以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、本実施形態は、本発明を実施するための一形態に過ぎず、本発明は本実施形態によって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更、実施の形態が可能である。
本発明の抗菌層形成用コーティング剤(以下、単に「コーティング剤」ともいう。)は、膜厚が0.01〜10μmの中間層となるように設けられた抗菌層を備える抗菌性積層体に用いる抗菌層形成用コーティング剤であって、前記抗菌層形成用コーティング剤は、樹脂(A)と、有機抗菌剤(B)と、溶媒(C)とを含み、前記有機抗菌剤(B)は、前記抗菌層形成用コーティング剤中に0.01〜30重量%含有しており、かつ、有機ヨード系抗菌剤(b1)、ピリジン系抗菌剤(b2)、ハロアルキルチオ系抗菌剤(b3)、チアゾール系抗菌剤(b4)、ベンゾイミダゾール系抗菌剤(b5)、イソフタロニトリル系抗菌剤(b6)、フェノール系抗菌剤(b7)、トリアジン系抗菌剤(b8)、臭素系抗菌剤(b9)、第4級アンモニウム塩系抗菌剤(b10)、有機金属系抗菌剤(b11)またはそれらの混合物から選ばれる少なくとも1つを含むことが好ましい。
前記有機抗菌剤(B)は、前記抗菌層形成用コーティング剤中に0.01〜30質量%であることが好ましく、0.05〜20質量%であることがより好ましく、0.1〜15質量%であることがさらに好ましい。0.01質量%より少ないと、コーティング剤からなる中間層となるように設けられた抗菌層の抗菌効果が発現しにくく、30質量%より多いと、溶媒に溶解または分散せず、コーティング剤として使用は困難である。
前記有機ヨード系抗菌剤(b1)は、ヨードスルホニルベンゼン化合物、ヨウ化不飽和脂肪族化合物から選ばれる少なくとも1つを含むことが好ましい。
前記ヨードスルホニルベンゼン化合物としては、ジヨードメチル(4−メチルフェニル)スルホン、1−[(ジヨードメチル)スルホニル]−2−メチルベンゼン、1−[(ジヨードメチル)スルホニル]−3−メチルベンゼン、[[(ジヨードメチル)スルホニル]メチル]ベンゼン 、(ジヨードメチル)p−クロロフェニルスルホンなどが挙げられる。
前記ヨウ化不飽和脂肪族化合物としては、3−エトキシカルボニルオキシ−1−ブロモ−1,2−ジヨード−1−プロペン、4−クロロフェニル−3−ヨードプロパルギルホルマール、2,3,3−トリヨードアリルアルコール、3−ヨード−2−プロパルギルブチルカルバミン酸、3−アミノ−2,4,6−トリヨードベンジルアルコールなどが挙げられる。
前記ピリジン系抗菌剤(b2)は、ピリジンチオール−1−オキシド化合物、ハロゲン化されたピリジン誘導体から選ばれる少なくとも1つを含むことが好ましい。
前記ピリジンチオール−1−オキシド化合物としては、2−ピリジンチオール−1−オキシドナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキシド亜鉛、ジ(2−ピリジンチオール−1−オキシド))亜鉛、ビス(2−スルフィドピリジン−1−オラト)銅などが挙げられる。
前記ハロゲン化されたピリジン誘導体としては、2−クロロ−4−(トリクロロメチル)ピリジン、2−クロロ−5−(トリクロロメチル)ピリジン、2−クロロ−6−(トリクロロメチル)ピリジン、2−クロロ−6−メトキシ−4−(トリクロロメチル)ピリジン、2−クロロメチル−6−(トリクロロメチル)ピリジン、2−ジクロロメチル−6−(トリクロロメチル)ピリジン、3,5−ジクロロ−2−(トリクロロメチル)ピリジン、2,4−ジクロロ−6−(トリクロロメチル)ピリジン、2,3−ジクロロ−5−(トリクロロメチル)ピリジン、2,3−ジクロロ−6−(トリクロロメチル)ピリジン、2,6−ジクロロ−3−(トリクロロメチル)ピリジン、2,6−ジクロロ−4−(トリクロロメチル)ピリジン、3,6−ジクロロ−2−(トリクロロメチル)ピリジン、2,3,4−トリクロロ−6−(トリクロロメチル)ピリジン、2,3,5−トリクロロ−6−(トリクロロメチル)ピリジン、2,3,5−トリクロロ−4−メチルピリジン、2,3,4,5−テトラクロロ−6−(トリクロロメチル)ピリジン、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(トリクロロメチル)ピリジン、3,4,5−トリクロロ−2−(トリクロロメチル)ピリジン、2−クロロ−6−[(2−フラニル)メトキシ]−4−(トリクロロメチル)ピリジン、2−エトキシ−4−メトキシ−3,5−ジクロロ−6−(トリクロロメチル)ピリジン、4−メトキシ−2,3,5−トリクロロ−6−(トリクロロメチル)ピリジン、2−ブトキシ−4−メトキシ−3,5−ジクロロ−6−(トリクロロメチル)ピリジン、2−メトキシ−3,4,5−トリクロロ−6−(トリクロロメチル)ピリジン、2−メトキシ−4−エトキシ−3,5−ジクロロ−6−(トリクロロメチル)ピリジン、2−メトキシ−4−ブトキシ−3,5−ジクロロ−6−(トリクロロメチル)ピリジン、2−フェノキシ−4−メトキシ−3,5−ジクロロ−6−(トリクロロメチル)ピリジン、2,4−ジフェノキシ−3,5−ジクロロ−6−(トリクロロメチル)ピリジン、ジ(4−クロロフェニル)ピリジンメタノール、α−(トリクロロメチル)−4−ピリジンエタノール、3,5−ジクロロ−6−(トリクロロメチル)ピリジン−2,4−ジオール、2,3,5−トリクロロ−6−(トリクロロメチル)ピリジン−4−オール、2−エトキシ−3,5−ジクロロ−6−(トリクロロメチル)ピリジン−4−オール、2−ブトキシ−3,5−ジクロロ−6−(トリクロロメチル)ピリジン−4−オール、4−メトキシ−3,5−ジクロロ−6−(トリクロロメチル)ピリジン−2−オールや、2,3,5,6−テトラクロロ−4−メチルスルホニルピリジン、2,3,5−トリクロロ−4−(n−プロピルスルホニル)ピリジンなどが挙げられる。
前記ハロアルキルチオ系抗菌剤(b3)は、ハロアルキルチオスルファミド化合物、ハロアルキルチオスルフィミド化合物、ハロアルキルチオフタルイミド化合物、ハロアルキルチオテトラヒドロフタルイミド化合物から選ばれる少なくとも1つを含むことが好ましい。
前記ハロアルキルチオスルファミド化合物としては、N,N−ジメチル−N’−フェニル−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、N,N−ジメチル−N’−(p−トリル)−N’−[(ジクロロフルオロメチル)チオ]スルファミド、N−(ジクロロフルオロメチルチオ)−N’,N’−ジメチル−N−o−トリルスルファミド、N−トリクロロメチルチオ−N−(フェニル)メチルスルファミド、N−トリクロロメチルチオ−N−(4−クロロフェニル)メチルスルファミド、N−(1−フルオロ1,1,2,2−テトラクロロエチルチオ)−N−(フェニル)メチルスルファミド、N−(1,1−ジフルオロ1,2,2−トリクロロエチルチオ)−N−(フェニル)メチルスルファミドなどが挙げられる。
前記ハロアルキルチオスルフィミド化合物としては、N,N−ジメチル−N’−フェニル−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)スルフィミド、N,N−ジクロロフルオロメチルチオ−N’−フェニルスルフィミド、N,N−ジメチル−N’−(p−トリル)−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)スルフィミドなどが挙げられる。
前記ハロアルキルチオフタルイミド化合物としては、N−[(フルオロジクロロメチル)チオ]フタルイミド、N−[(トリクロロメチル)チオ]フタルイミド、N−(トリフルオロメチルチオ)フタルイミドなどが挙げられる。
前記ハロアルキルチオテトラヒドロフタルイミド化合物としては、N−1,1,2,2−テトラクロロエチルチオテトラヒドロフタルイミド、N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド、N−ペンタクロロエチルチオテトラヒドロフタルイミドなどが挙げられる。
前記チアゾール系抗菌剤(b4)は、イソチアゾリン−3−オン化合物、ベンゾチアゾール化合物から選ばれる少なくとも1つを含むことが好ましい。
前記イソチアゾリン−3−オン化合物としては、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、2−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−シクロヘキシル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−オクチル−4,5−ジクロロ−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−アミノ−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−アミノ−4−イソチアゾリン−3−オン、2−(2,3,4−トリフルオロフェニル)−4−イソチアゾリン−3−オン、2−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−イソチアゾリン−3−オン、2−ベンジル−5−フェニル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−(4−メチルフェニル)−5−フェニル−4−イソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
前記ベンゾチアゾール化合物としては、2−(4−チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール、2−(イソチオシアナトメチルチオ)ベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛、2−メルカプトベンゾチアゾールナトリウム、2−メルカプトベンゾチアゾールカリウム、2−メルカプトベンゾチアゾールカルシウム、2−(クロロメチルチオ)ベンゾチアゾール、2−(フルオロメチルチオ)ベンゾチアゾール、2−(ジフルオロメチルチオ)ベンゾチアゾール、2−(ジブチルアミノメチルチオ)ベンゾチアゾール、2−(ジイソブチルアミノメチルチオ)ベンゾチアゾール、2−(ジオクチルアミノメチルチオ)ベンゾチアゾール、2−(2−ナフチルメチルチオ)ベンゾチアゾール、2−(2−チエニルメチルチオ)ベンゾチアゾールなどが挙げられる。
前記ベンゾイミダゾール系抗菌剤(b5)は、ベンゾイミダゾールカルバミン酸化合物、イオウ原子含有ベンゾイミダゾール化合物、ベンゾイミダゾールの環式化合物誘導体から選ばれる少なくとも1つを含むことが好ましい。
