JP6809880B2 - 切断装置および切断方法 - Google Patents

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Description

本発明は、切断装置および切断方法に関する。
従来、切断対象物を切断可能な切断手段と、当該切断手段および切断対象物を相対移動させて切断対象物を所定形状に切断する移動手段とを備え、切断手段を変温させて切断する切断装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−272505号公報
しかしながら、特許文献1に記載された従来の切断装置では、保護テープ(切断対象物)の粘着剤(一方の面側)の特性に合わせ、冷却ノズル(第1変温手段)と電熱ヒータ(第2変温手段)とでカッタ刃(切断手段)を冷却したり(第1の温度に変温させたり)、加熱したり(第2の温度に変温させたり)して、切断手段に接着剤が付着することを防止して切断対象物を良好に切断しているが、一方の面側の反対側に位置する他方の面側(例えば基材シート)を良好に切断できるとは限らない。すなわち、切断対象物が一方の面側と他方の面側とで良好に切断できる温度が異なっている場合、当該切断対象物を良好に切断することができなくなるという不都合を発生する。
本発明の目的は、切断対象物が一方の面側と他方の面側とで良好に切断できる温度が異なっていても、当該切断対象物を良好に切断することができる切断装置および切断方法を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明は、請求項に記載した構成を採用した。
本発明によれば、単体で構成された切断手段を第1切断領域と第2切断領域とに分け、各切断領域それぞれを適宜な温度に変温させるので、切断対象物が一方の面側と他方の面側とで良好に切断できる温度が異なっていても、当該切断対象物を良好に切断することができる。
また、切断手段が第1切断領域と第2切断領域との境界部に凹部を備えれば、変温された第1切断領域の熱と、変温された第2切断領域の熱との相互の熱干渉を抑制し、それらの境界部での温度差を付け易くなり、一方の面側を第1の温度で、他方の面側を第2の温度で切断し易くなる。
さらに、本発明によれば、切断手段を第1切断手段と第2切断手段との2つの部材で構成し、各切断手段それぞれを適宜な温度に変温させるので、切断対象物が一方の面側と他方の面側とで良好に切断できる温度が異なっていても、当該切断対象物を良好に切断することができる。
なお、本発明でいう切断とは、切断対象物を貫通する切込が連続的に続く完全な切断は勿論のこと、切断対象物を貫通する切込が断続的に続く疑似的な切断をも含むものとする。
本発明の一実施形態に係る切断装置の正面図。 本発明の他の実施形態に係る切断装置の正面図。 本発明の変形例の説明図。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態におけるX軸、Y軸、Z軸は、それぞれが直交する関係にあり、X軸およびY軸は、所定平面内の軸とし、Z軸は、前記所定平面に直交する軸とする。さらに、本実施形態では、Y軸と平行な図1中手前方向から観た場合を基準とし、方向を示した場合、「上」がZ軸の矢印方向で「下」がその逆方向、「左」がX軸の矢印方向で「右」がその逆方向、「前」がY軸と平行な図1中手前方向で「後」がその逆方向とする。
図1において、本発明の切断装置10は、切断対象物としての接着シートASを切断可能な切断手段20と、切断手段20および接着シートASを相対移動させて当該接着シートASを所定形状に切断する移動手段30と、第1切断領域21Aを第1の温度に変温させる第1変温手段40と、第2切断領域21Bを第2の温度に変温させる第2変温手段50とを備え、被着体WKに接着シートASが貼付された一体物WK1を支持する切断対象物支持手段60の近傍に配置されている。
なお、本実施形態の場合、接着シートASは、一方の面側が基材シートBSによって構成され、他方の面側が接着剤AD層によって構成されている。
