JP3624078B2 - 光学素子成形用ガラス塊の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学素子をプレス成形によって製造するる際に、その成形用素材としての球形状のガラス塊を、溶融ガラスから直接、成形する光学素子成形用ガラス塊の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
軟化状態のガラス塊を、直接、プレス成形して、光学素子を得る製造方法は、非球面レンズなどの高機能光学素子を安価に製造することが可能な点で、近年、急速に発展し、普及している。特に、比較的小さな光学素子を成形する場合、光学素子成形用素材であるガラス塊として、球形状をしたガラス塊を用いることが多い。そして、このような球形状をしたガラス塊の製造方法としては、以下に示すものが、既に知られている。
【0003】
(1)研磨法
これは、板ガラスから、切断によって、サイコロ状ガラス塊を得て、これをバレル加工した後、更に、研削加工し、研磨加工する方法である。この方法によれば、所望の球形状ガラス塊が、その材質や大きさの如何に拘わらず、製造することが可能である。また、この研磨法で得られた球形状ガラス塊は、その真球度が高く、表面も非常に滑らかであるから、光学素子成形用素材として、その品質が大変に優れている。
【0004】
(2)双ロール成形法
これは、溶融ガラス流出口から流出する溶融ガラス流を、その流下の過程で、シャーカッターにより高速切断し、所望重量の軟化ガラス塊を得た後、これをシュータを介して、2本の対向する成形ロールの間へ搬送し、該成形ロールを回転することにより、この間に置かれた前記軟化ガラス塊を回転させて、前記成形ロールに形成した円弧状溝を通して、球形状に成形する方法である。
【0005】
即ち、前記溝の円弧面を軟化ガラス塊に転写すると同時に、前記軟化ガラス塊を、その表面張力の作用により、自然に球形状に成形しながら冷却するのである。この方法は、双ロール成形法として、よく知られており、主に、玩具として知られるビー玉(マーブル)の製造に用いられている。
【0006】
これらの方法は、「ガラスハンドブック」(朝倉書店、1975年発行、作花等の編集)の274頁、また、「ガラスの事典」(朝倉書店、1985年発行、作花の編集)の173頁に、所載されており、この方法で得るのに適した球形状のガラス塊は、その直径が8mm〜30mmの、比較的大きなものである。
【0007】
(3)吹き上げ法
これは、予め、所望に分解されたガラス破片を、下方からのガス流によって空中に浮上した状態に保ちながら、高温の雰囲気中で、再溶融し、その表面張力を利用して、球形状に成形する方法である。この方法は、道路標識などに使われる微細なガラスビーズを製造するのに古くから使われており、上述の「ガラスハンドブック」の275頁、また、「ガラスの事典」の168頁に記載されている。また、この方法で得られる球形状のガラス塊の大きさは、比較的小さなもので、その直径は4mmφ以下である。
【0008】
そして、この吹き上げ法を利用して、光学素子成形用素材である球形状のガラス塊を製造する方法としては、特公平7−51446号公報や特開平3−12330号公報に所載のものを挙げることができる。
【0009】
前者の製造方法では、溶融ガラス流を自然滴下させて、または、切断刃で切断して、所望重量の軟化ガラス塊を分離した後、これを成形型の凹部に、そこに開口する細孔から気体を吹き出している状態の下で落下し、前記凹部内面と前記軟化ガラス塊との間に気体層により浮上状態で受けさせ、冷却する過程で、概略球形状のガラス塊を形成するのである。
【0010】
この製造方法の実施例としては、溶融ガラス流を自然滴下させて分離した軟化ガラス塊を、ラッパ状の成形型の凹部に落下させ、このラッパ状の凹部の底に設けられた細孔から加圧空気を吹き上げることにより、前記軟化ガラス塊を浮上した状態に保ち、球体化する方法が開示されている。そして、ここで得られた概略球形状のガラス塊は、直径:4.03mmφ〜5.63mmφの範囲であることが示されている。
【0011】
後者の製造方法では、高圧ガスの噴射によって、その雰囲気中に導入された軟化ガラス塊を旋回して、その過程で、球形に成形するのである。その実施例では、半球面状の受け皿の底部に、高圧ガスを吹き出す管路を接続し、この高圧ガスにより、その上に供給された軟化ガラス塊を吹き上げると共に、その時の前記軟化ガス塊に加わるガス圧のアンバランスにより、前記軟化ガラス塊を旋回させ、球形にしている。
【0012】
また、他の実施例では、球形タンクの頂部開口から軟化ガラス塊を導入し、球形タンク内に、その側部から高圧ガスを噴出し、このガス噴流により前記軟化ガラス塊を球形タンクの内部で、浮上状態にて転動させ、その結果、得られた概略球形状のガラス塊を球形タンクの下部開口から取り出している。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような従来例には、以下の課題があった。
【0014】
即ち、研磨法では、加工に時間がかかるため、製造コストが大変高くなる欠点があり、また、研磨加工で削除するガラス部分が多いことも、コスト高を招き、また、環境面でも、産業廃棄物としての問題が残る。
【0015】
また、双ロール成形法では、以下に述べる3つの欠点がある。即ち、1番目の欠点は、得られたガラス塊の表面に異物が付着し易いことである。これは、軟化ガラス塊をロールの溝の中に転がしながら、球形状に成形するためで、ロールの溝の中に異物などが落下していると、これがガラス塊の表面に付着するのである。特に、ロールの構成材料である金属の粉などが軟化ガラス塊の表面に付着した場合、このガラス塊を光学素子成形用素材として用いると、成形型の表面に成膜されている離型膜を、前記金属粉が傷付け、あるいは、前記金属粉の成分と前記離型膜とが反応して、前記離型膜を消耗させることがある。
【0016】
また、2番目の欠点は、得られる球形状ガラス塊の大きさの範囲が限られる点である。即ち、この製造方法では、直径が8mmφより小さい球形状のガラス塊を得ることが困難なのである。何故ならば、この製造方法で、小さな軟化ガラス塊を球形状に成形しようとすると、熱容量が小さいため、充分な成形が成されない内に固化してしまうので、歪んだままの形状になってしまうのである。
【0017】
更に、3番目の欠点は、製造する球形状ガラス塊の大きさを変える都度、成形用の溝付きロールを、前記大きさに合った溝付きロールに交換する必要があるが、このロールの製造コストが高いために、結局、球形状ガラス塊の製造コストも高くなる点である。即ち、この製造方法では、溝付きロールの断面のR形状を軟化ガラス塊に転写して、軟化ガラス塊を球形状に成形しているので、所望するガラス塊の直径が異なる場合、溝付きロールも、それに対応するものに変更しなければならない。そして、この溝付きロールは、R形状の溝が螺旋状に形成されたものであるから、その螺旋製作に非常に時間がかかり、さらに、その溝部を鏡面加工する必要から、更に、その製造コストが高くなるのである。
【0018】
また、従来から知られる吹き上げ法では、得られる球形状ガラス塊の大きさが可成り小さいものに制限される欠点がある。具体的には、直径:4mmφ以上の球形状ガラス塊を得ることが難しい。何故ならば、この方法では、溶融ガラスの表面張力により軟化ガラス塊を自然に球形化しているが、軟化ガラス塊が大きい場合には、軟化ガラス塊の自重変形の影響が出て、歪んだ形状になってしまうのである。
【0019】
その点では、特公平7−51446号公報の吹き上げ法は優れている。即ち、ここでは、成形型の凹部を所望大きさのラッパ形状として、そこに投入される軟化ガラス塊への高圧ガスの最適化により、光学素子成形用素材として利用できる大きさまでの球形状ガラス塊を製造できる。既に、この方法で、直径:5.6mmφの球形状のガラス塊まで、具体的に製造可能になっている。
