JP3665512B2 - 二値信号の比較装置及びこれを用いたpll回路 - Google Patents

二値信号の比較装置及びこれを用いたpll回路 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、二値化された二つの入力信号の周波数や位相を比較する比較装置及びこれを位相比較器として用いたPLL回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
二値化された二つの入力信号の位相を比較する位相比較器として、イクスクルーシブOR回路を用いる手法は古くから知られている。すなわち、イクスクルーシブOR回路の二つの入力に二値化された入力信号をそれぞれ与えると、その出力に現れる二値の出力信号のデューティが二つの入力信号の位相差に応じて変化するため、これを積分器で平均化することにより、位相差に応じたアナログ信号を取り出すことができる。
【0003】
イクスクルーシブOR回路では二つの入力信号の周波数が等しく、位相差が−π〜πの間のみでしか位相差を検出することができず、周波数ステップ動作時には正しく位相差を検出することはできない。従って、イクスクルーシブOR回路を位相比較器に用い、検出された位相差に基づいて電圧制御発振器の発振周波数を制御するPLL(位相ロックループ)回路を構成した場合には、初期引き込みに要する時間、いわゆるセトリング時間が長くなってしまう。
【0004】
一方、検出できる位相差の範囲を−2π〜2πに拡大した位相比較器も知られている。この位相比較器では、位相差が−2π〜2πの範囲を超えた場合は出力される位相差の値が−2πまたは2πの値を保持するように動作するため、周波数ステップ動作時にも正常な動作を期待できる。しかし、検出できる位相差の範囲は拡大されたとはいえ−2π〜2πに制限されてしまう。
【0005】
また、上述した位相比較器を用いてPLL回路を構成する場合は、いずれも位相比較器への二つの入力信号の周波数をほぼ等しくするように構成する必要があり、PLL回路の構成の自由度を著しく狭めることになる。さらに、ループ内に分周器を挿入したPLL回路を用いて所望の周波数を生成しようとする場合、出力周波数が基準信号の周波数の整数倍に限定されてしまう。
【0006】
特開平5−300014号には、位相差が−2π〜2πの範囲を超える場合にも適用可能な位相比較器が開示されている。しかし、この位相比較器では構成要素として鋸歯状波の基準信号発生器や基準信号の微分位相発生器などの複雑なアナログ的回路要素を必要とするため、回路規模が非常に大きなものとなってしまい、コストが増大するという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の位相比較器では周波数の異なる二つの入力信号の位相差を検出することができず、また特にPLL回路を構成する場合は、位相比較器への二つの入力信号の周波数をほぼ等しくするように構成する必要があるため、PLL回路の構成の自由度が著しく狭められ、さらにPLL回路の出力周波数の自由度も低いという問題点があった。
【0008】
また、二つの入力信号の位相差が−2π〜2πの範囲を超え周波数が異なる場合にも適用可能に構成した位相比較器では、回路規模が大きく高価なものとなってしまうという問題点があった。
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、ディジタル回路を中心とした簡単な回路構成で、周波数の異なる二つの入力信号の周波数比を検出でき、さらに該周波数比と周波数比設定値との誤差、そしてさらには周波数の異なる二つの入力信号の位相差を検出可能とする比較装置及びこれを用いたPLL回を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明に係る二値化された第1及び第2の入力信号を比較する比較装置は以下のように構成される。
【0011】
(1)本発明に係る第1の比較装置は、第1の入力信号の立ち上がり及び立ち下がりの少なくとも一方の変化点毎にカウンタをリセットし、該カウンタで第2の入力信号をカウントすることにより、該カウンタから第1及び第2の入力信号の周波数比に応じたディジタル値を出力することを特徴とする。
【0012】
この比較装置によれば、カウンタを主体とした単純な構成で、第1及び第2の入力信号の周波数比を精度よく求めることができる。
【0013】
(2)本発明に係る第2の比較装置は、第1の入力信号の立ち上がり及び立ち下がりの少なくとも一方の変化点毎にリセットされ、第2の入力信号をカウントすることにより第1及び第2の入力信号の周波数比に応じたディジタル値を出力するカウンタと、このカウンタから出力されるディジタル値と第1及び第2の入力信号に対して設定された周波数比設定値を表すディジタル値との誤差を検出する誤差検出手段とを有することを特徴とする。
【0014】
この比較装置では、第1の比較装置で得られるディジタル値を用いて、簡単な構成で第1及び第2の入力信号の周波数比の周波数比設定値に対する誤差を精度よく求めることができる。
【0015】
(3)本発明に係る第3の比較装置は、第1の入力信号の立ち上がり及び立ち下がりの少なくとも一方の変化点毎にリセットされ、第2の入力信号をカウントすることにより第1及び第2の入力信号の周波数比に応じたディジタル値を出力するカウンタと、このカウンタから出力されるディジタル値と第1及び第2の入力信号に対して設定された周波数比設定値を表すディジタル値との誤差を検出する誤差検出手段と、この誤差検出手段により検出された誤差を積分する積分手段とを有することを特徴とする。
【0016】