切断手段20は、単体で構成され、接着シートASにおける基材シートBSを切断する第1切断領域21Aと、接着シートASにおける接着剤AD層を切断する第2切断領域21Bとを備えたカッター刃21を備えている。なお、カッター刃21の刃先21Eには、第1切断領域21Aと第2切断領域21Bとの境界部に位置する側面視V字形状の凹部21Cが形成されている。凹部21Cの外縁部は、刃先21Eの一部を構成する。
移動手段30は、その作業範囲内において、作業部である先端アーム31Aで支持したものを何れの位置、何れの角度にでも変位可能な駆動機器としての多関節ロボット31と、ブラケット32を介して先端アーム31Aに支持されるとともに、そのチャック33Aでカッター刃21を挟み込んで支持する駆動機器としてのチャックモータ33とを備えている。なお、多関節ロボット31は、特開2016−81974に例示されている多関節ロボット111が例示できる。
第1変温手段40は、チャックモータ33に支持され、コイルヒータやヒートパイプの加熱側等の加熱手段およびペルチェ素子やヒートパイプの冷却側等の冷却手段を備えた加熱冷却手段41と、当該加熱冷却手段41で加熱または冷却された空気やガス等の気体を第1切断領域21Aに吹き付けるように誘導するノズル42とを備えている。
第2変温手段50は、切断対象物支持手段60の内部に配置され、コイルヒータやヒートパイプの加熱側等の加熱手段およびペルチェ素子やヒートパイプの冷却側等の冷却手段を備えた加熱冷却手段51と、当該加熱冷却手段51で加熱または冷却された空気やガス等の気体を溝61B内に誘導する通気口52とを備えている。
切断対象物支持手段60は、減圧ポンプや真空エジェクタ等の図示しない減圧手段によって被着体WKを支持可能な支持面61Aと、接着シートASを貫通したカッター刃21部分である第2切断領域21Bを受容する溝61Bとを備えた支持テーブル61を備えている。
なお、本実施形態の場合、移動手段30の作業範囲内には、カメラ等の撮像手段や光学センサ等で構成され、カッター刃21の凹部21Cの位置、切先21Dの位置、刃先20Eの位置等を検知するとともに、カッター刃21の欠け、傷、曲がり、折れ等の変形や、カッター刃21の錆、腐食等による劣化や、カッター刃21に対する接着剤、その他物質等の異物の付着等のカッター刃の異常が発生していることを検出することで、当該カッター刃21の状態を検知する図示しない切断手段検知手段が配置されている。
以上の切断装置10の動作を説明する。
先ず、本発明の切断装置10の使用者(以下、単に「使用者」という)が操作パネルやパーソナルコンピュータ等の図示しない操作手段を介して初期設定を行う。
なお、本実施形態では、接着シートASとして、基材シートBSが35℃〜80℃の間の任意の温度下で切断容易となり、接着剤AD層がマイナス15℃〜10℃の間の任意の温度下で切断容易となる特性のものが採用されていることとする。
使用者は、初期設定において接着シートASの上記特性を考慮して、第1変温手段40が第1切断領域21Aを35℃〜80℃間の任意の温度である第1の温度(例えば、40℃)となるように、また、第2変温手段50が第2切断領域21Bをマイナス15℃〜10℃間の任意の温度である第2の温度(例えば、2℃)となるように、図示しない操作手段を介して切断装置10にデータを入力した後、自動運転開始の信号を入力する。すると、移動手段30が多関節ロボット31およびチャックモータ33を駆動し、図示しない所定の格納位置に格納されているカッター刃21をチャック33Aで支持した後、図示しない切断手段検知手段の検出位置にカッター刃21を配置し、当該図示しない切断手段検知手段が凹部21Cの位置、切先21Dの位置、刃先21Eの位置およびカッター刃の異常を検知した状態で停止してスタンバイ状態となる(以下、この状態を単に「スタンバイ状態」という)。
なお、移動手段30は、図示しない切断手段検知手段の検知結果を基にして、切断の対象となる接着シートASに対し、切先21Dを突き刺す位置、凹部21Cを配置させる位置および刃先21Eで切断する軌道等が所定の位置、所定の軌道等となるように多関節ロボット31の動作を自動で補正するようになっている。これにより、万が一、カッター刃21が位置ずれを起こしてチャックモータ33に支持されていても、接着シートASを所定形状に切断することができるようになっている。
