JP2015137307A - 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

難燃性ポリカーボネート樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】難燃性、衝撃強度、耐熱性に優れ、更には光劣化および湿熱劣化による衝撃強度、難燃性の低下が抑制された難燃性強化ポリカーボネート樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)0〜90重量%および(B)ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂(B成分)10〜100重量%からなる樹脂成分100重量部に対し、(C)ホスファゼン化合物(C成分)0.1〜4重量部、(D)無機充填材(D成分)5〜44重量部、(E)含フッ素滴下防止剤0.01〜1重量部を含有し、かつB成分由来のシロキサンドメインサイズが8〜19nmであることを特徴とする難燃性強化ポリカーボネート樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂、ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂を基体とし、難燃性、耐熱性に優れ、衝撃強度を併せもつ難燃性ポリカーボネート樹脂組成物に関する。更に詳しくは、光劣化による衝撃強度、難燃性の低下が抑制され、かつ湿熱劣化による衝撃強度、難燃性の低下をも抑制された難燃性ポリカーボネート樹脂組成物に関する。
芳香族ポリカーボネート樹脂は、機械的特性、寸法精度、電気的特性、熱的特性などに優れ、エンジニアプラスチックとして電気、電子機器分野、自動車分野、OA分野などさまざまな分野において幅広く使用されている。特に近年、スマートグリッドに代表される屋外で使用される樹脂筐体においては、屋外の様々な環境から内部の精密機器を保護する観点から、難燃性、耐熱性、衝撃特性、更には耐光性、湿熱特性に優れた材料が求められていた。
特許文献1〜3ではポリカーボネート樹脂およびホスファゼン化合物、ポリカーボネート樹脂、ホスファゼン化合物およびゴム強化スチレン、ポリカーボネート樹脂、ホスファゼン化合物およびフッ素化合物などからなる難燃性と耐加水分解性と衝撃強度の改良された芳香族ポリカーボネート樹脂組成物などが提案されている。しかし、光劣化および湿熱劣化による難燃性低下を抑制する効果に関する記載が不十分であり、またホスファゼン化合物を添加するだけでは、求められる光劣化および湿熱劣化による衝撃強度、難燃性の低下の抑制には不十分であり満足できるものではなかった。
特許文献4ではポリカーボネート樹脂、ホスファゼン化合物、ゴム強化スチレンおよび紫外線吸収剤からなる耐光性、難燃性および機械的強度の改良された芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が提案されている。しかし、湿熱劣化による難燃性の低下を抑制する効果に関する記載が不十分であり、また紫外線吸収剤の添加により光劣化の抑制効果はみられるものの、ゴム強化スチレンの影響により光劣化後の色相変化が極めて大きく、求められる光劣化および湿熱劣化による衝撃強度、難燃性の低下の抑制には不十分であり満足できるものではなかった。
また一方で、耐久性、衝撃強度および難燃性を向上させるため、芳香族ポリカーボネート樹脂にポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合体を導入することは公知である。
特許文献5〜8では芳香族ポリカーボネート樹脂にポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合体を導入すること、並びにガラス繊維および扁平断面ガラス繊維を添加することによって低下する機械的強度、耐衝撃性を向上させた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が提案されている。しかしながらこれらの特許文献記載の組成物において、ホスファゼン化合物の添加による光劣化および湿熱劣化による衝撃強度、難燃性の低下の抑制を示すデータは開示されておらず、求められる光劣化および湿熱劣化による衝撃強度、難燃性の低下の抑制には不十分であり満足できるものではなかった。また、耐熱性に関するデータも同様に開示されておらず、求められる耐熱性には不十分であり満足できるものではなかった。
特許文献9ではシロキサンドメインサイズを規定したポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合体を含む樹脂組成物が提案されているが、難燃性、耐熱性に関するデータは開示されておらず、また、文献で規定されたシロキサンドメインサイズを特徴とするポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合体を含む樹脂組成物では求められる難燃性、耐熱性には不十分であり満足できるものではなかった。
特開2013−001801号公報 特開2007−045906号公報 特開平07−292233号公報 特開2000−351893号公報 特開昭55−160052号公報 特開平02−173061号公報 特開平07−026149号公報 特開2012−116915号公報 特表2006−523243号公報
本発明の目的は、難燃性、耐熱性、衝撃強度に優れ、更には光劣化および湿熱劣化による衝撃強度、難燃性の低下が抑制された難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、ポリカーボネート樹脂、ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂、ホスファゼン化合物、無機充填材、含フッ素滴下防止剤からなる樹脂組成物であって、かつポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂由来のシロキサンドメインサイズが特定範囲にある樹脂組成物が、目的とする剛性、衝撃強度、難燃性に優れ、更には光劣化および湿熱劣化による衝撃強度、難燃性の低下および色相変化が抑制された難燃性ポリカーボネート樹脂組成物であることを見出し、本発明に到達した。
本発明によれば、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)0〜90重量%および(B)ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂(B成分)10〜100重量%からなる樹脂成分100重量部に対し、(C)ホスファゼン化合物(C成分)0.1〜4重量部、(D)無機充填材(D成分)5〜44重量部、(E)含フッ素滴下防止剤(E成分)0.01〜1重量部を含有し、かつB成分由来のシロキサンドメインサイズが8〜19nmであることを特徴とする難燃性強化ポリカーボネート樹脂組成物が提供される。
以下、更に本発明の詳細について説明する。
(A成分:ポリカーボネート樹脂)
本発明でA成分として使用される芳香族ポリカーボネート樹脂は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られるものである。反応方法の一例として界面重合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマーの固相エステル交換法、および環状カーボネート化合物の開環重合法などを挙げることができる。
ここで使用される二価フェノールの代表的な例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ビフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エステル、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンおよび9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンなどが挙げられる。好ましい二価フェノールは、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンであり、なかでも耐衝撃性の点からビスフェノールAが特に好ましく、汎用されている。
本発明では、汎用のポリカーボネートであるビスフェノールA系のポリカーボネート以外にも、他の2価フェノール類を用いて製造した特殊なポリカーボネ−トをA成分として使用することが可能である。
例えば、2価フェノール成分の一部又は全部として、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(以下“BPM”と略称することがある)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(以下“Bis−TMC”と略称することがある)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン及び9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(以下“BCF”と略称することがある)を用いたポリカーボネ−ト(単独重合体又は共重合体)は、吸水による寸法変化や形態安定性の要求が特に厳しい用途に適当である。これらのBPA以外の2価フェノールは、該ポリカーボネートを構成する2価フェノール成分全体の5モル%以上、特に10モル%以上、使用するのが好ましい。
これらの特殊なポリカーボネートは、単独で用いてもよく、2種以上を適宜混合して使用してもよい。また、これらを汎用されているビスフェノールA型のポリカーボネートと混合して使用することもできる。これらの特殊なポリカーボネートの製法及び特性については、例えば、特開平6−172508号公報、特開平8−27370号公報、特開2001−55435号公報及び特開2002−117580号公報などに詳しく記載されている。
なお、上述した各種のポリカーボネートの中でも、共重合組成などを調整して、吸水率及びTg(ガラス転移温度)を下記の範囲内にしたものは、ポリマー自体の耐加水分解性が良好で、かつ成形後の低反り性においても格段に優れているため、形態安定性が要求される分野では特に好適である。(1)吸水率が0.05〜0.15%、好ましくは0.06〜0.13%であり、かつTgが120〜180℃であるポリカーボネート、あるいは(3)Tgが160〜250℃、好ましくは170〜230℃であり、かつ吸水率が0.10〜0.30%、好ましくは0.13〜0.30%、より好ましくは0.14〜0.27%であるポリカーボネート。
ここで、ポリカーボネートの吸水率は、直径45mm、厚み3.0mmの円板状試験片を用い、ISO62−1980に準拠して23℃の水中に24時間浸漬した後の水分率を測定した値である。また、Tg(ガラス転移温度)は、JIS K7121に準拠した示差走査熱量計(DSC)測定により求められる値である。
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、炭酸ジエステルまたはハロホルメートなどが使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメートなどが挙げられる。
