JP2012153824A - ポリカーボネート樹脂組成物および成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐候性、耐熱老化性、水垢付着防止性に優れ、且つ透明性の高いポリカーボネート樹脂組成物及び成型品を提供する。
【解決手段】(A)芳香族ポリカーボネート樹脂0〜95重量部、(B)下記式[1]で表されるポリカーボネートブロックと、下記式[3]で表されるポリジオルガノシロキサンブロックとからななるポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合体樹脂からなる樹脂成分と、該樹脂成分100重量部に対し、(C)紫外線吸収剤0.01〜0.5重量部および(D)リン系安定剤0.001〜0.1重量部とからなる樹脂組成物であって、
(i)ポリカーボネートのマトリックス中にポリジオルガノシロキサンドメインが分散した凝集構造であり、
(ii)該ポリジオルガノシロキサンドメインの平均サイズが5〜40nm、規格化分散が30%以下であり、
(iii)全光線透過率が88%以上である、
樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、透明性、耐候性、耐熱老化性、水垢付着防止性に優れ、さらに高度な靭性を備えた樹脂組成物およびその成形品に関する。さらに詳しくは、特定の凝集構造を形成する良好な透明性を有するポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂を含有する樹脂組成物及び成形品に関する。
ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性に優れ、高い熱変形温度と透明性を有するので、強度、耐熱性、透明性を必要とする多くの用途(例えば眼鏡レンズ、窓ガラスなど)に用いられている。最も広範に生産されているポリカーボネートは、ビスフェノールA(BPA)を重合することにより形成されるホモポリマーであるが、用途分野の拡大に伴って更に性能の優れたポリカーボネート樹脂の開発が望まれている。そこで、拡大する用途に適合させるために、BPAなどの一般的なモノマー原料に各種の共重合モノマー単位を導入することによる共重合樹脂に関する研究が行われてきている。
特許文献1には、第1のポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂と、第2のポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂を混合することによって得られる、ポリカーボネートポリマーのマトリックス中に平均ドメインサイズ20〜45nmのポリジオルガノシロキサンドメインが埋込まれた樹脂組成物が提案されている。この樹脂組成物は、耐衝撃性および一定の半透明性を有することが開示されている。より具体的にはこの樹脂組成物は、半透明性(約25〜約85%の光透過率および約104未満のヘイズを有することと定義される)を有し、視覚効果添加剤と組合せて美的視覚効果を得ることができ、かつ耐衝撃性、難燃性に優れており、ウェルドラインの視認性が低いことが開示されている。
しかしこの提案にはポリジオルガノシロキサンドメインの平均サイズと透明性(光透過率85%以上)との関係については明らかにはされていない。
一方、ポリカーボネート樹脂は、長期に屋外で使用する場合、アクリル樹脂等に比較して耐候性が問題となることがある。ポリカーボネート樹脂の耐候性を向上させるために種々の紫外線吸収剤を使用する技術は広く知られている(非特許文献1、特許文献2)。また、紫外線吸収剤とその他の添加剤を併用することで更に耐候性を向上させる方法も幾つか提案されている(特許文献3)。一方、ポリカーボネート樹脂成形品は熱処理により衝撃強度が低下する、所謂熱老化現象を生じることは公知である(非特許文献2)。紫外線吸収剤の添加は紫外線被曝によるポリカーボネート樹脂の黄変低減に有効であるが、高温環境下に曝される長期屋外曝露による衝撃強度の低下を抑制することができない。また、屋外使用に供される物品においては、雨水の付着による水垢の発生が外観不良、視認性低下により問題となる。
ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂からなる成形品は耐熱老化性に優れ、熱処理に供しても衝撃強度が保持されることも公知である(非特許文献3)。しかしながら、屋外使用物品として使用する上で重要である透明性を保持したまま、耐候性、耐熱老化性及び水垢付着防止性を両立するポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂を含有する樹脂からなる成形品については、明らかにされていない。
特表2006−523243号公報 特開平7−196904号公報 特表2006−518803号公報
「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」(153頁6行〜155頁4行)(本間精一編、日刊工業新聞社発行、1992年 「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」(264頁11行〜267頁3行)(本間精一編、日刊工業新聞社発行、1992年) Polymer Engineering And Scien ce(Volume 49,Issue 9,Page 1719−1726)
本発明の目的は、透明性に優れ、屋外曝露時の黄変と衝撃強度の低下が抑制された耐候性、耐熱老化性及び水垢付着防止性に優れたポリカーボネート樹脂組成物および成形品を提供することにある。また、靭性に優れ、屋外での長期使用に対する耐久性、視認性の要求される用途に好適であるポリカーボネート樹脂組成物及び成形品を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の凝集構造を形成するポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂を含有するポリカーボネート樹脂組成物に、紫外線吸収剤とリン系安定剤を組み合わせて配合すると、格段に高い透明性を維持したまま、耐候性、耐熱老化性、水垢付着防止性に優れ、且つ優れた靭性を備えた樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち本発明によれば、上記課題は下記構成により解決される。
1.(A)芳香族ポリカーボネート樹脂0〜95重量部、(B)下記式[1]で表されるポリカーボネートブロックと、下記式[3]で表されるポリジオルガノシロキサンブロックとからなるポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂5〜100重量部からなる樹脂成分と、該樹脂成分100重量部に対し、(C)紫外線吸収剤0.01〜0.5重量部および(D)リン系安定剤0.001〜0.1重量部とからなる樹脂組成物であって、
(i)ポリカーボネートのマトリックス中にポリジオルガノシロキサンドメインが分散した凝集構造であり、
(ii)該ポリジオルガノシロキサンドメインの平均サイズが5〜40nm、規格化分散が30%以下であり、
(iii)全光線透過率が88%以上である、
共重合樹脂組成物。
[式中、RおよびRは夫々独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数1〜18のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のシクロアルキル基、炭素原子数6〜20のシクロアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数3〜14のアリール基、炭素原子数3〜14のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、ニトロ基、アルデヒド基、シアノ基およびカルボキシル基からなる群から選ばれる基を表し、それぞれ複数ある場合はそれらは同一でも異なっていても良い。eおよびfは夫々1〜4の整数である。Wは、単結合もしくは下記式[2]で表される基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基である。
(式中、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18は夫々独立して、水素原子、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数3〜14のアリール基および炭素原子数7〜20のアラルキル基からなる群から選ばれる基を表す。R19およびR20は夫々独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のシクロアルキル基、炭素原子数6〜20のシクロアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数3〜14のアリール基、炭素原子数6〜10のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、ニトロ基、アルデヒド基、シアノ基およびカルボキシル基からなる群から選ばれる基を表し、複数ある場合はそれらは同一でも異なっていても良い。gは1〜10の整数、hは4〜7の整数である。)]
(式中、R、R、R、R、RおよびRは夫々独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基または炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基である。RおよびR10は夫々独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基である。pは自然数であり、qは0または自然数であり、p+qは30〜70未満の自然数である。Xは炭素原子数2〜8の二価脂肪族基である。)
2.該ポリオルガノシロキサンドメインの平均サイズが5〜15nmである前記1記載の共重合樹脂組成物。
3.式[3]で表されるポリジオルガノシロキサンブロックが(2−アリルフェノール)末端ポリジオルガノシロキサン、もしくは(2−メトキシ−4−アリルフェノール)末端ポリジオルガノシロキサンより誘導された、前記1記載の共重合樹脂組成物。
4.式[3]におけるp+qが30〜60であり、且つ全光線透過率が89%以上である、前記1記載の共重合樹脂組成物。
5.共重合樹脂組成物の全重量を基準にして式[3]で表されるポリジオルガノシロキサンブロックが0.1〜50重量%である前記1記載の共重合樹脂組成物。
6.R、R、R、R、R、Rがメチル基である、前記1記載の共重合樹脂組成物。
7.常温、常圧で厚み2mmの平滑平板を用いて測定された蒸留水の接触角が85〜105°である前記1記載の共重合樹脂組成物。
8.紫外線吸収剤がベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤である、前記1〜7のいずれかに記載の共重合樹脂組成物。
9.リン系安定剤がホスファイト化合物またはホスフォナイト化合物である、前記1〜8のいずれかに記載の共重合樹脂組成物
10.式[1]で表されるポリカーボネートブロックが2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンより誘導された前記1〜9のいずれか記載の共重合樹脂組成物。
11.前記1〜10のいずれか記載の共重合樹脂組成物から形成された成形品。
12.ポリカーボネートのマトリックス中にポリジオルガノシロキンサンドメインが分散した凝集構造を有し、該ポリジオルガノシロキサンドメインの平均サイズが5〜40nm、規格化分散が30%以下である前記11記載の成形品。
13.全光線透過率が88%以上である前記11記載の成形品。
14.前記1〜10のいずれか記載の樹脂組成物から形成される屋外用電子機器表示板。
15.厚みが0.2〜1.0mmである前記14に記載の屋外用電子機器表示板。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、透明性と耐候性、耐熱老化性、水垢付着防止性に優れ、さらに高度な靭性を備えているため、屋外での長期使用に対する耐久性、視認性の要求される用途に好適である。従って、その奏する産業上の効果は格別である。
