以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。
電子部品装着機の構成
図1に、本発明の実施例の電子部品装着機10を示す。電子部品装着機10は、回路基板に対する電子部品の装着作業を実行するための装置である。電子部品装着機10は、搬送装置20と、装着ヘッド移動装置(以下、「移動装置」と略す場合がある)22と、装着ヘッド24と、1対の供給装置25,26と、1対の光電センサ27,28と、ツールステーション29と、ノズルステーション30と、パーツカメラ31と、マークカメラ32とを備えている。
搬送装置20は、1対のコンベアベルト40と、コンベアベルト40を周回させる電磁モータ(図5参照)42とを有している。なお、1対のコンベアベルト40の延びる方向をX方向と記載し、その方向に直角な水平の方向をY方向と記載する。回路基板46は、それら1対のコンベアベルト40によって支持され、電磁モータ42の駆動により、X方向に搬送される。また、搬送装置20は、基板保持装置(図5参照)48を有している。基板保持装置48は、コンベアベルト40によって支持された回路基板46を、所定の位置(図1での回路基板46が図示されている位置)において固定的に保持する。
移動装置22は、X方向スライド機構50とY方向スライド機構52とによって構成されている。X方向スライド機構50は、X方向に移動可能にベース54上に設けられたXスライダ56を有している。そのXスライダ56は、電磁モータ(図5参照)58の駆動により、X方向の任意の位置に移動する。また、Y方向スライド機構52は、Y方向に移動可能にXスライダ56の側面に設けられたYスライダ60を有している。そのYスライダ60は、電磁モータ(図5参照)62の駆動により、Y方向の任意の位置に移動する。そのYスライダ60には、装着ヘッド24が取り付けられている。このような構造により、装着ヘッド24は、移動装置22によってベース54上の任意の位置に移動する。
装着ヘッド24は、回路基板に対して電子部品を装着するものである。装着ヘッド24は、図2に示すように、本体部70と保持ツール72とによって構成されており、本体部70において、移動装置22のYスライダ60に取り付けられる。保持ツール72は、1以上の吸着ノズル76を保持するものであり、複数の保持ツール72のうちの任意のものが、本体部70の下面側に着脱可能に装着される。電子部品装着機10では、3種類の保持ツール72a,b,cが用意されており、3種類の保持ツール72a,b,cの各々を区別する場合に、保持ツール72aを第1保持ツール72aと記載し、保持ツール72bを第2保持ツール72bと記載し、保持ツール72cを第3保持ツール72cと記載する。
各保持ツール72a,b,cは、装着部78とユニット保持部80とを有しており、装着部78において、本体部70の下面側に着脱可能に装着される。各保持ツール72a,b,cのユニット保持部80は、概して円柱形状をなし、装着部78の下面において保持されている。なお、第1保持ツール72a及び第2保持ツール72bのユニット保持部80は、自身の軸心周りに回転可能に装着部78によって保持されており、電磁モータ(図5参照)81の駆動により、所定の角度毎に回転する。
また、第1保持ツール72aは、概して軸状をなす12本の装着ユニット82を、外周部において、等角度ピッチで保持している。また、第2保持ツール72bは、4本の装着ユニット82を、外周部において、等角度ピッチで保持している。また、第3保持ツール72cは、1本の装着ユニット82を、中央部において保持している。なお、各装着ユニット82は、軸方向が垂直となる状態で保持されており、各装着ユニット82の下端部が、各ユニット保持部80の下面から下方に向かって延び出している。そして、その各装着ユニット82の下端部に吸着ノズル76が着脱可能に装着される。
なお、第2保持ツール72bは第3保持ツール72cより多くの部品を保持可能であるため、第2保持ツール72bの吸着ノズル76により保持される電子部品は、通常、第3保持ツール72cの吸着ノズル76により保持される電子部品より小さい。また、第1保持ツール72aは第2保持ツール72bより多くの部品を保持可能であるため、第1保持ツール72aの吸着ノズル76により保持される電子部品は、通常、第2保持ツール72bの吸着ノズル76により保持される電子部品より小さい。つまり、各保持ツール72a,b,cにより保持される電子部品の大きさは、第3保持ツール72c、第2保持ツール72b、第1保持ツール72aの順に、小さくなる。
