JP6800627B2 - ガラスの製造方法、レンズの製造方法および溶融装置 - Google Patents
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Description
図1は、本発明の一実施形態において用いる溶融装置の模式図である。溶融装置9は、ガラス原料を浮上させる溶融炉2と、溶融炉2を設置するステージ3とを備えている。ステージ3にはガスボンベなどの浮上ガス供給源5からガスが導入され、溶融炉2に設けられたガス噴出口から浮上ガスを噴出できる。ステージ3と浮上ガス供給源5との間のガス配管上に設けた浮上ガス流量制御手段4により浮上ガスの流量を制御することができる。また、溶融炉2上に置いたガラス原料塊1を溶融するための溶融手段6を備えており、溶融炉2から浮上させて溶融中の原料の挙動を観察するためのカメラ8を備えている。
本発明の一実施形態で用いた溶融炉2の断面図及び平面図を図2、図3にそれぞれ示す。溶融炉2の材質は特に限定されず、ガラス原料溶融時に受ける熱に耐えうることができればよい。例えば、ステンレス、アルミニウム、カーボン、窒化珪素、炭化ケイ素、窒化アルミなどで作製することが好ましい。
本実施形態では、例えば網目形成酸化物の含有量が少なく、容器を用いた溶融方法ではガラスとして得られない組成を有するガラス材料の製造方法について説明する。例えば、ホウ素−ランタン−ニオブ系ガラス材などであり、ホウ素の比率が40cat%以下であるような組成である。
上記のガラスの製造方法で得られたガラスを、ガラスモールド成形等の公知の成形方法により成形することによりレンズを製造することができる。
実施例1では、構成されるカチオン成分の比率がB3+が30cat%、La+3が60cat%、Nb5+が5cat%、Ti4+が5cat%となるように酸化物原料を秤量、混合して原料とした。混合した原料粉をCIP成形により棒状に成形し、成形体を1400℃で熱処理した。熱処理後の成形体を切断し、質量0.4gのガラス原料塊を得た。
実施例1と同様のガラス原料塊1、溶融装置9を用いてガラスの作製を行った。ガラス原料塊1は0.47gとなるよう調整した。溶融炉2は材質が実施例1と同様にアルミであり、凹部13は底面が半径6.6mm、外周部が半径3.0mmとなるように湾曲しており、その内径は10mmである。実施例2で用いた溶融炉2の形状を図6に示す。図6(a)は溶融炉2を上から見た平面図であり、図6(b)は横方向から見た断面図である。凹部13には、実施例1と同様に、鉛直方向及び中心方向のガス流路が設けられている。ガス流路はいずれも直径0.3mmであり、鉛直方向へ向けてガスを噴出するためのガス流路10が41個、中心軸方向へ向けてガスを噴出するためのガス流路11が90個設けられている。鉛直方向へ向けてガスを噴出するためのガス流路10は型の中心に1個、型中心を中心として直径2mmの円周上の等間隔に8個、同じく直径3.5mmの円周上に等間隔に16個、同じく直径5mmの円周上に等間隔に16個設けられている。中心軸方向へ向けてガスを噴出するためのガス流路11は型底面中心より0.9mm、1.6mm、2.5mmの高さ位置に、型中心軸に対してそれぞれ49度、69度、90度の向きに設けられている。それぞれ型中心を中心軸とした円周上に等間隔に30個ずつ設けられている。
実施例1と同じガラス原料塊1を用いてガラスの作製を行った。ガラス原料塊1は0.66gとなるように調整した。ガラス原料塊1を図9に示すような溶融装置により溶融した。加熱手段6として200Wの二酸化炭素レーザーを1つ用いた。レーザーは反射ミラー7を用いて型中心に照射されるように調整した。実施例3で用いた溶融炉2の形状を図10、図11に示す。図10は溶融炉2を上から見た平面図であり、図11は横方向から見た断面図である。溶融炉2は材質が実施例1と同様にアルミであり、凹部13は底面が半径6.6mm、外周部が半径3.0mmとなるように湾曲しており、その内径は10mmである。凹部13には、実施例1と同様に鉛直方向へ向けてガスを噴出するためのガス流路(第1のガス流路)10と中心軸方向へ向けてガスを噴出するためのガス流路(第2のガス流路)11が設けられている。ガス流路はいずれも直径0.3mmであり、第1のガス流路10が71個、第2のガス流路11が120個設けられている。第1のガス流路10は型の中心に1個、型中心を中心として直径1mmの円周上の等間隔に6個、同様に直径2mm、3mm、4mm、5mmの円周上に等間隔にそれぞれ8個、16個、16個、24個設けられている。第2のガス流路11は、型底面中心より0.9mm、1.4mm、2.2mm、3.0mmの高さ位置に、型中心軸に対してそれぞれ42.5度、58.2度、75.6度、90度の向きに設けられている。それらは、溶融炉の中心を中心軸とした円周上に等間隔にそれぞれ30個ずつ設けられている。図11に示すように、溶融炉2には第1のガス流路と第2のガス流路を分岐するための隔壁18が設けられており、ステージ3に形成した2つの浮上ガス導入路19を介して浮上ガスが導入した。各々の流路を通る浮上ガスの流量は流量調整手段4として用いた2つのマスフローコントローラにより、個別で制御した。