前記二価フェノールとカーボネート前駆体の界面重合によって芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールが酸化するのを防止するための酸化防止剤などを使用してもよい。また本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂、芳香族または脂肪族(脂環式を含む)の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂、二官能性アルコール(脂環式を含む)を共重合した共重合ポリカーボネート樹脂、並びにかかる二官能性カルボン酸および二官能性アルコールを共に共重合したポリエステルカーボネート樹脂を含む。また、得られた芳香族ポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
分岐ポリカーボネート樹脂は、本発明の樹脂組成物に、ドリップ防止性能などを付与できる。かかる分岐ポリカーボネート樹脂に使用される三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、フロログルシン、フロログルシド、または4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキジフェニル)ヘプテン−2、2,4,6−トリメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、4−{4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン}−α,α−ジメチルベンジルフェノールなどのトリスフェノール、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)ケトン、1,4−ビス(4,4−ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン、またはトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸およびこれらの酸クロライドなどが挙げられ、中でも1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましく、特に1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。
分岐ポリカーボネートにおける多官能性芳香族化合物から誘導される構成単位は、2価フェノールから誘導される構成単位とかかる多官能性芳香族化合物から誘導される構成単位との合計100モル%中、好ましくは0.01〜2モル%、より好ましくは0.05〜1.2モル%、特に好ましくは0.05〜1.0モル%である。
また、特に溶融エステル交換法の場合、副反応として分岐構造単位が生ずる場合があるが、かかる分岐構造単位量についても、2価フェノールから誘導される構成単位との合計100モル%中、好ましくは0.001〜2モル%、より好ましくは0.005〜1.2モル%、特に好ましくは0.01〜1.0モル%であるものが好ましい。なお、かかる分岐構造の割合についてはH−NMR測定により算出することが可能である。
脂肪族の二官能性のカルボン酸は、α,ω−ジカルボン酸が好ましい。脂肪族の二官能性のカルボン酸としては例えば、セバシン酸(デカン二酸)、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸、イコサン二酸などの直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸、並びにシクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸が好ましく挙げられる。二官能性アルコールとしては脂環族ジオールがより好適であり、例えばシクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、およびトリシクロデカンジメタノールなどが例示される。
本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法である界面重合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマー固相エステル交換法、および環状カーボネート化合物の開環重合法などの反応形式は、各種の文献及び特許公報などで良く知られている方法である。
A成分である芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、特に限定されないが、好ましくは1.0×10〜5×10であり、より好ましくは1.1×10〜3×10であり、さらに好ましくは1.2×10〜2.4×10である。
粘度平均分子量が1×10未満の芳香族ポリカーボネート樹脂では、良好な機械的特性が得られない。一方、粘度平均分子量が5×10を超える芳香族ポリカーボネート樹脂から得られる樹脂組成物は、射出成形時の流動性に劣る点で汎用性に劣る。
本発明でいう粘度平均分子量は、まず、次式にて算出される比粘度(ηSP)を20℃で塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求め、
比粘度(ηSP)=(t−t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
求められた比粘度(ηSP)から次の数式により粘度平均分子量Mvを算出する。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]c (但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−4 Mv0.83
c=0.7
尚、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂、およびポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂からなる樹脂成分の粘度平均分子量の算出は次の要領で行なわれる。すなわち、該組成物を、その20〜30倍重量の塩化メチレンと混合し、組成物中の可溶分を溶解させる。かかる可溶分をセライト濾過により採取する。その後得られた溶液中の溶媒を除去する。溶媒除去後の固体を十分に乾燥し、塩化メチレンに溶解する成分の固体を得る。かかる固体0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液から、上記と同様にして20℃における比粘度を求め、該比粘度から上記と同様にして粘度平均分子量Mvを算出する。
(B成分:ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂)
本発明でB成分として使用されるポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られるものであり、下記一般式(1)で表されるニ価フェノールと下記一般式(3)で表されるヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサンを共重合させることにより調製される共重合樹脂であることが好ましい。
Figure 2015137307
[上記一般式(1)において、R及びRは夫々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数1〜18のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のシクロアルキル基、炭素原子数6〜20のシクロアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数3〜14のアリール基、炭素原子数3〜14のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、ニトロ基、アルデヒド基、シアノ基及びカルボキシル基からなる群から選ばれる基を表し、それぞれ複数ある場合はそれらは同一でも異なっていても良く、e及びfは夫々1〜4の整数であり、Wは単結合もしくは下記一般式(2)で表される基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基である。
Figure 2015137307
(上記一般式(2)においてR11,R12,R13,R14,R15,R16,R17及びR18は夫々独立して水素原子、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数3〜14のアリール基及び炭素原子数7〜20のアラルキル基からなる群から選ばれる基を表し、R19及びR20は夫々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のシクロアルキル基、炭素原子数6〜20のシクロアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数3〜14のアリール基、炭素原子数6〜10のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、ニトロ基、アルデヒド基、シアノ基及びカルボキシル基からなる群から選ばれる基を表し、複数ある場合はそれらは同一でも異なっていても良く、gは1〜10の整数、hは4〜7の整数である。)]
Figure 2015137307
(上記一般式(3)において、R、R、R、R、R及びRは、各々独立に水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基であり、R及びR10は夫々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基であり、pは自然数であり、qは0又は自然数であり、p+qは110未満の自然数である。Xは炭素数2〜8の二価脂肪族基である。)
一般式(1)で表される二価フェノールとしては、例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,3’−ビフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエ−テル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエ−テル、4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、2,2’−ジメチル−4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド、2,2’−ジフェニル−4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジフェニルジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジフェニルジフェニルスルフィド、1,3−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、1,4−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,8−ビス(4−ヒドロキシフェニル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、4,4’−(1,3−アダマンタンジイル)ジフェノール、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタンなどが挙げられる。