【0020】
しかしながら、この方法にも、2つの欠点がある。その1番目の欠点は、所望するガラス塊の重量を変化させることが困難であることである。即ち、この方法では、溶融ガラス流を自然滴下させて所望重量の軟化ガラス塊を得るが、自然滴下により得られる溶融ガラス塊の大きさが、溶融ガラス流出パイプの直径で決まるので、軟化ガラス塊の大きさを変える際には、流出パイプを交換しなければならないから、口径の異なる幾つもの流出パイプを用意しなければならない。
【0021】
また、2番目の欠点は、得られたガラス塊に、シャーマークと呼ばれる表面欠陥が発生する点である。即ち、この方法では、比較的大きなガラス塊を得るための軟化ガラスの分離に、溶融ガラス流を、その流下の過程で、切断刃により切断する方法が採用されるが、この場合、前記軟化ガラス塊には、溶融ガラス流を切断した表面位置に、微量の空気の巻き込みにより、シャーマークと呼ばれる、微少な泡が残る。このようなシャーマークのあるガラス塊を光学素子成形用素材として用いると、得られた光学素子にも微少な泡が残るので、不適当である。
【0022】
更に、特開平3−12330号公報に所載の製造方法では、軟化ガラス塊を旋回させて、球形状のガラス塊に成形するために、高圧ガスを前記軟化ガラス塊に向けて噴射している。しかし、この方法でも、以下に述べるような2つの欠点がある。その1番目の欠点は、軟化ガラス塊の、高圧ガスが当たった部分が凹んでしまう場合があることで、これは、軟化ガラス塊が、未だ、充分に変形可能な高温状態にある内に、高圧ガスを吹き付けられるためであり、特に、軟化ガラス塊が十分に旋回されていない場合に、軟化ガラス塊の一部が凹んでしまうことである。
【0023】
例えば、実施例で示されるように、半球状の受け皿の底部に明けられた穴から噴出するガスは、軟化ガラス塊の旋回に殆ど寄与しないから、この時、前記軟化ガラス塊の下部が、噴出するガスにより、凹んでしまうのである。このように、凹みのあるガラス塊を光学素子成形用素材として用いることは好ましくない。
【0024】
また、その2番目の欠点は、高圧ガスが当たった軟化ガラス塊は、旋回運動のみでなく、位置移動を起こすような平行運動もするので、時には、壁などに当たり、その部分が凹んでしまうことがあることで、例えば、軟化ガラス塊が、横方向から噴射している高圧のガス流により、横方向へ飛んでいき、球形タンクの内壁に衝突するのである。その結果、軟化ガラス塊が変形し、また、その表面に異物が付着する可能性があり、それが光学素子成形用素材として望ましくない。
【0025】
以上述べたように、従来の技術では、総じて、以下に示すような課題がある。
【0026】
(1)凹みなどの形状欠陥が発生する場合がある。
【0027】
(2)シャーマークや異物付着などの表面欠陥が発生する場合がある。
【0028】
(3)得られる球形状ガラス塊の大きさに制約があり、特に、従来から知られている方法では、ガラス塊の直径が5mmφから8mmφの範囲のものを製造するのに適していない。
【0029】
(4)製造コストが高くなる場合がある。
【0030】
本発明は、上記事情に基づいてなされたもので、凹球面状の受け面を有する多孔質の受け型を、溶融ガラス流出口の直下に位置し、前記多孔質の受け型を通して前記受け面から噴出する加圧ガスによって、溶融ガラス流出口からの溶融ガラス流を、前記受け面に対して非接触状態で浮上させたまま受けると共に、前記受け型上で所要重量の軟化ガラス塊を分離し、成形する光学素子成形用ガラス塊の製造方法において、凹みなどの形状欠陥、シャーマーク、異物付着などの表面欠陥が無く、しかも、光学素子成形用素材として利用可能な大きさの、球形状のガラス塊を、特に、その直径が3mmφ〜10mmφの間のものを、安価に製造することができる方法を提供することを目的としている。
【0031】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明では、前記溶融ガラス流から前記軟化ガラス塊を分離するには、前記受け型を降下することにより溶融ガラス流を括れさせる工程が用いられ、また、前記軟化ガラス塊を球形に成形するには、前記受け型上の軟化ガラス塊を、前記受け面に対して非接触状態で回転させながら冷却する工程が用いられることを特徴とする。
【0032】
この場合、前記軟化ガラス塊を回転させながら冷却する工程は、前記受け型上の前記軟化ガラス塊の粘度が103 ないし105 dPa・sの範囲において開始されることが望ましい。しかも、前記軟化ガラス塊の回転は、前記受け型上において複数方向であり、それらの方向への回転を交代的に行うか、前記受け面から噴出しているガスの噴出速度または噴出圧力に、前記受け面の部位によって差を持たせるか、前記受け面上で浮上している前記軟化ガラス塊の上部に対して、横方向からガスを噴射することで行うか、更には、前記軟化ガラス塊の上方に多孔質部材を配置し、該多孔質部材を透過して下方に加圧ガスを噴出しながら、前記多孔質部材を前記軟化ガラス塊に接近させると共に、該多孔質部材と前記軟化ガラス塊とが横方向に相対的に移動させることで行うかするのがよい。なお、前記受け型を、直線往復運動、回転運動あるいは揺動運動、もしくはこれらの複合運動させることで前記軟化ガラス塊を回転させてもよい。
【0033】
従って、軟化ガラス塊を受け型上に浮上、保持している状態で、溶融ガラス流を括れさせて自然に切断し、所望重量に分離でき、この軟化ガラス塊を、受け型上で回転させながら冷却することにより、所望の重量、所望の大きさで、凹みなどの形状欠陥のない、良好な形状の球形状ガラス塊を得ることができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の光学素子成形用ガラス塊の製造方法について、更に具体的に説明する。ここでは、凹球面状の受け面を有する多孔質の受け型を、溶融ガラス流出口の直下に位置し、前記多孔質の受け型を通して前記受け面から噴出する加圧ガスによって、溶融ガラス流出口からの溶融ガラス流を、前記受け面に対して非接触状態で浮上させたまま受けると共に、前記受け型上で所要重量の軟化ガラス塊を分離し、成形する。
【0035】
特に、本発明において、前記溶融ガラス流から前記軟化ガラス塊を分離するには、前記受け型を降下することにより溶融ガラス流を括れさせる工程(図示せず)が用いられる。
【0036】
即ち、軟化ガラス塊を受け型の受け面上に浮上、保持している状態で、前記受け型を溶融ガラス流の降下速度より早く、所要距離、下降させることで、溶融ガラス流を括れさせ、この過程で、溶融ガラス流の括れた個所が細り、自然に切断されることになり、切断刃を使わずに、溶融ガラス流を切断できる。このため、従来のようなシャーマークなどの表面欠陥が発生しない。
【0037】
この後、前記受け型は、図1に符号2で示すように、その凹球面(この実施の形態では、半球面)状の受け面の上に、軟化ガラス塊1を浮上、保持する。そひて、軟化ガラス塊1は、頭初、その下面が前記受け面の形状を、前記受け面に沿う加圧ガスの層を介して転写し、半球形状になっており、一方、その上面が、ガラスの表面張力により、自由表面形状になっている。この自由表面形状は、表面張力と自重変形とのバランスにより決まり、一般的には、半球形状から僅かに扁平側に潰れた形状になっている。
【0038】
また、本発明において、軟化ガラス塊1を球形に成形するには、受け型2上の軟化ガラス塊1を、前記受け面に対して非接触状態で回転させながら冷却する工程が用いられる。
【0039】
即ち、軟化ガラス塊1を回転させることで、例えば、上下が逆の状態になると、受け型2の受け面の形状に倣って、既に半球面状になっている軟化ガラス塊1の面が上面に移動し、逆に、自由表面形状の面が下に移動して、前記受け面を転写し、半球面状に形成される。このように、軟化ガラス塊1の上下を反転させることにより、その上下面ともに、球形状をなしたガラス塊となる。