この比較装置では、第2の比較装置により得られた第1及び第2の入力信号の周波数比の周波数比設定値に対する誤差をさらに積分することによって、簡単な構成で第1及び第2の入力信号の位相差を両信号の周波数比がどのような値であっても検出することが可能となる。
【0017】
(4)本発明に係る第4の比較装置は、第1の入力信号の立ち上がり及び立ち下がりの少なくとも一方の変化点のタイミング毎にカ該カウンタで第2の入力信号をカウントすることにより第1及び第2の入力信号の周波数比に応じたディジタル値を生成すると共に、該ディジタル値と第1及び第2の入力信号に対して設定された周波数比設定値を表すディジタル値との誤差の積分値に対応したディジタル値を該カウンタから出力することを特徴とする。
【0018】
この比較装置では、第1及び第2の入力信号の周波数比の周波数比設定値に対する誤差を積分することで、第1及び第2の入力信号の位相差を両信号の周波数比がどのような値であっても検出することが可能となる。
【0019】
しかも、カウンタの内部で第1及び第2の入力信号の周波数比の周波数比設定値に対する誤差が検出され、さらにこの誤差の積分が行われるので、別に積分器を必要としないより簡単な回路構成とすることができる。
【0020】
(5)本発明に係る第5の比較装置は、第1の入力信号の立ち上がり及び立ち下がりの少なくとも一方の変化点のタイミング毎に第2の入力信号をカウントすることにより第1及び第2の入力信号の周波数比に応じたディジタル値を生成すると共に、該ディジタル値と第1及び第2の入力信号に対し設定された非整数の周波数比設定値の整数部を示すディジタル値との誤差の積分値に対応したディジタル値を出力するカウンタと、周波数比設定値の小数部を示すディジタル値を積分する積分手段と、カウンタから出力されるディジタル値と積分手段により積分されたディジタル値との誤差を検出する誤差検出手段とを有することを特徴とする。
【0021】
この比較装置では、第1及び第2の入力信号の周波数比の周波数比設定値に対する誤差を積分して位相差を検出する際、第1及び第2の入力信号の周波数比の周波数比設定値の整数部に対する誤差の積分はカウンタで行われ、周波数比設定値の小数部に対する誤差の積分はカウンタの外部で行われることによって、カウンタの構成を複雑にすることなく、より簡単な構成で位相誤差をより高精度に検出することができる。
【0022】
(6)本発明に係る第6の比較装置は、第1の入力信号の立ち上がり及び立ち下がりの少なくとも一方の変化点毎にリセットされ、第2の入力信号をカウントすることにより第1及び第2の入力信号の周波数比に応じたディジタル値を出力するカウンタと、第1及び第2の入力信号に対して設定された非整数の周波数比設定値を表すディジタル値を平均的に該ディジタル値となるように構成された整数のディジタル値列に変換する変換手段と、カウンタから出力されるディジタル値と変換手段により変換されたディジタル値列との誤差を検出する誤差検出手段とを有することを特徴とする。
【0023】
この比較装置によると、第1及び第2の入力信号の周波数比が周波数比設定値に対し誤差を持たない場合の繰り返しパターンの発生を伴うことなく、周波数比の誤差を精度よく検出することができる。
【0024】
(7)本発明に係る第7の比較装置は、第1の入力信号の立ち上がり及び立ち下がりの少なくとも一方の変化点毎にリセットされ、第2の入力信号をカウントすることにより第1及び第2の入力信号の周波数比に応じたディジタル値を出力するカウンタと、第1及び第2の入力信号に対して設定された非整数の周波数比設定値を示すディジタル値を平均的な値が該ディジタル値と一致するように構成された整数のディジタル値列に変換する変換手段と、カウンタから出力されるディジタル値と変換手段により変換されたディジタル値列との誤差を検出する誤差検出手段と、この誤差検出手段により検出された誤差を積分する積分手段とを有することを特徴とする。
【0025】
この比較装置においても、第1及び第2の入力信号の周波数比がどのような値であっても、両信号の位相比較を行うことが可能となる。
【0026】
(8)本発明に係る第8の比較装置は、第1及び第2の入力信号に対して設定された非整数の周波数比設定値を表すディジタル値を平均的な値が該ディジタル値と一致するように構成された整数のディジタル値列に変換する変換手段と、第1の入力信号の立ち上がり及び立ち下がりの少なくとも一方の変化点のタイミング毎に第2の入力信号をカウントすることにより第1及び第2の入力信号の周波数比に応じたディジタル値を生成すると共に、該ディジタル値と変換手段により変換されたディジタル値列との誤差の積分値に対応したディジタル値を出力するカウンタとを有することを特徴とする。
【0027】
この比較装置では、カウンタにおいて第1及び第2の入力信号の周波数比の周波数比設定値に対する誤差を積分することで、第1及び第2の入力信号の周波数比がどのような値であっても、両信号の位相比較を行うことが可能であり、さらにカウンタの内部で第1及び第2の入力信号の周波数比の周波数比設定値に対する誤差が検出され、さらにこの誤差の積分が行われるので、別に積分器を設ける必要がなく、回路構成がより簡単なものとなる。
【0028】
(9)さらに、本発明によると第2、第3、第4、第5、第6、第7及び第8のいずれかの比較装置を位相比較器として含み、第1の入力信号として、所定の周波数の基準信号を入力し、第2の入力信号として、該位相比較器に基づいて制御される可変周波数発振器の出力信号または該出力信号を分周した信号を入力することを特徴とするPLL回路が提供される。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の最も基本的な第1の実施形態に係る比較装置を示している。この比較装置は、第1の入力端子101からの二値化された第1の入力信号111と、第2の入力端子102からの二値化された第2の入力信号112との周波数比に対応した出力ディジタル値115を出力端子103から出力する装置であり、リセット信号発生回路104とカウンタ105から構成される。