なかでも、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4’−スルホニルジフェノール、2,2’−ジメチル−4,4’−スルホニルジフェノール、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、1,3−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、1,4−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼンが好ましく、殊に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(BPZ)、4,4’−スルホニルジフェノール、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンが好ましい。中でも強度に優れ、良好な耐久性を有する2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)が最も好適である。
上記一般式(3)で表されるヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサンとしては、例えば下記に示すような化合物が好適に用いられる。
Figure 2015137307
ヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(3)は、オレフィン性の不飽和炭素−炭素結合を有するフェノール類、好適にはビニルフェノール、2−アリルフェノール、イソプロペニルフェノール、2−メトキシ−4−アリルフェノールを所定の重合度を有するポリシロキサン鎖の末端に、ハイドロシリレーション反応させることにより容易に製造される。なかでも、(2−アリルフェノール)末端ポリジオルガノシロキサン、(2−メトキシ−4−アリルフェノール)末端ポリジオルガノシロキサンが好ましく、殊に(2−アリルフェノール)末端ポリジメチルシロキサン、(2−メトキシ−4−アリルフェノール)末端ポリジメチルシロキサンが好ましい。また、難燃性と湿熱特性を両立するためには、ヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(3)のジオルガノシロキサン重合度(p+q)は110未満が好ましい。かかるジオルガノシロキサン重合度(p+q)はより好ましくは10〜100、さらに好ましくは20〜95、特に好ましくは30〜90である。かかる好適な範囲の下限未満では、光劣化および湿熱劣化による難燃性や耐衝撃性の低下がおこるようになり、かかる好適な範囲の上限を超えると光劣化および湿熱劣化後の難燃性が安定して発揮されない。
樹脂組成物中のB成分由来のポリジオルガノシロキサン含有量は0.3〜8.0重量%であることが好ましい。かかるポリジオルガノシロキサン含有量はより好ましくは0.7〜7.0重量%、さらに好ましくは1.0〜4.0重量%である。かかる好適な範囲の下限未満では、難燃性が十分に発揮されない場合があり、かかる好適な範囲の上限を超えると難燃性やウエルド強度が安定して発揮されない場合がある。かかるジオルガノシロキサン重合度、ポリジオルガノシロキサン含有量は、H−NMR測定により算出することが可能である。
本発明の方法において、ヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(3)は1種のみを用いてもよく、また、2種以上を用いてもよい。
また、本発明の方法の妨げにならない範囲で、上記二価フェノール(1)、ヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(3)以外の他のコモノマーを共重合体の全重量に対して10重量%以下の範囲で併用することもできる。
本発明の方法においては、あらかじめ水に不溶性の有機溶媒とアルカリ水溶液との混合液中における二価フェノール(1)と炭酸エステル形成性化合物の反応により末端クロロホルメート基を有するオリゴマーを含む混合溶液を調製する。
二価フェノール(1)のオリゴマーを生成するにあたり、本発明の方法に用いられる二価フェノール(1)の全量を一度にオリゴマーにしてもよく、又は、その一部を後添加モノマーとして後段の界面重縮合反応に反応原料として添加してもよい。後添加モノマーとは、後段の重縮合反応を速やかに進行させるために加えるものであり、必要のない場合には敢えて加える必要はない。
このオリゴマー生成反応の方式は特に限定はされないが、通常、酸結合剤の存在下、溶媒中で行う方式が好適である。
炭酸エステル形成性化合物の使用割合は、反応の化学量論比(当量)を考慮して適宜調整すればよい。また、ホスゲンなどのガス状の炭酸エステル形成性化合物を使用する場合、これを反応系に吹き込む方法が好適に採用できる。
前記酸結合剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩、ピリジンなどの有機塩基あるいはこれらの混合物などが用いられる。酸結合剤の使用割合も、上記同様に、反応の化学量論比(当量)を考慮して適宜定めればよい。具体的には、オリゴマーの形成に使用する二価フェノール(1)のモル数(通常1モルは2当量に相当)に対して2当量若しくはこれより若干過剰量の酸結合剤を用いることが好ましい。
前記溶媒としては、公知のポリカーボネートの製造に使用されるものなど各種の反応に不活性な溶媒を1種単独であるいは混合溶媒として使用すればよい。代表的な例としては、例えば、キシレンなどの炭化水素溶媒、塩化メチレン、クロロベンゼンをはじめとするハロゲン化炭化水素溶媒などが挙げられる。特に塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素溶媒が好適に用いられる。
オリゴマー生成の反応圧力は特に制限はなく、常圧、加圧、減圧のいずれでもよいが、通常常圧下で反応を行うことが有利である。反応温度は−20〜50℃の範囲から選ばれ、多くの場合、重合に伴い発熱するので、水冷又は氷冷することが望ましい。反応時間は他の条件に左右され一概に規定できないが、通常、0.2〜10時間で行われる。オリゴマー生成反応のpH範囲は、公知の界面反応条件と同様であり、pHは常に10以上に調製される。
本発明においては、このようにして末端クロロホルメート基を有する二価フェノール(1)のオリゴマーを含む混合溶液を得た後、該混合溶液を攪拌しながら一般式(3)で表わされるヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(3)を二価フェノール(1)の仕込み量に対して0.01モル当量/min以下の速度で加え、該ヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(3)と該オリゴマーを界面重縮合させることにより、ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂を得る。本発明を何らかの理論により限定するものではないが、従来の方法では、BPAとヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサンモノマーの混合物に対してホスゲンを反応させるため、BPAとヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサンモノマーとの反応性差から一方のモノマーのみからなる連鎖長の長いブロック共重合体が形成されやすい。さらには、ヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサンモノマーが短鎖のBPAオリゴマーを介して結合した構造が形成されやすい。一方、本発明のプロセスにより、ヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサンモノマーの濃度を低減することができるため、ヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサンモノマーが短鎖のBPAオリゴマーを介して結合した構造が形成されにくいと考えられる。これにより、ポリジオルガノシロキサンドメインサイズの分散が小さい凝集構造を形成する共重合体が得られると推測される。ヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(3)の添加速度が0.01モル当量/minより速い場合、得られるポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂の成型品において、内部に分散したポリジオルガノシロキサンドメインサイズの規格化分散が40%を超え、透明性が悪化するため好ましくない。ヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(3)の添加速度が0.0001モル当量/minよりも遅い場合、得られる共重合樹脂のポリジオルガノシロキサン成分含有量が少なくなり、分子量がばらつく傾向があるため好ましくない。したがって、ヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(3)の添加速度の下限は実質的には0.0001モル当量/minである。また、均一分散性を高めるため、ヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(3)は溶液状態として投入することが望ましい。該溶液の濃度は、反応を阻害しない範囲内で希薄であることが望ましい。
界面重縮合反応を行うにあたり、酸結合剤を反応の化学量論比(当量)を考慮して適宜追加してもよい。酸結合剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩、ピリジンなどの有機塩基あるいはこれらの混合物などが用いられる。具体的には、使用するヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(3)、又は上記の如く二価フェノール(1)の一部を後添加モノマーとしてこの反応段階に添加する場合には、後添加分の二価フェノール(1)とヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(3)との合計モル数(通常1モルは2当量に相当)に対して2当量若しくはこれより過剰量のアルカリを用いることが好ましい。
二価フェノール(1)のオリゴマーとヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(3)との界面重縮合反応による重縮合は、上記混合液を激しく攪拌することにより行われる。かかる重合反応においては、末端停止剤或いは分子量調節剤が通常使用される。末端停止剤としては一価のフェノール性水酸基を有する化合物が挙げられ、通常のフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノール、トリブロモフェノールなどの他に、長鎖アルキルフェノール、脂肪族カルボン酸クロライド、脂肪族カルボン酸、ヒドロキシ安息香酸アルキルエステル、ヒドロキシフェニルアルキル酸エステル、アルキルエーテルフェノールなどが例示される。その使用量は用いる全ての二価フェノール系化合物100モルに対して、100〜0.5モル、好ましくは50〜2モルの範囲であり、二種以上の化合物を併用することも当然に可能である。重縮合反応を促進するために、トリエチルアミンのような第三級アミン又は第四級アンモニウム塩などの触媒を添加してもよい。かかる重合反応の反応時間は、透明性を向上させるためには比較的長くする必要がある。好ましくは30分以上、更に好ましくは50分以上である。所望に応じ、亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイドなどの酸化防止剤を少量添加してもよい。