前記ベンゾイミダゾールカルバミン酸化合物としては、1H−2−ベンゾイミダゾールカルバミン酸メチル、1−ブチルカルバモイル−2−ベンゾイミダゾールカルバミン酸メチル、6−ベンゾイル−1H−2−ベンゾイミダゾールカルバミン酸メチル、6−(2−チオフェンカルボニル)−1H−2−ベンゾイミダゾールカルバミン酸メチルなどが挙げられる。
前記イオウ原子含有ベンゾイミダゾール化合物としては、1H−2−チオシアノメチルチオベンゾイミダゾール、1−ジメチルアミノスルフォニル−2−シアノ−4−ブロモ−6−トリフロロメチルベンゾイミダゾールなどが挙げられる。
前記ベンゾイミダゾールの環式化合物誘導体としては、2−(4−チアゾリル)−1H−ベンゾイミダゾール、2−(2−クロロフェニル)−1H−ベンゾイミダゾール、2−(1−(3,5−ジメチルピラゾリル))−1H−ベンゾイミダゾール、2−(2−フリル)−1H−ベンゾイミダゾールなどが挙げられる。
イソフタロニトリル系抗菌剤(b6)としては、2,3,5,6−テトラクロロテレフタロニトリル、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、5−クロロ−2,4,6−トリフルオロイソフタロニトリルなどが挙げられる。
フェノール系抗菌剤(b7)としては、p−クロロ−m−クレゾール、p−クロロ−m−キシレノール、4−イソプロピル−3−メチルフェノール、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシフェニルエーテルなどが挙げられる。
トリアジン系抗菌剤(b8)としては、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス−(2−ヒドロキシエチル)−S−トリアジン、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリエチル−S−トリアジンなどが挙げられる。
臭素系抗菌剤(b9)としては、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、α−ブロモシンナムアルデヒド、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン、ビスブロモ−1,4−アセトキシ−2−ブテン、2,2−ジブロモニトリル−3−プロピオンアミドなどが挙げられる。
第4級アンモニウム塩系抗菌剤(b10)としては、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウムなどが挙げられる。
有機金属系抗菌剤(b11)としては、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム・スルファート、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム・ホスファート、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム・二水素ホスファート、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム・ヒドロキシド、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム・アセタート、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム・ニトラート、スルホニルビスオキシビス[テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム]、10,10’−オキシビス−10H−フェノキシアルシン、8−ヒドロキシキノリン銅、8−オキシキノリン銅、亜鉛ジメチルカーバメート、亜鉛ジエチルカーバメート、ナフテン酸亜鉛、トリブチルスズオキサイド、トリエチル−n−オクチルスズ、ジエチルフェニルスズアセテート、トリメチルスズアセテート、アルキルベンゼンスルホン酸トリアルキルスズ塩、特開2000−86668号公報に記載の有機金属錯体、特開平10−60288号公報に記載の有機金属錯体などが挙げられる。
なかでも、2−ピリジンチオール−1−オキシドナトリウム、2,3,5,6−テトラクロロ−4−メチルスルホニルピリジン、ジ(2−ピリジンチオール−1−オキシド)亜鉛、1H−2−ベンゾイミダゾールカルバミン酸メチル、2−(4−チアゾリル)−1H−ベンゾイミダゾール、N,N−ジメチル−N’−フェニル−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、N−[(フルオロジクロロメチル)チオ]フタルイミド、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−オクチル−4,5−ジクロロ−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−(4−チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、5−クロロ−2,4,6−トリフルオロイソフタロニトリル、p−クロロ−m−クレゾール、p−クロロ−m−キシレノール、4−イソプロピル−3−メチルフェノール、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス−(2−ヒドロキシエチル)−S−トリアジン、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリエチル−S−トリアジン、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン、ビスブロモ−1,4−アセトキシ−2−ブテン、2,2−ジブロモニトリル−3−プロピオンアミド、α−ブロモシンナムアルデヒド、3−ヨード−2−プロパルギルブチルカルバミン酸、4−クロロフェニル−3−ヨードプロパルギルホルマール、ジヨードメチル(4−メチルフェニル)スルホン、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム・スルファートがより好ましい。
樹脂(A)は、目的、用途等に応じて選択することができ、少なくとも1つを含むことが好ましい。より具体的には熱可塑性樹脂および硬化性樹脂(熱硬化性、光硬化性、電子線硬化性など)のいずれでもよい。
前記熱可塑性樹脂としては、良好な接着性が得られるものであればよく、例えば、セラック類、ロジン類、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、硝化綿、酢酸セルロース、セルロースアセチルプロピオネート、セルロースアセチルブチレート、塩化ゴム、環化ゴム、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリアミド樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ケトン樹脂、ブチラール樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化エチレンビニルアセテート樹脂、エチレンビニルアセテート樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エチレン−ビニルアルコール樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、カゼイン、アルキッド樹脂などの熱可塑性樹脂が挙げられ、これらは一種類または二種類以上組み合わせて使用してもよい。これらの樹脂を溶剤に溶解したタイプ、水系に溶解したタイプ、あるいはアクリル系エマルジョン、ウレタン系エマルジョン、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン−ビニルアルコール系エマルジョン、ポリプロピレン系エマルジョンなど水中に分散させたエマルジョンタイプなどの性状が挙げられる。
前記硬化性樹脂としては、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、ポリエーテル(メタ)アクリレート樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコン樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。
樹脂(A)の含有量は、熱可塑性樹脂の場合、コーティング剤中に固形分で1〜70質量%であることが好ましく、2〜65質量%であることがより好ましく、3〜60質量%であることがさらに好ましい。1質量%より少ないと十分な密着が得られず、70質量%より多いと固形分が多すぎて、粘度が高くなり、塗布が困難である。
硬化性樹脂の場合、コーティング剤中に固形分で10〜90質量%であることが好ましく、15〜70質量%であることがより好ましい。
前記溶媒(C)としては、前記樹脂を該溶媒中に溶解または分散させるものであればよい。グラビアインキで通常使用されるものとしては、有機溶剤型または水性型であり、例えば、有機溶剤および/または水が挙げられる。オフセットインキで通常使用されるものとしては、有機溶剤型または油脂型であり、石油系溶剤や植物油類が挙げられる。活性エネルギー線硬化インキで通常使用されるものとしては、モノマーまたはオリゴマーであり、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、フェノキシアルキルエステル、脂環式アルキルエステル、アルコキシアルキルエステルなどが挙げられる。
前記有機溶剤としては、例えばトルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノールなどのアルコール系溶剤、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸tert−ブチルなどのエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶剤およびこれらのエステル化物が挙げられ、エステル化物としては主にアセテート化したものが選ばれ、例えばエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
石油系溶剤としては、アロマフリー溶剤、ノルマルパラフィン系溶剤、イソパラフィン系溶剤、マシン油、シリンダー油など、植物油類としては、大豆油、アマニ油、菜種油、ヤシ油、オリーブ油、桐油などおよびこれらを再生処理したものやこれらの植物油由来の脂肪酸エステルなどやビニリデンオレフィンなどが挙げられる。
