JP2003166155A

JP2003166155A - 不織布

Info

Publication number: JP2003166155A
Application number: JP2001364401A
Authority: JP
Inventors: Takayuki Kaneko; 隆行金子; Masaki Ishii; 正樹石井; Koichi Saito; 公一齋藤
Original assignee: Toray Industries Inc
Current assignee: Toray Industries Inc
Priority date: 2001-11-29
Filing date: 2001-11-29
Publication date: 2003-06-13

Abstract

(57)【要約】【課題】本発明は、優れた防黴性を有し、環境負荷が少
なく人体に対して安全性が高いうえ、安価で汎用性、耐
久性に優れた機能性不織布を提供せんとするものであ
る。【解決手段】本発明の不織布は、ポリエステル系繊維、
ポリアミド系繊維およびポリオレフィン系繊維から選ば
れた少なくとも１種類の合成繊維を含む繊維で構成され
た不織布であって、かつ、該不織布が、防カビ剤を１〜
１０重量％の範囲内で付着されたものであることを特徴
とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、優れた防黴性を有
し、環境負荷が少なく人体に対して安全性が高いうえ、
安価で汎用性に優れた機能性不織布に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】近年、国民の生活水準の向上に伴い健康
および衛生に関する意識も高まっており、衣食住の各分
野において、防カビ加工を施した製品や技術が実用化さ
れている。従来、防黴剤には効力の点を考慮して、比較
的毒性の強い薬剤が用いられてきた。しかしながら、環
境保護への意識と人体に対して有害な化学物質への不安
が高まっている今日、これらの防黴剤の安全性について
問題視されることが多く、環境、人体に優しい低毒性の
防黴剤の低濃度での使用が強く望まれている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】近年、衛生に関するニ
ーズの拡大により、防黴剤と並んで使用される機会の多
くなったものに抗菌剤がある。市場では一般的に、抗菌
剤は細菌の発生を抑える薬剤を意味し、防黴剤は黴の発
生を防ぐ薬剤の意味に解されている。細菌の細胞は原核
細胞であり、細胞内に核膜構造を持たず、ＤＮＡは裸の
まま中心付近に広がっており、ミトコンドリアや葉緑体
を持たない。これに対して、黴の細胞は真核細胞であ
り、核膜に包まれた核を持ち、ＤＮＡもこの中に収まっ
ている。また、ミトコンドリアや葉緑体などの小器官を
持つ。すなち黴は細菌に比べて構造が高度に機能化さ
れ、複雑に進化した細胞であるといえる。従って、一般
的に防黴剤には抗菌剤より強い毒性が必要である。しか
しこのことが、防黴剤の安全性が問題視される原因にも
なっており、防黴剤の使用を最小限度に抑えることへの
ニーズは高い。しかし、低濃度で防黴剤を付与すること
は目的である防黴の効果を低減させることに繋がるの
で、注意が必要である。そこで、防黴剤を個別の材料に
適用する場合は、防黴性能の他に材料性状との相性を考
慮することで、防黴性を効果的に発現させる事が重要で
ある。

【０００４】

【発明が解決使用とする課題】本発明は、かかる従来技
術の背景に鑑み、優れた防黴性を有し、環境負荷が少な
く人体に対して安全性が高いうえ、安価で汎用性、耐久
性に優れた機能性不織布を提供せんとするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するために、次のような手段を採用するものであ
る。すなわち、本発明の不織布は、ポリエステル系繊
維、ポリアミド系繊維およびポリオレフィン系繊維から
選ばれた少なくとも１種類の合成繊維を含む繊維で構成
された不織布であって、かつ、該不織布が、防カビ剤を
１〜１０重量％の範囲内で付着されたものであることを
特徴とするものである。

【０００６】

【発明の実施の形態】本発明は、前記課題、つまり優れ
た防黴性を有し、環境負荷が少なく人体に対して安全性
が高いうえ、安価で汎用性に富む機能性繊維製品優れた
防黴性を有し、環境負荷が少なく、人体に対して安全性
が高いうえ、安価で汎用性に富む機能性繊維製品につい
て、鋭意検討し、合成繊維を含む不織布に種々の防黴剤
を特定量付着させてみたところ、かかる課題を一挙に解
決することを究明したものである。

【０００７】すなわち、本発明は、種々の防黴剤の防黴
性能と材料性状との相性を考慮し、また、衛生の観点か
ら使い捨て製品のニーズが高いことも考慮すると、種々
の繊維製品材料の中から、軽量、かつ耐久性に優れ、安
価な不織布が最適である。以上のことから、本発明は、
環境、人体への影響を十分考慮し、低濃度で防黴剤を不
織布に付着したものである。