【0040】
なお、軟化ガラス塊1では、上面に移動した個所は、時間経過と共に徐々に自由表面形状に変形してしまうので、軟化ガラス塊1が或る程度まで固化する間、その回転操作を持続する必要がある。このように、冷却の過程で、軟化ガラス塊1を連続して回転させることにより、最終的に、ガラス塊はその全面が球形状に形成される。
【0041】
このように、本発明では、ガラス塊の全面に対して、球面を転写させながら、冷却固化するので、得られたガラス塊は、凹みなどの形状欠陥を発生することがない。また、ここでは、受け型2上に、軟化ガラス塊1を、ガス層により浮上状態に保持しながら、回転させているので、回転時に、軟化ガラス塊1と受け型2の受け面とが互いに接触することがなく、異物が軟化ガラス塊1の表面に付着することがない。
【0042】
何故ならば、受け型2が多孔質であり、その受け面の全てからガスが噴射しているので、軟化ガラス塊1が受け型2の一部に接近した場合、その部位のガス圧が高くなり、軟化ガラス塊1は、中央位置に押し戻される。即ち、一般の静圧軸受けと同じ原理により、軟化ガラス塊1は、受け型2の受け面に接触することなく、常に、受け面の中心部で、浮上状態に保持されるのである。
【0043】
また、凹球面状の受け面を有する多孔質の受け型2の上に受けた軟化ガラス塊1を、その上で回転させることにより、球形状のガラス塊に成形しているので、先述したような従来の方法では得ることが困難であった、直径が3mmφ〜10mmφの範囲の大きさの球形状のガラス塊も、確実かつ容易に得られる。また、溶融ガラスから直接、光学素子成形用素材となる球形状のガラス塊を得るので、表面研磨によるガラスの部分除去の加工が不要であるから、製造コストが下がるだけでなく、残滓の処理が不要となる。
【0044】
このような製造方法において、受け型2の受け面上で、軟化ガラス塊1を浮上、保持させたまま、回転させ、冷却する工程において、軟化ガラス塊1は、その粘度範囲が、103 ないし105 dPa・sにある間に、その回転を開始するのがよい。これは、ガラスの粘度が103 より小さい範囲では、軟化ガラス塊1が柔らか過ぎるので、この状態で、軟化ガラス塊1を回転しようとすると、軟化ガラス塊1の表面部がだれて、受け型2の受け面に接触し、融着したり、加圧ガスの流れで、軟化ガラス塊1の表面部に大きな泡が発生する場合があるからである。
【0045】
なお、上述のように、溶融ガラス塊1を、受け面上で回転させ始める時のガラスの粘度は、103 から105の範囲が好ましいが、この最適値は、ガラスの種類や軟化ガラス塊の大きさを考慮して、適宜、選択されるべきである。なお、一般的には、所望するガラス塊が大きい場合は、ガラスの粘度が低い状態から回転させることが好ましく、逆に、所望するガラス塊が小さい場合は、ガラスの粘度がある程度大きくなってから回転させても問題ない。しかし、ガラスの粘度が105 より大きくなってからガラス塊を回転させると、ガラス塊が所望する球形状に丸まらない場合があるので注意する必要がある。
【0046】
また、軟化ガラス塊1の回転は、受け型2上において複数方向であり、それらの方向への回転を交代的に行うようにするとよい。これは、軟化ガラス塊1を一方向のみに回転し続けると、出来上がるガラス塊が回転楕円体的な形状になってしまうからで、上述のように、軟化ガラス塊1を複数方向に交互に回転させることにより、これを防止し、球形状のガラス塊を得ることができる。なお、回転は、特定の回数毎に、その複数方向へ交代的に回転させるようにしても良く、また、連続的に回転させる方向を変えてもよい。
【0047】
また、軟化ガラス塊1の回転は、図1および図2に示すように、受け面から噴出しているガスの噴出速度(V1、V2、V3) または噴出圧力に、前記受け面の部位によって差を持たせるとよい。このように、ガスの噴出速度または噴出圧力に、受け面において部分的に差を持たせるためには、例えば、受け型に供給するガスの供給路を複数径路に分岐するとか、多孔質の受け型の通気性を、その受け面について部分的に変化させたりすることで達成できる。この場合、装置として、このような構成にするのは、比較的、コスト面で安くできる。
【0048】
更に、軟化ガラス塊1の回転は、図3および図4に示すように、受け面上で浮上している軟化ガラス塊1の上部に対して、横方向からガスを噴射することで行ってもよい。なお、ここでは、軟化ガラス塊の上部に対して横方向から圧力ガスを噴射するために、ガス噴出ノズル9が適当な位置に設置されている。ここから噴出されたガスは、受け型2上に浮上、保持されている軟化ガラス塊1の上部に横方向から当たるので、これを回転させる力として確実に作用する。
【0049】
また、軟化ガラス塊1を回転するために、図5ないし図8に示すように、軟化ガラス塊1の上方に多孔質部材10を配置し、多孔質部材10を透過して下方に加圧ガスを噴出しながら、多孔質部材10を軟化ガラス塊1に接近させると共に、多孔質部材10と軟化ガラス塊1とを横方向に相対的に移動させてもよい。
【0050】
このような構成においては、この多孔質部材10に接近している軟化ガラス塊1の上部は、多孔質部材10の横移動に伴って、圧力ガスとの気体粘性によって、横移動しようとする。すなわち、軟化ガラス塊1は、受け型2上で浮上、保持された状態で回転する。この時、当然ながら、多孔質部材10からは圧力ガスが噴出しているので、多孔質部材10の下面と軟化ガラス塊1とが接触することはない。また、軟化ガラス塊1の上部に接近させる多孔質部材10の形状を、図5に示すように、R形状の溝を有するものとすることで、軟化ガラス塊1を球形状に成形する作用が、受け型2の受け面と多孔質部材10の溝面との2個所で行われることになり、球形状への成形がより速く、また、より確実に行える。
【0051】
なお、この実施の形態で、図9〜図11に示すように、受け型2を、直線往復運動、回転運動あるいは揺動運動、もしくはこれらの複合運動させることで、軟化ガラス塊1を回転させてもよい。このように、受け型2の受け面上に軟化ガラス塊1を浮上保持させている状態で、受け型2を運動させることにより、軟化ガラス塊1を受け面上で転がす方法は、所望する球形状のガラス塊の大きさが比較的小さい場合に適している。この時、所望する球形状ガラス塊の半径と、受け型の受け面の半径とが、同一である必要はなく、受け面の半径が、所望する球形状ガラス塊の半径に比べて、かなり大きくてもよい。
【0052】
【実施例】
(第1の実施例)
以下、本発明の具体的な事例を、図1および図2を参照して説明する。図1に示す装置において、光学素子用成形素材として、球形状のガラス塊を製造する場合、前述のように、流出ガラスから多孔質の受け型2に受けた軟化ガラス塊1は受け型2を透過する加圧ガスで受け型2の成形面上に浮上された状態にあり、その加圧ガスの、成形面上への噴出量の調整で、軟化ガラス塊1に回転力を与えている。
【0053】
このため、受け型2は保持ブロック3で保持されており、また、保持ブロック3の内部にガス供給室が設けられ、受け型2の中央背部に位置している。また、ガス供給室4の周囲には、図2に示すように、隔壁8によって4分割された周辺部ガス供給室6が形成されている。そして、各ガス供給室4、6には、それぞれ、ガスを供給するためのガス供給管5、7が接続してあり、中央のガス供給管5には、V1の噴出速度あるいは圧力でガス供給がなされ、各ガス供給管7にはV2、V3・・・の噴出速度あるいは圧力でガス供給がなされる。この際に、V2、V3・・・の値を微妙に調整することで、成形面上で浮上する軟化ガラス塊1に回転力を付与している。なお、受け型2の成形面は、所望する球形状ガラス塊の半径よりも若干大きい半径の球面に加工されている。
【0054】