分岐化剤を上記の二価フェノール系化合物と併用して分岐化ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサンとすることができる。かかる分岐ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂に使用される三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、フロログルシン、フロログルシド、または4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキジフェニル)ヘプテン−2、2,4,6−トリメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、4−{4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン}−α,α−ジメチルベンジルフェノールなどのトリスフェノール、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)ケトン、1,4−ビス(4,4−ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン、またはトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸およびこれらの酸クロライドなどが挙げられ、中でも1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましく、特に1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。分岐ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂中の多官能性化合物の割合は、芳香族ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂全量中、好ましくは0.001〜1モル%、より好ましくは0.005〜0.9モル%、さらに好ましくは0.01〜0.8モル%、特に好ましくは0.05〜0.4モル%である。なお、かかる分岐構造量についてはH−NMR測定により算出することが可能である。
反応圧力は、減圧、常圧、加圧のいずれでも可能であるが、通常は、常圧若しくは反応系の自圧程度で好適に行い得る。反応温度は−20〜50℃の範囲から選ばれ、多くの場合、重合に伴い発熱するので、水冷又は氷冷することが望ましい。反応時間は反応温度などの他の条件によって異なるので一概に規定はできないが、通常、0.5〜10時間で行われる。
場合により、得られたポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂に適宜物理的処理(混合、分画など)及び/又は化学的処理(ポリマー反応、架橋処理、部分分解処理など)を施して所望の還元粘度[ηSP/c]のポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂として取得することもできる。
得られた反応生成物(粗生成物)は公知の分離精製法などの各種の後処理を施して、所望の純度(精製度)のポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂として回収することができる。
B成分であるポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、特に限定されないが、好ましくは1.0×10〜5×10であり、より好ましくは1.1×10〜3×10であり、さらに好ましくは1.2×10〜2.4×10である。粘度平均分子量が1×10未満のポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂では、良好な機械的特性が得られない。一方、粘度平均分子量が5×10を超えるポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂から得られる樹脂組成物は、射出成形時の流動性に劣る点で汎用性に劣る。
樹脂組成物中の、ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂由来のシロキサンドメインサイズは、8〜19nmであり、好ましくは8〜18nm、より好ましくは8〜17nmである。かかる好適な範囲の下限未満では、耐衝撃性が十分に発揮されず、上限を超えると、難燃性が十分に発揮されない。
シロキサンドメインサイズは、透過電子顕微鏡法(TEM)を用い、樹脂組成物中のシロキサンドメインを識別することにより、測定することができる。TEM顕微鏡写真におけるシロキサンドメインは明瞭であり、解析ソフトによって樹脂成分中のシロキサンドメインサイズを算出することができる。なお、本願発明のドメインサイズは、個々のドメインサイズの数平均を意味する平均ドメインサイズである。
B成分の含有量は、樹脂成分100重量%中、10〜100重量%であり、好ましくは15〜90重量%、より好ましくは20〜80重量%である。B成分の含有量が10重量%未満では、難燃性、湿熱特性、耐光性が十分に発揮されない。
(C成分:ホスファゼン化合物)
本発明の難燃性強化ポリカーボネート樹脂組成物は、C成分としてホスファゼン化合物を含有する。かかるホスファゼン化合物は、分子中にリン原子と窒素原子とを含有することにより、難燃性ガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物に難燃性、光劣化および湿熱劣化による衝撃強度、難燃性の低下、色相の悪化を抑制する効果を付与することができる。リン系難燃剤として、ホスファゼン化合物以外の化合物、例えば、リン酸エステル、縮合リン酸エステルなどを使用した場合には、ポリカーボネート樹脂が可塑化されることにより耐熱性が低下し、光劣化および湿熱劣化による衝撃強度の悪化も生じる。また、請求項記載の添加量では難燃効果得られない。ホスファゼン化合物は、ハロゲン原子を含まず、分子中にホスファゼン構造を持つ化合物であれば特に限定されない。ここでいうホスファゼン構造とは、式:−P(R2)=N−[式中、R2は有機基]で表される構造を表す。ホスファゼン化合物は一般式(4)、(5)で表される。
Figure 2015137307
Figure 2015137307
(式中、X、X、X、Xは、水素、水酸基、アミノ基、またはハロゲン原子を含まない有機基を表す。また、nは3〜10の整数を表す)。
上記式(4)、(5)中、X、X、X、Xで表されるハロゲン原子を含まない有機基としては、例えば、アルコキシ基、フェニル基、アミノ基、アリル基などが挙げられる。
中でもホスファゼン化合物としては一般式(6)で表される環状フェノキシホスファゼンであることが好ましい。
Figure 2015137307
〔式中nは3〜25の整数を示す。Phはフェニル基を示す。〕
商業的に入手可能なホスファゼン化合物としては、SPS−100、SPE−100、SPR−100、SA−100、SPB−100、SPB−100L(以上、大塚化学(株)製)、FP−100、FP−110(以上、伏見製薬所製)が挙げられる。なお、本発明においては、ホスファゼン化合物の機能を妨げない範囲で他の成分を含有することを許容する。
C成分の含有量は樹脂成分100重量部に対し、0.1〜4重量部であり、好ましくは0.5〜2.9重量部であり、1〜2.0重量部がより好ましい。C成分の含有量が0.1重量部未満であると難燃化の効果が得がたく、4重量部を超えると耐熱性が低下する。
(D成分:無機充填材)
本発明の樹脂組成物は、D成分として無機充填材を含有する。無機充填材には、難燃性樹脂組成物の剛性や強度の向上などを目的として配合される強化フィラー並びに熱可塑性樹脂組成物の着色などを目的として配合される無機顔料などが代表的に例示される。強化フィラーとしては各種のガラス繊維(チョップドストランド、ミルドファイバー、扁平断面ガラス繊維等)、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ガラスバルーン、炭素繊維、カーボンフレーク、カーボンビーズ、タルク、クレイ、カオリン、ワラストナイト、マイカ、炭酸カルシウム、各種無機のウイスカー、金属繊維、金属フレーク、金属コートガラス繊維、金属コートガラスフレーク、および金属コート炭素繊維などを挙げることができる。中でもマイカ、タルク、カオリン、ワラストナイト、ガラス繊維、炭素繊維、カーボンフレーク、金属繊維、金属フレーク、金属コートガラス繊維、金属コートガラスフレーク、金属コート炭素繊維およびガラスフレークから選択される少なくとも1種が好ましく、湿熱特性の観点からガラス繊維、炭素繊維、カーボンフレーク、金属繊維、金属フレーク、金属コートガラス繊維、金属コートガラスフレーク、金属コート炭素繊維およびガラスフレークから選択される少なくとも1種がより好ましい。更にガラス繊維、炭素繊維およびガラスフレークは特に好適である。一方、着色剤として配合される無機充填材の代表例としては二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、および酸化鉄などが例示され、二酸化チタンは最も好適に使用される。
D成分の含有量は、樹脂成分100重量部当り、5〜44重量部であり、好ましくは8〜40重量部、より好ましくは10〜35重量部である。D成分の含有量が下限未満の場合、機構部品として求められる機械的強度、寸法精度が得られず、また良好な耐熱性が得られない。上限を超えた場合には難燃性が悪化し、また成形性が著しく損なわれ、実用に適さない。
(E成分:含フッ素滴下防止剤)
本発明のE成分である含フッ素滴下防止剤としては、フィブリル形成能を有する含フッ素ポリマーを挙げることができ、かかるポリマーとしてはポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン系共重合体(例えば、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、など)、米国特許第4379910号公報に示されるような部分フッ素化ポリマー、フッ素化ジフェノールから製造されるポリカーボネート樹脂などを挙げることができる。中でも好ましくはポリテトラフルオロエチレン(以下PTFEと称することがある)である。
フィブリル形成能を有するPTFEの分子量は極めて高い分子量を有し、せん断力などの外的作用によりPTFE同士を結合して繊維状になる傾向を示すものである。その分子量は、標準比重から求められる数平均分子量において100万〜1000万、より好ましく200万〜900万である。かかるPTFEは、固体形状の他、水性分散液形態のものも使用可能である。またかかるフィブリル形成能を有するPTFEは樹脂中での分散性を向上させ、さらに良好な難燃性および機械的特性を得るために他の樹脂との混合形態のPTFE混合物を使用することも可能である。
かかるフィブリル形成能を有するPTFEの市販品としては例えば三井・デュポンフロロケミカル(株)のテフロン(登録商標)6J、ダイキン工業(株)のポリフロンMPA FA500およびF−201Lなどを挙げることができる。PTFEの水性分散液の市販品としては、旭アイシーアイフロロポリマーズ(株)製のフルオンAD−1、AD−936、ダイキン工業(株)製のフルオンD−1およびD−2、三井・デュポンフロロケミカル(株)製のテフロン(登録商標)30Jなどを代表として挙げることができる。
