑剤は、耐熱性を改良することができるが、鉱油や一般的な合成油と比較して非常に高価であったり、潤滑性や防錆性に劣るなどの難点もあった。
そこで、従来、耐熱性、耐荷重性が要求されるグリースなどの一般的な潤滑剤組成物としては、鉱油や合成油に、脂肪酸のリチウム塩を加えたリチウム石けんグリース組成物(特許文献1)や、アルミニウムコンプレックス石けんグリース組成物や、鉱油や合成油中でイソシアネートとアミンを反応させてウレア化合物とするウレアグリース組成物(特許文献2)が用いられて来た。
また、耐熱性の向上の為に、分子骨格中にフッ素原子を有するウレア化合物を用いてウレアグリース組成物を得ることも提案されているが(特許文献3)、これは、構造が特殊であり、一般に入手するのが難しいという欠点がある。
また、耐熱性の向上の為に、分子骨格中にフッ素原子を有するウレア化合物を用いてウレアグリース組成物を得ることも提案されているが(特許文献3)、これは、構造が特殊であり、一般に入手するのが難しいという欠点がある。
更に耐熱性を向上させたものとして、フッ素油のパーフルオロポリエーテルを基油とし、これをフッ素樹脂で増ちょうさせたフッ素系グリース組成物が知られている(特許文献4)。このようなフッ素系グリース組成物は、150℃を越える高温下における潤滑、化学薬品と接触するような部位での潤滑、高真空下での潤滑、放射線照射下における潤滑及び各種精密機器等における耐久性が必要とされる潤滑個所等にも使用されている。
しかしながら、上記フッ素系グリース組成物は、製造時にフッ素樹脂をフッ素溶剤中に加熱溶解させ、これを基油のフッ素油中に分散させ、更に生成されたグリース組成物中からフッ素溶剤を除去するために減圧装置によって処理すること等が必要であるため、製造コストがかかるという欠点があった。
また、上記したフッ素樹脂や、これを溶解させるフッ素溶剤も高価なものであるため、フッ素系グリース組成物の価格は更に高くなり、このため優秀な性能があるにもかかわらずその用途は大幅に限られていた。
特開平5−86392号公報
特開平6−330072号公報
特開平11−61169号公報
特開2007−154084号公報
また、上記したフッ素樹脂や、これを溶解させるフッ素溶剤も高価なものであるため、フッ素系グリース組成物の価格は更に高くなり、このため優秀な性能があるにもかかわらずその用途は大幅に限られていた。
本発明は、これまでフッ素系やシリコーン系などの一部の特殊な潤滑剤でしか達成できなかった高温での劣化防止、耐蒸発性、長寿命性を容易に経済的に達成し、かつ、人体や環境に与える影響が極めて低い潤滑剤組成物を提供しようとするものである。
本発明者等は、第三リン酸カルシウムを加えた潤滑剤組成物が、高温条件、特に150℃以上の条件で極めて優れた耐蒸発特性や耐劣化防止特性を有することを見出し、こうした知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は一般的な潤滑油や粘ちょうな潤滑剤に第三リン酸カルシウムを含有させることによって、優れた耐熱性を発揮する潤滑剤組成物とすることができるものである。
上記第三リン酸カルシウムは全組成物に対して約0.1〜60質量%使用するとよい。
また、この第三リン酸カルシウムを含む潤滑剤は、従来の耐熱性潤滑材料と比較して、環境や人体に対する安全性も極めて高い。
すなわち、本発明は一般的な潤滑油や粘ちょうな潤滑剤に第三リン酸カルシウムを含有させることによって、優れた耐熱性を発揮する潤滑剤組成物とすることができるものである。
上記第三リン酸カルシウムは全組成物に対して約0.1〜60質量%使用するとよい。
また、この第三リン酸カルシウムを含む潤滑剤は、従来の耐熱性潤滑材料と比較して、環境や人体に対する安全性も極めて高い。
