JP6778501B2 - 成形機及び押出機洗浄用樹脂組成物 - Google Patents

成形機及び押出機洗浄用樹脂組成物 Download PDF

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賢二 前田
毅 服部
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Description

本発明は、洗浄用樹脂組成物、特に、成形機及び押出機洗浄用樹脂組成物に関する。
射出成形機は、原料の熱可塑性樹脂を溶融、混練し、可塑化するため、シリンダー(加熱筒またはバレルと呼ばれる場合もある)とそこに内蔵されるスクリューや、その先端部に取り付けられ、樹脂を吐出するノズル等を備えている。押出成形機もまた、原料の熱可塑性樹脂を溶融、混練し、可塑化するため、シリンダーとそこに内蔵されるスクリューや、その先端に取り付けられ、樹脂を吐出するダイ等を備えている。成形機及び押出機において使用する熱可塑性樹脂を変更する場合、シリンダーの内部、スクリュー、ノズル又はダイ、及びベント部等を洗浄する必要があり、その場合、洗浄用樹脂組成物が使用される。
洗浄用樹脂組成物は、シリンダーの内部、スクリュー等に残存している熱可塑性樹脂を押し出すために高粘度であることが要求される。このような要求を満足する洗浄用樹脂組成物として、スチレン系樹脂を主成分とし、無機充填剤及び発泡剤が添加された洗浄用樹脂組成物が報告されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平05−069446号公報
ところで、高温(例えば、240℃以上)で使用するエンジニアリング・プラスチックス等の熱可塑性樹脂がシリンダーの内部等に残存している場合、上記のスチレン系樹脂を主成分とする洗浄用樹脂組成物を用いて高温にあるシリンダーの内部等を洗浄すると、洗浄用樹脂組成物の粘度が低くなり、剪断力が低下するため、十分な洗浄力が得られない。また、上記洗浄用樹脂組成物には、アゾジカルボンアミドや炭酸水素ナトリウム等の炭酸ガスを発生できる発泡剤が添加されている。このような発泡剤の添加は、洗浄用樹脂組成物の製造コスト増につながるだけでなく、発泡剤の分解残渣や有害ガス(刺激臭等の臭気を含む)の発生といった作業者の安全に係る問題が生じるおそれがある。さらに上記洗浄用樹脂組成物は耐熱性が十分でないため、高温での使用は、熱劣化した上記洗浄用樹脂組成物が、シリンダーやスクリューに粘着して滞留し、かえって成形機や押出機を汚染してしまうという問題があった。したがって、洗浄用樹脂組成物、特にエンジニアリングプラスチック成形後の成形機や押出機を洗浄するための洗浄用樹脂組成物であって、洗浄性能及び耐熱性に優れ、かつ作業時の有害ガスの発生が少ないものが望まれる。
本発明の目的は、洗浄性能及び耐熱性に優れ、かつ作業時の有害ガスの発生が少ない洗浄用樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、特定のポリカーボネート樹脂、特定のポリプロピレン及び無機充填剤の組合せを用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明の要旨は以下[1]〜[6]に示す通りである。
[1] (A)試験温度(θ)300℃、公称荷重(Mnom)1.2kgの条件におけるメルトボリュームフローレート(MVR)の値が3cm3/10min乃至30cm3/10minであるポリカーボネート樹脂30質量部乃至70質量部、
(B)試験温度(θ)230℃、公称荷重(Mnom)2.16kgの条件におけるメルトマスフローレート(MFR)の値が0.1g/10min乃至10g/10minであるポリプロピレン10質量部乃至40質量部、及び
(C)1種類以上の無機充填剤10質量部乃至60質量部
からなり、(A)、(B)及び(C)の質量部の合計が100質量部であることを特徴とする、洗浄用樹脂組成物。
[2] ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量が、2.0×104乃至3.4×104であることを特徴とする、[1]に記載の洗浄用樹脂組成物。
[3] 無機充填剤(C)が、ケイ酸塩であることを特徴とする、[1]又は[2]に記載の洗浄用樹脂組成物
[4] 無機充填剤(C)が、ガラス繊維であることを特徴とする、[1]又は[2]に記載の洗浄用樹脂組成物。
[5] 成形機又は押出機の洗浄用である、[1]乃至[4]のいずれかに記載の洗浄用樹脂組成物。
[6] エンジニアリングプラスチック成形後の成形機又は押出機の洗浄用である、[5]に記載の洗浄用樹脂組成物。
本発明の洗浄用樹脂組成物は、MVRの値が3cm3/10min乃至30cm3/10minであるポリカーボネート樹脂を主成分とすることから、耐熱性に優れ、高温でのシリンダーの内部等の洗浄に供した場合でも、粘度が低くなり、剪断力が低下するといった問題が生ぜず、シリンダーの内部、スクリュー等に残留した熱可塑性樹脂を確実に押し出すことができ、十分な洗浄効果を有する。また、MFR値が0.1g/10min乃至10g/10minを有するポリプロピレンを添加することから、耐熱性に優れ、高い粘度を維持でき、スクリューやシリンダー等の金属部品に粘着することなく、容易に除去可能であるといった優れた洗浄効果を奏する。