混合形態のPTFEとしては、(1)PTFEの水性分散液と有機重合体の水性分散液または溶液とを混合し共沈殿を行い、共凝集混合物を得る方法(特開昭60−258263号公報、特開昭63−154744号公報などに記載された方法)、(2)PTFEの水性分散液と乾燥した有機重合体粒子とを混合する方法(特開平4−272957号公報に記載された方法)、(3)PTFEの水性分散液と有機重合体粒子溶液を均一に混合し、かかる混合物からそれぞれの媒体を同時に除去する方法(特開平06−220210号公報、特開平08−188653号公報などに記載された方法)、(4)PTFEの水性分散液中で有機重合体を形成する単量体を重合する方法(特開平9−95583号公報に記載された方法)、および(5)PTFEの水性分散液と有機重合体分散液を均一に混合後、さらに該混合分散液中でビニル系単量体を重合し、その後混合物を得る方法(特開平11−29679号などに記載された方法)により得られたものが使用できる。これらの混合形態のPTFEの市販品としては、三菱レイヨン(株)の「メタブレン A3750」(商品名)、およびGEスペシャリティーケミカルズ社製 「BLENDEX B449」(商品名)、ShinePolymer社製の「SN3307」などを挙げることができる。
混合形態におけるPTFEの割合としては、PTFE混合物100重量%中、PTFEが1〜60重量%が好ましく、より好ましくは5〜55重量%である。PTFEの割合がかかる範囲にある場合は、PTFEの良好な分散性を達成することができる。なお、上記D成分の割合は正味の含フッ素滴下防止剤の量を示し、混合形態のPTFEの場合には、正味のPTFE量を示す。
E成分の含有量は樹脂成分100重量部に対し、0.01〜1重量部であり、好ましくは0.05〜0.8重量部であり、0.1〜0.5重量部がより好ましい。E成分の含有量が0.01重量部未満であると、充分な難燃補助効果が発現せず、1重量部より多いとノンハロゲンの範疇から外れ、また湿熱特性が劣る。
(F成分:カルボキシル基および/またはその酸無水物基を有するオレフィン系ワックス)
本発明の樹脂組成物はF成分として、カルボキシル基および/またはその酸無水物基を有するオレフィン系ワックスを含有することできる。オレフィン系ワックスとしては、パラフィンワックス類としてパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、およびα−オレフィン重合体などが例示され、ポリエチレンワックスとしては、分子量1,000〜15,000程度のポリエチレンやポリプロピレンなどが例示される。尚、かかる分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)における標準ポリスチレンより得られた較正曲線を基準にして算出された重量平均分子量である。
かかるオレフィン系ワックスにカルボキシル基および/またはその酸無水物基を結合する方法としては、例えば、(a)カルボキシル基および/またはその酸無水物基を有する単量体とα−オレフィン単量体とを共重合する方法、(b)上記オレフィン系ワックスに対してカルボキシル基および/またはその酸無水物基を有する化合物または単量体を結合または共重合する方法等を挙げることができる。
上記(a)の方法では、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊状重合等のラジカル重合法の他、リビング重合法を採用することもできる。さらに一旦マクロモノマーを形成した後重合する方法も可能である。共重合体の形態はランダム共重合体の他に、交互共重合体、ブロック共重合体、テーパード共重合体等の各種形態の共重合体として使用することができる。上記(b)の方法では、オレフィン系ワックスに、必要に応じて、パーオキサイドや2,3−ジメチル−2,3ジフェニルブタン(通称“ジクミル”)等のラジカル発生剤を加え、高温下で反応または共重合する方法を採用することができる。かかる方法はオレフィン系ワックス中に熱的に反応活性点を生成し、かかる活性点に反応する化合物または単量体を反応させるものである。反応に要する活性点を生成するその他の方法として、放射線や電子線の照射やメカノケミカル手法による外力の付与等の方法も挙げられる。さらにオレフィン系ワックス中に予め反応に要する活性点を生成する単量体を共重合しておく方法も挙げられる。反応のための活性点としては不飽和結合およびパーオキサイド結合などが挙げられ、更に活性点を得る方法としてTEMPOに代表されるニトロキシド介在ラジカル重合法が挙げられる。
前記カルボキシル基および/またはその酸無水物基を有する化合物または単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、および無水シトラコン酸などが例示され、特に無水マレイン酸が好適である。
本発明のF成分としてより好適であるのは、カルボキシル基および/またはその酸無水物基を有するオレフィン系ワックス1g当り、カルボキシル基および/またはその酸無水物基を好ましくは0.05〜10meq/gの範囲、より好ましくは0.1〜6meq/gの範囲、さらに好ましくは0.5〜4meq/gの範囲で含有するカルボキシル基および/またはその酸無水物基を有するオレフィン系ワックスである。更にカルボキシル基および/またはその酸無水物基を有するオレフィン系ワックスの分子量は、1,000〜10,000が好ましい。
F成分として好適な態様として、α−オレフィンと無水マレイン酸との共重合体を挙げることができ、かかる共重合体であって更に上記のカルボキシル基および/またはその酸無水物基の含有割合、および分子量を満足するものが特に好適である。かかる共重合体は、常法に従いラジカル触媒の存在下に、溶融重合あるいはバルク重合法で製造することができる。ここでα−オレフィンとしてはその炭素数が平均値として10〜60のものを好ましく挙げることができる。α−オレフィンとしてより好ましくはその炭素数が平均値として16〜60、さらに好ましくは25〜55のものを挙げることができる。
F成分の含有量は樹脂成分100重量部に対し、0.01〜1重量部であることが好ましく、より好ましくは0.05〜0.8重量部、さらに好ましくは0.1〜0.6重量部である。F成分の含有量が0.01重量部未満では、優れた衝撃強度を有する樹脂組成物が得られない場合があり、また、1重量部を超えると、難燃性が損なわれる場合がある。
(G成分:リン系安定剤)
本発明のG成分であるリン系安定剤は、更に良好な衝撃強度かつ熱安定性を有する難燃性樹脂組成物を得るため含有することが好ましい。リン系安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステルなどが例示される。
ホスファイト化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−iso−プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。
更に他のホスファイト化合物としては二価フェノール類と反応し環状構造を有するものも使用できる。例えば、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイトなどを挙げることができる。
ホスフェート化合物としては、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどを挙げることができ、好ましくはトリフェニルホスフェート、トリメチルホスフェートである。
ホスホナイト化合物としては、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト等があげられ、テトラキス(ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトが好ましく、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトがより好ましい。かかるホスホナイト化合物は上記アルキル基が2以上置換したアリール基を有するホスファイト化合物との併用可能であり好ましい。
ホスホネイト化合物としては、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、およびベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。
上記リン系安定剤は、1種のみならず2種以上を混合して用いることができる。
G成分の含有量は、樹脂成分100重量部に対し、0.001〜0.1重量部が好ましく、より好ましくは0.002〜0.07重量部、さらに好ましくは0.005〜0.05重量部である。リン系安定剤が上記範囲よりも少なすぎる場合には良好な安定化効果が得られない場合があり、上記範囲を超えて多すぎる場合は、組成物の物性低下を起こす場合がある。
(H成分:紫外線吸収剤)
本発明の樹脂組成物は紫外線吸収剤を含有することができる。本発明の樹脂組成物は良好な色相をも有することから、紫外線吸収剤の配合により屋外の使用においてもかかる色相を長期間維持することができる。 ベンゾフェノン系では、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシトリハイドライドレイトベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−ソジウムスルホキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンソフェノン、および2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
ベンゾトリアゾール系では、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)フェニルベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2,2’−メチレンビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニル)、2,2’−p−フェニレンビス(1,3−ベンゾオキサジン−4−オン)、および2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾ−ル、並びに2−(2’−ヒドロキシ−5−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体や2−(2’―ヒドロキシ−5−アクリロキシエチルフェニル)―2H―ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体などの2−ヒドロキシフェニル−2H−ベンゾトリアゾール骨格を有する重合体などが例示される。
ヒドロキシフェニルトリアジン系では、例えば、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−メチルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−エチルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−プロピルオキシフェノール、および2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ブチルオキシフェノールなどが例示される。さらに2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノールなど、上記例示化合物のフェニル基が2,4−ジメチルフェニル基となった化合物が例示される。
環状イミノエステル系では、例えば2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(4,4’−ジフェニレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、および2,2’−(2,6−ナフタレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)などが例示される。