本発明によれば、耐熱性に優れた潤滑剤組成物として、従来の液状や粘ちょう性の潤滑剤に第三リン酸カルシウムを混合することによって容易に得ることができる。また、第三リン酸カルシウムは、増ちょう効果があるため、鉱物油や合成油などに混合しても分散性が高く、問題なく使用することができる。
本発明の潤滑剤組成物は、用途として、一般に使用される機械、軸受、直動装置、歯車等に使用可能であることは当然ながら、より苛酷な条件下で優れた性能を発揮することができる。例えば、鉄鋼産業、製紙工業、林業機械、農業機械、化学プラント、発電設備、乾燥炉、複写機、鉄道車両、シームレスパイプのネジジョイント等の各種高温部位に好適である。
本発明の潤滑剤組成物は、用途として、一般に使用される機械、軸受、直動装置、歯車等に使用可能であることは当然ながら、より苛酷な条件下で優れた性能を発揮することができる。例えば、鉄鋼産業、製紙工業、林業機械、農業機械、化学プラント、発電設備、乾燥炉、複写機、鉄道車両、シームレスパイプのネジジョイント等の各種高温部位に好適である。
また、自動車分野では、スターター、オルターネーター及び各種アクチュエーター部のエンジン周辺、プロペラシャフト、等速ジョイント(CVJ)、ホイールベアリング及びクラッチ等のパワートレイン、電動パワーステアリング(EPS)、制動装置、ボールジョイント、ドアヒンジ、ハンドル部、冷却ファンモーター、ブレーキのエキスパンダー等の各種部品その他の非常に高温となる部位に好適に用いることができる。
その他の用途としては、ハードディスク軸受用、プラスチック潤滑用、カートリッジグリース等が挙げられるがこれらの用途にも好適である。
その他の用途としては、ハードディスク軸受用、プラスチック潤滑用、カートリッジグリース等が挙げられるがこれらの用途にも好適である。
上記した第三リン酸カルシウムは、一般的には〔Ca3(PO4)2〕3・Ca(OH)2で表わされるヒドロキシアパタイト組成の化学構造を有しているものであるが、Ca3(PO4)2で表されるものを使用することもできる。この第三リン酸カルシウムは、土壌中に広く分布し、植物の育成に必須の成分であるとともに、動物の骨や歯の主成分でもあることから、歯磨用基材や人工関節などの生体材料としても使用されているような非常に安全性の高い物質である。
本発明において下記する実施例などにおいては、〔Ca3(PO4)2〕3・Ca(OH)2を用いており、含有量もこれに基づく質量で表示している。
本発明において下記する実施例などにおいては、〔Ca3(PO4)2〕3・Ca(OH)2を用いており、含有量もこれに基づく質量で表示している。
上記第三リン酸カルシウムは、液体状の潤滑油であっても、半固体状の潤滑剤であっても、いずれに混ぜても使用できる。液体状の潤滑油としては、鉱物油、合成油、動植物油これらの各種混合油などが挙げられ、各種の添加剤をすでに含む市販の潤滑油を用いることもできる。
半固体状潤滑剤としては、グリースやペースト、コンパウンドなどが挙げられる。半固体状にする増ちょう剤(粘ちょう剤)としては、ウレア化合物、アルカリ金属石けん、アルカリ金属複合石けん、アルカリ土類金属石けん、アルカリ土類金属複合石けん、アルカリ金属スルフォネート、アルカリ土類金属スルフォネート、アルミニウム石けん、アルミニウム複合石けん、テレフタラメート金属塩、クレイ、ポリテトラフルオロエチレン、シリカエアロゲル(酸化ケイ素)などが挙げられ、これらの1種または2種以上を併せて使用することができる。また、これら以外にも液状物質に粘ちょう効果を付与するものはいずれも使用できる。
これらの半固体状潤滑剤は、市販の製品を用いてもよく、特にウレアグリース、リチウム石けんグリース、リチウム複合石けんグリース、カルシウムスルフォネートグリース、アルミニウム複合石けんグリース、ナトリウムテレフタラメートグリース、クレイグリース、シリカエアロゲルグリースなどで効果が高い。