また、本発明の洗浄用樹脂組成物は、発泡剤を含まないため、また耐熱性が高く、有害物質が発生しない原材料を使用しているため、これらの分解残渣や有害ガス(刺激臭等の臭気を含む)の発生といった作業者の安全に係る問題が生じるおそれがない。さらに、無機充填剤の添加により、洗浄用樹脂組成物の高粘度化に寄与できると共に、シリンダーの内部等に残留した熱可塑性樹脂を、そこに内蔵されるスクリューや、その先端部に取り付けられ、樹脂を吐出するノズル又はダイ等の構成要素から確実に掻き取ることができる。したがって、本発明の洗浄用樹脂組成物は、成形機又は押出機の洗浄用として、特に、難燃グレード樹脂やガラス繊維強化樹脂などのエンジニアリングプラスチック成形後の成形機又は押出機の洗浄用として極めて有用である。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定され
るものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施すること
ができる。
<(A)成分:ポリカーボネート樹脂>
本発明の洗浄用樹脂組成物に用いられるポリカーボネート樹脂は、試験温度(θ)300℃、公称荷重(Mnom)1.2kgの条件におけるメルトボリュームフローレート(MVR)の値が、3cm3/10min乃至30cm3/10minである。またポリカーボネート樹脂の重量平均分子量(MW)は、高温下での溶融時の高粘度化、金属との粘着性の低減といった観点から、2.0×104乃至3.4×104であることが好ましく、2.2×104乃至3.2×104であることがより好ましい。
なお本発明において、MVR及びMFRは、JIS K7210:1999に基づき測定することができる。更には、樹脂の重量平均分子量(MW)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC法)による標準ポリスチレン換算値として測定するといった方法に基づき求めることができる。
本発明の洗浄用樹脂組成物において、ポリカーボネート樹脂の含有量は、(A)、(B)及び(C)成分の合計100質量部に対して、30質量部乃至70質量部であり、35質量部乃至65質量部であることが好ましく、40質量部乃至60質量部であることがより好ましい。
本発明の洗浄用樹脂組成物に用いられるポリカーボネート樹脂は、公知の方法に基づき合成することができ、例えば、界面重合法、ピリジン法、エステル交換法、環状カーボネート化合物の開環重合法をはじめとする各種合成方法を挙げることができる。具体的には、芳香族ジヒドロキシ化合物又はこれと少量のポリヒドロキシ化合物と、一般にホスゲンとして知られている塩化カルボニル、ジメチルカーボネートやジフェニルカーボネートに代表される炭酸ジエステル、又は一酸化炭素や二酸化炭素と云ったカルボニル系化合物とを反応させることによって得られる、直鎖状又は分岐鎖状の芳香族ポリカーボネートの重合体又は共重合体である。
原料の芳香族ジヒドロキシ化合物として、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−ヒドロキシ−(3,5−ジフェニル)フェニル]プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,4’−ジヒドロキシ−ジフェニルメタン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジクロロジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−2,5−ジエトキシジフェニルエーテル、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン等を挙げることができる。中でも、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類が好ましく、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが特に好ましい。また、これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は、単独で、又は、2種以上を混合して使用することができる。
分岐鎖状のポリカーボネート樹脂を得るには、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−3、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等で示されるポリヒドロキシ化合物、又は3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロロイサチンビスフェノール、5,7−ジクロロイサチンビスフェノール、5−ブロモイサチンビスフェノール等を、上述した芳香族ジヒドロキシ化合物の一部として用いればよく、使用量は、0.01〜10モル%が好ましく、0.1〜2モル%がより好ましい。