また紫外線吸収剤としては、具体的にシアノアクリレート系では、例えば1,3−ビス−[(2’−シアノ−3’,3’−ジフェニルアクリロイル)オキシ]−2,2−ビス[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル)プロパン、および1,3−ビス−[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]ベンゼンなどが挙げられる。
さらに上記紫外線吸収剤は、ラジカル重合が可能な単量体化合物の構造をとることにより、かかる紫外線吸収性単量体および/またはヒンダードアミン構造を有する光安定性単量体と、アルキル(メタ)アクリレートなどの単量体とを共重合したポリマー型の紫外線吸収剤であってもよい。上記紫外線吸収性単量体としては、(メタ)アクリル酸エステルのエステル置換基中にベンゾトリアゾール骨格、ベンゾフェノン骨格、トリアジン骨格、環状イミノエステル骨格、およびシアノアクリレート骨格を含有する化合物が挙げられる。
上記の中でも紫外線吸収能の点においてはベンゾトリアゾール系およびヒドロキシフェニルトリアジン系が好ましく、耐熱性や色相の点では、環状イミノエステル系およびシアノアクリレート系が好ましい。上記紫外線吸収剤は単独であるいは2種以上の混合物で用いてもよい。
H成分の含有量は、樹脂成分100重量部に対し、0.01〜1重量部が好ましく、より好ましくは0.02〜0.8重量部であり、最も好ましくは0.05〜0.6重量部である。
(その他の添加剤について)
本発明の樹脂組成物には、成形加工時の分子量低下や色相を安定化させるための各種安定剤、離型剤、色剤を使用することができる。
(i)安定剤
本発明の樹脂組成物にはG成分以外の公知の各種安定剤を配合することができる。安定剤としては、ヒンダードフェノール系安定剤などが挙げられる。
(i−1)ヒンダードフェノール系安定剤
本発明の樹脂組成物は、更にヒンダードフェノール系安定剤を含有することにより、例えば成形加工時の色相悪化や長期間の使用における色相の悪化などの効果が更に発揮される。ヒンダードフェノール系安定剤としては、例えば、α−トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン、シナピルアルコール、ビタミンE、n−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェル)プロピオネート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−ジメチレン−ビス(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾール)2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、1,6−へキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビス[2−tert−ブチル−4−メチル6−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)フェニル]テレフタレート、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1,−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、4,4’−ジ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−トリ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2−チオジエチレンビス−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、N,N’−ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス2[3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアヌレート、およびテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどが例示される。これらはいずれも入手容易である。上記ヒンダードフェノール系安定剤は、単独でまたは2種以上を組合せて使用することができる。
ヒンダードフェノール系安定剤の含有量は、樹脂成分100重量部に対し、0.0001〜1重量部が好ましく、より好ましくは0.001〜0.5重量部、さらに好ましくは0.005〜0.3重量部である。ヒンダードフェノール系安定剤が上記範囲よりも少なすぎる場合には良好な安定化効果を得ることが難しく、上記範囲を超えて多すぎる場合は、組成物の物性低下を起こす場合がある。
(i−2)その他の熱安定剤
本発明の樹脂組成物には、リン系安定剤およびヒンダードフェノール系安定剤以外の他の熱安定剤を配合することもできる。かかるその他の熱安定剤は、これらの安定剤のいずれかと併用されることが好ましく、特に両者と併用されることが好ましい。かかる他の熱安定剤としては、例えば3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−フラン−2−オンとo−キシレンとの反応生成物に代表されるラクトン系安定剤(かかる安定剤の詳細は特開平7−233160号公報に記載されている)が好適に例示される。かかる化合物はIrganox HP−136(商標、CIBA SPECIALTY CHEMICALS社製)として市販され、該化合物を利用できる。更に該化合物と各種のホスファイト化合物およびヒンダードフェノール化合物を混合した安定剤が市販されている。例えば上記社製のIrganox HP−2921が好適に例示される。本発明においてもかかる予め混合された安定剤を利用することもできる。ラクトン系安定剤の含有量は、樹脂成分100重量部を基準として、好ましくは0.0005〜0.05重量部、より好ましくは0.001〜0.03重量部である。
またその他の安定剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、およびグリセロール−3−ステアリルチオプロピオネートなどのイオウ含有安定剤が例示される。かかる安定剤は、樹脂組成物が回転成形に適用される場合に特に有効である。かかるイオウ含有安定剤の配合量は樹脂成分100重量部を基準として、好ましくは0.001〜0.1重量部、より好ましくは0.01〜0.08重量部である。
(ii)離型剤
本発明の樹脂組成物は離型剤を含有することができる。離型剤としては、例えば、飽和脂肪酸エステル、不飽和脂肪酸エステル、F成分以外のポリオレフィン系ワックス(ポリエチレンワックス、1−アルケン重合体など)、シリコーン化合物、フッ素化合物(ポリフルオロアルキルエーテルに代表されるフッ素オイルなど)、パラフィンワックス、蜜蝋などが例示される。
かかる離型剤の中でも、飽和脂肪酸エステル、特に高級脂肪酸と多価アルコールとの部分エステルおよび/またはフルエステルが好ましい。特にフルエステルが好適である。ここで高級脂肪酸とは、炭素原子数10〜32の脂肪族カルボン酸を指し、その具体例としては、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸(ステアリン酸)、ノナデカン酸、イコサン酸、ドコサン酸、ヘキサコサン酸等の飽和脂肪族カルボン酸、並びに、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコセン酸、エイコサペンタエン酸、セトレイン酸等の不飽和脂肪族カルボン酸を挙げることができる。これらのなかでも脂肪族カルボン酸としては炭素数10〜22のものが好ましく、炭素数14〜20であるものがより好ましい。特に炭素数14〜20の飽和脂肪族カルボン酸、特にステアリン酸およびパルミチン酸が好ましい。ステアリン酸の如き脂肪族カルボン酸は、通常、炭素原子数の異なる他のカルボン酸成分を含む混合物であることが多い。前記飽和脂肪酸エステルにおいても、かかる天然油脂類から製造され他のカルボン酸成分を含む混合物の形態からなるステアリン酸やパルミチン酸から得られたエステル化合物が好ましく使用される。
一方、飽和脂肪酸エステルの構成単位たる多価アルコールとしては、炭素原子数3〜32のものがより好ましい。かかる多価アルコールの具体例としては、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン(例えばデカグリセリン等)、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジエチレングリコールおよびプロピレングリコール等が挙げられる。
本発明の飽和脂肪酸エステルにおける酸価は、20以下(実質的に0を取り得る)であることが好ましく、水酸基価は20〜500(より好ましくは50〜400)の範囲がより好ましい。更にヨウ素価は、10以下(実質的に0を取り得る)が好ましい。これらの特性はJIS K 0070に規定された方法により求めることができる。
離型剤の含有量は、樹脂成分100重量部を基準として、好ましくは0.005〜2重量部であり、より好ましくは0.01〜1重量部、さらに好ましくは0.05〜0.5重量部である。かかる範囲において樹脂組成物は良好な難燃性と衝撃特性を両立する。
(iii)染顔料
本発明の樹脂組成物は更に、D成分以外の各種の染顔料を含有し多様な意匠性を発現する成形品を提供できる。本発明で使用する染顔料としては、ペリレン系染料、クマリン系染料、チオインジゴ系染料、アンスラキノン系染料、チオキサントン系染料、紺青などのフェロシアン化物、ペリノン系染料、キノリン系染料、キナクリドン系染料、ジオキサジン系染料、イソインドリノン系染料、およびフタロシアニン系染料などを挙げることができる。更に本発明の樹脂組成物はメタリック顔料を配合してより良好なメタリック色彩を得ることもできる。また、蛍光増白剤やそれ以外の発光をする蛍光染料を配合することにより、発光色を生かした更に良好な意匠効果を付与することができる。
本発明で使用する蛍光染料(蛍光増白剤を含む)としては、例えば、クマリン系蛍光染料、ベンゾピラン系蛍光染料、ペリレン系蛍光染料、アンスラキノン系蛍光染料、チオインジゴ系蛍光染料、キサンテン系蛍光染料、キサントン系蛍光染料、チオキサンテン系蛍光染料、チオキサントン系蛍光染料、チアジン系蛍光染料、およびジアミノスチルベン系蛍光染料などを挙げることができる。これらの中でも耐熱性が良好で樹脂の成形加工時における劣化が少ないクマリン系蛍光染料、ベンゾピラン系蛍光染料、およびペリレン系蛍光染料が好適である。
上記の染顔料の含有量は、樹脂成分100重量部を基準として、0.00001〜1重量部が好ましく、0.00005〜0.5重量部がより好ましい。
(iv)熱線吸収能を有する化合物
本発明の樹脂組成物は熱線吸収能を有する化合物を含有することができる。かかる化合物としてはフタロシアニン系近赤外線吸収剤、ATO、ITO、酸化イリジウムおよび酸化ルテニウム、酸化イモニウムなどの金属酸化物系近赤外線吸収剤、ホウ化ランタン、ホウ化セリウムおよびホウ化タングステンなどの金属ホウ化物系や酸化タングステン系近赤外線吸収剤などの近赤外吸収能に優れた各種の金属化合物、ならびに炭素フィラーが好適に例示される。かかるフタロシアニン系近赤外線吸収剤としてはたとえば三井化学(株)製MIR−362が市販され容易に入手可能である。炭素フィラーとしてはカーボンブラック、グラファイト(天然、および人工のいずれも含む)およびフラーレンなどが例示され、好ましくはカーボンブラックおよびグラファイトである。これらは単体または2種以上を併用して使用することができる。フタロシアニン系近赤外線吸収剤の含有量は、樹脂成分100重量部を基準として0.0005〜0.2重量部が好ましく、0.0008〜0.1重量部がより好ましく、0.001〜0.07重量部がさらに好ましい。金属酸化物系近赤外線吸収剤、金属ホウ化物系近赤外線吸収剤および炭素フィラーの含有量は、本発明の樹脂組成物中、0.1〜200ppm(重量割合)の範囲が好ましく、0.5〜100ppmの範囲がより好ましい。