こうして得られた潤滑剤組成物は、高温の条件下でにおいて耐熱性や耐蒸発性に優れており、更に耐久寿命の延長のみならず潤滑性の向上や摩擦係数の低減、温度上昇の抑制、各種材料、例えば、ゴムや樹脂材料との適合性の改善を図ることもできる。
こうして得られた潤滑剤組成物は、高温の条件下でにおいて耐熱性や耐蒸発性に優れており、更に耐久寿命の延長のみならず潤滑性の向上や摩擦係数の低減、温度上昇の抑制、各種材料、例えば、ゴムや樹脂材料との適合性の改善を図ることもできる。
本発明の潤滑剤組成物は、上記の如く潤滑油や半固体状潤滑剤に第三リン酸カルシウムを加えてよく混合、混練することによって容易に得ることができ、第三リン酸カルシウムを加える量が増えていくに従って、潤滑剤組成物の粘ちょう度が増していく。
潤滑剤組成物としてグリース状のものを得る場合、第三リン酸カルシウムの使用量は、潤滑剤組成物の全組成物量に対して、約0.1〜60質量%、好ましくは約0.5〜50質量%、さらに好ましくは約2〜40質量%を配合するようにすると良い。
潤滑油に対して、第三リン酸カルシウムの配合量が1質量%未満の場合には、通常グリースと言われているような状態にはならないが、粘ちょう度の増加は見られるので、得られた状態に適合する用途に用いることができる。また、40質量%を越える場合には潤滑剤組成物が硬くなるが、その状態に合った適宜の用途に用いることができる。
潤滑剤組成物としてグリース状のものを得る場合、第三リン酸カルシウムの使用量は、潤滑剤組成物の全組成物量に対して、約0.1〜60質量%、好ましくは約0.5〜50質量%、さらに好ましくは約2〜40質量%を配合するようにすると良い。
潤滑油に対して、第三リン酸カルシウムの配合量が1質量%未満の場合には、通常グリースと言われているような状態にはならないが、粘ちょう度の増加は見られるので、得られた状態に適合する用途に用いることができる。また、40質量%を越える場合には潤滑剤組成物が硬くなるが、その状態に合った適宜の用途に用いることができる。
本発明の潤滑剤組成物には、上記成分に加えて、その用途に応じて防錆剤、防食剤、酸化防止剤、極圧剤、固体潤滑剤、分散剤、界面活性剤、付着性向上剤(ポリマーなど)、油性剤、摩擦低減剤、耐摩耗剤その他の添加剤を適宜に併用することができる。
上記防錆剤、防食剤としては一般に使用されるものが挙げられる。例えば、有機酸誘導体、中でも特にコハク酸エステル誘導体、アスパラギン酸誘導体、ザルコシン酸誘導体、4-ノニルフェノキシ酢酸等が好ましい。
また、有機アミン誘導体や有機アミド誘導体、中でも、ジエタノールアミン、モノアルキル一級アミン、ジアミン・ジ脂肪酸塩、ジアミン、イソステアリン酸のアミド、オレイン酸のアミド等が好ましいものとして挙げられる。
その他のものとして、スルフォン酸塩(Caスルフォネート、Mgスルフォネート、Baスルフォネート等)、硫化脂肪酸、界面活性剤(ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノラウレート、ステアリン酸・オレイン酸のモノ・ジグリセライド等)等も好ましいものとして挙げられる。
他にも、ナフテン酸塩、二塩基酸のアルカリ金属塩、二塩基酸のアルカリ土類金属塩若しくはベンゾトリアゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、チオカーバメートから選ばれるものも良く、好ましいものとして、セバシン酸ナトリウム及びベンゾトリアゾール、或いはそれらを併用したものも挙げられる。
上記防錆剤、防食剤としては一般に使用されるものが挙げられる。例えば、有機酸誘導体、中でも特にコハク酸エステル誘導体、アスパラギン酸誘導体、ザルコシン酸誘導体、4-ノニルフェノキシ酢酸等が好ましい。
