JP2000153596A - フィルム積層体およびその製造方法 - Google Patents

フィルム積層体およびその製造方法

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JP2000153596A
JP2000153596A JP11261039A JP26103999A JP2000153596A JP 2000153596 A JP2000153596 A JP 2000153596A JP 11261039 A JP11261039 A JP 11261039A JP 26103999 A JP26103999 A JP 26103999A JP 2000153596 A JP2000153596 A JP 2000153596A
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film
forming
coating
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Toshiya Kuroda
俊也 黒田
Taiichi Sakatani
泰一 阪谷
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い生産性を以って低コストで製造すること
ができる、膜を形成しうる性質を有する有機物および/
または無機物からなる層を少なくとも一層含む少なくと
も三層が基材フィルム上に積層されてなるフィルム積層
体の製造方法を提供する。 【解決手段】 多色刷グラビア印刷機を用い、膜を形成
しうる性質を有する有機物および/または無機物からな
る層の構成成分またはその前駆体を含む塗工液23を基
材フィルム24上に塗工することにより膜を形成しうる
性質を有する有機物および/または無機物からなる層を
形成する工程を3工程以上インラインで連続的に行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、膜を形成しうる性
質を有する有機物および/または無機物からなる層を少
なくとも一層含む少なくとも三層が基材フィルム上に積
層されてなるフィルム積層体およびその製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、プラスチックフィルムは、その柔
軟性や内容物視認性等によって食品等の包装資材として
好適に用いられている。このようなプラスチックフィル
ムにおいて、ガスバリア性は、内容物、例えば食品の保
存性を確保する上で重要な性質である。
【0003】プラスチックフィルムにガスバリア性を付
与すべく、ガスバリア性を有する無機層状化合物を含む
樹脂組成物の層を基材フィルム上に積層してなるフィル
ム積層体は、例えば特開平6−93133号公報、特開
平7−304128号公報等に開示されている。該フィ
ルム積層体において、前記樹脂組成物の層は、基材フィ
ルム上に該樹脂組成物を含む塗工液を塗工した後、これ
を乾燥することにより形成されている。
【0004】従来、前記樹脂組成物の層を含む三層以上
の層が基材フィルム上に積層されたフィルム積層体は、
一層毎に、ロールからの基材フィルムの解巻、基材フィ
ルム上への層の形成、および基材フィルムのロールへの
巻き取りを行う方法で製造されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
従来の方法では、一層を形成する毎に基材フィルムをロ
ールに巻き取るので、基材フィルムの巻き取りが終了す
るまで次の層形成を開始することができず、フィルム積
層体の完成までに長い時間を要する。また、巻き取った
基材フィルムを次の製造ラインに搬送しなければならな
いため、搬送コストが必要である。さらに、上記方法で
は、製造ラインが一層毎に独立しているので、基材フィ
ルムの搬送速度等の製造条件を管理するための制御装置
や、ロールを駆動する動力源が各製造ライン毎に必要で
あり、設備コストも嵩む。したがって、上記従来の方法
では、基材フィルム上に三層以上の層が積層されたフィ
ルム積層体を高い生産性を以って低コストで製造するこ
とができなかった。
【0006】本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされ
たものであり、その目的は、膜を形成しうる性質を有す
る有機物および/または無機物からなる層を少なくとも
一層含む少なくとも三層が基材フィルムに積層されてな
るフィルム積層体を高い生産性を以って低コストで製造
することができるフィルム積層体の製造方法、並びに、
膜を形成しうる性質を有する有機物および/または無機
物からなる層を少なくとも一層含む少なくとも三層が基
材フィルムに積層されてなるフィルム積層体であって、
高い生産性を以って低コストで製造することができ、か
つ、酸素遮断性に優れたフィルム積層体を提供すること
にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは、上記の
目的を達成すべく鋭意検討した結果、膜を形成しうる性
質を有する有機物および/または無機物からなる層を少
なくとも一層含む少なくとも三層が基材フィルム上に積
層されてなるフィルム積層体を製造するにあたり、上記
各層を多層形成機を用いてインラインで順次に形成する
ことにより、上記フィルム積層体が高い生産性を以って
低コストで得られることを見出し、本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明のフィルム積層体の製造
方法は、上記の課題を解決するために、膜を形成しうる
性質を有する有機物および/または無機物からなる層を
少なくとも一層含む少なくとも三層が基材フィルム上に
積層されてなるフィルム積層体の製造方法であって、上
記各層を多層形成機を用いてインラインで基材フィルム
上に順次に形成することを特徴としている。
【0009】上記方法によれば、上記各層を多層形成機
を用いてインラインで基材フィルム上に順次に形成する
ので、工程や装置の数の削減などを図ることができる。
すなわち、各工程の仕上がり時間や資材などのロスの
低減、次工程への搬送費用、労力、時間などの低減、
および機械据付スペースを含めた設備コストの低減、
のそれぞれを図ることができる。したがって、膜を形成
しうる性質を有する有機物および/または無機物からな
る層を少なくとも一層含む少なくとも三層が基材フィル
ム上に積層されてなるフィルム積層体を高い生産性を以
って低コストで得ることができる。
【0010】なお、本明細書において「各層をインライ
ンで順次に形成する」とは、1つの連続した製造ライン
の中で各層の形成工程を適宜の順序(任意の順序)で連
続的に実施することを意味する。
【0011】また、本発明にかかるフィルム積層体は、
上記製造方法で得られたフィルム積層体であって、23
℃、相対湿度50%での酸素透過度が10mL/m2
day・atm以下であることを特徴としている。
【0012】上記構成によれば、前記の製造方法によっ
て得られるので、膜を形成しうる性質を有する有機物お
よび/または無機物からなる層を少なくとも一層含む少
なくとも三層が基材フィルム上に積層されてなり、高い
生産性を以って低コストで製造することができる。しか
も、上記構成によれば、23℃、相対湿度50%での酸
素透過度が10mL/m2 ・day・atm以下と、酸
素遮断性に優れている。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の実施の一形態について図
1ないし図5に基づいて説明すれば、以下の通りであ
る。
【0014】本発明にかかるフィルム積層体の製造方法
は、膜を形成しうる性質を有する有機物および/または
無機物からなる層(以下、A層と記す)を少なくとも一
層含む少なくとも三層が基材フィルム上に積層されてな
るフィルム積層体の製造方法であって、上記各層を多層
形成機を用いてインラインで基材フィルム上に適宜の順
序に形成する方法である。
【0015】ここで、「膜を形成しうる性質を有する有
機物および/または無機物」とは、(1)膜を形成しう
る性質を有する有機物、(2)膜を形成しうる性質を有
する無機物、および(3)有機物と無機物との混合物で
あって、有機物および無機物の少なくとも一方が膜を形
成しうる性質を有する混合物のいずれかを指す。
【0016】上記膜を形成しうる性質を有する有機物と
しては、重合性モノマー、熱硬化性樹脂、化学変化して
金属酸化物薄膜を形成しうる有機金属化合物、および熱
可塑性樹脂が挙げられる。
【0017】上記重合性モノマーとしては、アクリル
酸、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸亜鉛、アクリル
酸マグネシウム、アクリル酸カルシウム、アクリル酸ア
ルミニウム、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、ア
クリル酸プロピル、アクリル酸デシル、アクリル酸イソ
ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ス
テアリル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベン
ジル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸2
−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピ
ル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸グリ
シジルなどのアクリル酸誘導体、メタクリル酸、メタク
リル酸ナトリウム、メタクリル酸亜鉛、メタクリル酸マ
グネシウム、メタクリル酸カルシウム、メタクリル酸ア
ルミニウム、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチ
ル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸デシル、メタ
クリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシ
ル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸シクロヘキ
シル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸ジエチルア
ミノエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタ
クリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジメチ
ルアミノエチル、メタクリル酸グリシジルなどのメタク
リル酸誘導体、1,4−ブタンジオールジアクリレー
ト、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメ
チロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリト
ールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ
アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレ
ート、ジグリシジルビスフェノールAジアクリレート、
ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステル
ジアクリレートなどの多官能アクリル酸誘導体、1,4
−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサン
ジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパント
リメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリ
レート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレー
ト、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ジ
グリシジルビスフェノールAジメタクリレート、ネオペ
ンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジメタ
クリレートなどの多官能メタクリル酸誘導体、アクリル
アミド、アクリロニトリル、炭酸ビニル、酢酸ビニルな
どが挙げられる。
【0018】熱硬化性樹脂としては、ビスフェノールA
型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹
脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェ
ノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキ
シ樹脂、ポリグリシジルアミン型エポキシ樹脂、水添ビ
スフェノールA型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボ
ラック型エポキシ樹脂、水溶性エポキシ樹脂などのエポ
キシ樹脂、キシレンホルムアルデヒド樹脂、グアナミン
樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フェノール樹脂、エポ
キシアクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリ
ウレタン樹脂、メラミン樹脂、マレイン酸樹脂、ユリア
樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられる。
【0019】上記有機金属化合物としては、例えば、次
式 M(OR)n (Mは酸化数3〜4の金属元素、Rはアルキル基)で表
される金属アルコキシドが挙げられる。上記の酸化数3
〜4の金属元素Mとしては、例えば、Si、Ti、A
l、Zr等が挙げられ、これらのうち、SiおよびAl
が好ましく、MがSiであるものとAlであるものとの
併用も好ましい。
【0020】上記熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン
(低密度、高密度)、エチレン/プロピレン共重合体、
エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合
体、エチレン/オクテン共重合体、ポリプロピレン、エ
チレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/メチルメタク
リレート共重合体、アイオノマー樹脂等のポリオレフィ
ン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレン
テレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエ
ステル系樹脂;ナイロン−6、ナイロン−6,6、メタ
キシレンジアミン/アジピン酸縮重合体、ポリメチルメ
タクリルイミド等のアミド系樹脂;ポリメチルメタクリ
レート等のアクリル系樹脂;ポリスチレン、スチレン/
アクリロニトリル共重合体、スチレン/アクリロニトリ
ル/ブタジエン共重合体、ポリアクリロニトリル等のス
チレン/アクリロニトリル系樹脂;トリ酢酸セルロー
ス、ジ酢酸セルロース等の疎水化セルロース系樹脂;ポ
リ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリ
デン、ポリテトラフルオロエチレン等のハロゲン含有樹
脂;ポリビニルアルコール、エチレン/ビニルアルコー
ル共重合体、セルロース誘導体等の水素結合性樹脂;ポ
リカーボネート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテル
サルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリ
フェニレンオキシド樹脂、ポリメチレンオキシド樹脂、
液晶樹脂等のエンジニアリングプラスチック系樹脂が例
示される。
【0021】膜を形成しうる性質を有する有機物として
は、高水素結合性樹脂が最も好ましい。これにより、高
水素結合性樹脂と反応可能なイソシアネート化合物など
の化合物を含む上記アンカー層を上記樹脂組成物層の基
材フィルム側に形成した場合に、A層中の高水素結合性
樹脂とアンカー層中のイソシアネート化合物などの化合
物とを反応させて、A層とアンカー層との間に結合を形
成することができる。この結果、A層の基材フィルム
(あるいは基材フィルム上に形成された層)への密着性
を改良できる。
【0022】上記膜を形成しうる性質を有する無機物と
しては、例えば、ポリシラザン、ポリシラン、ポリサル
ファーナイトライドなどの無機高分子、および無機層状
化合物が挙げられるが、無機層状化合物が特に好まし
い。
【0023】A層の形成方法は、膜を形成しうる性質を
有する有機物および/または無機物を用いて有機物およ
び/または無機物からなる膜を形成できる方法であれば
特に限定されないが、キャスト法または押出し法が好ま
しく、コーティングによる方法が特に好ましい。
【0024】上記フィルム積層体の形態としては、基材
フィルム上にA層を積層し、該A層上にA層と異なる層
(以下、B層と記す)を積層した積層体が好ましく、基
材フィルム上にB層を積層し、該B層上にA層を積層
し、該A層上にA層およびB層と異なる層(以下、C層
と記す)を積層した積層体が更に好ましい。同一組成の
層を複数設けるのも好ましく、また、互いに類似の組成
の複数の層を設けるのも好ましい。
【0025】従って、上記フィルム積層体の形態として
は、(1)図3に示すように、基材フィルム41上に、
B層42、A層43、C層44の順で積層してなるフィ
ルム積層体、(2)図4に示すように、基材フィルム4
1上に、B層42、A層43、B層42、A層43の順
で積層してなるフィルム積層体、および(3)図5に示
すように、基材フィルム41上に、B層42、A層4
3、C層44、B層42、A層43、C層44の順で積
層してなるフィルム積層体が好ましい。
【0026】B層およびC層の組成および機能は特に限
定されないが、例えば、B層は、A層と基材フィルムと
の密着性を向上させるためのウレタン系のアンカーコー
ト剤からなるアンカー層であってもよい。このようなア
ンカー層からなるB層は、A層が高水素結合性樹脂を含
む場合、特に無機層状化合物と高水素結合性樹脂とから
なる樹脂組成物の層である場合に好適である。C層は、
帯電防止機能、赤外線遮断機能、紫外線遮断機能、抗菌
機能、ヒートシール性などを持つ層であってもよい。ま
た、A層が架橋性の樹脂等からなる層の場合には、C層
は、A層に直接積層されてA層の樹脂を架橋させる機能
を持つ層であってもよい。
【0027】本発明の方法に使用する基材フィルムとし
ては、クラフト紙、上質紙、構造紙、グラシン紙、パー
チメント紙、合成紙、ボール紙、布、不織布、ガラス、
セラミック、金属箔、樹脂からなるフィルムなどが例示
されるが、これらに限定されるものではない。
【0028】基材フィルムに用いられる樹脂としては、
具体的には、ポリエチレン(低密度、高密度)、エチレ
ン/プロピレン共重合体、エチレン/ブテン共重合体、
エチレン/ヘキセン共重合体、エチレン/オクテン共重
合体、ポリプロピレン、エチレン/酢酸ビニル共重合
体、エチレン/メチルメタクリレート共重合体、アイオ
ノマー樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテ
レフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチ
レンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ナイロン−
6、ナイロン−6,6、メタキシレンジアミン/アジピ
ン酸縮重合体、ポリメチルメタクリルイミド等のアミド
系樹脂;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹
脂;ポリスチレン、スチレン/アクリロニトリル共重合
体、スチレン/アクリロニトリル/ブタジエン共重合
体、ポリアクリロニトリル等のスチレン/アクリロニト
リル系樹脂;トリ酢酸セルロース、ジ酢酸セルロース等
の疎水化セルロース系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化
ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、テフロン等のハロ
ゲン含有樹脂;ポリビニルアルコール(PVA)、エチ
レン/ビニルアルコール共重合体、セルロース誘導体等
の水素結合性樹脂;ポリカーボネート樹脂、ポリサルホ
ン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルエー
テルケトン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリメ
チレンオキシド樹脂、液晶樹脂等のエンジニアリングプ
ラスチック系樹脂等が挙げられる。
【0029】樹脂からなる基材フィルムの中でも、延伸
フィルム、特に、引っ張り強度等の強度に優れる2軸延
伸フィルムがより好ましく、2軸延伸ポリアミド、2軸
延伸ポリエチレンテレフタレート、および2軸延伸ポリ
プロピレンからなる群より選ばれる少なくとも一種から
なるフィルムが特に好ましい。
【0030】本発明の方法に使用する多層形成機は、上
記の各層をインラインで形成できるものであれば特に限
定されないが、多色刷印刷機および多層塗工機が好適に
用いられ、中でも多色刷グラビア印刷機が特に好適に使
用される。
【0031】本発明の製造方法は、基材フィルム上に膜
を形成しうる性質を有する有機物および/または無機物
からなる層を含む少なくとも三層を備えるフィルム積層
体の製造方法であるが、前記膜を形成しうる性質を有す
る有機物および/または無機物からなる層としては、高
水素結合性樹脂を含む層や、無機層状化合物と樹脂とを
含む樹脂組成物からなる層が好ましく、無機層状化合物
と高水素結合性樹脂とを含む樹脂組成物からなる層が最
も好ましい。