而して、これらのガス供給管5および周辺部ガス供給管7から、ガス供給室4および周辺部ガス供給室6に高圧のガスを供給し、このガスを受け型2の多孔質層の細孔を通して、成形面から噴出している状態にして置いて、この状態の受け型2を、溶融ガラスを連続的に流出している状態の溶融ガラス流出パイプ(図示せず)の出口の直下に位置させる。
【0055】
そして、所要時間、受け型2をこの状態に保ち、溶融ガラスを受け型2の成形面上に溜める。この時、成形面からは、前述のように、ガスが噴出しているので、成形面上のガラス塊と受け型2とが接触することはない。この非接触状態で、所望の重量のガラスが、成形面上に溜まるまで保持する。
【0056】
所望の重量のガラスが成形面上に、軟化ガラス塊として、溜まった後、受け型2を、溶融ガラス流の速度より早く、所定距離まで下降させる過程で、軟化ガラス塊の上で、溶融ガラス流を括れさせ、溶融ガラス流を自然に切断する。
【0057】
次いで、受け型2を側方に移動し、得られた軟化ガラス塊1を、浮上状態に保持したまま、少し、冷却する。その後、周辺部ガス供給室6の内の幾つか、例えば、1つに供給するガスの流量(流速)または圧力を大きくする。即ち、図1に示すように、周辺部ガス供給室6の内の1つに供給するガスを、V3>V2にし、それ以外の周辺部ガス供給室6に供給するガスをV2のままにする。
【0058】
すると、受け型2の成形面上に浮上、保持されている軟化ガラス塊は、図1に示す方向に回転し始める。この回転により、ガラス塊は、受け型2の成形面の半径を転写するので、球形状のガラス塊に成形されてくる。なお、V3 のガスを供給する周辺部ガス供給室6の1つを固定したままでは、軟化ガラス塊1が歪んだ球形状になるので、V3のガスを供給する周辺部ガス供給室6の個所を、順次、位置替えすることにより、ガラス塊の回転方向を、順次に変えると、形状精度(真球度)の良好な球形状のガラス塊が得られる。
【0059】
このように、受け型2の成形面上で浮上、保持されている軟化ガラス塊を回転させ、球形状のガラス塊1に成形させた後、このガラス塊を必要な温度まで冷却した後、ガラス塊の回転を終了させ、この球形状ガラス塊を受け型2から取り出すのである。
【0060】
更に、本実施例を、より具体的に説明する。即ち、受け型2の材料として、気孔率:30%、平均孔径:15μmである多孔質のカーボンを用いた。また、これの受け面(成形面)を、半径4mmの半球形状に加工した。
【0061】
保持ブロック3は、ステンレスで製作した。保持ブロック3の内部には、直径6mmのガス供給室4が設けられた。さらに、その外に直径10mmの範囲まで、隔壁8で4分割された周辺部ガス供給室6が設けられた。同じく、ガス供給室4と周辺部ガス供給室6の間も、隔壁8により、気密に分割されている。これらのガス供給室4および周辺部ガス供給室6には、それぞれ、ステンレス製のガス供給管5、7が接続されている。これらの平面的な位置関係は、図2において明示されている。更には、保持ブロック3の内部には、カートリッジヒータ(図示せず)が内蔵されており、常時、200℃に加熱されている。
【0062】
この状態の受け型に、20MPaの圧力の窒素ガスを供給した。その流量は、ガス供給管5を通って、ガス供給室4へ毎分1L、ガス供給管7を通って、周辺部ガス供給室6へ毎分1L、合計で、毎分5Lである。このように、受け型2の受け面から、毎分5Lの窒素ガスが噴出している状態の受け型2を、溶融ガラス流出パイプ(図示せず)の出口の下、10mmの位置に移動させた。
【0063】
上述の溶融ガラス流出パイプは、白金で製作されており、その内径は5mmである。ここからは、1000℃の温度の溶融ガラス流が流出している。
【0064】
この状態で、受け型2を4秒間、保持した結果、所望する重量である0.7gのガラス塊が受け型2の上に受けられた。なお、この間、受け型2の成形面からは、毎分5Lの流量の窒素ガスが噴出しているので、受け型の上に受けられたガラス塊が、受け型2と接触することは無く、軟化ガラス塊は、受け型2から浮上した状態に保たれている。
【0065】
この後、直ちに、受け型2を7mm、降下し、その位置で停止した。その状態で0.5秒経過したとき、ガラス塊の上側で、溶融ガラス流の括れた部分が自然に切断された。このようにして得られた軟化ガラス塊1を、受け型2の成形面から噴出している窒素ガスにより浮上、保持している状態のまま、暫く冷却した。
【0066】
溶融ガラス流を自然に切断した後、15秒後に軟化ガラス塊の温度が820℃まで低下した。これは、このガラスの粘度で103.5 dPa・sに相当する温度であった。
【0067】
そこで、周辺部ガス供給室6のうちの1つに供給するガスの流量を、毎分1Lから毎分10Lへ増した。これは、図1に示す状態で、V1を毎分1L、V2を毎分1L、V3を毎分10Lの窒素ガス流量にした状態である。この状態で、受け型2の上に浮上、保持されている軟化ガラス塊が回転し始める。この時の軟化ガラス塊の回転数は、毎分100回転に達していた。
【0068】
この状態で、毎分10Lの流量のガスを供給している周辺部ガス供給室7の個所を順次、変えていった。具体的には、図2で、反時計回りの方向へ、大流量のガスを噴出するガス供給室7を順次、変えたのである。また、各ガス供給室7で順次、大流量のガスが噴出している時間間隔は、各5秒であった。すなわち、ガラス塊は、5秒毎に回転する方向を変えながら回転して、その結果、所望の精度(真球度)で球形状のガラス塊を成形した。
【0069】
このようなガラス塊の回転を、20秒続けたところで、軟化ガラス塊1の温度が530℃まで下がったので、回転を停止し、成形された球形状ガラス塊を取り出した。
【0070】
この球形状ガラス塊は、その大きさが直径:7mmで、凹みや表面欠陥が無く、その表面は滑らかであり、従来のようなシャーマークや異物付着などの表面欠陥が無く、光学素子成形用素材として、大変に適した品質であった。また、溶融ガラスから連続的に、1分ほどのタクトで、球形状のガラス塊を製造することができるので、製造コストをダウンできる。
【0071】
なお、本実施例では、ガラス塊を回転させるのに、受け型から噴出するガスの流量を調整する手段を用いるから、ガラス塊を回転させる特別な機構が不必要であり、製造装置が単純化し、安価なものになり、その結果、ランニングコストとして、球形状のガラス塊を安価に製造することができる。
【0072】
(第2の実施例)
図3および図4に示す装置を用いて、球形状のガラス塊を製造する場合について具体的に説明する。ここでは、受け型2の下側で、保持部材3に設けたガス供給室4が1つあり、ガス供給管5を介して、加圧ガスの供給がなされ、受け型2の多孔質層を透過したガス圧で、その成形面上に軟化ガラス塊1を浮上、保持するが、この軟化ガラス塊1には、軟化ガラス塊1の上半部に対して側方からガス噴射ノズル9を介して、ガスを噴射して、回転力を与えている。
【0073】
なお、この実施例では、ガス噴射ノズル9は、互いに直交する方向から、軟化ガラス塊1に向けて交互にガス流を噴出させ、回転方向を変えている。その結果、ガラス塊の形状の歪みを避けているのである。なお、この場合も、受け型2の成形面(受け面)は、所望する球形状ガラス塊1の半径より若干大きい半径の球面に加工されている。
【0074】
而して、先ず、ガス供給管5から、ガス供給室4に高圧のガスを供給し、このガスが多孔質の受け型2の細孔を通って、受け型2の受け面から噴出している状態にする。続いて、この状態の受け型2を、溶融ガラス流を流出しているガラス流出パイプ(図示せず)の出口の直下に位置させる。そして、受け型2の成形面に溶融ガラス流を受け、軟化ガラス塊として、溜める。この時、成形面からはガスが噴出しているので、軟化ガラス塊は受け型2に接触することはない。
【0075】
この非接触状態で、所望の重量の軟化ガラス塊が、受け型2上に溜まるまで保持し、その後、受け型2を所定距離まで下降させ、その過程で、溶融ガラス流を括れさせ、自然に切断する。