実施例1と同様のガラス原料塊1、溶融装置を用いてガラスの作製を行った。ガラス原料塊1は0.38gとなるよう調整した。用いた溶融炉2は、実施例1で用いた溶融炉2と材質、凹部13の形状、流路の口径、鉛直方向のガス流路10の配置は同一であるが、中心方向のガス流路11を有していない。比較例1で用いた溶融炉2の形状を図7に示す。図7(a)は溶融炉2を上から見た平面図であり、図7(b)は横方向から見た断面図である。
実施例1と同様のガラス原料塊1、溶融装置を用いてガラスの作製を行った。ガラス原料塊1は0.40gとなるよう調整した。用いた溶融炉2は、実施例1で用いた溶融炉2と材質、凹部13の形状、ガス流路の口径は同一ある。
実施例1、2及び3では、複数の鉛直方向のガス流路10と複数の中心軸方向のガス流路11を有する溶融炉2を用いて無容器溶融法によりガラスを製造することで、高い確率で直径が5.0mm以上のガラスを製造することができた。溶融炉の中心軸に向かう前記第2のガス流路は、溶融炉の中心軸とのなす角が45°以上90°以下であるときにガラスを高い確率で得られることが解った。また、鉛直方向のガス流路と中心軸方向のガス流路から噴出するガス流量を個別に制御することにより、より大きなガラスを製造することができた。
2 溶融炉
4 浮上ガス流量制御手段
5 浮上ガス供給源
6 加熱手段
7 反射ミラー
10 鉛直方向へ向けてガスを噴出するためのガス流路(第1のガス流路)
11 中心軸方向へ向けてガスを噴出するためのガス流路(第2のガス流路)
12 浮上ガス導入口
13 凹部
Claims (11)
- 複数のガス流路を有する溶融炉を用いて、ガラスを生成するための原料を前記ガス流路より噴出するガスにより前記溶融炉から浮上させた状態で、前記原料を加熱して溶融した後に、冷却することによりガラスを生成するガラスの製造方法であって、
前記溶融炉は、凹部を有し、
前記溶融炉は、前記凹部に鉛直方向へ向けてガスを噴出するための単数又は複数の第1のガス流路を有し、
前記溶融炉は、前記凹部に前記溶融炉の中心軸方向へ向けてガスを噴出するための複数の第2のガス流路を有し、
前記第2のガス流路は、前記溶融炉の中心軸を中心とする複数の円の円周上に設けられ、前記複数の円は各々、前記凹部の中心からの距離が異なる高さに設けられており、
前記溶融炉の第1のガス流路から出るガスと、前記溶融炉の第2のガス流路から出るガスとで前記原料が浮上している状態で、前記原料を加熱して溶融し、
溶融している原料を冷却してガラスを生成する
ことを特徴とするガラスの製造方法。 - 前記溶融炉から前記原料が浮上している状態で、前記原料を上方の高さから見て円運動させながら加熱して溶融することを特徴とする請求項1に記載のガラスの製造方法。
- 前記溶融炉から前記原料が浮上している状態で、前記原料を上方の高さから見て回転および円運動させながら加熱して溶融することを特徴とする請求項1又は2に記載のガラスの製造方法。
- 前記第2のガス流路は、前記溶融炉の中心軸に対して対向して設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のガラスの製造方法。
- 前記第2のガス流路は、前記溶融炉の中心軸とのなす角が45°以上90°以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のガラスの製造方法。
- 前記第1のガス流路から出るガスの流量と前記第2のガス流路から出るガスの流量をそれぞれ個別に制御することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のガラスの製造方法。
- 請求項1乃至6のいずれか一項に記載のガラスの製造方法でガラスを製造する工程と、前記ガラスを成形してレンズを製造する工程と、を有することを特徴とするレンズの製造方法。
- 無容器溶融法に用いる溶融装置であって、
凹部を有し、前記凹部に、原料を浮上させる複数のガス流路を有する溶融炉と、前記原料を加熱するための加熱手段と、
前記複数のガス流路からガスを噴出させるために、前記溶融炉に前記ガスを供給するガス供給手段と、を有し、
前記溶融炉は、前記溶融炉の鉛直方向に向かう単数又は複数の第1のガス流路と、前記溶融炉の中心軸方向に向かう複数の第2のガス流路を有し、
前記第2のガス流路は、前記溶融炉の中心軸を中心とする複数の円の円周上に設けられ、前記複数の円は各々、前記凹部の中心からの距離が異なる高さに設けられていることを特徴とする溶融装置。 - 前記第2のガス流路は、前記溶融炉の中心軸に対して対向して設けられていることを特徴とする請求項8に記載の溶融装置。
- 前記第2のガス流路は、前記溶融炉の中心軸とのなす角が45°以上90°以下であることを特徴とする請求項8又は9に記載の溶融装置。
- 前記第1のガス流路に導入するガス流量を制御する単数または複数の第一のガス流量制御手段と、前記第2のガス流路に導入するガス流量を制御する単数または複数の第二のガス流量制御手段とを備えることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか一項に記載の溶融装置。
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