JP6780626B2 - デジタル制御発振回路 - Google Patents
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Description
リングオシレータは、複数の遅延素子をリング状に接続した構造を有する。計測部は、リングオシレータを周回するパルス信号である周回信号が遅延素子を通過する段数を通過段数として、外部から入力される基準クロックの周期毎に、該基準クロックの周期を通過段数で表現した周期計測値を生成する。生成部は、通過段数をカウントし、該通過段数が予め設定された設定カウント値に達したタイミングで出力パルス信号を生成する。算出部は、基準クロックの周期に対する実数で表現された倍率である周期設定値を取得し、周期設定値の整数部の値から1以上の整数であるオフセット値Nを減算した繰返数を算出する。また、算出部は、計測部にて周期計測値が生成される毎に、周期設定値の小数点部の値を、周期計測値を用いて通過段数に換算した値に周期計測値のN倍を加算した調整値を算出する。更新部は、周期計測値又は調整値によって設定カウント値を更新する。また、更新部は、周期計測値によって生成されるタイミングである粗調整タイミングでの出力パルス信号の出力が繰返数回繰り返される毎に、調整値によって生成されるタイミングである精密調整タイミングでの出力パルス信号の出力が1回行われるように設定カウント値を更新する。
[1.第1実施形態]
[1−1.全体構成]
図1に示すデジタル制御発振回路1は、リングオシレータ2と、計測部3と、パルス発生部4とを備える。
リングオシレータ2は、2m−1個の遅延素子を有する。mは1以上の整数であり、本実施形態ではm=5、即ち16個の遅延素子を有するものとして説明する。複数の遅延素子は、直列接続され、かつ、最終段の出力を初段の入力とすることでリング状に接続されている。但し、初段の遅延素子は、2入力のナンドゲートが用いられている。初段以外の遅延素子は、いずれも、直列接続された2つのインバータゲートを有する。ナンドゲートの入力端のうち、リング状の接続に使用されない側の入力端は、外部から起動信号SPを入力するための入力端子に接続されている。以下では、リングオシレータ2に属する各遅延素子の出力をP1−16と表記する。なお、初段の遅延素子の出力がP1、最終段の遅延素子の出力がP16である。
計測部3は、外部から入力される基準クロックSCKの周期を計測して周期計測値FDを生成する。基準クロックSCKは、水晶発振器の出力等から生成される安定性の高いクロックである。基準クロックSCKの周期は、リングオシレータ2に属する各遅延素子の遅延時間の数十〜数百倍程度(例えば100ns程度)に設定される。周期計測値FDは、周回信号が遅延素子を通過した段数(以下、通過段数)を表す。つまり、周期計測値FDは、基準クロックSCKの周期を、遅延素子の遅延時間を単位時間として表現した値となる。但し、遅延素子の遅延時間は、周囲の環境や経年変化などによって変化する。つまり、計測部3は、基準クロックSCKの周期を計測することによって、リングオシレータ2における遅延時間の揺らぎを計測する。
パルス発生部4は、図3に示すように、選択部5と、算出部6と、更新部7と、生成部8と、マスク部9とを備える。
選択部5は、遅延部51と、セレクタ52とを備える。
遅延部51は、基準クロックSCKの立ち上がりエッジのタイミングで値が更新される周期計測値FDを、その更新タイミングを基準クロックSCKの半周期分だけ遅延させて出力する。以下、周期計測値FDを通常値nFD、遅延部51が出力する遅延させた周期計測値FDを遅延値dFDという。
[1−4−2.算出部]
算出部6は、保持部61と、調整値算出部62と、端数積算部63と、繰返数算出部64とを備える。
端数積算部63は、選択信号S1が入力される毎に、小数点部RLの値αを積算し、その積算値に応じて桁上がり信号K及び選択信号S2を出力する。具体的には、端数積算部63は、まず、積算値が1未満であればK=0を出力し、積算値が1以上であればK=1を出力する。
[1−4−3.更新部]
更新部7は、セレクタ71と、カウンタ72と、カウンタ制御部73とを備える。
セレクタ71は、選択信号S1がロウレベルの時は、周期値sFDを選択し、選択信号S1がハイレベルの時は、調整値pDを選択し、設定カウント値CDとして生成部8に供給する。