モノマーまたはオリゴマーとしては、フェノキシエチルアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ) アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジカプロラクトネートジ(メタ) アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、EO変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン3EO変性トリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA4EO変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA10EO変性ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン6EO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン9EO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン3PO変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールEO変性テトラ(メタ)アクリレート、エポキシ化大豆油(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート類、ビニル−2−クロロエチルエーテル、ビニル−ノルマルブチルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、ビス(4−(ビニロキシメチル)シクロヘキシルメチル)グルタレート、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、アジピン酸ジビニルエステル、トリス(4−ビニロキシ)ブチルトリメリレート、ビス(4−(ビニロキシ)ブチル)テレフタレート、ビス(4−(ビニロキシ)ブチルイソフタレート、エチレングリコールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、ノナンジオールジビニルエーテル、テトラメチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、トリメチロールエタントリビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンジビニルエーテルなどのビニルエーテル類、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、3,3−ジエチルオキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、1,4−ビス(((3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ)メチル)ベンゼン、ジ((3−エチル−3−オキセタニル)メチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス((3−エチル−3−オキセタニル)メチル)エーテルなどのオキセタン類、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,2−エポキシ−4−(エポキシエチル)シクロヘキサン、グリセロールトリグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、2,6−ジグリシジルフェニルグリシジルエーテル、1,1,3−トリス[p−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]プロパン、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジルエステル、4,4’−メチレンビス(N,N−ジグリシジルアニリン)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリグリシジル−p−アミノフェノール、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル、ビスフェノール−S−ジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエステル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル、ビスフェノールヘキサフルオロアセトンジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル、トリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、1−{2,3−ジ(プロピオニルオキシ)}−3,5−ビス(2,3−エポキシプロピル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6・(1H,3H,5H)−トリオン、1,3−ビス{2,3−ジ(プロピオニルオキシ)}−5−(2,3−エポキシプロピル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6・(1H,3H,5H)−トリオン、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、ジグリセロールポリジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、1,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシパーフルオロイソプロピル)シクロヘキサン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、1,6−へキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、p−ターシャリーブチルフェニルグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエーテル、o−フタル酸ジグリシジルエーテル、ジブロモフェニルグリシジルエーテル、1,2,7,8−ジエポキシオクタン、1,6−ジメチロールパーフルオロヘキサンジグリシジルエーテル、4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシパーフルオロイソプロピル)ジフェニルエーテル、2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルオキシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−3’,4’−エポキシ−1,3−ジオキサン−5−スピロシクロヘキサン、1,2−エチレンジオキシ−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメタン)、4’,5’−エポキシ−2’−メチルシクロヘキシルメチル−4,5−エポキシ−2−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、エチレングリコール−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテルなどのエポキシ類、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルオキシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−3’,4’−エポキシ−1,3−ジオキサン−5−スピロシクロヘキサン、1,2−エチレンジオキシ−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメタン)、4’,5’−エポキシ−2’−メチルシクロヘキシルメチル−4,5−エポキシ−2−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、エチレングリコール−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテルなどの脂環式エポキシ類などが挙げられる。
溶媒(C)の含有量は、コーティング剤中に10〜95質量%であることが好ましく、20〜85質量%であることがより好ましい。10質量%より少ないと十分な印刷適性が得られず、95質量%より多いと固形分が少なくなり、濃度が低下してしまう。
前記コーティング剤は、必要に応じて、硬化剤を添加することもできる。例えば、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルジイソシアネートおよびこれらのトリメチロールプロパン三量体、イソシアヌレート体、ビュレット体、アロファネート体などの変性体などのポリイソシアネート系硬化剤が挙げられ、これらを一種類または二種類以上組み合わせて使用できる。