界面重合法による反応にあっては、反応に不活性な有機溶媒中、アルカリ水溶液の存在下で、通常pHを10以上に保ち、芳香族ジヒドロキシ化合物及び分子量調整剤(末端停止剤)、必要に応じて芳香族ジヒドロキシ化合物の酸化防止のための酸化防止剤を用い、ホスゲンと反応させた後、第三級アミン若しくは第四級アンモニウム塩等の重合触媒を添加し、界面重合を行うことによってポリカーボネート樹脂を得ることができる。分子量調節剤の添加は、ホスゲン化時から重合反応開始時までの間であれば、特に限定されない。尚、反応温度は0〜35℃であり、反応時間は数分〜数時間である。
ここで、反応に不活性な有機溶媒として、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素化炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等を挙げることができる。分子量調節剤(末端停止剤)としては、一価のフェノール性水酸基を有する化合物を挙げることができ、具体的には、m−メチルフェノール、p−メチルフェノール、m−プロピルフェノール、p−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−長鎖アルキル置換フェノール等を挙げることができる。重合触媒として、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリヘキシルアミン、ピリジン等の第三級アミン類;トリメチルベンジルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムクロリド、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド等の第四級アンモニウム塩等を挙げることができる。
エステル交換法による反応は、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応である。通常、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物との混合比率を調整したり、反応時の減圧度を調整したりすることによって、所望のポリカーボネート樹脂の分子量と末端ヒドロキシル基量が決められる。末端ヒドロキシル基量は、ポリカーボネート樹脂の熱安定性、加水分解安定性、色調等に大きな影響を及ぼす。ポリカーボネート樹脂に実用的な物性を持たせるためには、末端ヒドロキシル基量は、1000ppm以下が好ましく、700ppm以下がより好ましい。芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、炭酸ジエステルを等モル量以上用いることが一般的であり、好ましくは1.01〜1.30モルの量で用いられる。
エステル交換法によりポリカーボネート樹脂を合成する際には、通常、エステル交換触媒が使用される。エステル交換触媒としては、特に制限はないが、主としてアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物が使用され、補助的に塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、又はアミン系化合物等の塩基性化合物を併用することも可能である。このような原料を用いたエステル交換反応では、100〜320℃の温度で反応を行い、最終的には2.7×102Pa(2mmHg)以下の減圧下、芳香族ヒドロキシ化合物等の副生成物を除去しながら溶融重縮合反応を行う方法が挙げられる。溶融重縮合は、バッチ式で又は連続的に行うことができるが、安定性等の観点から、連続式に行うことが好ましい。エステル交換法において、ポリカーボネート樹脂中の触媒の失活剤として、触媒を中和する化合物、例えばイオウ含有酸性化合物、又はそれより形成される誘導体を使用することが好ましく、その量は、触媒のアルカリ金属に対して0.5〜10当量、好ましくは1〜5当量の範囲であり、ポリカーボネート樹脂に対して通常1〜100ppm、好ましくは1〜20ppmの範囲で添加する。
ポリカーボネート樹脂は、フレークの形態であってもよいし、ペレットの形態であってもよい。ポリカーボネート樹脂のフレークは、例えば、界面重合法でのポリカーボネート樹脂を含んだジクロロメタン溶液を45℃に保った温水に滴下し、溶媒を蒸発除去することで得ることができ;界面重合法でのポリカーボネート樹脂を含んだジクロロメタン溶液をメタノール中に投入し、析出したポリマーを濾過し、乾燥して得ることができ;あるいは、界面重合法でのポリカーボネート樹脂を含んだジクロロメタン溶液をニーダーにて攪拌下、40℃に保ちながら攪拌粉砕後、95℃以上の熱水で脱溶剤して得ることができる。
必要に応じて、得られたポリカーボネート樹脂を周知の方法に基づき単離した後、例えば、周知のストランド方式のコールドカット法(一度溶融させたポリカーボネート樹脂をストランド状に成形、冷却後、所定の形状に切断してペレット化する方法)、空気中ホットカット方式のホットカット法(一度溶融させたポリカーボネート樹脂を、空気中で水に触れぬうちにペレット状に切断する方法)、水中ホットカット方式のホットカット法(一度溶融させたポリカーボネート樹脂を、水中で切断し、同時に冷却してペレット化する方法)によって、ポリカーボネート樹脂のペレットを得ることができる。尚、得られたポリカーボネート樹脂のペレットは、必要に応じて、熱風乾燥炉、真空乾燥炉、脱湿乾燥炉を用いた乾燥といった方法に基づき、適宜、乾燥させることが好ましい。