生成部8は、図4に示すように、加算器81と、ラッチ回路82と、パルスセレクタ83と、ダウンカウンタ84と、タイミング制御部85と、パルス発生器86とを備える。
図3に戻り、マスク部9は、ゲート部91と、ゲート制御部92とを備える。
ゲート制御部92は、ゲート部91が出力するクロック信号POと、選択信号S1とに従って、出力許可信号OEを生成する。
デジタル制御発振回路1は、基準クロックSCKおよび周期設定値RDが入力された状態で、起動信号SPを入力すると、基準クロックSCKの周期を周期設定値RD倍した周期を有するクロック信号POを出力する。
また、パルス発生部4では、選択部5が、出力パルス信号PAの発生タイミングを考慮して、周期計測値FDの通常値nFD及び遅延値dFDのうちいずれかを周期値sFDとして選択する。算出部6は、周期設定値RD及び周期値sFDに基づいて調整値pD及び繰返数Mを算出する。更新部7は、周期値sFD及び調整値pDのうちいずれかを繰返数Mから特定される割合で設定カウント値CDとして選択する。生成部8は、出力パルス信号PAを出力するタイミング(以下、読込タイミング)で設定カウント値CDを読み込み、読み込んだ設定カウント値CDに応じた時間が経過すると出力パルス信号PAを発生させる動作を繰り返す。そして、設定カウント値CDが周期値sFDである場合に、この周期値sFDに基づいて発生する読込タイミングが粗調整タイミングであり、設定カウント値CDが調整値pDである場合に、この調整値pDに基づいて発生する読込タイミングが精密調整タイミングである。マスク部9は、精密調整タイミングで発生する出力パルス信号PAをクロック信号POとして抽出して出力する。
上述したとおり、生成部8は、読込タイミング毎に設定カウント値CDを読み込む。このため、設定カウント値CDが周期値sFDである場合、周期値sFDの値が切り替わるタイミングと、出力パルス信号PAの発生タイミングとが接近し過ぎると、周期値sFDは、その値が安定する前に生成部8に読み込まれ、誤作動の原因となるおそれがある。このような事態を抑制するために、セレクタ52は、選択信号S2に従って、周期値sFDの値が切り替わるタイミングと、出力パルス信号PAの発生タイミングとが、常に基準クロックSCKの1/4周期以上離れるように、通常値nFD及び遅延値dFDのいずれかを選択する。
つまり、図5に示すように、時刻t4〜t5の間にある読込タイミング以前は、カウント値が非零であり、選択信号S1がロウレベルであるため、周期値sFDが設定カウント値CDとして選択される。また、時刻t4〜t5の間にある読込タイミングで、カウンタ72のカウント値が零に変化し、これに伴って、選択信号S1がハイレベルに変化する。続く、時刻t5〜t6の間にある読込タイミングでは、選択信号S1がハイレベルであるため、調整値pDが設定カウント値CDとして選択されると共に、カウンタ72に繰返数Mがロードされ、選択信号S1がロウレベルに変化する。このため、時刻t6以降の読込タイミングでは、再び、周期値sFDが設定カウント値CDとして選択される。
つまり、図5に示すように、出力許可信号OEは、調整値pDが設定カウント値CDとして生成部8に読み込まれる読込タイミング(即ち、時刻t5〜t6の間の読込タイミング)から基準クロックSCKの1周期が経過する前のタイミングでハイレベルに変化し、クロック信号PO(調整値pDに基づく精密調整タイミングで発生する出力パルス信号PA)の次の読込タイミングに達する前のタイミングでロウレベルに変化する。これにより、精密調整タイミングで発生する出力パルス信号PAのみが、クロック信号POとして抽出される。
以上詳述した第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1a)本実施形態では、リングオシレータ2と共に既存のDCOを形成する生成部8を利用し、生成部8に読み込ませる設定カウント値CDを、計測部3にて生成される周期計測値FD及び外部から入力される周期設定値RDに基づいて制御している。従って、デジタル制御発振回路1によれば、簡易な構成にて、精度の安定したクロックを発生させることができる。
[2−1.第1実施形態との相違点]
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
算出部6aは、保持部61と、調整値算出部62aと、端数積算部63と、繰返数算出部64とを備える。つまり、算出部6とは、調整値算出部62aが異なる。