また、装着ヘッド24は、正負圧供給装置(図5参照)86及び、ユニット昇降装置(図5参照)88を有している。正負圧供給装置86は、エア通路を介して、各吸着ノズル76に、負圧エア若しくは、正圧エアを供給する。これにより、各吸着ノズル76は、負圧エアによって電子部品を吸着保持し、保持した電子部品を正圧エアによって離脱する。また、ユニット昇降装置88は、第1保持ツール72aの12本の装着ユニット82のうちの所定の1本の装着ユニット82、若しくは、第2保持ツール72bの4本の装着ユニット82のうちの所定の1本の装着ユニット82、若しくは、第3保持ツール72cの1本の装着ユニット82を昇降させる。これにより、その昇降される装着ユニット82に装着された吸着ノズル76によって、電子部品の保持作業及び装着作業が実行される。
また、1対の供給装置25,26は、図1に示すように、搬送装置20を挟むようにして、ベース54のY方向における両側部に配設されている。各供給装置25,26は、テープ型供給装置90とトレイ型供給装置92とによって構成されている。
テープ型供給装置90は、複数のテープフィーダ96を有している。テープフィーダ96は、テープ化部品を巻回させた状態で収容している。テープ化部品は、電子部品がテーピング化されたものである。そして、テープフィーダ96は、送り装置(図5参照)98によって、テープ化部品を送り出すことで、供給位置100において、電子部品を供給する。なお、テープフィーダ96は、ベース54に着脱可能とされており、電子部品の交換,電子部品の不足等に対応することが可能とされている。
また、トレイ型供給装置92は、支持板102とスライド装置104とによって構成されている。支持板102は、複数の部品トレイ106を支持するものであり、各部品トレイ106には、複数の電子部品が収容されている。なお、部品トレイ106には、一般的に、テープフィーダ96により供給される電子部品よりも大きな電子部品が収容される。また、スライド装置104は、Y方向に延びる1対のガイドレール108を有しており、それら1対のガイドレール108によって、支持板102がY方向にスライド可能に保持されている。そして、支持板102が、電磁モータ(図5参照)110の駆動により、供給位置(図1で支持板102が実線で図示された位置)と退避位置(図1で支持板102が点線で図示された位置)との間で移動する。これにより、支持板102が退避位置に移動している際に、支持板102の上に部品トレイ106が載置され、支持板102が供給位置に移動することで、トレイ型供給装置92は、部品トレイ106に収容されている部品を供給する。なお、トレイ型供給装置92の供給位置とテープフィーダ96の供給位置100とは、X方向において概ね一致している。つまり、トレイ型供給装置92の供給位置とテープフィーダ96の供給位置100とは、概してX方向に延びる線上に配置されている。
また、1対の光電センサ27,28の各々は、1対の供給装置25,26の各々に対応して配設されている。各光電センサ27,28は、照射部112と受光部114とによって構成されている。照射部112は、光を照射するものであり、受光部114は、照射部112により照射された光を受光するものである。そして、照射部112と受光部114との間に異物が存在していない場合に、受光部114は、照射部112により照射された光を受光するが、照射部112と受光部114との間に異物が存在している場合には、照射部112により照射された光が異物により遮られるため、受光部114が受光する光の量が減少する。このような構造により、光電センサ27,28は、照射部112と受光部114との間をセンシングし、照射部112と受光部114との間の異物を検出する。
また、各光電センサ27,28の照射部112は、所定の幅(60〜70mm)の光を照射する構造とされており、受光部114は、その所定の幅の光を受光する構造とされている。そして、照射部112から受光部114に向かって照射された光によって、図3に示すように、各供給装置25,26による部品の供給位置、つまり、トレイ型供給装置92の供給位置、及び、テープフィーダ96の供給位置100の上方を含む所定の範囲(図中において灰色で示す範囲)がセンシングされる。
詳しくは、照射部112と受光部114とは、各供給装置25,26による部品の供給位置を挟むように、各供給装置25,26のX方向における両側方に配設されている。この際、照射部112は、所定の幅の光が幅方向において水平となるように配設され、受光部114は、所定の幅の光を受光可能に配設されている。また、図4に示すように、照射部112により照射された光が、テープフィーダ96の供給位置100の上面より所定の寸法、高い位置を通過するように、照射部112及び受光部114は配設されている。これにより、各供給装置25,26による部品の供給位置の上方を含む所定の範囲が、光電センサ27,28によってセンシングされる。