【０００８】本発明でいう合成繊維を含む不織布とは、
ポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系繊維
から選ばれた少なくとも１種類以上を含む不織布である
ことが好ましい。本発明でいうポリエステル系繊維と
は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート、ポリプロピレンテレフタレートなどの芳香族
ポリエステルの他に、脂肪族ポリエステルでも構わな
い。本発明における脂肪族ポリエステルには、ポリ−３
−ヒドロキシプロピオネートやポリ−３−ヒドロキシブ
チレート、ポリ−３−ヒドロキシブチレートバリレー
ト、ポリ乳酸、およびこれらの混合物が含まれる。

【０００９】本発明の不織布においては、繊維の形態は
特に限定されるものではなく、１種のポリマーから構成
されていてもよく、２種類以上のポリマーから構成され
ていても差し支えない。

【００１０】かかる不織布としては、かかる合成繊維に
よって構成されたスパンボンド、スパンレース等の不織
布が使用される。

【００１１】本発明の防黴剤は、有機系、無機系、天然
物抽出物問わず、第四級アンモニウム塩、ベンズイミダ
ゾール誘導体、ピリジン誘導体、クロロベンゼン誘導
体、イソチアゾロン誘導体、N-ハロアルキルチオ系誘導
体、ニトリル化合物、有機ヨウ素化合物、キトサン誘導
体、キチン誘導体、イソチオシアン酸アリル誘導体、ゼ
オライト、アパタイト、抗菌ガラス、シリカアルミナマ
グネシウム、硫化銅、グリコキシレート誘導体、ヒノキ
チオール、キノン誘導体、カテキン、ジンクピリチオ
ン、酸化チタン、ヨモギエキス、アロエエキス、シソの
葉エキス、ドクダミ、甘草エキス、リン酸ジルコニウム
銀、リゾチーム、ポリリジン、アミドグリコキシド、プ
ロタミン、プロポリス、ヒバオイル、その他の天然物抽
出物から選ばれた少なくとも１種の防黴剤なら、いかな
る防黴剤でもよく、繊維に付着していればよい。例え
ば、該第４級アンモニウム塩は特に限定しないが、Ｎ，
Ｎ−ジメチル−Ｎ’−（フルオロジクロルメチルチオ）
−Ｎ’−フェニルスルファミド、テトラメチルチウラム
ジスルフィドなどがよく使用できる。該ベンズイミダゾ
ール誘導体は特に限定しないが、２−（４−チアゾイ
ル）−ベンズイミダゾール、メチルーベンズイミダゾー
ルカーバイトなどがよく使用できる。該N-ハロアルキル
チオ系誘導体は特に限定しないが、Ｎ−（トリクロロメ
チルチオ）−４−シクロヘキシン、１，２−ジカルボキ
シミド、Ｎ−（フルオロジクロロメチルチオ）−フタル
イミドよく使用できる。該ピリジン誘導体は特に限定し
ないが、２，３，５，６−テトラクロロ−４−（メチル
スルホニル）ピリジンがよく使用できる。該クロロベン
ゼン誘導体は特に限定しないが、クロロキシレノール、
２，４，４，４’−トリクロロ−２’−ヒドロキシジフ
ェニルエーテルがよく使用。できる該イソチアゾロン誘
導体は特に限定しないが、５−クロロ−２−メチル−４
−イソチアゾロン−３−オン、２−メチル−４−イソチ
アゾロン−３−オン、２−オクチル−４−イソチアゾロ
ン−３−オンがよく使用できる。該ニトリル誘導体は特
に限定しないが、２，４，５，６−テトラクロロイソフ
タルニトリルが使用できる。該有機ヨウ素化合物は特に
限定しないが、ジアイオドメチル−パラ−トリスルホ
ン、３−ヨード−２−プロパギルブチルカーバメート、
プロパギルアイオダイド誘導体がよく使用できる。該ゼ
オライトは特に限定しないが、銀ゼオライト、銅ゼオラ
イト、亜鉛ゼオライトが使用することができる。

【００１２】かかる防黴剤の形態は下記の加工法を考え
ると、水等への分散性を考慮して、平均粒子径は、０．
０１〜５μｍであることが好ましく、パッド法での加工
では、平均粒子径が０．０１〜２μｍでコロイド状態で
粒化しているものであることが好ましい。