【0076】
このようにして得られた溶融ガラス塊は、その状態に保たれ、少し冷却されるが、その後、ガス噴出ノズル9からガスを噴出することで、受け型2の成形面上で、浮上、保持された状態のまま、図3に示す方向に回転し始める。この回転により、ガラス塊は、受け型2の成形面の曲率半径に近い半径球面を転写するので、球形状のガラス塊に成形されてくる。この実施例の場合も、同一のガス噴射ノズル9からガスを噴射し続けると、軟化ガラス塊1が同一方向にのみ回転し、歪んだ球形状になるので、図4に示すように、異なった方向から、交互にガスを噴射し、軟化ガラス塊の回転方向を交互に変えるのである。このことにより、形状精度(真球度)の良好な球形状のガラス塊を得る。
【0077】
そして、受け型2の上で浮上、保持されている軟化ガラス塊1を回転させ、球形状のガラス塊に成形させた後、このガラス塊が必要な温度まで冷却された段階で、ガラス塊の回転を終了させ、球形状ガラス塊を受け型2から取り出すのである。
【0078】
なお、上述の実施例においては、受け型2の材料として、気孔率:30%、平均孔径:15μmである多孔質のカーボンが用いられた。また、受け型2の成形面を、半径:4mmの半球形状に加工した。保持ブロック3は、ステンレスで製作し、保持ブロック3の内部には、直径:10mmのガス供給室4を設け、このガス供給室4に、ステンレス製のガス供給管5を接続している。なお、保持ブロック3の内部には、カートリッジヒータ(図示せず)が内蔵されており、常時、200℃に加熱されている。
【0079】
この状態の受け型には、20MPaの圧力の窒素ガスを供給した。ガス供給管5を通って、ガス供給室4へ供給されるガスの流量は、毎分5Lである。このように、受け型2の成形面から、毎分:5Lの窒素ガスが噴出している状態で、受け型2を、溶融ガラス流出パイプ(図示せず)の出口の下、10mmの位置に移動させた。
【0080】
前記溶融ガラス流出パイプは、白金で制作されており、その内径は5mmである。ここからは、1000℃の温度の溶融ガラス流が流出している。この状態で受け型2を4秒間保持した結果、所望する重量である0.7gの軟化ガラス塊が受け型2の成形面上に受けられた。この間、成形面からは、毎分:5Lの流量の窒素ガスが噴出しているので、軟化ガラス塊1は、受け型2と接触することは無く、浮上した状態に保たれている。
【0081】
この後、直ちに、受け型2を、7mm下方へ下げ、その位置で停止した。その状態で0.5秒経過したとき、溶融ガラス流の括れた部分が自然に切断された。そして、得られた軟化ガラス塊1を、受け型2の成形面から噴出している窒素ガスにより浮上、保持している状態のまま、暫く冷却した。
【0082】
溶融ガラス流を自然に切断した後、15秒後に、軟化ガラス塊の温度が820℃まで低下した。これは、このガラスの粘度で103.5 dPa・sに相当する温度である。
【0083】
そこで、1つのガス噴射ノズル9から、毎分:10Lの流量の窒素ガスを噴射した。ガス噴射ノズル9の先端の開口部は、図3および図4に示すように、横に広く、縦に薄い形状に加工されているので、図3に示すように、軟化ガラス塊1の上部に確実に当たる。この状態で、受け型2の上に浮上、保持されている軟化ガラス塊が回転し始める。この時のガラス塊の回転数は、毎分100回転に達していた。
【0084】
この状態で、毎分:10Lの流量のガスを噴射しているガス噴射ノズル9を交互に切り換えた。ここで、各ガス噴射ノズル9からガスが噴射している時間間隔は、各5秒であった。すなわち、軟化ガラス塊は、5秒毎に回転する方向を変えながら回転して、球形状のガラス塊1に成形されていった。
【0085】
軟化ガラス塊1の回転を20秒続けたところで、ガラス塊の温度が530℃まで下がったので、回転を停止し、得られた球形状ガラス塊を取り出した。その結果、ガラス塊は、その大きさが直径:7mmであり、凹みや表面欠陥が無く、その表面は滑らかであり、従来のようにシャーマークや異物付着などの表面欠陥が無く、光学素子成形用素材として大変に適した品質であった。
【0086】
また、溶融ガラスから連続的に、1分ほどのタクトで、球形状のガラス塊を製造することができるので、球形状ガラス塊を安価に製造することができる。更に、本実施例では軟化ガラス塊を回転させるのに、横方向からガスを噴射する手段により、軟化ガラス塊を確実に回転させることができる。特に、軟化ガラス塊を回転させる機構が、ガス噴射ノズル9やガス流量制御機構(図示せず)で、比較的安価に得られるものなので、ランニングコストとして、球形状ガラス塊を安価に確実に製造することができる。
【0087】
(第3の実施例)
次に、図5および図6に示す装置での実施例を説明する。図において、軟化ガラス塊1、受け型2、保持ブロック3、ガス供給室4、ガス供給管5は、第2の実施例と同様である。特に、この実施例で新たに加わるものは、軟化ガラス塊1を回転させるための多孔質の部材10、この部材10を保持するための保持ブロック11、部材10の背部に位置しているガス供給室12、および、ガス供給室12にガスを供給するためのガス供給管13である。また、受け型2は、その保持ブロック3と共に、成形面の曲率中心を通る垂直軸線で回転されるように構成されている。
【0088】
なお、本実施例において、ガラス塊を回転させるための多孔質の部材10は、細長い溝条の形状に加工されている。すなわち、図5に示すように、部材10の横方向の断面形状は、半円形状であるが、縦方向の断面形状は、図6に示すように平行に長い形状をしている。この細長い多孔質の部材10の背部に対応して、ガス供給室12が細長く形成されている。この細長いガス供給室12には、その長手方向に所望間隔で、複数個のガス供給管13が接続されている。
【0089】
そして、前述と同様に、ガス供給管5から、ガス供給室4に高圧のガスを供給し、このガスを受け型2の多孔質層の細孔を通して、受け型2の成形面から噴出する。続いて、この状態の受け型2を、溶融ガラスを流出している状態の溶融ガラス流出パイプ(図示せず)の出口の直下に位置させる。その後、所定重量のガラス塊を分離、保持した後で、受け型2を側方に移動する点は、第2の実施例と同様であり、この様にして得られた軟化ガラス塊1は、その浮上状態に保ちながら、少し冷却される。
【0090】
一方、ガス供給管13から、ガス供給室12に高圧ガスを供給し、このガスが多孔質部材10の細孔を通って、部材10の半円形断面を持つ内表面から噴出している状態にして置く。そして、移動された受け型2上の軟化ガラス塊の上に多孔質部材10を接近させる。この状態で、多孔質の部材10を、図6に示すように、その長手方向に平行移動させる。これにより、受け型2の上に浮上、保持されているガラス塊は、矢印の方向に回転し始める。この回転により、ガラス塊は、受け型の成形面の曲率半径に近い半径球面を転写し、球形状のガラス塊に成形されてくる。
【0091】
なお、ガラス塊を同一方向にのみ回転し続けると、ガラス塊が歪んだ球形状になるので、図6に示すように、受け型2を前述の軸線を中心に回転させながら、多孔質部材10をその長手方向に平行移動させることにより、軟化ガラス塊1の回転方向を連続的に変えることにより、形状精度(真球度)の良好な球形状のガラス塊を得るのである。
【0092】
このようにして、受け型2上で浮上、保持されている軟化ガラス塊1を回転させ、球形状のガラス塊に成形させた後、このガラス塊を必要な温度まで冷却させた後、ガラス塊の回転を終了させ、球形状のガラス塊を受け型2から取り出すのである。
【0093】