そして、使用者または多関節ロボットやベルトコンベア等の図示しない搬送手段によって、接着剤AD層が支持面61A側となるようにして一体物WK1が載置されると、切断対象物支持手段60が図示しない減圧手段を駆動し、当該一体物WK1の吸着保持を開始する。次いで、第2変温手段50が加熱冷却手段51を駆動し、溝61Bと接着剤AD層とで囲まれた溝空間SPがマイナス15℃〜10℃の間の温度(例えば2℃)となるように、当該溝空間SPを変温させる。その後、移動手段30が多関節ロボット31を駆動し、図示しない切断手段検知手段の検出結果を基にして、図1中のAA図で示すように、凹部21Cの底部が基材シートBSと接着剤AD層との境界部に配置されるように、カッター刃21を接着シートASに突き刺し、第2切断領域21Bの大部分を溝空間SP内に入り込ませる。このとき、基材シートBSを切断する凹部21Cの外縁の角度と、接着剤AD層を切断する凹部21Cの外縁の角度は、共に角度α1となるようになっているが、場合によっては、カッター刃21の傾きを変え、基材シートBSおよび接着剤AD層を角度α1以外の角度で切断するようにしてもよい。次いで、第1変温手段40が加熱冷却手段41を駆動し、第1切断領域21Aが35℃〜80℃の間の任意の温度である第1の温度(例えば40℃)となるように、当該第1切断領域21Aを変温させる。なお、溝空間SP内に入り込んだ第2切断領域21Bは、溝空間SP内の温度に近付き、マイナス15℃〜10℃の間の任意の温度である第2の温度(例えば2℃)に変温される。
そして、第1切断領域21Aが第1の温度に変温されたことを温度センサやサーモカメラ等の図示しない第1切断領域温度検知手段が検知するとともに、第2切断領域21Bが第2の温度に変温されたことを温度センサやサーモカメラ等の図示しない第2切断領域温度検知手段が検知すると、移動手段30が多関節ロボット31を駆動し、カッター刃21を所定の軌道に沿って移動させ、刃先21E(凹部21Cの外縁部)で接着シートASを所定形状に切断する。これにより、接着シートASは、当該接着シートASを貫通する切込が連続的に形成されて完全に切断され、接着シートASの切断が完了すると、移動手段30が多関節ロボット31を駆動し、再びスタンバイ状態となる。次いで、切断対象物支持手段60が図示しない減圧手段の駆動を停止した後、使用者または図示しない搬送手段が、所定形状に切断された接着シートASが貼付された被着体WKを別の工程に搬送するとともに、支持面61A上に残った接着シートAS部分を支持面61A上から取り去り、以降上記同様の動作が繰り返される。
ここで、スタンバイ状態となった際、チャックモータ33で支持されているカッター刃21にカッター刃の異常が発生していることを図示しない切断手段検知手段が検出すると、移動手段30が多関節ロボット31およびチャックモータ33を駆動し、チャックモータ33で支持しているカッター刃21を図示しない回収箱に破棄した後、図示しない所定の格納位置に格納されている別のカッター刃21をチャック33Aで支持し、再びスタンバイ状態となる。
以上のような実施形態によれば、単体で構成されたカッター刃21を第1切断領域21Aと第2切断領域21Bとに分け、各切断領域それぞれを適宜な温度に変温させるので、接着シートASが基材シートBSと接着剤AD層とで良好に切断できる温度が異なっていても、当該接着シートASを良好に切断することができる。
本発明における手段および工程は、それら手段および工程について説明した動作、機能または工程を果たすことができる限りなんら限定されることはなく、まして、前記実施形態で示した単なる一実施形態の構成物や工程に全く限定されることはない。例えば、移動手段は、切断手段および切断対象物を相対移動させて当該切断対象物を所定形状に切断可能なものであれば、出願当初の技術常識に照らし合わせ、その技術範囲内のものであればなんら限定されることはない(他の手段および工程も同様でありその説明は省略する)。
本発明の切断装置は、図2中実線で示すような切断装置10Aでもよい。この切断装置10Aは、接着シートASを切断可能な切断手段20と、切断手段20および接着シートASを相対移動させて当該接着シートASを所定形状に切断する移動手段30とを備え、切断手段20は、接着シートASにおける基材シートBSを切断する第1カッター刃21Hを有する第1切断手段20Aと、当該第1切断手段20Aとは別体で構成され、接着シートASにおける接着剤AD層を切断する第2カッター刃21Lを有する第2切断手段20Bとを有し、第1切断手段20Aを第1の温度に変温させる第1変温手段40Aと、第2切断手段20Bを第2の温度に変温させる第2変温手段50Aとを備えている。