なお、受光部114の下面側には、図4に示すように、下方からの光の受光を遮るための下部遮光板120が配設され、受光部114の上面側には、上方からの光の受光を遮るための上部遮光板122が配設されている。これにより、照射部112から照射される光以外の光を、受光部114が受光することを防止することが可能となり、適切なセンシングが担保される。一方、照射部112の下面側には、照射された光の下方への拡散を遮るための下部遮光板126が配設されている。これは、照射部112から照射された光が下方へ拡散した場合に、その拡散した光がテープフィーダ96等により反射し、受光部114に入射する虞があるためである。これにより、テープフィーダ96等により反射した光を、受光部114が受光することを防止することが可能となり、適切なセンシングが担保される。なお、照射部112から照射された光が上方へ拡散しても、その拡散した光を反射する部材が供給装置25,26の上方に配設されていないため、照射部112の上面側には、遮光板は配設されていない。
また、ツールステーション29は、図1に示すように、搬送装置20と供給装置26との間に配設されている。ツールステーション29には、複数のツール収容部(図示省略)が形成されており、各ツール収容部に保持ツール72a,b,cが収容されている。このツールステーション29では、装着ヘッド24の本体部70に装着されている保持ツール72a,b,cと、ツールステーション29に収容されている保持ツール72a,b,cとの交換が、必要に応じて行われる。
また、ノズルステーション30は、ツールステーション29の隣に配設されている。ノズルステーション30には、複数のノズル収容部(図示省略)が形成されており、各ノズル収容部に吸着ノズル76が収容されている。このノズルステーション30では、装着ヘッド24の装着ユニット82に装着されている吸着ノズル76と、ノズルステーション30に収容されている吸着ノズル76との交換が、必要に応じて行われる。
また、パーツカメラ31は、搬送装置20と供給装置25との間に、上を向いた状態で配設されている。これにより、装着ヘッド24をパーツカメラ31の上方に移動させることで、パーツカメラ31は、吸着ノズル76に保持された電子部品を撮像する。また、マークカメラ32は、移動装置22のYスライダ60に下を向いた状態で固定されており、移動装置22の作動により任意の位置に移動する。これにより、マークカメラ32は、ベース54上の任意の位置を撮像する。
また、電子部品装着機10は、図5に示すように、制御装置130を備えている。制御装置130は、コントローラ132と、複数の駆動回路134とを備えている。複数の駆動回路134は、上記電磁モータ42,58,62,110、基板保持装置48、正負圧供給装置86、ユニット昇降装置88、送り装置98に接続されている。コントローラ132は、CPU,ROM,RAM等を備え、コンピュータを主体とするものであり、複数の駆動回路134に接続されている。これにより、搬送装置20、移動装置22等の作動が、コントローラ132によって制御される。また、コントローラ132は、画像処理装置138にも接続されている。画像処理装置138は、パーツカメラ31およびマークカメラ32により撮像された撮像データを処理するための装置である。これにより、コントローラ132は、撮像データから各種情報を取得する。さらに、コントローラ132は、光電センサ27,28にも接続されており、光電センサ27,28による検出値を取得する。
電子部品装着機による装着作業
電子部品装着機10では、上述した構成によって、搬送装置20により搬送された回路基板46に対して装着作業が実行される。回路基板46への装着作業時には、通常、最初に、小さな部品の装着作業が実行され、順次、大きな部品の装着作業が実行される。
具体的には、作業者によりスタートボタン(図示省略)が操作されると、装着ヘッド24のキャリブレーションが実行された後に、装着ヘッド24が、コントローラ132の指令により、パーツカメラ31の上方に移動し、パーツカメラ31によって、装着ヘッド24が撮像される。そして、撮像データに基づいて、装着ヘッド24の本体部70に装着されている保持ツール72の確認作業が実行される。つまり、撮像データに基づいて、装着ヘッド24の本体部70に保持ツール72が装着されているか否かが判定される。そして、本体部70に保持ツール72が装着されている場合には、装着されている保持ツール72の種類が確認される。