実施例1で測定した3段型プレートの厚み1.0mm部における小角エックス線散乱プロファイルと解析結果のグラフであり、(a)は、測定散乱プロファイル(測定データ)のグラフ、(b)は、それから解析した粒径分布のグラフである。 比較例1で測定した3段型プレートの厚み1.0mm部における小角エックス線散乱プロファイルと解析結果のグラフであり、(a)は、測定散乱プロファイル(測定データ)のグラフ、(b)は、それから解析した粒径分布のグラフである。
以下、本発明の詳細について説明する。
(A成分:芳香族ポリカーボネート樹脂)
本発明でA成分として使用される芳香族ポリカーボネート樹脂は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られるものである。反応方法の一例として界面重合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマーの固相エステル交換法、および環状カーボネート化合物の開環重合法などを挙げることができる。
ここで使用される二価フェノールの代表的な例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ビフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エステル、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンおよび9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンなどが挙げられる。好ましい二価フェノールは、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンであり、なかでも耐衝撃性の点からビスフェノールAが特に好ましく、汎用されている。
本発明では、汎用のポリカーボネートであるビスフェノールA系のポリカーボネート以外にも、他の2価フェノール類を用いて製造した特殊なポリカーボネ−トをA成分として使用することが可能である。
例えば、2価フェノール成分の一部又は全部として、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(以下“BPM”と略称することがある)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(以下“Bis−TMC”と略称することがある)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン及び9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(以下“BCF”と略称することがある)を用いたポリカーボネ−ト(単独重合体又は共重合体)は、吸水による寸法変化や形態安定性の要求が特に厳しい用途に適当である。これらのBPA以外の2価フェノールは、該ポリカーボネートを構成する2価フェノール成分全体の5モル%以上、特に10モル%以上、使用するのが好ましい。
殊に、高剛性かつより良好な耐加水分解性が要求される場合には、樹脂組成物を構成するA成分が次の(1)〜(3)の共重合ポリカーボネートであるのが特に好適である。(1)該ポリカーボネートを構成する2価フェノール成分100モル%中、BPMが20〜80モル%(より好適には40〜75モル%、さらに好適には45〜65モル%)であり、かつBCFが20〜80モル%(より好適には25〜60モル%、さらに好適には35〜55モル%)である共重合ポリカーボネート。(2)該ポリカーボネートを構成する2価フェノール成分100モル%中、BPAが10〜95モル%(より好適には50〜90モル%、さらに好適には60〜85モル%)であり、かつBCFが5〜90モル%(より好適には10〜50モル%、さらに好適には15〜40モル%)である共重合ポリカーボネート。(3)該ポリカーボネートを構成する2価フェノール成分100モル%中、BPMが20〜80モル%(より好適には40〜75モル%、さらに好適には45〜65モル%)であり、かつBis−TMCが20〜80モル%(より好適には25〜60モル%、さらに好適には35〜55モル%)である共重合ポリカーボネート。
これらの特殊なポリカーボネートは、単独で用いてもよく、2種以上を適宜混合して使用してもよい。また、これらを汎用されているビスフェノールA型のポリカーボネートと混合して使用することもできる。
これらの特殊なポリカーボネートの製法及び特性については、例えば、特開平6−172508号公報、特開平8−27370号公報、特開2001−55435号公報及び特開2002−117580号公報等に詳しく記載されている。
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、炭酸ジエステルまたはハロホルメートなどが使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメートなどが挙げられる。
前記二価フェノールとカーボネート前駆体の界面重合によって芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールが酸化するのを防止するための酸化防止剤などを使用してもよい。また本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂、芳香族または脂肪族(脂環式を含む)の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂、二官能性アルコール(脂環式を含む)を共重合した共重合ポリカーボネート樹脂、並びにかかる二官能性カルボン酸および二官能性アルコールを共に共重合したポリエステルカーボネート樹脂を含む。また、得られた芳香族ポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
分岐ポリカーボネート樹脂は、本発明の樹脂組成物に、ドリップ防止性能などを付与できる。かかる分岐ポリカーボネート樹脂に使用される三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、フロログルシン、フロログルシド、または4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキジフェニル)ヘプテン−2、2,4,6−トリメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、4−{4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン}−α,α−ジメチルベンジルフェノール等のトリスフェノール、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)ケトン、1,4−ビス(4,4−ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン、またはトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸およびこれらの酸クロライド等が挙げられ、中でも1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましく、特に1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。
分岐ポリカーボネートにおける多官能性芳香族化合物から誘導される構成単位は、2価フェノールから誘導される構成単位とかかる多官能性芳香族化合物から誘導される構成単位との合計100モル%中、好ましくは0.01〜2モル%、より好ましくは0.05〜1.2モル%、特に好ましくは0.05〜1.0モル%である。
また、特に溶融エステル交換法の場合、副反応として分岐構造単位が生ずる場合があるが、かかる分岐構造単位量についても、2価フェノールから誘導される構成単位との合計100モル%中、0.001〜2モル%、好ましくは0.005〜1.2モル%、特に好ましくは0.01〜1.0モル%であるものが好ましい。なお、かかる分岐構造の割合についてはH−NMR測定により算出することが可能である。
脂肪族の二官能性のカルボン酸は、α,ω−ジカルボン酸が好ましい。脂肪族の二官能性のカルボン酸としては例えば、セバシン酸(デカン二酸)、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸、イコサン二酸などの直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸、並びにシクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸が好ましく挙げられる。二官能性アルコールとしては脂環族ジオールがより好適であり、例えばシクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、およびトリシクロデカンジメタノールなどが例示される。
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂の製造方法である界面重合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマー固相エステル交換法、および環状カーボネート化合物の開環重合法などの反応形式は、各種の文献及び特許公報などで良く知られている方法である。
本発明において、A成分である芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、特に限定されないが、好ましくは1×10〜5×10であり、より好ましくは1.4×10〜3×10であり、さらに好ましくは1.4×10〜2.4×10である。
粘度平均分子量が1×10未満の芳香族ポリカーボネート樹脂では、良好な機械的特性が得られない。一方、粘度平均分子量が5×10を超える芳香族ポリカーボネート樹脂から得られる樹脂組成物は、射出成形時の流動性に劣る点で汎用性に劣る。
なお、前記芳香族ポリカーボネート樹脂は、その粘度平均分子量が前記範囲外のものを混合して得られたものであってもよい。殊に、前記範囲(5×10)を超える粘度平均分子量を有する芳香族ポリカーボネート樹脂は、樹脂のエントロピー弾性が向上する。その結果、構造部材に成形する際に使用されることのあるガスアシスト成形、および発泡成形において、良好な成形加工性を発現する。かかる成形加工性の改善は前記分岐ポリカーボネートよりもさらに良好である。より好適な態様としては、A成分が粘度平均分子量7×10〜3×10の芳香族ポリカーボネート樹脂(A−1−1成分)、および粘度平均分子量1×10〜3×10の芳香族ポリカーボネート樹脂(A−1−2成分)からなり、その粘度平均分子量が1.6×10〜3.5×10である芳香族ポリカーボネート樹脂(A−1成分)(以下、“高分子量成分含有芳香族ポリカーボネート樹脂”と称することがある)も使用できる。
かかる高分子量成分含有芳香族ポリカーボネート樹脂(A−1成分)において、A−1−1成分の分子量は7×10〜2×10が好ましく、より好ましくは8×10〜2×10、さらに好ましくは1×10〜2×10、特に好ましくは1×10〜1.6×10である。またA−1−2成分の分子量は1.0×10〜2.5×10が好ましく、より好ましくは1.1×10〜2.4×10、さらに好ましくは1.2×10〜2.4×10、特に好ましくは1.2×10〜2.3×10である。
高分子量成分含有芳香族ポリカーボネート樹脂(A−1成分)は前記A−1−1成分とA−1−2成分を種々の割合で混合し、所定の分子量範囲を満足するよう調整して得ることができる。好ましくは、A−1成分100重量%中、A−1−1成分が2〜40重量%の場合であり、より好ましくはA−1−1成分が3〜30重量%であり、さらに好ましくはA−1−1成分が4〜20重量%であり、特に好ましくはA−1−1成分が5〜20重量%である。
また、A−1成分の調製方法としては、(1)A−1−1成分とA−1−2成分とを、それぞれ独立に重合しこれらを混合する方法、(2)特開平5−306336号公報に示される方法に代表される、GPC法による分子量分布チャートにおいて複数のポリマーピークを示す芳香族ポリカーボネート樹脂を同一系内において製造する方法を用い、かかる芳香族ポリカーボネート樹脂を本発明のA−1成分の条件を満足するよう製造する方法、および(3)かかる製造方法((2)の製造方法)により得られた芳香族ポリカーボネート樹脂と、別途製造されたA−1−1成分および/またはA−1−2成分とを混合する方法などを挙げることができる。