ポリカーボネート樹脂には、添加剤として、酸化防止剤、フェノール系やリン系、硫黄系の熱安定剤;ベンゾトリアゾール系やベンゾフェノン系の紫外線吸収剤;カルボン酸エステル、ポリシロキサン化合物、パラフィンワックス(ポリオレフィン系)、ポリカプロラクトン等の離型剤;帯電防止剤等を添加してもよい。
ここで、酸化防止剤として、フェノール系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ビスフェノール系酸化防止剤、ポリフェノール系酸化防止剤、有機イオウ化合物、ホスファイト等の有機リン化合物を挙げることができる。具体的には、フェノール系酸化防止剤として、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4―ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンを挙げることができる。また、ヒンダードフェノール系酸化防止剤として、ペンタエリスリト−ルテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド)、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネート、3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン,2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール等を挙げることができる。
熱安定剤として、分子中の少なくとも1つのエステルが、フェノール及び/又は炭素数1〜25のアルキル基を少なくとも1つ有するフェノールでエステル化された亜リン酸エステル化合物(a)、亜リン酸(b)及びテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−ホスホナイト(c)よりなる群から選ばれた少なくとも1種を挙げることができる。亜リン酸エステル化合物(a)の具体例として、トリオクチルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(オクチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジフェニルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等を挙げることができる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
紫外線吸収剤の具体例として、酸化セリウム、酸化亜鉛等の無機紫外線吸収剤の他、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、トリアジン化合物等の有機紫外線吸収剤を挙げることができる。これらの中では、有機紫外線吸収剤が好ましい。特に、ベンゾトリアゾール化合物、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチロキシ)フェノール、2,2’−(1,4−フェニレン)ビス[4H−3,1−ベンゾキサジン−4−オン]、[(4−メトキシフェニル)−メチレン]−プロパンジオイックアシッド−ジメチルエステルの群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。ベンゾトリアゾール化合物の具体例として、2−ビス(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレン−ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール][メチル−3−[3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート−ポリエチレングリコール]縮合物等を挙げることができる。これらの2種以上を併用してもよい。上記の中では、好ましくは、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチロキシ)フェノール、2,2’−メチレン−ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]である。
光安定剤として、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、オギザニリド系紫外線吸収剤 マロン酸エステル系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン等を挙げることができる。光安定剤の具体例として、例えば、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニル)、p−フェニレンビス(1,3−ベンゾオキサジン−4−オン)、[(4−メトキシフェニル)−メチレン]−マロン酸ジメチルエステル等を挙げることができる。