前記コーティング剤は、必要に応じて、光重合開始剤を添加することもできる。例えば、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、オキシフェニル酢酸,2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸,2−[2−ヒドロキシエトキシ]エチルエステルとの混合物、2,4−ジエチルチオキサントン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルホリニル)−1−プロパノン、2−メチル−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、4−フェニルベンゾフェノン、1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルフォニル)プロパン−1−オン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウム、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(o−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(o−アセチルオキシム)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、トリメチルベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、イソプロピルチオキサントン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノン、4−,4’−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、2,2−ジメチル−2−ヒドロキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ミヒラーケトン、トリメチルベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン混合物、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、L−クロロフォルム−4−プロポキシチオキサントン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、L−フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパノン、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノールオリゴマーなどの光ラジカル発生剤、四フッ化ホウ素のフェニルジアゾニウム塩、六フッ化リンのジフェニルヨードニウム塩、六フッ化アンチモンのジフェニルヨードニウム塩、六フッ化ヒ素のトリ−4−メチルフェニルスルホニウム塩、四フッ化アンチモンのトリ−4−メチルフェニルスルホニウム塩、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素のジフェニルヨードニウム塩、アセチルアセトンアルミニウム塩とオルトニトロベンジルシリルエーテル混合体、フェニルチオピリジウム塩、六フッ化リンアレン−鉄錯体などの光酸発生剤が挙げられ、これらを一種類または二種類以上組み合わせて使用できる。
前記コーティング剤は、必要に応じて、増感剤を添加することもできる。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル等のアミン化合物などが挙げられ、これらを一種類または二種類以上組み合わせて使用できる。
本発明のコーティング剤は、膜厚が0.01〜10μmの中間層となるように設けられた抗菌層を設けるために用いることが好ましい。膜厚が0.01μmより小さいものは、抗菌効果が発現しにくく、10μmより大きいものは、抗菌層を設けることが困難であるとともに、ブロッキングを起こす。
前記抗菌層は、シルクスクリーン印刷法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法、ローラーコーター法、刷毛塗り法、スプレー法、ナイフジェットコーター法により設けることが好ましい。なかでも、品質および生産性の高さからグラビア印刷法、フレキソ印刷法またはシルクスクリーン印刷法が好ましく用いられ、グラビア印刷法がより好ましく、特に多色グラビア印刷機を用いたグラビア印刷法であることがさらに好ましい。
本発明の抗菌性積層体は、有機ヨード系抗菌剤(b1)、ピリジン系抗菌剤(b2)、ハロアルキルチオ系抗菌剤(b3)、チアゾール系抗菌剤(b4)、ベンゾイミダゾール系抗菌剤(b5)、イソフタロニトリル系(b6)、フェノール系(b7)、トリアジン系(b8)、臭素系(b9)、第4級アンモニウム塩系(b10)、有機金属系抗菌剤(b11)またはそれらの混合物から選ばれる少なくとも1つを含む有機抗菌剤と樹脂と溶媒とを含む抗菌層形成用コーティング剤からなる0.01〜10μmの膜厚の中間層となるように設けられた抗菌層であることにより、抗菌層が表面に露出することがないにもかかわらず、菌類などと直接接触せずとも、抗菌効果を発揮し、物品などと直接接触しない積層体となるため、物品への有機抗菌剤の移行や脱落も起きない。さらに、抗菌層を薄膜で、容易に形成できることから低コスト化も可能となる。
本発明の抗菌性積層体は、さらに被覆層を備えることが好ましい。前記被覆層は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンとポリプロピレンの混合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、ポリエーテル(メタ)アクリレート樹脂、ジアリルフタレート樹脂、硝化綿樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ロジン系樹脂、紙のうち少なくとも1つを含む層であることが好ましい。また、基材層と同種の樹脂でもよいし、異種の樹脂でもよい。
被覆層は、これらの樹脂を用いたフィルムやシートまたは紙の貼付け、ドライラミネート、ノンソルベントラミネート、ウェットラミネート、熱ラミネート、押出ラミネートによるコーティングおよび/または貼り合せ、オーバープリントニスあるいはオーバーコートニスの塗布により形成される。
被覆層の膜厚は、特に限定されないが、被覆性、コスト、生産性の観点から、フィルムまたはシートは2〜200μm、押出ラミネートによる樹脂コーティングでは1〜100μmであることが好ましい。オーバープリントニスあるいはオーバーコートニスの塗布では、0.1〜10μmであることが好ましい。
本発明の抗菌性積層体は、印刷基材などの基材層を備えることが好ましい。前記基材層は、前記被覆層の他方の面に備えることが好ましく、このことによって、抗菌層は基材層と被覆層との間の中間層となる。前記基材層としては、紙、アルミニウム箔、プラスチックフィルムまたはシートおよびそれらにヒートシール性を有する積層体から選ばれる少なくとも1つを含むことが好ましい。前記プラスチックフィルムまたはシートは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステルフィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ビニルアセテートなどのポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、エチレン−ビニルアルコール、ポリビニルアルコールなどのアルコール系フィルム、ポリアミドフィルムまたはバリア層を中間に配したバリア性ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリイミドフィルム、セロハン、防湿セロハン、PETフィルムまたはポリアミドフィルムにアルミナやシリカなどの蒸着層を設けた透明蒸着ポリエステルフィルムまたは透明蒸着ポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアクリル酸樹脂などをコートした各種コーティングフィルムなどが挙げられる。これらは延伸、未延伸のどちらでもよく、一種類または二種類以上を積層していてもよい。機械的強度や寸法安定性などを考慮して、適切なものが選択できる。また、塗布面にはインキ組成物の密着性を向上させるため、コロナ処理、低温プラズマ処理、フレーム処理、溶剤処理、コート処理などを施すか、あらかじめ施されたものが選択できる。さらに、基材層は、熱可塑性樹脂などをドライラミネート、ノンソルベントラミネート、押出ラミネートや共押出ラミネートなどによる方法、接着剤などを介して貼り合せる方法などにより積層したものであってもよく、また、これらを適宜組み合わせたものであってもよい。より詳しくは、熱可塑性樹脂を含む接着剤によりドライラミネート、ノンソルベントラミネート、ウェットラミネートまたは熱ラミネートしたり、溶融した熱可塑性樹脂により押出ラミネートしたり、あるいは接着剤などを介して貼り合せたりすることで、基材上に直接熱可塑性樹脂を塗布する。特に、熱可塑性樹脂を溶融した押出ラミネートがより好ましい。また、ヒートシール性を付与した積層体も基材層として使用できる。ヒートシール性を付与する方法としては、公知のシーラントフィルムの貼り合わせ、押出ラミネート加工による樹脂コーティング、ヒートシール剤による塗工や共押出によるヒートシール性樹脂加工などが挙げられ、これらの方法によってヒートシール性が付与された層をヒートシール層ともいう。基材層の厚さは、印刷適性、巻き取り適性などに支障のない範囲内であれば、特に制限はないが、5〜300μmが好ましく、6〜250μmがより好ましい。
前記熱可塑性樹脂は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンとポリプロピレンの混合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂などが挙げられ、これらのうち少なくとも1つを含むことが好ましい。また、基材と同種の樹脂でもよいし、異種の樹脂でもよい。
また、抗菌層を形成した他方の面の基材層上に粘着層や接着層を形成し、さらに離型層を形成することにより抗菌性粘着テープとすることもできる。粘着層や接着層はゴム系粘着材料やアクリル樹脂系接着材料など基材層と離型層に密着し、かつ離型層が容易に剥離することができるものであればいずれでもよい。離型層はポリエチレンフィルムやポリエステルフィルムあるいは紙(離型紙)などいずれでもよい。
したがって、本発明の抗菌性積層体は、抗菌層が中間層となり表面に露出することがないにもかかわらず、菌類などと直接接触せずとも、抗菌効果を発揮し、物品などと直接接触しない積層体となるため、物品への有機抗菌剤の移行や脱落も起きない。
また、接着性や粘着性を有する接着剤や粘着剤(ワックス、ホットメルトも含む)に有機抗菌剤を混合、分散または溶解し、これを用いて、基材層と被覆層あるいは基材層同士を貼りあわせて中間層となるように設けることにより抗菌層を備える抗菌性積層体としてもよい。接着剤の樹脂としては、前記した熱可塑性樹脂、ロジン、ロジンエステル又はこれらの変性物やウレタン樹脂、アクリル樹脂、ブタジエン樹脂、ポリエチレンイミン樹脂、イソシアネート樹脂、キレートなどが挙げられる。また、市販の接着剤を用いることができ、有機抗菌剤を該接着剤に添加、混合して使用する。さらに、主剤と硬化剤が混合した一液型、あるいは主剤と硬化剤が別の二液型の接着剤であってもよい。二液型の接着剤の場合、適宜主剤と硬化剤の混合割合を調整し、さらに有機抗菌剤を添加、混合して使用する。この場合も、抗菌層が中間層となり表面に露出することがないにもかかわらず、菌類などと直接接触せずとも、抗菌効果を発揮し、物品などと直接接触しない積層体となるため、物品への有機抗菌剤の移行や脱落も起きない。