次に、装着ヘッド24の本体部70に第1保持ツール72aが装着されていない場合には、装着ヘッド24が、コントローラ132の指令により、ツールステーション29の上方に移動し、ツールステーション29において、本体部70に第1保持ツール72aが装着される。また、装着ヘッド24の本体部70に第1保持ツール72aが装着されている場合には、ツールステーション29における本体部70への第1保持ツール72aの装着作業がスキップされる。続いて、装着ヘッド24が、コントローラ132の指令により、ノズルステーション30の上方に移動し、ノズルステーション30において、第1保持ツール72aの装着ユニット82に吸着ノズル76が装着される。
また、搬送装置20では、コントローラ132の指令により、回路基板46が作業位置まで搬送され、その位置において、回路基板46が、基板保持装置48によって保持される。次に、マークカメラ32が、コントローラ132の指令により、回路基板46の上方に移動し、回路基板46に記されたフィデューシャルマーク等を撮像する。これにより、回路基板46の保持位置等に関する情報が得られる。
また、第1保持ツール72aを用いた装着作業時には、上述したように、比較的小さな電子部品の装着作業が実行されるため、テープフィーダ96が、コントローラ132の指令により、テープ化部品を送り出し、電子部品を供給位置100において供給する。なお、電子部品装着機10では、1対の供給装置25,26が設けられており、供給装置25には、本装着作業の作業対象となる回路基板への装着予定の電子部品が収容されており、供給装置26には、本装着作業の後に実行される回路基板、つまり、本装着作業の作業対象となる回路基板と異なる種類の回路基板への装着予定の電子部品が収容されている。このため、本装着作業において、供給装置25によって、電子部品の供給が行われ、供給装置26によって、電子部品の供給は行われない。
続いて、装着ヘッド24は、コントローラ132の指令により、テープフィーダ96による電子部品の供給位置100の上方に移動し、吸着ノズル76によって電子部品を吸着保持する。続いて、装着ヘッド24が、コントローラ132の指令により、パーツカメラ31の上方に移動し、パーツカメラ31によって、吸着ノズル76に保持された電子部品が撮像される。これにより、部品の保持姿勢等に関する情報が得られる。そして、装着ヘッド24が、コントローラ132の指令により、回路基板46の上方に移動し、保持している電子部品を回路基板46に装着する。
次に、第1保持ツール72aを用いた装着作業が完了すると、装着ヘッド24が、ノズルステーション30の上方に移動し、装着ユニット82に装着されている吸着ノズル76がノズルステーション30に返却される。そして、装着ヘッド24が、ツールステーション29の上方に移動し、ツールステーション29において、本体部70に装着されている第1保持ツール72aが取り外され、第2保持ツール72bが本体部70に装着される。続いて、装着ヘッド24が、ノズルステーション30の上方に移動し、ノズルステーション30において、第2保持ツール72bの装着ユニット82に吸着ノズル76が装着される。
また、第2保持ツール72bを用いた装着作業時における電子部品は、第1保持ツール72aを用いた装着作業時における電子部品より大きいが、然程、大きくないため、テープフィーダ96により供給される。このため、供給装置25のテープフィーダ96が、電子部品を供給位置100において供給する。続いて、装着ヘッド24によって、供給位置100における電子部品の保持作業が行われ、保持された電子部品が、パーツカメラ31によって撮像される。そして、装着ヘッド24によって、電子部品が回路基板46に装着される。
次に、第2保持ツール72bを用いた装着作業が完了すると、装着ヘッド24が、ノズルステーション30の上方に移動し、装着ユニット82に装着されている吸着ノズル76がノズルステーション30に返却される。そして、装着ヘッド24が、ツールステーション29の上方に移動し、ツールステーション29において、本体部70に装着されている第2保持ツール72bが取り外され、第3保持ツール72cが本体部70に装着される。続いて、装着ヘッド24が、ノズルステーション30の上方に移動し、ノズルステーション30において、第3保持ツール72cの装着ユニット82に吸着ノズル76が装着される。
また、第3保持ツール72cを用いた装着作業時における電子部品は、比較的大きいため、トレイ型供給装置92により供給される。このため、供給装置25のトレイ型供給装置92において、スライド装置104が、支持板102を退避位置から供給位置に移動させる。続いて、装着ヘッド24によって、供給位置に移動した支持板102の部品トレイ106から電子部品が保持され、その保持された電子部品が、パーツカメラ31によって撮像される。そして、装着ヘッド24によって、電子部品が回路基板46に装着される。