さらに、ポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネート系樹脂を射出成形にて成形された射出成形体や、溶融押出成形にて成形されたシートやフィルムを粉砕して得られる粉砕品でもよく、また該粉砕品を溶融混錬して得られる、いわゆるリサイクルペレットを用いてもよい。また、該粉砕品やリサイクルペレットの原料であるポリカーボネート系樹脂はポリカーボネート樹脂とポリオレフィン系樹脂のポリマーアロイでもよいし、上記ポリカーボネート製のシートやフィルムには保護フィルムとして用いられるポリオレフィン製フィルムが貼り付けられたものを用いてもよい。
<(B)成分:ポリプリピレン>
本発明の洗浄用樹脂組成物に用いられるポリプロピレンは、試験温度(θ)230℃、公称荷重(Mnom)2.16kgの条件におけるメルトマスフローレート(MFR)の値が、0.1g/10min乃至10g/10minである。かかるMFRの規定を満足するポリプリピレンとして、例えば、日本ポリプロ株式会社製ノバテックPP EA9等を挙げることができる。
本発明の洗浄用樹脂組成物において、ポリプロピレンの含有量は、(A)、(B)及び(C)成分の合計100質量部に対して、10質量部乃至40質量部であり、10質量部乃至30質量部であることが好ましい。
<(C)成分:充填剤>
本発明の洗浄用樹脂組成物は、無機充填剤を含む。無機充填剤は、樹脂成分に対する熱劣化が少ないという観点から、鉄分、酸、又はアルカリ分が少ないものが好ましい。また充填剤の形状が、針状又は粉砕形状であるものが好ましい。無機充填剤の含有量は、その洗浄能力、高粘度化の観点から、(A)、(B)及び(C)成分の合計100質量部に対して10質量部乃至60質量部であり、10質量部乃至50質量部であることが好ましく、15質量部乃至45質量部であることが好ましい。
また、無機充填剤として、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリ繊維、金属繊維、セラミック繊維、アラミド繊維、PPS繊維、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化鉄、黒鉛、カーボンブラック、マイカ、アスベスト、セラミックパウダー、金属フレーク、板状ガラス、ガラスビーズ、炭酸カルシウム(CaCO2)、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム(CaSiO3)等を挙げることができる。中でも、ガラス繊維、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、又はワラストナイト、ゾノトライト等のケイ酸塩鉱物等のケイ酸塩、マイカ、板状ガラス及びガラスビーズが好ましく、特に、洗浄能力及びポリカーボネート樹脂成分の高温時の分解を抑制できるという観点から、ガラス繊維又はケイ酸塩がより好ましい。
また、無機充填剤としては、中でも、シランカップリング剤やチタン系カップリング剤等で表面処理されたものが好ましい。表面処理剤として、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルジメトキシメチルシラン等のアミノシラン系、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン系、イソプロピルトリスステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等のチタン系カップリング剤等を挙げることができる。
<洗浄用樹脂組成物の製造>
本発明の洗浄用熱可塑性樹脂組成物は、上述した配合比にて、通常の熱可塑性樹脂の分野において実施されている混合方法、例えば、押出機による混練りに基づき製造することができる。この際、同時に全成分を混合してもよく、成分の一部をあらかじめ混合し、いわゆるマスターバッチを製造し、このマスターバッチと残りの成分を混合してもよい。また本発明の洗浄用熱可塑性樹脂組成物を製造するにあたり、熱可塑性樹脂の分野で一般に添加されている滑剤、劣化防止剤、可塑剤のような添加剤を、本発明の洗浄用樹脂組成物の効果を損なわない範囲で、必要に応じて添加してもよい。このようにして得られる組成物は通常ペレット状に成形され、熱可塑性樹脂の分野において一般に行なわれている射出成形法、押出し成形法等の成形法で、熱可塑性樹脂、特に難燃性グレード樹脂やガラス繊維強化樹脂を成形した後の押出機や成形機の洗浄剤として使用される。
ここで滑剤の例として、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200〜15000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルの群から選ばれる少なくとも1種の化合物を挙げることができる。脂肪族カルボン酸としては、飽和又は不飽和の脂肪族1価、2価又は3価カルボン酸を挙げることができる。ここで、脂肪族カルボン酸とは、脂環式のカルボン酸も包含する。これらの中でも、好ましい脂肪族カルボン酸は、炭素数6〜36の1価又は2価カルボン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和1価カルボン酸が更に好ましい。脂肪族カルボン酸の具体例として、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、アジピン酸、アゼライン酸等を挙げることができる。脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルにおける脂肪族カルボン酸として、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、アルコールとして、飽和又は不飽和の1価又は多価アルコールを挙げることができる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基等の置換基を有していてもよい。これらの中では、炭素数30以下の1価又は多価の飽和アルコールが好ましく、炭素数30以下の脂肪族飽和1価アルコール又は多価アルコールが更に好ましい。ここで、脂肪族には脂環式化合物も包含される。アルコールの具体例として、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等を挙げることができる。尚、上記のエステル化合物は、不純物として脂肪族カルボン酸及び/又はアルコールを含有していてもよく、複数の化合物の混合物であってもよい。脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルの具体例として、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等を挙げることができる。数平均分子量200〜15000の脂肪族炭化水素として、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、炭素数3〜12のα−オレフィンオリゴマー等を挙げることができる。ここで、脂肪族炭化水素には脂環式炭化水素も含まれる。また、これらの炭化水素化合物は部分酸化されていてもよい。これらの中では、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス又はポリエチレンワックスの部分酸化物が好ましく、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスが更に好ましい。数平均分子量は、好ましくは200〜5000である。これらの脂肪族炭化水素は単一物質であっても、構成成分や分子量が様々なものの混合物であってもよく、主成分が上記の範囲内であればよい。ポリシロキサン系シリコーンオイルとして、例えば、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、ジフェニルシリコーンオイル、フッ素化アルキルシリコーン等を挙げることができる。これらの2種類以上を併用してもよい。
滑剤の添加量は、(A)、(B)及び(C)成分の合計100質量部に対して、0質量部乃至10質量部であり、1質量部乃至5質量部であることが好ましい。滑剤を添加することにより、シリンダーの内部等に残留した熱可塑性樹脂が、シリンダー、スクリュー等の構成要素から剥がれ易く又は浮き易くなる。
本発明の洗浄用熱可塑性樹脂組成物は、射出成形機に備えられ、原料の熱可塑性樹脂を溶融、混練し、可塑化するためのシリンダー(加熱筒、バレル)とそこに内蔵されるスクリューや、その先端部に取り付けられ、樹脂を吐出するノズル等の洗浄に用いることができる。同様に、押出成形機に備えられ、原料の熱可塑性樹脂を溶融、混練し、可塑化するための加熱シリンダーとそこに内蔵されるスクリューや、その先端部に取り付けられ、樹脂を吐出するダイ等の洗浄に用いることができる。射出成形機(射出成形装置)として、例えば、公知のインラインスクリュー方式や、プランジャー方式、スクリュウー・プリプラ方式の射出成形機を挙げることができる。また、押出成形機として、ベント式押出機やタンデム式押出機を含む周知の単軸押出機、パラレル式二軸押出機やコニカル式二軸押出機を含む周知の二軸押出機を用いることができる。さらに、ダイの構造、構成、形式も、本質的に任意である。
以下、実施例に基づき本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではなく、実施例における種々の数値や材料は例示である。
本発明の実施例及び比較例で用いた各成分は、以下のとおりである。
<(A)成分:ポリカーボネート(PC)樹脂>
・ユーピロン(登録商標)S−1000(三菱エンジニアリングプラスチック(株)製);メルトボリュームフローレート(MVR;JIS K7210−1準拠 B法にて、試験温度(θ)300℃、公称荷重(Mnom)1.2kgの条件において測定)5.6cm3/10min;重量平均分子量(Mw)2.6×104
<(B)成分:ポリプロピレン(PP)>
・ノバテックTMPP EA9(日本ポリプロ(株)製);メルトマスフローレート(MFR;JIS K7210:1999にて、試験温度(θ)230℃、公称荷重(Mnom)2.16kgの条件において測定)0.5g/10min。
<(C)成分:充填剤>
・ガラス繊維(GF):T−571(日本電気硝子(株)製);チョップドストランド、長さ3mm。
・ワラストナイト(wollastonite;ケイ酸カルシウム):NYGLOS(登録商標)4W(NYCO Minerals, Inc.製);メジアン径4.5μm、針状。
<その他の成分>
・ポリエチレンワックス(滑剤):Licowax PE 520(Clariant製);粉末。
<比較樹脂>