【0032】上記高水素結合性樹脂とは、架橋性官能基
である水素結合性基またはイオン性基を有する樹脂であ
る。該高水素結合性樹脂中の水素結合性基またはイオン
性基の含有量(両者を含む場合には両者の合計量)は、
通常は20モル%〜60モル%の範囲内であり、好まし
くは30モル%〜50モル%の範囲内である。これら水
素結合性基およびイオン性基の含有量は、核磁気共鳴
(例えば、1 H−NMR、13C−NMR等)によって測
定することができる。
【0033】上記高水素結合性樹脂が有する水素結合性
基とは、水素結合が可能な基であり、具体的には、水酸
基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、燐酸基
などが挙げられる。また、イオン性基とは、イオン結合
が可能な基であり、具体的には、カルボキシレート基、
スルホン酸イオン基、燐酸イオン基、アンモニウム基、
ホスホニウム基などが挙げられる。これら水素結合性基
およびイオン性基の中でも特に好ましいのは、水酸基、
アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、カルボキシ
レート基、スルホン酸イオン基、アンモニウム基などで
ある。
【0034】上記高水素結合性樹脂の具体例としては、
ポリビニルアルコール(PVA)、多糖類、エチレン/
ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリアクリル
酸およびそのエステル類、ポリアクリル酸ナトリウム、
ポリスチレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸ナト
リウム、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミンおよび
その4級アンモニウム塩、ポリビニルチオール、ポリグ
リセリン等が挙げられる。
【0035】上記のPVAとしては、例えば、ビニルア
ルコールと酢酸ビニルとの共重合体であり、酢酸ビニル
重合体の酢酸エステル部分を加水分解ないしエステル交
換(けん化)して得られるポリマー;トリフルオロ酢酸
ビニル重合体、ギ酸ビニル重合体、ピバリン酸ビニル重
合体、tert−ブチルビニルエーテル重合体、トリメ
チルシリルビニルエーテル重合体等をけん化して得られ
るポリマー等が挙げられる。PVAの詳細については、
例えば、ポバール会編の「PVAの世界」(1992
年、(株)高分子刊行会)および「ポバール」(198
1年、(株)高分子刊行会、長野等著)に記載されてい
る。
【0036】PVAのけん化率は、70モル%以上であ
ることが好ましく、85モル%以上であることがより好
ましく、98モル%以上であることが特に好ましく、完
全けん化物であることが最も好ましい。また、PVAの
重合度は、100〜5,000の範囲内であることが好
ましく、200〜3,000の範囲内であることがより
好ましい。また、PVAは、PVAが少量の共重合モノ
マーで変性されてなる変性体(以下、PVAの変性体と
称する)であってもよい。
【0037】上記多糖類とは、種々の単糖類の縮重合に
よって合成される高分子であり、本発明では、該高分子
に化学修飾を施したものも含まれる。かかる多糖類とし
ては、セルロース、セルロース誘導体(ヒドロキシメチ
ルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキ
シメチルセルロースなど)、アミロース、アミロペクチ
ン、プルラン、カードラン、ザンタン、キチン、キトサ
ンなどが挙げられる。
【0038】また、上記のエチレン/ビニルアルコール
共重合体(EVOH)としては、ビニルアルコール分率
が40モル%〜80モル%の範囲内のものが好ましく、
ビニルアルコール分率が45モル%〜75モル%の範囲
内ものが特に好ましい。該EVOHのメルトインデック
ス(MI)は、特に限定されるものではないが、温度1
90℃、荷重2,160gの条件下で、0.1g/10
分〜50g/10分であることが好ましい。EVOH
は、EVOHが少量の共重合モノマーで変性されてなる
変性体(以下、EVOHの変性体と称する)であっても
よい。
【0039】これら樹脂は、一種類のみを用いてもよ
く、二種類以上を組み合せて用いてもよい。これらの樹
脂の中でも、PVAおよびその変性体、多糖類、EVO
Hおよびその変性体が特に好適である。また、例えば特
開平3−93542号公報に記載された分子内にシリル
基を有する化合物の少なくとも一種で変性されたポリビ
ニルアルコール系樹脂も好ましい。
【0040】上記PVAの変性体およびEVOHの変性
体の調製は、PVAやEVOHの製造過程において、P
VAやEVOH、あるいはそれらの製造中間体であるポ
リ酢酸ビニル、酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合
体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリマーを幹ポ
リマーとして、該幹ポリマーに対して、ビニル単量体と
共重合可能な他の不飽和単量体、例えば、エチレン、プ
ロピレン、α−ヘキセン、α−オクテンなどのオレフィ
ン類や、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、(無水)マ
レイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン
酸、およびそのアルキルエステルや塩、ビニルスルホン
酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メ
チルプロパンスルホン酸等のスルホン酸基含有単量体お
よびその塩、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレー
ト、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートや、ト
リメチル−2−(1−(メタ)アクリルアミド−1,1
−ジメチルエチル)アンモニウムクロリド、トリメチル
−3−(1−(メタ)アクリルアミドプロピル)アンモ
ニウムクロリド、1−ビニル−2−エチルイミダゾール
などのカチオン性単量体、スチレン、アルキルビニルエ
ーテル、(メタ)アクリルアミドなどを共重合させるこ
とにより行うことができる。
【0041】これら共重合成分(幹ポリマーと共重合可
能な他の不飽和単量体)の比率は特に限定されるもので
はないが、例えばPVAの変性体においては、ビニルア
ルコール単位に対し、好ましくは50モル%以下、より
好ましくは30モル%以下である。共重合の形態は、ラ
ンダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等の任
意の方法によって得られる各種の形態が許容される。
【0042】PVAの変性体の中でも、PVA成分とポ
リカルボン酸成分とを共重合して得たブロック共重合体
が特に好適に用いられ、該ポリカルボン酸成分がポリメ
タクリル酸であるものが特に好ましい。更に該ブロック
共重合体としては、PVA鎖の片末端にポリアクリル酸
鎖が延長されたようなA−B型ブロック共重合体が特に
好ましく、PVAブロック成分(a)とポリアクリル酸
ブロック成分(b)の重量比(a)/(b)は、50/
50〜95/5が好ましく、60/40〜90/10が
特に好ましい。
【0043】分子内にシリル基を有する化合物の少なく
とも一種で変性された変性ポリビニルアルコール系樹脂
(以下、シリル化PVA系樹脂と称する)を得る方法と
しては、特に限定はないが、常法によって得られたPV
Aあるいは変性ポリ酢酸ビニル等のビニルアルコール系
重合体に、分子内にシリル基を有する化合物を反応さ
せ、シリル基を重合体に導入する方法、あるいはPVA
あるいはその変性体の末端を活性化し、分子内にシリル
基を有する不飽和単量体を重合体末端に導入する方法、
該不飽和単量体をビニルアルコール系重合体分子鎖にグ
ラフト共重合せしめる方法等、各種の変性による方法、
ビニルエステル系単量体と分子内にシリル基を有する不
飽和単量体とから共重合体を得て、これをけん化する方
法、シリル基を有するメルカプタン等の存在下でビニル
エステルを重合し、これをけん化する等、末端にシリル
基を導入する等の各種の方法が有効に用いられる。
【0044】このような各種の方法で得られるシリル基
含有化合物変性PVA系樹脂としては、結果的にその分
子内にシリル基を有するものであればよいが、分子内に
含有されるシリル基がアルコキシル基あるいはアシロキ
シル基およびこれらの加水分解物であるシラノール基ま
たはその塩等の反応性置換基を有しているものが好まし
く、中でもシラノール基である場合が特に好ましい。
【0045】これらのシリル化PVA系樹脂を得るため
に用いられる分子内にシリル基を有する化合物として
は、トリメチルクロルシラン、ジメチルクロルシラン、
メチルトリクロルシラン、ビニルトリクロルシラン、ジ
フェニルジクロルシラン、トリエチルフルオロシラン等
のオルガノハロシラン、トリメチルアセトキシシラン、
ジメチルジアセトキシシラン等のオルガノシリコンエス
テル、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシ
シラン等のオルガノアルコキシシラン、トリメチルシラ
ノール、ジエチルシランジオール等のオルガノシラノー
ル、N−アミエチルトリメトキシシラン等のアミノアル
キルシラン、トリメチルシリコンイソジシアネート等の
オルガノシリコンイソシアネート、その他のものが挙げ
られる。これらシリル化剤による変性度は用いられるシ
リル化剤の種類、量、反応条件によって任意に調節する
ことができる。
【0046】また、ビニルエステル系単量体と分子内に
シリル基を有する不飽和単量体とからの共重合体をけん
化する方法において用いられる該不飽和単量体として
は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ラン等に代表されるようなビニルアルコキシシランやビ
ニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリイソプロポキ
シシラン等に代表されるようなビニルアルコキシシラン
のアルキルあるいはアリル置換体等の多くのビニルシラ
ン系化合物、さらに、これらのアルコキシ基の一部また
は全部をポリエチレングリコール等のポリアルキレング
リコール置換したポリアルキレングリコール化ビニルシ
ラン等が挙げられる。さらには、3−(メタ)アクリル
アミノ−プロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)ア
クリルアミド−プロピルトリエトキシシラン等に代表さ
れるような(メタ)アクリルアミド−アルキルシラン等
も好ましく用いることができる。
【0047】一方、シリル基を有するメルカプタン等の
存在下でビニルエステルを重合した後、けん化し、末端
にシリル基を導入する方法には、3−(トリメトキシシ
リル)−プロピルメルカプタン等のアルコキシシリルア
ルキルメルカプタンが好ましく用いられる。
【0048】上記のシリル化PVA系樹脂における変性