【００１３】かかる防黴剤の不織布への付着量は、１〜
１０重量％、好ましくは２〜３％であることが、人体へ
の安全性を考慮した場合に重要である。１重量％未満で
は、十分な効果が得られず、１０重量％を越えると、環
境や人体への影響が懸念される上、既に防黴効果として
は十分であり、過剰に付着しているだけで必要性がな
い。

【００１４】かかる防黴剤の不織布への付着方法は、ス
プレー法、吸尽法、パッド法、コーティング方、高分子
バインダー法、シクロデキストリンの薬剤包摂体の付与
方法、難溶性リン酸塩の薬剤包摂体による付与方法、マ
イクロカプセルによる付着方法、さらには高温高圧スチ
ーム処理などの方法を採用してもよいが、簡便性、生産
性、コスト性を考慮すると、パッド法が好ましく採用さ
れる。しかし、製品の防黴性に耐久性が求められる場合
においては、高分子バインダーを用いた付与方法が好ま
しい。かかる高分子バインダーについては、特に限定し
ないが、風合いや洗濯耐久性を考慮すると、アクリル
系、ポリウレタン系、シリコーン系、フッ素系、メラミ
ン系、グリオキザール系などを用いるのがよい。

【００１５】本発明は、環境負荷が少なく人体に対して
安全性が高い防黴性不織布を安価に提供できることか
ら、食品および生鮮品の包装材料に適している。本発明
における包装材料は、上記の機能性不織布を少なくとも
１部に用いて構成されるものであり、例えば、生鮮食品
なら、魚介類、野菜、花、乳製品、菓子、薬の容器など
何でもよく、直接食品に触れても構わない。

【００１６】また、本発明における収納容器および収納
容器用の中敷き用布帛、各種カバー類については、ヘッ
ドレストカバー、テーブルクロス、シャワーカーテン、
布団カバー、衣装カバー、靴収納袋、買い物袋、風呂
敷、押入、タンス、食器棚の中敷きなども含まれ、ブッ
クカバー、靴の中敷きなど直接人間の皮膚に触れるもの
にも適している。さらに、本発明でいう衛生材料は、オ
ムツ、生理用ナプキン、パンティーライナー、ペット用
尿パッドが含まれ、好ましくは２層以上の積層構造で構
成されたもので、液体を吸収するものであり、高吸水ポ
リマーを含有していてもよい。一方、清掃用布帛は、上
記の機能性不織布を少なくとも１部に用いて構成される
ものであり、１層から構成されていてもよく、２層以上
の積層構造体でもよく、携帯懐炉の外袋、除湿剤や芳香
剤、殺虫剤など薬剤の袋、おしぼり、ウエットティッシ
ュ、トイレ用布巾、台所用布巾、雑巾、ワイピングクロ
スなどが含まれる。本発明は、環境負荷が少なく人体に
対して安全性が高い防黴性不織布を安価に提供するの
で、直接人間の皮膚に触れるものでもかなわない。ま
た、バインダー樹脂の使用などによって、耐久性のある
防黴性不織布を提供するので、上記の機能性不織布を少
なくとも１部に用いて構成する換気扇のカバー、台所水
切りーネット、やエアコン、空気清浄機、水流ポンプの
フィルターを含む家庭用、工業用のカバーやフィルター
にも適している。

【００１７】

【実施例】以下、本発明を実施例により更に具体的に説
明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定
されるものではない。〔黴抵抗性試験〕試験方法は、ＪＩＳＺ−２９１１の
試験方法に基づいて行った。

【００１８】試験方法は、下記の供試菌株の混合菌体を
馬鈴薯−ぶどう糖−寒天培地（シャーレ９cm×９cm）
に塗布し、各試料（３０mm×３０mm）を貼付して、２８
℃で２８日間培養した。

【００１９】なお、使用した黴の種類は、以下の通りで
ある。

【００２０】アスペルギルスニゲル、アスペルギルス
ニゲル、オーレオバシジウムプルランス、ペニシリ
ウムフニクロスム、ケトミウムグロボスム、ペニシ
リウムシトリウム、ミロテシウムペルカリア（実施例１）０．１１ｄｔｅｘのポリプロピレン繊維を
メルトブロー・スパンボンド・メルトブロー方式で、積
層した目付１５ｇ／ｍ²の不織布に対し、防黴剤とし
て、２−（４−チアゾイル）−ベンズイミダゾールの分
散液を用いて、ピクアップ３０％でスパンボンドに対
し、付着量が０．５重量％および２重量％になるように
パッティングし、次いで１３０℃で１分間乾燥させた。