さらに、後述する印刷インキに有機抗菌剤を混合、分散または溶解し、これを用いて、基材層と被覆層あるいは基材層同士の間に中間層となるように設けることにより抗菌層を備える抗菌性積層体としてもよい。この場合も、抗菌層が中間層となり表面に露出することがないにもかかわらず、菌類などと直接接触せずとも、抗菌効果を発揮し、物品などと直接接触しない積層体となるため、物品への有機抗菌剤の移行や脱落も起きない。
本発明の抗菌性積層体は、中間層となるように設けることにより抗菌層を備えることが好ましく、基材層や被覆層あるいは基材層同士の間に抗菌層を備えることが好ましい。本発明でいう基材層は、印刷などによって抗菌層を塗布する時に用いられる印刷用基材を便宜的に基材層といい、また本発明でいう被覆層は、便宜上の基材層との間に抗菌層が中間層となるように被覆する層を便宜的に被覆層という。すなわち、抗菌性積層体の形態となったときには、どちら側の面が基材層か、あるいは被覆層かが分からない場合がありうるということである。したがって、本発明の抗菌性積層体において、その中間層である抗菌層の効果が発現するかあるいはしないかは、その面を形成している樹脂構成によって、異なる。すなわち、その面を形成している樹脂構成によって、抗菌性積層体のどちらの面も抗菌作用が発現する場合もあれば、どちらか一方の面だけにしか効果が発現しない場合もあれば、どちらの面も効果を発現しない場合もある。
その例として、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂やポリスチレン樹脂などから構成される層の面では、抗菌効果が発現しにくいことが分かっている。
本発明の抗菌性積層体は、さらに、ヒートシール層を備えることが好ましい。前記ヒートシール層は、例えばヒートシール性を付与した積層体や、公知のシーラントフィルムの貼り合わせ、押出ラミネート加工による樹脂コーティング、ヒートシール剤による塗工や共押出によるヒートシール性樹脂加工などによりヒートシール性が付与された層である。
本発明の抗菌性積層体の製造方法は、膜厚が0.01〜10μmの中間層となるように設けられた抗菌層形成用コーティング剤からなる抗菌層を形成する印刷工程からなることが好ましい。
前記膜厚が0.01〜10μmの中間層となるように設けられた抗菌層形成用コーティング剤からなる抗菌層を形成する印刷工程は、公知の印刷工程または塗布、噴霧、浸漬などの工程により印刷基材などの基材層に塗布して、抗菌層とする。印刷工程としてはシルクスクリーン印刷方式、グラビア印刷方式、オフセット印刷方式、フレキソ印刷方式、ローラーコーター方式、刷毛塗り方式、スプレー方式、ナイフジェットコーター方式などの印刷工程が挙げられる。なかでも、品質および生産性の高さからグラビア印刷方式、フレキソ印刷方式またはシルクスクリーン印刷方式が好ましく用いられ、グラビア印刷方式による印刷工程がより好ましく、特に多色グラビア印刷機を用いたグラビア印刷方式であることがさらに好ましい。より具体的には、前述した積層方法により積層した基材層を作成してから、グラビア印刷方式により、抗菌層を形成してもよいが、ベースとなる基材層の一方面に、グラビア印刷方式により、抗菌層を形成してから、これとは異なる他方面に前述した積層方法により別の基材を形成してもよい。また、前記抗菌層は、基材層の両面に設けてもよい。
従来の金属蒸着処理などを用いた抗菌性積層体は、抗菌層の作製が別々の工程となり、非効率であることに対して、本発明の抗菌性積層体は、多色グラビア印刷機を用いたグラビア印刷方式による印刷工程となるため、インラインで、連続して基材層に後述する印刷インキ層、抗菌層を形成でき、一連の流れのなか(1パス)で抗菌性積層体を低コストで容易に作製することができる。もちろん、グラビア印刷機の仕様や印刷環境、設備などの制約でインラインで、連続して形成できない場合もあるが、この場合オフライン(アウトライン)での形成も可能である。
グラビア印刷方式による印刷工程であるため、全面に抗菌層を形成することもできるが、容易に部分的に抗菌層を形成することもでき、低コスト化も実現できることに加え、例えば数種類の内容物が混在する弁当容器や惣菜容器などにおいては、品質保持期間や保存期間に長短がある内容物に対して、抗菌層の形成によって、品質保持期間や保存期間のコントロールが可能となる。
また、印刷基材などの基材層に、印刷インキ層(以下、単に「印刷インキ」ともいう)を1色以上印刷する工程を含むこともでき、抗菌層の反対面や基材層と抗菌層の間あるいは抗菌層と被覆層の間に印刷インキ層を備えることもできる。印刷インキ層の印刷工程は、多色グラビア印刷機を用いたグラビア印刷方式による印刷工程が好ましい。基材層に印刷インキ層を印刷する工程を含むことにより、例えば、パッケージのデザインなどを付与でき、購買訴求効果を高めることができたり、会社名、ロゴ、キャラクター、製品名、内容物、成分表示、応募方法やキャンペーンの告知、食べ方や使用方法、年月日、原産地、当たりくじなどの情報を付与することができる。また印刷インキ層上にオーバープリントニス層などを塗工することもできる。
前記印刷インキ層としては、通常のグラビアインキが使用でき、印刷基材などの基材層に応じて、適宜選択できる。印刷適性や汎用性の観点から、ウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、硝化綿、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂などのグラビアインキが好ましく、これらの樹脂が一種類または二種類以上組み合わせたグラビアインキであってもよい。また、2色以上のグラビアインキを使用する場合は、同じ樹脂系のインキである必要はなく、別の樹脂系のインキも適宜使用できる。
市販品としては、LG−NT、TPH、VESTA、LRC−NT、KCNT、SYNA−S、LAMREK、LG−FK(以上、いずれも東京インキ(株)製)などを用いることができる。
本発明の抗菌性積層体を用いて形成されたフィルムまたはシートであってもよい。すなわち、本発明の抗菌性積層体そのままでもフィルムとして使用できるが、さらに抗菌性積層体の基材層または被覆層に、別の基材を前述の積層方法により積層して、フィルムまたはシートとしてもよい。
本発明のフィルムまたはシートは、包装用、食品保存用、農業用、土木用、漁業用、自動車内外装用、船舶用、日用品用、建材内外装用、住設機器用、医療・医療機器用、医薬用、家電品用、家具類用、文具類・事務用品用、販売促進用、商業用、電機電子産業用などに使用できる。
なかでも、包装用として、抗菌性積層体を用いて形成されたさまざまな形態の包装材料として好ましく使用できる。包装材料の形態としては、二方シール、三方シール、四方シール、ピローシール、スタンディングパウチ、封筒貼り、ガゼット、溶断シール、チューブ、キャラメル包装、オーバーホールド、フィンシール、まんじゅう包装、ひねり、ロケット、テトラパック、ゲーブルトップ、ブリック、シボリ、カップ、トレイ、ボトル、ブリック、コンテナ、ボックス、ケース、番重、カバー、蓋、キャップ、蓋材、ラベルなど包装用途に用いられる周知の形態のいずれでもよい。
前記包装材料の形態のうち、二方シール、三方シール、四方シール、ピローシールなどの袋状体となる形態のものは、ヒートシール層を備える抗菌性積層体を用いて形成されることが好ましい。
前記包装材料の形態のうち、カップ、トレイ、ボトル、ブリック、コンテナ、ボックス、ケース、番重、カバー、蓋、キャップなどの形態の容器は、抗菌性積層体を用いて形成され、周知の容器成形工程により成形できる。特に、シート成形工程による成形が好ましい。
前記シート成形工程は、圧空成形、真空成形、真空圧空成形、プレス成形、3次元ラミネート成形または対向液圧成形のいずれかの成形工程であることが好ましい。なかでも、圧空成形、真空成形、真空圧空成形、プレス成形による成形工程がより好ましい。
また、前記包装材料の形態のうち、蓋材となる形態のものは、ヒートシール層を備える抗菌性積層体を用いて形成されることが好ましい。
前記蓋材は、有底筒状の容器と密着することにより密閉容器を形成することが好ましい。容器との密着は、人の手を介して実施してもよいが、自動密封装置などの機械を用いてもよい。これらは、食品の種類、形態や大きさ、数量、密閉する容器、設備、環境などによって、適宜選択すればよく、ヒートシール(熱圧シール)、面シール、粘着剤などでの貼り付けあるいは接着などを使用した方法により行えばよい。
この場合、蓋材が有底筒状の容器の開口部を覆い、密閉されていることが好ましく、熱圧シールによる密閉であることがさらに好ましい。熱圧シール条件としては、蓋材を、有底筒状の容器の開口部を覆うように載置し、120〜250℃、2〜10kgf/cm2、0.5〜2secの範囲で、1〜2回のシール回数を適宜選択すればよい。
前記容器に用いられる樹脂は、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリルなどの熱可塑性樹脂などが挙げられる。
また、前記包装材料の形態のうち、ラベルとなる形態のものは、抗菌性積層体を用いて形成され、抗菌性積層体そのものに粘着剤などを用いて、離型紙などを貼り合わせたり、射出成形、シート成形やブロー成形により成形するものであることが好ましい。
前記コーティング剤、印刷インキ、接着剤といった各組成物は、顔料、樹脂、有機抗菌剤、各種添加剤などを溶剤中に均一に溶解または分散することにより公知の方法で製造できる。溶解または分散は、ディゾルバー、ロールミル、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、アトライター、ペイントシェーカー、アジテータ、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、パールミル、超音波ホモジナイザー、湿式ジェットミル、ニーダー、ホモミキサーなどの各種撹拌機または分散機を使用できる。これらの装置は一種類または二種類以上組み合せて使用してもよい。各組成物中に気泡や粗大粒子が含まれる場合、印刷適性や印刷物品質を低下させるため、公知のろ過機や遠心分離機などを用いて、取り除くことが好ましい。
前記各組成物の粘度は、印刷に支障のない範囲であれば、特に制限はない。グラビア印刷やフレキソ印刷で使用される各組成物の製造適性、取扱いなどを考慮すれば、25℃において10〜1,000mPa・sであることが好ましい。この場合、ブルックフィールド型粘度計やコーンプレート型粘度計などの市販の粘度計を用いて測定することができる。オフセット印刷で使用される各組成物では、25℃において5〜50Pa・sであることが好ましい。この場合、L型粘度計、LA型粘度計やコーンプレート型粘度計などの市販の粘度計を用いて測定することができる。