次に、第3保持ツール72cを用いた装着作業が完了すると、基板保持装置48による回路基板46の保持が解除され、回路基板46が電子部品装着機10から搬出される。これにより、小さな部品から大きな部品が、順次、装着された回路基板46が製造される。そして、新たな回路基板46が電子部品装着機10に搬入され、作業位置において基板保持装置48により保持される。
また、第3保持ツール72cを用いた装着作業が完了すると、装着ヘッド24が、ノズルステーション30の上方に移動し、装着ユニット82に装着されている吸着ノズル76がノズルステーション30に返却される。そして、新たな回路基板46への装着作業を実行するために、装着ヘッド24が、ツールステーション29の上方に移動し、ツールステーション29において、本体部70に装着されている第3保持ツール72cが取り外され、第1保持ツール72aが本体部70に装着される。なお、以降の手順は、上述した手順と同じであるため、説明を省略する。
落下部品の確認作業
上述したように、電子部品装着機10では、テープフィーダ96若しくは、トレイ型供給装置92の供給位置において供給された電子部品が、吸着ノズル76によって保持され、その保持された電子部品が回路基板に装着される。ただし、吸着ノズル76による電子部品の保持ミス等によって、電子部品が供給位置の周辺に落下する場合がある。このような場合には、装着ヘッド24が電子部品の吸着位置の上方に移動し、吸着ノズル76によって電子部品が保持される際に、吸着位置周辺に落下した電子部品と、装着ヘッド24とが当接する虞がある。このようなことに鑑みて、電子部品装着機10では、電子部品の供給位置の上方を含む所定の範囲が、光電センサ27,28によってセンシングされ、電子部品の供給位置の上方を含む所定の範囲に、電子部品が存在しているか否かが判断される。
詳しくは、上述したように、電子部品の供給位置の上方を含む所定の範囲に向かって、光電センサ27,28の照射部112が光を照射しており、その照射された光が、光電センサ27,28の受光部114によって受光される。このため、照射部112と受光部114との間、つまり、電子部品の供給位置の上方を含む所定の範囲に、電子部品が落下している場合には、照射部112により照射された光が、電子部品によって遮られるため、受光部114による光の受光量が低下する。このため、電子部品の供給位置の上方を含む所定の範囲が、光電センサ27,28によってセンシングされることで、電子部品の供給位置の上方を含む所定の範囲に、電子部品が存在しているか否かを確認することが可能となる。そして、電子部品の存在が確認された場合に、電子部品装着機10の作動を停止し、その電子部品を取り除くことで、電子部品と装着ヘッド24との当接を防止することが可能となる。なお、光電センサ27,28を用いて、電子部品の供給位置の上方を含む所定の範囲に、電子部品が存在しているか否かを確認する作業を、部品確認作業と記載する場合がある。
ただし、吸着ノズル76が供給位置から電子部品を保持する際に、部品確認作業が実行されていると、照射部112により照射された光が、吸着ノズル76や、吸着ノズル76に保持された電子部品によって遮られ、上記所定の範囲に電子部品が存在していると誤判定される。このため、部品確認作業は、供給位置における吸着ノズル76による電子部品の保持作業時以外のタイミングで行われる。具体的には、供給位置において電子部品が吸着ノズル76によって保持されてから、その保持された電子部品の装着作業が実行された後に、再度、供給位置において電子部品が吸着ノズル76によって保持されるまでの間、つまり、部品保持作業と部品保持作業との合間に、部品確認作業が実行される。
なお、部品保持作業と部品保持作業との合間において、絶えず、部品確認作業を行ってもよいが、所定の作業と関連付けて部品確認作業を実行させることで、部品確認作業のプログラミングに要する手間を軽減することが可能となる。このため、電子部品装着機10では、吸着ノズル76により電子部品が保持された後に、その電子部品をパーツカメラ31により撮像する作業と関連付けて、部品確認作業が実行されるように、プログラムが作成される。つまり、電子部品装着機10では、電子部品が吸着ノズル76により保持された後に、その保持された電子部品がパーツカメラ31により撮像されるタイミングで、部品確認作業が実行される。これにより、プログラミングに要する手間を軽減するとともに、吸着ノズル76による保持作業時に落下した電子部品の存在を好適なタイミングで確認することが可能となる。
ただし、上述したように、装着ヘッド24の本体部70に第3保持ツール72cが装着されている際には、比較的大きな電子部品の装着作業が実行される。このため、装着作業に用いられる電子部品は、トレイ型供給装置92によって供給されるが、トレイ型供給装置92の供給位置において供給される電子部品が、照射部112により照射された光を遮り、光電センサ27,28によるセンシングを適切に行えない虞がある。