(B成分:ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂)
本発明のポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂(以下、共重合樹脂と略すことがある。)は、式[1]のポリカーボネートブロックおよび(式[3]のポリジオルガノシロキサンブロックを含有する。
(式[1]のポリカーボネートブロック)
ポリカーボネートブロックは、下記式[1]で表される。
式[1]において、RおよびRは夫々独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数1〜18のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のシクロアルキル基、炭素原子数6〜20のシクロアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数3〜14のアリール基、炭素原子数3〜14のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、ニトロ基、アルデヒド基、シアノ基およびカルボキシル基からなる群から選ばれる基を表す。RおよびRが夫々複数ある場合は、それらは同一でも異なっていても良い。
ハロゲン原子として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。炭素原子数1〜18のアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基等が挙げられる。好ましくは炭素原子数1〜6のアルキル基である。炭素原子数1〜18のアルコキシ基として、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキトキシ基、オクトキシ基、等が挙げられる。炭素原子数1〜6のアルキル基が好ましい。
炭素原子数6〜20のシクロアルキル基として、シクロへキシル基、シクロオクチル基等が挙げられる。炭素原子数6〜12のシクロアルキル基が好ましい。炭素原子数6〜20のシクロアルコキシ基として、好ましくはシクロへキシルオキシ基、シクロオクチルオキシ基等が挙げられる。炭素原子数6〜12のシクロアルキル基が好ましい。
炭素原子数2〜10のアルケニル基として、メテニル基、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基等が挙げられる。炭素原子数1〜6のアルキル基が好ましい。
炭素原子数3〜14のアリール基として、フェニル基、ナフチル基等挙げられる。炭素原子数3〜14のアリールオキシ基として、フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基等が挙げられる。炭素原子数7〜20のアラルキル基として、ベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられる。炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基として、ベンジルオキシ基、フェニルエチルオキシ基等が挙げられる。
eおよびfは夫々独立に1〜4の整数である。
Wは、単結合もしくは下記式[2]で表される基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基である。
式[2]においてR11、R12、R13、R14、R15、R16、R17および
18は夫々独立して、水素原子、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数3〜14のアリール基および炭素原子数7〜20のアラルキル基からなる群から選ばれる基を表わす。
炭素原子数1〜18のアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等が挙げられる。好ましくは炭素原子数1〜6のアルキル基である。
炭素原子数3〜14のアリール基として、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。これらは置換されていてもよい。置換基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭素原子数1〜6のアルキル基が挙げられる。炭素原子数7〜20のアラルキル基として、ベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられる。
19およびR20は夫々独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のシクロアルキル基、炭素原子数6〜20のシクロアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数3〜14のアリール基、炭素原子数6〜10のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、ニトロ基、アルデヒド基、シアノ基およびカルボキシル基からなる群から選ばれる基を表す。複数ある場合はそれらは同一でも異なっていても良い。
ハロゲン原子として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。炭素原子数1〜18のアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基等が挙げられる。好ましくは炭素原子数1〜6のアルキル基である。炭素原子数1〜10のアルコキシ基として、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基等が挙げられる。炭素原子数1〜6のアルキル基が好ましい。
炭素原子数6〜20のシクロアルキル基として、シクロへキシル基、シクロオクチル基等が挙げられる。炭素原子数6〜12のシクロアルキル基が好ましい。炭素原子数6〜20のシクロアルコキシ基として、シクロへキシルオキシ基、シクロオクチル基等が挙げられる。炭素原子数6〜12のシクロアルキル基が好ましい。
炭素原子数2〜10のアルケニル基として、メテニル基、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基等が挙げられる。炭素原子数1〜6のアルキル基が好ましい。
炭素原子数3〜14のアリール基として、フェニル基、ナフチル基等挙げられる。炭素原子数3〜14のアリールオキシ基として、フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基等が挙げられる。炭素原子数7〜20のアラルキル基として、ベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられる。炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基として、ベンジルオキシ基、フェニルエチルオキシ基等が挙げられる。
gは1〜10の整数、好ましくは1〜6の整数である。hは4〜7の整数、好ましくは4〜5の整数である。
式[1]で表されるポリカーボネートブロックは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンより誘導されたブロックであることが好ましい。
ポリカーボネートブロックの長さは、式[1]の繰り返し単位の平均数で、好ましくは10〜100、より好ましくは30〜80、さらに好ましくは35〜65である。
式[1]で表されるポリカーボネートブロックの含有量は、共重合樹脂の全重量を基準にして、好ましくは50〜99.9重量%、より好ましくは70〜99.5重量%、さらに好ましくは80〜99.0重量%である。
(式[3]のポリジオルガノシロキサンブロック)
ポリジオルガノシロキサンブロックは、下記式[3]で表される。
上記式[3]において、R、R、R、R、RおよびRは夫々独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基または炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基である。
炭素数1〜12のアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等が挙げられる。好ましくは炭素原子数1〜6のアルキル基である。炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基として、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。置換基としてメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などの炭素数1〜12のアルキル基が挙げられる。R、R、R、R、R、Rがメチル基であることが好ましい。
およびR10は夫々独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基である。
ハロゲン原子として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。炭素原子数1〜10のアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等が挙げられる。好ましくは炭素原子数1〜6のアルキル基である。炭素原子数1〜10のアルコキシ基として、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキソキシ基、へプトキシ基、オクトキシ基、等が挙げられる。好ましくは炭素原子数1〜6のアルキルコキシ基である。
pは自然数であり、qは0または自然数であり、p+qは30〜70の自然数である。pは好ましくは5〜70、より好ましくは30〜60である。qは好ましくは0〜65、より好ましくは0〜50である。p+qは好ましくは30〜60、より好ましくは35〜55、特に好ましくは35〜50である。
Xは、炭素数2〜8の二価脂肪族基である。二価脂肪族基として、炭素数2〜8のアルキレン基が挙げられる。アルキレン基としてエチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等が挙げられる。
式[3]で表されるポリジオルガノシロキサンブロックが(2−アリルフェノール)末端ポリジオルガノシロキサン、もしくは(2−メトキシ−4−アリルフェノール)末端ポリジオルガノシロキサンより誘導されたブロックであることが好ましい。即ち、式[3]においてXがトリメチレン基でRおよびR10が水素原子であるか、もしくはXがトリメチレン基でRおよびR10がメトキシ基であることが好ましい。
式[3]で表されるポリジオルガノシロキサンブロックの含有量は、共重合樹脂の全重量を基準にして、好ましくは0.1〜50重量%、より好ましくは0.5〜30重量%、さらに好ましくは1.0〜20重量%である。
共重合樹脂の粘度平均分子量は、好ましくは5.0×10〜5.0×10、より好ましくは1.0×10〜4.0×10、更に好ましくは1.5×10〜3.5×10、特に好ましくは1.7×10〜2.5×10である。共重合樹脂の粘度平均分子量が5.0×10未満では、多くの分野において実用上の機械的強度が得られにくく、5.0×10を超えると、溶融粘度が高く、概して高い成形加工温度を必要とするため、樹脂の熱劣化などの不具合を生じやすい。
(ポリジオルガノシロキサンドメインの平均サイズ、規格化分散)
本発明のポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂は、ポリカーボネートポリマーのマトリックス中にポリジオルガノシロキサンドメインが分散した凝集構造である。
なお、本発明においてポリジオルガノシロキサンドメインとは、ポリカーボネートのマトリックス中に分散したポリジオルガノシロキサンを主成分とするドメインをいい、他の成分を含んでもよい。上述の如く、ポリジオルガノシロキサンドメインは、マトリックスたるポリカーボネートとの相分離により構造が形成されることから、必ずしも単一の成分から構成されない。
ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂の全重量に占めるポリジオルガノシロキサン含有量は0.1〜50重量%が好ましい。かかるポリジオルガノシロキサン成分含有量はより好ましくは0.5〜30重量%、さらに好ましくは1〜20重量%である。かかる好適な範囲の下限以上では、耐衝撃性や難燃性に優れ、かかる好適な範囲の上限以下では、成形条件の影響を受けにくい安定した透明性が得られやすい。かかるジオルガノシロキサン重合度、ポリジオルガノシロキサン含有量は、H−NMR測定により算出することが可能である。
ポリジオルガノシロキサンドメインの平均サイズは、5〜40nm、好ましくは5〜15nm、より好ましくは7〜12nmである。
かかる平均サイズの下限は、好ましくは6nmであり、より好ましくは7nmである。かかる平均サイズの上限は、好ましくは20nm、より好ましくは15nm、特に好ましくは12nmである。かかる範囲の下限未満では、耐衝撃性や難燃性が十分に発揮されず、かかる範囲の上限を超えると透明性が安定して発揮されない。
本発明のポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂のポリジオルガノシロキサンドメインは、規格化分散が30%以下である。
ポリジオルガノシロキサンドメインの平均サイズが好適な範囲であっても、その規格化分散が30%を超えると良好かつ安定した透明性が発揮されない。かかるポリジオルガノシロキサンドメインサイズの規格化分散は、好ましくは25%以下、さらに好ましくは20%以下である。かかる規格化分散の下限は実用上7%以上が好ましく、10%以上がより好ましい。かかる適切なドメインの平均サイズと、その規格化分散を有することにより、透明性と耐衝撃性、ならびに難燃性の両立に優れた共重合樹脂組成物およびその成形品が提供される。
本発明におけるポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂組成物成形品のポリジオルガノシロキサンドメインの平均ドメインサイズ、規格化分散は、小角エックス線散乱法(Small Angle X−ray Scattering:SAXS)により評価される。小角エックス線散乱法とは、散乱角(2θ)が10°未満の範囲の小角領域で生じる散漫な散乱・回折を測定する方法である。この小角エックス線散乱法では、物質中に電子密度の異なる1〜100nm程度の大きさの領域があると、その電子密度差によりエックス線の散漫散乱が計測される。この散乱角と散乱強度に基づいて測定対象物の粒子径を求める。ポリカーボネートポリマーのマトリックス中にポリジオルガノシロキサンドメインが分散した凝集構造となる共重合樹脂組成物の場合、ポリカーボネートマトリックスとポリジオルガノシロキサンドメインの電子密度差により、エックス線の散漫散乱が生じる。散乱角(2θ)が10°未満の範囲の各散乱角(2θ)における散乱強度Iを測定して、小角エックス線散乱プロファイルを測定し、ポリジオルガノシロキサンドメインが球状ドメインであり、粒径分布のばらつきが存在すると仮定して、仮の粒径と仮の粒径分布モデルから、市販の解析ソフトウェアを用いてシミュレーションを行い、ポリジオルガノシロキサンドメインの平均サイズと粒径分布(規格化分散)を求める。小角エックス線散乱法によれば、透過型電子顕微鏡による観察では正確に測定できない、ポリカーボネートポリマーのマトリックス中に分散したポリジオルガノシロキサンドメインの平均サイズと粒径分布を、精度よく、簡便に、かつ再現性良く測定することができる。
平均ドメインサイズとは個々のドメインサイズの数平均を意味する。規格化分散とは、粒径分布の広がりを平均サイズで規格化したパラメータを意味する。具体的には、ポリジオルガノシロキサンドメインサイズの分散を平均ドメインサイズで規格化した値であり、下記式(1)で表される。
上記式(1)において、σはポリジオルガノシロキサンドメインサイズの標準偏差、Davは平均ドメインサイズである。
本発明に関連して用いる用語「平均ドメインサイズ」、「規格化分散」は、射出成形により形成される厚み1.0mmの成形品を用いて、小角エックス線散乱法により測定することにより得られる測定値を示す。具体的には、射出成形により成形した3段型プレート(幅50mm、長さ90mm、厚みがゲート側から3.0mm(長さ20mm)、2.0mm(長さ45mm)、1.0mm(長さ25mm)、表面の算術平均粗さ(Ra)が0.03μm)を用いて、厚み1.0mm部の端部より5mm、側部より5mmの交点におけるポリジオルガノシロキサンドメインの平均サイズと粒径分布(規格化分散)を小角エックス線散乱法により測定したものである。
なお、ポリジオルガノシロキサン含有量が極少量、もしくは散乱体であるポリジオルガノシロキサンドメインのサイズが極微小の場合、小角エックス線散乱法において十分な散乱強度が得られず平均ドメインサイズ、規格化分散を解析することができない。このような事例に対して、表1において「測定不能」と表記した。
(全光線透過率・ヘイズ)
本発明のポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂は、射出成形により形成される厚み2.0mmの成形品において、その全光線透過率が88%以上である。かかる全光線透過率は好ましくは88.5%以上、より好ましくは89%以上である。一方、その上限は好ましくは92%、より好ましくは91.5%である。また、本発明のポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂組成物からなる厚み2.0mmの成形品において、そのヘイズは0.3〜20%が好ましい。かかるヘイズは、より好ましくは0.5〜10%、さらに好ましくは0.6〜5%、特に好ましくは0.6〜2%である。
全光線透過率は、透明性のレベルを表示するもので、ASTM−D1003−61の方法E308による、入射光に対する透過光の比を意味する。本発明に関連して用いる用語「ヘイズ」は、透明性のレベルを表示するもので、試験片を通過する際に前方散乱により入射光束から逸れる透過光の割合(%)を意味する(ASTM−D1003−61)。すなわち、全光線透過率が高く、ヘイズが低いほど透明性に優れる。
(共重合樹脂の製造方法)
ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂は、工程(i)および工程(ii)により製造することができる。
(工程(i))
工程(i)は、水に不溶性の有機溶媒とアルカリ水溶液との混合液中において、下記式[4]で表わされる二価フェノール(I)とホスゲンとを反応させ、末端クロロホーメート基を有するカーボネートオリゴマーを含有する溶液を調製する工程である。
(式中、R、R、e、fおよびWは前記と同じである。)
式[4]で表される二価フェノール(I)としては、例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,3’−ビフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエ−テル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエ−テル、4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、2,2’−ジメチル−4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド、2,2’−ジフェニル−4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジフェニルジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジフェニルジフェニルスルフィド、1,3−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、1,4−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,8−ビス(4−ヒドロキシフェニル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、4,4’−(1,3−アダマンタンジイル)ジフェノール、および1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン等が挙げられる。
なかでも、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4’−スルホニルジフェノール、2,2’−ジメチル−4,4’−スルホニルジフェノール、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、1,3−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、および1,4−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼンが好ましい。
殊に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(BPZ)、4,4’−スルホニルジフェノール、および9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンが好ましい。中でも強度に優れ、良好な耐久性を有する2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが最も好適である。また、これらは単独または二種以上組み合わせて用いてもよい。
工程(i)では、水に不溶性の有機溶媒とアルカリ水溶液との混合液中において、二価フェノール(I)と、ホスゲンや二価フェノール(I)のクロロホルメート等のクロロホルメート形成性化合物との反応により、二価フェノール(I)のカーボネートオリゴマーであって末端クロロホーメート基を有するオリゴマーを含有する溶液を調製する。
カーボネートオリゴマーの重合度は、好ましくは1.0〜10.0、より好ましくは2.0〜8.0、さらに好ましくは1.5〜4.0である。
該溶液には、重合してない(重合度=1)の二価フェノール(I)のクロロホルメート化物も含まれる。
二価フェノール(I)からのクロロホルメート化合物を生成するにあたり、二価フェノール(I)の全量を一度にクロロホルメート化合物としてもよく、または、その一部を後添加モノマーとして後段の界面重縮合反応に反応原料として添加してもよい。後添加モノマーとは、後段の重縮合反応を速やかに進行させるために加えるものであり、必要のない場合には敢えて加える必要はない。
このクロロホルメートオリゴマー生成反応の方法は特に限定はされないが、通常、酸結合剤の存在下、溶媒中で行う方式が好適である。更に、所望に応じ、亜硫酸ナトリウム、およびハイドロサルファイドなどの酸化防止剤を少量添加してもよく、添加することが好ましい。
クロロホルメート形成性化合物としてはホスゲンが好適である。クロロホルメート形成性化合物の使用割合は、反応の化学量論比(当量)を考慮して適宜調整すればよい。また、好適なクロロホルメート形成性化合物であるホスゲンを使用する場合、ガス化したホスゲンを反応系に吹き込む方法が好適に採用できる。
前記酸結合剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、および水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、および炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、並びにピリジンの如き有機塩基、あるいはこれらの混合物などが用いられる。
酸結合剤の使用割合も、上記同様に、反応の化学量論比(当量)を考慮して適宜定めればよい。具体的には、二価フェノール(I)のクロロホルメート化合物の形成に使用する二価フェノール(I)1モルあたり(通常1モルは2当量に相当)、2当量若しくはこれより若干過剰量の酸結合剤を用いることが好ましい。