【0030】
次に、図2に示す信号波形図を用いて本実施形態による比較装置の原理と動作を説明する。
第1の入力信号111、第2の入力信号112はそれぞれ図2(a)(c)に示すように二値化された信号であり、この例では両者の周波数は異なっている。リセット信号発生回路104は、例えば微分回路により構成され、図2(b)に示すように第1の入力信号111の立ち上がりタイミングt1,t2,…を検出し、このタイミングt1,t2,…でパルス信号をリセット信号114として発生する。
【0031】
リセット信号114は、カウンタ105のリセット入力に与えられる。カウンタ105のクロック入力には、第2の入力信号112が入力される。従って、カウンタ105はリセット信号114が入力される度にリセットされ、次に再びリセットされるまでの期間にわたり第2の入力信号112をカウントする。リセット信号114は第1の入力信号111の周期T1毎に発生されるから、カウンタ105から出力されるディジタル値115は、第1の入力信号111の周期T1内に含まれる第2の入力信号112の周期数、つまり第1の入力信号111と第2の入力信号112の周波数比に対応した値となる。このカウンタ105の出力ディジタル値115は、出力端子103より出力される。
【0032】
本実施形態の比較装置は、一見すると周波数カウンタと類似している。しかしながら、周波数カウンタは既知の長さのゲート信号の期間内にカウンタに入力されるクロックの数をカウントするものである。これに対して、本実施形態の比較装置ではゲート信号に対応する第1の入力信号111は、繰り返し入力される周期信号であり、カウンタ105による第2の入力信号112のカウントは、第1の入力信号111の1周期毎に連続して間断なく行われる点が周波数カウンタと本質的に異なる。
【0033】
ここで、本実施形態の構成において、第1及び第2の入力信号111,112の周波数比が整数の場合には、出力ディジタル値115は正確にこの周波数比に対応した値を持つが、実際には周波数比が整数とならない場合があり、そのような場合には出力ディジタル値115に誤差が生じると考えられる。しかし、本実施形態の構成によると、この誤差は十分に低く抑えられる。
【0034】
図2は、第1及び第2の入力信号111,112の周波数比が整数でない場合を示している。tqはカウンタ105で発生する丸め誤差であり、カウンタ105が第1の入力信号111の周期内で第2の入力信号112の数をカウントする場合に、第2に入力信号112の1周期以下の時間をカウントできないために発生する誤差である。z-1は、第2の入力信号112をカウンタ105のクロック入力とした場合のz変換における1クロック遅延を表す。
【0035】
第2の入力信号112の周期をT2とすると、カウンタ105の出力ディジタル値115は、T1/T2+(1−z-1)tqと表すことができる。ここで、この出力ディジタル値115においては、誤差成分は(1−z-1)が乗じられた形で現れる。この項のDC成分はz=1と置くことにより求まり、0となる。従って、カウンタ105の出力ディジタル値115への丸め誤差の影響は、DC成分では存在しない。すなわち、ある程度以上の長い時間でみると、つまり平均的にみると、カウンタ105の丸め誤差の影響は出力ディジタル値115にほとんど現れず、出力ディジタル値115は第1及び第2の入力信号111,112の周波数比を正確に示す。
【0036】
言い換えれば、第1の入力信号111の1周期内でみると、カウンタ105の出力ディジタル値115にはカウンタ105での丸め誤差が現れるが、この誤差分は第1の入力信号111の次の1周期内のカウンタ105のカウント値に繰り入れられ、この丸め誤差が次々と次の周期に繰り入れられて伝搬してゆくことにより、平均的にみると丸め誤差の影響は出力ディジタル値115に現れなくなるのである。
【0037】
図3に、出力ディジタル値115における誤差成分の周波数スペクトルのシミュレーション結果を示す。図3において、横軸は周波数、縦軸は雑音電力をそれぞれ表す。
【0038】
ここで、第1及び第2の入力信号111,112の周期比(周波数比の逆数)をT1/T2=10.5としている。第1及び第2の入力信号111,112の周波数が異なるために、第1の入力信号111の1周期内では出力ディジタル値115に誤差が発生する。
【0039】
通常、ランダムに発生する誤差であれば、そのスペクトルは周波数によらず一定となる。しかし、図3に示されるように周波数0付近での誤差分、つまり誤差のDC成分は上述した原理で減衰するため、非常に小さくなっている。
【0040】
このように本実施形態の比較装置によれば、第1及び第2の入力信号111,112の周波数比を精度よく求めることができる。従って、この周波数比から後に説明する実施形態で示すように、入力信号111,112の周波数が異なる場合でも、両者の位相差を正確に検出することが可能となる。
【0041】
図4に、カウンタ105の具体例を示す。このカウンタ105ではJKフリップフロップ151,152,153,154とANDゲート155,156よりなる4ビットの同期カウンタが構成され、JKフリップフロップ151,152,153,154のリセット端子には入力端子150に入力される図1のリセット信号発生回路104からのリセット信号114、またクロック端子には第2の入力信号112がそれぞれ入力される。
【0042】