具体的には、トレイ型供給装置92により電子部品が供給される場合には、図6に示すように、部品トレイ106の上に電子部品140が載置され、その部品トレイ106が供給位置に移動される。この際、部品トレイ106の上に載置される電子部品140、つまり、供給予定の電子部品140の寸法によって、照射部112により照射された光が、電子部品140によって遮られる場合がある。このような場合には、上記所定の範囲に電子部品が落下していると、絶えず判断されるため、光電センサ27,28によるセンシングを適切に行えない。このため、第3保持ツール72cを用いた装着作業時における装着予定の電子部品(以下、「第3保持ツール用部品」と記載する場合がある)が、部品トレイ106に載置され、その部品トレイ106が供給位置に移動されている場合には、部品確認作業は実行されない。つまり、第3保持ツール72cを用いた装着作業時には、パーツカメラ31による電子部品の撮像作業時における部品確認作業は実行されない。
なお、第3保持ツール用部品が載置された部品トレイ106を、供給位置に移動させると、上述したように、光電センサ27,28によるセンシングを適切に行うことができない。このため、第1保持ツール72aを用いた装着作業時及び、第2保持ツール72bを用いた装着作業時には、第3保持ツール用部品が載置された部品トレイ106は、供給位置に移動されず、退避位置に維持される。つまり、第2保持ツール72bを用いた装着作業が完了するまで、部品トレイ106の供給位置への移動は制限され、第2保持ツール72bを用いた装着作業が完了した後に、部品トレイ106は供給位置に移動される。そして、第3保持ツール72cを用いた装着作業が実行され、第3保持ツール72cを用いた装着作業が完了した後に、部品トレイ106は、退避位置に戻される。これにより、第1保持ツール72aを用いた装着作業時及び、第2保持ツール72bを用いた装着作業時に、光電センサ27,28によるセンシングを適切に行うことが可能となる。
また、電子部品装着機10では、装着ヘッド24の本体部70に装着される保持ツール72を交換することで、回路基板46に、小さな部品から大きな部品まで、比較的大きさの異なる電子部品を装着することが可能とされている。しかしながら、吸着ノズル76による電子部品の保持ミス等によって、電子部品が供給位置周辺に落下した場合には、保持ツール72の交換に伴って、その落下した電子部品と装着ヘッド24とが当接する虞がある。
詳しくは、1枚の回路基板46に対する装着作業時において、第1保持ツール72aを用いた装着作業、第2保持ツール72bを用いた装着作業、第3保持ツール72cを用いた装着作業が、順次、実行される。そして、その1枚の回路基板46に対する装着作業が完了すると、次の1枚の回路基板46に対する装着作業が、先の1枚の回路基板46に対する装着作業と同様に実行される。つまり、第1保持ツール72aを用いた装着作業、第2保持ツール72bを用いた装着作業、第3保持ツール72cを用いた装着作業が、順次、繰り返し実行される。
この際、第3保持ツール72cを用いた装着作業時に、その装着作業で用いられる電子部品、つまり、第3保持ツール用部品が吸着位置周辺に落下した場合には、上述したように、第3保持ツール72cを用いた装着作業時に部品確認作業は実行されないため、落下した第3保持ツール用部品が放置される虞がある。また、第3保持ツール用部品は、比較的大きな部品とされている。ただし、装着ヘッド24の本体部70に装着されている第3保持ツール72cは、大きなサイズの第3保持ツール用部品を保持するために設計されているため、吸着位置周辺に第3保持ツール用部品が落下していても、装着ヘッド24の移動時に、第3保持ツール72cが、吸着位置周辺に落下した第3保持ツール用部品と当接する可能性は低い。
しかしながら、第1保持ツール72a及び第2保持ツール72bは、第3保持ツール用部品より小さなサイズの電子部品を保持するために設計されているため、吸着位置周辺に第3保持ツール用部品が落下している場合には、装着ヘッド24の本体部70に第1保持ツール72a、若しくは第2保持ツール72bが装着されていると、その第1保持ツール72a、若しくは第2保持ツール72bが、その第3保持ツール用部品と当接する。