yD=sFD−(Q−1)×wD (4)
更新部7aは、セレクタ71と、カウンタ72と、カウンタ制御部73と、信号制御部74と、フィルタ75とを備える。つまり、更新部7に対して信号制御部74及びフィルタ75が追加されている。
図11に示すように、選択信号S11は、選択信号S1の立ち上がりタイミングでハイレベルに変化し、出力許可信号OEの立下りタイミングでロウレベルに変化する。この選択信号S11に従って、カウンタ71が動作するため、第1実施形態の場合と比較して、セレクタ71にて、調整値算出部62aの出力が選択される期間が延長される。
以上詳述した第2実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果(1a)〜(1d)を奏し、さらに、以下の効果を奏する。
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
(3b)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
Claims (5)
- 複数の遅延素子をリング状に接続した構造を有するリングオシレータ(2)と、
前記リングオシレータを周回するパルス信号である周回信号が前記遅延素子を通過する段数を通過段数として、外部から入力される基準クロックの周期毎に、該基準クロックの周期を前記通過段数で表現した周期計測値を生成するように構成された計測部(3)と、
前記通過段数をカウントし、該通過段数が予め設定された設定カウント値に達したタイミングで出力パルス信号を生成するように構成された生成部(8)と、
前記基準クロックの周期に対する実数で表現された倍率である周期設定値を取得し、前記周期設定値の整数部の値から1以上の整数であるオフセット値Nを減算した繰返数を算出すると共に、前記計測部にて前記周期計測値が生成される毎に、前記周期設定値の少数点部の値を、前記周期計測値を用いて前記通過段数に換算した値に前記周期計測値のN倍を加算した調整値を算出するように構成された算出部(6)と、
前記周期計測値又は前記調整値によって前記設定カウント値を更新するように構成された更新部(7)と、
を備え、
前記更新部は、前記周期計測値によって生成されるタイミングである粗調整タイミングでの前記出力パルス信号の出力が前記繰返数回繰り返される毎に、前記調整値によって生成されるタイミングである精密調整タイミングでの前記出力パルス信号の出力が1回行われるように前記設定カウント値を更新するように構成された
デジタル制御発振回路。 - 請求項1に記載のデジタル制御発振回路であって、
前記更新部は、前記精密調整タイミングでは前記基準クロックの周期より短く設定された期間の間に、前記生成部が複数の前記出力パルス信号を出力するように前記設定カウント値を更新するように構成された
デジタル制御発振回路。 - 請求項1または請求項2に記載のデジタル制御発振回路であって、
前記周期計測値の更新タイミングを、前記基準クロックの半周期だけ遅延させた遅延値を生成する遅延部(51)と、
前記少数点部の値を積算することで、前記基準クロックの周期内における前記出力パルス信号のタイミングを推定する推定部(63)と、
前記推定部にて推定された推定タイミングと前記周期計測値又は前記遅延値の更新タイミングとのタイミング差が、前記基準クロックの1/4周期以上離れるように、前記周期計測値及び前記遅延値のいずれかを選択して、前記設定カウント値の更新に用いるように構成された選択部(52)と、
を更に備える
デジタル制御発振回路。 - 請求項3に記載のデジタル制御発振回路であって、
前記推定部は、前記少数点部の値の積算値が1を超えると前記積算値から1を減算するように構成され、
前記算出部は、前記積算値が1を超えた場合に前記繰返数に1を加算するように構成された、
デジタル制御発振回路。 - 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のデジタル制御発振回路であって、
前記出力パルス信号のうち、前記精密調整タイミングで出力される前記出力パルス信号を抽出して出力するように構成されたマスク部(9)
を更に備えるデジタル制御発振回路。
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