前記溶媒としては、公知のポリカーボネートの製造に使用されるものなど各種の反応に不活性な溶媒を1種単独であるいは混合溶媒として使用すればよい。代表的な例としては、例えば、キシレンの如き炭化水素溶媒、並びに、塩化メチレンおよびクロロベンゼンをはじめとするハロゲン化炭化水素溶媒などが挙げられる。特に塩化メチレンの如きハロゲン化炭化水素溶媒が好適に用いられる。得られるポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂の透明性向上のためには、固形分濃度を下げることが有効である。二価フェノール(I)の濃度は、好ましくは400g/L以下、より好ましくは300g/L以下、更に好ましくは250g/L以下である。二価フェノール(I)の濃度は、安定した透明性の点からは低いほど好ましいものの、製造効率の観点から、その下限は100g/L以上が好ましい。
水に不溶性の有機溶媒の量は、二価フェノール(I)1モルあたり、好ましくは8モル以上、より好ましくは10モル以上、さらに好ましくは12モル以上、特に好ましくは14モル以上である。上限は特に制限されないが、装置の大きさやコストの面から50モル以下で充分である。二価フェノール(I)に対する有機溶媒のモル比をかかる範囲内とすることにより、ポリジオルガノシロキサンドメインの平均サイズおよび規格化分散を、より適正値に制御しやすくなる。その結果、高シロキサン重合度のヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)(p+qが30〜70)からなる共重合樹脂であっても、安定して全光線透過率が高く、ヘイズの低いポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂を与え得る。さらに、かかる共重合樹脂は成形条件の透明性への影響が少なく、安定して透明性の高い成形品を与え得る。
クロロホルメート化合物の生成反応における圧力は特に制限はなく、常圧、加圧、もしくは減圧のいずれでもよいが、通常、常圧下で反応を行うことが有利である。反応温度は−20〜50℃の範囲から選ばれ、多くの場合、反応に伴い発熱するので、水冷または氷冷することが望ましい。反応時間は他の条件に左右され一概に規定できないが、通常、0.2〜10時間で行われる。クロロホルメート化合物の生成反応におけるpH範囲は、公知の界面反応条件が利用でき、pHは通常10以上に調製される。
(工程(ii))
工程(ii)は、工程(i)で得られた溶液を攪拌しながら下記式[5]で表わされるヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)を、該溶液の調整にあたり仕込まれた二価フェノール(I)の量1モルあたり、0.01モル/min以下の速度で加え、ヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)とカーボネートオリゴマーとを界面重縮合させる工程である。
(式中、R、R、R、R、R、R、R、R10、p、qおよびXは前記と同じである。)
式[5]で表されるヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)としては、例えば次に示すような化合物式[6]が好適に用いられる。
ヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)は、オレフィン性の不飽和炭素−炭素結合を有するフェノール類、好適にはビニルフェノール、2−アリルフェノール、イソプロペニルフェノール、2−メトキシ−4−アリルフェノールを所定の重合度を有するポリシロキサン鎖の末端に、ハイドロシリレーション反応させることにより容易に製造される。なかでも、(2−アリルフェノール)末端ポリジオルガノシロキサン、(2−メトキシ−4−アリルフェノール)末端ポリジオルガノシロキサンが好ましく、殊に(2−アリルフェノール)末端ポリジメチルシロキサン、および(2−メトキシ−4−アリルフェノール)末端ポリジメチルシロキサンが好ましい。
また、高度な透明性を実現するためにヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)のジオルガノシロキサン重合度(p+q)は30〜70である。かかるジオルガノシロキサン重合度(p+q)は、好ましくは30〜60、より好ましくは35〜55、特に好ましくは35〜50である。かかる好適な範囲の下限以上では、耐衝撃性や難燃性に優れ、かかる好適な範囲の上限以下では、透明性に優れる。すなわち、かかる上限以下の共重合樹脂は、ポリジオルガノシロキサンドメインの平均サイズと規格化分散を小さくしやすい。その結果、高温で長時間シリンダー内に滞留される成形条件下にあっても、優れた透明性を有する樹脂成形品を得ることができる。上記上限以下のポリジオルガノシロキサン単位は、その単位重量あたりのモル数が増加し、ポリカーボネート中に該単位が均等に組み込まれやすくなる。ジオルガノシロキサン重合度が大きいと、ポリジオルガノシロキサン単位のポリカーボネート中への組み込みが不均等になるとともに、ポリマー分子中のポリジオルガノシロキサン単位の割合が増加する。そのため、該単位を含むポリカーボネートと、含まないポリカーボネートとが生じやすく、かつ相互の相溶性が低下しやすくなる。その結果として大きなポリジオルガノシロキサンドメインが生じやすくなる。一方で、耐衝撃性や難燃性の観点からは、ポリジオルガノシロキサンドメインがある程度大きい方が有利であることから、上記の如く好ましい重合度の範囲が存在する。
ヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。また、本発明の製造方法の妨げにならない範囲で、上記二価フェノール(I)、ヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)以外の他のコモノマーを共重合樹脂の全重量に対して10重量%以下の範囲で併用することもできる。
本発明においては、工程(i)で末端クロロホルメート基を有する、二価フェノール(I)のカーボネートオリゴマーを含む溶液を調整した後、工程(ii)において該溶液を攪拌しながら式[5]で表わされるヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)を、該混合溶液の調整にあたり仕込まれた二価フェノール(I)の量1モルあたり、0.01モル/min以下の速度で加え、該ヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)と該クロロホーメート化合物とを界面重縮合させることにより、ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂を得る。
本発明を何らかの理論により限定するものではないが、かかる方法により、所定のドメインサイズおよび該ドメインサイズの規格化分散を小さくできる理由を以下のように推察する。
従来の方法では、二価フェノール(I)とヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)との混合物に対してホスゲンを反応させるため、二価フェノール(I)とヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)との反応性の差から一方のモノマーのみからなる連鎖長の長いブロック共重合樹脂が形成されやすい。さらには、ヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)が二価フェノール(I)からなる短鎖のカーボネートオリゴマーを介して結合した構造が形成されやすい。
一方、本発明のプロセスには、ヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)濃度の急増を抑制し、その結果、該モノマーと末端クロロホルメート基を有する二価フェノール(I)のカーボネートオリゴマーとの反応を着実に進展させ、未反応のヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)の量を低減することができる。かかる低減は、二価フェノール(I)とヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)との反応性の差を解消し、一方のモノマーのみからなる連鎖長の長いブロック共重合樹脂や、ヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)が二価フェノール(I)からなる短鎖のカーボネートオリゴマーを介して結合した構造の形成確率を低下させると考えられる。これにより、ポリジオルガノシロキサンドメインサイズの規格化分散の小さい凝集構造が形成され、そして透明性が高く、成形条件に影響され難い熱安定性に優れた共重合樹脂が得られると推測される。
上述のヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)の添加速度が、0.01モル/minより速い場合、得られるポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂の成形品において、内部に分散したポリジオルガノシロキサンドメインサイズの規格化分散が40%を超え、透明性が悪化しやすくなる。さらに、成形加工条件によっては良好な透明性が得られない、または成形加工条件により透明性がばらつきやすくなる。
上述のヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)の添加速度が0.0001モル当量/minよりも遅い場合、生産効率上好ましくなく、また得られる共重合樹脂のポリジオルガノシロキサン成分含有量が少なくなり、分子量がばらつく傾向があるため好ましくない。したがって、ヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)の添加速度の下限は実質的には0.0001モル当量/minである。
ヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)の添加速度は、該溶液の調製にあたり仕込まれた二価フェノール(I)の量1モルあたり、より好ましくは0.005モル/min以下、更に好ましくは0.0025モル/min以下、特に好ましくは0.0015モル/min以下の速度であり、下限はより好ましくは0.0002モル/min以上の速度である。
また、均一分散性を高めるため、ヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)は、溶媒と混合して溶液状態で、末端クロロホルメート化合物を含有する混合溶液中に投入することが望ましい。該溶液の濃度は、反応を阻害しない範囲内で希薄であることが望ましく、好ましくは、0.01〜0.2モル/Lの範囲、より好ましくは0.02〜0.1モル/Lの範囲である。尚、かかる溶媒は特に限定されないものの、上述のクロロホルメート化合物の生成反応に使用する溶媒と同一が好ましく、特に塩化メチレンが好ましい。
界面重縮合反応を行うにあたり、酸結合剤を反応の化学量論比(当量)を考慮して適宜追加してもよい。酸結合剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、および水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、および炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、並びにピリジンの如き有機塩基、あるいはこれらの混合物などが用いられる。具体的には、使用するヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)、または上記の如く二価フェノール(I)の一部を後添加モノマーとしてこの反応段階に添加する場合には、後添加分の二価フェノール(I)とヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)との合計モル数(通常1モルは2当量に相当)に対して2当量若しくはこれより過剰量のアルカリを用いることが好ましい。
二価フェノール(I)のオリゴマーとヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)との界面重縮合反応は、上記混合液を激しく攪拌することにより行われる。