なお、本実施例の具体的構成は次の通りである。即ち、受け型2の材料として、気孔率:30%、平均孔径:15μmである多孔質のカーボンを用いた。また、これの受け面を、半径:6mmの凹半球形状に加工し、保持ブロック3を、ステンレスで製作した。更に、保持ブロック3の内部には、直径:10mmのガス供給室4を設け、このガス供給室4に、ステンレス製のガス供給管5を接続している。また、保持ブロック3の内部に、カートリッジヒータ(図示せず)を内蔵させており、常時、200℃に加熱している。
【0094】
一方、ガラス塊を回転させるための多孔質の部材10も、受け型2と同じ多孔質のカーボンで作った。この表面は、半径:6mmの半円形断面の溝条に加工され、その長さは1000mmである。また、保持ブロック11は、ステンレスで作られている。保持ブロック11には、その内部のガス供給室12に5本のガス供給管13が同一間隔で接続され、また、カートリッジヒータ(図示せず)が内蔵されており、常時、200℃に加熱されている。
【0095】
そして、上述の受け型2に、20MPaの圧力の窒素ガスを供給した。ガス供給管5を通ってガス供給室4へ供給されるガス流量は毎分:5Lである。このように受け型2の成形面から、毎分:5Lの窒素ガスが噴出している状態で、受け型2を、溶融ガラス流出パイプ(図示せず)の出口の下、10mmの位置に移動させた。なお、溶融ガラス流出パイプは、白金で製作されており、その内径は5mmである。ここからは、1000℃の温度の溶融ガラス流が流出している。
【0096】
この状態で、受け型2を5秒間保持した結果、所望する重量である1.0gの軟化ガラス塊1を受け型2上に受けた。なお、この間、受け型2の成形面からは、毎分:5Lの流量の窒素ガスが噴出しているので、軟化ガラス塊1が受け型2と接触することは無く、軟化ガラス塊は、受け型2から浮上した状態に保たれている。
【0097】
この後、直ちに、受け型2を8mm降下し、その位置で停止した。その状態で0.5秒経過したとき、溶融ガラス流の括れた部分が自然切断された。このようにして得られた軟化ガラス塊1を、受け型2の成形面から噴出している窒素ガスにより、浮上保持している状態のまま、暫く冷却した。前記自然切断から7秒後に、軟化ガラス塊1の温度を880℃まで低下した。これは、このガラスの粘度で103 dPa・sに相当する温度である。
【0098】
また、前述の状態の多孔質の部材10に、20MPaの圧力の窒素ガスを供給した。その流量は、5本のガス供給管13を通って、合計で毎分:100Lである。このように、成形面から毎分:100Lの窒素ガスが噴出している状態の多孔質の部材10を、880℃まで冷却された軟化ガラス塊1の上部に、約0.5mm位置まで接近させた。
【0099】
続いて、この部材10を、その長手方向に毎秒20mmの速度で、平行移動させた。それと同時に、受け型2をその保持ブロック3と共に、毎分:20回転で、回転させた。すると、ガラス塊は、回転する方向を連続的に変えながら回転して、球形状のガラス塊に成形されていった。
【0100】
このようなガラス塊の回転を、長さ1000mmの多孔質の部材10の端から端まで行なったとき、この球形状のガラス塊1を取り出した。この時、球形状のガラス塊1の温度は、500℃であった。
【0101】
このようにして得られた球形状ガラス塊は、その大きさが直径:10mmで、凹みや表面欠陥が無く、その表面は滑らかであり、従来のようなシャーマークや異物付着などの表面欠陥が無く、光学素子成形用素材として大変に適した品質である。
【0102】
また、溶融ガラスから連続的に、1分ほどのタクトで、球形状のガラス塊を製造することができるので、球形状のガラス塊を安価に製造することができる。また、本実施例では、軟化ガラス塊を回転させる機構を、ガラス塊の上部に接近させた多孔質の部材10で構成し、これを横方向に平行移動させることで、軟化ガラス塊1を確実に回転させることができる。
【0103】
特に、本実施例では、多孔質の部材10に半円形断面の溝条を形成しているので、比較的大きな球形状ガラス塊でも、高精度(真球度)の良い球形状に成形することが可能である。
【0104】
(第4の実施例)
図7および図8に示す装置を用いて、軟化ガラス塊を球形状に成形する実施例を説明する。図において、軟化ガラス塊1、受け型2、保持ブロック3、ガス供給室4、ガス供給管5は、第2の実施例および第3の実施例と同様である。特に、この実施例で新たに加わるものは、軟化ガラス塊1を回転させるための多孔質の部材10、この部材10を保持するための保持ブロック11、部材10の背部に位置しているガス供給室12、および、ガス供給室12にガスを供給するためのガス供給管13である。
【0105】
本実施例において、第3の実施例と異なるところは、多孔質部材10が正方形の平面部材で構成されており、これに対応して、保持ブロック11やガス供給室12が構成されていることである。そして、受け型2の成形面に噴出するガスによって浮上された軟化ガラス塊1の上端に接近した状態で、図7の矢印のように、多孔質部材10を水平移動する。この場合、移動方向を図8の矢印のように切り換えて、軟化ガラス塊1に、偏った旋回による球形状の歪みを生じないように工夫している。
【0106】
即ち、この実施例での球形状のガラス塊の製造方法を、具体的に説明すると、以下の通りである。先ず、予め、ガス供給管5からガス供給室4に高圧のガスを供給し、このガスを受け型2の多孔質層の細孔を通して、受け型2の受け面から噴出している状態にする。続いて、この状態の受け型2を、溶融ガラスを流出している状態の溶融ガラス流出パイプ(図示せず)の出口の直下に位置させる。
【0107】
受け型2をこの状態に保ち、溶融ガラス流からガラス塊を受け型2上に溜めて、所望重量の軟化ガラス塊とする。この時、受け型2の成形面からはガスが噴出しているので、軟化ガラス塊1と受け型2とが接触することはない。所望重量の軟化ガラス塊1が受け型2の成形面上に溜まった後、受け型2を所定距離まで下降させ、溶融ガラス流を括れさせ、溶融ガラス流を自然に切断するのは、既述の実施例と同様である。
【0108】
このようにして得られた軟化ガラス塊1を、その浮上状態に保ち、少し冷却する。一方、前述の多孔質部材10を、軟化ガラス塊1の上に接近させ、水平方向に、しかも、その動作を図8の矢印で示す方向に順次、切り換えて、平行移動すると、受け型2上に浮上保持されているガラス塊は、図7に示すように回転し始める。この回転により、軟化ガラス塊1は、受け型の曲率半径に近い半径の球面を転写するので、形状精度(真球度)の良い球形状のガラス塊に成形される。その後、軟化ガラス塊1が必要な温度まで冷却された後、その回転を終了させ、形成された球形状のガラス塊を受け型2から取り出すのである。
【0109】
なお、本実施例の具体的な構成は次の通りである。即ち、受け型2の材料として、気孔率:30%、平均孔径:15μmである多孔質のカーボンを用いた。また、これの成形面を、半径:5mmの半球形状に加工した。更に、保持ブロック3はステンレスで製作し、その内部には、直径10mmのガス供給室4を設け、ガス供給室4に、ステンレス製のガス供給管5を接続している。なお、保持ブロック3の内部には、カートリッジヒータ(図示せず)が内蔵されており、常時、200℃に加熱されている。
【0110】
この状態の受け型2のガス供給室4には、20MPaの圧力の窒素ガスを供給した。その流量は、毎分:5Lである。この状態で、受け型2を、溶融ガラス流出パイプ(図示せず)の出口の下、10mmの位置に移動させた。なお、溶融ガラス流出パイプは、白金で製作されており、その内径は5mmである。ここからは、1000℃の温度の溶融ガラス流が流出している。
【0111】
而して、受け型2を4.5秒間保持した結果、所望重量である0.8gのガラス塊が受け型2上に受けられた。なお、この間、受け型2の受け面からは、毎分:5Lの流量の窒素ガスが噴出しているので、受け型2上に受けられた軟化ガラス塊が、受け型2と接触することは無く、成形面から浮上した状態に保たれている。
【0112】