同期カウンタの出力は、リセット信号114のタイミングで4ビットのラッチ157によりラッチされ、このラッチ157の出力から第1の入力信号111の周期内に含まれる第2の入力信号112の周期数に応じたディジタル値がカウンタ105の出力ディジタル値115として得られる。このカウンタのカウント動作はリセット信号114によるリセット後、直ちに再開されるため、第1及び第2の入力信号111,112の周波数比が整数をなさない場合は、図2を用いて説明した原理に基づき、ラッチ157に保持される値のDC値は正確な周波数比を示す。
【0043】
このように本実施形態の比較装置によれば、第1及び第2の入力信号111,112の周波数比を精度よく求めることができる。
なお、本実施形態ではリセット信号発生回路104が図2に示したように第1の入力信号111の立ち上がりタイミングt1,t2,…でリセット信号114を発生するものとしたが、第1の入力信号111の立ち下がりタイミングでリセット信号を発生してもよく、立ち上がり及び立ち下がりの両方のタイミングでリセット信号を発生してもよい。
【0044】
また、リセット信号発生回路104は必ずしも必要ではなく、カウンタ105が第1の入力信号111の立ち上がりまたは立ち下がりエッジでリセットされる構成となっていれば、リセット信号発生回路104を省略することができる。この点は、以降の実施形態においても同様である。
【0045】
(第2の実施形態)
図5は、本発明の第2の実施形態に係る比較装置であり、第1の実施形態で説明した図1の構成に加えて、第3の入力端子106が追加され、さらにカウンタ105と出力端子103との間に減算器107が挿入されている。
【0046】
第3の入力端子106には、周波数比設定値116が入力される。この周波数比設定値116は第1及び第2の入力信号111,112の周波数比として設定したい値を表すディジタル値であり、減算器107ではカウンタ105の出力ディジタル値115から周波数比設定値116が差し引かれ、この減算器107の出力ディジタル値117が出力端子103へ導かれる。従って、本実施形態によると、周波数比設定値116に対する第1及び第2の入力信号111,112の周波数比の誤差が求められる。
【0047】
図6は、本実施形態におけるカウンタ105と減算器107の部分を具体的に示す図であり、カウンタ105は図4と同じく4ビットの同期カウンタである。このカウンタ105の終段に設けられた4ビットのラッチ157の出力ディジタル値115は、減算器107の加算入力に与えられ、減算器107の減算入力には4ビットのディジタル値からなる周波数比設定値116が入力される。減算器107では、これら出力ディジタル値115と周波数設定値116との減算処理が行われ、この減算結果が減算器107より5ビットの出力ディジタル値117として出力される。
【0048】
図4で説明したように、ラッチ157には第1及び第2の入力信号111,112の周波数比のディジタル値が保持されるため、ラッチ157の出力ディジタル値115から周波数比設定値116を差し引くことにより、周波数比設定値116に対するディジタル値115の誤差を示す出力ディジタル値117が得られる。
【0049】
このように本実施形態の比較装置によれば、第1及び第2の入力信号111,112の周波数比の周波数比設定値116に対する誤差を精度よく求めることができる。
【0050】
(第3の実施形態)
図7は、本発明の第3の実施形態に係る比較装置であり、図5の減算器107の後段に積分器108が挿入された構成となっている。第2の実施形態で説明したように、減算器107からは第1及び第2の入力信号111,112の周波数比の周波数比設定値116に対する誤差が出力されるので、これを積分器108で積分することにより、第1及び第2の入力信号111,112の周波数比設定値116分の1の周波数における位相差の情報が得られる。
【0051】
より詳細には、第1の入力信号111の周波数をf1、第2の入力信号112の周波数をf2、周波数比設定値116をmとすると、積分器108からは第1の入力信号111の周波数をm倍したm×f1の信号と、f2なる周波数の第2の入力信号112との位相差を示すディジタル値118が得られる。ここで、特筆すべきことはmは整数に限られるものではなく、小数であっても構わないという点である。従って、本実施形態によると第1及び第2の入力信号111,112の周波数比f1/f2がどのような値であっても、両信号111,112の位相比較を行うことが可能となる。
【0052】
図8は、本実施形態におけるカウンタ105と減算器107及び積分器108の部分を具体的に示す図であり、カウンタ105と減算器107は図6と同様である。積分器108は加算器181とラッチ182からなり、加算器181は減算器107からの出力値117と、ラッチ182に保持されていた加算器181の前回の出力値を加算し、出力ディジタル値118として減算器107の出力ディジタル値117を積分した値を出力する。
【0053】
このように本実施形態によれば、第1及び第2の入力信号111,112の周波数比f1/f2の周波数比設定値mに対する誤差を積分することで、周波数m×f1の信号と周波数f2の信号との位相差を求めることができるので、第1及び第2の入力信号111,112の位相差を両信号の周波数比f1/f2がどのような値であっても検出することが可能となる。
【0054】
(第4の実施形態)
図9に、本発明の第4の実施形態に係る比較装置を示す。この比較装置は、入力端子201からの二値化された第1の入力信号211と第2の入力端子202からの二値化された第2の入力信号212との位相差に対応した出力ディジタル値215を出力端子203から出力する装置であり、ロード信号発生回路204とカウンタ205から構成される。
【0055】