(v)光拡散剤
本発明の樹脂組成物には、光拡散剤を配合して光拡散効果を付与することができる。かかる光拡散剤としては高分子微粒子、炭酸カルシウムの如き低屈折率の無機微粒子、およびこれらの複合物などが例示される。かかる高分子微粒子は、既に熱可塑性樹脂の光拡散剤として公知の微粒子である。より好適には粒径数μmのアクリル架橋粒子およびポリオルガノシルセスキオキサンに代表されるシリコーン架橋粒子などが例示される。光拡散剤の形状は球形、円盤形、柱形、および不定形などが例示される。かかる球形は、完全球である必要はなく変形しているものを含み、かかる柱形は立方体を含む。好ましい光拡散剤は球形であり、その粒径は均一であるほど好ましい。光拡散剤の含有量は、樹脂成分100重量部を基準として、好ましくは0.005〜20重量部、より好ましくは0.01〜10重量部、更に好ましくは0.01〜3重量部である。尚、光拡散剤は2種以上を併用することができる。
(vi)光高反射用白色顔料
本発明の樹脂組成物には、光高反射用白色顔料を配合して光反射効果を付与することができる。かかる白色顔料としては二酸化チタン(特にシリコーンなど有機表面処理剤により処理された二酸化チタン)顔料が特に好ましい。かかる光高反射用白色顔料の含有量は、樹脂成分100重量部を基準として、3〜30重量部が好ましく、8〜25重量部がより好ましい。尚、光高反射用白色顔料は2種以上を併用することができる。
(vii)帯電防止剤
本発明の樹脂組成物には、更なる帯電防止性能が求められる場合があり、かかる場合帯電防止剤を含むことが好ましい。かかる帯電防止剤としては、例えば(1)ドデシルベンゼンスルホン酸ホスホニウム塩に代表されるアリールスルホン酸ホスホニウム塩、およびアルキルスルホン酸ホスホニウム塩などの有機スルホン酸ホスホニウム塩、並びにテトラフルオロホウ酸ホスホニウム塩の如きホウ酸ホスホニウム塩が挙げられる。該ホスホニウム塩の含有量は樹脂成分100重量部を基準として、5重量部以下が適切であり、好ましくは0.05〜5重量部、より好ましくは1〜3.5重量部、更に好ましくは1.5〜3重量部の範囲である。
帯電防止剤としては例えば、(2)有機スルホン酸リチウム、有機スルホン酸ナトリウム、有機スルホン酸カリウム、有機スルホン酸セシウム、有機スルホン酸ルビジウム、有機スルホン酸カルシウム、有機スルホン酸マグネシウム、および有機スルホン酸バリウムなどの有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩が挙げられる。かかる金属塩は前述のとおり、難燃剤としても使用される。かかる金属塩は、より具体的には例えばドデシルベンゼンスルホン酸の金属塩やパーフルオロアルカンスルホン酸の金属塩などが例示される。有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩の含有量は樹脂成分100重量部を基準として、0.5重量部以下が適切であり、好ましくは0.001〜0.3重量部、より好ましくは0.005〜0.2重量部である。特にカリウム、セシウム、およびルビジウムなどのアルカリ金属塩が好適である。
帯電防止剤としては、例えば(3)アルキルスルホン酸アンモニウム塩、およびアリールスルホン酸アンモニウム塩などの有機スルホン酸アンモニウム塩が挙げられる。該アンモニウム塩はA成分、B成分とC成分の合計100重量部を基準として、0.05重量部以下が適切である。帯電防止剤としては、例えば(4)ポリエーテルエステルアミドの如きポリ(オキシアルキレン)グリコール成分をその構成成分として含有するポリマーが挙げられる。該ポリマーは樹脂成分100重量部を基準として、5重量部以下が適切である。
(viii)その他の添加剤
本発明の樹脂組成物には、A成分、B成分以外の熱可塑性樹脂、その他の流動改質剤、抗菌剤、流動パラフィンの如き分散剤、光触媒系防汚剤およびフォトクロミック剤などを配合することができる。かかる他の樹脂としては、例えばポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスチレン樹脂、MS樹脂(メチルメタクリートとスチレンから主としてなる共重合体樹脂)、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS樹脂)、ポリメタクリレート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリカプロラクトン樹脂、並びに熱可塑性フッ素樹脂(例えばポリフッ化ビニリデン樹脂に代表される)などの樹脂が挙げられる。
(樹脂組成物の製造)
本発明の樹脂組成物を製造するには、任意の方法が採用される。
例えばA成分、B成分、C成分、D成分、E成分および任意にF成分、G成分、H成分、他の添加剤を、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などの予備混合手段を用いて充分に混合した後、必要に応じて押出造粒器やブリケッティングマシーンなどによりかかる予備混合物の造粒を行い、その後ベント式二軸押出機に代表される溶融混練機で溶融混練し、その後ペレタイザーによりペレット化する方法が挙げられる。
他に、各成分をそれぞれ独立にベント式二軸押出機に代表される溶融混練機に供給する方法や、各成分の一部を予備混合した後、残りの成分と独立に溶融混練機に供給する方法なども挙げられる。各成分の一部を予備混合する方法としては例えば、A成分以外の成分を予め予備混合した後、A成分に混合または押出機に直接供給する方法が挙げられる。
予備混合する方法としては例えば、A成分としてパウダーの形態を有するものを含む場合、かかるパウダーの一部と配合する添加剤とをブレンドしてパウダーで希釈した添加剤のマスターバッチを製造し、かかるマスターバッチを利用する方法が挙げられる。予備混合する方法としては例えば、A成分としてパウダーの形態を有するものを含む場合、かかるパウダーの一部と配合する添加剤とをブレンドしてパウダーで希釈した添加剤のマスターバッチを製造し、かかるマスターバッチを利用する方法が挙げられる。更にC成分、D成分、及び任意の成分を独立に溶融押出機の途中から供給する方法なども挙げられる。尚、配合する成分に液状のものがある場合には、溶融押出機への供給にいわゆる液注装置、または液添装置を使用することができる。
押出機としては、原料中の水分や、溶融混練樹脂から発生する揮発ガスを脱気できるベントを有するものが好ましく使用できる。ベントからは発生水分や揮発ガスを効率よく押出機外部へ排出するための真空ポンプが好ましく設置される。また押出原料中に混入した異物などを除去するためのスクリーンを押出機ダイス部前のゾーンに設置し、異物を樹脂組成物から取り除くことも可能である。かかるスクリーンとしては金網、スクリーンチェンジャー、焼結金属プレート(ディスクフィルターなど)などを挙げることができる。
溶融混練機としては二軸押出機の他にバンバリーミキサー、混練ロール、単軸押出機、3軸以上の多軸押出機などを挙げることができる。
上記の如く押出された樹脂は、直接切断してペレット化するか、またはストランドを形成した後かかるストランドをペレタイザーで切断してペレット化される。ペレット化に際して外部の埃などの影響を低減する必要がある場合には、押出機周囲の雰囲気を清浄化することが好ましい。更にかかるペレットの製造においては、光学ディスク用ポリカーボネート樹脂において既に提案されている様々な方法を用いて、ペレットの形状分布の狭小化、ミスカット物の低減、運送または輸送時に発生する微小粉の低減、並びにストランドやペレット内部に発生する気泡(真空気泡)の低減を適宜行うことができる。これらの処方により成形のハイサイクル化、およびシルバーの如き不良発生割合の低減を行うことができる。またペレットの形状は、円柱、角柱、および球状など一般的な形状を取り得るが、より好適には円柱である。かかる円柱の直径は好ましくは1〜5mm、より好ましくは1.5〜4mm、さらに好ましくは2〜3.3mmである。一方、円柱の長さは好ましくは1〜30mm、より好ましくは2〜5mm、さらに好ましくは2.5〜3.5mmである。
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物は通常上記の如く製造されたペレットを射出成形して成形品を得ることにより各種製品を製造することができる。かかる射出成形においては、通常の成形方法だけでなく、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体を注入する方法を含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、サンドイッチ成形、および超高速射出成形などを挙げることができる。また成形はコールドランナー方式およびホットランナー方式のいずれも選択することができる。
また本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物は、押出成形により各種異形押出成形品、シート、フィルムなどの形で使用することもできる。またシート、フィルムの成形にはインフレーション法や、カレンダー法、キャスティング法なども使用可能である。更に特定の延伸操作をかけることにより熱収縮チューブとして成形することも可能である。また本発明の難燃性強化ポリカーボネート樹脂組成物を回転成形やブロー成形などにより成形品とすることも可能である。
これにより難燃性、衝撃強度、耐熱性に優れ、更には光劣化および湿熱劣化による衝撃強度、難燃性の低下を抑制された難燃性強化ポリカーボネート樹脂組成物ならびに成形品が提供される。即ち、本発明によれば、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)0〜90重量%および(B)ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂(B成分)10〜100重量%からなる樹脂成分100重量部に対し、(C)ホスファゼン化合物(C成分)0.1〜4重量部、(D)無機充填材(D成分)5〜44重量部、(E)含フッ素滴下防止剤(E成分)0.01〜1重量部を含有し、B成分由来のシロキサンドメインサイズが8〜19nmであることを特徴とする難燃性強化ポリカーボネート樹脂組成物を溶融成形した成形品が提供される。
本発明の樹脂組成物からなる成形品は、各種電子・電気機器部品、カメラ部品、OA機器部品、精密機械部品、機械部品、車両部品、その他農業資材、搬送容器、遊戯具および雑貨などの各種用途、特にコンピューター、ノートブック、ウルトラブック、タブレット、携帯電話用ハウジングに有用であり、その奏する産業上の効果は格別である。更に本発明の樹脂組成物からなる成形品には、各種の表面処理を行うことが可能である。ここでいう表面処理とは、蒸着(物理蒸着、化学蒸着など)、メッキ(電気メッキ、無電解メッキ、溶融メッキなど)、塗装、コーティング、印刷などの樹脂成形品の表層上に新たな層を形成させるものであり、通常のポリカーボネート樹脂に用いられる方法が適用できる。表面処理としては、具体的には、ハードコート、撥水・撥油コート、紫外線吸収コート、赤外線吸収コート、並びにメタライジング(蒸着など)などの各種の表面処理が例示される。ハードコートは特に好ましくかつ必要とされる表面処理である。加えて、本発明の樹脂組成物は、改良された金属密着性を有することから、蒸着処理およびメッキ処理の適用も好ましい。かようにして金属層が設けられた成形品は、電磁波シールド部品、導電部品、およびアンテナ部品などに利用できる。かかる部品は特にシート状およびフィルム状が好ましい。