また、有機アミン誘導体や有機アミド誘導体、中でも、ジエタノールアミン、モノアルキル一級アミン、ジアミン・ジ脂肪酸塩、ジアミン、イソステアリン酸のアミド、オレイン酸のアミド等が好ましいものとして挙げられる。
その他のものとして、スルフォン酸塩(Caスルフォネート、Mgスルフォネート、Baスルフォネート等)、硫化脂肪酸、界面活性剤(ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノラウレート、ステアリン酸・オレイン酸のモノ・ジグリセライド等)等も好ましいものとして挙げられる。
他にも、ナフテン酸塩、二塩基酸のアルカリ金属塩、二塩基酸のアルカリ土類金属塩若しくはベンゾトリアゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、チオカーバメートから選ばれるものも良く、好ましいものとして、セバシン酸ナトリウム及びベンゾトリアゾール、或いはそれらを併用したものも挙げられる。
また、酸化防止剤としては、アミン系、フェノール系、ホスファイト系、硫黄系、ジアルキルジチオリン酸塩等の酸化防止剤を使用することができる。
極圧剤、耐摩耗剤としては、硫化油脂、硫化オレフィン、ジチオカルバミン酸亜鉛やジチオカルバミン酸モリブデン等のジチオカルバミン酸塩等の硫黄化合物や、リン酸エステル,酸性リン酸エステル,亜リン酸エステル,酸性亜リン酸エステル,リン酸エステルのアミン塩,亜リン酸エステルのアミン塩,酸性リン酸エステルのアミン塩,酸性亜リン酸エステルのアミン塩等のリン化合物や、チオリン酸エステル、ジチオリン酸亜鉛,ジチオリン酸モリブデン等のジチオリン酸塩等の硫黄リン化合物、モリブデンアミン化合物その他のモリブデン化合物等々の使用が可能である。
固体潤滑剤としては、二硫化モリブデン、グラファイト、メラニンシアヌレート、窒化ホウ素、雲母、PTFEなどがあげられる。
上記したその他の添加剤は、勿論、市販の潤滑油または半固体状潤滑油中に、予め添加されている状態で使用することができる。
極圧剤、耐摩耗剤としては、硫化油脂、硫化オレフィン、ジチオカルバミン酸亜鉛やジチオカルバミン酸モリブデン等のジチオカルバミン酸塩等の硫黄化合物や、リン酸エステル,酸性リン酸エステル,亜リン酸エステル,酸性亜リン酸エステル,リン酸エステルのアミン塩,亜リン酸エステルのアミン塩,酸性リン酸エステルのアミン塩,酸性亜リン酸エステルのアミン塩等のリン化合物や、チオリン酸エステル、ジチオリン酸亜鉛,ジチオリン酸モリブデン等のジチオリン酸塩等の硫黄リン化合物、モリブデンアミン化合物その他のモリブデン化合物等々の使用が可能である。
固体潤滑剤としては、二硫化モリブデン、グラファイト、メラニンシアヌレート、窒化ホウ素、雲母、PTFEなどがあげられる。
上記したその他の添加剤は、勿論、市販の潤滑油または半固体状潤滑油中に、予め添加されている状態で使用することができる。
以下に実施例及び比較例を挙げて更に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
実施例の作製に当り下記の市販品を用意した。
1.リチウム石けんグリース:昭和シェル石油株式会社製・アルバニヤEP1(比較例1)
2.リチウムコンプレックス石けんグリース:昭和シェル石油株式会社製・アルビダEP1(比較例2)
3.ウレアグリース:新日本石油株式会社製・ENSグリース(比較例3)
4.合成油ウレアグリース:昭和シェル石油株式会社製・スタミナHDS(比較例4)
5.クレイグリース:昭和シェル石油株式会社製・ダリナRL−2(比較例5)
6.ナトリウムテレフタラメートグリース:昭和シェル石油株式会社製・バリアントS1(比較例6)
7.バリウムコンプレックス石けんグリース:NOKクリューバー製・ISOFLEX NBU―15(比較例7)
8.シリカグリース:コスモ石油株式会社製・コスモスペシャルグリースH1(比較例8)