グラビア印刷やフレキソ印刷で使用される各組成物は、そのまま印刷することもできるが、印刷条件、印刷効果に応じ、ザーンカップ#3((株)離合社製)にて、希釈溶剤で希釈することにより所望の粘度に調整して使用できる。この場合の粘度は、25℃において10〜40秒であることが好ましい。
前記希釈溶剤は、前記各組成物の粘度を調整して使用できるものであれば、いずれでもよく、有機溶剤、水などが挙げられ、市販のものも使用できる。市販品としては、WA735、TA52、PU515、SL9155、CN104、AC372、PP575、PA463(以上、いずれも東京インキ(株)製)などが挙げられる。
本発明の抗菌性積層体について、その例を挙げて説明するが、これらに限定されるものではない。
図1は、本発明の抗菌性積層体1の構成例で、基材層2に抗菌層3と被覆層4を設けた例である。
図2は、本発明の抗菌性積層体1の構成例で、ヒートシール性を有する基材層5に抗菌層3とさらに被覆層4を設けた例である。
図3は、本発明の抗菌性積層体1の構成例で、ヒートシール性を有さない基材層6と抗菌層3の間にシーラントフィルムによるヒートシール層7とさらに被覆層4を設けた例である。
図4は、本発明の抗菌性積層体1の構成例で、基材層2に抗菌層(接着剤層)3’と被覆層4を設けた例である。なお、被覆層4がヒートシール性を有するシーラントフィルムであってもよい。
以下に実施例および比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例および比較例中の部は重量部を、%は質量%を表す。
[抗菌層形成用コーティング剤の作製]
コーティング剤1(実施例1)
ウレタン樹脂系溶液(固形分30%)50部に、有機抗菌剤(2−ピリジンチオール−1−オキシドナトリウム)を10部添加し、撹拌しながら、酢酸n−プロピル15部、メチルエチルケトン15部、イソプロピルアルコール10部を添加して、コーティング剤1を作製した。同様に、表1〜6の配合に従い、コーティング剤1と同様に、コーティング剤2〜38を作製した。ただし、コーティング剤37は、有機抗菌剤が溶剤に分散しなかったため、コーティング剤として使用することは困難であった。
コーティング剤39(実施例37)
LG−FK白インキ(東京インキ(株)製)80部に、有機抗菌剤(2−ピリジンチオール−1−オキシドナトリウム)を5部添加し、撹拌しながら、酢酸エチル5部、酢酸n−プロピル5部、イソプロピルアルコール5部を添加して、コーティング剤39を作製した。
コーティング剤40(実施例38)
主剤(タケラックA−969V、三井化学(株)製)と硬化剤(タケネートA−5、三井化学(株)製)を3:1の割合で混合し、酢酸エチルで固形分として30%としたウレタン系接着剤に、有機抗菌剤(2−ピリジンチオール−1−オキシドナトリウム)が5%となるように添加、混合してコーティング剤40を作製した。
コーティング剤41(比較例3)
実施例38で使用した主剤と硬化剤を3:1の割合で混合し、酢酸エチルで固形分として30%としたウレタン系接着剤(コーティング剤41)を作製した。
コーティング剤42(比較例4)
ウレタン樹脂系溶液(固形分30%)50部に、無機系抗菌剤(銀系抗菌剤、ノバロンAG300、東亞合成(株)製)を5部添加し、撹拌しながら、酢酸n−プロピル20部、メチルエチルケトン15部、イソプロピルアルコール10部を添加して、コーティング剤42を作製した。
5色機グラビア印刷機を用いて、厚さ12μmのPETフィルム(略称:PET)に、第一ユニットでコーティング剤1(略称:CT1)、第二ユニットでLG−FK白インキ(略称:白インキ、東京インキ(株)製)を印刷して、巻き取り、白インキ層にドライラミネート法により、ウレタン系接着剤(略称:DL)を用いて、厚さ30μmのリニア低密度ポリエチレンフィルム(略称:LLDPE)を貼り合わせて、積層体1を作製した。このとき、コーティング剤1はPU515(東京インキ(株)製)にて、希釈し、膜厚2μmであった。これによって、積層体1は、「PET/CT1/白インキ/DL/LLDPE」の構成の積層体となった。
5色機グラビア印刷機を用いて、厚さ15μmの共押出バリアナイロンフィルム(略称:バリアNY)に、第一ユニットでLG−FK白インキ、第二ユニットでコーティング剤1を印刷して、巻き取り、抗菌層にアンカーコート剤(略称:AC)を塗布し、さらに低密度ポリエチレン樹脂(略称:LD)を厚さ15μm、リニア低密度ポリエチレン樹脂(略称:LL)を厚さ20μmとなるように押出ラミネートして、積層体2を作製した。このとき、コーティング剤1はPU515、アンカーコート剤はSL9155(東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ膜厚1.5μm、1.1μmであった。これによって、積層体2は、「バリアNY/白インキ/CT1/AC/LD/LL」の構成の積層体となった。
5色機グラビア印刷機を用いて、厚さ20μmの延伸ポリプロピレンフィルム(略称:OPP)に、第一ユニットでコーティング剤1、第二ユニットでLG−FK白インキを印刷して、巻き取り、白インキ層にドライラミネート法により、ウレタン系接着剤を用いて、厚さ30μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(略称:CPP)を貼り合わせて、積層体3を作製した。このとき、コーティング剤1はPU515にて、希釈し、膜厚1μmであった。これによって、積層体3は、「OPP/CT1/白インキ/DL/CPP」の構成の積層体となった。
5色機グラビア印刷機を用いて、厚さ12μmの透明蒸着PETフィルム(略称:透明蒸着PET)に、第一ユニットでコーティング剤1、第二ユニットでLG−FK白インキを印刷して、巻き取り、白インキ層にドライラミネート法により、ウレタン系接着剤を用いて、厚さ15μmのナイロンフィルム(略称:NY)、さらに厚さ60μmの無延伸ポリプロピレンフィルムを貼り合わせて、積層体4を作製した。このとき、コーティング剤1はPU515にて、希釈し、膜厚1.2μmであった。これによって、積層体4は、「透明蒸着PET/CT1/白インキ/DL/NY/DL/CPP」の構成の積層体となった。
コーティング剤1をコーティング剤5(略称:CT5)に変更した以外は積層体1と同じ条件にて、積層体5を作製した。このとき、コーティング剤5はPU515溶剤にて、希釈し、膜厚1.1μmであった。これによって、積層体5は、「PET/CT5/白インキ/DL/LLDPE」の構成の積層体となった。
コーティング剤1をコーティング剤6(略称:CT6)に変更した以外は積層体1と同じ条件にて、積層体6を作製した。このとき、コーティング剤6はPU515溶剤にて、希釈し、膜厚1.7μmであった。これによって、積層体6は、「PET/CT6/白インキ/DL/LLDPE」の構成の積層体となった。
コーティング剤1をコーティング剤7(略称:CT7)に変更した以外は積層体1と同じ条件にて、積層体7を作製した。このとき、コーティング剤7はPU515溶剤にて、希釈し、膜厚1.2μmであった。これによって、積層体7は、「PET/CT7/白インキ/DL/LLDPE」の構成の積層体となった。
コーティング剤1をコーティング剤8(略称:CT8)に変更した以外は積層体1と同じ条件にて、積層体8を作製した。このとき、コーティング剤8はPU515溶剤にて、希釈し、膜厚1.1μmであった。これによって、積層体8は、「PET/CT8/白インキ/DL/LLDPE」の構成の積層体となった。
コーティング剤1をコーティング剤9(略称:CT9)に変更した以外は積層体1と同じ条件にて、積層体9を作製した。このとき、コーティング剤9はPU515溶剤にて、希釈し、膜厚1.3μmであった。これによって、積層体9は、「PET/CT9/白インキ/DL/LLDPE」の構成の積層体となった。
コーティング剤1をコーティング剤10(略称:CT10)に変更した以外は積層体1と同じ条件にて、積層体10を作製した。このとき、コーティング剤10はPU515溶剤にて、希釈し、膜厚1.1μmであった。これによって、積層体10は、「PET/CT10/白インキ/DL/LLDPE」の構成の積層体となった。
コーティング剤1をコーティング剤11(略称:CT11)に変更した以外は積層体1と同じ条件にて、積層体11を作製した。このとき、コーティング剤11はPU515溶剤にて、希釈し、膜厚1.5μmであった。これによって、積層体11は、「PET/CT11/白インキ/DL/LLDPE」の構成の積層体となった。
コーティング剤1をコーティング剤12(略称:CT12)に変更した以外は積層体1と同じ条件にて、積層体12を作製した。このとき、コーティング剤12はPU515溶剤にて、希釈し、膜厚1.2μmであった。これによって、積層体12は、「PET/CT12/白インキ/DL/LLDPE」の構成の積層体となった。
コーティング剤1をコーティング剤13(略称:CT13)に変更した以外は積層体1と同じ条件にて、積層体13を作製した。このとき、コーティング剤13はPU515溶剤にて、希釈し、膜厚1.2μmであった。これによって、積層体13は、「PET/CT13/白インキ/DL/LLDPE」の構成の積層体となった。
コーティング剤1をコーティング剤14(略称:CT14)に変更した以外は積層体1と同じ条件にて、積層体14を作製した。このとき、コーティング剤14はPU515溶剤にて、希釈し、膜厚1.4μmであった。これによって、積層体14は、「PET/CT14/白インキ/DL/LLDPE」の構成の積層体となった。
コーティング剤1をコーティング剤15(略称:CT15)に変更した以外は積層体1と同じ条件にて、積層体15を作製した。このとき、コーティング剤15はPU515溶剤にて、希釈し、膜厚1.1μmであった。これによって、積層体15は、「PET/CT15/白インキ/DL/LLDPE」の構成の積層体となった。
コーティング剤1をコーティング剤16(略称:CT16)に変更した以外は積層体1と同じ条件にて、積層体16を作製した。このとき、コーティング剤16はPU515溶剤にて、希釈し、膜厚1.3μmであった。これによって、積層体16は、「PET/CT16/白インキ/DL/LLDPE」の構成の積層体となった。
コーティング剤1をコーティング剤17(略称:CT17)に変更した以外は積層体1と同じ条件にて、積層体17を作製した。このとき、コーティング剤17はPU515溶剤にて、希釈し、膜厚1.6μmであった。これによって、積層体17は、「PET/CT17/白インキ/DL/LLDPE」の構成の積層体となった。
コーティング剤1をコーティング剤18(略称:CT18)に変更した以外は積層体1と同じ条件にて、積層体18を作製した。このとき、コーティング剤18はPU515溶剤にて、希釈し、膜厚1.4μmであった。これによって、積層体18は、「PET/CT18/白インキ/DL/LLDPE」の構成の積層体となった。