ロード信号発生回路204は、例えば微分回路で構成されており、第1の入力信号211の立ち上がりタイミングまたは立ち下がりタイミングあるいは立ち上がり及び立ち下がりの両方のタイミングでロード信号214を発生する。ロード信号214は、カウンタ205ロード端子に入力される。カウンタ205のクロック端子には、第2の入力信号212が入力される。カウンタ205には、さらに第3の入力端子206から周波数比設定値216が入力される。この周波数比設定値216は、第1及び第2の入力信号211,212の周波数比として設定したい値を表すディジタル値である。
【0056】
カウンタ205は、ロード信号214のタイミングに従って、第2の入力信号212をカウントし、第1及び第2の入力信号211,212の周波数比に応じたカウント値を生成すると共に、このカウント値と周波数比設定値216との誤差の積分値を出力ディジタル値215として出力するように構成されている。このカウンタ205からの出力ディジタル値215は、出力端子203より出力される。
【0057】
図10は、カウンタ205の具体例を示している。このカウンタ205は、カウンタ回路251とラッチ252及び減算器253により構成され、カウンタ回路251のロード端子にはロード信号214が入力され、クロック端子には第2の入力信号212が入力される。カウンタ回路251の出力ディジタル値215は、出力端子203に導かれると共に、ロード信号214のタイミングでラッチ252により保持される。ラッチ252からの出力ディジタル値は周波数比設定値216と共に減算器253に入力され、減算器253で両者の誤差が求められる。この誤差はロード信号214のタイミングでカウンタ回路251にロードされる。
【0058】
すなわち、カウンタ回路251は第1の入力信号211の立ち上がりタイミングで生成されるロード信号214のタイミングに従い減算器253の出力がロードされると、第2の入力信号212のカウントを開始し、第1の入力信号211の周期内に含まれる第2の入力信号212の周期数に応じたディジタル値、つまり第1及び第2の入力信号211,212の周波数比が求められ、これがラッチ252によりロード信号214のタイミングでラッチされる。カウンタ回路251のカウント動作はロード信号214によるロード後、直ちに再開されるため、第1及び第2の入力信号111,112の周波数比が整数をなさない場合は、図2を用いて説明した原理に基づき、ラッチ252に保持される値のDC値は正確な周波数比を示す。
【0059】
こうしてラッチ252に保持された周波数比と周波数比設定値216との誤差が減算器253で求められ、これがロード信号214のタイミングでカウンタ回路251に再びロードされる。このような動作が繰り返されることにより、カウンタ回路251からは第1及び第2の入力信号211,212の周波数比と周波数比設定値216との誤差を積分した出力ディジタル値215が出力される。
【0060】
このように本実施形態によれば、カウンタ205において第1及び第2の入力信号211,212の周波数比f1/f2の周波数比設定値mに対する誤差を積分することで、周波数m×f1の信号と周波数f2の信号との位相差を求めることができるので、第1及び第2の入力信号211,212の位相差を両信号の周波数比f1/f2がどのような値であっても検出することが可能となる。
【0061】
また、本実施形態ではカウンタ205の内部で第1及び第2の入力信号211,212の周波数比f1/f2の周波数比設定値mに対する誤差が検出され、さらにこの誤差の積分が行われるので、第3の実施形態のように別に積分器を設ける必要がなく、回路構成をより簡単にすることができる。
【0062】
なお、本実施形態においてロード信号発生回路204は必ずしも必要ではなく、カウンタ205が第1の入力信号211の立ち上がりまたは立ち下がりエッジでロードされる構成となっていれば、ロード信号発生回路204を省略することができる。この点は、以降の実施形態においても同様である。
【0063】
(第5の実施形態)
図11は、本発明の第5の実施形態に係る比較装置であり、第4の実施形態の図7の構成に加えて第4の入力端子207、積分器208及び減算器209が追加されている。
【0064】
本実施形態は、第1及び第2の入力信号211,212の周波数比設定値として非整数の値、つまり小数を含む値を与えることができるようにした例であり、第3の入力端子206には周波数比設定値の整数部216、第4の入力端子207には周波数比設定値の小数部217がそれぞれ与えられる。従って、本実施形態ではカウンタ205においては第1及び第2の入力信号211,212の周波数比の周波数比設定値の整数部216に対する誤差が積分されることになり、この積分値に対応した出力ディジタル値215がカウンタ205から出力される。
【0065】
一方、周波数比設定値の小数部217は積分器208により積分され、この積分器208からの出力ディジタル値218が減算器209においてカウンタ205の出力ディジタル値215から差し引かれ、両者の誤差が検出されることにより、第1及び第2の入力信号211,212の位相差を示すディジタル値219が出力端子203へ出力される。
【0066】
このように本実施形態の比較装置によれば、第1及び第2の入力信号211,212の周波数比の周波数比設定値に対する誤差を積分して位相差を検出する際、第1及び第2の入力信号211,212の周波数比の周波数比設定値の整数部216に対する誤差の積分はカウンタ205で行い、周波数比設定値の小数部217に対する誤差の積分はカウンタ205の外部で行うことにより、位相誤差をより高精度に検出することができる。
【0067】
すなわち、原理的には図9に示した第4の実施形態の構成によっても周波数比設定値216として非整数の値を与えることは可能であるが、カウンタ205の構成が図10とは異なった複雑なものになってしまうのに対して、本実施形態によればカウンタ205の構成を複雑にすることなく、第1及び第2の入力信号211,212の周波数比の非整数の周波数比設定値に対する誤差を積分して高精度に位相差を検出することが可能となる。