この場合、例えば、接着シートASを構成する基材シートBSが60℃〜90℃間の任意の温度で切断容易となり、接着剤AD層が0℃〜20℃間の任意の温度で切断容易となるものが採用されているとする。すると、第1変温手段40Aが加熱手段と冷却手段とを備えた図示しない加熱冷却手段を駆動し、第1カッター刃21Hが60℃〜90℃間の任意の温度である第1の温度となるように当該第1カッター刃21Hを変温させ、第2変温手段50Aが加熱手段と冷却手段とを備えた図示しない加熱冷却手段を駆動し、第2カッター刃21Lが0℃〜20℃間の任意の温度である第2の温度となるように当該第2カッター刃21Lを変温させる。
このような切断装置10Aによれば、切断手段20を第1切断手段20Aと第2切断手段20Bとの2つの部材で構成し、各切断手段それぞれを適宜な温度に変温させることができるので、切断対象物が一方の面側と他方の面側とで良好に切断できる温度が異なっていても、当該切断対象物を良好に切断することができる。
また切断装置10Aの場合、2つの多関節ロボット31を採用し、何れか一方の多関節ロボット31で第1カッター刃21Hを支持し、何れか他方の多関節ロボット31で第2カッター刃21Lを支持してもよいし、1つの多関節ロボット31が第1カッター刃21Hおよび第2カッター刃21Lを支持してもよいし、第1カッター刃21Hと第2カッター刃21Lとが接着シートASの同じ位置を挟み込むようにして当該接着シートASを切断してもよいし、第1カッター刃21Hと第2カッター刃21Lとが接着シートASの異なる位置で当該接着シートASを切断してもよいし、第1カッター刃21Hで基材シートBS側を切断してから第2カッター刃21Lで接着剤AD層側を切断してもよいし、第2カッター刃21Lで接着剤AD層側を切断してから第1カッター刃21Hで基材シートBS側を切断してもよいし、図2中X軸方向から観て、第1カッター刃21Hおよび第2カッター刃21Lは、相互に重なっていてもよいし、切先21D同士が相互に接触していてもよいし、切先21D同士が相互に離れていてもよい。
切断手段20は、カッター刃21、21H、21Lに代えてまたは併用して、ロータリカッター刃、ミシン目ロータリカッター刃、ニクロム線やワイヤ等の電熱線で切断対象物を所定形状に切断する構成としてもよいし、図1の下方から接着シートASにカッター刃21を突き刺して当該接着シートASを切断してもよいし、凹部21Cが形成されていないカッター刃21を採用してもよいし、1つのカッター刃21に複数の凹部21Cが形成されたものが採用されてもよい。なお、切断手段20として1つのカッター刃21に複数の凹部21Cが形成されたものが採用された場合、スタンバイ状態となった際、カッター刃21の凹部21Cにカッター刃の異常が発生していることを図示しない切断手段検知手段が検出すると、切断装置10は、カッター刃の異常が発生していない別の凹部21Cで次回から接着シートASを切断するように多関節ロボット31の動作を自動で補正するようにしてもよい。
切断手段20は、図3(A)〜(E)に示すようなカッター刃21P〜21Tを採用してもよい。カッター刃21P、21Rには、それぞれ矩形形状の凹部21Cが形成され、凹部21Cにおける底の外縁部が第2の刃先21Fとなっており、第1切断領域21Aと第2切断領域21Bとの相互の熱干渉を効果的に抑制しつつ、刃先21Eで切り残した接着シートAS部分を第2の刃先21Fで切断するようになっている。また、カッター刃21Q、21Sには、それぞれ1つの角(図3中右側の角)が接触していない略三角形形状の凹部21Cが形成され、第1切断領域21Aと第2切断領域21Bとの相互の熱干渉を効果的に抑制しつつ、刃先21Eで切り残す接着シートAS部分の厚みを極力薄くして当該切り残した接着シートAS部分を第2の刃先21Fで切断するようになっている。さらに、カッター刃21Tには、第1切断領域21Aと第2切断領域21Bとの相互の熱干渉を効果的に抑制しつつ、第2の刃先21Fが不要な略三角形形状の凹部21Cが形成されている。なお、切断手段20は、カッター刃21Q、21Sで示した接触していない角(右側の角)が接触しているカッター刃を採用してもよい。