・ポリエチレン(PE):ノバテックTMHDH Y540(日本ポリプロ(株)製);メルトマスフローレート(MFR;試験温度(θ)190℃、公称荷重(Mnom)2.16kgの条件において測定)1.0g/10min。
・ポリメチルメタクリレート(PMMA):アクリペットTMVH001(三菱レーヨン(株)製);メルトマスフローレート(MFR;試験温度(θ)230℃、公称荷重(Mnom)3.8kgの条件において測定)2.0g/10min。
[実施例1]
下記表1に記載された配合量に従い、PC樹脂、PP及びワックスを20分間ドライブレンドした後、主フィーダーより投入し、GFをサイドフィーダーより投入し、押出機(東芝機械株式会社製;TEM−48)に供給した。バレルの設定温度200℃〜290℃、スクリュー(三段圧縮タイプ)回転数450rpm〜550rpm、吐出量250kg/hにて、ストランドダイより押し出した樹脂組成物を冷却水槽で冷却の後、ストランドカッターに送り込み、適切なペレット(長さ3.0±0.2mm、長径2.8±0.4mm)に裁断し、洗浄用樹脂組成物のペレットを得た。
[実施例2〜3、比較例1〜3]
下記表1に記載された組成及び配合量に従い、実施例1と同様の方法で洗浄用樹脂組成物のペレットを調製した。
Figure 0006778501
[比較例4]
比較例4として、ポリカーボネート樹脂が含まれていない、アサクリンTMNewEX(旭化成(株)製)を使用した。
[実施例4]
下記表2に記載された配合量に従い、PC樹脂、PP、ワラスナイト及びワックスを20分間ドライブレンドした後、主フィーダーより投入し、押出機(東芝機械(株)製;TEM−48)に供給した。バレルの設定温度200℃〜290℃、スクリュー(三段圧縮タイプ)回転数450rpm〜550rpm、吐出量250kg/hにて、ストランドダイより押し出した樹脂組成物を冷却水槽で冷却の後、ストランドカッターに送り込み、適切なペレット(長さ3.0±0.2mm、長径2.8±0.4mm)に裁断し、洗浄用樹脂組成物のペレットを得た。
[実施例5〜6、比較例5〜7]
下記表2に記載された組成及び配合量に従い、実施例4と同様の方法で洗浄用樹脂組成物のペレットを調製した。
Figure 0006778501
[比較例7]
比較例7として、ポリカーボネート樹脂が含まれていない、アサクリンU(旭化成(株)製)を使用した。
以下の試験例に従い、本発明の洗浄用樹脂組成物の洗浄性能を評価した。
[試験例1]
二軸押出機(東芝機械(株)製;TEM−48;L/D=38;オープンベント+ベント付)を用いて、押出温度290℃、吐出率250kg/h、スクリュー回転数400rpmの条件にて、先ず、黒色のガラス繊維強化変性ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂ペレット(ユピエース(登録商標)GN30;三菱エンジニアリングプラスチック(株)製)を用いて溶融混練を行った。その後、洗浄試験として、実施例1〜3及び比較例1〜4の洗浄用樹脂組成物20kg(吐出率250kg/h)をそれぞれ用いて、5分間(吐出率250kg/h)押出洗浄を実施し、洗浄用樹脂組成物の洗浄性能を、以下の点からそれぞれ評価した。結果を表3に示す。
(置換性)
置換性は、洗浄前に使用したユピエース(登録商標)GN30が黒色であることから、洗浄試験により押出機に供給された実施例1〜3及び比較例1〜4の洗浄用樹脂組成物樹脂が、押出機の先端(ダイ部)より流れ出る際に、洗浄に供される前の樹脂組成物と同色になる時間を測定し、以下のように評価した。
・30秒以内 →◎ :非常に良好
・1分以内 →○ :良好
・2分以内 →△ :やや不良
・3分以内 →× :不良
なお、実施例1〜3、比較例1及び2の樹脂組成物は乳白色、比較例3の樹脂組成物は白色、比較例4の樹脂組成物(アサクリンNewEx)は薄黄色である。
(洗浄性)
5分間の洗浄試験の終了後、スクリューを抜出し、そのスクリュー表面(特に、圧縮部・先端部)を観察して、洗浄性を以下のように評価した。
・金属光沢(汚れなし) →◎ :非常に良好
・一部スクリュー(圧縮部・先端部)にのみ少し変色した樹脂(黄色)有 →○ :良好
・一部スクリュー(圧縮部・先端部)に変色した樹脂(褐色)有 →△ :やや不良
・一部スクリュー(圧縮部・先端部)に焼け樹脂(黒色)有 →× :不良
(剥がれ性)
5分間の洗浄試験の終了後、抜出したスクリューに付着した洗浄用樹脂組成物のスクリューからの剥がれ性を以下のように評価した。
・圧縮部以外は、指先でつまんできれいに取り除ける →◎ :非常に良好
・圧縮部・先端部の数か所以外は、指先でつまんできれいに取り除ける →○ :良好
・フィード部等の低圧部のみ除去可能・その他は除去できない →△ :やや不良
・いずれの部分も手で除去不能 →× :不良
(臭気)
洗浄試験中に作業者が感じる臭気(刺激臭)の度合いを以下のように評価した。
・臭気を感じない →◎ :非常に良好
・僅かに臭気を感じる →○ :良好
・臭気を感じる →△ :やや不良
・強い臭気を感じる →× :不良
(変色性)
5分間の洗浄試験の終了後、スクリューを抜出し、そのスクリューに残った洗浄用樹脂組成物の色を観察して、変色を以下のように評価した。
・洗浄に供される前の樹脂組成物と同色 →◎ :非常に良好
・洗浄に供される前の樹脂組成物よりわずかに変色(薄黄色) →○ :良好
・洗浄に供される前の樹脂組成物より変色(褐色) →△ :やや不良