【0068】
(第6の実施形態)
図12は、本発明の第6の実施形態に係る比較装置であり、第2の実施形態の図5に示した構成に加えて、第3の入力端子106と減算器107との間に変換回路109を挿入したものである。第3の入力端子106からは非整数、つまり小数を含んだ周波数比設定値116が入力される。変換回路109は、この非整数の周波数比設定値116を平均的に周波数比設定値116となるように構成された整数のディジタル値列(整数値列)119に変換する。
【0069】
すなわち、変換回路109では非整数の周波数比設定値116がその小数部で示される比率で複数の整数値を繰り返す整数値列119に変換される。例えば周波数比設定値116が“2.5”であるとすると、変換回路109から出力される整数値列119は、
2,3,2,3,2,3,…
となる。また、周波数比設定値116が“5.1”の場合は、
5,5,5,5,5,5,5,5,5,6,5,5,5,5,5,5,5,5,5,6,5,5,…
となる。
【0070】
一方、カウンタ105の出力ディジタル値115は、第1及び第2の入力信号111,112の周波数比が1:5.1の場合、
5,5,5,5,5,5,5,5,5,6,5,5,5,5,5,5,5,5,5,6,5,5,…
となる。このとき、周波数比設定値116が“5.1”の場合、減算器107の出力ディジタル値117は、
0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,…
となり、第1及び第2の入力信号111,112の周波数比が周波数比設定値116と一致する場合は、常に“0”が出力されることになる。ここで、従来の方法では周波数比設定値が非整数の場合、周波数比に誤差がなくとも出力に繰り返しパターンが発生し、出力に雑音として現れるという問題があったが、本実施形態によれば上記のように繰り返しパターンが発生することはなく、このような問題が解決される。
【0071】
次に、周波数比設定値116が“5.1”で、第1及び第2の入力信号111,112の周波数比が1:5.1より僅かに大きい場合には、カウンタ105からの出力ディジタル値115は、例えば
5,5,5,5,5,5,5,5,6,5,5,5,5,5,5,5,5,6,5,5,5,5,…
となり、減算器107の出力ディジタル値117は、
0,0,0,0,0,0,1,−1,0,0,0,0,0,0,0,1,0,,−1,0,0,0,0,0,0,1,0,0,−1,…
となって、第1及び第2の入力信号111,112の周波数比の周波数比設定値116に対する誤差を検出することが可能となる。
【0072】
第1及び第2の入力信号111,112の周波数比の周波数比設定値116に対するこの誤差がさらにずれた場合は、カウンタ105からの出力ディジタル値115は例えば
5,5,5,6,5,5,5,6,5,5,5,6,5,5,5,6,5,5,5,6,…
となり、減算器107の出力ディジタル値117は、
0,0,0,1,0,0,0,1,0,−1,0,1,0,0,0,1,0,0,0,0,0,0,0,1,0,0,0,1,…
となって、同様に第1及び第2の入力信号111,112の周波数比の周波数比設定値116に対する誤差を検出することが可能となる。
【0073】
このように本実施形態によれば、第1及び第2の入力信号111,112の周波数比が周波数比設定値に対し誤差を持たない場合の繰り返しパターンの発生を伴うことなく、周波数比の誤差を精度よく検出することができる。
【0074】
(第7の実施形態)
図13は、本発明の第7の実施形態に係る比較装置であり、図12の減算器107の後段に積分器108が挿入された構成となっている。第3の実施形態で説明したように、減算器107からは第1及び第2の入力信号111,112の周波数比の周波数比設定値116に対する誤差が出力されるので、これを積分器108で積分することにより、第1及び第2の入力信号111,112の周波数比設定値116分の1の周波数における位相差の情報が得られる。
【0075】
より詳細には、第1の入力信号111の周波数をf1、第2の入力信号112の周波数をf2、周波数比設定値116をmとすると、積分器108からは第1の入力信号111の周波数をm倍したm×f1の信号とf2なる周波数の第2の入力信号112との位相差を示すディジタル値118が得られる。ここで、特筆すべきことはmは整数に限られるものではなく、小数であっても構わないという点である。従って、本実施形態によると第1及び第2の入力信号111,112の周波数比f1/f2がどのような値であっても、両信号111,112の位相比較を行うことが可能となる。
【0076】
(第8の実施形態)
図14は、本発明の第8の実施形態に係る比較装置であり、第4の実施形態の図9に示した構成に加えて、第3の入力端子206とカウンタ205との間に変換回路210を挿入したものである。第3の入力端子206からは非整数、つまり小数を含んだ周波数比設定値216が入力される。変換回路210は、この非整数の周波数比設定値216を平均的に周波数比設定値216となるように構成された整数のディジタル値列(整数値列)220に変換して、カウンタ205に供給する。
【0077】
第4の実施形態で説明したように、カウンタ205はロード信号214のタイミングに従い第2の入力信号212をカウントし、第1の入力信号211と第2の入力信号212との周波数比に応じたカウント値を生成すると共に、このカウント値と周波数比設定値220との誤差の積分値を出力ディジタル値215として出力するように構成され、このカウンタ205からの出力ディジタル値215が出力端子203より出力される。
【0078】