度、すなわち、シリル基の含有量、けん化度等によって
その適性範囲は各々異なるが、本発明の目的であるガス
バリア性に対しては、重要な要因となる。シリル基の含
有量は、通常、重合体中のビニルアルコール単位に対し
シリル基を含む単量体として30モル%以下であり、1
0モル%以下が好ましく、5モル%以下である場合がよ
り好ましく、2モル%以下が特に好ましく用いられる。
下限は特に限定されないが、0.1モル%以上である場
合において効果が特に顕著に発揮される。
【0049】尚、上記シリル化率は、シリル化前のPV
A系樹脂に含まれていた水酸基の量に対する、シリル化
後の導入されたシリル基の割合を示すものである。
【0050】上記シリル化PVA系樹脂は、アルコー
ル、またはアルコール/水の混合溶媒で加熱溶解させる
ことにより、導入されたシリル基の存在によってアルコ
ール系溶媒に溶解する。そして、溶媒に溶解したシリル
化変性PVA系樹脂は、一方で、導入されたシリル基の
一部が脱アルコール反応および脱水反応により反応し
て、架橋する。尚、上記反応には、水の存在が必須であ
り、アルコール/水の混合溶媒を用いることが好まし
い。
【0051】上記高水素結合性樹脂は、勿論それ単独で
用いられてもよいが、共重合可能な他の単量体との共重
合体としたり、混合可能な他の樹脂化合物と併用するこ
とができる。併用可能な樹脂としては、ポリエステル系
樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキ
シ樹脂、メラミン樹脂などを挙げることができる。
【0052】また、高水素結合性樹脂には、その耐水性
を改良する目的で、該高水素結合性樹脂と架橋反応し得
る架橋剤を配合することができる。つまり、耐水性の観
点からは、高水素結合性樹脂の層を構成している高水素
結合性樹脂は、架橋構造を有していることがより好まし
い。架橋剤の配合量に特にはなく、有効量の架橋剤を使
用すればよい。
【0053】上記の架橋剤としては、柔軟性を維持した
ままで高水素結合性樹脂層にボイル性およびレトルト性
等の高レベルの耐水性を付与することができることか
ら、有機金属化合物が特に好適である。ここで用いる有
機金属化合物は、高水素結合性樹脂と架橋反応して配位
結合、水素結合、イオン結合などを形成し得る化合物で
ある。
【0054】上記有機金属化合物の好適な例としては、
前述の各種金属アルコキシドも含めて、チタン有機化合
物、ジルコニウム有機化合物、アルミニウム有機化合
物、および珪素有機化合物などが挙げられる。上記有機
金属化合物の中でも、キレート化合物、例えばアセチル
アセトナートのようなキレート性の配位子を有し、高水
素結合性樹脂と配位結合する有機金属化合物が、架橋反
応性が適度であることから好ましい。また、チタンキレ
ート化合物は、耐水性の向上に特に優れた効果を発揮す
る。
【0055】また、架橋剤として上記珪素有機化合物で
あるシランカップリング剤も好ましく用いることができ
る。使用することができるシランカップリング剤として
は、有機反応性基含有オルガノアルコキシシラン、特
に、エポキシ基を有するオルガノアルコキシシランが好
適である。具体的には、例えばγ−グリシドキシプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチ
ルジエトキシシラン、およびβ−(3,4−エポキシシ
クロヘキシル)エチルトリメトキシシランがある。この
ようなシランカップリング剤は1種類のみを用いてもよ
く、また2種類以上を組み合せて用いてもよい。上記金
属アルコキシドと併用することも好ましい。
【0056】特開平8−99390号公報に記載の方法
に準じた方法、すなわち、前述の有機金属化合物、高水
素結合性樹脂、ゾル−ゲル法触媒、酸、溶媒などを混合
して塗工液を調製し、該塗工液中で重縮合反応を一部進
行させた後、これを基材フィルムに塗工し、乾燥させ、
該乾燥工程で更に重縮合反応を進行させる方法により有
効な架橋を行うことができる。
【0057】更には、ホルムアルデヒド、アセトアルデ
ヒド、グリオギザールなどのアルデヒド系架橋剤、水溶
性多官能エポキシなどエポキシ系架橋剤、多官能イソシ
アネート化合物などのイソシアネート系架橋剤、メチロ
ール化メラミンなどのメラミン系架橋剤などの有機架橋
剤も好適に用いられる。
【0058】また、上記高水素結合性樹脂は、上記架橋
剤に加えて、紫外線吸収剤、着色剤、酸化防止剤、界面
活性剤などの種々の添加剤を含んでいてもよい。前記界
面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例
えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、
両性イオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤が
挙げられる。
【0059】アニオン性界面活性剤としては、脂肪族モ
ノカルボン酸塩、N−アシロイルグルタミン酸塩等のカ
ルボン酸型、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ナフタレ
ンスルホン酸塩−ホルムアルデヒド縮合物、スルホこは
く酸ジアルキルエステル等のスルホン酸型、硫酸アルキ
ル塩、硫酸アルキルポリオキシエチレン塩等の硫酸エス
テル型、リン酸アルキル塩等のリン酸エステル型、ホウ
酸アルキル塩等のホウ酸エステル型等の炭化水素系アニ
オン性界面活性剤、パーフルオロデカン酸ナトリウム、
パーフルオロオクチルスルホン酸ナトリウム等のフッ素
系アニオン性界面活性剤、ポリジメチルシロキサン基と
カルボン酸金属塩とを有する重合体等の陰イオン性基を
有するシリコーン系アニオン性界面活性剤が挙げられ
る。
【0060】カチオン性界面活性剤としては、例えば、
アルキルアミン塩等のアミン塩型、アルキルトリメチル
アンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、
アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩等の第四級ア
ンモニウム塩型等が挙げられる。
【0061】両性イオン性界面活性剤としては、N,N
−ジメチル−N−アルキルアミノ酢酸ベタイン等のカル
ボキシベタイン型、1−アルキル−1−ヒドロキシエチ
ル−1−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン等
のグリシン型が挙げられる。
【0062】非イオン性界面活性剤としては、グリセリ
ン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖
脂肪酸エステル等のエステル型、ポリジメチルシロキサ
ン基とアルキレンオキシド付加物の縮重合体、ポリシロ
キサン−ポリオキシアルキレン共重合体、ポリオキシエ
チレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン
アルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロ
ピレンブロックポリマー等のエーテル型、ポリエチレン
グリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビ
タン脂肪酸エステル等のエステルエーテル型、脂肪族ア
ルカノールアミド等のアルカノールアミド型、パーフル
オロデカン酸−ジグリセリンエステルやパーフルオロア
ルキルアルキレンオキサイド化合物等のフッ素型が挙げ
られる。
【0063】上記界面活性剤の中では、特に、炭素数6
〜24のアルキル鎖を有するカルボン酸のアルカリ金属
塩、ポリジメチルシロキサン−ポリオキシエチレン共重
合体等のエーテル型の非イオン性界面活性剤(シリコー
ン系非イオン性界面活性剤)や、パーフルオロアルキル
エチレンオキサイド化合物等のフッ素型非イオン性界面
活性剤(フッ素系非イオン性界面活性剤)が好ましい。
【0064】界面活性剤の配合量は、高水素結合性樹脂
層とこれを積層する層との密着性の観点から、前記高水
素結合性樹脂中の含有量が0.001重量%〜5重量%
となるように設定することが好ましく、0.003重量
%〜0.5重量%となるように設定することがより好ま
しく、0.005重量%〜0.1重量%となるように設
定することが特に好ましい。
【0065】高水素結合性樹脂が界面活性剤を含むこと
により、例えば、該高水素結合性樹脂を含む塗工液の被
塗工層に対する親和性(濡れ性)が改善されるので、該
塗工液を被塗工層上に斑なく塗工することができる。し
かも、本発明の方法において、界面活性剤を含有する高
水素結合性樹脂層上に更に塗工液を塗工して層を形成す
る場合には、通常、界面活性剤が高水素結合性樹脂層の
表面にブリードする間もなく、該層上に塗工液が塗工さ
れるので、高水素結合性樹脂層とその上に形成される層
との密着強度が高くなる。
【0066】上記高水素結合性樹脂からなる層の形成
は、該高水素結合性樹脂と溶媒や分散媒等の液体とを含
む塗工液を塗工することによって行うことが望ましい。
【0067】前記膜を形成しうる性質を有する有機物お
よび/または無機物からなる層が、無機層状化合物と樹
脂と含有する樹脂組成物からなる場合には、該樹脂組成
物は、フィルム積層体にガスバリア性を付与するガスバ
リア材であり、少なくとも無機層状化合物と樹脂とから
調製される。
【0068】上記の無機層状化合物とは、図2に示す単
位結晶層31…が互いに積み重なって層状構造を有して
いる無機化合物である。本発明において、上記無機層状
化合物は、膨潤および/または劈開した状態において、
平均粒径が5μm以下であることが好ましく、ガスバリ
ア性の観点からはアスペクト比が50〜5,000の範
囲内にあることが好ましく、200〜3,000の範囲
内にあることがより好ましい。アスペクト比が50未満
であると、十分なガスバリア性を達成することが難し
い。一方、アスペクト比が5,000より大きいもの
は、その製造が技術的に難しく、高価である。また、平
均粒径が3μm以下であれば、樹脂組成物層の透明性は
良好となり、特に、平均粒径が1μm以下のものは、フ
ィルムの透明性が特に重視される用途に用いられるフィ
ルム積層体の製造において好ましく用いられる。
【0069】上記無機層状化合物の平均粒径は、該化合
物を溶媒中で膨潤および/または劈開させた状態での回
折/散乱法により求められる値である。
【0070】また、無機層状化合物のアスペクト比と
は、粉末X線回折法により求められる該無機層状化合物
の単位結晶層31の厚みに対する前記平均粒径の比であ
る。
【0071】本発明の方法には、例えば、特開平7−2
47374号公報に記載された無機層状化合物を使用す
ることができる。上記無機層状化合物の具体例として
は、例えば、グラファイト、リン酸塩系誘導体型化合物
(リン酸ジルコニウム系化合物等)、カルコゲン化物、
粘土鉱物等を挙げることができる。上記カルコゲン化物
とは、IV族(Ti,Zr,Hf)、V族(V,Nb,
Ta)およびVI族(Mo,W)のジカルコゲン化物で
あって、化学式MX2 (但し、式中、Mは上記IV族お
よびVI族の元素を表し、Xはカルコゲン(S,Se,
Te)を表す) で示される化合物である。無機層状化合