図3(C)、(D)に示すようなカッター刃21R、21Sの場合、凹部21Cで分かれる刃先21Eは、先に接着シートASに突き刺さる刃先(図3(C)、(D)では下側に位置する刃先)の方が、後から接着シートASに突き刺さる刃先(図3(C)、(D)では上側に位置する刃先)よりも、当該カッター刃21R、21Sの進行方向前側に位置するように構成したり、後から接着シートASに突き刺さる方の刃先21Eの下部を刃のように先尖り形状とした構成としたりしておくことが好ましい。このように構成することで、カッター刃21R、21Sを接着シートASに突き刺す際に、後から接着シートASに突き刺さる方の刃先21Eの下部が当該接着シートASに引っ掛かって突き刺し難くなることを防止することができる。なお、図3(A)、(B)に示すようなカッター刃21P、21Qの場合でも、後から接着シートASに突き刺さる方の刃先21Eの下部を刃のように先尖り形状とした構成としておくことで、後から接着シートASに突き刺さる方の刃先21Eの下部が当該接着シートASに引っ掛かって突き刺し難くなることを防止することができる。
凹部21Cの形状は、矩形形状、略三角形形状以外にC型形状、U型形状、菱形形状、その他多角形形状等、どのような形状でもよい。
切先21Dは、図3(C)に示すように、2つの刃先21Eが交差することで形成されてもよい。
移動手段30は、カッター刃21を移動させることなくまたは移動させつつ、接着シートASを移動させて当該接着シートASを所定形状に切断してもよいし、チャックモータ33の代わりに、巻きばね、板ばね、樹脂、ゴム、スポンジ等の付勢手段を介してチャック33Aやその他のチャック部材でカッター刃21を挟み込んで支持するものを採用してもよいし、カッター刃21の把持動作および、カッター刃21の破棄動作のうち一方の動作のみを行うようにしてもよく、この場合、それら動作のうち他方の動作は、使用者が行ったり、他の装置や他の駆動機器が行ったりすればよい。
移動手段30は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、1軸または2軸以上の多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダおよびロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできるし、被着体WKの外縁と同形状となるように接着シートASを切断してもよいし、被着体WKの外縁よりも内側で接着シートASを切断してもよいし、被着体WKの外縁よりも外側で接着シートASを切断してもよいし、被着体WKの外縁とは関係なく接着シートASを切断してもよい。
移動手段30は、接着シートASを貫通する切込が断続的に続くように、接着シートASに対してカッター刃21を離間接近させながら移動させ、接着シートASを疑似的に切断してもよいし、接着シートASを貫通することのない切込が連続的に続くようにカッター刃21を移動させ、接着シートASを疑似的に切断してもよいし、接着シートASを貫通することのない切込が断続的に続くように、接着シートASに対してカッター刃21を離間接近させながら移動させ、接着シートASを疑似的に切断してもよいし、例えば、切断手段20としてミシン目ロータリカッター刃を採用し、接着シートASを貫通または貫通することのない切込が断続的に続くように切断手段20を移動させ、接着シートASを疑似的に切断してもよいし、接着シートASを貫通する切込と当該接着シートASを貫通することのない切込とが規則的または不規則的に、連続的または断続的に続くようにして当該接着シートASを疑似的に切断してもよい。なお、上記のように疑似的に切断された接着シートASは、後に張力付与手段や振動付与手段等によって張力や振動が付与されることで、当該疑似的に切断された部分を境にして完全に切断することができ、本発明の切断装置10は、このような張力付与手段や振動付与手段等を備えていてもよいし、備えていなくてもよい。
多関節ロボット31は、先端アーム31Aに対して着脱不能な状態でカッター刃21を支持する構成としてもよく、この場合、チャックモータ33を設けなくてもよい。