このように本実施形態によれば、カウンタ205において第1及び第2の入力信号211,212の周波数比f1/f2の周波数比設定値mに対する誤差を積分することで、周波数m×f1の信号と周波数f2の信号との位相差を求めることができる。しかも、本実施形態ではmは整数に限られるものではなく、小数であっても構わないため、第1及び第2の入力信号111,112の周波数比f1/f2がどのような値であっても、両信号111,112の位相比較を行うことが可能となる。
【0079】
さらに、本実施形態ではカウンタ205の内部で第1及び第2の入力信号211,212の周波数比f1/f2の周波数比設定値mに対する誤差が検出され、さらにこの誤差の積分が行われるので、第7の実施形態のように別に積分器を設ける必要がなく、回路構成をより簡単にすることができる。
【0080】
(第9の実施形態)
図15に、本発明の第9の実施形態として、本発明による比較装置を位相比較器として用いたPLL回路を示す。このPLL回路は、位相比較器11、フィルタ12、可変周波数発振器である電圧制御発振器(VCO)13及び分周器14から構成される。
【0081】
位相比較器11は、先の実施形態で説明した比較装置のうち位相差を検出する機能を有する例えば図7、図9、図11、図13または図14のいずれかの比較装置であり、第1の入力端子1には例えば図示しない基準発振器からの基準信号が第1の入力信号として入力され、第2の入力端子2には分周器14からの出力が第2の入力信号として入力される。また、第3の入力端子4には先に説明した周波数比設定値が入力される。
【0082】
位相比較器11からは、第1及び第2の入力信号の周波数比の周波数比設定値に対する誤差を積分した値、つまり第1及び第2の入力信号の位相差の信号が出力される。この位相比較器11の出力信号は、フィルタ(例えばローパスフィルタ)12により不要な成分が除去された後、VCO13に制御信号として入力される。VCO13は、フィルタ12の出力信号により発振周波数が制御される。VCO13の出力は、出力端子5から外部へ送出されると共に、分周器14で分周された後、位相比較器11に第2の入力信号として入力される。
【0083】
本発明に基づく位相比較器11はディジタル値を出力するため、フィルタ12がディジタルフィルタであれば位相比較器11の出力をそのままフィルタ12に入力すればよいが、アナログフィルタを用いる場合には、位相比較器11の出力信号をD/A変換器15によりアナログ信号に変換してからフィルタ12に入力すればよい。
【0084】
また、フィルタ12がディジタルフィルタであり、かつVCO13がアナログVCO、すなわちアナログの制御電圧によって発振周波数が制御される可変周波数発振器の場合には、フィルタ12の出力信号をD/A変換器16によりアナログ信号に変換してからVCO13に入力すればよい。フィルタ12がディジタルフィルタであり、またVCO13がディジタル値の制御信号により発振周波数が制御されるような、いわゆるディジタルVCO(数値制御発振器)の場合には、フィルタ12の出力信号を直接VCO13に入力することができる。
【0085】
また、フィルタ12に積分要素を含むものを用いた場合は、図5または図12に示した比較装置を位相比較器11として用いることができる
このPLL回路は、位相比較器11で検出される第1及び第2の入力信号の位相差が零となるようにVCO13の発振周波数が制御される。ここで、本発明では位相比較器11として前述したように第1及び第2の入力信号の周波数が異なっていても両者の位相差を検出できるものを用いているため、従来のPLL回路のように基準信号(第1の入力信号)と分周器14の出力信号(第2の入力信号)の周波数を同一にする必要はない。このため、従来のPLL回路と比較して設計の自由度を著しく高めることができる。
【0086】
VCO13の発振周波数、つまり出力端子15から出力される出力信号の周波数foutは、第1の入力信号である基準信号の周波数をf1、周波数比設定値をM、分周器14の分周比をNとすると、
fout=M・N・f1
となる。一方、従来のPLL回路における出力信号の周波数は、
fout=N・f1
となる。分周比Nは、通常の分周器では整数となるため、従来のPLL回路では出力信号の周波数は基準信号の周波数f1の整数倍にしか選ぶことができなかった。従って、分周比Nを変化させて発生可能な出力信号の周波数間隔を狭くしようとする場合には、この周波数間隔以下の周波数に基準信号の周波数を設定する必要があった。しかし、PLL回路において基準信号の周波数を低くすることは周波数切り替え時の過渡応答特性を劣化させることになり、好ましくない。
【0087】
これに対し、位相比較器11として本発明による比較装置を用いると、周波数比設定値Mは前述したように非整数の値を選ぶことができるため、出力信号の周波数を自由に設定することが可能であり、発生可能な出力信号の周波数間隔を容易に狭くすることができる。
【0088】
また、分周器14として非整数の分周比を用いることも可能であるが、そのような分周器は構成が複雑で高価となる上、分周器の出力パルス間隔が不規則に変化するため、PLL回路の出力信号に悪影響を及ぼすことがあるが、本発明よる比較装置を位相比較器11に用いると、分周器14は分周比が整数のもので十分であり、このような問題は生じない。
【0089】
さらに、上述の説明から明らかなように、周波数比設定値Mのみによっても出力信号の周波数を自由に変えることもできるため、分周器14を省略した構成とすることも可能であり、その場合にはさらにコストを削減することができる。
【0090】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によればカウンタを主体とするディジタル回路を中心とした簡単な回路構成で、周波数の異なる二つの入力信号の周波数比を検出でき、さらに該周波数比と周波数比設定値との誤差、そしてさらには周波数の異なる二つの入力信号の位相差を検出可能とすることができる。