物は、一種類のみを用いてもよく、二種類以上を組み合
せて用いてもよい。
【0072】無機層状化合物の中でも、大きなアスペク
ト比を容易に与える点から、溶媒中で膨潤および/また
は劈開する性質を有するものが好ましく、溶媒中で膨潤
しかつ劈開する性質を有するものが特に好ましい。無機
層状化合物の溶媒中での膨潤性および劈開性は、後述す
る膨潤性試験並びに劈開性試験により評価することがで
きる。
【0073】〔膨潤性試験〕100mlメスシリンダー
に溶媒100mlを入れ、これに無機層状化合物2gを
徐々に加える。23℃にて24時間静置後、上記メスシ
リンダー内における無機層状化合物分散層と上澄みとの
界面の目盛から無機層状化合物分散層の体積(ml)を
読む。この数値(膨潤値)が大きい程、膨潤性が高いこ
とを示す。
【0074】〔劈開性試験〕無機層状化合物30gを溶
媒1,500mlに徐々に加え、分散機(浅田鉄工株式
会社製、商品名:デスパMH−L、羽根径52mm、回
転数3,100rpm、容器容量3L、底面−羽根間の
距離28mm)にて、周速8.5m/分、23℃で90
分間分散させた後、この分散液100mlをメスシリン
ダーに採取する。60分静置後、上記メスシリンダー内
における無機層状化合物分散層と上澄みとの界面の目盛
から無機層状化合物分散層の体積(ml)を読む。この
数値(劈開値)が大きい程、劈開性が高いことを示す。
【0075】上記膨潤性測定試験並びに劈開性測定試験
において用いられる溶媒は、無機層状化合物の密度より
小さい密度を有する溶媒である。上記無機層状化合物が
天然の膨潤性粘土鉱物である場合、溶媒として水を用い
ることが好ましい。
【0076】無機層状化合物の膨潤性は、上述した膨潤
性測定試験において、無機層状化合物分散層の体積(す
なわち、無機層状化合物2gの膨潤後の体積)が約5m
l以上(すなわち、膨潤値5以上)であることが好まし
く、約20ml以上(すなわち、膨潤値20以上)であ
ることがより好ましい。
【0077】一方、無機層状化合物の劈開性は、上述し
た劈開性試験において、無機層状化合物分散層の体積
(すなわち、上記分散液100ml中に含まれる無機層
状化合物(約2gに相当)の膨潤後の体積)が約5ml
以上(すなわち、劈開値5以上)であることが好まし
く、約20ml以上(すなわち、劈開値20以上)であ
ることがより好ましい。
【0078】無機層状化合物のうち、分散媒中で膨潤お
よび/または劈開する無機層状化合物としては、かかる
性質を有する粘土鉱物が特に好ましく用いられる。該粘
土鉱物は、一般に、(i) シリカの四面体層の上部に、ア
ルミニウムやマグネシウム等を中心金属とした八面体層
を有する2層構造を有するタイプと、(ii)シリカの四面
体層が、アルミニウムやマグネシウム等を中心金属とし
た八面体層を両側から狭んでなる3層構造を有するタイ
プに分類される。前者(i) の2層構造タイプとしては、
カオリナイト族およびアンチゴライト族等の粘土鉱物が
挙げられる。後者(ii)の3層構造タイプとしては、層間
カチオンの数によってスメクタイト族、バーミキュライ
ト族、およびマイカ族等の粘土鉱物が挙げられる。
【0079】これらの粘土鉱物としては、具体的には、
カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイ
ト、アンチゴライト、クリソタイル、パイロフィライ
ト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイ
ト、サポナイト、ソーコナイト、スチブンサイト、ヘク
トライト、テトラシリリックマイカ、ナトリウムテニオ
ライト、白雲母、マーガライト、タルク、バーミキュラ
イト、金雲母、ザンソフィライト、緑泥石等が挙げられ
る。また、これら粘土鉱物を有機物で処理したもの(以
下、有機修飾粘土鉱物と称する場合がある)も無機層状
化合物として用いることができる。
【0080】上記粘土鉱物の中でも、スメクタイト族、
バーミキュライト族、およびマイカ族の粘土鉱物が好ま
しく、スメクタイト族が特に好ましい。スメクタイト族
の好ましい粘土鉱物としては、例えば、モンモリロナイ
ト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ソー
コナイト、スチブンサイト、ヘクトライトが挙げられ
る。
【0081】無機層状化合物を膨潤および/または劈開
させる分散媒としては、無機層状化合物が天然の膨潤性
粘土鉱物の場合には、水、アルコール類(メタノール、
エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレ
ングリコール、ジエチレングリコールなど)、ジメチル
ホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン等が挙
げられ、その中でも、水やアルコール類が好ましい。ま
た、無機層状化合物が有機修飾粘土鉱物の場合には、上
記分散媒としては、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トル
エン、キシレンなど)、エーテル類(ジエチルエーテ
ル、テトラヒドロフランなど)、ケトン類(アセトン、
メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、
脂肪族炭化水素類(n−ペンタン、n−ヘキサン、n−
オクタンなど)、ハロゲン化炭化水素類(クロロベンゼ
ン、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1,
2−ジクロロエタン、パークロロエチレンなど)、酢酸
エチル、メタクリル酸メチル(MMA)、フタル酸ジオ
クチル(DOP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルス
ルホキシド、メチルセロソルブ、シリコーンオイルなど
が挙げられる。
【0082】上記の樹脂組成物に用いられる樹脂として
は、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹
脂、アミド系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、
アクリロニトリル系樹脂、セルロース系樹脂、ハロゲン
含有樹脂、水素結合性樹脂、液晶樹脂、ポリフェニレン
オキシド樹脂、ポリメチレンオキシド樹脂、ポリカーボ
ネート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン
樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂などが挙げられ
るが、これらに限定されるものではない。これら樹脂
は、一種類のみを用いてもよく、二種類以上を組み合せ
て用いてもよい。
【0083】特に好ましい樹脂としては、前述の高水素
結合性樹脂が挙げられる。高水素結合性樹脂の樹脂の中
でも、PVAおよびその変性体、多糖類、EVOHおよ
びその変性体が特に好適である。PVA変性体およびE
VOH変性体の詳細については前記と同様である。高水
素結合性樹脂は、もちろんそれ単独で用いられてもよい
が、共重合可能な他の単量体との共重合体としたり、混
合可能な他の樹脂化合物と併用することができる。併用
可能な樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリウレタ
ン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ樹脂、メラミン
樹脂などを挙げることができる。
【0084】上記樹脂組成物中における無機層状化合物
と樹脂との配合割合は、特に限定されるものではない
が、樹脂に対する無機層状化合物の重量比(無機層状化
合物/樹脂)が1/100〜100/1の範囲内、更に
は、1/20〜10/1の範囲内であることが好まし
く、1/20〜2/1の範囲内であることがより好まし
い。無機層状化合物の重量比が高いほど形成される樹脂
組成物層3のガスバリア性は優れるが、耐屈曲性の点を
考慮すると、上記重量比は1/20〜2/1の範囲内が
好ましい。
【0085】また、上記の樹脂が高水素結合性樹脂であ
る場合、上記樹脂組成物には、その耐水性を改良する目
的で、高水素結合性樹脂と架橋反応し得る架橋剤を配合
することができる。つまり、上記樹脂組成物層3におけ
る樹脂32は、架橋構造を有していることが、耐水性の
観点からより好ましい。架橋剤としては、前記と同様の
ものが使用可能である。
【0086】また、上記樹脂組成物は、上記架橋剤に加
えて、紫外線吸収剤、着色剤、酸化防止剤、界面活性剤
などの種々の添加剤を含んでいてもよい。界面活性剤と
しては、前記と同様のものが使用可能である。
【0087】界面活性剤の配合量は、樹脂組成物層3と
これを積層する層との密着性の観点から、前記樹脂組成
物中の含有量が0.001重量%〜5重量%となるよう
に設定することが好ましく、0.003重量%〜0.5
重量%となるように設定することがより好ましく、0.
005重量%〜0.1重量%となるように設定すること
が特に好ましい。
【0088】上記樹脂組成物が界面活性剤を含むことに
より、例えば、該樹脂組成物を含む塗工液の被塗工層と
の親和性(濡れ性)が改善されるので、被塗工層と形成
される樹脂組成物層3との密着強度を高くすることがで
きる。しかも、本発明の方法において、界面活性剤を含
有する樹脂組成物層3上に更に塗工液を塗工して層を形
成する場合には、通常、界面活性剤が樹脂組成物層3の
表面にブリードする間もなく、該層上に上記塗工液が塗
工されるので、樹脂組成物層3とその上に形成される層
との密着強度が高くなる。
【0089】無機層状化合物と樹脂とを含有する樹脂組
成物層3の形成は、該樹脂組成物と溶媒や分散媒等の液
体とを含む塗工液を塗工することによって行うことが望
ましい。
【0090】上記の液体としては、得られるフィルム積
層体のガスバリア性の観点から、上述した無機層状化合
物を膨潤および/または劈開させる分散媒が好ましい。
該分散媒としては、例えば前掲の分散媒を用いることが
できる。
【0091】上記塗工液中の樹脂および無機層状化合物
の濃度は、両者の合計で、通常、0.1重量%〜70重
量%の範囲内であり、1重量%〜15重量%の範囲内で
あることが好ましく、4重量%〜10重量%の範囲内で
あることがより好ましい。また、塗工液の表面張力は、
塗工性の観点から、50mN/m以下であることが好ま
しく、40mN/m以下であることがより好ましい。
【0092】また、上記樹脂組成物が架橋剤、特に金属
有機化合物を含む場合、該架橋剤は、樹脂と無機層状化
合物とを混合した後で添加、混合することが好ましい
が、樹脂あるいは無機層状化合物と同時に添加してもよ
く、あるいは、予め、上記溶媒あるいは分散媒に溶解あ
るいは分散させてもよい。上記架橋剤が金属有機化合物
を含む場合、該架橋剤は予めアルコール類に溶解させる
ことが好ましい。
【0093】無機層状化合物と樹脂とを上記の液体に分
散させる際には、無機層状化合物と樹脂とをそのまま、
あるいは、互いに熱混練した後、上記の液体に加えて分
散させてもよいが、両者の配合時の均一性ないし操作の