チャックモータ33は、チャック33Aを3体以上備えた駆動機器でもよいし、チャック33Aにおけるカッター刃21の挟込面の一方または両方に、当該カッター刃21が嵌り込む溝が形成されたものが採用されてもよいし、両方に溝が形成されていないものが採用されてもよい。
第1変温手段40、40Aは、第1切断領域21Aや第1カッター刃21Hの内部に配置され、第1切断領域21Aや第1カッター刃21Hを第1の温度に変温させる構成でもよいし、雰囲気の温度や切断対象物の組成、特性、性質、材質、形状、組織等を考慮して、加熱手段だけで構成してもよいし、冷却手段だけで構成してもよいし、加熱手段として赤外線照射装置を採用してもよいし、切断対象物の組成、特性、性質、材質、形状、組織等を考慮して、第1切断領域21Aや第1カッター刃21Hを第1の温度として上記以外の任意の温度や温度範囲に変温させてもよいし、単数または複数設けてもよいし、加熱または冷却した水やオイルや溶剤等の液体を第1切断領域21Aや第1カッター刃21Hに吹き付けてそれらを変温させる構成でもよいし、気体や液体を吹き付けるタイプのものに限らず、熱を伝導するタイプのもの等、第1切断領域21Aや第1カッター刃21Hを変温できればどのようなタイプのものでもよい。
第2変温手段50、50Aは、第2切断領域21Bや第2カッター刃21Lの内部に配置され、第2切断領域21Bや第2カッター刃21Lを第2の温度に変温させる構成でもよく、このような構成の場合、上記実施形態とは異なり、第2切断領域21Bが溝空間SP内に入り込まない場合に効果的である。
第2変温手段50、50Aは、雰囲気の温度や切断対象物の組成、特性、性質、材質、形状、組織等を考慮して、加熱手段だけで構成してもよいし、冷却手段だけで構成してもよいし、加熱手段として赤外線照射装置を採用してもよいし、切断対象物の組成、特性、性質、材質、形状、組織等を考慮して、第2切断領域21Bや第2カッター刃21Lを第2の温度として上記以外の任意の温度や温度範囲に変温させてもよいし、単数または複数設けてもよいし、加熱または冷却した水やオイルや溶剤等の液体を第2切断領域21Bや第2カッター刃21Lに吹き付けてそれらを変温させる構成でもよいし、気体や液体を吹き付けるタイプのものに限らず、熱を伝導するタイプのもの等、第2切断領域21Bや第2カッター刃21Lを変温できればどのようなタイプのものでもよい。
切断対象物支持手段60は、メカチャックやチャックシリンダ等の把持手段、クーロン力、接着剤、粘着剤、磁力、ベルヌーイ吸着、駆動機器等で接着シートASを支持する構成を採用してもよいし、例えば、被着体WKに接着シートASを貼付するシート貼付装置の被着体支持手段や、被着体WKを検査して不要な部分を切断する検査装置の被着体支持手段等どんなものであってもよいし、被着体WKが上側となるように一体物WK1が載置されてもよいし、接着シートASが上側となるように一体物WK1が載置されてもよいし、被着体WKのある位置のみを吸着保持してもよいし、被着体WKのない位置のみを吸着保持してもよいし、それら両方の位置を吸着保持してもよいし、接着シートASに被着体WKが接着されていなくてもよいし、基材シートBSが支持面61A側となるようにして接着シートASを支持してもよいし、他の装置や他の部材で接着シートASを支持する場合、本発明の切断装置10に備わっていなくてもよい。
切断手段検知手段は、カッター刃21の凹部21Cの位置、切先21Dの位置および刃先21Eの位置のうち少なくとも1つを検知する構成でもよいし、カッター刃21の変形、劣化および異物の付着のうち少なくとも1つを検知する構成でもよいし、本発明の切断装置10に備わっていなくてもよい。
切断装置10、10Aは、天地反転して配置したり横向きに配置したりして、接着シートASを切断してもよいし、所定時間が経過した時点でカッター刃21(21H、21L)の交換を行ってもよいし、所定枚数の接着シートASを切断した時点でカッター刃21(21H、21L)の交換を行ってもよいし、所定の長さ以上の切込を形成した時点でカッター刃21(21H、21L)の交換を行ったり、接着シートASを切断する刃先21Eの位置を変えたり、複数設けられた凹部21Cの別の凹部21Cで接着シートASを切断するようにしたりしてもよい。