9.カルシウムスルフォネートグリース:協同油脂株式会社製・パワ−ライトWRNo.1(比較例9)
10.パラフィン系鉱物油:(100℃の動粘度が約15mm2/s)のもの
11.ポリ−α−オレフィン油:PAO(ExxonMobil社製・SHF403(100℃の動粘度が約40mm2/s)
実施例の作製に当り下記の市販品を用意した。
1.リチウム石けんグリース:昭和シェル石油株式会社製・アルバニヤEP1(比較例1)
2.リチウムコンプレックス石けんグリース:昭和シェル石油株式会社製・アルビダEP1(比較例2)
3.ウレアグリース:新日本石油株式会社製・ENSグリース(比較例3)
4.合成油ウレアグリース:昭和シェル石油株式会社製・スタミナHDS(比較例4)
5.クレイグリース:昭和シェル石油株式会社製・ダリナRL−2(比較例5)
6.ナトリウムテレフタラメートグリース:昭和シェル石油株式会社製・バリアントS1(比較例6)
7.バリウムコンプレックス石けんグリース:NOKクリューバー製・ISOFLEX NBU―15(比較例7)
8.シリカグリース:コスモ石油株式会社製・コスモスペシャルグリースH1(比較例8)
9.カルシウムスルフォネートグリース:協同油脂株式会社製・パワ−ライトWRNo.1(比較例9)
10.パラフィン系鉱物油:(100℃の動粘度が約15mm2/s)のもの
11.ポリ−α−オレフィン油:PAO(ExxonMobil社製・SHF403(100℃の動粘度が約40mm2/s)
(実施例1〜11)
上記したグリースの市販品に、表1〜表5に示すように第三リン酸カルシウムを2〜10質量%となるように加えて室温で混練した後、三本ロールミルで処理し、均一状態に仕上げて潤滑剤組成物を得た。
(実施例12)
表6に示すように、上記パラフィン系鉱物油(100℃の動粘度;約15mm2/s)90質量%に10質量%の第三リン酸カルシウムを加えて室温で混練し、潤滑剤組成物を得た。
(実施例13)
表6に示すように、上記ポリアルファーオレフィン油(100℃の動粘度;約40mm2/s)90質量%に10質量%の第三リン酸カルシウムを加えて室温で混練し、潤滑剤組成物を得た。
上記したグリースの市販品に、表1〜表5に示すように第三リン酸カルシウムを2〜10質量%となるように加えて室温で混練した後、三本ロールミルで処理し、均一状態に仕上げて潤滑剤組成物を得た。
(実施例12)
表6に示すように、上記パラフィン系鉱物油(100℃の動粘度;約15mm2/s)90質量%に10質量%の第三リン酸カルシウムを加えて室温で混練し、潤滑剤組成物を得た。
(実施例13)
表6に示すように、上記ポリアルファーオレフィン油(100℃の動粘度;約40mm2/s)90質量%に10質量%の第三リン酸カルシウムを加えて室温で混練し、潤滑剤組成物を得た。
(試験)
実施例1〜13、比較例1〜9について、その性能を比較するために高温薄膜試験を行った。
この高温薄膜試験は、JIS G3141に規定するSPCC-SB鋼鈑に各実施例、各比較例を横70mm、縦50mm、厚さ0.5mmに均一に塗布して、140℃の恒温槽中に24時間放置した後の質量変化〔質量の減少量(蒸発量)を%で表示〕の測定及び外観変化(変色)を記録した。
実施例1〜13、比較例1〜9について、その性能を比較するために高温薄膜試験を行った。
この高温薄膜試験は、JIS G3141に規定するSPCC-SB鋼鈑に各実施例、各比較例を横70mm、縦50mm、厚さ0.5mmに均一に塗布して、140℃の恒温槽中に24時間放置した後の質量変化〔質量の減少量(蒸発量)を%で表示〕の測定及び外観変化(変色)を記録した。
(考察)
表1に示すようにリチウム石けんグリースに第三リン酸カルシウムを2、5、10質量%加えた実施例1、2、3のものは、これを加えない比較例1のものに対して、質量減少の割合が徐々に少なくなっており、変色の程度も小さい。