容易性の観点から、例えば、樹脂を溶媒に溶解させて
なる溶液と、無機層状化合物を液体中で予め膨潤および
/または劈開させてなる分散液とを混合する方法、無
機層状化合物を液体中で予め膨潤および/または劈開さ
せてなる分散液を樹脂に添加し、樹脂を上記分散液に溶
解させる方法、および樹脂を溶媒に溶解させてなる溶
液に無機層状化合物を添加し、上記無機層状化合物を上
記の溶液で膨潤および/または劈開させて分散液とする
方法が好適に用いられる。
【0094】上記塗工液としては、上記の少なくとも無
機層状化合物と樹脂とからなる樹脂組成物を溶媒や分散
媒等の液体中に高圧分散させた液が好適に用いられる。
該高圧分散には、市販の高圧分散装置を用いることがで
きる。
【0095】上記の無機層状化合物と樹脂とは、直接、
上記の液体中に高圧分散させてもよいが、上記した方法
により無機層状化合物と樹脂とを分散媒中に軽く分散さ
せて混合液を得た後、該混合液を高圧分散装置を用いて
処理することが無機層状化合物の分散性の観点から好ま
しい。
【0096】上記の高圧分散装置としては、例えば、Mi
crofluidics Corporation 社製超高圧ホモジナイザー
(商品名:マイクロフルイダイザー)あるいはナノマイ
ザー社製ナノマイザーがあり、他にもマントンゴーリン
型高圧分散装置、例えばイズミフードマシナリ製ホモゲ
ナイザー等が挙げられる。
【0097】上記無機層状化合物と樹脂とを含む混合液
を、高圧分散処理、特に、100kgf/cm2 以上の
圧力条件で高圧分散処理することにより、上記無機層状
化合物と樹脂とが均一に分散された塗工液を得ることが
できる。
【0098】基材フィルム表面には、コロナ処理、フレ
ームプラズマ処理、オゾン処理、電子線処理、アンカー
処理等の表面処理を施してもよい。また、これらの処理
は、各層の形成と共にインラインで行うことができる。
【0099】基材フィルム上に樹脂組成物層3を形成す
る場合には、基材フィルム表面にアンカー処理をする、
すなわち、アンカー層を形成することが好ましい。した
がって、樹脂組成物を含む塗工液を基材フィルムに塗工
する場合には、塗工液を基材フィルムに塗布する前に、
基材フィルム上にアンカー層を形成し、該アンカー層上
に塗工液を塗布することが好ましい。このようにアンカ
ー層を基材フィルム上に形成することで、樹脂組成物層
3と基材フィルムとの接着性を向上させることができ
る。
【0100】基材フィルム表面にアンカー処理をする場
合、つまり基材フィルム上にアンカー層を形成する場
合、上記アンカー層の素材としては、その上に形成する
層と基材フィルムとの接着性を向上させることができる
ものであれば特に限定されないが、例えば、ポリエチレ
ンイミン系、アルキルチタネート系、ポリブタジエン
系、ウレタン系等が挙げられる。上記アンカー層の素材
としては、耐水性の面より、イソシアネート化合物と活
性水素化合物とから調製されたウレタン系が好ましい。
【0101】イソシアネート化合物には、トリレンジイ
ソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタン
ジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネ
ート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(H
DI)、4,4’−メチレンビスシクロヘキシルイソシ
アネート(H12MDI)、イソホロンジイソシアネー
ト(IPDI)等がある。
【0102】また、活性水素化合物としては、イソシア
ネート化合物と結合する活性水素基を有するものであれ
ばよく、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリ
コール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオ
ール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコ
ール、トリメチロールプロパン等の低分子量ポリオー
ル、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレング
リコール、エチレンオキシド/プロピレンオキシド共重
合体、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のポリ
エーテルポリオール、ポリ−β−メチル−δ−バレロラ
クトン、ポリカプロラクトン、ジオールおよび二塩基酸
から得られるポリエステル等のポリエステルポリオール
などが挙げられる。
【0103】上記活性水素化合物においては、特に、低
分子量ポリオールが好ましく、更に、低分子量ポリオー
ル中のジオールが望ましい。ここで、ジオールとは、エ
チレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレ
ングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキ
サンジオール、ネオペンチルグリコール等である。ま
た、二塩基酸としては、アジピン酸、アゼライン酸、セ
バシン酸、イソフタル酸、テレフタル酸等である。その
他のポリオールとして、ひまし油、液状ポリブタジエ
ン、エポキシ樹脂、ポリカーボネートジオール、アクリ
ルポリオール、ネオプレン等の活性水素化合物がある。
【0104】イソシアネート化合物と活性水素化合物の
混合比は、特に限定されないが、イソシアネート基と活
性水素基(例えば−OH、−NH−、−COOH)との
当量関係を考慮して混合比を決定するのが好ましい。例
えば、イソシアネート基のモル数(AN)と活性水素化
合物の活性水素基のモル数(BN)との比R(R=AN
/BN)が、0.001以上、10以下の範囲内になる
ように用いることが好ましい。このモル数の比Rは、
0.01以上、1以下の範囲内であることが更に好まし
い。モル数の比Rが0.001未満では接着強度に劣
り、モル数の比Rが10を超えると粘着性が高すぎて、
ブロッキングが問題となる。イソシアネート基および活
性水素基の各モル数は、1 H−NMR、13C−NMRに
より定量することができる。
【0105】アンカー層を基材フィルム上あるいは他の
層上に積層する方法としては、特に限定されないが、イ
ソシアネート化合物と活性水素化合物とを含むアンカー
コート剤を溶媒に溶解してなるアンカーコート剤溶液を
用いたコーティング法が好ましい。
【0106】また、アンカーコート剤溶液における溶剤
は、主として有機溶媒であり、その例として、アルコー
ル類、脂肪族炭化水素類、脂環族炭化水素類、芳香族炭
化水素類、エステル類、ケトン類、エーテル類、ハロゲ
ン化炭化水素類、これらの混合物が挙げられる。
【0107】アンカーコート剤溶液を膜状に塗布した塗
工厚みは特に限定されないが、乾燥厚みが0.01μm
〜5μmとなるように設定されるのが好ましい。塗工厚
みが大きいほどヒートシール強度には優れるが、耐ゲル
ボフレックス性(フィルム積層体のねじれによるピンホ
ールの形成を防止)には劣る。よって、上記塗工厚み
は、より好ましくは0.03μm〜2.0μmであり、
更に好ましくは0.05μm〜1.0μmである。
【0108】本発明の方法に用いる多層形成機として
は、多色の印刷インキを用いて多色刷を行うために通常
使用される多色刷印刷機、および、多数の塗工液を塗工
して多層の塗工膜を形成するために通常使用される多層
塗工機が好適に用いられる。多色刷印刷機あるいは多層
塗工機を用いて本発明の方法を実施するためには、膜を
形成しうる性質を有する有機物および/または無機物か
らなる層およびその他の層の形成方法として、層の構成
成分(またはその前駆体)を含む塗工液を塗工する方法
を用いればよい。
【0109】本発明の方法としては、膜を形成しうる性
質を有する有機物および/または無機物からなる層(A
層)の構成成分(またはその前駆体)を含む塗工液、お
よびその他の層(B層、C層)の構成成分(またはその
前駆体)を含む塗工液をそれぞれ調整し、多層形成機を
用いて適宜の順序で各塗工液を基材フィルムに塗布し、
積層していく方法が挙げられる。
【0110】更に、膜を形成しうる性質を有する有機物
および/または無機物からなる層(A層)およびその他
の層の構成成分(またはその前駆体)を含む塗工液は、
2回に分けて塗工してもよい。これにより、塗工時に塗
膜表面にピンホールが発生することを防止することがで
きる。
【0111】上記塗工液の塗工方法としては、ダイレク
トグラビア法、リバースグラビア法、マイクログラビア
法等のグラビア法;2本ロールビートコート法、ボトム
フィード3本リバースコート法等のロールコーティング
法;ドクターナイフ法;ダイコート法;ディップコート
法;バーコーティング法;あるいはこれらを組み合わせ
たコーティング法などを用いることができる。
【0112】上記塗工方法のうち、ダイレクトグラビア
法およびリバースグラビア法が好ましい。特に、操作の
簡易性の面からはダイレクトグラビア法が好ましく、透
明性を有するA層を含む3層以上を備えたフィルム積層
体が得られることを考慮すると、グラビアロールとバッ
キングロールとを用いて該グラビアロールとバッキング
ロールとを同方向に回転させて塗工するリバースグラビ
ア法が好ましい。すなわち、本発明の方法では、上記塗
工液の塗工をリバースグラビア法を用いて行うことによ
り、透明性に優れたフィルム積層体を容易かつ生産性良
く製造することができる。
【0113】また、多色刷印刷機を用いた場合の塗工方
法としては、ダイレクトグラビア法、オフセットグラビ
ア法、フレキソ法、インクジェット法などを用いること
ができる。
【0114】以下に、本発明の方法において、多色刷グ
ラビア印刷機を用いて、膜を形成しうる性質を有する有
機物および/または無機物からなる層およびその他の層
の構成成分(またはその前駆体)を含む塗工液を基材フ
ィルム上にグラビア塗工することによって、膜を形成し
うる性質を有する有機物および/または無機物からなる
層を少なくとも一層含む少なくとも三層をインラインで
順次に形成する場合について、図1を用いて具体的に説
明する。
【0115】多色刷グラビア印刷機は、一層を形成する
ためのユニットを少なくとも3つ備えるものであり、各
ユニットは、1つ当たり、図1に示すように、塗工液2
3を基材フィルム24上にグラビア塗工するためのグラ
ビアロール21およびバッキングロール22と、塗工液
23を乾燥するためのオーブン25とを有している。上
記各ユニットは、直列に接続されて1つの製造ラインを
形成しており、各ユニット間は、前段側のユニットのオ
ーブン25から送り出された基材フィルム24が後段側
のガイドロール27(後述する)に誘導されるように接
続されている。これにより、A層を少なくとも一層有す
る少なくとも三層の積層が可能となる。
【0116】また、多色刷グラビア印刷機には、塗工液
23をグラビアロール21に供給するための塗工液槽2
6、およびグラビアロール21に供給された余剰の塗工
液23を除去するためのドクターブレード30が備えら
れている。更に、多色刷グラビア印刷機には、基材フィ
ルム24を搬送するためのガイドロール27〜29が備
えられている。
【0117】グラビアロール21は、表面に凹凸の刻印