本発明の難燃性強化ポリカーボネート樹脂組成物は、難燃性、衝撃強度、耐熱性に優れ、更には光劣化および湿熱劣化による衝撃強度、難燃性の低下が抑制されているため、上記の如く、建築物、建築資材、農業資材、海洋資材、車両、電気・電子機器、機械、その他の各種分野において幅広く有用であり、特に屋外設置用樹脂筐体に有用である。したがって本発明の奏する産業上の効果は極めて大である。
本発明者が現在最良と考える本発明の形態は、前記の各要件の好ましい範囲を集約したものとなるが、例えば、その代表例を下記の実施例中に記載する。もちろん本発明はこれらの形態に限定されるものではない。
(1)難燃性強化ポリカーボネート樹脂組成物の評価
(i)耐熱性(荷重たわみ温度)
ISO規格のISO75−1および2に準拠して測定した。なお、試験片は、射出成形機(住友重機械工業(株)製 SG−150U)によりシリンダー温度280℃、金型温度70℃で成形した。作成された厚み4mmの試験片を用い、1.80MPaの荷重で荷重たわみ温度を測定した。荷重たわみ温度は120℃以上である必要がある。
(ii)曲げ弾性率
ISO178(測定条件23℃)に準拠して測定した。なお、試験片は、射出成形機(住友重機械工業(株)製 SG−150U)によりシリンダー温度280℃、金型温度70℃で成形した。曲げ弾性率は3GPa以上である必要がある。
(iii)デュポン衝撃強度
板状成形品上に載せられた撃芯に上部より錘を落下させて板状成形品に衝撃を加え、破壊状態を目視観察した。板状成形品の厚みは3mmであり、撃芯の先端形状は半径12.7mm の半球状であり、また撃芯は、その芯軸がずれない程度であって、かつ上下に平滑に可動する程度に治具で拘束された状態で板状成形品上に載せた。錘は2,000gのものを用い、落下高さは1mでとした。成形品に穴が開かなかった場合は○、微小クラックが生じた場合は△、完全に穴が開いた場合は×と評価した。なお、板状成形品は射出成形機(住友重機械工業(株)製 SG−150U)によりシリンダー温度280℃、金型温度70℃で成形した。
(iv)難燃性
UL94規格に準拠し、厚み0.8mmにてUL94ランクを評価した。なお、試験片は、射出成形機(住友重機械工業(株)製 SG−150U)によりシリンダー温度280℃、金型温度70℃で成形した。なお、判定がV−0、V−1、V−2のいずれの基準も満たすことが出来なかった場合「not」と示すこととする。燃焼試験時にドリップしないことが重要であり、UL94ランクではV−1もしくはV−0が望ましい。
(v)耐光性
下記の条件での紫外線照射の実施後のデュポン衝撃強度および難燃性を前記(iii)および(iv)と同様の方法で測定した。
(キセノンアーク照射条件)
使用機器 : アトラス Ci4000(東洋精機製作所製)
放射照度 : 0.35W/m(at 340nm)
ブラックパネル温度: 63℃
湿度 : 50%RH
試験時間 : 500時間
フィルター : (アウター)ボロシリケイト、(インナー)ボロシリケイト
(vi)耐湿熱性
下記の条件での湿熱処理の実施後のデュポン衝撃強度および難燃性を前記(iii)および(iv)と同様の方法で測定した。
(湿熱処理条件)
使用機器 : PR−3KP(エスペック社製)
温度 : 75℃
湿度 : 85%RH
試験時間 : 1,000時間
(vii)シロキサンドメインサイズ
3段型プレート(全体が縦90mm×横50mmの大きさで、縦方向の20mmまでの厚さが3mm、20〜65mmの厚さが2mm、65〜90mmの厚さが1mmの階段状になっているプレート)の厚み1.0mm部分において、端部より5mm、側部より5mmの交点における深さ0.5mm部分をミクロトーム(Leica Microsystems社製 EM UC6)で樹脂の流動方向に対して垂直に切削することにより超薄切片を作成し、透過型電子顕微鏡(FEI社製 TECNAI G2、加速電圧120kv)で撮影した。次に、撮影した画像中のシロキサンドメイン200個から画像処理ソフト(Nexus NewQube)を用いて平均シロキサンドメインサイズを算出した。なお、3段型プレートは、射出成形機(住友重機械工業(株)製 SG−150U)によりシリンダー温度280℃、金型温度70℃で成形した。
[実施例1〜16、比較例1〜10]
芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂、ホスファゼン化合物、無機充填材、含フッ素滴下防止剤および各種添加剤を表1および2記載の各配合量で、ブレンダーにて混合した後、ベント式二軸押出機を用いて溶融混練してペレットを得た。使用する各種添加剤は、それぞれ配合量の10〜100倍の濃度を目安に予めポリカーボネート樹脂との予備混合物を作成した後、ブレンダーによる全体の混合を行った。ベント式二軸押出機は(株)日本製鋼所製:TEX−30XSST(完全かみ合い、同方向回転、2条ネジスクリュー)を使用した。押出条件は吐出量20kg/h、スクリュー回転数150rpm、ベントの真空度3kPaであり、また押出温度は第一供給口から第二供給口まで280℃、第二供給口からダイス部分まで290℃とした。なお、強化充填材は上記押出機のサイドフィーダーを使用し第二供給口から供給し、残りのポリカーボネート樹脂および添加剤は第一供給口から押出機に供給した。ここでいう第一供給口とはダイスから最も離れた供給口であり、第二供給口とは押出機のダイスと第一供給口の間に位置する供給口である。得られたペレットを120℃で5時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥した後、射出成形機を用いて、評価用の試験片を成形した。各評価結果を表1および2に示した。
表1および2中の記号表記の各成分は下記の通りである。
(A成分)
A−1:芳香族ポリカーボネート樹脂[ビスフェノールAとホスゲンから常法によって作られた粘度平均分子量19,800のポリカーボネート樹脂粉末、帝人(株)製 パンライトL−1225WX]
(B成分)
B−1:ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂(粘度平均分子量19,800、PDMS量4.2%、PDMS重合度37)
B−2:ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂(粘度平均分子量19,800、PDMS量8.4%、PDMS重合度37)
B−3:ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂(粘度平均分子量19,800、PDMS量4.2%、PDMS重合度90)
B−4:ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂(粘度平均分子量19,800、PDMS量4.2%、PDMS重合度8)
B−5:ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂(粘度平均分子量19,800、PDMS量4.2%、PDMS重合度150)
(C成分)
C−1:環状フェノキシホスファゼン((株)伏見製薬所製:FP−110(商品名))
C−2:架橋フェノキシホスファゼン(大塚化学(株)製SPS−100(商品名))
(D成分)
D−1:円形断面チョップドガラス繊維(日東紡績(株)製:CS−3PE−455FB、長径13μm、カット長3mm、アミノシラン表面処理及びウレタン系集束剤)
D−2:扁平断面チョップドガラス繊維(日東紡績(株)製:CSG 3PA−830、長径28μm、短径7μm、カット長3mm、エポキシ系集束剤)
D−3:炭素繊維(東邦テナックス(株)製:HT C422 6mm、カット長6mm、ウレタン系集束剤)
D−4:ガラスフレーク(日本板硝子(株)製:フレカREFG−301、標準篩法によるメジアン平均粒径140μm、厚み5μm、エポキシ系集束剤)
(E成分)
E−1:フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン(ダイキン工業(株)製:ポリフロンMPA FA500)
(F成分)
F−1:無水マレイン酸とα−オレフィンとの共重合体である酸変性オレフィンワックス(三菱化学(株)製:ダイヤカルナDC30M)
(G成分)
G−1:リン系安定剤(大八化学工業(株)製:TMP トリメチルホスフェート)
(H成分)
H−1:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(ケミプロ化成工業(株)製:ケミソーブ79)
(その他成分;リン系難燃剤)
I−1:レゾルシノールビス(ジ−2,6−キシリル)ホスフェート(大八化学工業(株)製:
PX−200(商品名))
Figure 2015137307
Figure 2015137307

Claims (10)

  1. (A)芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)0〜90重量%および(B)ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂(B成分)10〜100重量%からなる樹脂成分100重量部に対し、(C)ホスファゼン化合物(C成分)0.1〜4重量部、(D)無機充填材(D成分)5〜44重量部、(E)含フッ素滴下防止剤(E成分)0.01〜1重量部を含有し、かつB成分由来のシロキサンドメインサイズが8〜19nmであることを特徴とする難燃性強化ポリカーボネート樹脂組成物。
  2. 樹脂組成物中のB成分由来のポリジオルガノシロキサン含有量が0.3〜8.0重量%であることを特徴とする請求項1に記載の難燃性強化ポリカーボネート樹脂組成物。
  3. B成分のポリカーボネートブロックがビスフェノールAからなることを特徴とする請求項1または2に記載の難燃性強化ポリカーボネート樹脂組成物。
  4. C成分の含有量が、樹脂成分100重量部に対し、0.1〜2.0重量部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性強化ポリカーボネート樹脂組成物。
  5. D成分が、ガラス繊維、ガラスフレークおよび炭素繊維からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性強化ポリカーボネート樹脂組成物。
  6. 樹脂成分100重量部に対し、(F)カルボキシル基および/またはその酸無水物基を有するオレフィン系ワックス(F成分)0.01〜1重量部を含有してなる請求項1〜5のいずれかに記載の難燃性強化ポリカーボネート樹脂組成物。
  7. 樹脂成分100重量部に対し、(G)リン系安定剤(G成分)0.001〜0.1重量部を含有してなる請求項1〜6のいずれかに記載の難燃性強化ポリカーボネート樹脂組成物。
  8. 樹脂成分100重量部に対し、(H)紫外線吸収剤(H成分)0.01〜1重量部を含有してなる請求項1〜7のいずれかに記載の難燃性強化ポリカーボネート樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の難燃性強化ポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品。
  10. 請求項1〜8のいずれかに記載の難燃性強化ポリカーボネート樹脂組成物からなる屋外設置用樹脂筐体。
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