【００２１】得られたスパンボンドの黴抵抗性試験を行
った結果を表１に示す。

【００２２】表中 0：黴の生育なし 1：黴の生育が試料面の２５％未満 2：黴の生育が試料面の２５％以上５０％未満 3：黴の生育が試料面の５０％以上７５％未満 4：黴の生育が試料面の７５％以上

【００２３】

【表１】

【００２４】表１から明らかなように、付着量０．５重
量％のスパンボンド黴抵抗性は不十分であるが、付着量
２重量％のスパンボンドは、高い黴抵抗性を示した。

【００２５】（実施例２）０．１１ｄｔｅｘのポリプロ
ピレン繊維をメルトブロー・スパンボンド・メルトブロ
ー方式で、積層した目付１５ｇ／ｍ²の不織布に対し、
防黴剤として、２−（４−チアゾイル）−ベンズイミダ
ゾール、バインダー樹脂としてアクリル樹脂を用い、そ
れらの混合分散液を用いて、ピクアップ３０％でスパン
ボンドに対し、５重量％になるようにパッティングし、
次いで１３０℃で１分間乾燥させ、以上のスパンボンド
をＪＩＳＬ−１０４２Ｇ法家庭洗濯法で洗濯後、
乾燥させた。

【００２６】得られたスパンボンドの黴抵抗性試験を行
った結果を表２に示す。

【００２７】表中 0：黴の生育なし 1：黴の生育が試料面の２５％未満 2：黴の生育が試料面の２５％以上５０％未満 3：黴の生育が試料面の５０％以上７５％未満 4：黴の生育が試料面の７５％以上

【００２８】

【表２】

【００２９】表２から明らかなように、洗濯後のスパン
ボンドも、高い黴抵抗性を示した。

【００３０】

【発明の効果】本発明によれば、優れた防黴性を有し、
環境負荷が少なく人体に対して安全性が高いうえ、安価
で汎用性、耐久性に優れた機能性繊維製品を提供するこ
とができる。

フロントページの続きＦターム(参考） 4H011 AA03 BA01 BB02 BB04 BB09 BB10 BB18 BB19 BB22 BC19 DA07 DA08 DD07 DH02 DH05 DH07 DH10 4L033 AB07 AC10 BA00 4L047 AA14 AA21 AA23 BA08 BA23 CA05 CC05 CC16 DA00

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維お
よびポリオレフィン系繊維から選ばれた少なくとも１種
類の合成繊維を含む繊維で構成された不織布であって、
かつ、該不織布が、防カビ剤を１〜１０重量％の範囲内
で付着されたものであることを特徴とする不織布。
【請求項２】該ポリオレフィン系繊維が、ポリプロピレ
ンおよびポリエチレンから選ばれた少なくとも１種類で
あることを特徴とする請求項１記載の不織布。
【請求項３】該ポリエステル系繊維が、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブ
チレンテレフタレートおよび脂肪族ポリエステルから選
ばれた少なくとも１種類であることを特徴とする請求項
１または２記載の不織布。
【請求項４】該防カビ剤が、第四級アンモニウム塩、ベ
ンズイミダゾール誘導体、ピリジン誘導体、クロロベン
ゼン誘導体、イソチアゾロン誘導体、N-ハロアルキルチ
オ系誘導体、ニトリル化合物、有機ヨウ素化合物、キト
サン誘導体、キチン誘導体、イソチオシアン酸アリル誘
導体、ゼオライト、アパタイト、抗菌ガラス、シリカア
ルミナマグネシウム、硫化銅、グリコキシレート誘導
体、ヒノキチオール、キノン誘導体、カテキン、ジンク
ピリチオン、酸化チタン、ヨモギエキス、アロエエキ
ス、シソの葉エキス、ドクダミ、甘草エキス、リン酸ジ
ルコニウム銀、リゾチーム、ポリリジン、アミドグリコ
キシド、プロタミン、プロポリス、ヒバオイルおよび天
然物抽出物から選ばれた少なくとも１種類であることを
特徴とする請求項１〜３のいずれかに記載の不織布。
【請求項５】該不織布が、０．００００１ｄｔｅｘ以上
２０ｄｔｅｘ未満の範囲内の繊維で構成されており、か
つ、目付が１０ｇ／ｍ²以上５００ｇ／ｍ²未満である
ことを特徴とする請求項１〜４のいずれかに記載の不織
布。
【請求項６】該防黴剤が、バインダー樹脂によって不織
布上に付着されていることを特徴とする請求項１〜５の
いずれかに記載の不織布。
【請求項７】該不織布が、包装材料用、収納容器用、収
納容器用中敷き用、衛生材料用、清掃用布帛用あるいは
フィルター用である請求項１〜６のいずれかに記載の不
織布。