表2〜表5に示すように、リチウムコンプレックス石けんグリース、ウレアグリース、合成油ウレアグリース、クレイグリース、ナトリウムテレフタラメートグリース、バリウムコンプレックス石けんグリース、カルシウムスルフォネートグリースに各々5質量%の第三リン酸カルシウムを加えた実施例4〜9、11のものは、これを加えない各比較例2〜7、9のものに対して、質量減少の割合が少なくなっており、変色の程度も小さい。
また、表5に示すシリカエアロゲルグリースに5質量%の第三リン酸カルシウムを加えた実施例10のものは、これを加えない比較例8のものに対して、質量減少の割合が大幅に少なくなっており、変色の程度も小さいし、グリース状態を保っているのに対して比較例8のものでは炭化してしまっている。
更に、パラフィン系鉱油やPAOに10質量%の第三リン酸カルシウムを加えた実施例12、13のものでも、質量減少が少なく、変色の程度も小さいし、グリース状態を保っている。
表1に示すようにリチウム石けんグリースに第三リン酸カルシウムを2、5、10質量%加えた実施例1、2、3のものは、これを加えない比較例1のものに対して、質量減少の割合が徐々に少なくなっており、変色の程度も小さい。
表2〜表5に示すように、リチウムコンプレックス石けんグリース、ウレアグリース、合成油ウレアグリース、クレイグリース、ナトリウムテレフタラメートグリース、バリウムコンプレックス石けんグリース、カルシウムスルフォネートグリースに各々5質量%の第三リン酸カルシウムを加えた実施例4〜9、11のものは、これを加えない各比較例2〜7、9のものに対して、質量減少の割合が少なくなっており、変色の程度も小さい。
また、表5に示すシリカエアロゲルグリースに5質量%の第三リン酸カルシウムを加えた実施例10のものは、これを加えない比較例8のものに対して、質量減少の割合が大幅に少なくなっており、変色の程度も小さいし、グリース状態を保っているのに対して比較例8のものでは炭化してしまっている。
更に、パラフィン系鉱油やPAOに10質量%の第三リン酸カルシウムを加えた実施例12、13のものでも、質量減少が少なく、変色の程度も小さいし、グリース状態を保っている。
Claims (7)
- 耐熱性向上剤として第三リン酸カルシウムを含有することを特徴とする潤滑剤組成物。
- 全組成物に対して0.1〜60質量%の第三リン酸カルシウムを含む請求項1に記載の潤滑剤組成物。
- 潤滑剤組成物中には潤滑油が含まれている請求項2に記載の潤滑剤組成物。
- 上記潤滑油が、鉱物油、合成油、動植物油の少なくとも1種である請求項3に記載の潤滑剤組成物。
- 潤滑剤組成物中には半固体状潤滑剤が含まれている請求項2〜4のいずれかに記載の潤滑剤組成物。
- 上記半固体状潤滑剤が、鉱物油、合成油、動植物油の少なくとも1種に、ウレア化合物、アルカリ金属石けん、アルカリ金属複合石けん、アルカリ土類金属石けん、アルカリ土類金属複合石けん、アルカリ金属スルフォネート、アルカリ土類金属スルフォネート、アルミニウム石けん、アルミニウム複合石けん、テレフタラメート金属塩、シリカエアロゲル、クレイの少なくとも1種の増ちょう剤を含有するものである請求項5記載の潤滑剤組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の潤滑剤組成物を潤滑剤として使用している軸受、直動装置、継手または歯車。
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---|---|---|---|
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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