がなされたロールであり、特に限定されるものではない
が、具体的には、例えば、斜線ロール、格子ロール、ピ
ラミッドロール等が挙げられる。また、バッキングロー
ル22は、上記グラビアロール21と対向して設けられ
たプレーンロールであり、一般的にゴム被覆して用いら
れる。上記グラビアロール21とバッキングロール22
とを用いた塗工液の塗工方法としては、例えばダイレク
トグラビア法を適用することができる。
【0118】この場合、上記グラビアロール21の回転
速度は、50m/分〜1000m/分の範囲内であるこ
とが、フィルム積層体の生産性の観点から好ましく、1
00m/分〜600m/分の範囲内であることがより好
ましい。一方、上記バッキングロール22の回転速度
は、50m/分〜1000m/分の範囲内であること
が、フィルム積層体の生産性の観点から好ましく、10
0m/分〜600m/分の範囲内であることがより好ま
しい。
【0119】上記塗工液23の塗工量および得られる塗
工膜の乾燥膜厚(すなわち、A層および/またはその他
の層の膜厚)は、上記グラビアロール21の線数(すな
わち、該グラビアロール1インチ当たりの刻印数)並び
に上記塗工液23の濃度等により変更が可能である。従
って、所望する膜厚を得るためには、上記グラビアロー
ル21の線数は、100〜500の範囲内であることが
好ましく、150〜300の範囲内であることがより好
ましい。
【0120】また、上記塗工液23の塗工速度を上げる
ためには、塗工液槽26中で低速回転する図示しない金
属製ロール、樹脂製ロール、木製ロール等を用いてグラ
ビアロール21に塗工液23を供給する方法を採用する
こともできる。
【0121】本発明では、グラビア模様を減少させ、上
記A層および/またはその他の層の膜厚を均一にすると
共に、平滑な塗膜表面を形成させるために、上記塗工液
23の塗工直後の塗工液表面にスムーザーとしてのスム
ージングロール(図示しない)を接触させて塗工液23
を均すことがより好ましい。上記塗工液23の塗工面に
スムージングロールを接触させることで、上記の各層の
表面を平滑にし、結果としてフィルム積層体の透明性な
どの外観を向上させることができる。
【0122】上記スムージングロールは、上記塗工液2
3との離型性に優れた材料からなることが好ましく、例
えば、金属等により形成される。尚、上記スムージング
ロールの大きさは、特に限定されるものではない。
【0123】上記スムージングロールの回転速度は、特
に限定されるものではなく、該スムージングロールの大
きさおよび上記塗工液23の塗工速度(ライン速度)に
もよるが、0m/分〜1000m/分の範囲内であるこ
とが好ましく、100m/分〜600m/分の範囲内で
あることがより好ましい。
【0124】上記塗工液23の基材フィルム24に対す
る塗工厚みは、該塗工液を塗工する基材フィルム24の
種類(つまり、塗工液23から形成される層の下層とな
る層の種類)、目的とするバリア性能、用途等に応じて
適宜設定すればよく、特に限定されるものではないが、
乾燥の容易さおよび密着性の観点から、乾燥厚みが10
μm以下となるように設定することが好ましく、得られ
る層の透明性が著しく高くなることから、1μm以下と
なるように設定することが好ましい。上記A層の膜厚の
下限は、特に限定されるものではないが、例えば、A層
が上記無機層状化合物を含む場合、特にA層が上記無機
層状化合物と樹脂とを含む場合には、上記無機層状化合
物の単位厚さとの関係上、良好なガスバリア性を得るた
めに、1nm以上であることが好ましい。
【0125】上記の各層は、上記塗工液23を上記基材
フィルム24上に塗工してなる塗工膜から、塗工液の調
製に用いた溶媒や分散媒等の液体を除去することにより
形成される。これにより、基材フィルム24上にA層を
少なくとも一層含む三層以上の層が形成されたフィルム
積層体が得られる。
【0126】上記の液体を除去する方法としては、特に
限定されるものではないが、オーブン25による熱風乾
燥等の加熱処理を行う方法が、フィルム積層体の耐水
性、すなわち、耐水環境テスト後のガスバリア性を向上
させることができることから好ましい。上記加熱処理
は、樹脂が高水素結合性樹脂である場合に、耐水性の改
良において特に優れた効果を発揮する。なお、加熱処理
の方法としては、特に限定されるものではなく、熱ロー
ル接触、熱媒接触(空気、オイル等)、赤外線加熱、マ
イクロ波加熱など種々の方法を適用することができる。
【0127】オーブン25による乾燥温度は、塗工液の
調製に用いた溶媒や分散媒等の液体の種類、塗工液中の
樹脂の種類、基材フィルム24の種類等に応じて適宜選
択すればよいが、基材フィルム24がポリエチレンテレ
フタレートや2軸延伸ポリアミドからなる場合には、乾
燥効率を向上させるために、110℃以上、220℃以
下にすることが好ましい。また、基材フィルム24が2
軸延伸ポリプロプレンからなる場合には、塗工速度にも
よるが、乾燥温度を高温にすると基材フィルム24が収
縮するため、乾燥温度は、80℃以上、120℃以下に
することが好ましい。
【0128】オーブン25による乾燥時間は、特に限定
されないが、1秒以上、100分以下が好ましい。オー
ブン25における熱風の風量は、乾燥効率を向上させる
ために、25m3 /分以上が好ましく、60m3 /分以
上がより好ましく、90m3/分以上が更に好ましい。
【0129】以上のように、本発明の方法によれば、膜
を形成しうる性質を有する有機物および/または無機物
からなる層を少なくとも一層含む少なくとも三層が基材
フィルムに積層されてなるフィルム積層体を、高い生産
性を以って低コストで得ることができる。
【0130】また、本発明の方法によれば、コスト面以
外にも、以下のような優れた効果が得られる。
【0131】例えば、架橋剤によって架橋するような樹
脂を含む塗工液を用いて樹脂層(または樹脂組成物層)
を形成する場合、塗工液に予め架橋剤が配合されている
と、その塗工前あるいは塗工中に架橋が進行して塗工液
の円滑な塗布が困難になることがある。これに対し、本
発明の方法において、架橋剤を含有しない樹脂層形成用
の塗工液と、架橋剤を含有する他の層を形成するための
塗工液を用意し、樹脂層形成後、速やかに他の層を形成
するための塗工液を樹脂層上に塗布することにより、他
の層を形成するための塗工液に含まれていた架橋剤の作
用によって樹脂層を架橋させることができる。その結
果、架橋構造を有する樹脂層を容易に形成させることが
できる。
【0132】また、高水素結合性樹脂を含有する樹脂組
成物からなる第1の層と、ウレタン系樹脂(ポリオール
とイソシアネート化合物の2液配合型)からなる第2の
層とを基材フィルム上に形成させる場合に、本発明の方
法によれば、基材フィルム上に第1の層を形成した後、
極めて短時間(数10秒以内)の間に第2の層を形成す
るための塗工液(ポリオールとイソシアネート化合物)
を第1の層にオーバーコートすることができるため、第
1の層中に含まれる高水素結合性樹脂と第2の層のため
の塗工液中に含まれるイソシアネート化合物とを反応さ
せることが可能となる。
【0133】本発明の方法により得られたフィルム積層
体は、上記A層の材質を前述のように適宜選択すること
により、後述する酸素透過度の測定方法に従った酸素透
過度が、10(mL/atm・m2 ・day)以下、好
ましくは1(mL/atm・m2 ・day)以下、より
好ましくは0.1(mL/atm・m2 ・day)以
下、更に好ましくは0.05(mL/atm・m2 ・d
ay)以下という優れた酸素遮断性(ガスバリア性)を
有するものとすることことができる。
【0134】本発明の方法により得られたフィルム積層
体は、そのガスバリア性に応じて、例えば、菓子(洋菓
子)、味噌、漬物、蒟蒻、竹輪、蒲鉾、その他、水産加
工品、ミートボール、ハンバーグ、ハム・ソーセージ等
の食品をはじめとして、農薬・肥料、化粧品、芳香剤、
輸液パック、半導体包装、酸化性薬品包装、精密材料包
装等、医療、電子、化学、機械等の包装材等の用途に用
いることができる。
【0135】
【実施例】以下、実施例および比較例により、本発明を
更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定
されるものではない。
【0136】各種物性の測定方法を以下に記す。
【0137】〔厚み測定〕0.5μm以上の厚みは、市
販のデジタル厚み計(接触式厚み計;商品名:超高精度
デシマイクロヘッド MH−15M;日本光学株式会社
製)により測定した。一方、0.5μm未満の厚みは、
重量分析法(一定面積のフィルムの重量測定値をその面
積で除し、更に樹脂組成物の比重で除した)またはIR
法により実際の塗工膜の膜厚とIR吸収との検量線を作
成し、検量線より求めた。更に、樹脂組成物の塗工膜の
膜厚に関する測定の場合等は、元素分析法(フィルム積
層体の特定無機元素分析値(樹脂組成物層由来)と無機
層状化合物単独の特定元素分率の比から本発明の樹脂組
成物層と基材フィルムとの比を求める方法)によった。
【0138】〔平均粒径測定〕レーザー回折・散乱式粒
度分布測定装置(LA910;堀場製作所株式会社製)
を使用し、樹脂マトリックス中に存在する無機層状化合
物の平均粒径を測定した。尚、分散液原液はペーストセ
ルにて光路長50μmで測定し、分散液の希釈液はフロ
ーセル法にて光路長4mmで測定した。
【0139】〔アスペクト比計算〕X線回折装置(XD
−5A、株式会社島津製作所製)を用い、粉末法により
無機層状化合物の単位厚さを測定した。この結果と上記
平均粒径の測定結果とから、無機層状化合物のアスペク
ト比を算出した。
【0140】〔酸素透過度測定〕JIS K 7126
に基づき、酸素透過度測定装置(OX−TRAN M
L、MOCON社製)にて23℃、50%RH条件で測
定を行った。
【0141】以下の実施例で用いたA層形成用の塗工液
(1)は、以下の方法により調製した。
【0142】〔塗工液(1)〕分散釜(商品名:デスパ
MH−L;浅田鉄工株式会社製)に、イオン交換水(比
電気伝導率0.7μs/cm以下)1,860gと、高
水素結合性樹脂としてのポリビニルアルコール(商品
名:KURARAYPOVAL(登録商標)117H;
株式会社クラレ製;ケン化度=99.6%;重合度=
1,700)128とを仕込み、低速攪拌下(1,50
0rpm、周速度=4.10m/分)で95℃に昇温
し、1時間攪拌して溶解させて溶液(A)を得た。
【0143】一方、1−ブタノール125gとイソプロ
ピルアルコール375gとを混合した後、更に非イオン
性界面活性剤(商品名:SH3746;東レ・ダウコー
ニング株式会社製)0.25gを添加して混合液(B)
を得た。上記非イオン性界面活性剤は、ポリジメチルシ
ロキサン−ポリオキシエチレン共重合体である。
【0144】次に、上記分散釜内の溶液(A)を攪拌し
たまま60℃まで温度を下げた後、該溶液(A)に、予
め調製した上記の混合液(B)を添加して混合液(C)
を得た。
【0145】次いで、攪拌乳化装置(商品名:真空乳化
装置PVQ−3UN;みずほ工業株式会社製)に、上記
混合液(C)1,960gを仕込み、更に、上記高水素
結合性樹脂と無機層状化合物との重量比が2:1となる