【0091】
すなわち、従来の位相比較器では周波数の異なる二つの入力信号の位相差を検出することができず、また特にPLL回路を構成する場合は、位相比較器への二つの入力信号の周波数をほぼ等しくするように構成する必要があるため、PLL回路の構成の自由度が著しく狭められ、さらにPLL回路の出力周波数の自由度も低いという問題点があったが、本発明の比較装置をPLL回路の位相比較器として用いれば、このような制約がなくなり、PLL回路の設計自由度が大きく向上する。
【0092】
また、従来の二つの入力信号の位相差が−2π〜2πの範囲を超え周波数が異なる場合にも適用可能に構成した位相比較器では、複雑なアナログ的回路要素を必要とし、回路規模が大きく高価なものとなってしまうという問題点があったのに対して、本発明の比較装置はカウンタを主体とするディジタル回路を中心とした簡単な回路構成であり、高性能化しつつ低コストで実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る比較装置の構成を示すブロック図
【図2】同実施形態の動作を説明するための信号波形図
【図3】同実施形態における出力の誤差成分の周波数スペクトルを示す図
【図4】図1におけるカウンタの具体的な構成例を示す回路図
【図5】本発明の第2の実施形態に係る比較装置の構成を示すブロック図
【図6】図5におけるカウンタ及び加算器の具体的な構成例を示す回路図
【図7】本発明の第3の実施形態に係る比較装置の構成を示すブロック図
【図8】図7におけるカウンタと加算器及び積分器の具体的な構成例を示す回路図
【図9】本発明の第4の実施形態に係る比較装置の構成を示すブロック図
【図10】図9におけるカウンタの具体的な構成例を示す回路図
【図11】本発明の第5の実施形態に係る比較装置の構成を示すブロック図
【図12】本発明の第6の実施形態に係る比較装置の構成を示すブロック図
【図13】本発明の第7の実施形態に係る比較装置の構成を示すブロック図
【図14】本発明の第8の実施形態に係る比較装置の構成を示すブロック図
【図15】本発明に係る比較装置を位相比較器として用いた本発明の第9の実施形態に係るPLL回路の構成を示すブロック図
【符号の説明】
101…第1の入力信号の入力端子
102…第2の入力信号の入力端子
103…出力端子
104…リセット信号発生回路
105…カウンタ
106…周波数比設定値の入力端子
107…減算器
108…積分器
109…周波数比設定値変換回路
201…第1の入力信号の入力端子
202…第2に入力信号の入力端子
203…出力端子
204…ロード信号発生回路
205…カウンタ
206…周波数設定値の整数部の入力端子
207…周波数設定値の小数部の入力端子
208…積分器
209…加算器
210…積分器
11…位相比較器
12…フィルタ
13…VCO(可変周波数発振器)
14…分周器

Claims (4)

  1. 二値化された第1及び第2の入力信号を比較する比較装置において、
    前記第1の入力信号の立ち上がり及び立ち下がりの少なくとも一方の変化点毎にリセットされ、前記第2の入力信号をカウントすることにより前記第1及び第2の入力信号の周波数比に応じたディジタル値を出力するカウンタと、
    前記カウンタから出力されるディジタル値と前記第1及び第2の入力信号に対して設定された周波数比設定値を表すディジタル値との誤差を検出する誤差検出手段と、
    前記誤差検出手段により検出された誤差を積分する積分手段と
    を有することを特徴とする比較装置。
  2. 二値化された第1及び第2の入力信号を比較する比較装置において、
    前記第1の入力信号の立ち上がり及び立ち下がりの少なくとも一方の変化点毎にリセットされ、前記第2の入力信号をカウントすることにより前記第1及び第2の入力信号の周波数比に応じたディジタル値を出力するカウンタと、
    前記第1及び第2の入力信号に対して設定された非整数の周波数比設定値を表すディジタル値を平均的に該ディジタル値となるように構成された整数のディジタル値列に変換する変換手段と、
    前記カウンタから出力されるディジタル値と前記変換手段により変換されたディジタル値列との誤差を検出する誤差検出手段と
    を有することを特徴とする比較装置。
  3. 二値化された第1及び第2の入力信号を比較する比較装置において、
    前記第1の入力信号の立ち上がり及び立ち下がりの少なくとも一方の変化点毎にリセットされ、前記第2の入力信号をカウントすることにより前記第1及び第2の入力信号の周波数比に応じたディジタル値を出力するカウンタと、
    前記第1及び第2の入力信号に対して設定された非整数の周波数比設定値を示すディジタル値を平均的な値が該ディジタル値と一致するように構成された整数のディジタル値列に変換する変換手段と、
    前記カウンタから出力されるディジタル値と前記変換手段により変換されたディジタル値列との誤差を検出する誤差検出手段と、
    前記誤差検出手段により検出された誤差を積分する積分手段と
    を有することを特徴とする比較装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の比較装置を位相比較器として含み、前記第1の入力信号として、所定の周波数の基準信号を入力し、前記第2の入力信号として、該位相比較器に基づいて制御される可変周波数発振器の出力信号または該出力信号を分周した信号を入力することを特徴とするPLL回路。
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