このようなことに鑑みて、装着ヘッド24の本体部70に装着されている保持ツール72が交換された場合に、部品確認作業が実行される。なお、本体部70に第3保持ツール72cが装着されている場合には、その第3保持ツール72cと、吸着位置周辺に落下している電子部品とは当接する可能性が低い。このため、装着ヘッド24の本体部70に装着されている保持ツール72が、第1保持ツール72a若しくは、第2保持ツール72bに交換されたタイミング、つまり、装着ヘッド24の本体部70に、第1保持ツール72a若しくは、第2保持ツール72bが装着された直後に、部品確認作業が実行される。これにより、保持ツール72の交換に伴う装着ヘッド24と電子部品との当接を防止することが可能となる。
また、電子部品装着機10では、回路基板の生産が開始されるタイミング、つまり、作業者によりスタートボタンが操作されたタイミングにおいても、部品確認作業が実行される。これにより、前日等の作業時に落下している電子部品の有無を確認することが可能となる。また、スタートボタンが操作された後に、装着ヘッド24が撮像され、その撮像データに基づいて、装着ヘッド24の本体部70に装着されている保持ツール72の確認作業が実行されるタイミングにおいても、部品確認作業が実行される。これにより、更に確実に、落下している電子部品の有無を確認することが可能となる。
なお、上述したように、電子部品装着機10では、1対の供給装置25,26が設けられており、上記装着作業時において、供給装置25によって、電子部品の供給が行われ、供給装置26によって、電子部品の供給は行われない。このため、供給装置26において、テープフィーダ96の交換などの段取作業が行われる。しかしながら、供給装置26において部品確認作業が実行されると、つまり、供給装置26に対応して設けられている光電センサ28を用いて部品確認作業が実行されると、テープフィーダ96の交換に伴って、部品が落下していると誤認識され、電子部品装着機10の作動が停止する虞がある。このようなことに鑑みて、上記装着作業時における部品確認作業は、供給装置25に対応して設けられている光電センサ27を用いて実行され、供給装置25に対応して設けられている光電センサ28を用いた部品確認作業は実行されない。これにより、上記装着作業が実行されている際に、供給装置26において、テープフィーダ96の交換作業等を行うことが可能となり、作業性が向上する。
なお、コントローラ132は、図5に示すように、判断部150を有している。判断部150は、光電センサ27,28を用いて部品確認作業を実行するための機能部、つまり、部品供給位置を含む所定の範囲に部品が存在しているか否かを判断するための機能である。
ちなみに、上記実施例において、電子部品装着機10は、装着機の一例である。搬送装置20は、搬送装置の一例である。装着ヘッド24は、装着ヘッドの一例である。供給装置25,26は、供給装置の一例である。光電センサ27,28は、センサの一例である。ツールステーション29は、交換装置の一例である。本体部70は、本体部の一例である。保持ツール72は、装着部の一例である。吸着ノズル76は、保持具の一例である。照射部112は、照射部の一例である。受光部114は、受光部の一例である。下部遮光板126は、遮光部の一例である。制御装置130は、制御装置の一例である。判断部150は、判断部の一例である。
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。具体的には、例えば、上記実施例では、幅の広い光を照射する構造の光電センサ27,28を用いて、上記所定の範囲のセンシングが実行されているが、幅の狭い光を照射する構造の光電センサを複数用いて、上記所定の範囲のセンシングを行ってもよい。具体的には、図7に示すように、幅の狭い光を照射する照射部160と、その幅の光を受光する受光部162とにより構成される光電センサ164を複数、採用し、複数の照射部160が、上記所定の範囲の全面に光を照射するように、供給装置25,26のX方向における両側方の一方に配設される。また、複数の受光部162が、複数の照射部160により照射された光を受光するように、供給装置25,26のX方向における両側方の他方に配設される。このように複数の光電センサ164を配設することで、上記所定の範囲を適切にセンシングすることが可能となる。
また、上記実施例では、パーツカメラ31による電子部品の撮像時、保持ツール72の交換時に部品確認作業が実行されているが、吸着ノズル76による電子部品の保持作業時以外のタイミングであれば、種々のタイミングで部品確認作業を実行することが可能である。具体的には、例えば、吸着ノズル76により保持された電子部品が回路基板46に装着されるタイミング,保持ツール72に吸着ノズル76が装着されるタイミング,回路基板46が搬送されるタイミング等が挙げられる。
また、上記実施例では、照射部112の下面側にのみ、下部遮光板126が配設されているが、照射部112の上面側及び下面側に、遮光板を配設することが可能である。