切断装置は、図2中二点鎖線で示すように、切断手段20を境に、切断手段20の左側および右側の何れか一方(同図では左側)から、第1変温手段40、40Aで第1カッター刃21H(第1切断領域21Aでもよい)を第1の温度に変温させ、切断手段20の左側および右側の何れか他方(同図では右側)から、第2変温手段50、50Aで第2カッター刃21L(第2切断領域21Bでもよい)を第2の温度に変温させてもよい。このような構成とすることで、切断手段20が障壁となって、変温された第1カッター刃21H(第1切断領域21A)の熱と、変温された第2切断領域21B(第2切断領域21B)の熱との相互の熱干渉を抑制し、それらの境界部での温度差を付け易くなり、基材シートBS側を第1の温度で、接着剤AD層側を第2の温度で切断し易くなる。
接着シートASの基材シートBSや接着剤AD層は、何℃で切断し易くなるものが採用されてもよく、例えば、基材シートBSが0℃で切断し易くなり、接着剤AD層が50℃で切断し易くなるものが採用されてもよく、本発明の切断装置10、10Aは、第1変温手段40、40Aで第1切断領域21A、第1カッター刃21Hを変温させる温度や、第2変温手段50、50Aで第2切断領域21B、第2カッター刃21Lを変温させる温度は、基材シートBSや接着剤AD層を切断し易くなる温度を考慮して使用者が任意に設定することができる。
切断対象物として、接着シートASを例示し、一方の面側を基材シートBS、他方の面側を接着剤ADとして説明したが、本発明の切断装置は、切断対象物はどんなものでも切断の対象とすることができ、一方の面側および他方の面側は、当該切断対象物の構成によって任意に選定されるものであり、切断対象物が接着シートASのような積層物でなく単体物である場合でも、一方の面側と他方の面側とで良好に切断できる温度が異なっていれば対応ができる。
切断対象物として、上述のように一方の面側が基材シートBSによって構成され、他方の面側が接着剤AD層によって構成された接着シートASが採用された場合、基材シートBSは、加熱することで柔らかくなって切断がし易くなり、接着剤AD層は、冷却することで硬化してカッター刃21に付着し難くなることで切断し易くなる。また、切断対象物として、例えば、一方の面側がゴムによって構成され、他方の面側がスポンジによって構成された洗浄用ブラシや靴の底敷き等が採用された場合、ゴムもスポンジも加熱することで柔らかくなって切断がし易くなるが、ゴムと同様の温度でスポンジを加熱すると、スポンジが溶けてカッター刃21に付着し切断がし辛くなるので、スポンジは、ゴムに比べて低めに加熱する。これにより、スポンジがカッター刃21に付着し難くなることで切断し易くなる。さらに、切断対象物として、例えば、一方の面側が第1接着剤層によって構成され、他方の面側が第1接着剤層とは異なる第2接着剤層によって構成された両面接着シートが採用された場合、第1接着剤層も第2接着剤層も冷却することで硬化してカッター刃21に付着し難くなることで切断し易くなるが、第1接着剤層と第2接着剤層とで硬化温度が異なる場合があるので、第1接着剤層と第2接着剤層とで冷却する温度を変えるとよい。
基材シートBSは、軟化させることで切断し易くなるものでもよいし、硬化させることで切断し易くなるものでもよい。
接着剤AD層は、硬化させることで切断し易くなるものでもよいし、軟化させることで切断し易くなるものでもよいし、カッター刃21に付着し易くなる、付着し難くなるに関係なく切断し易くなるものでもよい。
切断対象物は、変温されることで軟化、硬化、化学変化、組成変化または組織変化といった何かしらの変化を起こしたり、何の変化も起こさずして切断し易くなるものでもよい。
本発明における切断対象物および被着体WKの材質、種別、形状等は、特に限定されることはない。例えば、切断対象物および被着体WKは、円形、楕円形、三角形や四角形等の多角形、その他の形状であってもよいし、切断対象物が接着シートASの場合、感圧接着性、感熱接着性等の接着形態のものであってもよい。また、このような接着シートASは、例えば、接着剤AD層だけの単層のもの、基材シートBSと接着剤AD層とだけで構成されたもの、基材シートBSと接着剤AD層との間に中間層を有するもの、接着剤AD層の間に中間層を有するもの等、1層または2層以上のものであってよいし。