・洗浄に供される前の樹脂組成物より強い変色(黒色) →× :不良
(清掃性)
5分間の洗浄試験の終了後、スクリュー・バレル・ダイ部の清掃方法により、清掃性を以下のように評価した。
・エアブロー・軽いワイヤーブラシのみで清掃可能 →◎ :非常に良好
・一部スクリュー部分等に回転ブラシでの清掃が必要 →○ :良好
・スクリュー・バレル等に回転ブラシでの清掃が必要 →△ :やや不良
・スクレパー(清掃用金属ヘラ)・サンドペーパー・回転ブラシでの清掃が必要→×:不良
(耐熱性)
洗浄用樹脂組成物を300℃にて1時間保持した後、その粘度変化を目視観察し、耐熱性を以下のように評価した。
・ほとんど変化なし →◎ :非常に良好
・僅かに粘度低下 →○ :良好
・粘度低下あり →△ :やや不良
・著しく粘度低下あり →× :不良
Figure 0006778501
実施例1〜3の洗浄用樹脂組成物は、いずれの評価項目においても非常に良好な評価であった。一方、PPの代わりに、それぞれPE及びPMMAを用いた比較例1及び2の洗浄用樹脂組成物は、臭気や変色性は非常に良好で、置換性も良好であったものの、洗浄性、剥がれ性、清掃性及び耐熱性はやや不良又は不良であった。PPとGFのみを用いた比較例3の洗浄用樹脂組成物についても、比較例1及び2の組成物と同様の傾向が観察された。またポリカーボネート樹脂が含まれていない、アサクリンTMNewEX(旭化成(株)製)を使用した比較例4は、実施例1〜3及び比較例1〜3とは異なり、試験中に作業者が強い臭気(刺激臭)を感じたことから、臭気は不良と評価された。また変色性及び耐熱性がやや不良又は不良であった。このように本願発明の洗浄用樹脂組成物は、従来品と比較して、作業性や耐熱性の観点から優れたものであった。
[試験例2]
二軸押出機(東芝機械(株)製;TEM−48;L/D=38;オープンベント+ベント付)を用いて、押出温度290℃、吐出率250kg/h、スクリュー回転数400rpmの条件にて、先ず、黒色の難燃グレードのポリカーボネート(PC)樹脂ペレット(ユーピロン(登録商標)FPR3300 B;三菱エンジニアリングプラスチック(株)製)を用いて溶融混練を行った。その後、洗浄試験として、実施例4〜6及び比較例5〜8の洗浄用樹脂組成物20kg(吐出率250kg/h)をそれぞれ用いて、5分間(吐出率250kg/h)射出成形を繰り返し、洗浄用樹脂組成物の洗浄性能を、上述した各評価項目(置換性〜耐熱性)の点からそれぞれ評価した。その結果を表4に示す。
Figure 0006778501
実施例4〜6の洗浄用樹脂組成物は、いずれの評価項目においても非常に良好な評価であった。一方、PPの代わりに、それぞれPE及びPMMAを用いた比較例5及び6の洗浄用樹脂組成物は、臭気や変色性は非常に良好で、置換性も良好であったものの、洗浄性、剥がれ性、清掃性及び耐熱性はやや不良又は不良であった。PPとGFのみを用いた比較例7の洗浄用樹脂組成物についても、比較例3及び4の組成物と同様の傾向が観察された。またポリカーボネート樹脂が含まれていない、アサクリンTMU(旭化成(株)製)を使用した比較例8は、実施例4〜6及び比較例5〜7とは異なり、試験中に作業者が強い臭気(刺激臭)を感じたことから、臭気は不良と評価された。また変色性及び耐熱性がやや不良又は不良であった。このように本願発明の洗浄用樹脂組成物は、従来品と比較して、作業性や耐熱性の観点から優れたものであった。

Claims (6)

  1. (A)試験温度(θ)300℃、公称荷重(Mnom)1.2kgの条件におけるメルトボリュームフローレート(MVR)の値が3cm3/10min乃至30cm3/10minであるポリカーボネート樹脂30質量部乃至70質量部、
    (B)試験温度(θ)230℃、公称荷重(Mnom)2.16kgの条件におけるメルトマスフローレート(MFR)の値が0.1g/10min乃至10g/10minであるポリプロピレン10質量部乃至40質量部、及び
    (C)1種類以上の無機充填剤10質量部乃至60質量部
    からなり、(A)、(B)及び(C)の質量部の合計が100質量部であることを特徴とするが、アクリロニトリル−スチレン共重合体を含まない、洗浄用樹脂組成物。
  2. ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量が、2.0×104乃至3.4×104であることを特徴とする、請求項1に記載の洗浄用樹脂組成物。
  3. 無機充填剤(C)が、ケイ酸塩であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の洗浄用樹脂組成物。
  4. 無機充填剤(C)が、ガラス繊維であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の洗浄用樹脂組成物。
  5. 成形機又は押出機の洗浄用である、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の洗浄用樹脂組成物。
  6. エンジニアリングプラスチック成形後の成形機又は押出機の洗浄用である、請求項5に記載の洗浄用樹脂組成物。
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