コーティング剤1をコーティング剤19(略称:CT19)に変更した以外は積層体1と同じ条件にて、積層体19を作製した。このとき、コーティング剤19はPU515溶剤にて、希釈し、膜厚1.5μmであった。これによって、積層体19は、「PET/CT19/白インキ/DL/LLDPE」の構成の積層体となった。
コーティング剤1をコーティング剤20(略称:CT20)に変更した以外は積層体1と同じ条件にて、積層体20を作製した。このとき、コーティング剤20はPU515溶剤にて、希釈し、膜厚1μmであった。これによって、積層体20は、「PET/CT20/白インキ/DL/LLDPE」の構成の積層体となった。
コーティング剤1をコーティング剤21(略称:CT21)に変更した以外は積層体1と同じ条件にて、積層体21を作製した。このとき、コーティング剤21はPU515溶剤にて、希釈し、膜厚1.5μmであった。これによって、積層体21は、「PET/CT21/白インキ/DL/LLDPE」の構成の積層体となった。
コーティング剤1をコーティング剤22(略称:CT22)に変更した以外は積層体1と同じ条件にて、積層体22を作製した。このとき、コーティング剤22はPU515溶剤にて、希釈し、膜厚1.2μmであった。これによって、積層体22は、「PET/CT22/白インキ/DL/LLDPE」の構成の積層体となった。
コーティング剤1をコーティング剤23(略称:CT23)に変更した以外は積層体1と同じ条件にて、積層体23を作製した。このとき、コーティング剤23はPU515溶剤にて、希釈し、膜厚1.3μmであった。これによって、積層体23は、「PET/CT23/白インキ/DL/LLDPE」の構成の積層体となった。
コーティング剤1をコーティング剤24(略称:CT24)に変更した以外は積層体1と同じ条件にて、積層体24を作製した。このとき、コーティング剤24はPU515溶剤にて、希釈し、膜厚1.2μmであった。これによって、積層体24は、「PET/CT24/白インキ/DL/LLDPE」の構成の積層体となった。
コーティング剤1をコーティング剤25(略称:CT25)に変更した以外は積層体1と同じ条件にて、積層体25を作製した。このとき、コーティング剤25はPU515溶剤にて、希釈し、膜厚1.5μmであった。これによって、積層体25は、「PET/CT25/白インキ/DL/LLDPE」の構成の積層体となった。
コーティング剤1をコーティング剤26(略称:CT26)に変更した以外は積層体1と同じ条件にて、積層体26を作製した。このとき、コーティング剤26はPU515溶剤にて、希釈し、膜厚1.4μmであった。これによって、積層体26は、「PET/CT26/白インキ/DL/LLDPE」の構成の積層体となった。
コーティング剤1をコーティング剤27(略称:CT27)に変更した以外は積層体1と同じ条件にて、積層体27を作製した。このとき、コーティング剤27はPU515溶剤にて、希釈し、膜厚1.2μmであった。これによって、積層体27は、「PET/CT27/白インキ/DL/LLDPE」の構成の積層体となった。
コーティング剤1をコーティング剤28(略称:CT28)に変更した以外は積層体1と同じ条件にて、積層体28を作製した。このとき、コーティング剤28はPU515溶剤にて、希釈し、膜厚1.3μmであった。これによって、積層体28は、「PET/CT28/白インキ/DL/LLDPE」の構成の積層体となった。
コーティング剤1をコーティング剤29(略称:CT29)に変更した以外は積層体1と同じ条件にて、積層体29を作製した。このとき、コーティング剤29はPU515溶剤にて、希釈し、膜厚1.3μmであった。これによって、積層体29は、「PET/CT29/白インキ/DL/LLDPE」の構成の積層体となった。
コーティング剤1をコーティング剤30(略称:CT30)に変更した以外は積層体1と同じ条件にて、積層体30を作製した。このとき、コーティング剤30はPU515溶剤にて、希釈し、膜厚1.4μmであった。これによって、積層体30は、「PET/CT30/白インキ/DL/LLDPE」の構成の積層体となった。
コーティング剤1をコーティング剤31(略称:CT31)に変更した以外は積層体1と同じ条件にて、積層体31を作製した。このとき、コーティング剤31はPU515溶剤にて、希釈し、膜厚1.6μmであった。これによって、積層体31は、「PET/CT31/白インキ/DL/LLDPE」の構成の積層体となった。
コーティング剤1をコーティング剤32(略称:CT32)に変更した以外は積層体1と同じ条件にて、積層体32を作製した。このとき、コーティング剤32はPU515溶剤にて、希釈し、膜厚1.4μmであった。これによって、積層体32は、「PET/CT32/白インキ/DL/LLDPE」の構成の積層体となった。
コーティング剤1をコーティング剤33(略称:CT33)に変更した以外は積層体1と同じ条件にて、積層体33を作製した。このとき、コーティング剤33はPU515溶剤にて、希釈し、膜厚1.3μmであった。これによって、積層体33は、「PET/CT33/白インキ/DL/LLDPE」の構成の積層体となった。
コーティング剤1をコーティング剤34(略称:CT34)に変更した以外は積層体1と同じ条件にて、積層体34を作製した。このとき、コーティング剤34はPU515溶剤にて、希釈し、膜厚1.5μmであった。これによって、積層体34は、「PET/CT34/白インキ/DL/LLDPE」の構成の積層体となった。
コーティング剤1をコーティング剤35(略称:CT35)に変更した以外は積層体1と同じ条件にて、積層体35を作製した。このとき、コーティング剤35はPU515溶剤にて、希釈し、膜厚2.5μmであった。これによって、積層体35は、「PET/CT35/白インキ/DL/LLDPE」の構成の積層体となった。
コーティング剤1をコーティング剤36(略称:CT36)に変更した以外は積層体1と同じ条件にて、積層体36を作製した。このとき、コーティング剤36はPU515溶剤にて、希釈し、膜厚0.5μmであった。これによって、積層体36は、「PET/CT36/白インキ/DL/LLDPE」の構成の積層体となった。
5色機グラビア印刷機を用いて、厚さ25μmのPETフィルムに、第一ユニットでコーティング剤1を印刷して、巻き取り、抗菌層にドライラミネート法により、ウレタン系接着剤を用いて、厚さ30μmの無延伸ポリプロピレンフィルムを貼り合わせて、積層体37を作製した。このとき、コーティング剤1はPU515にて、希釈し、膜厚1μmであった。これによって、積層体37は、「PET/CT1/DL/CPP」の構成の積層体となった。
厚さ20μmの延伸ポリプロピレンフィルムにドライラミネート法によりコーティング剤40(略称:CT40)を用いて、厚さ30μmの無延伸プロピレンフィルムを貼り合わせて、積層体38を作製した。このとき、コーティング剤40は、膜厚3μmであった。これによって、積層体38は、「OPP/CT40/CPP」の構成の積層体となった。
5色機グラビア印刷機を用いて、厚さ15μmのナイロンフィルムに、第一ユニットでコーティング剤1、第二ユニットでLG−FK白インキを印刷して、巻き取り、白インキ層にドライラミネート法により、ウレタン系接着剤を用いて、厚さ30μmのイージーピールフィルム(略称:EP)を貼り合わせて、積層体39を作製した。このとき、コーティング剤1はPU515にて、希釈し、膜厚0.8μmであった。これによって、積層体39は、「NY/CT1/白インキ/DL/EP」の構成の積層体となった。
5色機グラビア印刷機を用いて、厚さ25μmの無延伸ポリプロピレンフィルムに、第一ユニットでコーティング剤3(略称:CT3)、第二ユニットで、NOPL−L墨インキ(略称:墨インキ、東京インキ(株)製)、第三ユニットで、水性SA721W(ヒートシール剤、略称:HS、東京インキ(株)製)を印刷して、巻き取り、HS層に、厚さ0.5mmの発泡ポリスチレンシート(略称:発泡PS)を熱ラミネートして、積層体40を作製した。このとき、コーティング剤3はPP575(東京インキ(株)製)にて、希釈し、膜厚1.2μmであった。これによって、積層体40は、「CPP/CT3/墨インキ/HS//発泡PS」の構成の積層体となった。
5色機グラビア印刷機を用いて、厚さ30μmの無延伸ポリプロピレンシートに、第一ユニットでコーティング剤3、第二ユニットで、NOPL−L墨インキを印刷して、巻き取り、墨インキ層に厚さ0.6mmのポリプロピレンシート(略称:PPシート)を熱ラミネートして、積層体41を作製した。このとき、コーティング剤3はPP575にて、希釈し、膜厚1.5μmであった。これによって、積層体41は、「CPP/CT3/墨インキ//PPシート」の構成の積層体となった。
5色機グラビア印刷機を用いて、厚さ30μmの延伸ポリスチレンシート(略称:OPS)に、第一ユニットでコーティング剤2(略称:CT2)、第二ユニットで、SYNA−S墨インキ(略称:墨インキ、東京インキ(株)製)を印刷して、巻き取り、厚さ0.5mmの発泡ポリスチレンシートを熱ラミネートして、積層体42を作製した。このとき、コーティング剤2はAC372(東京インキ(株)製)にて、希釈し、膜厚1.5μmであった。これによって、積層体42は、「OPS/CT2/墨インキ//発泡PS」の構成の積層体となった。
5色機グラビア印刷機を用いて、厚さ30μmの無延伸ポリスチレンシート(略称:CPS)に、第一ユニットでコーティング剤2、第二ユニットで、SYNA−S墨インキを印刷して、巻き取り、厚さ0.5mmの発泡ポリスチレンシートを熱ラミネートして、積層体43を作製した。このとき、コーティング剤2はAC372にて、希釈し、膜厚1.5μmであった。これによって、積層体43は、「CPS/CT2/墨インキ//発泡PS」の構成の積層体となった。
5色機グラビア印刷機を用いて、厚さ20μmでポリエチレン押出コートした紙(厚さ0.1mm)(略称:PEコート紙)のポリエチレンコートの反対面に、第一ユニットおよび第二ユニットでコーティング剤4(略称:CT4)を重ね印刷し、第三ユニットで膜厚1μmとなるようにオーバープリントニス(略称:OPニス)を塗布して、積層体44を作製した。このとき、コーティング剤4はCN104(東京インキ(株)製)にて、希釈し、膜厚1.5μmであった。これによって、積層体44は、「OPニス/CT4/紙/PE(紙/PEの層はPEコート紙)」の構成の積層体となった。