また、切断対象物や被着体WKとしては、例えば、食品、樹脂容器、シリコン半導体ウエハや化合物半導体ウエハ等の半導体ウエハ、回路基板、光ディスク等の情報記録基板、ガラス板、鋼板、陶器、木板、紙、ゴムまたは樹脂等の単体物であってもよいし、それら2つ以上で形成された複合物であってもよく、任意の形態の部材や物品なども対象とすることができる。なお、接着シートASを機能的、用途的な読み方に換え、例えば、情報記載用ラベル、装飾用ラベル、保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルム、ダイボンディングテープ、記録層形成樹脂シート等の任意の形状の任意のシート、フィルム、テープ等を前述のような任意の被着体に貼付することができる。
前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダおよびロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる。
10、10A…切断装置
20…切断手段
20A…第1切断手段
20B…第2切断手段
21A…第1切断領域
21B…第2切断領域
21C…凹部
30…移動手段
40、40A…第1変温手段
50、50B…第2変温手段
AD…接着剤(他方の面側)
AS…接着シート(切断対象物)
BS…基材シート(一方の面側)

Claims (5)

  1. 切断対象物を切断可能な切断手段と、
    前記切断手段および前記切断対象物を相対移動させて当該切断対象物を所定形状に切断する移動手段とを備え、
    前記切断手段は、単体で構成され、前記切断対象物における一方の面側を切断する第1切断領域と、前記切断対象物における他方の面側を切断する第2切断領域とを備え、且つ、前記切断対象物に対して前記一方の面または前記他方の面と平行な方向に相対移動することで、当該切断対象物を切断するように構成され、
    前記第1切断領域を第1の温度に変温させる第1変温手段と、前記第2切断領域を第2の温度に変温させる第2変温手段とを備えていることを特徴とする切断装置。
  2. 前記切断手段は、前記第1切断領域と第2切断領域との境界部に位置する凹部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の切断装置。
  3. 切断対象物を切断可能な切断手段と、
    前記切断手段および前記切断対象物を相対移動させて当該切断対象物を所定形状に切断する移動手段とを備え、
    前記切断手段は、前記切断対象物における一方の面側を切断する第1切断手段と、当該第1切断手段とは別体で構成され、前記切断対象物における他方の面側を切断する第2切断手段とを備え、且つ、前記切断対象物に対して前記一方の面または前記他方の面と平行な方向に相対移動することで、当該切断対象物を切断するように構成され、
    前記第1切断手段を第1の温度に変温させる第1変温手段と、前記第2切断手段を第2の温度に変温させる第2変温手段とを備えていることを特徴とする切断装置。
  4. 切断対象物を切断可能な切断手段および当該切断対象物を相対移動させて当該切断対象物を所定形状に切断する切断方法において、
    前記切断手段は、単体で構成され、前記切断対象物における一方の面側を切断する第1切断領域と、前記切断対象物における他方の面側を切断する第2切断領域とを備え、
    前記第1切断領域を第1の温度に変温させる第1変温工程と、前記第2切断領域を第2の温度に変温させる第2変温工程とを有することを特徴とする切断方法。
  5. 切断対象物を切断可能な切断手段および当該切断対象物を相対移動させて当該切断対象物を所定形状に切断する切断方法において、
    前記切断手段は、前記切断対象物における一方の面側を切断する第1切断手段と、当該第1切断手段とは別体で構成され、前記切断対象物における他方の面側を切断する第2切断手段とを備え、且つ、前記切断対象物に対して前記一方の面または前記他方の面と平行な方向に相対移動することで、当該切断対象物を切断するように構成され、
    前記第1切断手段を第1の温度に変温させる第1変温工程と、前記第2切断手段を第2の温度に変温させる第2変温工程とを有することを特徴とする切断方法。
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