この後、直ちに、受け型2を8mm下げ、その位置で停止した。その状態で、0.5秒経過したとき、溶融ガラス流の括れた部分が自然に切断された。このようにして得られた軟化ガラス塊1を、浮上状態のまま、しばらく冷却した。そして、溶融ガラス流の自然切断から20秒後に、軟化ガラス塊の温度を780℃まで低下した。これは、このガラスの粘度で104 dPa・sに相当する温度であった。
【0113】
一方、ガラス塊を回転させるための多孔質の部材10も、受け型2と同じ多孔質のカーボンで作り、しかも、この表面を前述のように平面に加工している。そして、この多孔質部材10は、一辺の長さが300mmの正方形である。保持ブロック11は、ステンレスで作られ、その内部には、正方形の形状をしたガス供給室12が設けられた。このガス供給室12の中心には、ガス供給管13が接続されている。なお、部材保持ブロック11の内部には、カートリッジヒータ(図示せず)が内蔵されており、常時、200℃に加熱されている。
【0114】
この状態のガス供給室12に、20MPaの圧力の窒素ガスを供給した。その流量は、合計で毎分:50Lである。このように表面から毎分50Lの窒素ガスが噴出している状態の多孔質部材10を、780℃まで冷却された軟化ガラス塊1の上部に、約0.5mm位置まで接近させた。
【0115】
続いて、この状態の正方形の多孔質の部材10を、その4辺に沿って、軟化ガラス塊の上を、四角い線を描くように(図8の矢印参照)動かした。この時、この正方形の多孔質の部材10の移動速度は、最高、毎秒:50mmであった。斯くして、このように、ガラス塊の回転する方向を順次、変えながら20秒間、回転して、球形状のガラス塊に成形した。その後、この球形状のガラス塊を取り出した。この時、球形状のガラス塊の温度は、500℃である。
【0116】
このようにして得られた球形状ガラス塊は、その大きさが直径:9mmで、凹みや表面欠陥が無く、その表面は滑らかであり、従来のようなシャーマークや異物付着などの表面欠陥が無く、光学素子成形用素材として、大変に適した品質であった。
【0117】
また、溶融ガラスから連続的に、1分ほどのタクトで、球形状のガラス塊を製造することができるので、球形状のガラス塊を安価に製造することができる。また、本実施例では、軟化ガラス塊を回転させる機構を、ガラス塊の上部に接近させた、扁平な多孔質部材を横方向に平行移動させる構成としたので、成形される球形状ガラス塊の大きさが比較的大きい場合でも、軟化ガラス塊を確実に回転させることができる。
【0118】
(第5の実施例)
図9に示す装置を用いて、軟化ガラス塊を球形状に成形する実施例を説明する。図において、軟化ガラス塊1、受け型2、保持ブロック3、ガス供給室4、ガス供給管5は、第2、第3の実施例および第4の実施例と同様である。
【0119】
本実施例において、前述の実施例と異なるところは、受け型2の成形面の曲率半径が成形されるべきガラス塊の直径より大幅に大きく設定され、その直径も大きく形成されている点、および、前記曲率半径の中心を通る軸線(これはガス供給管5の中心軸でもある)を中心に回転できる構造になっており、また、この軸線を傾けることができる構造になっている点である。
【0120】
次に、この実施例での球形状のガラス塊の製造方法を、具体的に説明すると、以下の通りである。先ず、予め、ガス供給管5からガス供給室4に高圧のガスを供給し、このガスを受け型2の多孔質層の細孔を通して、受け型2の受け面から噴出している状態にする。続いて、この状態の受け型2を、溶融ガラスを流出している状態の溶融ガラス流出パイプ(図示せず)の出口の直下に位置させる。この時、受け型2の回転中心軸線は垂直になっており、また、受け型2および保持ブロック3は回転されていない。
【0121】
受け型2をこの状態に保ち、溶融ガラス流からガラス塊を受け型2上に溜めて、所望重量の軟化ガラス塊とする。この時、受け型2の成形面からはガスが噴出しているので、軟化ガラス塊1と受け型2とが接触することはない。所望重量の軟化ガラス塊1が受け型2の成形面上に溜まった後、受け型2を所定距離まで下降させ、溶融ガラス流を括れさせ、溶融ガラス流を自然に切断するのは、既述の実施例と同様である。
【0122】
このようにして得られた軟化ガラス塊1を、その浮上状態に保ち、少し冷却する。その後、受け型2を回転させ始め、更に、受け型2を所要角度、傾斜し、その状態で保持する。これによって、受け型2の成形面上に浮上、保持されている軟化ガラス塊は、成形面上を転がりながら回転し始める。この回転により、軟化ガラス塊は、球形状のガラス塊に成形されてくる。
【0123】
なお、本実施例では、受け型2を斜めにして回転しているので、その成形面上で転がりながら回転している軟化ガラス塊の回転方向は、連続的に変わっており、その結果、形状精度(真球度)の良好なガラス塊を得ることができる。その後、軟化ガラス塊1が必要な温度まで冷却された後、その回転を終了させ、形成された球形状のガラス塊を受け型2から取り出すのである。
【0124】
なお、本実施例の具体的な構成は次の通りである。即ち、受け型2の材料として、気孔率:30%、平均孔径:15μmである多孔質のカーボンを用いた。また、これの成形面を、半径:17mmの半球形状に加工した。更に、保持ブロック3はステンレスで製作し、その内部には、直径30mmのガス供給室4を設け、ガス供給室4に、ステンレス製のガス供給管5を接続している。なお、保持ブロック3の内部には、カートリッジヒータ(図示せず)が内蔵されており、常時、200℃に加熱されている。
【0125】
この状態の受け型2のガス供給室4には、20MPaの圧力の窒素ガスを供給した。その流量は、毎分:20Lである。この状態で、受け型2を、溶融ガラス流出パイプ(図示せず)の出口の下、10mmの位置に移動させた。なお、溶融ガラス流出パイプは、白金で製作されており、その内径は5mmである。ここからは、1000℃の温度の溶融ガラス流が流出している。
【0126】
而して、受け型2を2秒間保持した結果、所望重量である0.3gのガラス塊が受け型2上に受けられた。なお、この間、受け型2の受け面からは毎分:20Lの流量の窒素ガスが噴出しているので、受け型2上に受けられた軟化ガラス塊が、受け型2と接触することは無く、成形面から浮上した状態に保たれている。
【0127】
この後、直ちに、受け型2を5mm下げ、その位置で停止した。その状態で、0.5秒経過したとき、溶融ガラス流の括れた部分が自然に切断された。このようにして得られた軟化ガラス塊1を、浮上状態のまま、しばらく冷却した。そして、溶融ガラス流の自然切断から15秒後に、軟化ガラス塊の温度を820℃まで低下した。これは、このガラスの粘度で103.5dPa・sに相当する温度であった。
【0128】
続いて、受け型2を毎分:30回転で回転させ始め、この状態で、受け型2を垂直軸線に対して約20度程度、傾けた。このように、受け型2を斜めにした状態で回転することにより、受け型2の成形面上で軟化ガラス塊を転がし、球形状のガラス塊1に成形した。このような軟化ガラス塊の回転を15秒間行い、その後、この球形状のガラス塊1を取り出した。この時、球形状のガラス塊1の温度は540℃であった。
【0129】
このようにして得られた球形状ガラス塊は、その大きさが直径3mmで、凹みや表面欠陥が無く、その表面は滑らかであり、シャーマークや異物付着などの表面欠陥が無く、光学素子成形用素材として大変適した品質であった。また、溶融ガラスから連続的に、1分ほどのタクトで、球形状のガラス塊を製造するので、ガラス塊の製造が安価にできる。また、本実施例では、所望する球形状ガラス塊の半径よりも可成り大きな半径を有する受け型を用いて、球形状ガラス塊を成形しているので、1種類の受け型を用いて、複数の大きさの球形状ガラス塊を成形することができ、汎用性が増す。例えば、本実施例では、直径:3mmの球形状ガラス塊を成形した場合について説明したが、同一の受け型2を用いて、直径:5mmの球形状ガラス塊も成形可能である。