かかる重縮合反応においては、末端停止剤或いは分子量調節剤が通常使用される。末端停止剤としては一価のフェノール性水酸基を有する化合物が挙げられ、通常のフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノール、トリブロモフェノールなどの他に、長鎖アルキルフェノール、脂肪族カルボン酸クロライド、脂肪族カルボン酸、ヒドロキシ安息香酸アルキルエステル、ヒドロキシフェニルアルキル酸エステル、アルキルエーテルフェノールなどが例示される。その使用量は用いる全ての二価フェノール系化合物100モルに対して、100〜0.5モル、好ましくは50〜2モルの範囲であり、二種以上の化合物を併用することも当然に可能である。
重縮合反応を促進するために、トリエチルアミンのような第三級アミンまたは第四級アンモニウム塩などの触媒を添加することができ、添加することが好ましい。特に好適にはトリエチルミンが利用される。
かかる重合反応の反応時間は、透明性を向上させるためには比較的長くする必要がある。好ましくは30分以上、更に好ましくは50分以上であり、製造効率の点からその上限は好ましくは2時間以下、より好ましくは1.5時間以下である。
本発明のポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂は、分岐化剤を上記の二価フェノール系化合物と併用して分岐化ポリカーボネート共重合樹脂とすることができる。かかる分岐ポリカーボネート樹脂に使用される三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、フロログルシン、フロログルシド、または4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキジフェニル)ヘプテン−2、2,4,6−トリメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、4−{4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン}−α,α−ジメチルベンジルフェノール等のトリスフェノール、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)ケトン、1,4−ビス(4,4−ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン、またはトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸およびこれらの酸クロライド等が挙げられる。中でも1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましく、特に1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。
かかる分岐化ポリカーボネート共重合樹脂の製造方法は、クロロホルメート化合物の生成反応時にその混合溶液中に分岐化剤が含まれる方法であっても、該生成反応終了後の界面重縮合反応時に分岐化剤が添加される方法であってもよい。分岐化剤由来のカーボネート構成単位の割合は、該共重合樹脂を構成するカーボネート構成単位全量中、好ましくは0.005〜1.5モル%、より好ましくは0.01〜1.2モル%、特に好ましくは0.05〜1.0モル%である。なお、かかる分岐構造量についてはH−NMR測定により算出することが可能である。
可能である。
重縮合反応における系内の圧力は、減圧、常圧、もしくは加圧のいずれでも可能であるが、通常は、常圧若しくは反応系の自圧程度で好適に行い得る。反応温度は−20〜50℃の範囲から選ばれ、多くの場合、重合に伴い発熱するので、水冷または氷冷することが望ましい。反応時間は反応温度等の他の条件によって異なるので一概に規定はできないが、通常、0.5〜10時間で行われる。
場合により、得られたポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂に適宜物理的処理(混合、分画など)および/または化学的処理(ポリマー反応、架橋処理、部分分解処理など)を施して所望の還元粘度[ηSP/c]の共重合樹脂として取得することもできる。
得られた反応生成物(粗生成物)は公知の分離精製法等の各種の後処理を施して、所望の純度(精製度)のポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂として回収することができる。
(C成分:紫外線吸収剤)
本発明のポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂を含有する樹脂においては、耐光性を付与することを目的として紫外線吸収剤が配合される。
紫外線吸収剤としては、具体的にはベンゾフェノン系では、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−ソジウムスルホキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンソフェノン、および2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノンなどが例示される。
紫外線吸収剤としては、具体的に、ベンゾトリアゾール系では、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)フェニルベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2,2’−メチレンビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニル)、2,2’−p−フェニレンビス(1,3−ベンゾオキサジン−4−オン)、および2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾ−ル、並びに2−(2’−ヒドロキシ−5−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体や2−(2’―ヒドロキシ−5−アクリロキシエチルフェニル)―2H―ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体などの2−ヒドロキシフェニル−2H−ベンゾトリアゾール骨格を有する重合体などが例示される。
紫外線吸収剤は、具体的に、ヒドロキシフェニルトリアジン系では、例えば、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−メチルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−エチルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−プロピルオキシフェノール、および2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ブチルオキシフェノールなどが例示される。さらに2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノールなど、上記例示化合物のフェニル基が2,4−ジメチルフェニル基となった化合物が例示される。
紫外線吸収剤は、具体的に環状イミノエステル系では、例えば2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−m−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、および2,2’−p,p’−ジフェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)などが例示される。
また紫外線吸収剤としては、具体的にシアノアクリレート系では、例えば1,3−ビス−[(2’−シアノ−3’,3’−ジフェニルアクリロイル)オキシ]−2,2−ビス[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル)プロパン、および1,3−ビス−[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]ベンゼンなどが例示される。
さらに上記紫外線吸収剤は、ラジカル重合が可能な単量体化合物の構造をとることにより、かかる紫外線吸収性単量体および/または光安定性単量体と、アルキル(メタ)アクリレートなどの単量体とを共重合したポリマー型の紫外線吸収剤であってもよい。前記紫外線吸収性単量体としては、(メタ)アクリル酸エステルのエステル置換基中にベンゾトリアゾール骨格、ベンゾフェノン骨格、トリアジン骨格、環状イミノエステル骨格、およびシアノアクリレート骨格を含有する化合物が好適に例示される。
前記の中でも紫外線吸収能の点においてはベンゾトリアゾール系およびヒドロキシフェニルトリアジン系が好ましく、耐熱性や色相の点では、環状イミノエステル系およびシアノアクリレート系が好ましい。前記紫外線吸収剤は単独であるいは2種以上の混合物で用いてもよい。
紫外線吸収剤の配合量は、樹脂成分100重量部に対しては0.01〜0.5重量部でありより好ましくは0.02〜0.4重量部、さらに好ましくは0.03〜0.35重量部、特に好ましくは0.05〜0.3重量部である。上記好適な範囲の上限以上においては成形品の初期色相(YI値)が高くなるため好ましくない。また、上記好適な範囲の下限以下においては、耐候性が十分に発揮されない。
(D成分:リン系安定剤)
本発明のポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂を含有する樹脂は、加水分解性を促進させない目的で、リン系安定剤が配合される。かかるリン系安定剤は製造時または成形加工時の熱安定性を向上させ、機械的特性、色相、および成形安定性を向上させる。リン系安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル、並びに第3級ホスフィンなどが例示される。
具体的にはホスファイト化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−iso−プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。
更に他のホスファイト化合物としては二価フェノール類と反応し環状構造を有するものも使用できる。例えば、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイトなどを挙げることができる。
ホスフェート化合物としては、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどを挙げることができ、好ましくはトリフェニルホスフェート、トリメチルホスフェートである。
ホスホナイト化合物としては、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト等が挙げられ、テトラキス(ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトが好ましく、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトがより好ましい。かかるホスホナイト化合物は上記アルキル基が2以上置換したアリール基を有するホスファイト化合物との併用可能であり好ましい。
ホスホネイト化合物としては、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、およびベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。
第3級ホスフィンとしては、トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリアミルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、ジフェニルオクチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、トリナフチルホスフィン、およびジフェニルベンジルホスフィンなどが例示される。特に好ましい第3級ホスフィンは、トリフェニルホスフィンである。
上記リン系安定剤は、1種のみならず2種以上を混合して用いることができる。上記リン系安定剤の中でもトリメチルホスフェートに代表されるアルキルホスフェート化合物が配合されることが好ましい。またかかるアルキルホスフェート化合物と、ホスファイト化合物および/またはホスホナイト化合物との併用も好ましい態様である。