5色機グラビア印刷機を用いて、厚さ12μmのPETフィルムに、第一ユニットでLG−FK墨インキ(略称:墨)、第二ユニットでLG−FK藍インキ(略称:藍)、第三ユニットでLG−FK紅インキ(略称:紅)、第四ユニットでLG−FK黄インキ(略称:黄)(以上、いずれも東京インキ(株)製))、第五ユニットでコーティング剤39(略称:CT39)を印刷して、巻き取り、抗菌層にドライラミネート法により、ウレタン系接着剤を用いて、厚さ30μmのリニア低密度ポリエチレンフィルムを貼り合わせて、積層体45を作製した。このとき、コーティング剤39はPU515にて、希釈し、膜厚0.9μmであった。これによって、積層体45は、「PET/墨・藍・紅・黄/CT39/DL/LLDPE」の構成の積層体となった。
コーティング剤1をコーティング剤38(略称:CT38)に変更した以外は積層体3と同じ条件にて、積層体46を作製した。このとき、コーティング剤38はPU515にて、希釈し、膜厚1μmであった。これによって、積層体46は、「OPP/CT38/白インキ/DL/CPP」の構成の積層体となった。
コーティング剤を使用しない以外は積層体3と同じ条件にて、積層体47を作製した。これによって、積層体47は、「OPP/白インキ/DL/CPP」の構成の積層体となった。
コーティング剤を使用しない以外は積層体37と同じ条件にて、積層体48を作製した。これによって、積層体48は、「PET/DL/CPP」の構成の積層体となった。
コーティング剤40をコーティング剤41(略称:CT41)に変更した以外は積層体38と同じ条件にて、積層体49を作製した。このとき、コーティング剤41は、膜厚3.1μmであった。これによって、積層体49は、「OPP/CT41/CPP」の構成の積層体となった。
コーティング剤を使用しない以外は積層体39と同じ条件にて、積層体50を作製した。これによって、積層体50は、「NY/白インキ/DL/EP」の構成の積層体となった。
コーティング剤を使用しない以外は積層体40と同じ条件にて、積層体51を作製した。これによって、積層体51は、「CPP/墨インキ/HS//発泡PS」の構成の積層体となった。
積層体44で使用した厚さ20μmでポリエチレン押出コートした紙(厚さ0.1mm)のポリエチレンコートの反対面に、グラビアコートにより膜厚1μmとなるようにオーバープリントニスを塗布して、積層体52を作製した。これによって、積層体52は、「OPニス/紙/PE(PEコート紙)」の構成の積層体となった。
コーティング剤39をコーティング剤を含有しない従来品のLG−FK白インキを使用した以外は積層体45と同じ条件にて、積層体53を作製した。このとき、従来品のLG−FK白インキはPU515にて、希釈し、膜厚0.9μmであった。これによって、積層体53は、「PET/墨・藍・紅・黄/白インキ/DL/LLDPE」の構成の積層体となった。
5色機グラビア印刷機を用いて、厚さ20μmの延伸ポリプロピレンフィルムに、第一ユニット〜第五ユニットでコーティング剤1を重ね印刷して、巻き取り、抗菌層にドライラミネート法により、ウレタン系接着剤を用いて、厚さ30μmの無延伸ポリプロピレンフィルムを貼り合わせて、積層体54を作製した。このとき、コーティング剤1はPU515にて、希釈し、膜厚12μmであった。しかし、ブロッキングが発生してしまった。
コーティング剤1をコーティング剤42(略称:CT42)に変更した以外は積層体1と同じ条件にて、積層体55を作製した。このとき、コーティング剤42はPU515にて、希釈し、膜厚1μmであった。これによって、積層体55は、「PET/CT42/白インキ/DL/LLDPE」の構成の積層体となった。
積層体1〜53および55について抗菌性を評価し、表7〜表14に示した。なお、積層体1、4、39、44、50および52については、それぞれ両面について、抗菌性の評価を行った。
<抗菌性>
積層体について、JIS Z 2801:2012に準拠して、以下のようにして実施した。
40mm×40mmに切断した試験片の表面に、大腸菌(Escherichia coli)および黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)をそれぞれ含む菌液を滴下し、その上から30mm×30mm×0.09mmのポリエチレンフィルムを密着させ、温度35℃、湿度90%の条件下で24時間培養した。培養後、ポリエチレンフィルムおよび試験片に付着している菌体をSCDLP培地10ml(V)で洗い出した。洗い出した液を1ml取り、リン酸緩衝生理食塩水9mlの入った試験管に加え、混合し、さらに、この試験管から1mlを取り、別の試験管に入ったリン酸緩衝生理食塩水9mlに入れて、混合して、10倍希釈液を作製し、洗い出し液と10倍希釈液それぞれ1ml(1倍希釈:D)をシャーレ2枚に分注した。シャーレ1枚あたり、46〜48℃に保温した標準寒天培地15〜20mlを加え、よく混合し、温度35℃、湿度90%の条件下で40〜48時間培養した後、大腸菌および黄色ブドウ球菌の生菌数をそれぞれカウントした。評価の基準は、無加工のポリエチレンフィルム試験片を用いた。試験はそれぞれ3回行った。表7〜表10に大腸菌の結果、表11〜表14に黄色ブドウ球菌の結果を示した。
生菌数(N)は以下の方法により算出した。
N=(C×D×V)/A
N:生菌数(試験片1cm2あたり)
C:集落数(採用した2枚のシャーレの集落数平均値)
D:希釈倍数(採用したシャーレに分注した希釈液の希釈倍率)
V:洗い出しに用いたSCDLP培地の液量(ml)
A:被覆フィルムの表面積(cm2)
ただし、Cが<1の場合はCを1として生菌数を算出した。例えば、V=10ml、A=9cm2、D=1の場合、N<1.1と表示した。
抗菌活性値(R)は以下の方法により算出した。
R=log(B/A)−log(C/A)=log(B/C)
A:無加工試験片の接種直後の生菌数の平均値(個)
B:無加工試験片の24時間後の生菌数の平均値(個)
C:抗菌加工試験片の24時間後の生菌数の平均値(個)
ただし、生菌数(N)が<1.1の場合、1.1で計算した。小数点以下2けた目は切り捨て、小数点以下1けたで表示した。
抗菌活性値(R)が2以上のとき、抗菌効果があると判断でき、○:2以上(抗菌効果がある)、△:2未満、1以上(弱い抗菌効果)、×:1未満(抗菌効果がない)の3段階で評価した。
表7〜表14によると、本発明の抗菌積層体は抗菌効果を発揮することが明確である。特にポリオレフィン層、ナイロン層あるいは紙では抗菌効果が優れることが明確である。また、ポリスチレン層(実施例81、82、128、129)では弱い抗菌効果を発揮することが明確である。しかし、積層体1のように一方がLLDPE層でもう一方がPET層の構成では、LLDPE層(実施例39、86)では抗菌効果を発揮することが確認されるが、もう一方のPET層(比較例5、18)では、抗菌効果をほとんど発揮しない。同様に、積層体4のように一方がCPP層でもう一方が蒸着PET層の構成でも、CPP層(実施例42、89)では抗菌効果を発揮することが確認されるが、透明蒸着PET層(比較例6、19)では抗菌効果をほとんど発揮しないことが明確である。また、抗菌層は積層体において中間層となっていることから、抗菌剤の移行や脱落などが起こらないことが明確であり、食品や物品などと直接接触しなくても抗菌効果を発揮することが明確である。また、インキや接着剤中に抗菌剤を加え、これを塗布し中間層としても抗菌効果を発揮することが明確である。さらに、オーバープリントニスのように抗菌層上にオーバーコートした面(実施例84、131)でも抗菌効果を発揮することが明確である。また、抗菌剤を含まないコーティング剤を塗布した積層体46および49、抗菌層を含まない積層体47、48、50〜52、および抗菌剤を含まないインキ(積層体53)は抗菌効果を発揮しないことが明確である。また、抗菌剤の添加量が多すぎると、抗菌剤の溶媒への溶解または分散が非常に困難となる(コーティング剤37)。抗菌層の膜厚が10μmを超えると、ブロッキングが発生するため、積層体の作製が非常に困難である(積層体54)。銀系抗菌剤を含むコーティング剤を塗布した積層体55も、抗菌効果を発揮しないことが明確である。抗菌層の形成は印刷工程により行なうことができるものであり、金属蒸着工程のように別の工程で形成するものではないため、容易に低コストで抗菌性積層体を形成できる。
<抗菌効果試験1>
積層体3、46および47のCPP面が内面になるように、ヒートシールして開口部を有する袋状にし、開口部からカステラ(カステラカット(レギュラー)、(株)文明堂総本店製)を入れた後、開口部をヒートシールにより閉じた。これを25℃の恒温室に静置し、1週間後に、開封し、カステラの外観を目視にて観察し、かびの発生を確認した。
○:かびの発生が確認できない、×:かびの発生が確認できる、の2段階で評価した。表15に抗菌効果試験結果を示した。
<抗菌効果試験2>
積層体40および51のCPP面が内面になるように、プレス成形して容器にし、容器内に草だんご(商品名:草だんご、山崎製パン(株)製)を入れ、上面を蓋材により嵌合した。これを25℃の恒温室に静置し、1週間後に、蓋材を外し、草だんごの外観を目視にて観察し、かびの発生を確認した。
○:かびの発生が確認できない、×:かびの発生が確認できる、の2段階で評価した。表15に抗菌効果試験結果を示した。
表15によると、抗菌層を有する積層体3からなる包装袋および抗菌層を有する積層体40からなる包装容器は、抗菌効果を発揮することが明確である。
<抗菌面試験>
積層体1について、抗菌効果を発揮することが確認されたLLDPE面について、フーリエ変換赤外分光光度計(Frontier FT−IR、株式会社パーキン・エルマー・ジャパン製)を用い、ATR法により、赤外吸収スペクトルを測定し、つづいて、同積層体1のLLDPE面をクロロホルムにて、拭き取り、同様に赤外吸収スペクトルを測定した。未処理のLLDPE面およびクロロホルム処理のLLDPE面ともに、2−ピリジンチオール−1−オキシドナトリウムは検出されなかった。
同様に、積層体3のCPP面についても行なったが、2−ピリジンチオール−1−オキシドナトリウムは検出されなかった。
積層体1を20cm×20cmの大きさに切断し、抗菌効果を発揮することが確認されたLLDPE面をアセトン10mLで洗い流し、該アセトン溶出物を2mLに濃縮し、高速液体クロマトグラフ(HPLC System Agilent HP1200、アジレント・テクノロジー株式会社製)を用い、カラム:Inertsil ODS−3(5μm、4.6mm×150mm、ジーエルサイエンス株式会社製)、カラム温度:40℃、溶離液:水/アセトニトリル=70/30、流量:1.2mL/min、試料注入量:2μLの条件にて、クロマトグラムを測定した。LLDPE面から2−ピリジンチオール−1−オキシドナトリウムは検出されなかった。
同様に、積層体3のCPP面についても行なったが、2−ピリジンチオール−1−オキシドナトリウムは検出されなかった。