【0130】
(第6の実施例)
ここでは、図10および図11に示す装置での実施例を説明する。図において、軟化ガラス塊1、受け型2、保持ブロック3、ガス供給室4、ガス供給管5は、第2の実施例などと同様である。特に、この実施例で新たに加わるものは、受け型2を設置した保持ブロック3を回転移動させるための回転テーブル14である。
【0131】
而して、既述の実施例と同様に、ガス供給管5から、ガス供給室4に高圧のガスを供給し、このガスを受け型2の多孔質層の細孔を通して、受け型2の成形面から噴出する。続いて、回転テーブル14を回動して、この状態の受け型2を、溶融ガラスを流出している状態の溶融ガラス流出パイプ(図示せず)の出口の直下に位置させる。その後、溶融ガラス流の括りにより、所定重量のガラス塊を分離、保持した後で、再び、回転テーブル14を回動し、受け型2を次のステージに移動する。この時、回転移動および停止に伴い、受け型2の成形面上に浮上、保持されている軟化ガラス塊1には、回転テーブル14の加速および減速時に、その加速度により力が加わり、これによって、軟化ガラス塊1が回転する。
【0132】
このようにして、軟化ガラス塊1が、取り出しステーションまで、移動するまでの間、数次にわたり、加減速が繰り返されるので、それまでに、溶融ガラス塊1は十分に回転し、球形状のガラス塊に成形されている。このようにして得られた球形状ガラス塊は、取り出しステージで、受け型2から取り出される。
【0133】
なお、本実施例の具体的な構成は次の通りである。即ち、受け型2の材料として、気孔率:30%、平均孔径:15μmである多孔質のカーボンを用いた。また、これの成形面を、半径:6mmの半球形状に加工した。更に、保持ブロック3はステンレスで製作し、その内部には、直径16mmのガス供給室4を設け、ガス供給室4に、ステンレス製のガス供給管5を接続している。
【0134】
この状態の受け型2のガス供給室4には、20MPaの圧力の窒素ガスを供給した。その流量は、毎分:5Lである。この状態で、受け型2を、溶融ガラス流出パイプ(図示せず)の出口の下、10mmの位置に移動させた。なお、溶融ガラス流出パイプは、白金で製作されており、その内径は5mmである。ここからは、1000℃の温度の溶融ガラス流が流出している。
【0135】
而して、受け型2を4秒間保持した結果、所望重量である0.7gのガラス塊が受け型2上に受けられた。なお、この間、受け型2の受け面からは毎分:5Lの流量の窒素ガスが噴出しているので、受け型2上に受けられた軟化ガラス塊が、受け型2と接触することは無く、成形面から浮上した状態に保たれている。
【0136】
この後、直ちに、受け型2を8mm下げ、その位置で停止した。その状態で、0.5秒経過したとき、溶融ガラス流の括れた部分が自然に切断された。
【0137】
このように、軟化ガラス塊を浮上保持している状態の受け型2を、回転ステージ14を回動させることにより、隣のステーションへ移動する。
【0138】
なお、本実施例では、図11に示すように、ステージが8個あり、溶融ガラス流を受けるステージの後、5個の冷却ステージを経てから、取り出しステージに到り、ここで、球形状ガラス塊を取り出している。このように、取り出しステージまで回転テーブル14の間欠的な移動の間に、受け型2の成形面上に浮上、保持されている軟化ガラス塊1は、自転を繰り返し、球形状に成形される。なお、本実施例では、溶融ガラスを受け型2の上に受けてから、取り出しステージで取り出すまで、30秒かかり、この球形状ガラス塊を取り出す時の温度は500℃であった。
【0139】
このようにして得られた球形状ガラス塊は、その大きさが直径7mmで、凹みや表面欠陥が無く、その表面は滑らかであり、シャーマークや異物付着などの表面欠陥が無く、光学素子成形用素材として適した品質であった。また、溶融ガラスから連続的に、1分ほどのタクトで、球形状のガラス塊を製造するので、その製造が安価にできる。また、本実施例では、ガラス塊を回転させる機構を特別に設ける必要が無く、受け型を移動させる機構を用いて、ガラス塊を回転させているので、装置コストが安くなり、その結果、球形状のガラス塊を、更に安価に製造することが可能になる。
【0140】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように、光学素子成形用素材として利用可能な球形状のガラス塊を、従来の製法におけるような、凹みなどの形状欠陥やシャーマークや異物付着などの表面欠陥なしに、高い球形精度(真球度)で、しかも、その直径が、例えば、3mm〜10mmの間のものまで、確実で安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例に対応する説明図である。
【図2】同じく、平面図である。
【図3】第2の実施例に対応する説明図である。
【図4】同じく、平面図である。
【図5】第3の実施例に対応する説明図である。
【図6】同じく、側面図である。
【図7】第4の実施例に対応する説明図である。
【図8】同じく、平面図である。
【図9】第5の実施例に対応する説明図である。
【図10】第6の実施例に対応する説明図である。
【図11】同じく、この実施例における回転テーブルの平面図である。
【符号の説明】
1 軟化ガラス塊
2 受け型
3 保持ブロック
4 ガス供給室
5 ガス供給管
Claims (7)
- 凹球面状の受け面を有する多孔質の受け型を、溶融ガラス流出口の直下に位置し、前記多孔質の受け型を通して前記受け面から噴出する加圧ガスによって、溶融ガラス流出口からの溶融ガラス流を、前記受け面に対して非接触状態で浮上させたまま受けると共に、前記受け型上で所要重量の軟化ガラス塊を分離し、球形に成形する光学素子成形用ガラス塊の製造方法において、
前記溶融ガラス流から前記軟化ガラス塊を分離するには、前記受け型を降下することにより溶融ガラス流を括れさせる工程が用いられ、また、前記軟化ガラス塊を球形に成形するには、前記受け型上の軟化ガラス塊を、前記受け面に対して非接触状態で回転させながら冷却する工程が用いられることを特徴とする光学素子成形用ガラス塊の製造方法。 - 前記軟化ガラス塊を回転させながら冷却する工程は、前記受け型上の前記軟化ガラス塊の粘度が103 ないし105 dPa・sの範囲において開始されることを特徴とする請求項1に記載の光学素子成形用ガラス塊の製造方法。
- 前記軟化ガラス塊の回転は、前記受け型上において複数方向であり、それらの方向への回転を交代的に行うことを特徴とする請求項1あるいは2に記載の光学素子成形用ガラス塊の製造方法。
- 前記軟化ガラス塊の回転は、前記受け面から噴出しているガスの噴出速度または噴出圧力に、前記受け面の部位によって差を持たせることで行うことを特徴とする請求項1あるいは2に記載の光学素子成形用ガラス塊の製造方法。
- 前記軟化ガラス塊の回転は、前記受け面上で浮上している前記軟化ガラス塊の上部に対して、横方向からガスを噴射することで行うことを特徴とする請求項1あるいは2に記載の光学素子成形用ガラス塊の製造方法。
- 前記軟化ガラス塊の回転は、前記軟化ガラス塊の上方に多孔質部材を配置し、該多孔質部材を透過して下方に加圧ガスを噴出しながら、前記多孔質部材を前記軟化ガラス塊に接近させると共に、該多孔質部材と前記軟化ガラス塊とが横方向に相対的に移動させることで行うことを特徴とする請求項1あるいは2に記載の光学素子成形用ガラス塊の製造方法。
- 前記軟化ガラス塊の回転は、前記受け型を、直線往復運動、回転運動あるいは揺動運動、もしくはこれらの複合運動させることで行うことを特徴とする請求項1あるいは2に記載の光学素子成形用ガラス塊の製造方法。
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