リン系安定剤の配合量は、樹脂成分100重量部に対し、0.001〜0.1重量部であり、より好ましくは0.005〜0.08重量部、さらに好ましくは0.01〜0.05重量部である。上記好適な範囲の上限以上においては過剰な熱安定剤の存在により樹脂の各種物性が著しく低下し、さらには生産性が悪化するため好ましくない。また、上記好適な範囲の下限以下においては、熱安定性が十分に発揮されない。
紫外線吸収剤とリン系熱安定剤の併用により、紫外線曝露に対する黄変が抑制され、成形加工段階での樹脂劣化に対する黄変も抑制される。結果として、透明性・意匠性に優れた物品を製造することが可能となる。特に、ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂の黄変抑制に対してはこれらの添加剤の併用が効果的である。
(樹脂組成物およびその成形品)
本発明の樹脂組成物は、0〜95重量%の芳香族ポリカーボネート(A成分)および5〜95重量%の上記ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂(B成分)からなる樹脂成分と、該樹脂成分100重量部に対し、(C)紫外線吸収剤0.01〜0.5重量部および(D)リン系安定剤0.001〜0.1重量部とからなる樹脂組成物であって
(i)ポリカーボネートポリマーのマトリックス中にポリジオルガノシロキサンドメインが分散した凝集構造であり、
(ii)該ポリジオルガノシロキサンドメインの平均サイズが5〜40nm、規格化分散が30%以下であり、
(iii)全光線透過率が88%以上である、
樹脂組成物である。
B成分のポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂は前述の通りである。本発明の樹脂組成物において、B成分の含有量は、95〜5重量%、好ましくは80〜10重量%、より好ましくは50〜20重量%である。
本発明の樹脂組成物は、ポリカーボネートポリマーのマトリックス中にポリジオルガノシロキサンドメインが分散した凝集構造である。
本発明の樹脂組成物中のポリジオルガノシロキサンドメインの平均サイズは5〜40nm、好ましくは5〜15nm、より好ましくは7〜12nmである。平均サイズの下限は、好ましくは5nmであり、より好ましくは7nmである。かかる平均サイズの上限は、好ましくは20nm、より好ましくは15nm、特に好ましくは12nmである。
本発明の樹脂組成物中のポリジオルガノシロキサンドメインの規格化分散は、30%以下、好ましくは25%以下、さらに好ましくは20%以下である。かかる規格化分散の下限は実用上7%以上が好ましく、10%以上がより好ましい。
ポリジオルガノシロキサンドメインの平均サイズ、規格化分散は本発明の共重合樹脂と同じ定義であり、同じ方法で測定する。
本発明の樹脂組成物は、射出成形により形成される厚み2.0mmの成形品において、その全光線透過率が88%以上である。かかる全光線透過率は好ましくは88.5%以上、より好ましくは89%以上である。一方、その上限は好ましくは92%、より好ましくは91.5%である。また、本発明の樹脂組成物からなる厚み2.0mmの成形品において、そのヘイズは0.3〜20%が好ましい。かかるヘイズは、より好ましくは0.5〜10%、さらに好ましくは0.6〜5%、特に好ましくは0.6〜2%である。
樹脂組成物の全光線透過率、ヘイズは、本発明の共重合体と同じ定義であり、同じ方法で測定する。
本発明の樹脂組成物は、上記ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂(B成分)に類似した凝集構造、ドメインの平均サイズ、規格化分散、全光線透過率を示す。
本発明における樹脂組成物からなる成形品は、厚み2.0mm部の常温、常圧で測定された蒸留水の接触角が85〜105°であることが好ましい。かかる下限未満では屋外使用による水垢付着が激しく、好ましくない。また、上記上限はベースとなるポリカーボネート樹脂表面の接触角を考慮すると適切である。
本発明の共重合樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂、ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂、紫外線吸収剤およびリン系安定剤成分を混合することにより製造又は調製できる。混合方法としては、特に限定されず、例えば、リボンブレンダ、タンブルミキサ、ヘンシェルミキサなどの混合機や、オープンローラ、ニーダ、バンバリーミキサ、押出機などの混練機による混合手段などを用いた溶融混練による方法が利用できる。これらの混合方法は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
また、本発明の共重合樹脂組成物は、単軸押出機、二軸押出機の如き押出機を用いて、溶融混練することによりペレット化することができる。
本発明の共重合樹脂組成物は、前記の如く製造されたペレットを射出成形して各種製品を製造することができる。更にペレットを経由することなく、押出機で溶融混練された樹脂を直接シート、フィルム、異型押出成形品、ダイレクトブロー成形品、および射出成形品にすることも可能である。
かかる射出成形においては、通常の成形方法だけでなく、適宜目的に応じて、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体の注入によるものを含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、サンドイッチ成形、および超高速射出成形などの射出成形法を用いて成形品を得ることができる。これら各種成形法の利点は既に広く知られるところである。また成形はコールドランナー方式およびホットランナー方式のいずれも選択することができる。
また本発明の共重合樹脂組成物は、押出成形により各種異形押出成形品、シート、およびフィルムなどの形で利用することもできる。またシート、フィルムの成形にはインフレーション法や、カレンダー法、キャスティング法なども使用可能である。さらに特定の延伸操作をかけることにより熱収縮チューブとして成形することも可能である。また本発明の共重合樹脂組成物を回転成形やブロー成形などにより成形品とすることも可能である。
これにより優れた透明性を有する共重合樹脂組成物の成形品が提供される。即ち、本発明によれば、ポリカーボネートポリマーのマトリックス中にポリジオルガノシロキサンドメインが分散した凝集構造であり、ポリジオルガノシロキサンドメインの平均サイズが5〜40nm、規格化分散が30%以下であり、全光線透過率が88%以上であることを特徴とするポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂組成物からなる成形品が提供される。
更に本発明の共重合樹脂組成物からなる成形品には、各種の表面処理を行うことが可能である。ここでいう表面処理とは、蒸着(物理蒸着、化学蒸着など)、メッキ(電気メッキ、無電解メッキ、溶融メッキなど)、塗装、コーティング、印刷などの樹脂成形品の表層上に新たな層を形成させるものであり、通常のポリカーボネート樹脂に用いられる方法が適用できる。表面処理としては、具体的には、ハードコート、撥水・撥油コート、紫外線吸収コート、赤外線吸収コート、並びにメタライジング(蒸着など)などの各種の表面処理が例示される。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これらは本発明を限定するものではない。特記しない限り、実施例中の部は重量部であり、%は重量%である。なお、評価は下記の方法に従った。
(1)粘度平均分子量(Mv)
次式にて算出される比粘度(ηSP)を20℃で塩化メチレン100mlに共重合樹脂組成物0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求め、
比粘度(ηSP)=(t−t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
求められた比粘度(ηSP)から次の数式により粘度平均分子量(Mv)を算出する。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]
(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−4 Mv0.83
c=0.7
(2)ポリジオルガノシロキサン成分含有量
日本電子株式会社製JNM−AL400を用い、共重合樹脂組成物のH−NMRスペクトルを測定し、二価フェノール(I)由来のピークの積分比とヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)由来のピークの積分比を比較することにより算出した。
(3)全光線透過率およびヘイズ
共重合樹脂、及びポリカーボネート樹脂をベント式二軸押出機(テクノベル(株)製,KZW15−25MG)によって、温度260℃で紫外線吸収剤及びリン系安定剤を添加混錬し、ペレット化した。得られたペレットを120℃で5時間熱風乾燥した後、射出成形機(日本製鋼所(株)製,JSW J−75EIII)を用いて、成形温度280℃、金型温度80℃、成形サイクル50秒にて幅50mm、長さ90mm、厚みがゲート側から3.0mm(長さ20mm)、2.0mm(長さ45mm)、1.0mm(長さ25mm)であり、算術平均粗さ(Ra)が0.03μmである3段型プレートを成形した。
かかる3段型プレートの厚み2.0mm部における全光線透過率とヘイズを日本電飾工業(株)製 Haze Meter NDH 2000を用い、ASTM D1003に準拠し測定した。
(4)ポリジオルガノシロキサンドメインの平均サイズと規格化分散
(3)で作成した3段型プレートを用いて、厚み1.0mm部の端部より5mm、側部より5mmの交点におけるポリジオルガノシロキサンドメインの平均サイズと粒径分布(規格化分散)を、X線回折装置((株)リガク社製 RINT−TTRII)を用いて測定した。X線源として、CuKα特性エックス線(波長0.1541841nm)、管電圧50kV、管電流300mAで行った。小角散乱光学系は、Slit:1st 0.03mm、HS 10mm、SS 0.2mm、RS 0.1mmとした。測定は、非対称走査法(2θスキャン)により、FT 0.01°ステップ、4sec/step、走査範囲 0.06−3°として実施した。カーブフィッティングの解析には、(株)リガク社製 小角散乱解析ソフトウェア NANO−Solver(Ver.3.3)を使用した。解析はポリカーボネートポリマーのマトリックス中にポリジオルガノシロキサンの球状ドメインが分散した凝集構造であり、粒径分布のばらつきが存在すると仮定して、ポリカーボネートマトリックスの密度を1.2g/cm、ポリジオルガノシロキサンドメインの密度を1.1g/cmとし、粒子間相互作用(粒子間干渉)を考慮しない孤立粒子モデルにて実施した。
(5)接触角
(3)で作成した3段型プレートを温度23℃、湿度50%RHの室内に24時間静置させた後、同室内で厚み2.0mm部にマイクロシリンジを用いて液滴直径1.5mmのイオン交換水を滴下し、接触角を測定した。測定装置には協和界面科学製FACE接触計、型式CA−Aを用いた。
(6)色相(YI値)
(3)で作成した3段型プレートの厚さ2.0mm部を日本電色(株)製色差計SE−2000型を用いて透過光を測定したX、YおよびZ値からASTM−E1925に基づき、下記式を用いて算出した。YI値が大きいほど成形板の黄色味が強いことを示す。また、YI値が大きいほど成形板の曇り度が強いことを示す。
YI値=[100(1.28X−1.06Z)]/Y
(7)耐侯性試験
(3)で作成した3段型プレートをサンシャイン・ウェザー・メーター(スガ試験機(株)製:WEL−SUN−HCH−B)を使用しブラックパネル温度63℃、湿度50%、18分間水噴霧と102分間噴霧無しの計120分サイクルで1000時間処理した後の、厚さ2.0mm部の色相(YI値)を上記評価(6)と同様の方法で測定した。処理前に対する処理後のYI値の差であるΔYI値を算出した。ΔYI値が小さいほど色相変化が小さく、水垢付着による表面曇り度が低いため、耐候性及び耐水垢付着性に優れる。
(8)耐熱老化性試験