ように、無機層状化合物としての天然モンモリロナイト
(商品名:クニピア(登録商標)F;クニミネ工業株式
会社製)を粉末のまま50g添加した。続いて、上記天
然モンモリロナイト(クニピアF)が液中にほぼ沈殿し
たことを確認後、600mmHg、5,000rpmで
10分間高速攪拌し、混合液(D)を得た。
【0146】次に、高圧分散装置(商品名:超高圧ホモ
ジナイザーM110−E/H、Microfluidics Corporat
ion 製)に、上記の混合液(D)2,000gを通し、
1,750kgf/cm2 で1回処理することで、分散
性が良好で均一な分散液(D' )を得た。分散液(D'
)の固形分濃度は7.5重量%であった。PVAとモ
ンモリロナイトとからなる分散液をフィルム状にキャス
トして、X線解析を行い、膨潤・劈開した上記天然モン
モリロナイト(クニピアF)の面間隔を測定した。上記
天然モンモリロナイト(クニピアF)は充分に劈開され
ていた。このときの上記天然モンモリロナイト(クニピ
アF)のアスペクト比は200以上であった。
【0147】上記の分散液(D' )に、金属有機化合物
としてのチタンアセチルアセトナート(商品名:TC1
00;松本製薬工業株式会社製)5.33gを、低速攪
拌下(1,500rpm;周速度=4.10m/分)に
おいて、系のpHが3以下となるように塩酸で調整しな
がら徐々に添加することにより、樹脂組成物と溶媒とを
含む塗工液(1)を調製した。
【0148】〔実施例1〕本実施例では、1つの多色刷
印刷機(中島精機製作所製;8色グラビア印刷機)内に
おいてインラインで全ての工程を行った。
【0149】まず、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレ
ンテレフタレート(OPET)フィルム(商品名:エス
ペット(登録商標)T4102;東洋紡績株式会社製)
の表面にコロナ処理を施したものを基材フィルムとし、
その基材フィルム上に対し、ウレタン系アンカーコート
剤〔東洋モートン株式会社製;アドコートAD335
(主剤)/CAT10(硬化剤)配合比率15/1(重
量比);希釈溶媒:トルエンとメチルエチルケトンの等
量混合溶媒;固形分濃度=4重量%〕を第1ユニットに
おいて塗工(乾燥温度80℃)した。塗工条件は、以下
の通りとした。すなわち、バッキングロールの回転速度
(B(m/分))に対するグラビアロールの回転速度
(G((m/分))の比(G/B)を100%、グラビ
アロールの線数(#:GM)を300、ライン速度(塗
工速度)を120(m/分)、バッキングロールの回転
速度(B(m/分))とグラビアロールの回転速度(G
((m/分))との差(B−G;但し、グラビアロール
およびバッキングロールが基材フィルムと接触する部分
で基材フィルムの流れる方向(移動方向)に対して両者
の回転方向は同じである)を0(m/分)とした。当該
アンカーコート剤層(B層とする)の厚みは0.05μ
mであった。
【0150】次に、上記塗工液(1)を第2ユニットに
おいて塗工した。塗工液(1)の塗工条件は、乾燥温度
を120℃とした以外は第1ユニットと同様とした(得
られた塗工層をA層とする)。更に、上記A層上に、第
3ユニットでは第1ユニットと同様にしてB層を、更
に、第4ユニットでは第2ユニットと同様にして、A層
をそれぞれ積層した。このようにして、基材フィルム層
を含めて5層(基材フィルム/B層/A層/B層/A
層)の積層フィルムが得られた。
【0151】得られたフィルム積層体の酸素透過度を前
述の測定方法に従って測定した。その結果、上記フィル
ム積層体は、酸素透過度(OTR)が1.0mL/at
m・m2 ・day以下であり、酸素遮断性に優れてい
た。
【0152】〔実施例2〕厚さ20μmの二軸延伸ポリ
プロピレン(OPP)フィルム(商品名:サントックス
(登録商標)PA20;サントックス株式会社製)の表
面にコロナ処理を施したものを基材フィルムとし、第5
ユニットでB層、第6ユニットでA層を積層(それぞれ
第1、第2ユニットと同様にして)した以外は、実施例
1と同様にしてフィルム積層体を得た。
【0153】得られたフィルム積層体の酸素透過度を前
述の測定方法にしたがって測定した。その結果、上記フ
ィルム積層体は、酸素透過度(OTR)が1.0mL/
atm・m2 ・day以下であり、酸素遮断性に優れて
いた。
【0154】〔実施例3〕厚さ15μmの二軸延伸ナイ
ロン(ON)フィルム(商品名:エンブレム(登録商
標)ON−UM;ユニチカ株式会社製)の表面にコロナ
処理を施したものを基材フィルムとした以外は、実施例
1と同様にしてフィルム積層体を得た。
【0155】得られたフィルム積層体の酸素透過度を前
述の測定方法に従って測定した。その結果、上記フィル
ム積層体は、酸素透過度(OTR)が1.0mL/at
m・m2 ・day以下であり、酸素遮断性に優れてい
た。
【0156】〔実施例4〕第5ユニットでヒートシール
性樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製;商品名:デ
ィックシール(登録商標)A930)を含有する塗工液
(溶媒:酢酸ビニル)を用いて第2ユニットと同様にし
て更にヒートシール性樹脂層(C層)を形成した以外は
実施例1と同様にして、6層のフィルム積層体(基材フ
ィルム/B層/A層/B層/A層/C層)を得た。得ら
れたフィルム積層体の酸素透過度を前述の測定方法に従
って測定した。その結果、上記フィルム積層体は、酸素
透過度(OTR)が1.0mL/atm・m2 ・day
以下であり、酸素遮断性に優れていた。また、上記フィ
ルム積層体は、ヒートシール性も有していた。
【0157】〔実施例5〕A層を形成する塗工液とし
て、塗工液(2)を用いる以外は実施例1と同様にし
て、ガスバリア性に優れるフィルム積層体を得ることが
できる。
【0158】塗工液(2):ポリビニルアルコール(株
式会社クラレ製;商品名:KURARAYPOVAL
(登録商標)117H;重合度=1700;ケン化度=
99.6モル%)4重量%水溶液100重量部に2−プ
ロパノール20重量部を配合したものである。
【0159】〔実施例6〕A層を形成する塗工液とし
て、塗工液(3)を50℃に加温して用いる以外は実施
例1と同様にして、ガスバリア性に優れるフィルム積層
体を得ることができる。
【0160】塗工液(3):エチレン/ビニルアルコー
ル共重合体水性溶液(日本合成化学工業株式会社製;商
品名:ソアノール(登録商標)溶液30L;固形分=2
0重量%;溶媒:水/2−プロパノール=1/1)であ
る。
【0161】
【発明の効果】本発明にかかるフィルム積層体の製造方
法は、以上のように、膜を形成しうる性質を有する有機
物および/または無機物からなる層を少なくとも一層含
む少なくとも三層が基材フィルム上に積層されてなるフ
ィルム積層体の製造方法であって、上記各層を多層形成
機を用いてインラインで基材フィルム上に順次に形成す
る方法である。
【0162】上記方法によれば、膜を形成しうる性質を
有する有機物および/または無機物からなる層を少なく
とも一層含む少なくとも三層が基材フィルム上に積層さ
れてなるフィルム積層体を、高い生産性を以って低コス
トで得ることができるという効果を奏する。
【0163】また、本発明にかかるフィルム積層体は、
以上のように、上記製造方法で得られたフィルム積層体
であって、23℃、相対湿度50%での酸素透過度が1
0mL/m2 ・day・atm以下である。
【0164】上記構成によれば、膜を形成しうる性質を
有する有機物および/または無機物からなる層を含む少
なくとも三層が基材フィルム上に積層されてなるフィル
ム積層体であって、高い生産性を以って低コストで製造
することができ、かつ、酸素遮断性に優れたフィルム積
層体を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフィルム積層体の製造方法で用いられ
る多色刷グラビア印刷機を示す概略断面図である。
【図2】上記フィルム積層体の樹脂組成物層を示す概略
断面図である。
【図3】本発明の製造方法によって製造されるフィルム
積層体の一形態を示す断面図である。
【図4】本発明の製造方法によって製造されるフィルム
積層体の他の形態を示す断面図である。
【図5】本発明の製造方法によって製造されるフィルム
積層体の更に他の形態を示す断面図である。
【符号の説明】
3 樹脂組成物層 21 グラビアロール 22 バッキングロール 23 塗工液 24 基材フィルム 25 オーブン 26 塗工液槽 30 ドクターブレード 31 単位結晶層 32 樹脂 41 基材フィルム 42 B層 43 A層 44 C層

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】膜を形成しうる性質を有する有機物および
    /または無機物からなる層を少なくとも一層含む少なく
    とも三層が基材フィルム上に積層されてなるフィルム積
    層体の製造方法であって、 上記各層を多層形成機を用いてインラインで基材フィル
    ム上に順次に形成することを特徴とするフィルム積層体
    の製造方法。
  2. 【請求項2】膜を形成しうる性質を有する有機物および
    /または無機物からなる層の少なくとも一つが、高水素
    結合性樹脂を含む層であることを特徴とする請求項1に
    記載のフィルム積層体の製造方法。
  3. 【請求項3】膜を形成しうる性質を有する有機物および
    /または無機物からなる層の少なくとも一つが、無機層
    状化合物と樹脂とを含む樹脂組成物からなる樹脂組成物
    層であることを特徴とする請求項1に記載のフィルム積
    層体の製造方法。
  4. 【請求項4】上記樹脂が、高水素結合性樹脂であること
    を特徴とする請求項3に記載のフィルム積層体の製造方
    法。
  5. 【請求項5】多層形成機が、多色刷印刷機であることを
    特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のフ
    ィルム積層体の製造方法。
  6. 【請求項6】多層形成機が、多色刷グラビア印刷機であ
    ることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に
    記載のフィルム積層体の製造方法。
  7. 【請求項7】膜を形成しうる性質を有する有機物および
    /または無機物からなる層として、少なくとも、無機層
    状化合物と樹脂とを含む樹脂組成物からなる樹脂組成物
    層並びにアンカー層が形成されており、上記アンカー層
    が上記樹脂組成物層の基材フィルム側に形成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載のフィルム積層体の製
    造方法。
  8. 【請求項8】請求項1ないし7のいずれか1項に記載の
    方法で得られたフィルム積層体であって、23℃、相対
    湿度50%での酸素透過度が10mL/m2 ・day・
    atm以下であることを特徴とするフィルム積層体。
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