(3)で作成したペレットを120℃で5時間熱風乾燥した後、射出成形機(日本製鋼所(株)製, JSW J−75EIII)を用いて、成形温度280℃、金型温度80℃、成形サイクル50秒にて長さ80mm、幅10mm、厚み4mmの試験片を成形した。かかる試験片にISO179に準拠してノッチを施し、ノッチ面を露光面としてサンシャイン・ウェザー・メーター(スガ試験機(株)製:WEL−SUN−HCH−B)を使用しブラックパネル温度63℃、湿度50%、18分間水噴霧と102分間噴霧無しの計120分サイクルで360時間処理した後、ISO179に準拠してノッチ付シャルピー衝撃強度を測定した。試験片10本で測定を行い、その平均値を表1に記載した。
(9)耐水垢付着性試験
(7)で処理した3段型プレート表面に付着した水垢の程度を目視にて判定した。
○:水垢付着なし、もしくは軽度
×:水垢付着が激しい
(A)芳香族ポリカーボネート樹脂
A−1:ビスフェノールA及び末端停止剤としてp−tert−ブチルフェノール、並びにホスゲンから界面重縮合法で合成した直鎖状芳香族ポリカーボネート樹脂パウダー(帝人化成(株)製:パンライトL−1225WX(商品名)、粘度平均分子量 19,700)
(B)ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂
製造例1(B−1)
(工程(i))
温度計、撹拌機、還流冷却器付き反応器にイオン交換水21592部、48.5%水酸化ナトリウム水溶液3675部を入れ、式[4]で表される二価フェノール(I)として2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)3897部(17.07モル)、およびハイドロサルファイト7.6部を溶解した後、塩化メチレン14565部(二価フェノール(I)1モルに対して10モル)を加え、撹拌下22〜30℃でホスゲン1900部を60分要して吹き込んだ。
(工程(ii))
48.5%水酸化ナトリウム水溶液1131部、p−tert−ブチルフェノール108部を塩化メチレン800部に溶解した溶液を加え、攪拌しながら式[5]で表される二価フェノール(II)として下記構造のポリジオルガノシロキサン化合物(信越化学工業(株)製 X−22−1821)430部(0.1405モル)を塩化メチレン1600部に溶解した溶液を、二価フェノール(II)が二価フェノール(I)の量1モルあたり0.0004モル/minとなる速度で加えて乳化状態とした後、再度激しく撹拌した。かかる攪拌下、反応液が26℃の状態でトリエチルアミン4.3部を加えて温度26〜31℃において1時間撹拌を続けて反応を終了した。(式[7])
(分離、精製)
反応終了後、有機相を分離し、塩化メチレンで希釈して水洗した後、塩酸酸性にして水洗し、水相の導電率がイオン交換水と殆ど同じになったところで温水を張ったニーダーに投入して、攪拌しながら塩化メチレンを蒸発し、ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂のパウダーを得た。
得られた共重合樹脂の粘度平均分子量、ポリジオルガノシロキサン成分含有量、ならびに共重合樹脂組成物成形品の全光線透過率、ヘイズ、ポリジオルガノシロキサンドメインの平均サイズ、ポリジオルガノシロキサンドメインサイズの規格化分散を測定した。小角エックス線散乱プロファイル(a)、粒径分布(b)を図1に示す。滞留試験によるヘイズの変化(Δヘイズ)を測定した。測定結果を表1に示す。
製造例2(B−2)
式[5]で表される二価フェノール(II)(信越化学工業(株)製 X−22−1821)215部用いた以外は、実施例1と同様にした。工程(i)における平均オリゴマー重合度は1.88であった。測定結果を表1に併記する。
製造例3(B−3)
式[5]で表される二価フェノール(II)(信越化学工業(株)製 X−22−1822E)215部用いた以外は、実施例1と同様にした。(式[8])
測定結果を表1に併記する。
製造例4(B−4)
式[5]で表される二価フェノール(II)として、下記構造のポリジオルガノシロキサン化合物(信越化学工業(株)製 X−22−1875)を215部用いた以外は、実施例1と同様にした。(式[9])
測定結果を表1に併記する。
実施例1〜5、比較例1〜8(樹脂組成物)
表1記載の各成分を各配合量で配合し、ブレンダーにて混合した後、ベント式二軸押出機(テクノベル(株)製,KZW15−25MG)によって溶融混錬してペレットを得た。押出条件は、吐出量2.5kg/h、スクリュー回転数250rpmであり、押出温度は第1供給口からダイス部分まで260℃とした。得られたペレットを使用して評価した結果を表1に示す。
表1中に記号で表記した各成分の内容は以下の通りである。
(A成分)
A−1:ビスフェノールAおよび末端停止剤としてp−tert−ブチルフェノール、並びにホスゲンから界面重縮合法で合成した直鎖状芳香族ポリカーボネート樹脂パウダー(帝人化成(株)製:パンライトL−1225WX(商品名)、粘度平均分子量19,700)
(B成分)
B−1:製造例1にて合成したポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂
B−2:製造例2にて合成したポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂
B−3:製造例3にて合成したポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂
B−4:製造例4にて合成したポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂
(C成分)
(C)ベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤
UV−1:2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(ケミプロ化成(株)製:ケミソーブ79(商品名)/融点:104℃)
(D成分)リン系安定剤
P−1:トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製:イルガフォス168)
本発明において得られる熱可塑性樹脂組成物は、透明性、耐候性、耐熱老化性、水垢付着防止性に優れ、さらに高度な靭性を備えており、かかる特性により、光学分野、電気電子分野、医療分野、自動車分野等に有用であり、屋外用電子機器表示板として特に有用である。

Claims (15)

  1. (A)芳香族ポリカーボネート樹脂0〜95重量部、(B)下記式[1]で表されるポリカーボネートブロックと、下記式[3]で表されるポリジオルガノシロキサンブロックとからなるポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂5〜100重量部からなる樹脂成分と該樹脂成分100重量部に対し、(C)紫外線吸収剤0.01〜0.5重量部および(D)リン系安定剤0.001〜0.1重量部とからなる樹脂組成物であって、
    (i)ポリカーボネートのマトリックス中にポリジオルガノシロキサンドメインが分散した凝集構造であり、
    (ii)該ポリジオルガノシロキサンドメインの平均サイズが5〜40nm、規格化分散が30%以下であり、
    (iii)全光線透過率が88%以上である、
    共重合樹脂組成物。
    [式中、RおよびRは夫々独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数1〜18のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のシクロアルキル基、炭素原子数6〜20のシクロアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数3〜14のアリール基、炭素原子数3〜14のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、ニトロ基、アルデヒド基、シアノ基およびカルボキシル基からなる群から選ばれる基を表し、それぞれ複数ある場合はそれらは同一でも異なっていても良い。eおよびfは夫々1〜4の整数である。Wは、単結合もしくは下記式[2]で表される基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基である。
    (式中、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18は夫々独立して、水素原子、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数3〜14のアリール基および炭素原子数7〜20のアラルキル基からなる群から選ばれる基を表す。R19およびR20は夫々独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のシクロアルキル基、炭素原子数6〜20のシクロアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数3〜14のアリール基、炭素原子数6〜10のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、ニトロ基、アルデヒド基、シアノ基およびカルボキシル基からなる群から選ばれる基を表し、複数ある場合はそれらは同一でも異なっていても良い。gは1〜10の整数、hは4〜7の整数である。)]
    (式中、R、R、R、R、RおよびRは夫々独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基または炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基である。RおよびR10は夫々独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基である。pは自然数であり、qは0または自然数であり、p+qは30〜70の自然数である。Xは炭素原子数2〜8の二価脂肪族基である。)
  2. 該ポリオルガノシロキサンドメインの平均サイズが5〜15nmである請求項1記載の共重合樹脂組成物。
  3. 式[3]で表されるポリジオルガノシロキサンブロックが(2−アリルフェノール)末端ポリジオルガノシロキサン、もしくは(2−メトキシ−4−アリルフェノール)末端ポリジオルガノシロキサンより誘導された、請求項1記載の共重合樹脂組成物。
  4. 式[3]におけるp+qが30〜60であり、且つ全光線透過率が89%以上である、請求項1記載の共重合樹脂組成物。
  5. 共重合樹脂組成物の全重量を基準にして式[3]で表されるポリジオルガノシロキサンブロックが0.1〜50重量%である請求項1記載の共重合樹脂組成物。
  6. 、R、R、R、R、Rがメチル基である、請求項1記載の共重合樹脂組成物。
  7. 常温、常圧で厚み2mmの平滑平板を用いて測定された蒸留水の接触角が85〜105°である請求項1記載の共重合樹脂組成物。
  8. 紫外線吸収剤がベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の共重合樹脂組成物。
  9. リン系安定剤がホスファイト化合物またはホスフォナイト化合物である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の共重合樹脂組成物。
  10. 式[1]で表されるポリカーボネートブロックが2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンより誘導された請求項1〜9のいずれか記載の共重合樹脂組成物。
  11. 請求項1〜10のいずれか記載の樹脂組成物から形成された成形品。
  12. ポリカーボネートのマトリックス中にポリジオルガノシロキンサンドメインが分散した凝集構造を有し、該ポリジオルガノシロキサンドメインの平均サイズが5〜40nm、規格化分散が30%以下である請求項11記載の成形品。
  13. 全光線透過率が88%以上である請求項11記載の成形品。
  14. 請求項1〜10のいずれか記載の樹脂組成物から形成される屋外用電子機器表示板。
  15. 厚みが0.2〜1.0mmである請求項14に記載の屋外用電子機器表示板。
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